2012-06-11(Mon)
スマイルプリキュア! #19 パパ、ありがとう!やよいのたからもの
名前に込められたパパの愛情。

涙で画面が見えない父の日回でした。

ファーストカットはシトシトと降り続ける梅雨の風景。彩度が落とされた映像は厚い雨雲に覆われた梅雨の雰囲気ありありです。そして雨の中に映し出される街灯や教室の灯り。これは今回通して描かれたモチーフ「雨と灯り」、すなわち「冷たい雨空に灯る暖かい光」転じて「雨降るココロに仄かに灯る暖かい気持ち・思い出」を冒頭から印象付けるもの。この始まり方からして今回はタダ事ではないと思ったけれど、EDのスタッフクレジットにて境監督が演出を担当されていたと知って大納得でした。さらに今回はシナリオ(米村正二氏)・作画(上野ケン氏)とエース勢揃い。そういや前のやよい回(第9話)も米村・上野組でしたっけ。優遇されてるなあ。ちなみに今回SDはノータッチだったらしい(笑
「自分の名前にどういう思いが込められているのか?」
さてそんな梅雨時の教室にて教壇に立つれいか先生から宿題が出ました。思春期といえば親の完全庇護から巣立つ時期、自我が芽生え親と自分が別の存在である事に気付き、程度の差こそあれ親が疎ましくなったりする時期であります。だからこそ自分に対する親の思いを知れば互いに尊重し合える、より良い関係を築ける(かもしれない)。
おっと今回から七色ヶ丘中学校も夏服なのでした。黄色いカーディガンだったやよいはVネックサマーベストに、緑のベストだったなおちゃんは脱いで制服マンマに、あかねちゃんのトレードマークだった腰巻きセーターも無くなっています。特になおちゃんの緑ベストはほぼ記号化していたので無くなるとちょっと寂しいかも。ちなみにれいかさんの青い謎服はそのまま、制服が半袖になると余計に謎度が深まった感じ(笑
突然の宿題に頭を抱えるあかねちゃん、照れるなおちゃん、などなど様々なリアクションを見せる中でやよいだけ沈んでいます。やばいこの時点でもう泣きそう(私が。
ウルフさんの小咄とタイトルコールが明けて始まった本編。ここの入りもまた雨の中の灯りが強調されていましたね。暗闇に立つ警報機の光に照らされる雨粒の描写スゲー! そして窓の灯りが漏れるマンションの間から望む暗闇に電車の灯りが走り抜ける描写も凄い。これらモチーフの描写と合わせてやよいのママが雨の中電車で帰宅してきている事も窺わせる芸の細かさ。

ママが帰宅すると映されるドアクローザーのアップ。これは後のパパ帰宅シーンに重ねる前振りか。開始数分なのに演出が芸コマすぎて追い付きません。国産大豆の味噌でみそ汁を作って待ってるやよい、足し算はできないけどみそ汁は作れます!(笑。帰宅したママと並んで夕食準備のカットはエプロン姿のお二人が肉感的すぎて驚きの作画。このボディライン(特に下半身)への拘りはさすが上野ケン氏作監回だけあります。焼き上がったムニエルを盛りつけに移動する動き(フライパン片手に話ながらやよいの後ろを回り込むカット)も自然で、こういう日常生活の地味な動作を自然に見せられるのは凄い事だと思う。というかやよいママ(千春さん)は相変わらずかわいすぎるだろう。メインキャラに負けず劣らずママキャラがかわいいのはプリキュアシリーズのお約束とはいえ千春さんは度を超していますよ(笑
キッチンに立ちながら宿題の話をするやよい。しかしやよいの名前を付けた当人は既に鬼籍に入っており、千春さんも命名の由来を知らないため永遠の謎に。なるほど本当に死別片親なのか。やよいの回想によるパパさん帰宅シーン、疲れて帰ってきたパパさんは声に張りがなく、しかし飛び付いて出迎えたやよいの頭を一撫ですると元気復活。そりゃこんなかわいい娘と美人の嫁が待ってる家に帰ってくれば疲れも吹き飛ぶでしょう。ぐぬぬ。
そういやパパさんのネクタイも黄色なのね。やよいの黄色ネクタイはパパさんから受け継いだものだったのか。

