2015-05-05(Tue)
Go! プリンセスプリキュア #14 大好きのカタチ!春野ファミリーの夢!
支えてくれる人がいるから頑張れる。

応援してくれる家族がいるから夢を思いっきり追える。

「ノーブル学園に入学して三ヶ月、久しぶりの家族団らんだもんね!」
今回は新入生の家族を招いておもてなしする行事「ファミリーデイ」のお話。2月スタートの本作も2クール目に突入して入学後の時間経過は作中と同じ三ヶ月なのだけれど、実際にはまだ五月初頭なので何だか妙な感じです。現実と約二ヶ月のズレをこれまでの作品は何となくボカして、たいてい母の日辺りには現実時間とシンクロさせて(ズレを吸収して)お話を進めていく感じでしたが、このタイミングで「入学して三ヶ月」と明言=あくまで経過時間を優先させるパターンは珍しいような? つまり作中では既に六月末~七月初頭なので、梅雨もなく衣替えもしないままあと半月チョイで夏休みが始まっちゃうのか(笑
ともあれファミリーデイを控えたはるはるは久しぶりの再会にテンションMAX、特にかわいいかわいい妹・ももかちゃんとの再会が楽しみでハートを飛ばしまくるほど。作中では妹キャラのはるはるが実際は妹ラブのお姉ちゃん、はたしてどんだけ甘々お姉ちゃんっぷりを見せてくれるか?ってトコでOPへ。
OP明けてAパート冒頭はさっそくファミリーデイの当日、わらわら集まる家族の中に春野家
学園に到着した春野家のみなさん…第1話冒頭以来の父ちゃん母ちゃんお久しぶり。特に父ちゃんははるはるとの再会に周囲を気にせず噎び泣いちゃったりして判りやすく愛娘トロットロです。そんな家族を笑顔で迎え、学園生活を心配する両親へ笑顔で答えるはるはる。ところが懐いているはずのももかちゃん(CV.松浦愛弓)は明らかに不機嫌で、笑顔でカモーン!のはるはるにソッポを向いて
「私この学校嫌い」
再会を楽しみにしていたももかちゃんの意外な様子にガビョーン!…のポーズは何だか青山御大の作画を思い起こさせます。まあ御大だったらここから手を上下に動かすトコか(笑

受付の会長さんと挨拶を交わすヒトコマでもももかちゃんの様子は変わらず、特にノーブル学園を褒めたり、話相手がお姉ちゃんの友達と知ったり、その友達と楽しそうに話すお姉ちゃんを見たりすると不機嫌マシマシでどっかへ行ってしまいます。というわけでこの時点からじんわり遠回しにももかちゃんの本心が描かれ、一方そんな妹の胸中を察せられず振り回されるはるはるとのドタバタ(?)が暫し続きます。まあ言ってしまえばこのテの作品の王道パターンなれど、前述どおり作中では全力で「妹キャラ」のはるはるがリアルに照らすと「妹」の気持ちが判らないという絶妙なギミックが仕込まれたシナリオの妙に感心しきり、と思ったら今回担当は成田先生でした。さすが。
ちなみに作画担当は河野・長島・藤井各氏三名によるいわゆる河野組、2クール目に入って総作監修正も減ってきた頃合いなのか今回は河野組作画の特徴があちこち散見できました。正直キャラ顔の美麗さは他作監回に比べると一歩劣りますが独特の愛嬌やコメディ顔の楽しさ、小さい子供や動物(マスコット)描写のかわいらしさ、そして何よりちょっとした所作やアクションの動きの良さなどなど、私的には河野作監回は結構見どころ満載だったりします。特に花壇から顔出すはるはるや、はるはる印のどら焼きを食べてうーまーいーぞー!のゆいゆいとか素晴らしすぎ(笑。ここで明らかになったお父さんの職業は「和菓子職人」との事で…家業が和菓子の割に何にでも羊羹を入れたりしないはるはるは結構常識人かもしれない(違。
さて大評判のどら焼きに大盛り上がりの生徒たち&その中心で笑い合うはるはるを見たももかちゃんはまたしてもどよんど沈み込み…ってな様子をチラリと見ていた会長さんの視線が意味深なヒトコマ。そう、学園では紛う事なきお姉ちゃんポジションの会長さんは、実際は立派な兄さんの背中を追う「妹」なのでした。だからどんどん先を行く兄姉から取り残される(と誤解する)妹の気持ちが判る。ほんと地味に凝った作りです。
どら焼きのお返しに自作クッキーを振る舞うはるはる。もちろんももかちゃんへも笑顔で勧めますが全力で拗ねてるももかちゃんは取り付く島もなく「いい!」と言い残してサッサとどっかへ行ってしまいました。あらら。なーんてヒトコマを見ていたきららははるはるをからかうも、本気で落ち込んでいる姿を見ちゃって放っとけないと思ったか。



