2012-05-23(Wed)

黄昏乙女×アムネジア #07 忘却乙女

夕子さんは何故負の感情を見せないのか? 

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影夕子の存在が明らかに、そして衝撃のラスト。

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アバンは音楽室にて悪霊退散ごっこの描写から。どこの学校にもありそうな「誰もいない夜の音楽室」の怪談。もちろん本作に於いての原因は夕子さんで、どうやら夜のヒマ潰しにピアノを弾いていたらしい。ってことは単なる噂ではなく本当にピアノが鳴っていたのだね(笑

うにゃうにゃうにゃと怪しい呪文を唱えてお札をビシィ!と一仕事終えた貞一へサッと駆け寄りハンカチを差し出す小此木メンバー。画面右側に寄ったアングルは二人の急接近を強調し、正面からのアングルではやたらオンナノコした表情でラブラブアピール。小此木メンバー的には貞一と二人っきりなのでここぞとばかり! しかし実際は一部始終を見ている「もう一人」がいるのだなあ。目の前でこんなラブイチャを見せられた夕子さんは例によってジェラシーに燃え、とはいえ今回のジェラシー描写はいつもよりダーク寄りで、影が落ちた表情やピアノスツールを蹴飛ばすカットなど「かわいいかわいい夕子さん」から大きく外れた、今まで見せたことがないような露骨な負の感情でした。重い表情のままプイと横を向くと次のカットで例の鈴がチリンと鳴って例の醜い影が現れる引きもホラーチックで良し良し。

というわけで今まで何度もチラリと現れ、まさに影のようにヒタヒタと付いて回り、そして霧江さんが「夕子さん=悪霊」と思い込んでいた時の姿、前回ラストで霧江さんが対面した影の正体について今回語られることになります。

Aパート冒頭で霧江さんが見ていた古い写真に収まる女学生は生きていた頃の夕子さんでしょうか。一緒に写っているのは霧江さんの祖母? 前回ラストで対面した影のセリフ「人は変わらない。何度も同じ事を繰り返す」は後の展開を思うとなかなか深いです。ここで霧江さんは影の正体に気付いた?

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今回のサービスカットは体操服の夕子さん。ぱっつんぱっつんじゃないか(笑。生徒が行き交ううちにいつの間にか校門に現れる演出も神出鬼没の幽霊っぽくて芸コマでした。ブルマではなくハーフパンツなのが今風(?)の幽霊です。ちなみにいわゆるショーツ型ブルマが普及したのは東京オリンピック以降らしいので、夕子さんの現役当時はまだブルマが無かったか。意表を突いてちょうちんブルマの夕子さんを見たかったかも(笑

体育授業に乱入した夕子さんへ言われるままパスを出し、しまった!と思った所で後の祭でした。貞一的には普通のバスケ風景も貞一以外から見たら不自然にボールが浮いてシュートが決まり、その後のジャンピングアタックも一人でもんどり打っているようにしか見えない。あははは! 何だか第1話を思い出します。

教室での授業中も熱い吐息を吹きかけながら貞一の膝に乗ってぴったり密着。この体勢は健康な男子中学生にとって非常にヤバい。動く度にムネがぽよんぽよん当たってるし! とはいえいくら夕子さん相手でも普通に邪魔くさいような(笑。好きだから一緒にいたいと言われても四六時中一緒ではちょっと重い。

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昼休み開始のチャイムが鳴ると夕子さんは貞一の手を引いて屋上へダッシュ! すると目前に立ちはだかった小此木メンバー! 昼食のお誘いに思わず頷いてしまった貞一へジト目の夕子さん!(笑。でも満面笑顔で誘われたら無下に断れないよねえ。

もちろん同行した夕子さんはテーブルにどっかと座って貞一を威嚇、緊張顔の貞一に対して嬉しそうな小此木メンバーが切ないなあ。ううむ。というか小此木メンバーかわいいじゃないか。てな様子を見た夕子さんは面白くありません。貞一のサンドイッチを怒りの一気食いで片付けてしてやったり、しかしこれが裏目に出てしまうのでした。

「こ、このまま何も付けずに。出汁巻きなので」

腹を空かせていると聞いた小此木メンバーは自分の弁当から出汁巻き卵をサッとつまんで貞一へ! 何という行動力! 小此木メンバーったら積極的! すると影が落ちた表情でゆらりと近付いた夕子さんは出汁巻き卵をバシィ!と叩き落としてしまいました。あらら。ジェラシーゲージが振り切れて負の感情を制御できなくなっている。その事に気付いて愕然とうな垂れる横顔が事態の重さを物語っていますね。

