2016-12-09(Fri)
アイカツスターズ! #35 選ばれし星たち
不思議な力に翻弄され不安に震えるゆめ。

いちばん大切なものは何?

第30話の悲劇から約1ヶ月経ち喉の調子も戻ってホッと一息のゆめ。しかしその傷跡はゆめの心を今でも抉り続け、医務室のベッドにてチラッと聞いた「あの力」の話も最悪の事態を思えば怖くて踏み込めず…話を聞いたにも関わらず「あの力」についてゆめの口から何も語られなかったのはこういう精神状態だったからなのですね。医者嫌いの私としては何となく判る心理であります(笑。とはいえいつまでも逃げてもいられず、現実に立ち向かうべくひめ様から改めて話を聞く決心をするのでした。
というわけで3クール目も終盤に差し掛かっていよいよ「あの力」の真相が語られる事になります。これまでもチョロっと匂わせては引き延ばされて焦れ焦れ、とはいえ作品の根幹部分だけに本格究明は第40話過ぎ(1年モノのお約束)と考えていたので思ったよりちょっと早かったかも? 本作はキャラが多いためその分前倒しにされたのだろうか。
Aパート冒頭は夜明け前からランニングに励むひめ様を追って追って追いかけるゆめ。日もすっかり昇った頃いつもの東屋で止まったトコでひめ様へ真摯な眼差しを向けると――
「そろそろ来ると思っていたわ」
あれ以降ゆめを黙って見守り続けてきたひめ様。落ち込む姿を見つけても無茶なトレーニングを見つけても、あえて何も語らず見守っていたのは話を聞きに来られるくらい気持ちが落ち着くのを待っていたのでしょう。失意と混乱の真っ最中に現実を突き付けてもさらに混乱させるだけですから。

河岸をドレスメイクルーム2階に移して「あの力」の話が始まります。一般生徒が入って来ないこのスペースは作劇上ナニゲに便利かも。まずはテーブル上に広げられた冬の新作ドレスのデザイン画をきっかけに「秋のプレミアムレアドレス」がゆめ一番のお気に入りと語らせて後の布石打ち、とはいえ新作構想中のトコへ「こないだのが一番好き」とかナチュラルにプレッシャーかもしれない(笑。後の棚にぎっしり並んだ歴代S4のドレスやステージ資料はなかなか壮観、この量からして現S4はいったい何代目くらいになるのだろう? 学園長が見たトコ40前後とすれば彼の姉さん(ホタルさん)も既にアラフォー、すると初期S4時代は約30年前=毎年代替わりとするなら少なくとも30代は続いている感じ? ってなトコで「あの力」の説明に欠かせない存在、件のホタルさんの話が始まります。
「初期のS4歌組、雪乃ホタル。伝説のアイドルと言われた人よ」
「知ってます! ローラに教えてもらいました」
「その歌声は儚い流れ星って言われていたんですよね」
「本名は諸星ホタルさん、学園長のお姉さんよ」
「へ~、そうなんです…えっ!!!」
先週聞いたばかりの話をドヤ顔で語るひめ様かわいい。一方初耳ゆめのリアクションとしてはまあそうなるでしょう(笑。などと学園長との関係を改めて印象付けた後いよいよ本題へ。
「私たちが経験した自分じゃないみたいなステージ。それを初めて経験したのはホタル先輩なの」
実力屈指のトップアイドルだったホタルさんはいつしか不思議な力に頼り始め、アイドルの全盛期に突然引退してしまった。センセーショナルに伝えるスポーツ新聞のアオリどおり引退理由は公にされず、しかしてその真相は「一時的に歌声を失ってしまった」との事で…ゆめが何度も体験した「あの力」の反動の終着点、最悪の結末の実例を聞かされたゆめは言葉もありません。この症例はひめ様が2人目、ゆめが3人目との事。すなわち非常に限定的な事態なので、ホタルさんの一件を知る学園長と体験者であるひめ様以外は「あの力」の効果や反動を知らない=教師陣やS4含めた他生徒がゆめの異変に気付かなかったのも無理はありません。その学園長はホタルさんを襲った危機を間近で見ていただけに同例の二人を非常に気に掛け、だからこそシリーズ前半ではゆめの実力を鑑み妨害じみた手段を続け「悲劇が起きる前に辞めさせる」方向へ導いていたのでしょう。
ヒロインの前に立ちはだかる悪役紛いの人物が最たる理解者だったという流れは古来からの王道パターン、というわけで九分九厘予想ドンズバなネタバラシでした。正直なトコ大映ドラマ好きのおっさん的にはもう一捻り欲しかった気もしますが、子供アニメ的にはこれくらい判り易い方が良いとも思いますし、ましてやアイカツシリーズ的にはこの落とし所がベストなのかも。個人的にはもっとヘイトを稼いでほしかった(笑)けれど、視聴対象を思えばこれ以上悪役紛いを重ねて取り返しが付かなくなっても困るのでこれまた難しい。そういやリリエンヌも「あの力」の関係者と予想していたけど症例は例の3人だけ、つまり完全否定されちゃいました。あらら。