木陰で何やら包みを見つめて沈むももかちゃんの後からひょっこり現れたきらら。はるはると一緒にももかちゃんの御機嫌伺いに来たのですね。「きららちゃんはファッションモデルだよ、有名人だよ!」と餌を撒きつつ(笑)紹介するはるはる、ところがももかちゃんは「お姉ちゃんの友達」と聞いた途端にやっぱり不機嫌になってしまいます。あらら。そこまでならまだ良かったのですが、続いて現れた会長さんが持ってきてくれたジュースを勢い余ってはたき落としてしまって雰囲気は最悪に。あらら。さすがのはるはるも友達への無礼な態度に堪忍袋の緒が切れてついカミナリを落とし、一方ももかちゃんは気持ちを判ってもらえない上に思いっきり叱られて涙を溜め、ってな様子に一瞬たじろぐはるはる。歳が6つも離れていると「かわいい」ばかりで超甘々=叱り慣れていないゆえの戸惑いも判ります。するとももかちゃんは瞳いっぱいに溜めた涙をバクハツさせ――
「お姉ちゃんなんか大っ嫌い!」
まあ経緯を見れば明らかに逆ギレなのだけれど、幼いココロの真実を鑑みれば辛い辛いヒトコマであります。そのままどっかへ行ってしまったももかちゃんが落としていった先の包みをはるはるが拾って前振り完了。

その頃ディスダーク城ではトワイライトさんが例によって優雅にバイオリンを弾いていました。美しい! 振り返っての流し目も美しい!
「キーが絶望を欲している」
すると黒いキーがボーッと光り、その光に引かれるようにトワイライトさんは娑婆へお出かけ。キー自体が絶望を欲するってのも今後の展開の鍵になりそう。キーだけに。

「妹に嫌われるのって結構キツいなあって…」
「本当に嫌いなのかしら?」
Bパート冒頭はももかちゃんを探しに回るみなさんの様子から。会長さんと組んで森を歩くはるはるはしょんぼり落ち込み、すると会長さんは「妹」の立場からももかちゃんの寂しさを察してはるはるを元気付けるのでした。妹の気持ちが判らない立場上の妹へ、妹の気持ちが判る立場上の姉がアドバイスという面白い構図です。妹の気持ちが判る会長さんが直接妹(ももかちゃん)と話さず、その役割を「兄妹はいないけど寂しさを人一倍知っている」きららに当てる作りもホント面白い。スーパーモデルとして世界中を飛び回っているママとめったに会えず、今日のイベントにも来ていない。そんなきららへ「寂しくないの?」と問うももかちゃん。
「寂しくないわけないじゃん。家族なんだからさ」
ここでいつものきららなら軽く強がっちゃうトコでしょうが、ももかちゃんの寂しさが判っている=それが正しい感情である事を示すように「寂しい」と本音で答えるのでした。絶対領域をやたら強調する構図を続けて表情を隠したトコでパッと振り返ってのセリフは、いかにもココロが強そうなきららの意外な一面を強く印象付けます。
「でもそれがママの夢だし、邪魔したくないじゃない?」
「ていうか私、ママを応援してるから!」
本音は寂しいけどママを応援するため我慢している。それを押し付けるでもなくももかちゃん自身に答えを任せる語り口はいかにも「個」が確立しているきらららしいというか、ももかちゃんをもきちんと「個」として見つめている表れでしょう。

