2011-10-12(Wed)

ちはやふる #02 からくれなゐに

ちはやふる かみよもきかす たつたかは

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からくれなゐに みつくくるとは

一時話題になったので作品タイトルと「競技かるた」がネタになっていることくらいは知っていたけれど、少女マンガは私のテリトリーではないため完全ノーチェック、「一応見ておくか」程度のノリで迎えた先週の第一話でしたが…あまりの熱さに完全KOされてしまいました。すごいなこれ。ノーチェックが行き届きすぎて録画予約すらしていなかったためあれほど心が震えた第一話を見直すこともできず、一週間悶々と過ごした末の第二話の出来がまた素晴らしい。今回からきちんと録画しますよ(笑。というわけで突発的に「ちはやふる」のレビューをつらつらと。原作未読、ほぼ白紙からの視聴です。

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「一枚も取らせんよ」

前回ラストにて言い渡されたハブ宣言どおりの朝の教室、全然堪えていないちはやと何だかんだ言いながらちはやをハブ解除したい太一のやりとりがまず面白い。太一は好きオーラ出しすぎです。声高に揉める二人にキョドる綿谷くんが「かるた」の話になった途端眼光鋭く宣戦布告の一瞬も熱かった。訛りが恥ずかしくて口を開けない少年が唯一譲れない、誰にも負けない自信が漲る表情はじつに熱い。もうこの時点で私の涙腺が量産体制に入っちゃって困った。おっさんはこういう展開に弱い。

CM明けからいきなり始まったかるた大会の描写も上手かった。上の句が読まれた後にちらちらと視線を動かして取り札を探す太一の動作は極一般的な「かるた」の風景です。言ってしまえば「かるた大会」など普通はこういう風景を想像しますよね。

しかしこれが「競技かるた」になると様子は一変します。誰でも一度くらいは毎年お正月にやっている「競技かるた名人戦中継」を見たことがあると思いますが…読み手の声に一瞬で反応して取り札を払う、取り札の配置を覚える記憶力と一瞬の判断力、そして瞬発力を競う、優雅な歌と裏腹に「格闘技」とも言える競技なのです。

綿谷くんの試合描写はその緊張感を見事に表現していました。真剣な横顔で暫しの暗記時間を見せた後、暗いバックに耳元のアップで綿谷くんの集中を示し、読み手の口元が動いた次の瞬間に手が動いて札を払う。このスピード感・緊張感・迫力には見ていて息を呑みました。小学校のかるた大会でいきなりこんな超絶技を見せられて絶句するギャラリーの描写もいかにも。

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ハブ勝負に加えて母親からのプレッシャーもあり絶対に負けられない太一は、綿谷くんの絶対的な強さを目の当たりにしてヤバいヤバい。しかしそれ以上にちはやと綿谷くんが仲良くしているのが気に入らない? 綿谷くんに投げ渡したジュースで意地悪をするつもりが、噴き出したジュースを洗う段にて返って仲良し度を上げてしまい、その様子を遠目に眺める太一はぐぬぬぬぬ! じつに小学生男子だなあ。

すると視界に入った綿谷くんのメガネ…裸眼視力0.03の綿谷くんからメガネを取り上げるとはいくら何でも卑怯千万です。とはいえこの後のシーンの端々にて太一がポケットを押さえるカットが何度も入り、太一自身も己の弱さ・卑劣さに引け目を感じている様子が窺えますね。

さてメガネが無い綿谷くんはそれでも太一との決勝戦に挑みます。並んだ取り札にぐっと顔を寄せて配置を覚え、その姿勢を茶化す太一に一睨み…消えたメガネの所在を薄々判っている綿谷くんはこの勝負を絶対に落とせない、卑怯者に負けるわけにはいかないのです。ああ熱い! キッと睨まれて思わずポケットを押さえる太一のビビりっぷりも良かった。

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勝負が始まると綿谷くんとの実力差は歴然。まあ上の句下の句を覚えるのが精一杯の小学生かるた大会にて、札の配置まで暗記している競技かるた畑の子に敵うはずがありません。すると太一は札の配置をこっそり変えるというまたしても姑息な手段を…無断で札の配置を変えるのは反則なのに審判先生は何見てんの? 取り札の字が見えない綿谷くんを嘲笑うように次々と太一の手が伸び、ここは綿谷くんの絶望を映す畳下からのアングルも効いてましたね。もちろん綿谷くんは取り札の配置を変えられたことに気付いており、またメガネの件も含め…こんな卑怯者に負けてしまう悔しさ、さらに言えば「競技を穢された」悔しさに涙を落としたのでしょう。ぐぬぬ!

