2012-01-11(Wed)
あの夏で待ってる #01 困ります、先輩。
その夏の思い出が、僕たちの永遠になる。

2012年1月期新番レビュー第4弾です。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

2012年1月期新番レビュー第4弾です。
タイトルからして「あの花~」の続編、というか同コンセプトのアナザーストーリーっぽい新作オリジナルアニメが始まりました。監督の長井龍雪氏は言うまでもなく「あの花~」の監督を務めた方で、他に「とある科学の超電磁砲」や「とらドラ!」などここ数年のヒットメーカーであります。ダイナミックなアングルでキャラの激情を描き、絶妙な空間描写・色彩で繊細な感情をわかりやすく表現する氏の演出手法はこの青春恋愛(?)ストーリーにて本領発揮しまくることでしょう。わくわく。
脚本の黒田洋介氏は私的には「大運動会」や「デュアル」の頃から馴染みが深い方だけれど個人的に当たり外れが大きいので事前の評価が難しい。キャラ原案は羽音たらく氏、そこからのアニメキャラデザは田中将賀氏と、各々監督・脚本家との繋がりがよく見えるメンツでありますね。今や長井監督と田中キャラの組み合わせは鉄板? なお原作名義は「I*Chi*Ka」とのですが…これは主要制作メンバーの総称なのかな。ゴメンナサイよくわかりません。

冒頭は夜空へ8mmカメラを向けて高感度フィルムのテスト撮影をしながら「人の死」について呟く主人公「霧島海人」のショットから。ここで早くも海人の両親が既に他界している事を示し、さらに「撮影」に対する意識にも触れて彼が単なる撮影マニア・映画小僧ではない事を窺わせます。そんな静かな導入を突然覆った謎の光。派手な光と大音響をぶちまけながら地上に墜ちた宇宙船(?)の衝撃波に海人は吹っ飛ばされ、その勢いでメガネは砕け血飛沫は飛び、全身血塗れとなって橋から落ちてしまいました。開始1分で主人公が死亡?ってそんな。
「あ、綺麗な手」
落ちていく海人の手を握る白くて細い手、その手の存在に気付きながら意識はブラックアウトし、次に目覚めた時は何故か自宅の押し入れで布団を掴んでいた。あれは夢だったのか?…と、じつにわかりやすい導入パートでした。何というか「既視感」なーんてレベルでは無いベタベタ王道な「巻き込まれ」の導入、このパターンから始まるストーリーの数は10や20のオーダーじゃないだろうけれど一周回って新しいのかもしれない。

OPはRayさん歌唱の「sign」。あれ? OPテーマはKOTOKOさんじゃ無いの!? と思ったら作詞として参加していました。なるほど。ブルーのモノトーン背景にキャラ絵が乗り、曲に合わせて背景がフルカラーに変わる一瞬は見ていてハッとさせられる憎い演出。そして曲サビと同時に8mmカメラのレリーズを押すと映像はフィルム調に変化します。流れるコマが落ち着いて現れた映像は独特の彩度とフォーカスの甘さ、上下に流れるキズなどなどいかにも8mmフィルムっぽい。また手ブレ防止機能など夢の夢だった時代の、いかにも手持ち撮影風な揺れ方も長井氏の拘りが見えます。縁側に並んで座るみなさんの視線は各々の想い人へ向いているのかな?などと初っ端から軽い深読み(変な日本語
ラストカットは海人のカメラとイチカさんのメガネが寄り添う図。カメラのレンズはメガネへ向いているけれど、メガネのレンズはカメラを向いていない。この位置関係は話が進むに連れて変わっていくかも? なーんて考え過ぎか。