各々の家庭の宿題(?)風景。まずは雨の中に浮かんだカーテン越しの窓の光からみゆきの部屋。キャンディとお約束の販促の後、名前の由来を聞きに部屋を出る時灯りを消すともちろん部屋は真っ暗に。すると浮かび上がる天窓からの光。明るい部屋では気付かない窓外の灯りも暗くすれば仄かに灯るのです。なんと奥深い。
続くあかねちゃんもこれまた雨の中にて店の光が灯っているカットから。厨房で軽く小競り合い(笑)しながら父娘の会話はじつに微笑ましい。母ちゃんの肝っ玉っぷりも清々しいです(笑
雨の池に映った障子の灯りから始まるれいかさん邸の様子。障子の開け閉てをきちんと作法どおりこなし、きちんと正座からお爺さまへお伺いを立てるれいかさんは育ちの良さが滲み出て止みません。私服ではストッキング着用ってのもお嬢様らしい。
なおちゃんの父ちゃんは大工さん。縁側にブルーシートは敷いて作業灯を点けてのカンナ掛け、これまた外の雨と灯りを意識させる絵作りです。幼い弟妹が寝静まった所で話しかけたなおちゃんが色っぽすぎてどうしたものかと。夏期私服はなおちゃんがいちばんかわいいかも。いやなおちゃんは年中かわいいのだけれど。
これら各々のシーンはご覧のように陰影を強めに描いた絵作りでことさら「灯り」を、すなわち家族の暖かさを強調している感じ。ところが次のやよいは広い自室にポツンと一人、もちろん灯りは点いているものの平坦な明るさでボンヤリした雰囲気です。まあ話し相手が国語辞典ではねえ。パパとの記憶の断片が浮かんだやよいは必死に思い出そうとしても叶わず、すると画面にはっきりした陰影が描かれます。それはパパの写真による影。後ろからのアングルで描かれた「影」はパパの事を思い出せない辛さ・歯がゆさ・寂しさを強調していますね。
結局国語辞典で調べた話をでっち上げて宿題を乗り切ったやよい。でもどことなく不自然な様子をみゆきは見逃しませんでした。

その帰り道にてやよいはでっち上げネタを告白。まあ事情が事情なので責める子もおらず、あかねちゃん&なおちゃんの由来を話ながらほてほてと帰路のみなさん。調子に乗って目ぇピカらせるあかねちゃんかわいい(笑。そういや傘の色も各々のパーソナルカラーなのだね。
このシーンもまた彩度が落とされて梅雨の雰囲気ありあり、さらにカットの合間合間に映される雨の風景が「パパとの思い出」の前振りになっている仕事の細かさには後々感動。そして軒先のツバメの巣から雨宿りするスマイルチームへの繋げ方も粋すぎます。なるほど「雨宿りする雛鳥たち」って事ですか。いちいち芸コマ。
雨宿り中の会話シーンも陰影と立ち位置を絶妙に使った演出で各々の感情を描いていました。親の愛情を確かめた組とそうでない組(やよい一人)。パパにどう思われていたか判らないやよいは一人で柱の影にもたれ、しかしみんなの優しい語りかけによって沈んだ表情がやがて笑顔に変わっていく。キャンディ越しのロングからアップに変わっての笑顔は距離感の変化も感じさせます。

千春さんの仕事はキッズファッションショーのスタッフでしょうか。ステージに据えられた看板の「Fairy Drop」、そして「来海先生」って事はえりかの母ちゃん!? 花屋の隣のブティックが立派になったものです。まあファッションの本場パリでショーをやっちまうブランドなのでイマサラな話ですか(笑。なーんてこういうお遊びネタはシリーズファンに嬉しいですね。
電話しながらナニゲに眺めた外にやよいの姿を見つけた千春さんはエントランスへ走り、一方やよいは遠慮して引き返す気でした。雨の中にポツンと佇む姿はやよいの「遠慮」を感じさせ、すると千春さんから声が掛かって振り向き様のアップへ。たったこれだけのカットでやよいの心理変化を描いてしまう演出力はさすがとしか。塀の影からこっそり様子を見ているみなさん。隠れ際に慌てたみゆきが傘をお猪口にしちゃったり、やよいを気遣ってみんなを抑えたり…こういうちょっとしたカットもキャラが生き生きしています。
パパから預かった宝物のシーンでちょっと涙腺堤防に亀裂発生! ヤバい! かわいい娘にこんなん貰ったら肌身離さぬ宝物にしちゃうよねえ。ぐぬぬ。そして「やよいとパパだけの秘密」の話を聞き、ファッションショーの舞台を歩く父娘に自分の姿を重ねて何かを思い出しそうだけどそれが何かを思い出せない。

