2013-09-25(Wed)
神のみぞ知るセカイ 女神篇 #12 初めて恋をした記憶
末妹メルクリウス顕現、そして舞校祭ライブへ。

神のみ女神篇、涙ナミダの完結です。

サイコキラーの如く形相で襲いかかるリューネはハクアへ凶刃を突き立て、ってな悪魔バトルの一方で海浜公園へ急ぐにーさま&ちひろ。ギュッと繋がれた手は透明状態への対策なれどちひろ的にはまんざらでも無いかも? 歩美の所へ向かう最中という状況を別にすれば。
お約束どおり二人の手は離れ、ここぞとばかり現れたヴィンテージのみなさん。見慣れぬ異形に囲まれて怯えたちひろは思わず声を上げそうになるも、どこからともなく現れたにーさまにギュッと抱きしめられ…黒装束が去った後もそのまま離れず「我慢なんてしてないよ」とかどんだけオトメなのか!と。しかしここでちひろはにーさまの胸ポケットのピックに気付いてしまうのだなあ。にーさまへの思いの象徴であるピックをくすぐるテイでサッと抜き取り、おそらくこの時点でちひろは一度踏ん切りを付けたのでしょう。海浜公園で待っている歩美のために。
その頃海浜公園・あかね丸の歩美はウエディングドレス姿でにーさまを待っていました。細い肩・存在感あふるるムネ・締まったウエストなどなどオンナノコポイントを強調するベアトップのドレスは新婦歩美のかわいらしさを一層引き立てています。普段の活発さから一転して不安気に待つ表情も良し良し。ほどなく二人が到着し、するとにーさまはちひろの手をサッと離して歩美の所へ。あああ。当然の成り行きとはいえ一人置いて行かれるちひろの寂しそうな表情が私のココロをチクチク刺します。

「あいつはゲームをやってるんだ。今夜中に歩美を落とすゲームを!」
「…でも訳があるんだよ。よく知らんけど、とにかくあいつメチャメチャ必死なんだ」
「意味わかんなかったら自分で聞けばいいよ」
「桂木をどうするか、歩美が決める事だよ」
道中でのにーさまの推察どおり、前回のぶちまけ修羅場にてちひろはフォローを入れていた。歩美はにーさまの事情を知っていたからこそ結婚ネタで強気に振り回し家を飛び出し、ここまで来てくれたなら何があっても信じると思いを秘めてあかね丸で待っていたのでした。その回想の歩美がノータイ&胸元開いて谷間チラリになっていたのはご愛敬かサービスか(笑
事情を知りたい歩美vs話すべきか迷うにーさまの水面下の戦いは「一つの質問だけに答える」という条件で済し崩し的に落ち着き…「一つだけ質問するか、質問しないで別れるか」なんて歩美の気持ちを判った上でこの口車はさすがにーさま、こんなん言われたら呑むしかありません。
「質問。私の事、好き?」
「好きじゃない」
この土壇場でも嘘を吐かないにーさまの誠実さに惚れる。もちろん歩美はその答えにガッガーン! さらに質問を続けるけれど条件どおり二つ目以降は答えてもらえず納得いかず、しかしにーさまの事情を察し「力になってあげてもいいよ」と迫り…歩美ってばトロトロデレデレが止まりません。ああもう!
「僕は好かれるためにやってるわけじゃない」
「僕はただ、エンディングを目指してるだけだ」
決して嘘を吐かず、助けを求めず、全責任を背負って全力で立ち向かう。歩美本人は好きじゃないのに攻略対象として落とすためなら全力で愛する。常人には理解しがたい気持ちのスイッチングは落とし神ならではの信念を感じさせ、と同時に点灯したライトアップによって謎理論を何となく納得させてしまう勢いは本作らしい(笑。一方「愛してる」の囁きにキュンキュン全開、とはいえこの顛末に踏ん切りが付かない歩美…そんな背中を押し、船上結婚式に向かう二人をじっと見送るちひろの切なさ。ああココロが痛い。