第一話ってことでストーリーの土台を突貫工事、まずはこの手のストーリーにお約束の「一軒家に何故か一人暮らしの主人公」を作らなければなりません。冒頭で語られたように海人の両親は既に他界しているため親関係は事前にクリア、しかし海人はお姉さんと暮らしているようで…この姉さんがちょうど1クール(3ヶ月)の間海外出張へ出掛けるとかスゲー力技でちょっと笑った。何というご都合。仏壇に飾られた両親の写真からして姉弟がまだ幼い頃に亡くなったっぽい? おそらく海人は両親の記憶があまり無く、だからこそ形として残るもの(映像や写真など)に拘るのかもしれません。
家を出ての登校シーンは本作の美術の美しさをまず堪能。気合入ってるねえ。田園風景の一本道をカメラを手に歩く海人は、離れて並行する列車のドアに赤い髪の少女を見つけてハッとしてグッ! それはともかく凄いズーム性能(笑
「どうしてこんなに目立ってるの? 何か間違ってるのかしら…」
一方車中の彼女は乗客たちの視線にドキドキ。アニメ作品にて赤い髪は別段珍しいものではありませんが、リアルでこの髪色を見つけたら、しかもこの田舎町では視線を集めてしまうのも道理でしょう。というわけで赤髪の少女は自分の非常識に気付かない、すなわち「地球の常識を知らない」存在である事を匂わせています。っていうか髪色の違いくらい気付けよ!(笑。いやこの視線集中は髪色ではなく超ミニスカから伸びた美脚と制服のベストを突き上げるまんま肉まん×2の存在感に向けられたものなのかもしれない。しかしまあ短いねえ。こんな子が立ってたら髪色に関わらず思わず見ちゃうよ(おっさん丸出し

教室にて映画撮影の話をしながらクラスメイトたちの顔見せ。フレンドリーなメガネくん(石垣哲郎)はお約束の「事情通の男友達」ポジション、女教師をも蕩かせる超絶イケメン設定のようですがあまりイケメンに見えないのは以下略。机に座る青髪ショートちゃん(谷川柑菜)は見た通りの活発っ子、海人たちへの口調もぶっきらぼうでこれまたよくいるタイプのキャラですね。しかし男女共学の教室にてそのミニスカで机に座っちゃうのはサービス良すぎ、そういう「恥じらい」みたいな感覚がまだ無い、男女の意識もまだ薄い…と思いきや。まあこれもお約束か。全身から滲み出る当て馬臭が登場シーンから辛さ全開、どう見ても報われない子だよね。茶髪ロングの巨乳ちゃん(北原美桜)はこれまたお約束どおりの小動物キャラ、この風体でこの性格はいろはの菜子マンマですが私的にツボなので問題ありません。しかし真夏にニーソは暑かろう。そういや件の菜子は夏服シーズンにはくるぶし丈のショートソックスに替えていたっけ。
窓から外を見下ろすと件の赤髪少女を発見。海人は思わずカメラを向けるとズームアップで延々と撮影してます。レリーズを押した直後から重なるフィルム走行のSEがいい感じ。ファインダー越しの映像はいかにも古い8mmカメラで、アナログな露出メーターとか懐かしい懐かしい。このカメラはフジカシングル-8 P300かな? 1967年7月発売の機種なのでざっと45年前のカメラです。「フジカシングルエーイト♪」のTVCMを思い出すなあ。
職員室にて妙に大人びた挨拶を済ませたイチカさんは教室の席に座っても目立つ目立つ。男子生徒たちに取り囲まれての質問攻めに困っていると背後から現れた小っちゃい少女(山乃檸檬)。小っちゃくないよ!(違。そのサイズに不釣り合いなド迫力の表情と口調で周囲の男を一瞬で散らし…自己紹介後の差し出された手に戸惑うイチカさん、なるほど彼女の中に「握手」という習慣は無いみたい。その後真夏の炎天下に外でランチタイムはこれまた非常識のアピール? ベンチに並んだイチカさんのメニューは「ミルクコーヒーパン」「コーヒーサンド」「ミルクコーヒー」と何故かコーヒー関連ばかり、その偏りを指摘されると慌てた表情で取り繕う必死なリアクション。あはは。
てな様子を遠目に眺める男二人。教師をたらし込んで得たイチカさんのデータは「身長160cm、体重41kg、スリーサイズは上から92-58-88」とモデル並みというか、あのボリュームで体重41kgってどんなやねん! 今イチカさんは全女性視聴者を敵に回した! すると先の女子二名も合流、仲いいなこの子たち。