するとウルフさんが襲来してファッションショーはどよんどの渦へ。よくも毎回毎回ピンポイントで狙ってくるなあ(笑。どよんど時空に落ちた千春さんへ駆け寄るやよいの脚が色っぽすぎてどうしましょう。さすが上野ケン氏作監回。いつものシーケンスどおりアカンベェ発動、今回はキツネ折紙ベースの赤っ鼻アカンベェです。黄色の大切なものをベースに怪物化ってのはいつかどこかで見たパターンだけれど気にしない気にしない。
鉄骨ブレースをぶち破り、ガラスをぶち破って登場したアカンベェはいきなり作画がスゲー! プリキュアたちは即座に必殺技5発をぶちかまして牽制し、避けて宙に飛んだアカンベェをハッピーが叩き落とし、下で待ち構えた4人が一斉にキックの連携。これまでのへっぽこバトルが嘘のように凄まじい連携アクション、武闘派軍団への変貌です。本気で殺しに行ってます。せっかく5人いるんだからこういうのが見たいんだってばよ!
しかし今回のアカンベェはシャレにならないくらい強い強い。破壊力とスピードを兼ね備えた動き、シッポの一振りでプリキュアたちを振り飛ばし、一瞬のタメから一気に蹴散らすアクションは一瞬も目を離せません。雨水が溜まった路面を転がっていく描写も凄い、というかいちいち水しぶきを飛ばしながら描かれる超迫力アクションはほとんど劇場版クオリティかもしれません。吹っ飛ばされたハッピーが立ち上がって向かって行く表情も凄い。キミいつからこんな勇ましいアクションをできるようになったんだ!?

しかしハッピーは返り討ちに遭って鉄柱へ激突。衝撃で鉄柱が曲がる描写も迫力ありすぎてどうしたものか。ここからの肉弾波状攻撃もタメキメのメリハリが効いたスピード感あふるる迫力アクションを堪能させてくれました。ついでに言えばいちいち色っぽい脚も堪能(そういう目で見てはいけません
「パパに贈ったプレゼントでみんなを傷付けないで!」
大切な仲間を次々と墜とされたピースはついにアカンベェへ立ち向かいます。

しかし振り上げた拳を解き放つ瞬間、アカンベェにパパの顔が重なってしまう。パパが喜んでくれたプレゼントを壊すわけにはいかない。すると一瞬躊躇したピースをアカンベェが襲い…プリキュアシリーズでこの展開は何度見た事やら(笑
吹っ飛ばされたピースは濡れた路面を滑りながら、見つめた路面にパパとの思い出を蘇らせました。ズサーっと後ろに滑るカットは時間遡行の比喩? ずっと降り続けていた雨が止んで晴れ間が射すカットは記憶を覆っていた雲が晴れた事を感じさせますね。ベタだけど綺麗な演出です。
パパの大きな手をギュッと握った幼いやよいの小さい手。もうこれだけでやよいがどんだけパパを好きだったかわかります。泣けます。そして二人で出掛けた丘の上の教会の事をはっきり思い出しました。

「ママには内緒だよ。パパとやよいだけの秘密だからね!」
ファッションショーの時に浮かんだイメージは教会のバージンロードを歩いた時のもの。パパとの結婚式、これが二人の秘密でした。なんてかわいい秘密でしょう。こんなかわいい事言ってくれるのも以下略。
ここでやよいは名前の由来を聞いたのですね。「千の春」と書くママの名前、春のように優しいママのような人になってほしくて春の名前「弥生」と名付けた。柵越しに覗いているようなアングルはいかにも「二人だけの秘密」っぽい演出で良し良し。そして頭を撫でてくれる大きな手、その時のパパの笑顔とやよいは全て思い出しました。