「私だって応援してるよ…」
ノーブル学園に入るため一生懸命頑張ってる姿を見ていたももかちゃんはいっぱいいっぱい応援していた。この日のために手作りしたおみやげを持って楽しみに会いに来た。ところが学園で会ったお姉ちゃんは始終楽しそうで、それはまるで離ればなれの寂しさなんて忘れてしまっているようで…そんな感情のすれ違いからももかちゃんは拗ねてしまっていたのでした。
「きっと寂しい気持ちは一緒だよ」
ここできららはアバンの出来事を話してはるはるの本音を伝え、ももかちゃんはお姉ちゃんの自分に対する気持ちを理解するも、今度は「おみやげ」を失くしてしまった事で俯いてしまいます。この一連は通してももかちゃん目線で優しく話すきららが好印象MAX、前述のとおり一対一の個を尊重して向き合う姿勢も良かった。子供ってこういうトコきっちり感じ取りますし。また角度的に後のはるはるに気付いているのにあえて黙っている=はるはるにももかちゃんの本音を聞かせてあげたい気遣いも良し良し。
「ももか、おみやげって…これかな?」
そんな会話を後ろで聞いてたはるはるが満を持して登場。というわけでようやく素直になったももかちゃんが大泣きで抱き付いて一件落着。駆け付けた両親へきちんとゴメンナサイすると、さっきまで泣いてた子がもう笑って先のおみやげをお姉ちゃんへプレゼント。なーんて切り替えの早さもじつに仲良し姉妹っぽくてほっこりが止まらない。というかやはり河野作監の子供描写は凄い破壊力です。もちろん河野氏以上に整った絵面で描ける人はいると思いますが、この独特のかわいさは他の人には出せないような気がする。ももかちゃんに語りかけるきららの横顔や、おみやげ袋を持つはるはるの後に控える会長さんがいかにも河野組の美人キャラだったのはご愛敬で。

「夢を閉ざせば絶望が生まれる」
さて騒動が収まった所でトワイライトさん降臨であります。例によって例の黒いキーをシャットさんの錠に挿してガシャン! 今回のシャットさんは前回と違ってイキ顔が勇ましく(?)なりました(笑。「はるはるの夢を叶えるのが夢」といういかにも家族らしい夢をシャットユアドリーム!から発動したゼツボーグは和菓子職人がモチーフで、どら焼きを雷様のデンデン太鼓の如く背負って両手には焼き印というなかなか凝ったデザインであります。
「今までいろんな夢を見てきたがこれほどくだらぬ夢はない」
「わかんないの!? 家族の愛情が!」
「家族の愛情? はっ、馬鹿馬鹿し…」
「みんな! 行きます!」
春野家の夢をコキ降ろすシャットさんに食ってかかるきらら。しかし気にせず続けるシャットさんへ、その言葉を遮るようにセリフを被せるブチ切れはるはるの気合いが凄まじい。アツい!


三人揃ってプリンセスエンゲージ!からプリキュアに変身してアクションスタート。今回のフローラほど「お覚悟はよろしくて?」が似合う回もそうそう来まい。開始早々焼き印ビームを乱射するゼツボーグの猛攻撃に件のおみやげ袋が吹っ飛ばされ、破れた袋から現れた手作りのティアラをギリギリで受け止めるフローラ。ってなトコをゼツボーグの焼き印が振り下ろされていきなりピンチ! と思いきや、ももかちゃんの思いが詰まったティアラを抱いてさらにブチ切れたフローラの超パワーにあっさり吹っ飛ばされるゼツボーグ。なるほど普段柔和温厚な人をブチ切らせるとシャレにならないってのは世の常でありますね(笑
「夢は自分の力で頑張って叶えるものだと思ってた」
「でも支えてくれる人がいるから頑張れる」
「応援してくれる家族がいるから私は夢を思いっきり追えるの!」
ももかちゃんのティアラをスイッチに家族の大切さ・ありがたさを改めて知ったフローラは全力全壊の反撃を始めます。大切なティアラをアロマに預けて(アロマが役に立った!)フローラの猛攻は河野作画の本領発揮、デンデン太鼓から発射される無数のどら焼き弾(?)を縫うように避けて走って飛び掛かるとキック一発でゼツボーグを蹴倒し、
「フローラやる~!」
「感心してる場合じゃないわ、私たちも!」
たいていその回のメインキュアが一人で暴れるパターンが多い中で、他キュアもきちんと自分の役割を果たす流れは見ていて気持ちが良い良い。そのアクションも空中で両手を繋いでグルグル回り、その勢いを乗せたキック×2でデンデン太鼓の支柱を折ってどら焼き弾を封じるという、短いながら迫力&スピード感溢るる動きはさすが河野組と感心。続いてすかさずローズトルビヨンをぶっ放す連携からトリニティリュミエールでフィニッシュ。つえええ! その強さが設定だけではなく、キャラの気合い(勢い)が乗った強さである事がきっちり伝わってくる辺りも作り手の気合いが感じられます。贅沢を言うならもう少しアクション尺が欲しかったけれど、本作は全体的にドラマ重視なのかゼツボーグ発動からのアクション尺が短め傾向なので仕方ないか。
「私は無様で見苦しいものは嫌いよ」
負けた戦いにグダグダしがみ付くシャットさんをピシャリと止めるトワイライトさん。どうやらバトル中のフローラ覚醒(?)にも気付いていたようで、じっと見上げるプリキュアたちを見下ろしながらサッサと退散。少しはフローラたちの力を認め始めたのかも? というか「無様で見苦しいものは嫌い」なトワイライトさんが後にどんだけ無様で見苦しい姿を見せてくれるか楽しみすぎる(歪んだ期待


