2011-06-17(Fri)
あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。#10 花火
様々な思いを乗せてついに打ち上げられた花火。

はたしてめんまの成仏なるか?

今回は冒頭からしばらくみんなの暗い表情が目立ちました。仏壇のじんたん母ちゃんに手を合わせるめんまがじっと手のひらを見つめての表情はついに来るべき時の兆候が表れてきた? 自宅へ戻ったあなるは学校へ行かずにゴロゴロ三昧のようで、散らかり放題の部屋はあなるの精神状態を如実に表していました。母ちゃんに背中を向けてベッドに転がったまま悪態を吐くけれど、深く追及せず放置してくれる母ちゃんに「ごめんなさい」と呟ける辺りあなるは相変わらずいい子ですね。てなところへゆきあつから「決起集会」の参否確認の電話、「わかんないよ」と返すあなるにゆきあつも同じらしく、二人共まだいろんな踏ん切りが付いていないみたいです。そりゃそうだろう。
その頃つるこは例のクラスの女子たちに囲まれていました。女のジェラシー怖ええ。ここでつるこはゆきあつの女装を暴露して離脱、まさかの暴露に追うゆきあつはつるこの腕を取って…つるこが落とす涙を見て思わず手を緩めるゆきあつはつるこの思いに気付いていなかったのか。気付いていてあえてスルーしているのかと思っていたけれど、彼は本当にめんま以外を見ていないのだなあ。
「見てるだけ、しか」
一方じんたん宅にて決起集会の準備をするいつもの三名。ティッシュの花(懐かしいね)をせっせと作るめんまは残り少ないみんなとの時間を精一杯楽しんでいるようで、満面の笑顔に反して見ているこっちは切なさ全開です。そんな作業中にぽっぽの呟き、ミソッカスだった子供時代にじんたんたちは仲間に入れてくれた、でもみんなのことを見てるだけしかできなかった、と。ここで繰り返された「見てるだけ」がいったいどういう意味を持つのか? バスターズ内で交錯する恋愛ビームを「見てるだけ」だった、つまりぽっぽもめんまが好きだったのに見てるだけだったことの後悔? それともまさか「めんまの事故を目撃しながら何も出来なかった」という意味か?

冒頭にじんたんが本間家のポストへ入れたロケット花火打ち上げの招待状。それを見たイレーヌさんは相変わらずの様子でもちろん断固拒絶でしたが、聡志は「俺行くよ」と。あれほど「お姉ちゃん」関連のことを毛嫌いしていた聡志がきちんと向き合うようになったのはじんたんとの会話がきっかけでしょう。
「母ちゃんさあ、俺の身長何センチか知ってる?」
聡志は自分の事を見てくれていないことをさりげなく伝え、その事に気付いたイレーヌさんは愕然と涙を落とします。本当に聡志のことを見ていなかったのか。娘を亡くしたイレーヌさんが悲しんでいる間、ずっと聡志も寂しかった。家族を亡くした悲しみを一人で抱え込んできたイレーヌさんへ父親は「これからは三人で」と優しく語ってイレーヌさんはこれで解決? ううむ。いい話だけれど煽った割に少々しょっぱいかも。
決起集会を前にあなる&ゆきあつは二人で落ち合ってお話。髪を下ろした帽子あなるかわいい! 下ろした髪がこれほどかわいいのに普段わざわざ変なツインテールにしている意味がわからない。それはともかくあなるの語り、「めんまがいなくなったら私がじんたんと一番仲良くできる、と思っていたのに、本当にいなくなったら遠くなってしまった」ってのは幼い頃から女丸出しで凄い。ほんと女は怖いわ。そして「距離が縮まったけど、それはめんまが戻ってきたから」とのセリフに「ありがたいよな」と呟くゆきあつは本当にあなると似た者同士なのだなあ。図星を突かれたようなあなるの表情も良し。
てな所へつるこから電話が来ました。店の外から二人を見ながら電話しているつるこ…いたんですか!? ええずっと。こえええ。めんまの成仏を怖がっている、あなると一緒なのは「みじめなのは自分だけじゃないと思いたいから」と次々と剥き身のナイフで突き刺すつるこ、さすがつるこはゆきあつのことをよく判っているのですね。それにしても前回のゆきあつの告白(?)シーンを「あなるを元気付けるため?」と読んだ私はあっさりひっくり返されて愕然ですよ。そうでなければ「じんたんへの対抗心?」とも思っていたけれどそれ以前の傷の舐め合いとは…ゆきあつってば予想以上にメンタルが弱かった。
「頼みがある。お前じゃないとできないことだ、あなる」
つるこからの電話にて「あの日」のこと、「じんたんのためにお願いしたいことがある」とのめんまの言葉を聞いたゆきあつは、ついに安城を「あなる」と呼んだ。それはつまりゆきあつ自身を含めて「あの日」に戻らなければできない頼みということ。