「私の気持ちは私が決めるよ!」
ドタバタの末のドラマチックな結婚式は作画も演出も極上で歩美のかわいさをこれでもか!の勢いで見せ、と同時にそんなキラキラ風景を傍観するしかない透明人間の切なさも思いっきり。相変わらずキツい調子ながらにーさまへの思いを止められない歩美、自分を抑えて見つめるちひろ。そして歩美らしい怒濤のようなキスシーンで一気にゼロ距離、一方ちひろはキスの瞬間スッと遠ざかり…などなど二人の対比がキツすぎる。もうこれ以上ちひろの傷に塩を擦り込まないで。
ともあれキスをもって歩美の再攻略は見事エンディングを迎え、と同時に煌めく光に包まれて女神の翼が現れ、ついにメルクリウスが復活しました。ここまで長かった。派手な結婚式演出が裏目に出てヴィンテージに取り囲まれ、寝起きのメルクリウスは役に立たずいきなりピンチ! と思いきやディアナがビュッと現れて女神回収、翼が復活していた事をどうしてもっと早く言ってくれなかったんですか!(笑。さらに灯改めリミュエル率いる駆け魂隊によってヴィンテージの包囲は蹴散らされ…一応ここからが女神篇の本筋クライマックスなのに主役の仕事はもうありません。というわけで船上に残されたにーさま&ちひろはそのまま帰路へ。

「いや、ちひろは関係ない」
ギターを取りに寄った桂木宅にて朝チュン(違)の後、にーさま&ちひろの会話は私のココロを掻き乱して止まず。部外者のはずの自分と何故デートしたのか? ひょっとして私の中にも? とあえて訊くちひろは、つまり自分が攻略対象だったなら前夜祭屋上での酷い振られ方も「攻略のためのお芝居だった=にーさまの本心ではなかった」という僅かな望みに賭けたのでしょう。しかしきっぱりと「無関係」と告げられ…完全に終わってしまった悲しみに唇を噛み、言いかけた言葉を呑み込み、そこから空元気の憎まれ口などなど、ちひろのリアクション描写は作画も中の人も本気すぎてもう見てられません(褒め言葉。数歩踏み出せば隣に並べるのに、もう二度と縮まらない二人の距離感も凄い。
「ちひろ、今日のバンド、聴くよ、必ず」
早朝の澄んだ空気の中で流れる重い時間、それにピリオドを打ったのはにーさまの一言でした。この言葉で何となく察したのでしょう、引き続き沈み続けるにーさまへちひろは頑張ってサムアップ&ウインクで明るく返し…この上滑り感、そして無反応のにーさまへのヤレヤレ顔も良かったなあ。あんたの方が落ち込んでどうするの?みたいな。
「桂木、ばいばい」
目映い朝日に照らされたちひろの神々しさは誰よりも女神でした。残念ながら(?)ちひろの中に女神はいなかったけれど、何てこたぁない、ちひろ自身が女神だったというオチ。沈んでいたにーさまもその姿にハッとするも時既に遅し、目の前の女神は見えない翼で飛んで行ってしまいましたとさ。

せっかくなので復活した女神ズの活躍を少々。メルクリウスブースターによってアポロはあっさり目覚め、六女神揃ったところで六芒星魔法陣が一本岩を封印して終了。本当に女神さえ見つければ後はどうにかなるお話でした。女神が揃った時点で風向きを読んでサッサと退散のリューネ、一方ほぼフルボッコ状態にて見逃してもらえたハクアの不完全燃焼っぷりがじつにやるせない。ゴッツい鎌を携えて颯爽と再登場したけれどホンマモンのサイコキラーには敵わなかったか(笑
一方舞校祭のステージは2Bペンシルズの出番となるも五人中三人(女神二人&エルシィ)が来ていないという異常事態に。そういやエルシィは特に何もしていなかったのに何故遅れたのだろう。
するとちひろはほいほいとステージに出て場繋ぎスタート。マイクの前に立って客席を見回し一瞬俯いたのはにーさまの姿が見つからなかったから? いちいちチクチクさせやがる! その後ろで事情を全く知らない京ちゃんの握り拳が何よりの救い。あはは。知らなくていい事を知らないってのは時に幸せで、怪異蠢く2Bペンシルズにて普通人ポジションを守り通した彼女の存在はどれほど救いになったことか。
恋心の象徴である例のピックをじっと見つめ、燻る思いを振り切るようにギターへ向けたその刹那、残りメンツがジャストタイミングで現れました。間が良いのか悪いのか(笑。ウエディングドレス姿の歩美へ何も知らないテイで話し掛け、自分の考えに自信が持てず俯く背中を再び押してあげるちひろの心意気が辛い。

