2012-06-08(Fri)
さんかれあ #10 強い…思い…
明かされた礼弥出生の秘密。

そして飲んだくれ亞里亞さんの辛い胸中。

散華家の手下によって拉致されてどうなる千紘!? の続きから。屋敷に通された千紘はメイドさんからウェルカムドリンクを出されて丁重なもてなしを受け、しかし全身拘束状態で身動き取れず。この辺の流れは原作第8話マンマですが、原作では通された部屋が礼弥の写真が壁一面に飾られた部屋で、そのまま今回ラストで描かれた団一郎との対峙へ進みます。
対してアニメ版では何も無い部屋に亞里亞さんが現れ、酔いに任せて身の上話・礼弥の出生・散華家のお家事情などを千紘へ話すシーンへ。これは原作第18話(単行本第4巻)にて別の事情で散華邸に乗り込んだ千紘vs亞里亞さんのやり取りマンマで、原作時系列を無視した力技のニコイチシナリオなのですが、亞里亞さん談の暴露話パートは原作でも時系列的にあまり関係が無いため、既読の私でも特に違和感なくまとまっていた印象でした。というか団一郎との対決前に諸事情を明らかにしたアニメ版の構成のほうが最終決戦の説得力が増すかもしれません。前回の萌路ちゃん母親話からの流れも良いですし。
相変わらずヨッパ全開の亞里亞さんは礼弥をボロクソ、というのは実の娘ではないから。まあ高校生の娘がいるようには見えませんし(アニメ・マンガでそんな印象アテにならんけど。それどころか亞里亞さんにとって礼弥はこの上なく疎ましい存在であり、カットカットで肌色パーツをチラ見せしながらその辺の事情をつらつらと語り始めます。何も飾られていない壁に白抜きの額縁を掛け、若かりし日の亞里亞さんが浮かんで回想スタートの演出はなかなか凝ってます。

始まった回想は大筋の流れは原作(第18話)どおりなれど、先輩メイドとの軋轢や団一郎とのやり取りシーンが大幅に追加されていました。亞里亞さんの強気な性格・野心を強調し、散華家の嫁に選ばれようと画策する日々の描写。この辺は原作だと結構あっさり描かれているので補足的な意味もあるのかな。
細かい気遣いを続けて団一郎へお近付きになる亞里亞さんでしたが、本を手渡されたどさくさに触れ合おうとしても団一郎の手は手袋に包まれたまま。このワンカットだけで団一郎は亞里亞さんに心を許していない事が判ります。丁寧に朝の挨拶をしても素っ気無く返され、先輩メイドに啖呵を切ったはいいけれど団一郎ってば本当に男色家なんじゃ?と疑惑の眼差しへ。まあ結局の所は「あなたたちに興味が無いだけで」と切った啖呵がブーメランだったわけですが。
そして散華家で行われたフェンシング大会にて激昂する団一郎。イエスマンに囲まれた接待フェンシングで優勝しても嬉しくない。「通例」を誰一人疑わないキモチワルイ環境を潔癖な彼は許せなかった。つまり基本的に団一郎は悪い人じゃないんです。

「物をこんな風に粗末にしたら神様に叱られますよ」
怒りのあまり投げ捨てた手袋を拾って手渡す車椅子の少女。イエスマンに囲まれ、これまで誰からも意見された事など無かった団一郎にとって、少女の一言は相当鮮烈だったに違いありません。立場的にも体力的にも敵うはずがない相手を優しく諭し、「これまでの努力は本物」と積み重ねた努力もきちんと認めてくれた。「散華家の跡取り息子」ではなく「団一郎本人」を見てくれた。打算皆無の言葉・表情、見た目は華奢で幼い少女なれど、団一郎はこの少女に母親的な何かを感じたのかもしれません。
普段なら絶対に素手では触らないであろう「床に落ちた手袋」を素手で触っている、それは少女が手渡してくれたものだから。これだけで団一郎がハートを射貫かれてしまった事が判りますね。アジサイの花を愛でる少女へプロポーズのシーンは両者の温度差が面白い。キョトンとした少女に対し、花束を抱えた団一郎は真剣そのものの表情です。こんな所でも団一郎の性格が窺えます。ちなみにこの「素手で触る」カットとプロポーズシーンはアニメオリジナルの追加で、キャラの心の動きを芸コマな演出を絡めて丁寧に描いてくれて良し良し。