イチカさんが気になって仕方がない海人に「叩きたいー!」とネコパンチ連打の柑菜がかわいい。その痴話げんかを眺めながら哲朗の「よし!決めた!」の言葉にイメージビデオ出演を想像して身を捩る美桜もかわいい(笑。自分の世界に入りながらあれこれ言い訳しているけれど哲朗に頼まれたらご開帳しちゃうんだろうなあ。わかりやすい子です。そして哲朗の言葉と美桜の想像が一致しなかった後のポカーン顔も良かった(笑
哲朗は海人を引っ張ってイチカさんの前へ立つと自己紹介もそこそこに映画出演の話を振ります。何という行動力。海人の顔に気付いたイチカさんは表情をハッと変え…次の瞬間頬を染めて俯いてしまうのは既に「そういう気持ち」を持ち始めているってことだろうか? それとも単に凝視してしまった照れ?
結局イチカさんは映画出演を快諾、隣で聞いてた檸檬さんはいたずらっぽい表情で周囲を見回し、面白そうな事に目が無いようでなし崩し的に参加することとなりました。日向で話すイチカさんたちと、それを日陰から見守る女子二名の対比は、いかにも今後の展開・立ち位置を予感させますね。やはり青い子は幸せになれないのか。

男女混合のプール授業、しかも自由遊泳とは良い学校だなあ。スク水の女子を眺めながら日陰で涼む海人&哲朗、てな所へプールから上がってきた柑菜とパーカーを羽織った美桜が合流していつものメンツへ。男の前でも水着姿を気にしない柑菜の無頓着さと、パーカーでガードしている美桜の恥じらいがわかりやすい対比です。出し惜しみイクナイ! まあそのうちサービス(?)があるでしょうしここは長い目で。
そんな中、海人はイチカさんとの妄想に耽っておりました。演技指導に「手を取り腰を取り」ってそのまんまじゃねーか!(笑。健康な高校生男子らしくきちんとそっち方面の欲求もあるのだね。毒にも薬にもならない草食系男子キャラ(?)ばかりの中で彼は見込みがあります。何が?
すると首筋に赤い痣を発見。キスマーク?と囃し立てられるも身に覚えは無し…あることはあるのだけれどキスするような状況では無かったし。ここでサッとハンドミラーを差し出す美桜がオンナノコっぽくていいね。ピタッと閉じた膝もオンナノコっぽいけれど正面からは丸見えです。そこまで気が回らないってのも不慣れな感じがして良し良し。側の柑菜は思いっきり不機嫌から海人の沈黙に不安顔へ。あはは。わかりやすい子だなあ。
「ま、きっかけは多い方がいいだろ」
帰り際での哲朗との会話でもこれまたわかりやすい柑菜。歩き去る海人を遠い目で見つめながら、哲朗の言葉に表情を変える一連もかわいいかわいい。でもおそらくその思いは報われない。

その海人は帰り道にてイチカさんを発見。声を掛けられて慌てる大仰なリアクションや「魚がいない」と教えられて冷や汗タラリの表情など、ズレた感覚を悟られまいといっぱいいっぱいな様子がじつに微笑ましい(笑。檸檬さんとのやり取りで覚えた「握手」をさっそく試すのもかわいいです。差し出された手を握った海人はその感触に覚えがある?
気になる先輩との時間を有意義に使えなかった後悔はじつに青少年らしい甘酸っぱさ。しかしその後の妄想モードは煩悩全開で…これまた青少年らしいか(笑。夕陽の中を並んで歩く妄想映像は二人のまだ微妙な距離を上手く描いていましたね。それはそうとミニスカのケツ(以下略
一人で妄想世界に浸っていたはずの海人でしたが、色調がリアルに戻ってもイチカさんは消えません。あれ? 妄想とリアルが途中からごっちゃになっていた? 今夜の宿が無いイチカさんを堂々と自宅へ招いた妄想、それを真に受けたイチカさんは嬉しそうな顔を向けますが現実的にそれは無理。すると焼き土下座の海人へ笑顔を返して寂しそうに帰って行くイチカさん…妄想の調子に乗って誘った手前もありますが、さすがに女の子一人を野宿させるわけにもいかず、お約束の信号演出にて今夜の宿が決まりました。長井さんって信号好きだよね。

