2011-06-20(Mon)
花咲くいろは #12 じゃあな。
駅のホームで涙が止まらない。

ぼんぼれ! 緒花!

雨の東京にて叫び泣き崩れた緒花を拾った民子&徹さん。いつぞやのカーチェイスで活躍した喜翆荘ハイエースに板場の二人が乗り込んで上京とは、つまりこの土日の喜翆荘は開店休業状態なのだなあ。そういや例のガイドブックの影響かキャンセル続出でしたっけ。それはともかくハイエース内での会話、記事の出所が母親だったことに責任を感じてしょんぼりの緒花に徹さんは「お前みたいなガキの責任のわけないだろ」とキッツイお言葉…ああもう不器用なんだから!
泊まったホテルの深夜二時、椅子で寝ていた徹さんが目を覚ますとベッドに眠る民子の隣が空っぽであることに気付きました。ってオイオイ、予約済みだったのか飛び込みなのか不明だけれど、もし予約済みでの上京だったとしたら、民子と一緒なのにダブルベッドの部屋を予約したのか!? それはともかく定員2名の部屋に3人泊まったらマズいことくらい旅館従業員ならわかっているだろうに…というか椅子で寝るくらいならハイエースのリアシート倒して寝ればいいのにと思った(実も蓋も
眠れない緒花がロビーでたそがれていると徹さんがやって来て深夜のお話タイム。前回予告で緒花が囁いた「徹さんって彼女とかいるんですか?」はここでのセリフで、もちろんそれは予想と違うベクトルでのセリフでした。まったく本作は予告の作り方が小賢しいね(褒め言葉。彼女の有無を突然訊かれて動揺する徹さんってば緒花を意識しまくり、若いっていいなあ。
いきなりそんな話を始めた緒花の様子に徹さんは「こっちいる彼氏が原因か?」と、落ち込みの理由をズバリ言い当ててみたり結構鋭い? まあそれだけ緒花のことを見ているってことなのだろうね。「顔がよくしゃべる」ってのは言い得て妙、くるくる変わる緒花の表情は何よりも雄弁ですから。
てな一部始終を家政婦民子は見ていた! いたんですか!? ええずっと。そういや最近似たようなシーンを同脚本家の別作品で見た気が…影で燃えさかるジェラシーの炎、地味ながら確実にHPを削るこういうシーンを隙あらば入れてくる作りは胃壁に悪いね。こんな現場を目撃しても一途に徹さんを想う民子の健気さが泣ける。
明けて翌朝、テーブルの朝食が二人分ってことはやはり二名様で予約したのか? ぐぬぬ。それはともかく朝っぱらから賑やかな緒花はあろうことか「皐月さん誘拐作戦」を発表…どうしても行かぬと言うなら捕まえて連れて行ってしまえ! と無茶振りもいいところです。普通に犯罪じゃないか。そりゃ話を聞いた二人がジト目になるのもわかります(笑
「孝一とかいうのも、一緒に喜翆荘に連れて行く」
ところが徹さんはその無謀な作戦を条件付きで了承しました。あははは。無茶振りには無茶振りで返す、昨晩の緒花の様子からしてハードルが高すぎる条件をあえて出す徹さんってばいい性格です。またもしかして緒花の「彼氏」がどんな馬の骨か確かめられるなら作戦に付き合ってもいい、と考えたのかもしれませんね。
呆然とする緒花を前に民子と連れ立ってサッサと出掛ける徹さん。突然の「デート(?)」にドキドキを隠せない民子がかわいい…こんなにかわいいのに。