遅れてきた三人も集まって決起集会が始まりました。例の日記帳に筆談でめんまの挨拶、「さいごまでみんなとなかよくしたいです」が切なさ全開だけれど、視聴者とじんたん以外には宙に浮いた日記帳が自動でページをめくっている状態なわけで、こりゃまたちょっとしたホラーだろうなあ(笑。全員集まったはいいけれど黙々と飲み食いをするばかり、てなわけでゆきあつの提案で「余興」をすることになりました。
その余興とはあの日の再現、重苦しい雰囲気の中であなるはあの日と同じ口火を切り、するとぽっぽも「いえ…いえ…」と続きました。何かに取り憑かれたように呟いているぽっぽは後に「巻き戻る気がした」と…バスターズの分岐点となってしまったあの日のやり直し、今度こそ間違えないでくれと祈りにも似た呟きだったのでしょう。そして静かな表情でじんたんの言葉を待つめんまへ、じんたんはついに答を出しました。
「好きだ。俺はめんまが…」
あの日と同じ間違いはしたくない。めんまに対しついに「好き」と言ったじんたんは思わず逃げ出すも「逃げたら同じ事になる」とのぽっぽの言葉に足を止め…振り返って見ためんまの表情はあの日見せた力ない笑顔ではなく涙ぽろぽろ、この言葉をずっと待っていたのだろうね。

