2011-11-18(Fri)

THE IDOLM@STER #20 約束

千早は何のために歌うのか。

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歌声を失った千早の絶望、そして復活。

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これまでチラリチラリと小出しに描かれてきた千早の暗部がついに白日の下へ晒された前回ラスト、歌を失った千早はどうするどうなる? 屋上に佇む千早、あまりの事態に声を掛けられず遠目に見守るしかできないみなさん、各方面からの問い合わせに頭を下げる小鳥さん、そして消えていくスケジュール。件の記事の影響は計り知れず、千早はもちろん、周囲の人々まで巻き込んで765プロはほとんどお通夜のようでした。華やかなOPも無く、提供ナレの貴音の声もどこか沈み、冒頭から全力で重い雰囲気を演出しておりました。

「歌おうとすると声が出ない」症状は医者で診てもらっても原因不明。もちろんこれは過去のフラッシュバックによる精神的なものなので、治すためには千早自身が過去を清算しなければなりません。千早は何のために歌っているのか? それはたった一人の観客だった亡き弟「ゆう」くんのため。私が歌えばゆうが喜ぶ、だから歌い続けなければならない。回想シーンに映る幼い姉弟。幼い千早は楽しそうな笑顔で歌い、それを見ているゆうくんも笑顔を返す。割れてしまった水ヨーヨーの悲しみさえ吹き飛ばす千早の笑顔と歌声…後に語られますが確かに今の千早にこの笑顔はありません。

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歌が歌えずヒキコモリと化してしまった千早。レギュラーの「生っすか!? サンデー」も千早の場所は空席のまま…いやあれだけたくさんタレントがいるのだから誰か代役を立てるだろう? などと野暮なツッコミは放置放置。全力で落ち込む千早の心を開こうと春香さんが部屋を尋ねても生気の無い返事が返ってくるだけ、それでも食い下がる春香さんに対し千早はついにキレてしまう。

「やめて! もうおせっかいはやめて!」

確かに春香さんに千早の気持ちはわからないでしょう。使い古された表現だけれど春香さんは「千早じゃない」のだから。弟を亡くした状況も、その後の地獄も知りません。だけど春香さんは今の千早を見ていられない。千早を元気付けて、また一緒に歌いたい。そんな気持ちを真っ直ぐにぶつけるしかないのです。しかしそれを「おせっかい」と取られてしまった。春香さんは後にP氏に打ち明けますが、これまで良かれと思ってみんなを励ましてきたことが全て「おせっかい」だったのではないか? 何かある度「がんばろう!」と声を出して来たのは余計なお世話だったのではないか? と…ムードメーカー春香さんのこれまでを全否定する千早の言葉、ここの一連カットは春香さんのショックの大きさが伝わってきました。

結局千早はドアを開けず、そのまま事務所へ戻った春香さん。いつも明るい春香さんも今回ばかりはさすがに涙を抑えきれず、事務所の前で涙ぐみ…てなところへ一人の女性が現れました。その人物は千早の母親、なぜ娘の部屋ではなく事務所に現れたのか。

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ゆうくんの死から上手くいかなくなった家族、私たち親子に信頼関係はもう無い。母親は淡々と語ると一冊のスケッチブックを春香さんに託してサッサと帰ってしまいました。パッと見るとどうにも冷たい母親のようだけれど、それでも娘を案じて遺品のスケッチブックを持ってくる辺り母親の情を感じます。今の千早にあえて顔を合わせない事を含めて。

事務所へ上がった春香さんは件のスケッチブックをP氏に手渡して相談。するとP氏が春香さんの様子に気付き、理由を聞くと例の「おせっかい」発言を気にしているようでした。

「思った通り、体当たりでぶつかってみろ!」

今回唯一のP氏の功績は自信を失って落ち込む春香さんを励ましたことか。焦るばかりで仕事が上手く回らなかったP氏を励ました一粒のキャラメル、まさかあれが伏線になっていたとは(笑。「人を励ますのに遠慮してどうする?」ってのは確かに一理ありますが、相手の精神状態によっては逆効果なのもまた事実であり、ノーブレーキで押し付けても良い結果に繋がるとは限らないのが現実だったりして難しいところです。

例のスケッチブックを開くと、そこには幼い千早の歌う姿がたくさん描かれていました。どの絵の千早も満面の笑顔で描かれ…その絵を見た美希が「こんな風に歌ってる千早さん見たことないね」と見る目が違う。このスケッチブックが語らんとする所をズバリ見抜いてしまう辺りさすが天才としか。