親戚一同の反対を押し切って結婚したはいいけれど、元々体が弱かった嫁は礼弥を生むとすぐに亡くなってしまいます。ベッドサイドの百合の花が落ちる演出はベタなれど切ない。最愛の嫁を亡くして廃人同様になってしまった団一郎の描写は結構シャレになってません。凄まじいなこれ。
そんな団一郎へ献身的な介護を続ける亞里亞さん。原作だと嫁の死→再婚の経緯が全く語られないため、なぜ亞里亞さんが再婚相手に収まったのかイマイチ判らないのだけれど、こういう描写があれば納得もいきます。嫁の死と共に落ちた百合の花が再び咲いた、つまり団一郎の再生を示しているのか。それとも百合の花は嫁のメタファーで、咲いている(生きている)百合の花=亡き嫁にそっくりの娘(礼弥)に目を向け、嫁の影を追うスイッチになったのか。

さて念願の奥様の座に収まった亞里亞さんでしたが幸せだったのは結婚式当日だけだったようです。「礼弥に母親が必要」という再婚理由を判りながら母親らしい事すらさせてもらえない。それどころか家族として接してもらえない。せめて二人きりの新婚旅行と思っても団一郎は礼弥から決して離れない。まあ幼い娘を置いて旅行へ行くわけないと言ってしまえばシマイですが、亞里亞さんのやり切れなさは判るような気がしますね。
旅行先で突然の水着シーン! 浮き輪でバタ足の幼い礼弥かわいい。亞里亞さんの水着姿は適度にたるんだウエストがじつに熟女っぽかった(笑。でもトンボメガネにこの水着柄はセンスが以下略。
どんどん曇る亞里亞さんへトドメの一撃は例の成長記録撮影風景目撃でした。団一郎と礼弥は自分が知らない所でこんな事をしていた。団一郎には礼弥しか見えていない。礼弥への歪んだ愛情を目の当たりにした亞里亞さん。覗き穴から漏れる光が逆ハートに変わり目が据わっていく表情変化は、自分の立場を思い知ったショックが伝わってきますね。ハートがひっくり返って憎しみに変わる。全てを憎んで現在の飲んだくれ状態に墜ちてしまうのも無理は無いかも。
廃人寸前まで絶望した団一郎を救ったのは亞里亞さんではなく礼弥の存在、亡き嫁にそっくりな忘れ形見を溺愛することで精神を保っていたのでしょう。そう考えれば団一郎の異常な溺愛も判らんでもありませんが…言うまでもなく嫁と礼弥は別の人間なんだよね。
というわけでBパートはここら辺までほぼアニメオリジナルの追加シーンでした。

散華家の誰にも相手されない亞里亞さんはこれ幸いと千紘に「慰め」を求めます。肩をはだけてたゆんたゆんのムネを千紘にムギュ! わんこ相手といい、千紘は巨乳に攻めまくられるけれど、本人は1mmたりともありがたがっていないのが可笑しくももったいない。そんな露骨にイヤな顔せんでも。ちなみに原作だとこのシーンは全裸で迫ってます(笑
「俺、ゾンビっ娘にしか興味無いから」
迫る唇を避け、千紘は椅子が倒れるほど全力でノゥ! 身動き取れない千紘にすら拒絶されて泣き出しちゃう亞里亞さんかわいい。常にぐでんぐでんのヨッパライ姿は寂しさの裏返しだったのです。

てな所へやってきたばーぶ。溺れる者は藁をも掴む、寂しさを癒してくれるなら得体の知れぬ猫も抱く。しかしその猫がゾンビと知ると放り出し、千紘もどこかへ連れて行かれ、残された亞里亞さんはまたしても一人。
「私なんて、まだ一度もちゃんと相手にしてもらった事なんて無い」
例えそれが憎しみでも団一郎に相手にしてもらえるだけで羨ましい。毎日飲んだくれていても何も言われない、一緒に暮らしていながら憎んですらもらえない。亞里亞さんの心の叫びはじつに切なかった。
さてその頃礼弥は拉致現場からタクシーを飛ばしていました。一応ヒロインなのに出番これだけかい! そして目的地の散華邸ではいよいよ団一郎と千紘が対峙、ここでようやく原作第8話の流れに戻ります。ここまで長かった(笑
「ありがとう、だが許さん」
壁一面の写真に囲まれた団一郎は「礼弥愛」を再確認できた事に礼を言い、しかし千紘を許さない。元はといえば団一郎の歪んだ愛情が全ての元凶なのだけれど狂った本人は狂っている事に気付かないもの。それを気付かせ、礼弥を呪縛から解き放つのが千紘の役目。
というわけで次回、次々回といよいよ千紘vs団一郎の決戦です。まあここで終われば確かにキリが良いけれど、ゾンビ関連のオチはまったく付かないんだよねえ。原作ファン的にはその辺をどう纏めるか見どころだったり。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