さらに記憶は蘇ります。これまでカットの合間に描かれた梅雨の風景は全てパパとの思い出が詰まった風景だったのです。トーンが落とされた梅雨の風景に対し鮮やかな思い出の風景、もうこれだけでパパとの時間がいかに楽しかったかわかろうというもの。上手いなあ。この仕込みには参りました。その流れから「大きくてゴツゴツした手の感触」の思い出へ続けるのもズルい。この辺で既に私の涙腺は過労死寸前だったのですがさらにムチ入れが続きます。殺す気か。

「ごめんね。すぐに思い出せなくて。パパは私をあんなに愛してくれたのに、あんなにいっぱい」
フラッシュバックした数々の思い出にハッと振り返ったピースが見た風景に全ての答えがありました。白い光の向こうの仲良し親子、やよいは溢れるほどの愛情をパパから貰っていたのです。このシーンは映像もさることながら音楽や金元さんの演技も総動員で泣かせにきて辛抱たまりません。というか既に画面が見えないってばよ!
パパから貰った愛情を噛みしめてリアルに戻ったピースはアカンベェと対峙。いつもと別人のように強い表情で立ち…欠けていたものを取り戻した自信・成長が窺える強い表情です。対するウルフさんの返しが悪役全開でちょっと笑った。この人って容赦無いな。

そこから発動したピースサンダーはいつもの「ひゃっ!」を我慢し、バンク中の表情も絶妙に修正されたものでした。まさかバンクまで手を入れてくるとは! この拘りは凄い。というわけで簡単に比較。言うまでもありませんが画像左列が今までのバンク、右列が今回のバンクです。今後は修正後がデフォルトになるのかな? 感電涙目の旧バンクも好きなので難しい所(笑

浄化して元に戻ったプレゼントを胸に抱いて一件落着。他者からの愛を感じる事ができる人は優しい人、パパの愛を感じられたのならやよいは優しく育っている。例の教会の前でそう語る千春さんも優しい人です。でも名前のお気に入り度を娘と張り合うお茶目さんでした。あははは。やよいに心からの笑顔が戻った事を陰から見守るみなさん、こちらもまたニッコリ笑顔の綺麗な締めでした。

エンドカードはサニーの新フォーム&新アイテム? だからネタバレは…。それはそうと動いているのを見ないとナントモだけどこの髪型はどうなのだろう?
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涙で画面が見えない父の日回でした。

ファーストカットはシトシトと降り続ける梅雨の風景。彩度が落とされた映像は厚い雨雲に覆われた梅雨の雰囲気ありありです。そして雨の中に映し出される街灯や教室の灯り。これは今回通して描かれたモチーフ「雨と灯り」、すなわち「冷たい雨空に灯る暖かい光」転じて「雨降るココロに仄かに灯る暖かい気持ち・思い出」を冒頭から印象付けるもの。この始まり方からして今回はタダ事ではないと思ったけれど、EDのスタッフクレジットにて境監督が演出を担当されていたと知って大納得でした。さらに今回はシナリオ(米村正二氏)・作画(上野ケン氏)とエース勢揃い。そういや前のやよい回(第9話)も米村・上野組でしたっけ。優遇されてるなあ。ちなみに今回SDはノータッチだったらしい(笑
「自分の名前にどういう思いが込められているのか?」
さてそんな梅雨時の教室にて教壇に立つれいか先生から宿題が出ました。思春期といえば親の完全庇護から巣立つ時期、自我が芽生え親と自分が別の存在である事に気付き、程度の差こそあれ親が疎ましくなったりする時期であります。だからこそ自分に対する親の思いを知れば互いに尊重し合える、より良い関係を築ける(かもしれない)。
おっと今回から七色ヶ丘中学校も夏服なのでした。黄色いカーディガンだったやよいはVネックサマーベストに、緑のベストだったなおちゃんは脱いで制服マンマに、あかねちゃんのトレードマークだった腰巻きセーターも無くなっています。特になおちゃんの緑ベストはほぼ記号化していたので無くなるとちょっと寂しいかも。ちなみにれいかさんの青い謎服はそのまま、制服が半袖になると余計に謎度が深まった感じ(笑
突然の宿題に頭を抱えるあかねちゃん、照れるなおちゃん、などなど様々なリアクションを見せる中でやよいだけ沈んでいます。やばいこの時点でもう泣きそう(私が。
ウルフさんの小咄とタイトルコールが明けて始まった本編。ここの入りもまた雨の中の灯りが強調されていましたね。暗闇に立つ警報機の光に照らされる雨粒の描写スゲー! そして窓の灯りが漏れるマンションの間から望む暗闇に電車の灯りが走り抜ける描写も凄い。これらモチーフの描写と合わせてやよいのママが雨の中電車で帰宅してきている事も窺わせる芸の細かさ。