定例ライブのスケジュールに頭を悩ませるP氏&律子へスケッチブックを抱えた春香さん&美希が何かを直訴、ここから「千早復活作戦」が始まります。

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「もう私の事は放っといてよ」
「放っとかない、放っとかないよ!」

再び千早の部屋を訪れた春香さん。もちろん先と同様に全力で拒絶されますが今回は引きません。おせっかいと知りながら千早への思いを止められない。一緒に歌を歌いたい。アイドルを続けてほしい。春香さんの思いははたして伝わったか、ドア越しの熱い言葉に俯いていた顔を上げ始めた千早。春香さんがポストに入れた手紙を読み、みんなで作った歌の楽譜を見て…みんなの思いが詰まった歌をみんなで歌って、千早に笑顔になってもらいたい。

「あの弟さんが描いた、絵の中の女の子みたいに」

ゆうくんが好きだったのは千早の「歌」だけではなくて、歌っている千早の「笑顔」だったのではないか? 大好きな歌を歌って、歌っていると笑顔になってしまう千早が大好きだったのではないか? だからスケッチブックに描かれている千早はどれも満面の笑顔なのです。

千早はゆうくんのスケッチブックに描かれた女の子の笑顔を見て、その頃の自分を、歌に対する気持ちを思い出したのでしょう。私は何故歌を歌うのか、何のために歌うのか。

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定例ライブの当日になっても千早は姿を見せず、しかしお客さんは待ってくれません。迫る開演時間に沈んだ気持ちのままでステージに上がれない。ここでムードメーカー春香さんはいつもの円陣を仕切って気分を盛り上げ…てなところへお約束どおり千早が到着しました。再び円陣を組んで気勢を上げるみなさん、とはいえいきなりのステージで声を出せるかわからない千早は戸惑いの表情のままです。

賑わうステージの裏で出番待ちの二人。謝ろうとする千早へ「そういうのは無し!無し!」と慌てる春香さんがいい人すぎてたまりません。さらにお礼を言われて胸を熱くする表情も良かった。千早とまた一緒に歌える嬉しさがひしひしと伝わってきますね。

しかしステージに立った千早は歌を歌えませんでした。歌おうとするとゆうくんの事がフラッシュバックして声を出せない、ステージに立ち尽くす姿に律子は中断を叫び…ここで律子の前を抜け、ステージへ駆けていく春香さんの後姿がどれほど頼もしかったか。考えるより先に体が動く、たった一人で苦しんでいる千早を助けたいとの思いが春香さんをステージへ向かわせたのでしょう。

声を出せずに俯いてしまった千早が隣の歌声に気付いて顔を上げる。この陰から陽へのライティング変化は千早の胸中を表すようでした。ベタな展開なれど見ていてさぶいぼが止まらない。

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春香さんを始めとして次々とステージに上がって千早を囲むみんなの歌声、みんなの笑顔。好きな歌を歌えばこんな風に笑顔になれる。すると現れたゆうくんもお姉ちゃんの「笑顔」を待ち、幼い千早も笑顔で手を伸ばして歌を誘う。

手を離したことで千早はいろいろなものを失ってしまった。でも今度こそ、歌が好きだった頃の自分の手をもう離さないで。

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そして千早は歌声を取り戻す。思いっきりベタで王道な流れなれど画面が滲んでよく見えません。相変わらず私もちょろいね。さすがこのシーンは作画スタッフの気合を十二分に感じるアニメーションだったけれど、歌声とアクションが微妙に合っていないような気がして少々盛り上がりが削がれたかも。感情の昂ぶりを表現しているのはわかるのですが妙な動きが気になってしまった。というのはちょっとゼータクか? このライブを含めて今回は全体の作画や空気感が何となく京アニっぽい? と思ったら作監松尾祐輔氏・コンテ高雄統子氏ってことでなるほど。

歌いきった千早に手を振る幼い姉弟の幻。すると今まで押し殺していた感情・溜めていた感情を洗い流すように涙が溢れ…悲しい事故に自分を責め続けてきた千早はようやく呪縛から解き放たれ、歌声と同時に笑顔も取り戻すことになるのでしょう。溢れる涙が止まらない千早の笑顔が全てを物語る綺麗なラストシーンでした。

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EDは本編ラストから引き続き千早メイン(他メンバー全員サポート)の「約束」。ステージを終えた後の安堵の表情から、小鳥さんの絶対領域が眩しいカットへ(笑。何という肉感。いや見どころはそこではなくて、事務所内や街を仲良くうろつく幼い姉弟ですね。「繋いだその手を離さないで」と心配げに見送る千早が印象的でした。

     

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