初めて男の部屋に入ったイチカさんは珍しそうに部屋を見回しているけれど、それはおそらく「地球人の(男の)部屋」が初めてだからでしょう。海人が持ってもビクともしない重さのトランク、ここでイチカさんが「グラビ…」と言いかけたのはおそらく「グラビティ・コントロール(重力制御)」で、彼女の星(?)の技術レベルが相当高い事を窺わせます。まあ余所の星に来ちゃうくらいだからその辺は推して知るべし。
姉さんが帰ってくる前に大急ぎでお風呂へ。初回から風呂シーンとはサービスいいね。シャンプーの表示にメガネをかざすと彼女の星の言語に自動翻訳されるハイテクすげえ。これほど技術レベルが違っても「シャンプー」の認識を含めた風呂の習慣は同じ、ってのは不思議だけれどそれは言わない約束です。光渡しもスチームジャミングも無い風呂シーンは絶妙なアングル取りでスイートスポットを上手く隠していました。無粋で不自然なジャミングよりこっちの方が精神衛生によろしい。
イチカさんの入浴中に着替えを準備する海人。タンスから引っ張り出したピンクのネグリジェは…まだ言うまい。その着替えを脱衣場に持っていくと戸を開けて顔を出すイチカさん。チラリと見える盛り上がりやガラス越しの裸体が艶っぽい! 丸出しよりもこういうカットにグッとくる私はおっさんです。ともあれイチカさんは男に体を見られることに抵抗が無いのかな? いやラストシーンでバスタオルが解けた時に恥ずかしがっていたから羞恥心は地球人と同じなのかも? ようわからん。
そんなサービスシーンから展開は一転。例の首筋の赤い痣が大きく広がり、意識を失いながら冒頭の出来事が駆け巡る一瞬は、大概の流れが予想付きながらもショッキングなシーンでした。組織再生に不具合があったのか、それとも定期的に再生処置を施さないといけない状態なのか? まあその辺は追々。

玄関先に倒れた海人を見つけたイチカさんは例のトランクに収まっていた「りのん」を呼び出してスキャン。そしてバスタオル1枚のキワキワな姿でおもむろにキスしちゃいました! おそらく再生エネルギー(?)を口移しで補充しているだけでイチカさん的に「そういう感情」はゼロ、言ってみれば人工呼吸みたいなものなのだろうけれど、あの姿でその行為を目撃したらたいていの地球人は「そういう関係」だと思うよねえ(笑
そしてもちろんその現場を目撃しちゃう人たちが登場します。バイクのトラブルで柑菜と一緒に帰ってきた姉さんが家の戸をガラリと開けるとまさにお楽しみ真っ最中、わざわざ玄関先で倒れた時点でこの流れは読めまくりでしたが、王道的面白さの前にはそんなの吹っ飛んじゃいますね。一旦ピシャリと閉めて柑菜と共に二度見の表情も良し、固まった時間の中でタオルが落ちるお約束からたゆんたゆんのムネに顔を埋める締めもサービス満点でした。てな現場を見た二人の絶叫と共に空パンのラストショットはいかにも長井監督の映像です。このパターンも好きだよねえ。
前評判から「あの花~」のような切ない系青春ストーリーかと思いきや蓋を開けてみればご覧のとおり。今回のレビューではあえて言わなかったけれど、ちょっとアニメを見ている人なら誰でも気付くであろう、黒田氏・たらく氏が組んだ「アレ」の第三作目としか思えません。特に檸檬さんなんて制服や中の人含めてマンマじゃないか! それならいっそたらく氏のデザインで作っちゃえば良かったのに(笑
というわけでむしろ旧作を知らない最近の人の方が、長井氏・田中氏の旬なコンビが作り上げる映像に素直にハマれて素直に楽しめる作品かもしれません。おっさんはどうしても「アレ」と重ねて見てしまうので。
もちろん視聴は継続、レビューは気が向けば書くかも。
脚本の黒田洋介氏は私的には「大運動会」や「デュアル」の頃から馴染みが深い方だけれど個人的に当たり外れが大きいので事前の評価が難しい。キャラ原案は羽音たらく氏、そこからのアニメキャラデザは田中将賀氏と、各々監督・脚本家との繋がりがよく見えるメンツでありますね。今や長井監督と田中キャラの組み合わせは鉄板? なお原作名義は「I*Chi*Ka」とのですが…これは主要制作メンバーの総称なのかな。ゴメンナサイよくわかりません。