そして飲んだくれ亞里亞さんの辛い胸中。

散華家の手下によって拉致されてどうなる千紘!? の続きから。屋敷に通された千紘はメイドさんからウェルカムドリンクを出されて丁重なもてなしを受け、しかし全身拘束状態で身動き取れず。この辺の流れは原作第8話マンマですが、原作では通された部屋が礼弥の写真が壁一面に飾られた部屋で、そのまま今回ラストで描かれた団一郎との対峙へ進みます。
対してアニメ版では何も無い部屋に亞里亞さんが現れ、酔いに任せて身の上話・礼弥の出生・散華家のお家事情などを千紘へ話すシーンへ。これは原作第18話(単行本第4巻)にて別の事情で散華邸に乗り込んだ千紘vs亞里亞さんのやり取りマンマで、原作時系列を無視した力技のニコイチシナリオなのですが、亞里亞さん談の暴露話パートは原作でも時系列的にあまり関係が無いため、既読の私でも特に違和感なくまとまっていた印象でした。というか団一郎との対決前に諸事情を明らかにしたアニメ版の構成のほうが最終決戦の説得力が増すかもしれません。前回の萌路ちゃん母親話からの流れも良いですし。
相変わらずヨッパ全開の亞里亞さんは礼弥をボロクソ、というのは実の娘ではないから。まあ高校生の娘がいるようには見えませんし(アニメ・マンガでそんな印象アテにならんけど。それどころか亞里亞さんにとって礼弥はこの上なく疎ましい存在であり、カットカットで肌色パーツをチラ見せしながらその辺の事情をつらつらと語り始めます。何も飾られていない壁に白抜きの額縁を掛け、若かりし日の亞里亞さんが浮かんで回想スタートの演出はなかなか凝ってます。

始まった回想は大筋の流れは原作(第18話)どおりなれど、先輩メイドとの軋轢や団一郎とのやり取りシーンが大幅に追加されていました。亞里亞さんの強気な性格・野心を強調し、散華家の嫁に選ばれようと画策する日々の描写。この辺は原作だと結構あっさり描かれているので補足的な意味もあるのかな。
細かい気遣いを続けて団一郎へお近付きになる亞里亞さんでしたが、本を手渡されたどさくさに触れ合おうとしても団一郎の手は手袋に包まれたまま。このワンカットだけで団一郎は亞里亞さんに心を許していない事が判ります。丁寧に朝の挨拶をしても素っ気無く返され、先輩メイドに啖呵を切ったはいいけれど団一郎ってば本当に男色家なんじゃ?と疑惑の眼差しへ。まあ結局の所は「あなたたちに興味が無いだけで」と切った啖呵がブーメランだったわけですが。
そして散華家で行われたフェンシング大会にて激昂する団一郎。イエスマンに囲まれた接待フェンシングで優勝しても嬉しくない。「通例」を誰一人疑わないキモチワルイ環境を潔癖な彼は許せなかった。つまり基本的に団一郎は悪い人じゃないんです。

「物をこんな風に粗末にしたら神様に叱られますよ」
怒りのあまり投げ捨てた手袋を拾って手渡す車椅子の少女。イエスマンに囲まれ、これまで誰からも意見された事など無かった団一郎にとって、少女の一言は相当鮮烈だったに違いありません。立場的にも体力的にも敵うはずがない相手を優しく諭し、「これまでの努力は本物」と積み重ねた努力もきちんと認めてくれた。「散華家の跡取り息子」ではなく「団一郎本人」を見てくれた。打算皆無の言葉・表情、見た目は華奢で幼い少女なれど、団一郎はこの少女に母親的な何かを感じたのかもしれません。
普段なら絶対に素手では触らないであろう「床に落ちた手袋」を素手で触っている、それは少女が手渡してくれたものだから。これだけで団一郎がハートを射貫かれてしまった事が判りますね。アジサイの花を愛でる少女へプロポーズのシーンは両者の温度差が面白い。キョトンとした少女に対し、花束を抱えた団一郎は真剣そのものの表情です。こんな所でも団一郎の性格が窺えます。ちなみにこの「素手で触る」カットとプロポーズシーンはアニメオリジナルの追加で、キャラの心の動きを芸コマな演出を絡めて丁寧に描いてくれて良し良し。

親戚一同の反対を押し切って結婚したはいいけれど、元々体が弱かった嫁は礼弥を生むとすぐに亡くなってしまいます。ベッドサイドの百合の花が落ちる演出はベタなれど切ない。最愛の嫁を亡くして廃人同様になってしまった団一郎の描写は結構シャレになってません。凄まじいなこれ。
そんな団一郎へ献身的な介護を続ける亞里亞さん。原作だと嫁の死→再婚の経緯が全く語られないため、なぜ亞里亞さんが再婚相手に収まったのかイマイチ判らないのだけれど、こういう描写があれば納得もいきます。嫁の死と共に落ちた百合の花が再び咲いた、つまり団一郎の再生を示しているのか。それとも百合の花は嫁のメタファーで、咲いている(生きている)百合の花=亡き嫁にそっくりの娘(礼弥)に目を向け、嫁の影を追うスイッチになったのか。