ホタルさんは想像以上にかわいいアイドルしていてちょっと意外。もっと落ち着いた歌姫かと。

衝撃のお話を聞いたゆめはレッスン中も最悪の想像が頭を駆け巡って身が入らず。ってな様子をローラが気に掛け、ランチタイムにはすばる君がこっそり気に掛け…いきなり東屋シーンに移った時は状況が飲み込めなかった。立ち位置的にこっそり様子を窺っているように見えなかったし、ここは演出に一工夫欲しかったトコ。ともあれ気に掛けつつも学園長の制止を守って声一つを掛けられない焦れったさは見ている方も焦れったい(笑。まあこれは後々の布石になるでしょう。続く教室シーンでは落ち込み涙ぐむゆめのタックルをお約束どおり華麗にスルーするローラに笑った。こんな時くらい受け止めてあげればいいのに(笑。というわけで夕陽の語り合いシーンへ。
「ローラに勝てたのも私の実力じゃなくて不思議な力のせいかもしれない」
「ごめんローラ。これまでの勝負は無かった事にして始めからやり直したい」
「それは望むところ」
「でも別にさ、ゆめがどうやって勝ったとか気にしてないんだけど…」
「ゆめは歌が好きで一生懸命歌ってきた。それって一番大切なんじゃない?」
先の勝負の真相を知った二人はどんな反応を見せるか? なーんて事はじつに下衆の勘ぐりでした。ゆめは「あの力」による勝利を悔やんで涙を流し、対するローラは事の経緯など全く気にせず前だけを見つめる…あれほど勝負に拘っていたローラがこう言えるようになったのは温泉場での吹っ切れがあればこそでしょう。相手がどんな手で来ようが私は私の信じる道を行く、という信念の根付きが表れたヒトコマでもあります。この夕陽シーンはイケメンローラを存分に堪能させる美麗作画に釘付け、一方ローラの言葉を受けて笑顔を取り戻すゆめの表情描写も繊細かつ美麗でこれまた釘付けでした。さすがここ一番の見せ場だけに気合い入ってます。などなど「一番大切な事」を思い出したゆめは長いトンネルを抜けようやく復活?と思いきや。