冒頭は夜空へ8mmカメラを向けて高感度フィルムのテスト撮影をしながら「人の死」について呟く主人公「霧島海人」のショットから。ここで早くも海人の両親が既に他界している事を示し、さらに「撮影」に対する意識にも触れて彼が単なる撮影マニア・映画小僧ではない事を窺わせます。そんな静かな導入を突然覆った謎の光。派手な光と大音響をぶちまけながら地上に墜ちた宇宙船(?)の衝撃波に海人は吹っ飛ばされ、その勢いでメガネは砕け血飛沫は飛び、全身血塗れとなって橋から落ちてしまいました。開始1分で主人公が死亡?ってそんな。
「あ、綺麗な手」
落ちていく海人の手を握る白くて細い手、その手の存在に気付きながら意識はブラックアウトし、次に目覚めた時は何故か自宅の押し入れで布団を掴んでいた。あれは夢だったのか?…と、じつにわかりやすい導入パートでした。何というか「既視感」なーんてレベルでは無いベタベタ王道な「巻き込まれ」の導入、このパターンから始まるストーリーの数は10や20のオーダーじゃないだろうけれど一周回って新しいのかもしれない。

OPはRayさん歌唱の「sign」。あれ? OPテーマはKOTOKOさんじゃ無いの!? と思ったら作詞として参加していました。なるほど。ブルーのモノトーン背景にキャラ絵が乗り、曲に合わせて背景がフルカラーに変わる一瞬は見ていてハッとさせられる憎い演出。そして曲サビと同時に8mmカメラのレリーズを押すと映像はフィルム調に変化します。流れるコマが落ち着いて現れた映像は独特の彩度とフォーカスの甘さ、上下に流れるキズなどなどいかにも8mmフィルムっぽい。また手ブレ防止機能など夢の夢だった時代の、いかにも手持ち撮影風な揺れ方も長井氏の拘りが見えます。縁側に並んで座るみなさんの視線は各々の想い人へ向いているのかな?などと初っ端から軽い深読み(変な日本語
ラストカットは海人のカメラとイチカさんのメガネが寄り添う図。カメラのレンズはメガネへ向いているけれど、メガネのレンズはカメラを向いていない。この位置関係は話が進むに連れて変わっていくかも? なーんて考え過ぎか。