サッサと着替えを済ませてステージ上のセッティング。これまで歩美のギターがよう判りませんでしたが、今回パッと見た感じボディ形状&P.Uがハム1発って事からGibson SG1っぽい? でもヘッド形状はインレイ含めてYAMAHA SGに近いかも。背後のアンプはパッと見でMarshall JCM2000+DSL100っぽい。これは定番ですね。軽く鳴らした歪み音が良い感じ。
左弾きのジャズベを構えるエルシィはベースアンプのセッティング。こちらもパッと見でAmpeg HERITAGE SVT-CL+SVT-810Eとこれまた定番ですが、どちらもジョシコーセーの部活バンドが使うにはあまりに以下略な。というかポンコツ悪魔がこんなごっついベースアンプを触って大丈夫なの?(笑。どうでもいいけど左弾きのはずなのに左肩にストラップが乗っている謎。京ちゃんの鍵盤はKORG X50、結のドラムは専門外なのでようわかりませんが、テキトウに調べてみたらステーやリムなどPearl VISION VMX Jungle Gig Kitに似ている感じ?
「好きな人がいる人は告白しちゃおうぜ!」
機材のセッティングが終わってステージ開始、ツカミのMCでのちひろの笑顔がこれまた辛い辛すぎる。そしてようやくライブスタート! と思ったら今度はかのん乱入でまたしても腰を折られてもうどんだけ! 久々登場&最高の見せ場って事でかのんの作画は気合い十二分、さらにさりげなく露出度がおかしい衣装&特盛り! ってデカすぎるだろこれは!? 超美麗作画のかのんに張り合うが如くちひろまでスゲー美少女になっちゃってちょっと笑った。無個性モブキャラからよくぞここまで出世したものです。

そんなこんなで始まった2Bペンシルズの初ステージ。長めのニーソ+ミニスカひらりで生成される僅かな絶対領域が眩しい。というかステージ上でこのアクションは客席視点だと絶景だろうなあ(笑。続くステージ上のカットはベースアンプ(キャビネット)の大きさがよく判ります。そういや竿組のシールド捌きを見るとエルシィだけはきちんとストラップに掛けてるんですね。右竿左弾きのせいかもですが、こうしておかないと振り回した時プラグが抜けちゃったりするので要注意。などなどずっと練習から離れていたポンコツエルシィが一番ステージ慣れしてるってのは、かのんの影武者でプロの現場を見続けていたから?(笑。そんなん気にせずギターを振ってシャツの隙間からチラリと覗く歩美の肌色が大変素晴らしい。
ステージ描写の合間では一本岩から救出された元攻略ヒロインたちの様子をチラリ。みなみちゃんとかラーメン娘のエピソードはアニメで見たかった。いやその前に女神候補者の本攻略をやってくれ!って話でしょうけど。さらに全てが終わった一本岩を見つめる灯&二階堂先生。今回の女神篇ではこの二人の正体がよう判らんままストーリーが進んでしまったので、TV派は何が何だかだったかもしれません。地味に重要なポジションだったんですけどね。などなどアニメでオミットされた部分に興味が沸いた人はぜひ原作をどうぞ…という高度な販促(笑)か。
これまでにーさま宅でドタバタやってたハクアが雪枝さん家へ帰るカットはストーリーの終演をしみじみと感じさせます。何かこのカットが一番「オシマイ」を実感させたかも。

「私、恋をしたよ」
そんなステージにてちひろは女神たちの羽根を見た。にーさまに恋する、にーさまが愛した女神たちの羽根は煌びやかに輝き、なのに同じに恋した自分には羽根が無い=彼女たちのように愛される事は無いという辛い現実を突き付けられ唇を噛む一瞬は、無音演出も効きまくり、見ているだけでココロがザクザクになりそうな勢いでした。無個性なモブキャラだってがんばれば輝ける、けれど決してメインヒロインにはなれないのだなあ。
「ちひろ…ごめん。僕はあの時、あんな事を言うつもりじゃなかったんだ」
一方ライブ会場から離れて屋上のベンチで涙するにーさま。攻略を急ぐあまりちひろの純粋な恋心を奈落に落とし、しかもそれは「一度成就した恋」の記憶が消えた後での酷い振られ方で、本人が気付いていない分、全てを知るにーさまが罪悪感に襲われるのも無理はありません。またちひろ本攻略時の約束「不安になった時はいつでも僕が助けてやる」を守れなかった悔いもあるでしょう。攻略に関する全ての責任を負う、にーさまの十字架の重さが痛いほど伝わるワンシーンでした。