「応援してくれてありがとう」
戦い終わって再びファミリーデイの描写は生徒たちによるバレエステージでした。最初はてんで踊れなかったはるはるが立派にステージを務めている姿はなかなか感慨深いものがあります。会長さんとのバレエの練習がきっちり実を結んでいるのですね。何やらお父さんの気持ちに(笑。しかもはるはるは例のティアラを頭に付けているというニクい演出。ももかちゃんの気持ちに応えるように輝くティアラ、そして一生懸命踊る姿は何よりのお返しとしてももかちゃんのココロに刻まれた事でしょう。フィニッシュ後客席から思いっきり手を振って応援するももかちゃんに思わず手を振り返しちゃう辺りはるはるらしく、そんなドジなお姉ちゃんに小さく手を振り直すと照れながら振り返すはるはるにまたほっこり。
幼いジェラシー、気持ちのすれ違い、それらを通して描かれる家族への思いの深さなどなど、お話の大筋としてはよくあるパターンなれど、キャラの配置や役割がきっちりハマった流れは吸引力や説得力が高く、結果的に各キャラの魅力をまた一つ重ねて綺麗にまとめたシナリオ力に感心する一本でした。またこれまでのエピソードが地味に効いているため回を追うごとに面白さが増していくのも凄い。

そして次回がまた凄そうな…。人間アロマかわいいぞ。パフもかわいいぞ。そして会長さんがいよいよお母(以下自重
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応援してくれる家族がいるから夢を思いっきり追える。

「ノーブル学園に入学して三ヶ月、久しぶりの家族団らんだもんね!」
今回は新入生の家族を招いておもてなしする行事「ファミリーデイ」のお話。2月スタートの本作も2クール目に突入して入学後の時間経過は作中と同じ三ヶ月なのだけれど、実際にはまだ五月初頭なので何だか妙な感じです。現実と約二ヶ月のズレをこれまでの作品は何となくボカして、たいてい母の日辺りには現実時間とシンクロさせて(ズレを吸収して)お話を進めていく感じでしたが、このタイミングで「入学して三ヶ月」と明言=あくまで経過時間を優先させるパターンは珍しいような? つまり作中では既に六月末~七月初頭なので、梅雨もなく衣替えもしないままあと半月チョイで夏休みが始まっちゃうのか(笑
ともあれファミリーデイを控えたはるはるは久しぶりの再会にテンションMAX、特にかわいいかわいい妹・ももかちゃんとの再会が楽しみでハートを飛ばしまくるほど。作中では妹キャラのはるはるが実際は妹ラブのお姉ちゃん、はたしてどんだけ甘々お姉ちゃんっぷりを見せてくれるか?ってトコでOPへ。
OP明けてAパート冒頭はさっそくファミリーデイの当日、わらわら集まる家族の中に春野家
学園に到着した春野家のみなさん…第1話冒頭以来の父ちゃん母ちゃんお久しぶり。特に父ちゃんははるはるとの再会に周囲を気にせず噎び泣いちゃったりして判りやすく愛娘トロットロです。そんな家族を笑顔で迎え、学園生活を心配する両親へ笑顔で答えるはるはる。ところが懐いているはずのももかちゃん(CV.松浦愛弓)は明らかに不機嫌で、笑顔でカモーン!のはるはるにソッポを向いて
「私この学校嫌い」
再会を楽しみにしていたももかちゃんの意外な様子にガビョーン!…のポーズは何だか青山御大の作画を思い起こさせます。まあ御大だったらここから手を上下に動かすトコか(笑