第一話ってことでストーリーの土台を突貫工事、まずはこの手のストーリーにお約束の「一軒家に何故か一人暮らしの主人公」を作らなければなりません。冒頭で語られたように海人の両親は既に他界しているため親関係は事前にクリア、しかし海人はお姉さんと暮らしているようで…この姉さんがちょうど1クール(3ヶ月)の間海外出張へ出掛けるとかスゲー力技でちょっと笑った。何というご都合。仏壇に飾られた両親の写真からして姉弟がまだ幼い頃に亡くなったっぽい? おそらく海人は両親の記憶があまり無く、だからこそ形として残るもの(映像や写真など)に拘るのかもしれません。
家を出ての登校シーンは本作の美術の美しさをまず堪能。気合入ってるねえ。田園風景の一本道をカメラを手に歩く海人は、離れて並行する列車のドアに赤い髪の少女を見つけてハッとしてグッ! それはともかく凄いズーム性能(笑
「どうしてこんなに目立ってるの? 何か間違ってるのかしら…」
一方車中の彼女は乗客たちの視線にドキドキ。アニメ作品にて赤い髪は別段珍しいものではありませんが、リアルでこの髪色を見つけたら、しかもこの田舎町では視線を集めてしまうのも道理でしょう。というわけで赤髪の少女は自分の非常識に気付かない、すなわち「地球の常識を知らない」存在である事を匂わせています。っていうか髪色の違いくらい気付けよ!(笑。いやこの視線集中は髪色ではなく超ミニスカから伸びた美脚と制服のベストを突き上げるまんま肉まん×2の存在感に向けられたものなのかもしれない。しかしまあ短いねえ。こんな子が立ってたら髪色に関わらず思わず見ちゃうよ(おっさん丸出し

教室にて映画撮影の話をしながらクラスメイトたちの顔見せ。フレンドリーなメガネくん(石垣哲郎)はお約束の「事情通の男友達」ポジション、女教師をも蕩かせる超絶イケメン設定のようですがあまりイケメンに見えないのは以下略。机に座る青髪ショートちゃん(谷川柑菜)は見た通りの活発っ子、海人たちへの口調もぶっきらぼうでこれまたよくいるタイプのキャラですね。しかし男女共学の教室にてそのミニスカで机に座っちゃうのはサービス良すぎ、そういう「恥じらい」みたいな感覚がまだ無い、男女の意識もまだ薄い…と思いきや。まあこれもお約束か。全身から滲み出る当て馬臭が登場シーンから辛さ全開、どう見ても報われない子だよね。茶髪ロングの巨乳ちゃん(北原美桜)はこれまたお約束どおりの小動物キャラ、この風体でこの性格はいろはの菜子マンマですが私的にツボなので問題ありません。しかし真夏にニーソは暑かろう。そういや件の菜子は夏服シーズンにはくるぶし丈のショートソックスに替えていたっけ。
窓から外を見下ろすと件の赤髪少女を発見。海人は思わずカメラを向けるとズームアップで延々と撮影してます。レリーズを押した直後から重なるフィルム走行のSEがいい感じ。ファインダー越しの映像はいかにも古い8mmカメラで、アナログな露出メーターとか懐かしい懐かしい。このカメラはフジカシングル-8 P300かな? 1967年7月発売の機種なのでざっと45年前のカメラです。「フジカシングルエーイト♪」のTVCMを思い出すなあ。
職員室にて妙に大人びた挨拶を済ませたイチカさんは教室の席に座っても目立つ目立つ。男子生徒たちに取り囲まれての質問攻めに困っていると背後から現れた小っちゃい少女(山乃檸檬)。小っちゃくないよ!(違。そのサイズに不釣り合いなド迫力の表情と口調で周囲の男を一瞬で散らし…自己紹介後の差し出された手に戸惑うイチカさん、なるほど彼女の中に「握手」という習慣は無いみたい。その後真夏の炎天下に外でランチタイムはこれまた非常識のアピール? ベンチに並んだイチカさんのメニューは「ミルクコーヒーパン」「コーヒーサンド」「ミルクコーヒー」と何故かコーヒー関連ばかり、その偏りを指摘されると慌てた表情で取り繕う必死なリアクション。あはは。
てな様子を遠目に眺める男二人。教師をたらし込んで得たイチカさんのデータは「身長160cm、体重41kg、スリーサイズは上から92-58-88」とモデル並みというか、あのボリュームで体重41kgってどんなやねん! 今イチカさんは全女性視聴者を敵に回した! すると先の女子二名も合流、仲いいなこの子たち。