二度無い瞬間と感触は消えていたけれど
心にまだ残る純粋と、初めて恋をした記憶。
いろんなイケメンにコナを掛けながら振られ続けて笑っていたモブ少女はついに本当の失恋を知った。この泣き顔エンドは原作既読なので心の準備はできていたけれど、にーさまとの日々を走馬燈のように思い出した後のちひろの涙は予想以上の破壊力で…どんだけ私の涙腺に仕事させれば気が済むのかと声を大にして言いたい。これがちひろにとっては確かに「初めての恋」だけれど、実際はそうではない(一度成就している)ってのも涙を誘います。

女神篇を締めるCパート(?)はヴィンテージ騒動がすっかり片付いて戻った日常。駆け魂隊に戻ったハクアはのんびりと茶をすすり…黒コスのがかっこいいのに! ずっと影武者だったためハクアの苦難・顛末を何も知らないエルシィはシアワセ者とはいえ、本編通してほとんど活躍が見られなかったのは残念でした。代わりのハクアも言うほど活躍せず、新悪魔で騒動解決の要所を握っていたのがTV派にはお馴染みではないノーラと灯&二階堂先生だったというのも皮肉な。
そして六面モニタ同時にゲームのエンディングを迎えるにーさま。よっきゅんだ! 先の落ち込みを引きずっているのか俯いた表情でゲームに向かい、しかしオールクリアの後は停滞を振り切るように立ち上がり、光のドアを開けると「女神篇」のタイトルで締め。
一部宿主の本攻略をオミットしての女神篇突入は相当の冒険で、また尺の都合か本編内容も相当カットされていたようですが、作品ファンの欲目十割の感想としてはよくぞ綺麗に纏めてくれたと感心しきり。むしろやや冗長気味と思えた原作よりもハイテンポで話が進むアニメ版の方が緊張感が持続し、全体的に見応えがあったかもしれません。原作既読のちひろ好きとしては後半の展開が胃痛のタネであり最大の見どころでありましたが、蓋を開ければシナリオ・作画・演出・中の人と全てがハマり、展開が判っているのに胃痛&やるせなさが止まらない、非常に心に残る作品に仕上げてくれました。ああ面白かった。
というわけで「神のみぞ知るセカイ 女神篇」はこれにてオシマイ、レビューもオシマイです。お疲れさまでした。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

神のみ女神篇、涙ナミダの完結です。

サイコキラーの如く形相で襲いかかるリューネはハクアへ凶刃を突き立て、ってな悪魔バトルの一方で海浜公園へ急ぐにーさま&ちひろ。ギュッと繋がれた手は透明状態への対策なれどちひろ的にはまんざらでも無いかも? 歩美の所へ向かう最中という状況を別にすれば。
お約束どおり二人の手は離れ、ここぞとばかり現れたヴィンテージのみなさん。見慣れぬ異形に囲まれて怯えたちひろは思わず声を上げそうになるも、どこからともなく現れたにーさまにギュッと抱きしめられ…黒装束が去った後もそのまま離れず「我慢なんてしてないよ」とかどんだけオトメなのか!と。しかしここでちひろはにーさまの胸ポケットのピックに気付いてしまうのだなあ。にーさまへの思いの象徴であるピックをくすぐるテイでサッと抜き取り、おそらくこの時点でちひろは一度踏ん切りを付けたのでしょう。海浜公園で待っている歩美のために。
その頃海浜公園・あかね丸の歩美はウエディングドレス姿でにーさまを待っていました。細い肩・存在感あふるるムネ・締まったウエストなどなどオンナノコポイントを強調するベアトップのドレスは新婦歩美のかわいらしさを一層引き立てています。普段の活発さから一転して不安気に待つ表情も良し良し。ほどなく二人が到着し、するとにーさまはちひろの手をサッと離して歩美の所へ。あああ。当然の成り行きとはいえ一人置いて行かれるちひろの寂しそうな表情が私のココロをチクチク刺します。