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夕子さんの様子がおかしい。霧江さんへ相談した貞一は返す刀で「影夕子」の存在を知らされます。先のアカヒトさん事件の時に出会った影夕子は「恨み、憎しみ、怒り、悲しみ」など人間の負の感情そのもので、いつも現れる頭が万年お花畑な夕子さん(笑)の対極の存在でした。セリフに合わせて能面が次々に変わっていく演出は影夕子の性質を上手く表現していましたね。

「庚夕子は怒らないんだよ」

そして当の夕子さんは負の感情を一切表さない。嫉妬で拗ねても本気で憎んだり怒ったりしているわけではない。しかもそんな感情を表すのも貞一絡みの時だけ…ツタで絡んだ裸身の二人、白い肌の美しい夕子さんは貞一と一緒にいてこその姿。しかし俯き加減の表情が夕子さんに隠された苦悩を感じさせる奥深いカットでした。

夕子さんは嫉妬で拗ねても本気で憎んだり怒ったりしているわけではない、はずだった。この均衡が崩れてきているのはこれまで描かれてきたベタベタっぷり、小此木メンバーへのジェラシー描写どおりです。今や夕子さんの嫉妬心は「本気」の領域に来てしまった。廊下を歩く貞一を遠目に見つけた夕子さんが隣の霧江に気付くと瞳を絞って絶句、これまた強烈なジェラシー描写でした。貞一に近付くオンナは何人たりとも許さない!?

そこへ現れた影夕子を見ない振りの夕子さん。好きが高じて沸き立つ負の感情を認められず見ない振りをしているのか。でもそんな事はいつまでも続けられません。貞一への思いを止めない限り影夕子は付いて回るのですから。

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前話で語られた霧島有子はマイナス感情を全て夕子さんに押し付けていた。それと同じ事が夕子さんに起きているとしたら? あらゆる「嫌な事」を他の人格に背負わせて自分を守る多重人格。夕子さんは負の感情・記憶を全て切り離して別人格に押し付け、負の感情の固まりとなった「影夕子」はいつしかもう一つの存在として闇を彷徨う。

「やっと見つけてくれた」
「私も夕子。あなたの過去、あなたの心、あなたの影」

霧江さんの迫真の語り、迫る影夕子、追い詰められる夕子さん。三者の表情を切り換えながら見せる影夕子出現シーンは緊迫感を煽りまくり。そしてチリンと鳴った例の鈴を影夕子が受け止め…夕子さんが影夕子の存在を認めた(認めてしまった)瞬間の描写は背筋ガクブルものでした。

シルエットで描かれる夕子さんvs影夕子の対面シーンも凄かった。ガクンガクンと世界が崩壊し、ノイズに歪んだ世界へ瓦礫が落ちてブラックアウト、原由実さんの二役演技も際立って衝撃的な対面を盛り上げます。いい仕事しすぎです。

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思わず逃げ出し駆け出した夕子さんはいつしか「呪い石」の中庭へ。前回訪れた時は夜中だったため気付かなかったけれど、よくよく見ればそれは60年前に大流行した疫病の慰霊碑だったのです。そして慰霊碑に刻まれた「庚夕子」の名。疫病犠牲者の名? しかし夕子さんの遺体は例の地下室に…ここから夕子さんを「疫病を収めるための人柱」と考え、隠れ鬼の歌詞「夕子さん埋めた、柱に埋めた」、さらにアカヒトさんの怪談、女生徒行方不明の怪談を絡めた推論は一気に霧が晴れた感じでした。この学校の怪談は夕子さんに纏わる話が歪んで伝わったもの、全部繋がっていたのです。地下の神社はその名残?

「きっと自分から進んで人柱になった。きっとそう」

私には未練も恨みも何も無い。だからきっと人柱になる時も自分からなったに違いない。自分の過去が判った事で夕子さんは爽やかな笑みを見せ、この件はこれで終わり!と一件落着の次の瞬間聞こえてきた影夕子の声。

「そうやって忘れるの?」

未練を、恨みを、憎しみを外に押し付け、自分だけ綺麗なまま。あなたが綺麗なのは私に全部押し付けたから。だから人柱に関する「醜い感情・記憶」もすっかり忘れて綺麗なまま笑顔でいられる。つまりその醜い記憶こそが夕子さんの過去の真実なわけで、じつは何も片付いていなかったのでした。

そして夕子さんは貞一を好きになった。好きになった事で「嫉妬」という醜い感情が生まれ、最初のうちは拗ねる程度だったけれど、今回描かれたとおり思いが募るに連れて感情を抑えきれないレベルまで育ってしまった。