イチカさんが気になって仕方がない海人に「叩きたいー!」とネコパンチ連打の柑菜がかわいい。その痴話げんかを眺めながら哲朗の「よし!決めた!」の言葉にイメージビデオ出演を想像して身を捩る美桜もかわいい(笑。自分の世界に入りながらあれこれ言い訳しているけれど哲朗に頼まれたらご開帳しちゃうんだろうなあ。わかりやすい子です。そして哲朗の言葉と美桜の想像が一致しなかった後のポカーン顔も良かった(笑
哲朗は海人を引っ張ってイチカさんの前へ立つと自己紹介もそこそこに映画出演の話を振ります。何という行動力。海人の顔に気付いたイチカさんは表情をハッと変え…次の瞬間頬を染めて俯いてしまうのは既に「そういう気持ち」を持ち始めているってことだろうか? それとも単に凝視してしまった照れ?
結局イチカさんは映画出演を快諾、隣で聞いてた檸檬さんはいたずらっぽい表情で周囲を見回し、面白そうな事に目が無いようでなし崩し的に参加することとなりました。日向で話すイチカさんたちと、それを日陰から見守る女子二名の対比は、いかにも今後の展開・立ち位置を予感させますね。やはり青い子は幸せになれないのか。

男女混合のプール授業、しかも自由遊泳とは良い学校だなあ。スク水の女子を眺めながら日陰で涼む海人&哲朗、てな所へプールから上がってきた柑菜とパーカーを羽織った美桜が合流していつものメンツへ。男の前でも水着姿を気にしない柑菜の無頓着さと、パーカーでガードしている美桜の恥じらいがわかりやすい対比です。出し惜しみイクナイ! まあそのうちサービス(?)があるでしょうしここは長い目で。
そんな中、海人はイチカさんとの妄想に耽っておりました。演技指導に「手を取り腰を取り」ってそのまんまじゃねーか!(笑。健康な高校生男子らしくきちんとそっち方面の欲求もあるのだね。毒にも薬にもならない草食系男子キャラ(?)ばかりの中で彼は見込みがあります。何が?
すると首筋に赤い痣を発見。キスマーク?と囃し立てられるも身に覚えは無し…あることはあるのだけれどキスするような状況では無かったし。ここでサッとハンドミラーを差し出す美桜がオンナノコっぽくていいね。ピタッと閉じた膝もオンナノコっぽいけれど正面からは丸見えです。そこまで気が回らないってのも不慣れな感じがして良し良し。側の柑菜は思いっきり不機嫌から海人の沈黙に不安顔へ。あはは。わかりやすい子だなあ。
「ま、きっかけは多い方がいいだろ」
帰り際での哲朗との会話でもこれまたわかりやすい柑菜。歩き去る海人を遠い目で見つめながら、哲朗の言葉に表情を変える一連もかわいいかわいい。でもおそらくその思いは報われない。

その海人は帰り道にてイチカさんを発見。声を掛けられて慌てる大仰なリアクションや「魚がいない」と教えられて冷や汗タラリの表情など、ズレた感覚を悟られまいといっぱいいっぱいな様子がじつに微笑ましい(笑。檸檬さんとのやり取りで覚えた「握手」をさっそく試すのもかわいいです。差し出された手を握った海人はその感触に覚えがある?
気になる先輩との時間を有意義に使えなかった後悔はじつに青少年らしい甘酸っぱさ。しかしその後の妄想モードは煩悩全開で…これまた青少年らしいか(笑。夕陽の中を並んで歩く妄想映像は二人のまだ微妙な距離を上手く描いていましたね。それはそうとミニスカのケツ(以下略
一人で妄想世界に浸っていたはずの海人でしたが、色調がリアルに戻ってもイチカさんは消えません。あれ? 妄想とリアルが途中からごっちゃになっていた? 今夜の宿が無いイチカさんを堂々と自宅へ招いた妄想、それを真に受けたイチカさんは嬉しそうな顔を向けますが現実的にそれは無理。すると焼き土下座の海人へ笑顔を返して寂しそうに帰って行くイチカさん…妄想の調子に乗って誘った手前もありますが、さすがに女の子一人を野宿させるわけにもいかず、お約束の信号演出にて今夜の宿が決まりました。長井さんって信号好きだよね。