「あいつはゲームをやってるんだ。今夜中に歩美を落とすゲームを!」
「…でも訳があるんだよ。よく知らんけど、とにかくあいつメチャメチャ必死なんだ」
「意味わかんなかったら自分で聞けばいいよ」
「桂木をどうするか、歩美が決める事だよ」
道中でのにーさまの推察どおり、前回のぶちまけ修羅場にてちひろはフォローを入れていた。歩美はにーさまの事情を知っていたからこそ結婚ネタで強気に振り回し家を飛び出し、ここまで来てくれたなら何があっても信じると思いを秘めてあかね丸で待っていたのでした。その回想の歩美がノータイ&胸元開いて谷間チラリになっていたのはご愛敬かサービスか(笑
事情を知りたい歩美vs話すべきか迷うにーさまの水面下の戦いは「一つの質問だけに答える」という条件で済し崩し的に落ち着き…「一つだけ質問するか、質問しないで別れるか」なんて歩美の気持ちを判った上でこの口車はさすがにーさま、こんなん言われたら呑むしかありません。
「質問。私の事、好き?」
「好きじゃない」
この土壇場でも嘘を吐かないにーさまの誠実さに惚れる。もちろん歩美はその答えにガッガーン! さらに質問を続けるけれど条件どおり二つ目以降は答えてもらえず納得いかず、しかしにーさまの事情を察し「力になってあげてもいいよ」と迫り…歩美ってばトロトロデレデレが止まりません。ああもう!
「僕は好かれるためにやってるわけじゃない」
「僕はただ、エンディングを目指してるだけだ」
決して嘘を吐かず、助けを求めず、全責任を背負って全力で立ち向かう。歩美本人は好きじゃないのに攻略対象として落とすためなら全力で愛する。常人には理解しがたい気持ちのスイッチングは落とし神ならではの信念を感じさせ、と同時に点灯したライトアップによって謎理論を何となく納得させてしまう勢いは本作らしい(笑。一方「愛してる」の囁きにキュンキュン全開、とはいえこの顛末に踏ん切りが付かない歩美…そんな背中を押し、船上結婚式に向かう二人をじっと見送るちひろの切なさ。ああココロが痛い。

「私の気持ちは私が決めるよ!」
ドタバタの末のドラマチックな結婚式は作画も演出も極上で歩美のかわいさをこれでもか!の勢いで見せ、と同時にそんなキラキラ風景を傍観するしかない透明人間の切なさも思いっきり。相変わらずキツい調子ながらにーさまへの思いを止められない歩美、自分を抑えて見つめるちひろ。そして歩美らしい怒濤のようなキスシーンで一気にゼロ距離、一方ちひろはキスの瞬間スッと遠ざかり…などなど二人の対比がキツすぎる。もうこれ以上ちひろの傷に塩を擦り込まないで。
ともあれキスをもって歩美の再攻略は見事エンディングを迎え、と同時に煌めく光に包まれて女神の翼が現れ、ついにメルクリウスが復活しました。ここまで長かった。派手な結婚式演出が裏目に出てヴィンテージに取り囲まれ、寝起きのメルクリウスは役に立たずいきなりピンチ! と思いきやディアナがビュッと現れて女神回収、翼が復活していた事をどうしてもっと早く言ってくれなかったんですか!(笑。さらに灯改めリミュエル率いる駆け魂隊によってヴィンテージの包囲は蹴散らされ…一応ここからが女神篇の本筋クライマックスなのに主役の仕事はもうありません。というわけで船上に残されたにーさま&ちひろはそのまま帰路へ。

「いや、ちひろは関係ない」
ギターを取りに寄った桂木宅にて朝チュン(違)の後、にーさま&ちひろの会話は私のココロを掻き乱して止まず。部外者のはずの自分と何故デートしたのか? ひょっとして私の中にも? とあえて訊くちひろは、つまり自分が攻略対象だったなら前夜祭屋上での酷い振られ方も「攻略のためのお芝居だった=にーさまの本心ではなかった」という僅かな望みに賭けたのでしょう。しかしきっぱりと「無関係」と告げられ…完全に終わってしまった悲しみに唇を噛み、言いかけた言葉を呑み込み、そこから空元気の憎まれ口などなど、ちひろのリアクション描写は作画も中の人も本気すぎてもう見てられません(褒め言葉。数歩踏み出せば隣に並べるのに、もう二度と縮まらない二人の距離感も凄い。
「ちひろ、今日のバンド、聴くよ、必ず」
早朝の澄んだ空気の中で流れる重い時間、それにピリオドを打ったのはにーさまの一言でした。この言葉で何となく察したのでしょう、引き続き沈み続けるにーさまへちひろは頑張ってサムアップ&ウインクで明るく返し…この上滑り感、そして無反応のにーさまへのヤレヤレ顔も良かったなあ。あんたの方が落ち込んでどうするの?みたいな。
「桂木、ばいばい」
目映い朝日に照らされたちひろの神々しさは誰よりも女神でした。残念ながら(?)ちひろの中に女神はいなかったけれど、何てこたぁない、ちひろ自身が女神だったというオチ。沈んでいたにーさまもその姿にハッとするも時既に遅し、目の前の女神は見えない翼で飛んで行ってしまいましたとさ。