孝ちゃんに連絡を取るべく電話を掛けても繋がらず、バイト先の大型書店へ行っても捕まらず。例によって自分に言い訳しながら書店前でうろうろしている緒花へ背後からお声がけのメガネ娘。いたんですか(以下略。そりゃ緒花も驚くだろう(笑
書店内での緒花初対面シーンでは孝ちゃんの袖を掴んで小さくなってたメガネ娘は、しかし緒花とのタイマンでは先日から豹変し、言葉を濁す緒花に対し「気持ち悪いですよ」とファーストブローから容赦ありません。恋するオンナは強ええ。緒花と座ったベンチはメガネ娘が孝ちゃんへコクった現場とか、その話を聞いてベンチから飛び退く緒花のオトメゴコロも良し。いちいち芸が細かいなあ。
自分が振られた理由でもあり、生殺し状態の孝ちゃんを見ていられないメガネ娘は緒花を強い言葉で責め…孝ちゃんに対する気持ちをはっきりさせない緒花に腹を立てるのは無理も無く、この期に及んでまだ「孝ちゃんのこと好きですよ?」とあやふやな言葉で逃げる態度にメガネ娘は「人間として、とか都合のいいこと言うんですよね?」と詰問。
「い、生き物として?」
「ですよね」
右の頬を打たれたキリストの左頬に振りかぶるような即座のツッコミすげえ。照準ド真ん中の答を返す緒花はもっと孝ちゃんのことを真面目に考えてあげないと…この中途半端な態度が全ての元凶なんだよねえ。せっかく前回ラストで「助けて! 孝ちゃん!」と叫んだのに。
「孝一くんの優しさをこれ以上踏みにじるような事があったら、私許しませんから」
同僚から呼び出しが掛かったメガネ娘はここで店へ戻るも、すれ違い様の真剣な表情に対して呆然の緒花の表情差は、そのまま「孝ちゃんへ向き合う真剣度」の差なのでしょう。
一方の民子&徹さんは緒花を待つ間ずっと料理の研究に走り回っていました。最初はウキウキデート気分だった民子でしたが店をハシゴする度に顔色を変え…いくら名店の研究とはいえ三軒連続で米粒一つ残さずに食い続けるのはキツいよ。オーバーフロー寸前の超満腹状態に苦しむ民子のキワキワミニスカ後姿が地味に絶景、ということは往路ではこのスカート丈の美少女が助手席に座っていたわけで、運転手の徹さんはさぞかし目のやり場に困ったことでしょう(大きなお世話。いや民子的にはそれ狙いか? 苦しむ民子をスルーして料理チェックのメモを取る徹さん、さらに「吐いてでも食え!」と厳しい言葉をぶつけながら緒花の事を意識しまくり…これ以上民子を曇らせないで!

たそがれながら中央線に揺られる緒花の所へ孝ちゃんから入電、ほんと孝ちゃんってば緒花が落ち込んでいる時を狙ったように電話をしてきます。ちょうど停車中だったので慌てて電車から降りてお電話、こりゃ中野駅のホームが新たな整地となるか? と言うまでもなく明日にはホームの写真がネット上にたくさんULされることでしょう。
「悪役、決定だ…」
緒花とのすれ違いを「いつかの俺みたい」と孝ちゃん。そう聞いても何のことかわからない緒花へ、孝ちゃんは先日の「そっちへ行った」話を…このタイミングでその話はキッツイなあ。自分が知らない間も見守っていてくれた、中途半端な保留状態にも関わらずいつも助けてくれたその相手に、またしても自分の都合で「助けて」と甘えている。そんな自分勝手にようやく気付き、「悪役」が決定した緒花はこれ以上孝ちゃんに甘えられなかった。
電話の切り際「またね」と言っても「またな」と返してくれない、「また、は無い」との繊細な解釈は目からウロコがポロリと落ちました。今回のサブタイトルである「じゃあな。」の意味がこれほど重いものだったとは、よくもこんなシナリオを思いつくものです。
孝ちゃんとの「終わり」を察した緒花は涙を溢れさせながらホームに立ち尽くす。この一連シーンはアップと引きを巧みに切り換え、特に引きでは逆光の効果も相まって緒花の「一人感」を際立たせていました。涙がこぼれないよう上を向いて歩く(歩いてないけど)様子も駅の照明を涙で滲ませたり芸が細かい。これにて孝ちゃんは本当に退場なのか? 待つのが平気な孝ちゃんはそれでも待ち続けるのかはたして? 私としては孝ちゃんvs徹さんの微妙に噛み合わない直接対決を見てみたいかも(笑
駅のホームから見えたぼんぼり、それは頼るものを失くした緒花を導くように光っていました。