受付の会長さんと挨拶を交わすヒトコマでもももかちゃんの様子は変わらず、特にノーブル学園を褒めたり、話相手がお姉ちゃんの友達と知ったり、その友達と楽しそうに話すお姉ちゃんを見たりすると不機嫌マシマシでどっかへ行ってしまいます。というわけでこの時点からじんわり遠回しにももかちゃんの本心が描かれ、一方そんな妹の胸中を察せられず振り回されるはるはるとのドタバタ(?)が暫し続きます。まあ言ってしまえばこのテの作品の王道パターンなれど、前述どおり作中では全力で「妹キャラ」のはるはるがリアルに照らすと「妹」の気持ちが判らないという絶妙なギミックが仕込まれたシナリオの妙に感心しきり、と思ったら今回担当は成田先生でした。さすが。
ちなみに作画担当は河野・長島・藤井各氏三名によるいわゆる河野組、2クール目に入って総作監修正も減ってきた頃合いなのか今回は河野組作画の特徴があちこち散見できました。正直キャラ顔の美麗さは他作監回に比べると一歩劣りますが独特の愛嬌やコメディ顔の楽しさ、小さい子供や動物(マスコット)描写のかわいらしさ、そして何よりちょっとした所作やアクションの動きの良さなどなど、私的には河野作監回は結構見どころ満載だったりします。特に花壇から顔出すはるはるや、はるはる印のどら焼きを食べてうーまーいーぞー!のゆいゆいとか素晴らしすぎ(笑。ここで明らかになったお父さんの職業は「和菓子職人」との事で…家業が和菓子の割に何にでも羊羹を入れたりしないはるはるは結構常識人かもしれない(違。
さて大評判のどら焼きに大盛り上がりの生徒たち&その中心で笑い合うはるはるを見たももかちゃんはまたしてもどよんど沈み込み…ってな様子をチラリと見ていた会長さんの視線が意味深なヒトコマ。そう、学園では紛う事なきお姉ちゃんポジションの会長さんは、実際は立派な兄さんの背中を追う「妹」なのでした。だからどんどん先を行く兄姉から取り残される(と誤解する)妹の気持ちが判る。ほんと地味に凝った作りです。
どら焼きのお返しに自作クッキーを振る舞うはるはる。もちろんももかちゃんへも笑顔で勧めますが全力で拗ねてるももかちゃんは取り付く島もなく「いい!」と言い残してサッサとどっかへ行ってしまいました。あらら。なーんてヒトコマを見ていたきららははるはるをからかうも、本気で落ち込んでいる姿を見ちゃって放っとけないと思ったか。



木陰で何やら包みを見つめて沈むももかちゃんの後からひょっこり現れたきらら。はるはると一緒にももかちゃんの御機嫌伺いに来たのですね。「きららちゃんはファッションモデルだよ、有名人だよ!」と餌を撒きつつ(笑)紹介するはるはる、ところがももかちゃんは「お姉ちゃんの友達」と聞いた途端にやっぱり不機嫌になってしまいます。あらら。そこまでならまだ良かったのですが、続いて現れた会長さんが持ってきてくれたジュースを勢い余ってはたき落としてしまって雰囲気は最悪に。あらら。さすがのはるはるも友達への無礼な態度に堪忍袋の緒が切れてついカミナリを落とし、一方ももかちゃんは気持ちを判ってもらえない上に思いっきり叱られて涙を溜め、ってな様子に一瞬たじろぐはるはる。歳が6つも離れていると「かわいい」ばかりで超甘々=叱り慣れていないゆえの戸惑いも判ります。するとももかちゃんは瞳いっぱいに溜めた涙をバクハツさせ――
「お姉ちゃんなんか大っ嫌い!」
まあ経緯を見れば明らかに逆ギレなのだけれど、幼いココロの真実を鑑みれば辛い辛いヒトコマであります。そのままどっかへ行ってしまったももかちゃんが落としていった先の包みをはるはるが拾って前振り完了。

その頃ディスダーク城ではトワイライトさんが例によって優雅にバイオリンを弾いていました。美しい! 振り返っての流し目も美しい!
「キーが絶望を欲している」
すると黒いキーがボーッと光り、その光に引かれるようにトワイライトさんは娑婆へお出かけ。キー自体が絶望を欲するってのも今後の展開の鍵になりそう。キーだけに。