せっかくなので復活した女神ズの活躍を少々。メルクリウスブースターによってアポロはあっさり目覚め、六女神揃ったところで六芒星魔法陣が一本岩を封印して終了。本当に女神さえ見つければ後はどうにかなるお話でした。女神が揃った時点で風向きを読んでサッサと退散のリューネ、一方ほぼフルボッコ状態にて見逃してもらえたハクアの不完全燃焼っぷりがじつにやるせない。ゴッツい鎌を携えて颯爽と再登場したけれどホンマモンのサイコキラーには敵わなかったか(笑
一方舞校祭のステージは2Bペンシルズの出番となるも五人中三人(女神二人&エルシィ)が来ていないという異常事態に。そういやエルシィは特に何もしていなかったのに何故遅れたのだろう。
するとちひろはほいほいとステージに出て場繋ぎスタート。マイクの前に立って客席を見回し一瞬俯いたのはにーさまの姿が見つからなかったから? いちいちチクチクさせやがる! その後ろで事情を全く知らない京ちゃんの握り拳が何よりの救い。あはは。知らなくていい事を知らないってのは時に幸せで、怪異蠢く2Bペンシルズにて普通人ポジションを守り通した彼女の存在はどれほど救いになったことか。
恋心の象徴である例のピックをじっと見つめ、燻る思いを振り切るようにギターへ向けたその刹那、残りメンツがジャストタイミングで現れました。間が良いのか悪いのか(笑。ウエディングドレス姿の歩美へ何も知らないテイで話し掛け、自分の考えに自信が持てず俯く背中を再び押してあげるちひろの心意気が辛い。

サッサと着替えを済ませてステージ上のセッティング。これまで歩美のギターがよう判りませんでしたが、今回パッと見た感じボディ形状&P.Uがハム1発って事からGibson SG1っぽい? でもヘッド形状はインレイ含めてYAMAHA SGに近いかも。背後のアンプはパッと見でMarshall JCM2000+DSL100っぽい。これは定番ですね。軽く鳴らした歪み音が良い感じ。
左弾きのジャズベを構えるエルシィはベースアンプのセッティング。こちらもパッと見でAmpeg HERITAGE SVT-CL+SVT-810Eとこれまた定番ですが、どちらもジョシコーセーの部活バンドが使うにはあまりに以下略な。というかポンコツ悪魔がこんなごっついベースアンプを触って大丈夫なの?(笑。どうでもいいけど左弾きのはずなのに左肩にストラップが乗っている謎。京ちゃんの鍵盤はKORG X50、結のドラムは専門外なのでようわかりませんが、テキトウに調べてみたらステーやリムなどPearl VISION VMX Jungle Gig Kitに似ている感じ?
「好きな人がいる人は告白しちゃおうぜ!」
機材のセッティングが終わってステージ開始、ツカミのMCでのちひろの笑顔がこれまた辛い辛すぎる。そしてようやくライブスタート! と思ったら今度はかのん乱入でまたしても腰を折られてもうどんだけ! 久々登場&最高の見せ場って事でかのんの作画は気合い十二分、さらにさりげなく露出度がおかしい衣装&特盛り! ってデカすぎるだろこれは!? 超美麗作画のかのんに張り合うが如くちひろまでスゲー美少女になっちゃってちょっと笑った。無個性モブキャラからよくぞここまで出世したものです。