吐くもの吐いてすっきりした民子は徹さんの「次は寿司だ」の号令に気合を入れるも、行き先は寿司は寿司でもゲーセンのプライズ…この展開に思いっきり呆れる民子がかわいい。しかしさすが民子は徹さんの胸中などお見通しで、男と会ってる緒花の事が気になって落ち着かない徹さんを見つめる視線がナントモ切ないです。
「あのぬいぐるみが取れたら、徹さんの気持ちを聞いてみたい」
後に緒花と合流した時の「みやげ」の数を見るに、民子はこの数だけ悶々とした時間を過ごしていたのだなあ。ううう、切ない。と同時に徹さんも違うベクトルの悶々タイムを過ごしていたわけで、緒花からの電話を民子からぶん取って血相を変える様子などなどわかりやすいったらありゃしない。そんな表情を目の前で見ていた民子の曇りを想像すると切なさゲージが振り切れそう。
ぼんぼりに導かれて歩いた懐かしい街並みにて皐月さんや孝ちゃんの「ぼんぼり」に気付いた緒花は誘拐作戦を断念、しかし徹さんは「ガツンと言わないと気が済まない」と皐月さんに会いに行く気まんまんです。それを聞いた緒花はまたしても他人の気持ちを考えず自分だけの考えで突っ走ってしまった事を反省、すぐに気付く辺り緒花の成長が窺えますね。
というわけで皐月さんの仕事場へゴー! すると大歓迎の様子からビルの前へ降りて来た皐月さんはスーツケースを引きずってどこかへ旅行ですか?
「送迎付きなんてラッキー!」
いきなり休みが取れたから温泉でも行こっかなー、と笑顔で宣言の皐月さんスゲエ。そりゃ三人揃って「はぁ~?」もわかります(笑

高速道路のナトリウム灯に照らされた車内にて皐月さんは相変わらずのご様子、車内でかけているCDをネタに徹さんと盛り上がったりフリーダム全開です。何という対人スキル。皐月さん相手にまんざらでも無さそうな徹さんをして「年上好み? それとも血筋が好み?」といちいちチェックを欠かさない民子。ああもう! 孝ちゃんの話題に皐月さんが「緒花の彼氏よねえ?」と爆弾発言、と同時にCDの曲を変えて話題を逸らす徹さんがわかりやすすぎ! ああもう!
休憩で止まった有磯山サービスエリアは実際には北陸自動車道 有磯海サービスエリア(上り)のようです。ちなみに実際の写真はこんな感じ。
休憩中も車内でたそがれる民子へハリケーンポテトを手にお礼の緒花、すると民子は「私じゃないよ」と徹さんをフォローしますが、緒花が徹さんに対する好印象を口にすると一転「それほどでもなかった」と訂正してポテトを奪い取って食いまくり。今回の民子はよく食うね(笑。それはともかく何というオトメゴコロ! かわいいなあもう!