「妹に嫌われるのって結構キツいなあって…」
「本当に嫌いなのかしら?」
Bパート冒頭はももかちゃんを探しに回るみなさんの様子から。会長さんと組んで森を歩くはるはるはしょんぼり落ち込み、すると会長さんは「妹」の立場からももかちゃんの寂しさを察してはるはるを元気付けるのでした。妹の気持ちが判らない立場上の妹へ、妹の気持ちが判る立場上の姉がアドバイスという面白い構図です。妹の気持ちが判る会長さんが直接妹(ももかちゃん)と話さず、その役割を「兄妹はいないけど寂しさを人一倍知っている」きららに当てる作りもホント面白い。スーパーモデルとして世界中を飛び回っているママとめったに会えず、今日のイベントにも来ていない。そんなきららへ「寂しくないの?」と問うももかちゃん。
「寂しくないわけないじゃん。家族なんだからさ」
ここでいつものきららなら軽く強がっちゃうトコでしょうが、ももかちゃんの寂しさが判っている=それが正しい感情である事を示すように「寂しい」と本音で答えるのでした。絶対領域をやたら強調する構図を続けて表情を隠したトコでパッと振り返ってのセリフは、いかにもココロが強そうなきららの意外な一面を強く印象付けます。
「でもそれがママの夢だし、邪魔したくないじゃない?」
「ていうか私、ママを応援してるから!」
本音は寂しいけどママを応援するため我慢している。それを押し付けるでもなくももかちゃん自身に答えを任せる語り口はいかにも「個」が確立しているきらららしいというか、ももかちゃんをもきちんと「個」として見つめている表れでしょう。

「私だって応援してるよ…」
ノーブル学園に入るため一生懸命頑張ってる姿を見ていたももかちゃんはいっぱいいっぱい応援していた。この日のために手作りしたおみやげを持って楽しみに会いに来た。ところが学園で会ったお姉ちゃんは始終楽しそうで、それはまるで離ればなれの寂しさなんて忘れてしまっているようで…そんな感情のすれ違いからももかちゃんは拗ねてしまっていたのでした。
「きっと寂しい気持ちは一緒だよ」
ここできららはアバンの出来事を話してはるはるの本音を伝え、ももかちゃんはお姉ちゃんの自分に対する気持ちを理解するも、今度は「おみやげ」を失くしてしまった事で俯いてしまいます。この一連は通してももかちゃん目線で優しく話すきららが好印象MAX、前述のとおり一対一の個を尊重して向き合う姿勢も良かった。子供ってこういうトコきっちり感じ取りますし。また角度的に後のはるはるに気付いているのにあえて黙っている=はるはるにももかちゃんの本音を聞かせてあげたい気遣いも良し良し。
「ももか、おみやげって…これかな?」
そんな会話を後ろで聞いてたはるはるが満を持して登場。というわけでようやく素直になったももかちゃんが大泣きで抱き付いて一件落着。駆け付けた両親へきちんとゴメンナサイすると、さっきまで泣いてた子がもう笑って先のおみやげをお姉ちゃんへプレゼント。なーんて切り替えの早さもじつに仲良し姉妹っぽくてほっこりが止まらない。というかやはり河野作監の子供描写は凄い破壊力です。もちろん河野氏以上に整った絵面で描ける人はいると思いますが、この独特のかわいさは他の人には出せないような気がする。ももかちゃんに語りかけるきららの横顔や、おみやげ袋を持つはるはるの後に控える会長さんがいかにも河野組の美人キャラだったのはご愛敬で。

「夢を閉ざせば絶望が生まれる」
さて騒動が収まった所でトワイライトさん降臨であります。例によって例の黒いキーをシャットさんの錠に挿してガシャン! 今回のシャットさんは前回と違ってイキ顔が勇ましく(?)なりました(笑。「はるはるの夢を叶えるのが夢」といういかにも家族らしい夢をシャットユアドリーム!から発動したゼツボーグは和菓子職人がモチーフで、どら焼きを雷様のデンデン太鼓の如く背負って両手には焼き印というなかなか凝ったデザインであります。
「今までいろんな夢を見てきたがこれほどくだらぬ夢はない」
「わかんないの!? 家族の愛情が!」
「家族の愛情? はっ、馬鹿馬鹿し…」
「みんな! 行きます!」
春野家の夢をコキ降ろすシャットさんに食ってかかるきらら。しかし気にせず続けるシャットさんへ、その言葉を遮るようにセリフを被せるブチ切れはるはるの気合いが凄まじい。アツい!