「な、何!?」
「来たまえ」
ランニング中のゆめの前に突然突き刺さった青い薔薇。もちろんそれは学園長によるもので、委細を教えられぬまま黒塗りに乗せられ、道中の車内でもギヌロと睨まれ、小さい身体をますます小さくするゆめ。あの話を聞いた後だけにゆめの不安は幾何か。そんな不安を知ってか知らずかほどなく着いた某武道館のような建物でも学園長は何も語らずつかつか歩き始め、結局行き着いた場所はソロライブを控えたひめ様の楽屋でした。
「今夜のステージのアンコールにサプライズゲストとして虹野を出してほしい」
その楽屋にて学園長はひめ様へ無茶なお願い。そんなんひめ様的にもサプライズでしょう(笑。ともあれリハ無しのぶっつけ本番にひめ様はもちろん反対するも、学園長は聞く耳持たず出演を強行。その尋常ならざる物腰にひめ様は「あの力」関係と気付き…ってなトコで今度は学園長から「あの力」の詳細が語られ始めます。
「おそらくその力は、まだ眠る自分の才能を花開かせてくれている」
「雪乃ホタルにはアイドルとして潜在的な能力があった。君たちも同じであろう」
「しかしいつかは自分で花を開かせなければ痛みを伴う」
というわけでこれも九分九厘予想ドンズバ、自分の潜在力を無意識のうち全解放する能力でした。現時点の実力以上の力を出してしまうため喉や身体が負担に耐えきれず様々な反動が起きる、それを何度も続けていたら喉が潰れて歌えなくなってしまうわけですね。だから「あの力」を発動せずとも潜在力を全て発揮できるようアイカツを重ねる事が克服の糸口であると。
「ステージに立て、虹野!」
「怖い…だから嫌です」
「でも…S4になる夢を諦めるのはもっと嫌! 諦めたくない!」
憧れのひめ様のステージに立つとなれば「あの力」の発動が見込まれ、その状況へあえて身を置く事で克服への試練とする。なかなかスパルタな方法なれど事実上こうするのが早道なのも確かです。するとゆめは歌えなくなる事への恐怖から申し出を断り、しかし自分が今ここにいる理由を噛みしめ「諦めたくない」思いを叫ぶ。ここは涙ながらに叫ぶゆめの作画が気合いマシマシでしたが、その前のひめ様の表情変化もゆめの描写に一役買ってます。自分も同じ体験をしただけに「怖い」と弱気になるゆめの気持ちが判るのでしょう、断るゆめから「そうよね」と言わんばかりに目を逸らし、ってなトコで「でも…」と続けるゆめへキッと向き直る。ゆめの強い憧れがひめ様に伝わった瞬間であります。こんなん見ちゃったら全力でサポートしたくもなるでしょう。

華やかなステージへ向かう暗く長い通路は「あの力」に翻弄されてきた二人のアイドル道を思わせます。
「ステージに立つ者同士解り合える事もあるだろう」
「私には手の届かない世界にもキミなら一緒に行ける」
「虹野の事、よろしく頼む」
これまでのパフォーマンス(笑)からして学園長もまた元アイドル・元M4の一員かも? と予想していましたがこのセリフからしてどうやらハズレっぽい? ステージ上でサポートしてあげられない無念をひめ様に託す学園長がなかなか浸みます。またシリアスな廊下を抜けて開いた扉から煌めくステージへのコントラストも効いていました。それはそうとひめ様はいつの間にコーデチェンジしたのだろう(笑
《絶対に失敗できない…でも…怖い! 私いつの間にかあの力に頼ってしまっていた…大好きなひめ先輩のステージに出られるっていうのに…あの頃描いた私の夢に少しずつ近付いているはずなのに…怖いだなんて悔しいよ…》
一方楽屋のゆめはモニタに映るひめ様ステージを眺めながら今の自分を見つめ直します。これまで「絶対に失敗できない」場面で何故か現れる「自分じゃないような力」をゆめはいつしか期待するようになり、思惑どおり毎度上手く乗り越えてきた。本人的には無意識に発動してしまうため仕方ないのだけれど、結果的には「あの力」に頼っていた事になるのですね。しかし事実を知った今となっては今回また発動してしまったら…と恐怖が先に立ち、憧れだったステージが恐怖の対象になってしまった。なるほど先に涙ながらに叫んだ憧れと恐怖との葛藤はなかなかリアルかもしれない。ゆめ自身喉を痛めた実体験があるだけに歌えなくなる恐怖を振り切るのはそう簡単ではありますまい。そうこうしているうちにひめ様の本ステージが終了しアンコールの時間が迫り――
「ごめんなさい! ゆめちゃんがこんなに苦しんでいるのに私何もしてあげられない」
「わかるの私…同じだったもの ゆめちゃんと」
楽屋へ戻ったひめ様は震えて俯くゆめに気付くとギュッと抱き締めます。ひめ様も同じ体験をしているだけにゆめの不安が他人事ではないのですね。そしてその不安は自分で乗り越えなければならない事も判っていて、それでも何か先輩として出来る事は…ってなトコでゆめがお気に入りと言っていた秋のプレミアムドレスを出してきたのはなかなか上手い使い方でした。大切なプレミアムドレスを使ってでも助けてあげたいひめ様の思いが伝わり、また設定上ゆめに着せられないプレミアムドレスを本編中に着せられる理由付けにもなり、もちろん憧れのドレスを着られる事でゆめのメンタルが上を向くきっかけとなる。
「お気に入りのドレスを着ると自然と強い気持ちになれる。二人で一緒にプレミアムレアドレスを着ましょう」
「…はい!」
ドレスに込められたひめ様の思いに感涙のゆめは次の瞬間表情をキリッと変えていざ出陣。自分のためにここまでしてくれるひめ様の前でいつまでグズグズ泣いてなどいられない!ってなものでしょう。二人並んでコーデチェンジも気合いマシマシでしたが…これにて解決とならないのがまたミソなのだなあ。どーでもいいけど二人の並びがコーデチェンジカットに変わる時左右入れ替わってしまうのはどうしたものか。これって以前から気になっていたけど一向に改善される様子がありません。わざとやってる?とすら思える。