衝撃の「余興」の帰り道、子供のように大泣きのあなるは余興前の回想を。結果的にバスターズの命運を分けてしまった、各メンツの「囚われ」のスタート地点である「あの日」のことは誰も触れたくないだろうに、それでもあなるは、じんたんの答えがわかっていながら余興へ参加した。辛いなあ。しかしこの「中途半端な失恋状態」を清算しないと誰も先に進めないんだよねえ。
「つるこにはわかんないよ。好きな人に永遠に振り向いてもらえない気持ちなんて」
大泣きしながら叫ぶあなる。じんたんの気持ちがはっきりしたのはいいけれどそれはあなるの失恋が確定したというわけで…死んだ女がライバルでは戦いようが無く、どうにもこうにもあなるは泣くしかありません。ううう。しかしつるこも同じ思いを抱いていた。ずっとめんまを追い続けてきたゆきあつを、ずっと見つめてきた。だからこそ今回の余興でゆきあつの失恋が確定しても、その後めんまが成仏して消えてしまっても「自分が選ばれることは無い」と判っている。もし「代わり」がいるとすればそれは「似た者同士」の安城さん…淡々と語るつるこの表情は自分が決して選ばれないことを悟った上で、それでも諦められない辛さを秘めたものでした。これは辛い。
「違う! 代わりなんていない! いくら辛くてもゆきあつと付き合ったりしない! じんたんが好きだもん!」
つるこに掴み掛かりながらの心の叫びはあなるの真っ直ぐな思いが溢れるもの。しかしそれは「じんたんはめんまの代わりにあなると付き合うことも無い」ことを意味し、もしそうなってもあなる的には心から喜べないでしょう。生きている子が相手なら張り合うこともできるけれど、それが叶わぬ現状ではどうしても「代わり」という認識になってしまう。これは辛いなあ。だからこそ「めんまの代わり」ではなく「あなる」のことを見てもらうため、じんたんもまたきちんと「めんまへの思い」を清算しなければならない。そのためにはじんたんの目の前でめんまに成仏してもらわなければならない。
一方のじんたん&めんまはいい感じ。[好き」と言われて上機嫌のめんまはくるくる回って「めんまもじんたん好きー」。そんな軽い調子のめんまに「好き」の意味を確認すると「お嫁さんにしたい、の好きでしょ?」と笑顔で返す…めんまはちゃんとわかっているのです。それにしても何という破壊力! なにこのかわいさ! こりゃ反則だよ。
「成仏しなくたって、このままここにいればいいじゃねえか」
そしてついに言ってしまったじんたんの本心。めんまのためと考えていろいろがんばってきたじんたんは、その結果「めんまが消えてしまう」ことの葛藤に悩んでいたけれど、燻っていた思いを先の余興にてはっきり伝えたことで吹っ切れたのか。しかしめんまはじんたんの腕からスッと離れて「成仏しますよ」と。仏教的には「成仏」したら生まれ変われないはずだけどそれはそれ、この世の未練を断ち切って天国へ行かなければ生まれ変われない、生まれ変わらなければ「みんなときちんとお話できない」、だからめんまは成仏する。
めんまにとって自分の存在はどの程度のものなのか。「好き」と言ってくれたのに「みんな」のうちの一人なのか? めんまの言葉に愕然とするじんたんは一転してどよんど…めんま的にはバスターズのみんなとじんたん個人を秤に掛けている気は無いのだろうけど、めんまが消えるか否かの瀬戸際であるじんたんにとってその言葉は心に突き刺さった。難しいなあ。ここで入った「街灯に近付きすぎた蛾が落ちる」カットが意味深すぎる。
自宅のゆきあつは覚悟を決めたようで、例のクローゼットの「めんま」に別れを告げていました。きちんと失恋したことで一歩進めるか?

寝ているめんまが見た夢はまたしても病室のじんたん母ちゃんとの夢。ここでめんまは「生まれ変わり」について母ちゃんから聞き…自らの死期を察した母ちゃんが自身に言っているような感じでナントモ切ない。命が無くなっても生まれ変われるから寂しくない、それが猫の赤ちゃんだったりお花の赤ちゃんだったり…もしかして本作タイトルの「あの日見た花の名前」とは「めんま」なのかもしれません。「名前を僕達はまだ知らない」のはそれがめんまの生まれ変わりと気付かないから? ともあれ本作のゴールは「めんまの成仏」ではなく、その先の転生ということになりそう。
「ただね、一つだけ…」
母ちゃんから聞いたこの「一つ」、転生の条件であろうこれこそがめんまの願いなのかな。肝心の所が聞こえないまま目覚めためんまの手は透け始めているようで、お約束な表現ながら成仏の期が近付いている兆候はじつに切ない。
というわけでついにロケット花火打ち上げ当日となりました。みんな集まって準備を始めると遅れてつるこが登場、髪をバッサリ切って子供の頃のようなショートカットに変わったつるこ、これまたかなりベタな表現ですが彼女は彼女で整理が付いた? いくら髪を伸ばしてもめんまにはなれないのです。つるこについてはもう少しドロドロした闇の部分を期待したけれど尺的に無理か。ううむ。髪を切ったつることあなるの「何それ?」「気分転換………嘘」「だよね」の短い会話が阿吽の呼吸すぎて凄い。
てな所へ先の宣言どおり聡志がやって来ました。突然の登場に喜んで抱き付くめんま、姿は見えないけれどさすが肉親は「匂い」を感じたようで、姉弟の最後の別れを目にしたじんたんは「その時」が来ることを否が応でも意識し始めます。
「絶対に止めさせない」
完成した花火をみんなで担いで発射櫓へ。各々の思いが交錯しながら一歩一歩発射櫓へ近付き、未だ踏ん切りが付かないじんたんへゆきあつが念押しするのはじんたんの考えが透けて見えているのだろうなあ。