初めて男の部屋に入ったイチカさんは珍しそうに部屋を見回しているけれど、それはおそらく「地球人の(男の)部屋」が初めてだからでしょう。海人が持ってもビクともしない重さのトランク、ここでイチカさんが「グラビ…」と言いかけたのはおそらく「グラビティ・コントロール(重力制御)」で、彼女の星(?)の技術レベルが相当高い事を窺わせます。まあ余所の星に来ちゃうくらいだからその辺は推して知るべし。
姉さんが帰ってくる前に大急ぎでお風呂へ。初回から風呂シーンとはサービスいいね。シャンプーの表示にメガネをかざすと彼女の星の言語に自動翻訳されるハイテクすげえ。これほど技術レベルが違っても「シャンプー」の認識を含めた風呂の習慣は同じ、ってのは不思議だけれどそれは言わない約束です。光渡しもスチームジャミングも無い風呂シーンは絶妙なアングル取りでスイートスポットを上手く隠していました。無粋で不自然なジャミングよりこっちの方が精神衛生によろしい。
イチカさんの入浴中に着替えを準備する海人。タンスから引っ張り出したピンクのネグリジェは…まだ言うまい。その着替えを脱衣場に持っていくと戸を開けて顔を出すイチカさん。チラリと見える盛り上がりやガラス越しの裸体が艶っぽい! 丸出しよりもこういうカットにグッとくる私はおっさんです。ともあれイチカさんは男に体を見られることに抵抗が無いのかな? いやラストシーンでバスタオルが解けた時に恥ずかしがっていたから羞恥心は地球人と同じなのかも? ようわからん。
そんなサービスシーンから展開は一転。例の首筋の赤い痣が大きく広がり、意識を失いながら冒頭の出来事が駆け巡る一瞬は、大概の流れが予想付きながらもショッキングなシーンでした。組織再生に不具合があったのか、それとも定期的に再生処置を施さないといけない状態なのか? まあその辺は追々。

玄関先に倒れた海人を見つけたイチカさんは例のトランクに収まっていた「りのん」を呼び出してスキャン。そしてバスタオル1枚のキワキワな姿でおもむろにキスしちゃいました! おそらく再生エネルギー(?)を口移しで補充しているだけでイチカさん的に「そういう感情」はゼロ、言ってみれば人工呼吸みたいなものなのだろうけれど、あの姿でその行為を目撃したらたいていの地球人は「そういう関係」だと思うよねえ(笑
そしてもちろんその現場を目撃しちゃう人たちが登場します。バイクのトラブルで柑菜と一緒に帰ってきた姉さんが家の戸をガラリと開けるとまさにお楽しみ真っ最中、わざわざ玄関先で倒れた時点でこの流れは読めまくりでしたが、王道的面白さの前にはそんなの吹っ飛んじゃいますね。一旦ピシャリと閉めて柑菜と共に二度見の表情も良し、固まった時間の中でタオルが落ちるお約束からたゆんたゆんのムネに顔を埋める締めもサービス満点でした。てな現場を見た二人の絶叫と共に空パンのラストショットはいかにも長井監督の映像です。このパターンも好きだよねえ。
前評判から「あの花~」のような切ない系青春ストーリーかと思いきや蓋を開けてみればご覧のとおり。今回のレビューではあえて言わなかったけれど、ちょっとアニメを見ている人なら誰でも気付くであろう、黒田氏・たらく氏が組んだ「アレ」の第三作目としか思えません。特に檸檬さんなんて制服や中の人含めてマンマじゃないか! それならいっそたらく氏のデザインで作っちゃえば良かったのに(笑
というわけでむしろ旧作を知らない最近の人の方が、長井氏・田中氏の旬なコンビが作り上げる映像に素直にハマれて素直に楽しめる作品かもしれません。おっさんはどうしても「アレ」と重ねて見てしまうので。
もちろん視聴は継続、レビューは気が向けば書くかも。
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