そんなこんなで始まったアンコールステージは「So Beautiful Story」でした。これまで第27話でひめ様ソロ、第30話でゆめソロバージョンが使われましたが、今回はゆめ・ひめデュオ、要するにEDバージョンですね。ゆめソロだと歌い出しの音程が辛いけれどデュオなら少しはマシに聞こえます(笑。というかこの曲は新人には苦行すぎると思う。映像的には冒頭のページ捲りを見ると完コピモーションではない事が判り、またジャンプやターンのキレも数コマ単位でひめ様の方が優っていたり、相変わらず拘ってるなあって感じ。カメラ割りの大まかな流れは第30話バージョンマンマなれどデュオ化に伴い結構調整されています。冬ドレスなのに肩まる出しのひめ様かわいい。
ともあれ今回の見どころはひめ様が身を呈してゆめを守るかのように描かれたアイドルオーラの演出です。Aメロ入りで通常どおり発動した各々のアイドルオーラ、それがサビ入りの盛り上がりでゆめオーラを覆うようにひめ様オーラが広がり、続いて虹色に変化し始めたゆめの発光オーラ(虹ブーストの前兆)をひめ様がアーチオーラごと吹き飛ばし、前述どおり広がったひめ様オーラが二人の頭上を渡っている=二人分の煌めきを放っている、まさにひめ様の加護の体現と言えるオーラ描写でありました。この一連は当然第29話の出来事を思い起こさせ、無意識とはいえローラをズンドコの淵へ追い詰めたオーラブレイクがゆめを救うという面白い構造になっています。それにしてもゆめの虹ブースト発動を意図的にねじ伏せてしまうひめ様のアイドルパワーおそるべし。これだけ見ても「あの力」を乗り越えたひめ様の努力が窺えるというもの。



「絶対に失敗できない」場面で虹ブーストを免れたゆめは満面笑顔で観客に応え、ひめ様の心強い笑顔に支えられながらも、やはり一人になった時の不安は拭えず…このやり方では根本的な解決にならないと思っていたとおり、ゆめの試練はまだ続きそうであります。一方客席に手を振るゆめにホタルさんの姿を重ねた学園長はすっかり保護者ポジションなれど、「例え恨まれても」などと穏やかじゃない事を呟き、いかにも劇的なハーモニー演出で締め。次回は現在のホタルさんが出てきそう?
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

いちばん大切なものは何?