止めるきっかけが掴めないまま花火は発射櫓にセットされ、お別れの言葉を叫ぶぽっぽに促されても言葉を詰まらせるじんたん。止めたいのに止められない。唇を噛んで俯き、その時を待つじんたんの焦燥は、いよいよ導火線に点火の寸前に解き放たれた。めんまの横顔からスッと引いて唇を噛むじんたん、めんまがスッと遠ざかった瞬間の点火からじんたんの叫び、そして駆け上っていく導火線の煙とEDテーマへの入りは見ていてさぶいぼ全開の演出でした。相変わらず見せ方が上手い。
最後の最後までグジグジして結局間に合わなかったじんたん、空へ飛び立つロケット花火を唖然と見送り、咲いた「花」を呆然と見守る様子は、掴みかけていた大切なものが指の隙間からすり抜けて行ったような喪失感を感じさせます。そんな打ち上げをイレーヌさんも車から見ていました。これを見に来られたということは娘の死について多少なりとも整理が付いた、父親の支えで一歩進めたのでしょう。
「うわー! お空にお花咲いたー!」
さて花開いたロケット花火を見つめるみなさんの背後にて騒がしい声が聞こえます。大方の予想どおりめんまは消えていませんでした。体裁悪そうにテヘペロのめんま…これはロケット花火が「ハズレ」だったと言うよりも、みんなの思いが各々別ベクトルだったから成仏できなかったような気がします。逆に言うとみんなの思いが揃いさえすればロケット花火は必要ないのかも。というか徐々に薄くなっているめんまの手を見る限り、じつは単に時限性だったりして?(そんな
消えていないめんまの姿に驚くじんたんへ、聡志がいるのも忘れて血相を変えるゆきあつ。「宿海!」と呼んでいた声がいつしか「じんたん!」になり…彼にとってその呼び名は昔のポジションを思い出させる禁句だったでしょうに、それでも思わず「じんたん」と呼んでしまった。一瞬のセリフだったけれどゆきあつのいろんな感情が表れていましたね。いちいち芸が細かいです。
というわけで未だ成仏せず姿を見せているめんま。彼女の本当の「願い」とは何なのでしょう。答は次回の最終回にて…楽しみであり寂しくもあり、まさにじんたんの心境みたいな。
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はたしてめんまの成仏なるか?

今回は冒頭からしばらくみんなの暗い表情が目立ちました。仏壇のじんたん母ちゃんに手を合わせるめんまがじっと手のひらを見つめての表情はついに来るべき時の兆候が表れてきた? 自宅へ戻ったあなるは学校へ行かずにゴロゴロ三昧のようで、散らかり放題の部屋はあなるの精神状態を如実に表していました。母ちゃんに背中を向けてベッドに転がったまま悪態を吐くけれど、深く追及せず放置してくれる母ちゃんに「ごめんなさい」と呟ける辺りあなるは相変わらずいい子ですね。てなところへゆきあつから「決起集会」の参否確認の電話、「わかんないよ」と返すあなるにゆきあつも同じらしく、二人共まだいろんな踏ん切りが付いていないみたいです。そりゃそうだろう。
その頃つるこは例のクラスの女子たちに囲まれていました。女のジェラシー怖ええ。ここでつるこはゆきあつの女装を暴露して離脱、まさかの暴露に追うゆきあつはつるこの腕を取って…つるこが落とす涙を見て思わず手を緩めるゆきあつはつるこの思いに気付いていなかったのか。気付いていてあえてスルーしているのかと思っていたけれど、彼は本当にめんま以外を見ていないのだなあ。
「見てるだけ、しか」
一方じんたん宅にて決起集会の準備をするいつもの三名。ティッシュの花(懐かしいね)をせっせと作るめんまは残り少ないみんなとの時間を精一杯楽しんでいるようで、満面の笑顔に反して見ているこっちは切なさ全開です。そんな作業中にぽっぽの呟き、ミソッカスだった子供時代にじんたんたちは仲間に入れてくれた、でもみんなのことを見てるだけしかできなかった、と。ここで繰り返された「見てるだけ」がいったいどういう意味を持つのか? バスターズ内で交錯する恋愛ビームを「見てるだけ」だった、つまりぽっぽもめんまが好きだったのに見てるだけだったことの後悔? それともまさか「めんまの事故を目撃しながら何も出来なかった」という意味か?