ママが帰宅すると映されるドアクローザーのアップ。これは後のパパ帰宅シーンに重ねる前振りか。開始数分なのに演出が芸コマすぎて追い付きません。国産大豆の味噌でみそ汁を作って待ってるやよい、足し算はできないけどみそ汁は作れます!(笑。帰宅したママと並んで夕食準備のカットはエプロン姿のお二人が肉感的すぎて驚きの作画。このボディライン(特に下半身)への拘りはさすが上野ケン氏作監回だけあります。焼き上がったムニエルを盛りつけに移動する動き(フライパン片手に話ながらやよいの後ろを回り込むカット)も自然で、こういう日常生活の地味な動作を自然に見せられるのは凄い事だと思う。というかやよいママ(千春さん)は相変わらずかわいすぎるだろう。メインキャラに負けず劣らずママキャラがかわいいのはプリキュアシリーズのお約束とはいえ千春さんは度を超していますよ(笑
キッチンに立ちながら宿題の話をするやよい。しかしやよいの名前を付けた当人は既に鬼籍に入っており、千春さんも命名の由来を知らないため永遠の謎に。なるほど本当に死別片親なのか。やよいの回想によるパパさん帰宅シーン、疲れて帰ってきたパパさんは声に張りがなく、しかし飛び付いて出迎えたやよいの頭を一撫ですると元気復活。そりゃこんなかわいい娘と美人の嫁が待ってる家に帰ってくれば疲れも吹き飛ぶでしょう。ぐぬぬ。
そういやパパさんのネクタイも黄色なのね。やよいの黄色ネクタイはパパさんから受け継いだものだったのか。

各々の家庭の宿題(?)風景。まずは雨の中に浮かんだカーテン越しの窓の光からみゆきの部屋。キャンディとお約束の販促の後、名前の由来を聞きに部屋を出る時灯りを消すともちろん部屋は真っ暗に。すると浮かび上がる天窓からの光。明るい部屋では気付かない窓外の灯りも暗くすれば仄かに灯るのです。なんと奥深い。
続くあかねちゃんもこれまた雨の中にて店の光が灯っているカットから。厨房で軽く小競り合い(笑)しながら父娘の会話はじつに微笑ましい。母ちゃんの肝っ玉っぷりも清々しいです(笑
雨の池に映った障子の灯りから始まるれいかさん邸の様子。障子の開け閉てをきちんと作法どおりこなし、きちんと正座からお爺さまへお伺いを立てるれいかさんは育ちの良さが滲み出て止みません。私服ではストッキング着用ってのもお嬢様らしい。
なおちゃんの父ちゃんは大工さん。縁側にブルーシートは敷いて作業灯を点けてのカンナ掛け、これまた外の雨と灯りを意識させる絵作りです。幼い弟妹が寝静まった所で話しかけたなおちゃんが色っぽすぎてどうしたものかと。夏期私服はなおちゃんがいちばんかわいいかも。いやなおちゃんは年中かわいいのだけれど。
これら各々のシーンはご覧のように陰影を強めに描いた絵作りでことさら「灯り」を、すなわち家族の暖かさを強調している感じ。ところが次のやよいは広い自室にポツンと一人、もちろん灯りは点いているものの平坦な明るさでボンヤリした雰囲気です。まあ話し相手が国語辞典ではねえ。パパとの記憶の断片が浮かんだやよいは必死に思い出そうとしても叶わず、すると画面にはっきりした陰影が描かれます。それはパパの写真による影。後ろからのアングルで描かれた「影」はパパの事を思い出せない辛さ・歯がゆさ・寂しさを強調していますね。
結局国語辞典で調べた話をでっち上げて宿題を乗り切ったやよい。でもどことなく不自然な様子をみゆきは見逃しませんでした。