第30話の悲劇から約1ヶ月経ち喉の調子も戻ってホッと一息のゆめ。しかしその傷跡はゆめの心を今でも抉り続け、医務室のベッドにてチラッと聞いた「あの力」の話も最悪の事態を思えば怖くて踏み込めず…話を聞いたにも関わらず「あの力」についてゆめの口から何も語られなかったのはこういう精神状態だったからなのですね。医者嫌いの私としては何となく判る心理であります(笑。とはいえいつまでも逃げてもいられず、現実に立ち向かうべくひめ様から改めて話を聞く決心をするのでした。
というわけで3クール目も終盤に差し掛かっていよいよ「あの力」の真相が語られる事になります。これまでもチョロっと匂わせては引き延ばされて焦れ焦れ、とはいえ作品の根幹部分だけに本格究明は第40話過ぎ(1年モノのお約束)と考えていたので思ったよりちょっと早かったかも? 本作はキャラが多いためその分前倒しにされたのだろうか。
Aパート冒頭は夜明け前からランニングに励むひめ様を追って追って追いかけるゆめ。日もすっかり昇った頃いつもの東屋で止まったトコでひめ様へ真摯な眼差しを向けると――
「そろそろ来ると思っていたわ」
あれ以降ゆめを黙って見守り続けてきたひめ様。落ち込む姿を見つけても無茶なトレーニングを見つけても、あえて何も語らず見守っていたのは話を聞きに来られるくらい気持ちが落ち着くのを待っていたのでしょう。失意と混乱の真っ最中に現実を突き付けてもさらに混乱させるだけですから。

河岸をドレスメイクルーム2階に移して「あの力」の話が始まります。一般生徒が入って来ないこのスペースは作劇上ナニゲに便利かも。まずはテーブル上に広げられた冬の新作ドレスのデザイン画をきっかけに「秋のプレミアムレアドレス」がゆめ一番のお気に入りと語らせて後の布石打ち、とはいえ新作構想中のトコへ「こないだのが一番好き」とかナチュラルにプレッシャーかもしれない(笑。後の棚にぎっしり並んだ歴代S4のドレスやステージ資料はなかなか壮観、この量からして現S4はいったい何代目くらいになるのだろう? 学園長が見たトコ40前後とすれば彼の姉さん(ホタルさん)も既にアラフォー、すると初期S4時代は約30年前=毎年代替わりとするなら少なくとも30代は続いている感じ? ってなトコで「あの力」の説明に欠かせない存在、件のホタルさんの話が始まります。
「初期のS4歌組、雪乃ホタル。伝説のアイドルと言われた人よ」
「知ってます! ローラに教えてもらいました」
「その歌声は儚い流れ星って言われていたんですよね」
「本名は諸星ホタルさん、学園長のお姉さんよ」
「へ~、そうなんです…えっ!!!」
先週聞いたばかりの話をドヤ顔で語るひめ様かわいい。一方初耳ゆめのリアクションとしてはまあそうなるでしょう(笑。などと学園長との関係を改めて印象付けた後いよいよ本題へ。
「私たちが経験した自分じゃないみたいなステージ。それを初めて経験したのはホタル先輩なの」
実力屈指のトップアイドルだったホタルさんはいつしか不思議な力に頼り始め、アイドルの全盛期に突然引退してしまった。センセーショナルに伝えるスポーツ新聞のアオリどおり引退理由は公にされず、しかしてその真相は「一時的に歌声を失ってしまった」との事で…ゆめが何度も体験した「あの力」の反動の終着点、最悪の結末の実例を聞かされたゆめは言葉もありません。この症例はひめ様が2人目、ゆめが3人目との事。すなわち非常に限定的な事態なので、ホタルさんの一件を知る学園長と体験者であるひめ様以外は「あの力」の効果や反動を知らない=教師陣やS4含めた他生徒がゆめの異変に気付かなかったのも無理はありません。その学園長はホタルさんを襲った危機を間近で見ていただけに同例の二人を非常に気に掛け、だからこそシリーズ前半ではゆめの実力を鑑み妨害じみた手段を続け「悲劇が起きる前に辞めさせる」方向へ導いていたのでしょう。
ヒロインの前に立ちはだかる悪役紛いの人物が最たる理解者だったという流れは古来からの王道パターン、というわけで九分九厘予想ドンズバなネタバラシでした。正直なトコ大映ドラマ好きのおっさん的にはもう一捻り欲しかった気もしますが、子供アニメ的にはこれくらい判り易い方が良いとも思いますし、ましてやアイカツシリーズ的にはこの落とし所がベストなのかも。個人的にはもっとヘイトを稼いでほしかった(笑)けれど、視聴対象を思えばこれ以上悪役紛いを重ねて取り返しが付かなくなっても困るのでこれまた難しい。そういやリリエンヌも「あの力」の関係者と予想していたけど症例は例の3人だけ、つまり完全否定されちゃいました。あらら。