冒頭にじんたんが本間家のポストへ入れたロケット花火打ち上げの招待状。それを見たイレーヌさんは相変わらずの様子でもちろん断固拒絶でしたが、聡志は「俺行くよ」と。あれほど「お姉ちゃん」関連のことを毛嫌いしていた聡志がきちんと向き合うようになったのはじんたんとの会話がきっかけでしょう。
「母ちゃんさあ、俺の身長何センチか知ってる?」
聡志は自分の事を見てくれていないことをさりげなく伝え、その事に気付いたイレーヌさんは愕然と涙を落とします。本当に聡志のことを見ていなかったのか。娘を亡くしたイレーヌさんが悲しんでいる間、ずっと聡志も寂しかった。家族を亡くした悲しみを一人で抱え込んできたイレーヌさんへ父親は「これからは三人で」と優しく語ってイレーヌさんはこれで解決? ううむ。いい話だけれど煽った割に少々しょっぱいかも。
決起集会を前にあなる&ゆきあつは二人で落ち合ってお話。髪を下ろした帽子あなるかわいい! 下ろした髪がこれほどかわいいのに普段わざわざ変なツインテールにしている意味がわからない。それはともかくあなるの語り、「めんまがいなくなったら私がじんたんと一番仲良くできる、と思っていたのに、本当にいなくなったら遠くなってしまった」ってのは幼い頃から女丸出しで凄い。ほんと女は怖いわ。そして「距離が縮まったけど、それはめんまが戻ってきたから」とのセリフに「ありがたいよな」と呟くゆきあつは本当にあなると似た者同士なのだなあ。図星を突かれたようなあなるの表情も良し。
てな所へつるこから電話が来ました。店の外から二人を見ながら電話しているつるこ…いたんですか!? ええずっと。こえええ。めんまの成仏を怖がっている、あなると一緒なのは「みじめなのは自分だけじゃないと思いたいから」と次々と剥き身のナイフで突き刺すつるこ、さすがつるこはゆきあつのことをよく判っているのですね。それにしても前回のゆきあつの告白(?)シーンを「あなるを元気付けるため?」と読んだ私はあっさりひっくり返されて愕然ですよ。そうでなければ「じんたんへの対抗心?」とも思っていたけれどそれ以前の傷の舐め合いとは…ゆきあつってば予想以上にメンタルが弱かった。
「頼みがある。お前じゃないとできないことだ、あなる」
つるこからの電話にて「あの日」のこと、「じんたんのためにお願いしたいことがある」とのめんまの言葉を聞いたゆきあつは、ついに安城を「あなる」と呼んだ。それはつまりゆきあつ自身を含めて「あの日」に戻らなければできない頼みということ。

遅れてきた三人も集まって決起集会が始まりました。例の日記帳に筆談でめんまの挨拶、「さいごまでみんなとなかよくしたいです」が切なさ全開だけれど、視聴者とじんたん以外には宙に浮いた日記帳が自動でページをめくっている状態なわけで、こりゃまたちょっとしたホラーだろうなあ(笑。全員集まったはいいけれど黙々と飲み食いをするばかり、てなわけでゆきあつの提案で「余興」をすることになりました。
その余興とはあの日の再現、重苦しい雰囲気の中であなるはあの日と同じ口火を切り、するとぽっぽも「いえ…いえ…」と続きました。何かに取り憑かれたように呟いているぽっぽは後に「巻き戻る気がした」と…バスターズの分岐点となってしまったあの日のやり直し、今度こそ間違えないでくれと祈りにも似た呟きだったのでしょう。そして静かな表情でじんたんの言葉を待つめんまへ、じんたんはついに答を出しました。
「好きだ。俺はめんまが…」
あの日と同じ間違いはしたくない。めんまに対しついに「好き」と言ったじんたんは思わず逃げ出すも「逃げたら同じ事になる」とのぽっぽの言葉に足を止め…振り返って見ためんまの表情はあの日見せた力ない笑顔ではなく涙ぽろぽろ、この言葉をずっと待っていたのだろうね。