その帰り道にてやよいはでっち上げネタを告白。まあ事情が事情なので責める子もおらず、あかねちゃん&なおちゃんの由来を話ながらほてほてと帰路のみなさん。調子に乗って目ぇピカらせるあかねちゃんかわいい(笑。そういや傘の色も各々のパーソナルカラーなのだね。
このシーンもまた彩度が落とされて梅雨の雰囲気ありあり、さらにカットの合間合間に映される雨の風景が「パパとの思い出」の前振りになっている仕事の細かさには後々感動。そして軒先のツバメの巣から雨宿りするスマイルチームへの繋げ方も粋すぎます。なるほど「雨宿りする雛鳥たち」って事ですか。いちいち芸コマ。
雨宿り中の会話シーンも陰影と立ち位置を絶妙に使った演出で各々の感情を描いていました。親の愛情を確かめた組とそうでない組(やよい一人)。パパにどう思われていたか判らないやよいは一人で柱の影にもたれ、しかしみんなの優しい語りかけによって沈んだ表情がやがて笑顔に変わっていく。キャンディ越しのロングからアップに変わっての笑顔は距離感の変化も感じさせます。

千春さんの仕事はキッズファッションショーのスタッフでしょうか。ステージに据えられた看板の「Fairy Drop」、そして「来海先生」って事はえりかの母ちゃん!? 花屋の隣のブティックが立派になったものです。まあファッションの本場パリでショーをやっちまうブランドなのでイマサラな話ですか(笑。なーんてこういうお遊びネタはシリーズファンに嬉しいですね。
電話しながらナニゲに眺めた外にやよいの姿を見つけた千春さんはエントランスへ走り、一方やよいは遠慮して引き返す気でした。雨の中にポツンと佇む姿はやよいの「遠慮」を感じさせ、すると千春さんから声が掛かって振り向き様のアップへ。たったこれだけのカットでやよいの心理変化を描いてしまう演出力はさすがとしか。塀の影からこっそり様子を見ているみなさん。隠れ際に慌てたみゆきが傘をお猪口にしちゃったり、やよいを気遣ってみんなを抑えたり…こういうちょっとしたカットもキャラが生き生きしています。
パパから預かった宝物のシーンでちょっと涙腺堤防に亀裂発生! ヤバい! かわいい娘にこんなん貰ったら肌身離さぬ宝物にしちゃうよねえ。ぐぬぬ。そして「やよいとパパだけの秘密」の話を聞き、ファッションショーの舞台を歩く父娘に自分の姿を重ねて何かを思い出しそうだけどそれが何かを思い出せない。

するとウルフさんが襲来してファッションショーはどよんどの渦へ。よくも毎回毎回ピンポイントで狙ってくるなあ(笑。どよんど時空に落ちた千春さんへ駆け寄るやよいの脚が色っぽすぎてどうしましょう。さすが上野ケン氏作監回。いつものシーケンスどおりアカンベェ発動、今回はキツネ折紙ベースの赤っ鼻アカンベェです。黄色の大切なものをベースに怪物化ってのはいつかどこかで見たパターンだけれど気にしない気にしない。
鉄骨ブレースをぶち破り、ガラスをぶち破って登場したアカンベェはいきなり作画がスゲー! プリキュアたちは即座に必殺技5発をぶちかまして牽制し、避けて宙に飛んだアカンベェをハッピーが叩き落とし、下で待ち構えた4人が一斉にキックの連携。これまでのへっぽこバトルが嘘のように凄まじい連携アクション、武闘派軍団への変貌です。本気で殺しに行ってます。せっかく5人いるんだからこういうのが見たいんだってばよ!
しかし今回のアカンベェはシャレにならないくらい強い強い。破壊力とスピードを兼ね備えた動き、シッポの一振りでプリキュアたちを振り飛ばし、一瞬のタメから一気に蹴散らすアクションは一瞬も目を離せません。雨水が溜まった路面を転がっていく描写も凄い、というかいちいち水しぶきを飛ばしながら描かれる超迫力アクションはほとんど劇場版クオリティかもしれません。吹っ飛ばされたハッピーが立ち上がって向かって行く表情も凄い。キミいつからこんな勇ましいアクションをできるようになったんだ!?