三人揃ってプリンセスエンゲージ!からプリキュアに変身してアクションスタート。今回のフローラほど「お覚悟はよろしくて?」が似合う回もそうそう来まい。開始早々焼き印ビームを乱射するゼツボーグの猛攻撃に件のおみやげ袋が吹っ飛ばされ、破れた袋から現れた手作りのティアラをギリギリで受け止めるフローラ。ってなトコをゼツボーグの焼き印が振り下ろされていきなりピンチ! と思いきや、ももかちゃんの思いが詰まったティアラを抱いてさらにブチ切れたフローラの超パワーにあっさり吹っ飛ばされるゼツボーグ。なるほど普段柔和温厚な人をブチ切らせるとシャレにならないってのは世の常でありますね(笑
「夢は自分の力で頑張って叶えるものだと思ってた」
「でも支えてくれる人がいるから頑張れる」
「応援してくれる家族がいるから私は夢を思いっきり追えるの!」
ももかちゃんのティアラをスイッチに家族の大切さ・ありがたさを改めて知ったフローラは全力全壊の反撃を始めます。大切なティアラをアロマに預けて(アロマが役に立った!)フローラの猛攻は河野作画の本領発揮、デンデン太鼓から発射される無数のどら焼き弾(?)を縫うように避けて走って飛び掛かるとキック一発でゼツボーグを蹴倒し、
「フローラやる~!」
「感心してる場合じゃないわ、私たちも!」
たいていその回のメインキュアが一人で暴れるパターンが多い中で、他キュアもきちんと自分の役割を果たす流れは見ていて気持ちが良い良い。そのアクションも空中で両手を繋いでグルグル回り、その勢いを乗せたキック×2でデンデン太鼓の支柱を折ってどら焼き弾を封じるという、短いながら迫力&スピード感溢るる動きはさすが河野組と感心。続いてすかさずローズトルビヨンをぶっ放す連携からトリニティリュミエールでフィニッシュ。つえええ! その強さが設定だけではなく、キャラの気合い(勢い)が乗った強さである事がきっちり伝わってくる辺りも作り手の気合いが感じられます。贅沢を言うならもう少しアクション尺が欲しかったけれど、本作は全体的にドラマ重視なのかゼツボーグ発動からのアクション尺が短め傾向なので仕方ないか。
「私は無様で見苦しいものは嫌いよ」
負けた戦いにグダグダしがみ付くシャットさんをピシャリと止めるトワイライトさん。どうやらバトル中のフローラ覚醒(?)にも気付いていたようで、じっと見上げるプリキュアたちを見下ろしながらサッサと退散。少しはフローラたちの力を認め始めたのかも? というか「無様で見苦しいものは嫌い」なトワイライトさんが後にどんだけ無様で見苦しい姿を見せてくれるか楽しみすぎる(歪んだ期待



「応援してくれてありがとう」
戦い終わって再びファミリーデイの描写は生徒たちによるバレエステージでした。最初はてんで踊れなかったはるはるが立派にステージを務めている姿はなかなか感慨深いものがあります。会長さんとのバレエの練習がきっちり実を結んでいるのですね。何やらお父さんの気持ちに(笑。しかもはるはるは例のティアラを頭に付けているというニクい演出。ももかちゃんの気持ちに応えるように輝くティアラ、そして一生懸命踊る姿は何よりのお返しとしてももかちゃんのココロに刻まれた事でしょう。フィニッシュ後客席から思いっきり手を振って応援するももかちゃんに思わず手を振り返しちゃう辺りはるはるらしく、そんなドジなお姉ちゃんに小さく手を振り直すと照れながら振り返すはるはるにまたほっこり。
幼いジェラシー、気持ちのすれ違い、それらを通して描かれる家族への思いの深さなどなど、お話の大筋としてはよくあるパターンなれど、キャラの配置や役割がきっちりハマった流れは吸引力や説得力が高く、結果的に各キャラの魅力をまた一つ重ねて綺麗にまとめたシナリオ力に感心する一本でした。またこれまでのエピソードが地味に効いているため回を追うごとに面白さが増していくのも凄い。

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