衝撃の「余興」の帰り道、子供のように大泣きのあなるは余興前の回想を。結果的にバスターズの命運を分けてしまった、各メンツの「囚われ」のスタート地点である「あの日」のことは誰も触れたくないだろうに、それでもあなるは、じんたんの答えがわかっていながら余興へ参加した。辛いなあ。しかしこの「中途半端な失恋状態」を清算しないと誰も先に進めないんだよねえ。
「つるこにはわかんないよ。好きな人に永遠に振り向いてもらえない気持ちなんて」
大泣きしながら叫ぶあなる。じんたんの気持ちがはっきりしたのはいいけれどそれはあなるの失恋が確定したというわけで…死んだ女がライバルでは戦いようが無く、どうにもこうにもあなるは泣くしかありません。ううう。しかしつるこも同じ思いを抱いていた。ずっとめんまを追い続けてきたゆきあつを、ずっと見つめてきた。だからこそ今回の余興でゆきあつの失恋が確定しても、その後めんまが成仏して消えてしまっても「自分が選ばれることは無い」と判っている。もし「代わり」がいるとすればそれは「似た者同士」の安城さん…淡々と語るつるこの表情は自分が決して選ばれないことを悟った上で、それでも諦められない辛さを秘めたものでした。これは辛い。
「違う! 代わりなんていない! いくら辛くてもゆきあつと付き合ったりしない! じんたんが好きだもん!」
つるこに掴み掛かりながらの心の叫びはあなるの真っ直ぐな思いが溢れるもの。しかしそれは「じんたんはめんまの代わりにあなると付き合うことも無い」ことを意味し、もしそうなってもあなる的には心から喜べないでしょう。生きている子が相手なら張り合うこともできるけれど、それが叶わぬ現状ではどうしても「代わり」という認識になってしまう。これは辛いなあ。だからこそ「めんまの代わり」ではなく「あなる」のことを見てもらうため、じんたんもまたきちんと「めんまへの思い」を清算しなければならない。そのためにはじんたんの目の前でめんまに成仏してもらわなければならない。
一方のじんたん&めんまはいい感じ。[好き」と言われて上機嫌のめんまはくるくる回って「めんまもじんたん好きー」。そんな軽い調子のめんまに「好き」の意味を確認すると「お嫁さんにしたい、の好きでしょ?」と笑顔で返す…めんまはちゃんとわかっているのです。それにしても何という破壊力! なにこのかわいさ! こりゃ反則だよ。
「成仏しなくたって、このままここにいればいいじゃねえか」
そしてついに言ってしまったじんたんの本心。めんまのためと考えていろいろがんばってきたじんたんは、その結果「めんまが消えてしまう」ことの葛藤に悩んでいたけれど、燻っていた思いを先の余興にてはっきり伝えたことで吹っ切れたのか。しかしめんまはじんたんの腕からスッと離れて「成仏しますよ」と。仏教的には「成仏」したら生まれ変われないはずだけどそれはそれ、この世の未練を断ち切って天国へ行かなければ生まれ変われない、生まれ変わらなければ「みんなときちんとお話できない」、だからめんまは成仏する。
めんまにとって自分の存在はどの程度のものなのか。「好き」と言ってくれたのに「みんな」のうちの一人なのか? めんまの言葉に愕然とするじんたんは一転してどよんど…めんま的にはバスターズのみんなとじんたん個人を秤に掛けている気は無いのだろうけど、めんまが消えるか否かの瀬戸際であるじんたんにとってその言葉は心に突き刺さった。難しいなあ。ここで入った「街灯に近付きすぎた蛾が落ちる」カットが意味深すぎる。
自宅のゆきあつは覚悟を決めたようで、例のクローゼットの「めんま」に別れを告げていました。きちんと失恋したことで一歩進めるか?