しかしハッピーは返り討ちに遭って鉄柱へ激突。衝撃で鉄柱が曲がる描写も迫力ありすぎてどうしたものか。ここからの肉弾波状攻撃もタメキメのメリハリが効いたスピード感あふるる迫力アクションを堪能させてくれました。ついでに言えばいちいち色っぽい脚も堪能(そういう目で見てはいけません
「パパに贈ったプレゼントでみんなを傷付けないで!」
大切な仲間を次々と墜とされたピースはついにアカンベェへ立ち向かいます。

しかし振り上げた拳を解き放つ瞬間、アカンベェにパパの顔が重なってしまう。パパが喜んでくれたプレゼントを壊すわけにはいかない。すると一瞬躊躇したピースをアカンベェが襲い…プリキュアシリーズでこの展開は何度見た事やら(笑
吹っ飛ばされたピースは濡れた路面を滑りながら、見つめた路面にパパとの思い出を蘇らせました。ズサーっと後ろに滑るカットは時間遡行の比喩? ずっと降り続けていた雨が止んで晴れ間が射すカットは記憶を覆っていた雲が晴れた事を感じさせますね。ベタだけど綺麗な演出です。
パパの大きな手をギュッと握った幼いやよいの小さい手。もうこれだけでやよいがどんだけパパを好きだったかわかります。泣けます。そして二人で出掛けた丘の上の教会の事をはっきり思い出しました。

「ママには内緒だよ。パパとやよいだけの秘密だからね!」
ファッションショーの時に浮かんだイメージは教会のバージンロードを歩いた時のもの。パパとの結婚式、これが二人の秘密でした。なんてかわいい秘密でしょう。こんなかわいい事言ってくれるのも以下略。
ここでやよいは名前の由来を聞いたのですね。「千の春」と書くママの名前、春のように優しいママのような人になってほしくて春の名前「弥生」と名付けた。柵越しに覗いているようなアングルはいかにも「二人だけの秘密」っぽい演出で良し良し。そして頭を撫でてくれる大きな手、その時のパパの笑顔とやよいは全て思い出しました。

さらに記憶は蘇ります。これまでカットの合間に描かれた梅雨の風景は全てパパとの思い出が詰まった風景だったのです。トーンが落とされた梅雨の風景に対し鮮やかな思い出の風景、もうこれだけでパパとの時間がいかに楽しかったかわかろうというもの。上手いなあ。この仕込みには参りました。その流れから「大きくてゴツゴツした手の感触」の思い出へ続けるのもズルい。この辺で既に私の涙腺は過労死寸前だったのですがさらにムチ入れが続きます。殺す気か。

「ごめんね。すぐに思い出せなくて。パパは私をあんなに愛してくれたのに、あんなにいっぱい」
フラッシュバックした数々の思い出にハッと振り返ったピースが見た風景に全ての答えがありました。白い光の向こうの仲良し親子、やよいは溢れるほどの愛情をパパから貰っていたのです。このシーンは映像もさることながら音楽や金元さんの演技も総動員で泣かせにきて辛抱たまりません。というか既に画面が見えないってばよ!
パパから貰った愛情を噛みしめてリアルに戻ったピースはアカンベェと対峙。いつもと別人のように強い表情で立ち…欠けていたものを取り戻した自信・成長が窺える強い表情です。対するウルフさんの返しが悪役全開でちょっと笑った。この人って容赦無いな。

そこから発動したピースサンダーはいつもの「ひゃっ!」を我慢し、バンク中の表情も絶妙に修正されたものでした。まさかバンクまで手を入れてくるとは! この拘りは凄い。というわけで簡単に比較。言うまでもありませんが画像左列が今までのバンク、右列が今回のバンクです。今後は修正後がデフォルトになるのかな? 感電涙目の旧バンクも好きなので難しい所(笑

浄化して元に戻ったプレゼントを胸に抱いて一件落着。他者からの愛を感じる事ができる人は優しい人、パパの愛を感じられたのならやよいは優しく育っている。例の教会の前でそう語る千春さんも優しい人です。でも名前のお気に入り度を娘と張り合うお茶目さんでした。あははは。やよいに心からの笑顔が戻った事を陰から見守るみなさん、こちらもまたニッコリ笑顔の綺麗な締めでした。

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