さて念願の奥様の座に収まった亞里亞さんでしたが幸せだったのは結婚式当日だけだったようです。「礼弥に母親が必要」という再婚理由を判りながら母親らしい事すらさせてもらえない。それどころか家族として接してもらえない。せめて二人きりの新婚旅行と思っても団一郎は礼弥から決して離れない。まあ幼い娘を置いて旅行へ行くわけないと言ってしまえばシマイですが、亞里亞さんのやり切れなさは判るような気がしますね。
旅行先で突然の水着シーン! 浮き輪でバタ足の幼い礼弥かわいい。亞里亞さんの水着姿は適度にたるんだウエストがじつに熟女っぽかった(笑。でもトンボメガネにこの水着柄はセンスが以下略。
どんどん曇る亞里亞さんへトドメの一撃は例の成長記録撮影風景目撃でした。団一郎と礼弥は自分が知らない所でこんな事をしていた。団一郎には礼弥しか見えていない。礼弥への歪んだ愛情を目の当たりにした亞里亞さん。覗き穴から漏れる光が逆ハートに変わり目が据わっていく表情変化は、自分の立場を思い知ったショックが伝わってきますね。ハートがひっくり返って憎しみに変わる。全てを憎んで現在の飲んだくれ状態に墜ちてしまうのも無理は無いかも。
廃人寸前まで絶望した団一郎を救ったのは亞里亞さんではなく礼弥の存在、亡き嫁にそっくりな忘れ形見を溺愛することで精神を保っていたのでしょう。そう考えれば団一郎の異常な溺愛も判らんでもありませんが…言うまでもなく嫁と礼弥は別の人間なんだよね。
というわけでBパートはここら辺までほぼアニメオリジナルの追加シーンでした。

散華家の誰にも相手されない亞里亞さんはこれ幸いと千紘に「慰め」を求めます。肩をはだけてたゆんたゆんのムネを千紘にムギュ! わんこ相手といい、千紘は巨乳に攻めまくられるけれど、本人は1mmたりともありがたがっていないのが可笑しくももったいない。そんな露骨にイヤな顔せんでも。ちなみに原作だとこのシーンは全裸で迫ってます(笑
「俺、ゾンビっ娘にしか興味無いから」
迫る唇を避け、千紘は椅子が倒れるほど全力でノゥ! 身動き取れない千紘にすら拒絶されて泣き出しちゃう亞里亞さんかわいい。常にぐでんぐでんのヨッパライ姿は寂しさの裏返しだったのです。

てな所へやってきたばーぶ。溺れる者は藁をも掴む、寂しさを癒してくれるなら得体の知れぬ猫も抱く。しかしその猫がゾンビと知ると放り出し、千紘もどこかへ連れて行かれ、残された亞里亞さんはまたしても一人。
「私なんて、まだ一度もちゃんと相手にしてもらった事なんて無い」
例えそれが憎しみでも団一郎に相手にしてもらえるだけで羨ましい。毎日飲んだくれていても何も言われない、一緒に暮らしていながら憎んですらもらえない。亞里亞さんの心の叫びはじつに切なかった。
さてその頃礼弥は拉致現場からタクシーを飛ばしていました。一応ヒロインなのに出番これだけかい! そして目的地の散華邸ではいよいよ団一郎と千紘が対峙、ここでようやく原作第8話の流れに戻ります。ここまで長かった(笑
「ありがとう、だが許さん」
壁一面の写真に囲まれた団一郎は「礼弥愛」を再確認できた事に礼を言い、しかし千紘を許さない。元はといえば団一郎の歪んだ愛情が全ての元凶なのだけれど狂った本人は狂っている事に気付かないもの。それを気付かせ、礼弥を呪縛から解き放つのが千紘の役目。
というわけで次回、次々回といよいよ千紘vs団一郎の決戦です。まあここで終われば確かにキリが良いけれど、ゾンビ関連のオチはまったく付かないんだよねえ。原作ファン的にはその辺をどう纏めるか見どころだったり。
- 関連記事
-
- さんかれあ #12 あの瞬間…俺は…
- さんかれあ #11 特別…なんかじゃ…ない
- さんかれあ #10 強い…思い…
- さんかれあ #09 母の…手…
- さんかれあ #08 偽りの…自由…
スポンサーサイト
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