寝ているめんまが見た夢はまたしても病室のじんたん母ちゃんとの夢。ここでめんまは「生まれ変わり」について母ちゃんから聞き…自らの死期を察した母ちゃんが自身に言っているような感じでナントモ切ない。命が無くなっても生まれ変われるから寂しくない、それが猫の赤ちゃんだったりお花の赤ちゃんだったり…もしかして本作タイトルの「あの日見た花の名前」とは「めんま」なのかもしれません。「名前を僕達はまだ知らない」のはそれがめんまの生まれ変わりと気付かないから? ともあれ本作のゴールは「めんまの成仏」ではなく、その先の転生ということになりそう。
「ただね、一つだけ…」
母ちゃんから聞いたこの「一つ」、転生の条件であろうこれこそがめんまの願いなのかな。肝心の所が聞こえないまま目覚めためんまの手は透け始めているようで、お約束な表現ながら成仏の期が近付いている兆候はじつに切ない。
というわけでついにロケット花火打ち上げ当日となりました。みんな集まって準備を始めると遅れてつるこが登場、髪をバッサリ切って子供の頃のようなショートカットに変わったつるこ、これまたかなりベタな表現ですが彼女は彼女で整理が付いた? いくら髪を伸ばしてもめんまにはなれないのです。つるこについてはもう少しドロドロした闇の部分を期待したけれど尺的に無理か。ううむ。髪を切ったつることあなるの「何それ?」「気分転換………嘘」「だよね」の短い会話が阿吽の呼吸すぎて凄い。
てな所へ先の宣言どおり聡志がやって来ました。突然の登場に喜んで抱き付くめんま、姿は見えないけれどさすが肉親は「匂い」を感じたようで、姉弟の最後の別れを目にしたじんたんは「その時」が来ることを否が応でも意識し始めます。
「絶対に止めさせない」
完成した花火をみんなで担いで発射櫓へ。各々の思いが交錯しながら一歩一歩発射櫓へ近付き、未だ踏ん切りが付かないじんたんへゆきあつが念押しするのはじんたんの考えが透けて見えているのだろうなあ。

止めるきっかけが掴めないまま花火は発射櫓にセットされ、お別れの言葉を叫ぶぽっぽに促されても言葉を詰まらせるじんたん。止めたいのに止められない。唇を噛んで俯き、その時を待つじんたんの焦燥は、いよいよ導火線に点火の寸前に解き放たれた。めんまの横顔からスッと引いて唇を噛むじんたん、めんまがスッと遠ざかった瞬間の点火からじんたんの叫び、そして駆け上っていく導火線の煙とEDテーマへの入りは見ていてさぶいぼ全開の演出でした。相変わらず見せ方が上手い。
最後の最後までグジグジして結局間に合わなかったじんたん、空へ飛び立つロケット花火を唖然と見送り、咲いた「花」を呆然と見守る様子は、掴みかけていた大切なものが指の隙間からすり抜けて行ったような喪失感を感じさせます。そんな打ち上げをイレーヌさんも車から見ていました。これを見に来られたということは娘の死について多少なりとも整理が付いた、父親の支えで一歩進めたのでしょう。
「うわー! お空にお花咲いたー!」
さて花開いたロケット花火を見つめるみなさんの背後にて騒がしい声が聞こえます。大方の予想どおりめんまは消えていませんでした。体裁悪そうにテヘペロのめんま…これはロケット花火が「ハズレ」だったと言うよりも、みんなの思いが各々別ベクトルだったから成仏できなかったような気がします。逆に言うとみんなの思いが揃いさえすればロケット花火は必要ないのかも。というか徐々に薄くなっているめんまの手を見る限り、じつは単に時限性だったりして?(そんな
消えていないめんまの姿に驚くじんたんへ、聡志がいるのも忘れて血相を変えるゆきあつ。「宿海!」と呼んでいた声がいつしか「じんたん!」になり…彼にとってその呼び名は昔のポジションを思い出させる禁句だったでしょうに、それでも思わず「じんたん」と呼んでしまった。一瞬のセリフだったけれどゆきあつのいろんな感情が表れていましたね。いちいち芸が細かいです。
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