ホタルさんは想像以上にかわいいアイドルしていてちょっと意外。もっと落ち着いた歌姫かと。

衝撃のお話を聞いたゆめはレッスン中も最悪の想像が頭を駆け巡って身が入らず。ってな様子をローラが気に掛け、ランチタイムにはすばる君がこっそり気に掛け…いきなり東屋シーンに移った時は状況が飲み込めなかった。立ち位置的にこっそり様子を窺っているように見えなかったし、ここは演出に一工夫欲しかったトコ。ともあれ気に掛けつつも学園長の制止を守って声一つを掛けられない焦れったさは見ている方も焦れったい(笑。まあこれは後々の布石になるでしょう。続く教室シーンでは落ち込み涙ぐむゆめのタックルをお約束どおり華麗にスルーするローラに笑った。こんな時くらい受け止めてあげればいいのに(笑。というわけで夕陽の語り合いシーンへ。
「ローラに勝てたのも私の実力じゃなくて不思議な力のせいかもしれない」
「ごめんローラ。これまでの勝負は無かった事にして始めからやり直したい」
「それは望むところ」
「でも別にさ、ゆめがどうやって勝ったとか気にしてないんだけど…」
「ゆめは歌が好きで一生懸命歌ってきた。それって一番大切なんじゃない?」
先の勝負の真相を知った二人はどんな反応を見せるか? なーんて事はじつに下衆の勘ぐりでした。ゆめは「あの力」による勝利を悔やんで涙を流し、対するローラは事の経緯など全く気にせず前だけを見つめる…あれほど勝負に拘っていたローラがこう言えるようになったのは温泉場での吹っ切れがあればこそでしょう。相手がどんな手で来ようが私は私の信じる道を行く、という信念の根付きが表れたヒトコマでもあります。この夕陽シーンはイケメンローラを存分に堪能させる美麗作画に釘付け、一方ローラの言葉を受けて笑顔を取り戻すゆめの表情描写も繊細かつ美麗でこれまた釘付けでした。さすがここ一番の見せ場だけに気合い入ってます。などなど「一番大切な事」を思い出したゆめは長いトンネルを抜けようやく復活?と思いきや。