一方のアダルト組はベンチにてしんみりとお話。幟に書いてる「氷見牛まん」は有磯海サービスエリアで実際に売られているものらしい。巡礼で行ったら食うべし。タバコを吹かす皐月さんに対し、「料理人はタバコを吸わない」とお断りの徹さんは外見&態度に反して予想以上に真面目な板さんでした。
「緒花に思いっきり責められてさあ、何か思い出しちゃったんだよね」
若い頃の皐月さんは今の緒花と同じことを言っていた。母さんは何もわかっていない、母さんはずっと仕事ばかりで私は我慢してきた。もはや四十万家の伝統とも言えるこの連鎖を緒花はきちんと受け継いでいたのですね。女将さんと皐月さんは「同じ種類の人間」だとは思っていたけれどここまで忠実にトレースしていたとは…こんなベタな展開、前回見せた喫茶店会話のネタ振りを見抜けなかった自分が悔しい。あのシーンにて皐月さんが遠い目をしていたのは昔の自分を思い出していたのでしょうね。ぐぬぬ。
ケンカの足元で大泣きしている縁をチラリ。なるほど幼少時にこんな日常を送っていたら姉さん&女将さんに頭が上がらないわけです。一方若き日の女将さんはいかにもやり手の美人女将、皐月さんの年齢的におそらく四半世紀くらい前でしょうか。この頃から厳しい人だったのだなあ。
「そう、母さんはいつだって正しいから」
外面をいくら飾り立てたって、重要なのは本質。お客様への気配りときめ細やかなおもてなし。女将が普段から口を酸っぱくして言い続けている「喜翆荘の何たるか」を皐月さんは「正しい」と呟き…しかしそんな正しさに皐月さんは身動きが取れず、ついには家を出てしまったのかな。「正しすぎる親」に潰されてしまうことはリアルでもよくある話なので、このシーンに胃壁を荒らす視聴者諸兄も少なくないかもしれません。対して自分の娘へは「母親が正しくないってのは幸せ」と…言いたいことは至極わかるけれど「正しくない」にも程度があるだろうに(笑
「開口一番、喜翆荘のこと怒ってきてさ…もっと先に責めることがあると思うんだけど」
再び高速に乗って徹さん&皐月さんの会話。夜逃げに飽きて東京へ戻ってきた皐月さんはそれなりに親の責任を果たそうとしていたらしく、仕事が落ち着いたことでそろそろ緒花を呼び戻そうとしていたとか。しかしその声を掛ける前に緒花の方からカチ込んできて、顔を見るなり喜翆荘のことを怒ってきた。この約半年で緒花の中での優先順位がすっかり変わった、今の緒花の「居場所」がどこであるのかよくわかるエピソードです。
リアシートで民子と頭を寄せて居眠る緒花。何だかんだで仲いいなもう! 二人共寝てりゃ天使だね(笑。眠る緒花へ皐月さんは「戻って来る?」と意地悪な問いかけ、しかし緒花はまどろみながらその声を聞いていたようで…これまで緒花が「東京へ戻る」と考えなかったのは忙しい日常に忙殺されていたこともあるでしょうけれど、中途半端に待たせている孝ちゃんから無意識に逃げていたのかもしれません。
東京での騒動で各々の「ぼんぼり」に気付き、孝ちゃんを傷付けていたことに気付き、孝ちゃんへの依存を断ち切った。しかしそれは「東京に戻っても孝ちゃんとは前みたいに戻れない」ということ。人生の大きな分岐を通過した緒花を乗せたハイエースは夜の北陸道を喜翆荘へ「帰る」、夜道を連なるナトリウム灯はまるで緒花の行き先を示すぼんぼりのようでした。
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ぼんぼれ! 緒花!

雨の東京にて叫び泣き崩れた緒花を拾った民子&徹さん。いつぞやのカーチェイスで活躍した喜翆荘ハイエースに板場の二人が乗り込んで上京とは、つまりこの土日の喜翆荘は開店休業状態なのだなあ。そういや例のガイドブックの影響かキャンセル続出でしたっけ。それはともかくハイエース内での会話、記事の出所が母親だったことに責任を感じてしょんぼりの緒花に徹さんは「お前みたいなガキの責任のわけないだろ」とキッツイお言葉…ああもう不器用なんだから!
泊まったホテルの深夜二時、椅子で寝ていた徹さんが目を覚ますとベッドに眠る民子の隣が空っぽであることに気付きました。ってオイオイ、予約済みだったのか飛び込みなのか不明だけれど、もし予約済みでの上京だったとしたら、民子と一緒なのにダブルベッドの部屋を予約したのか!? それはともかく定員2名の部屋に3人泊まったらマズいことくらい旅館従業員ならわかっているだろうに…というか椅子で寝るくらいならハイエースのリアシート倒して寝ればいいのにと思った(実も蓋も
眠れない緒花がロビーでたそがれていると徹さんがやって来て深夜のお話タイム。前回予告で緒花が囁いた「徹さんって彼女とかいるんですか?」はここでのセリフで、もちろんそれは予想と違うベクトルでのセリフでした。まったく本作は予告の作り方が小賢しいね(褒め言葉。彼女の有無を突然訊かれて動揺する徹さんってば緒花を意識しまくり、若いっていいなあ。
いきなりそんな話を始めた緒花の様子に徹さんは「こっちいる彼氏が原因か?」と、落ち込みの理由をズバリ言い当ててみたり結構鋭い? まあそれだけ緒花のことを見ているってことなのだろうね。「顔がよくしゃべる」ってのは言い得て妙、くるくる変わる緒花の表情は何よりも雄弁ですから。
てな一部始終を家政婦民子は見ていた! いたんですか!? ええずっと。そういや最近似たようなシーンを同脚本家の別作品で見た気が…影で燃えさかるジェラシーの炎、地味ながら確実にHPを削るこういうシーンを隙あらば入れてくる作りは胃壁に悪いね。こんな現場を目撃しても一途に徹さんを想う民子の健気さが泣ける。
明けて翌朝、テーブルの朝食が二人分ってことはやはり二名様で予約したのか? ぐぬぬ。それはともかく朝っぱらから賑やかな緒花はあろうことか「皐月さん誘拐作戦」を発表…どうしても行かぬと言うなら捕まえて連れて行ってしまえ! と無茶振りもいいところです。普通に犯罪じゃないか。そりゃ話を聞いた二人がジト目になるのもわかります(笑
「孝一とかいうのも、一緒に喜翆荘に連れて行く」
ところが徹さんはその無謀な作戦を条件付きで了承しました。あははは。無茶振りには無茶振りで返す、昨晩の緒花の様子からしてハードルが高すぎる条件をあえて出す徹さんってばいい性格です。またもしかして緒花の「彼氏」がどんな馬の骨か確かめられるなら作戦に付き合ってもいい、と考えたのかもしれませんね。
呆然とする緒花を前に民子と連れ立ってサッサと出掛ける徹さん。突然の「デート(?)」にドキドキを隠せない民子がかわいい…こんなにかわいいのに。