するとそこへちはやが乱入! 取り札が見えない綿谷師匠の変わりに私が! って、それじゃトーナメント決勝の意味が(笑。何という破天荒な子だ。不意打ちとはいえ女の子に勢いよく吹っ飛ばされる綿谷くんがかわいい(笑

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太一と対峙したちはやは最初「綿谷くんの代わり」と考えるけれど、すぐに「自分のために勝つ」と考えを変えるのは生粋の勝負師・負けず嫌いの表れか。いいねいいね燃えるね。これほどまでストレートに勝負への欲求を描かれると見ていて清々しいです。男前だなあちはや。

「上の句の何文字かだけ思い出して準備、歌の意味とかどうでもいい!」

百人一種は上の句頭の数文字だけ読まれれば取る札が決まる(これを「決まり字」と言います)ため、ちはやが思いついた必勝法はまさに正解。ちなみにこの決まり字は勝負が進むにつれて字数が減っていくので、終盤になると一字決まり・二字決まりの勝負が増えて非常に白熱します。名人戦の終盤など読み手が一字目の子音を発音した瞬間に手が動いていたりスゲーですよ。

知らない札が来たら相手の動きを読んでそこら辺の札を一気に払う、ってのはどうなのだろう。陣が合っていれば他の札に触れてもお手つきにはならないけれど、読まれた札に触れてなければダメなんじゃ? まあこれは歌(決まり字)を全部覚える前の苦肉の策、それにしてもこんな駆け引きまで咄嗟に思いつくちはやの勝負師っぷりったら。

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そしてちはやが感じた「かるたの目」。反対向きの「からくれなゐに」の取り札が正対した「ちはや」に見える、おそらくかるた上級者は全ての取り札がこんな風に見えているのだろうね。超時空に包まれた最後の一枚勝負にて読み上げられるのはもちろん十七番の歌、その瞬間「ちはや」の札を払う一連はベタベタながら最高にドラマチックでした。

キラキラ輝く横顔の表情から勝利確定で緊張が解けて一瞬呆け、敗戦に悔しがる太一に対し「楽しかった!」と破顔。さらに綿谷くんから「クイーン」の話を聞いて瞳を輝かせる。日本で一番は世界で一番、ここでちはやは「お姉ちゃん」に寄り掛からない「自分」の夢を見つけたのです。何このヤケドしそうな熱さ。

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しかし大人たちはちはやの喜び・思いを一笑に付し、一方負けた太一も「女の子に負けるなんて」「かるたなんてできたって仕方がない」「勝てるものだけ勝負しなさい」と母親からボロクソ。卑怯な手段を使っても綿谷くんに歯が立たず、さらに好きな子に負けたままリベンジすら許さない母親の言葉は太一の悔しさに拍車を掛けただろうなあ。「俺は一生あいつらに勝てないのか」…それでも母親へ何も言い返せない辺り小学生男子だよねえ。

その後廊下で出会ったちはや&太一のシーン。太一には聞こえない、綿谷くんが打つシャドウかるた(笑)の微かな音に気付いたちはやの耳の良さは今後の布石か。かるたは耳の良さも勝負の鍵、上級者は読み手の息遣いから発音を予測して手を動かすらしいですから。

「正々堂々とやって負けて、かっこ悪いことあるか-っ!」

女(しかも好きな子)に負けてかっこ悪いとふてくされる太一へちはやの一喝。勝負なのだから勝つ者がいれば負ける者がいる、もちろん勝ちを目指して戦うのだけれど勝ち負けより「正々堂々と戦うこと」に価値を見出すちはやのセリフはこれまた熱い。そしてその言葉を聞いた太一がポケットを押さえるワンカットが切ない。太一は二重の意味でちはやに負けてしまったのだなあ。

シャドウかるたに汗を流す綿谷くんを見たちはやはメガネ探しに駆け回り、すると太一は綿谷くんにメガネを返しながら謝罪。下手な嘘でごまかそうとする一瞬から思い直して正直に罪を告白し、涙を落としながら「千早には言わないで」と懇願する流れは太一の成長・プライド・弱さなどなど複雑な心理を感じさせる好シーンでした。

そんなこんなで和解した二人はちはやを探しに外へ。「綾瀬さんー!」と呼ぶ綿谷くんが「ちはやー!」と呼ぶ太一を意識して、照れながら「ちはや」と呼び始める瞬間は見ていてキュンキュンです。お約束ながらかわいいなあ。木に登ってメガネを探すちはやのお転婆ぶりもかわいい。第一話を見るからにちはやは外見こそ美人に育ったけれど中身はこの頃のままなのね。

探す二人に木からダイブのちはや。どんだけワイルドな子なのか(笑。その瞬間に飛び立った三羽の鳥は、広い大空に羽ばたき始める幼い三人を映しているようで清々しい締めでした。ラストカットを含め本編シーンのあちこちに舞い散る紅葉も今回のサブタイトル、そして「ちはや」の取り札である「唐紅(からくれなゐ)」を印象付ける好演出、面白いなあちはやふる。私的に超不作な今期にて本作は何よりの救いです。もちろん視聴は継続、気が向けばまたレビューするかも。

 

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No title

意外ですね、「ちはやぶる」。これに引っかかりましたか(笑)
これも私のお勧めですよ。原作既読です。
スピード感とか優劣逆転とか平凡からの脱出とか、スポ根MAXですよね。
もう、JUMPか、と。
でも「美少女」+「スポ根」ですから、確かにストライクゾーンですね。

れすれす

この原作も過去に何度か「読んでみるか」と思ったのですが、やはりガチ少女マンガの表紙カバーに跳ね返され、結局読まず今に至ります。まあアニメにハマった今となっては勝負事の先を知らないまま見た方が面白いので結果的には良しと(笑

今週の第三話も出来が良かったですね。サブタイトルの歌に掛けた演出も私の涙腺をやたら仕事させましたよ。競技かるた独特の緊張感・スピード感の描写も上手く、またちはやの「耳」の描写もさっそく生かされていました。毎回楽しみです。
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