「な、何!?」
「来たまえ」
ランニング中のゆめの前に突然突き刺さった青い薔薇。もちろんそれは学園長によるもので、委細を教えられぬまま黒塗りに乗せられ、道中の車内でもギヌロと睨まれ、小さい身体をますます小さくするゆめ。あの話を聞いた後だけにゆめの不安は幾何か。そんな不安を知ってか知らずかほどなく着いた某武道館のような建物でも学園長は何も語らずつかつか歩き始め、結局行き着いた場所はソロライブを控えたひめ様の楽屋でした。
「今夜のステージのアンコールにサプライズゲストとして虹野を出してほしい」
その楽屋にて学園長はひめ様へ無茶なお願い。そんなんひめ様的にもサプライズでしょう(笑。ともあれリハ無しのぶっつけ本番にひめ様はもちろん反対するも、学園長は聞く耳持たず出演を強行。その尋常ならざる物腰にひめ様は「あの力」関係と気付き…ってなトコで今度は学園長から「あの力」の詳細が語られ始めます。
「おそらくその力は、まだ眠る自分の才能を花開かせてくれている」
「雪乃ホタルにはアイドルとして潜在的な能力があった。君たちも同じであろう」
「しかしいつかは自分で花を開かせなければ痛みを伴う」
というわけでこれも九分九厘予想ドンズバ、自分の潜在力を無意識のうち全解放する能力でした。現時点の実力以上の力を出してしまうため喉や身体が負担に耐えきれず様々な反動が起きる、それを何度も続けていたら喉が潰れて歌えなくなってしまうわけですね。だから「あの力」を発動せずとも潜在力を全て発揮できるようアイカツを重ねる事が克服の糸口であると。
「ステージに立て、虹野!」
「怖い…だから嫌です」
「でも…S4になる夢を諦めるのはもっと嫌! 諦めたくない!」
憧れのひめ様のステージに立つとなれば「あの力」の発動が見込まれ、その状況へあえて身を置く事で克服への試練とする。なかなかスパルタな方法なれど事実上こうするのが早道なのも確かです。するとゆめは歌えなくなる事への恐怖から申し出を断り、しかし自分が今ここにいる理由を噛みしめ「諦めたくない」思いを叫ぶ。ここは涙ながらに叫ぶゆめの作画が気合いマシマシでしたが、その前のひめ様の表情変化もゆめの描写に一役買ってます。自分も同じ体験をしただけに「怖い」と弱気になるゆめの気持ちが判るのでしょう、断るゆめから「そうよね」と言わんばかりに目を逸らし、ってなトコで「でも…」と続けるゆめへキッと向き直る。ゆめの強い憧れがひめ様に伝わった瞬間であります。こんなん見ちゃったら全力でサポートしたくもなるでしょう。

華やかなステージへ向かう暗く長い通路は「あの力」に翻弄されてきた二人のアイドル道を思わせます。
「ステージに立つ者同士解り合える事もあるだろう」
「私には手の届かない世界にもキミなら一緒に行ける」
「虹野の事、よろしく頼む」
これまでのパフォーマンス(笑)からして学園長もまた元アイドル・元M4の一員かも? と予想していましたがこのセリフからしてどうやらハズレっぽい? ステージ上でサポートしてあげられない無念をひめ様に託す学園長がなかなか浸みます。またシリアスな廊下を抜けて開いた扉から煌めくステージへのコントラストも効いていました。それはそうとひめ様はいつの間にコーデチェンジしたのだろう(笑
《絶対に失敗できない…でも…怖い! 私いつの間にかあの力に頼ってしまっていた…大好きなひめ先輩のステージに出られるっていうのに…あの頃描いた私の夢に少しずつ近付いているはずなのに…怖いだなんて悔しいよ…》
一方楽屋のゆめはモニタに映るひめ様ステージを眺めながら今の自分を見つめ直します。これまで「絶対に失敗できない」場面で何故か現れる「自分じゃないような力」をゆめはいつしか期待するようになり、思惑どおり毎度上手く乗り越えてきた。本人的には無意識に発動してしまうため仕方ないのだけれど、結果的には「あの力」に頼っていた事になるのですね。しかし事実を知った今となっては今回また発動してしまったら…と恐怖が先に立ち、憧れだったステージが恐怖の対象になってしまった。なるほど先に涙ながらに叫んだ憧れと恐怖との葛藤はなかなかリアルかもしれない。ゆめ自身喉を痛めた実体験があるだけに歌えなくなる恐怖を振り切るのはそう簡単ではありますまい。そうこうしているうちにひめ様の本ステージが終了しアンコールの時間が迫り――
「ごめんなさい! ゆめちゃんがこんなに苦しんでいるのに私何もしてあげられない」
「わかるの私…同じだったもの ゆめちゃんと」
楽屋へ戻ったひめ様は震えて俯くゆめに気付くとギュッと抱き締めます。ひめ様も同じ体験をしているだけにゆめの不安が他人事ではないのですね。そしてその不安は自分で乗り越えなければならない事も判っていて、それでも何か先輩として出来る事は…ってなトコでゆめがお気に入りと言っていた秋のプレミアムドレスを出してきたのはなかなか上手い使い方でした。大切なプレミアムドレスを使ってでも助けてあげたいひめ様の思いが伝わり、また設定上ゆめに着せられないプレミアムドレスを本編中に着せられる理由付けにもなり、もちろん憧れのドレスを着られる事でゆめのメンタルが上を向くきっかけとなる。
「お気に入りのドレスを着ると自然と強い気持ちになれる。二人で一緒にプレミアムレアドレスを着ましょう」
「…はい!」
ドレスに込められたひめ様の思いに感涙のゆめは次の瞬間表情をキリッと変えていざ出陣。自分のためにここまでしてくれるひめ様の前でいつまでグズグズ泣いてなどいられない!ってなものでしょう。二人並んでコーデチェンジも気合いマシマシでしたが…これにて解決とならないのがまたミソなのだなあ。どーでもいいけど二人の並びがコーデチェンジカットに変わる時左右入れ替わってしまうのはどうしたものか。これって以前から気になっていたけど一向に改善される様子がありません。わざとやってる?とすら思える。