孝ちゃんに連絡を取るべく電話を掛けても繋がらず、バイト先の大型書店へ行っても捕まらず。例によって自分に言い訳しながら書店前でうろうろしている緒花へ背後からお声がけのメガネ娘。いたんですか(以下略。そりゃ緒花も驚くだろう(笑
書店内での緒花初対面シーンでは孝ちゃんの袖を掴んで小さくなってたメガネ娘は、しかし緒花とのタイマンでは先日から豹変し、言葉を濁す緒花に対し「気持ち悪いですよ」とファーストブローから容赦ありません。恋するオンナは強ええ。緒花と座ったベンチはメガネ娘が孝ちゃんへコクった現場とか、その話を聞いてベンチから飛び退く緒花のオトメゴコロも良し。いちいち芸が細かいなあ。
自分が振られた理由でもあり、生殺し状態の孝ちゃんを見ていられないメガネ娘は緒花を強い言葉で責め…孝ちゃんに対する気持ちをはっきりさせない緒花に腹を立てるのは無理も無く、この期に及んでまだ「孝ちゃんのこと好きですよ?」とあやふやな言葉で逃げる態度にメガネ娘は「人間として、とか都合のいいこと言うんですよね?」と詰問。
「い、生き物として?」
「ですよね」
右の頬を打たれたキリストの左頬に振りかぶるような即座のツッコミすげえ。照準ド真ん中の答を返す緒花はもっと孝ちゃんのことを真面目に考えてあげないと…この中途半端な態度が全ての元凶なんだよねえ。せっかく前回ラストで「助けて! 孝ちゃん!」と叫んだのに。
「孝一くんの優しさをこれ以上踏みにじるような事があったら、私許しませんから」
同僚から呼び出しが掛かったメガネ娘はここで店へ戻るも、すれ違い様の真剣な表情に対して呆然の緒花の表情差は、そのまま「孝ちゃんへ向き合う真剣度」の差なのでしょう。
一方の民子&徹さんは緒花を待つ間ずっと料理の研究に走り回っていました。最初はウキウキデート気分だった民子でしたが店をハシゴする度に顔色を変え…いくら名店の研究とはいえ三軒連続で米粒一つ残さずに食い続けるのはキツいよ。オーバーフロー寸前の超満腹状態に苦しむ民子のキワキワミニスカ後姿が地味に絶景、ということは往路ではこのスカート丈の美少女が助手席に座っていたわけで、運転手の徹さんはさぞかし目のやり場に困ったことでしょう(大きなお世話。いや民子的にはそれ狙いか? 苦しむ民子をスルーして料理チェックのメモを取る徹さん、さらに「吐いてでも食え!」と厳しい言葉をぶつけながら緒花の事を意識しまくり…これ以上民子を曇らせないで!