「いいわ受け止めてあげる、その記憶と一緒に」

正体を語った影夕子はその「嫉妬」も受け止めようと夕子さんに迫る。コワイヨー! 記憶と一緒に、と言っている辺りここで夕子さんの記憶が失われる?と思いきや。

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霧江さんが現場に乱入すると影夕子は姿を消し、肝心の夕子さんは綺麗なまま笑顔を見せました。とはいえその表情はどこか引き攣ったような笑顔で、影夕子の存在に怯える自分をごまかし、周囲に心配させまいと無理に笑っているような。

その晩の学校では窓ガラスに映った自分の顔に影夕子が浮かんでは怯え、窓の外の影に怯える夕子さん。明けた翌朝貞一に抱き付いても、望みどおりツーショットの屋上ランチでもいつものようなお花畑感がありません。一緒のお昼を断られちゃう小此木メンバーがちょっとかわいそうでした(笑

まったりとした屋上ランチも済んで貞一は教室へ戻ろうといつもの調子で席を立ち、しかし貞一の背中を見送る夕子さんは恐怖に襲われていました。恐い。恐い。貞一の瞳に映る自分の姿が恐い。誰? 誰? あなたは誰? あの感情を思い出したくない。この時 既に夕子さんに影夕子が取り憑いていたのだろうなあ。貞一の瞳に映る姿が次第に影夕子に変化し、また文字演出も効きまくって、追い詰められた夕子さんの焦り・昂ぶりそして影夕子に浸食されていく様子を見事に描いていました。

湧き上がる醜い感情・記憶を消したい。影夕子を見たくない。乗っ取られた夕子さんはその源泉を断ち切る行動に出ました。うわああああ!

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次の瞬間夕子さんから影が離れ、呆然と立ち尽くす夕子さんの表情が見る見るノイズに歪み…この瞬間「醜い感情・記憶」は影夕子に移ったのでしょう。ここでED入りってどんだけ気を持たせるのか!? しかもそのEDには夕子さんの姿がありません。何これ何!?

と思ったらEDラストに被らせながらCパートが始まりました。頭の包帯も痛々しく松葉杖を付いた貞一の復活。Anotherだったら間違い無く死んでいるシーンですよ(笑。しかし校門に夕子さんの姿は無く、教室でも姿を見せず、部室へ行ってもいつもの笑顔はありませんでした。まさかあのまま消えてしまった? すると貞一は鏡を横切る影に気付いて思わず名を呼び振り返り、そこに立っていたのは紛れもなく夕子さんなのだけど。

「あら? あなたもしかして私が見えるの?」

醜い感情・記憶を切り離した夕子さんはもちろん貞一の記憶も失ってしまった。まあある程度予想していた流れですが映像の作りが凄まじいためついつい見入ってしまいます。貞一を前にしても無表情で淡々と話す夕子さんが辛い。いや辛いのは貞一か。

「あなたは……だぁれ?」

口パクのみで描かれた限りなく無感情なラストカットは絶望のダメ押し。こりゃキッツイ。これまでの過剰な程のお花畑ラブイチャ描写は全てこのシーンへの前振り? 道理で幽霊モノにしては無邪気で陽気で、美人なのにかわいすぎるとは思っていましたが。

これにて貞一は夕子さんの記憶騒動が他人事では無くなったわけで、しかし自分(貞一)に関する記憶を取り戻してもらうためには夕子さんがこれまで切り離してきた醜い感情・記憶も元に戻さなければならないわけで、お花畑で陽気でちょっとエロい夕子さんが好きだった貞一はドス黒く渦巻く闇夕子と一体となった夕子さんを受け止められるのか? そして小此木メンバーのオトメゴコロの行く末は?(笑

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エンドカードはナイロン氏。ぱっつんぱっつんの水着姿が眩しいです。

    

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No title

今回のED、いつも夕子さんがいるカットに
誰も写ってないんですよねぇ・・・

Re: No title

あ、そのネタ書くの忘れてました。後で追記しておきます。
ノイズ夕子さんに唖然としながら見たED、延々と窓枠だけの映像に「何かいつもと違うなあ」と思った次の瞬間、夕子さんがいない事に気付いて愕然としました。そして夕子さんがいないCパートが始まってさらに愕然。地味に強烈な演出でしたね。

頭が万年お花畑な夕子さんについて霧江と貞一が話している引きの画の廊下の隅に夕子さんの影があり、少しずつ消えていったあの場面はジワジワとした恐怖があり、夕子さんがただならぬ精神状態にあることをも表したような非常に印象的なシーンでしたね…

れすれす

本作は凝りすぎってほど凝った演出が隙無く散りばめられているので一瞬も気を抜けませんね。件のシーンもボンヤリ見ていたら気が付かないのだけれど、それだけに気付いた時の恐怖感ったら。そんなホラー面とかわいい夕子さんなどなどコメディ面の絶妙なバランスも作品の魅力だったのですが、ここから先はかわいい夕子さんはしばらくお預けでしょうか。
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