そんなこんなで始まったアンコールステージは「So Beautiful Story」でした。これまで第27話でひめ様ソロ、第30話でゆめソロバージョンが使われましたが、今回はゆめ・ひめデュオ、要するにEDバージョンですね。ゆめソロだと歌い出しの音程が辛いけれどデュオなら少しはマシに聞こえます(笑。というかこの曲は新人には苦行すぎると思う。映像的には冒頭のページ捲りを見ると完コピモーションではない事が判り、またジャンプやターンのキレも数コマ単位でひめ様の方が優っていたり、相変わらず拘ってるなあって感じ。カメラ割りの大まかな流れは第30話バージョンマンマなれどデュオ化に伴い結構調整されています。冬ドレスなのに肩まる出しのひめ様かわいい。
ともあれ今回の見どころはひめ様が身を呈してゆめを守るかのように描かれたアイドルオーラの演出です。Aメロ入りで通常どおり発動した各々のアイドルオーラ、それがサビ入りの盛り上がりでゆめオーラを覆うようにひめ様オーラが広がり、続いて虹色に変化し始めたゆめの発光オーラ(虹ブーストの前兆)をひめ様がアーチオーラごと吹き飛ばし、前述どおり広がったひめ様オーラが二人の頭上を渡っている=二人分の煌めきを放っている、まさにひめ様の加護の体現と言えるオーラ描写でありました。この一連は当然第29話の出来事を思い起こさせ、無意識とはいえローラをズンドコの淵へ追い詰めたオーラブレイクがゆめを救うという面白い構造になっています。それにしてもゆめの虹ブースト発動を意図的にねじ伏せてしまうひめ様のアイドルパワーおそるべし。これだけ見ても「あの力」を乗り越えたひめ様の努力が窺えるというもの。



「絶対に失敗できない」場面で虹ブーストを免れたゆめは満面笑顔で観客に応え、ひめ様の心強い笑顔に支えられながらも、やはり一人になった時の不安は拭えず…このやり方では根本的な解決にならないと思っていたとおり、ゆめの試練はまだ続きそうであります。一方客席に手を振るゆめにホタルさんの姿を重ねた学園長はすっかり保護者ポジションなれど、「例え恨まれても」などと穏やかじゃない事を呟き、いかにも劇的なハーモニー演出で締め。次回は現在のホタルさんが出てきそう?
- 関連記事
-
- アイカツスターズ! #37 トキメキ!クリスマス
- アイカツスターズ! #36 虹の向こうへ
- アイカツスターズ! #35 選ばれし星たち
- アイカツスターズ! #34 おしゃれガールレッスン
- アイカツスターズ! #33 迷子のローラ!?
スポンサーサイト
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