たそがれながら中央線に揺られる緒花の所へ孝ちゃんから入電、ほんと孝ちゃんってば緒花が落ち込んでいる時を狙ったように電話をしてきます。ちょうど停車中だったので慌てて電車から降りてお電話、こりゃ中野駅のホームが新たな整地となるか? と言うまでもなく明日にはホームの写真がネット上にたくさんULされることでしょう。
「悪役、決定だ…」
緒花とのすれ違いを「いつかの俺みたい」と孝ちゃん。そう聞いても何のことかわからない緒花へ、孝ちゃんは先日の「そっちへ行った」話を…このタイミングでその話はキッツイなあ。自分が知らない間も見守っていてくれた、中途半端な保留状態にも関わらずいつも助けてくれたその相手に、またしても自分の都合で「助けて」と甘えている。そんな自分勝手にようやく気付き、「悪役」が決定した緒花はこれ以上孝ちゃんに甘えられなかった。
電話の切り際「またね」と言っても「またな」と返してくれない、「また、は無い」との繊細な解釈は目からウロコがポロリと落ちました。今回のサブタイトルである「じゃあな。」の意味がこれほど重いものだったとは、よくもこんなシナリオを思いつくものです。
孝ちゃんとの「終わり」を察した緒花は涙を溢れさせながらホームに立ち尽くす。この一連シーンはアップと引きを巧みに切り換え、特に引きでは逆光の効果も相まって緒花の「一人感」を際立たせていました。涙がこぼれないよう上を向いて歩く(歩いてないけど)様子も駅の照明を涙で滲ませたり芸が細かい。これにて孝ちゃんは本当に退場なのか? 待つのが平気な孝ちゃんはそれでも待ち続けるのかはたして? 私としては孝ちゃんvs徹さんの微妙に噛み合わない直接対決を見てみたいかも(笑
駅のホームから見えたぼんぼり、それは頼るものを失くした緒花を導くように光っていました。

吐くもの吐いてすっきりした民子は徹さんの「次は寿司だ」の号令に気合を入れるも、行き先は寿司は寿司でもゲーセンのプライズ…この展開に思いっきり呆れる民子がかわいい。しかしさすが民子は徹さんの胸中などお見通しで、男と会ってる緒花の事が気になって落ち着かない徹さんを見つめる視線がナントモ切ないです。
「あのぬいぐるみが取れたら、徹さんの気持ちを聞いてみたい」
後に緒花と合流した時の「みやげ」の数を見るに、民子はこの数だけ悶々とした時間を過ごしていたのだなあ。ううう、切ない。と同時に徹さんも違うベクトルの悶々タイムを過ごしていたわけで、緒花からの電話を民子からぶん取って血相を変える様子などなどわかりやすいったらありゃしない。そんな表情を目の前で見ていた民子の曇りを想像すると切なさゲージが振り切れそう。
ぼんぼりに導かれて歩いた懐かしい街並みにて皐月さんや孝ちゃんの「ぼんぼり」に気付いた緒花は誘拐作戦を断念、しかし徹さんは「ガツンと言わないと気が済まない」と皐月さんに会いに行く気まんまんです。それを聞いた緒花はまたしても他人の気持ちを考えず自分だけの考えで突っ走ってしまった事を反省、すぐに気付く辺り緒花の成長が窺えますね。
というわけで皐月さんの仕事場へゴー! すると大歓迎の様子からビルの前へ降りて来た皐月さんはスーツケースを引きずってどこかへ旅行ですか?
「送迎付きなんてラッキー!」
いきなり休みが取れたから温泉でも行こっかなー、と笑顔で宣言の皐月さんスゲエ。そりゃ三人揃って「はぁ~?」もわかります(笑

高速道路のナトリウム灯に照らされた車内にて皐月さんは相変わらずのご様子、車内でかけているCDをネタに徹さんと盛り上がったりフリーダム全開です。何という対人スキル。皐月さん相手にまんざらでも無さそうな徹さんをして「年上好み? それとも血筋が好み?」といちいちチェックを欠かさない民子。ああもう! 孝ちゃんの話題に皐月さんが「緒花の彼氏よねえ?」と爆弾発言、と同時にCDの曲を変えて話題を逸らす徹さんがわかりやすすぎ! ああもう!
休憩で止まった有磯山サービスエリアは実際には北陸自動車道 有磯海サービスエリア(上り)のようです。ちなみに実際の写真はこんな感じ。
休憩中も車内でたそがれる民子へハリケーンポテトを手にお礼の緒花、すると民子は「私じゃないよ」と徹さんをフォローしますが、緒花が徹さんに対する好印象を口にすると一転「それほどでもなかった」と訂正してポテトを奪い取って食いまくり。今回の民子はよく食うね(笑。それはともかく何というオトメゴコロ! かわいいなあもう!