そんなこんなで始まった2Bペンシルズの初ステージ。長めのニーソ+ミニスカひらりで生成される僅かな絶対領域が眩しい。というかステージ上でこのアクションは客席視点だと絶景だろうなあ(笑。続くステージ上のカットはベースアンプ(キャビネット)の大きさがよく判ります。そういや竿組のシールド捌きを見るとエルシィだけはきちんとストラップに掛けてるんですね。右竿左弾きのせいかもですが、こうしておかないと振り回した時プラグが抜けちゃったりするので要注意。などなどずっと練習から離れていたポンコツエルシィが一番ステージ慣れしてるってのは、かのんの影武者でプロの現場を見続けていたから?(笑。そんなん気にせずギターを振ってシャツの隙間からチラリと覗く歩美の肌色が大変素晴らしい。
ステージ描写の合間では一本岩から救出された元攻略ヒロインたちの様子をチラリ。みなみちゃんとかラーメン娘のエピソードはアニメで見たかった。いやその前に女神候補者の本攻略をやってくれ!って話でしょうけど。さらに全てが終わった一本岩を見つめる灯&二階堂先生。今回の女神篇ではこの二人の正体がよう判らんままストーリーが進んでしまったので、TV派は何が何だかだったかもしれません。地味に重要なポジションだったんですけどね。などなどアニメでオミットされた部分に興味が沸いた人はぜひ原作をどうぞ…という高度な販促(笑)か。
これまでにーさま宅でドタバタやってたハクアが雪枝さん家へ帰るカットはストーリーの終演をしみじみと感じさせます。何かこのカットが一番「オシマイ」を実感させたかも。

「私、恋をしたよ」
そんなステージにてちひろは女神たちの羽根を見た。にーさまに恋する、にーさまが愛した女神たちの羽根は煌びやかに輝き、なのに同じに恋した自分には羽根が無い=彼女たちのように愛される事は無いという辛い現実を突き付けられ唇を噛む一瞬は、無音演出も効きまくり、見ているだけでココロがザクザクになりそうな勢いでした。無個性なモブキャラだってがんばれば輝ける、けれど決してメインヒロインにはなれないのだなあ。
「ちひろ…ごめん。僕はあの時、あんな事を言うつもりじゃなかったんだ」
一方ライブ会場から離れて屋上のベンチで涙するにーさま。攻略を急ぐあまりちひろの純粋な恋心を奈落に落とし、しかもそれは「一度成就した恋」の記憶が消えた後での酷い振られ方で、本人が気付いていない分、全てを知るにーさまが罪悪感に襲われるのも無理はありません。またちひろ本攻略時の約束「不安になった時はいつでも僕が助けてやる」を守れなかった悔いもあるでしょう。攻略に関する全ての責任を負う、にーさまの十字架の重さが痛いほど伝わるワンシーンでした。

二度無い瞬間と感触は消えていたけれど
心にまだ残る純粋と、初めて恋をした記憶。
いろんなイケメンにコナを掛けながら振られ続けて笑っていたモブ少女はついに本当の失恋を知った。この泣き顔エンドは原作既読なので心の準備はできていたけれど、にーさまとの日々を走馬燈のように思い出した後のちひろの涙は予想以上の破壊力で…どんだけ私の涙腺に仕事させれば気が済むのかと声を大にして言いたい。これがちひろにとっては確かに「初めての恋」だけれど、実際はそうではない(一度成就している)ってのも涙を誘います。

女神篇を締めるCパート(?)はヴィンテージ騒動がすっかり片付いて戻った日常。駆け魂隊に戻ったハクアはのんびりと茶をすすり…黒コスのがかっこいいのに! ずっと影武者だったためハクアの苦難・顛末を何も知らないエルシィはシアワセ者とはいえ、本編通してほとんど活躍が見られなかったのは残念でした。代わりのハクアも言うほど活躍せず、新悪魔で騒動解決の要所を握っていたのがTV派にはお馴染みではないノーラと灯&二階堂先生だったというのも皮肉な。
そして六面モニタ同時にゲームのエンディングを迎えるにーさま。よっきゅんだ! 先の落ち込みを引きずっているのか俯いた表情でゲームに向かい、しかしオールクリアの後は停滞を振り切るように立ち上がり、光のドアを開けると「女神篇」のタイトルで締め。
一部宿主の本攻略をオミットしての女神篇突入は相当の冒険で、また尺の都合か本編内容も相当カットされていたようですが、作品ファンの欲目十割の感想としてはよくぞ綺麗に纏めてくれたと感心しきり。むしろやや冗長気味と思えた原作よりもハイテンポで話が進むアニメ版の方が緊張感が持続し、全体的に見応えがあったかもしれません。原作既読のちひろ好きとしては後半の展開が胃痛のタネであり最大の見どころでありましたが、蓋を開ければシナリオ・作画・演出・中の人と全てがハマり、展開が判っているのに胃痛&やるせなさが止まらない、非常に心に残る作品に仕上げてくれました。ああ面白かった。
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