一方のアダルト組はベンチにてしんみりとお話。幟に書いてる「氷見牛まん」は有磯海サービスエリアで実際に売られているものらしい。巡礼で行ったら食うべし。タバコを吹かす皐月さんに対し、「料理人はタバコを吸わない」とお断りの徹さんは外見&態度に反して予想以上に真面目な板さんでした。
「緒花に思いっきり責められてさあ、何か思い出しちゃったんだよね」
若い頃の皐月さんは今の緒花と同じことを言っていた。母さんは何もわかっていない、母さんはずっと仕事ばかりで私は我慢してきた。もはや四十万家の伝統とも言えるこの連鎖を緒花はきちんと受け継いでいたのですね。女将さんと皐月さんは「同じ種類の人間」だとは思っていたけれどここまで忠実にトレースしていたとは…こんなベタな展開、前回見せた喫茶店会話のネタ振りを見抜けなかった自分が悔しい。あのシーンにて皐月さんが遠い目をしていたのは昔の自分を思い出していたのでしょうね。ぐぬぬ。
ケンカの足元で大泣きしている縁をチラリ。なるほど幼少時にこんな日常を送っていたら姉さん&女将さんに頭が上がらないわけです。一方若き日の女将さんはいかにもやり手の美人女将、皐月さんの年齢的におそらく四半世紀くらい前でしょうか。この頃から厳しい人だったのだなあ。
「そう、母さんはいつだって正しいから」
外面をいくら飾り立てたって、重要なのは本質。お客様への気配りときめ細やかなおもてなし。女将が普段から口を酸っぱくして言い続けている「喜翆荘の何たるか」を皐月さんは「正しい」と呟き…しかしそんな正しさに皐月さんは身動きが取れず、ついには家を出てしまったのかな。「正しすぎる親」に潰されてしまうことはリアルでもよくある話なので、このシーンに胃壁を荒らす視聴者諸兄も少なくないかもしれません。対して自分の娘へは「母親が正しくないってのは幸せ」と…言いたいことは至極わかるけれど「正しくない」にも程度があるだろうに(笑
「開口一番、喜翆荘のこと怒ってきてさ…もっと先に責めることがあると思うんだけど」
再び高速に乗って徹さん&皐月さんの会話。夜逃げに飽きて東京へ戻ってきた皐月さんはそれなりに親の責任を果たそうとしていたらしく、仕事が落ち着いたことでそろそろ緒花を呼び戻そうとしていたとか。しかしその声を掛ける前に緒花の方からカチ込んできて、顔を見るなり喜翆荘のことを怒ってきた。この約半年で緒花の中での優先順位がすっかり変わった、今の緒花の「居場所」がどこであるのかよくわかるエピソードです。
リアシートで民子と頭を寄せて居眠る緒花。何だかんだで仲いいなもう! 二人共寝てりゃ天使だね(笑。眠る緒花へ皐月さんは「戻って来る?」と意地悪な問いかけ、しかし緒花はまどろみながらその声を聞いていたようで…これまで緒花が「東京へ戻る」と考えなかったのは忙しい日常に忙殺されていたこともあるでしょうけれど、中途半端に待たせている孝ちゃんから無意識に逃げていたのかもしれません。
東京での騒動で各々の「ぼんぼり」に気付き、孝ちゃんを傷付けていたことに気付き、孝ちゃんへの依存を断ち切った。しかしそれは「東京に戻っても孝ちゃんとは前みたいに戻れない」ということ。人生の大きな分岐を通過した緒花を乗せたハイエースは夜の北陸道を喜翆荘へ「帰る」、夜道を連なるナトリウム灯はまるで緒花の行き先を示すぼんぼりのようでした。
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