2012-06-12(Tue)

黄昏乙女×アムネジア #10 喪失乙女

60年前の忌まわしき真実。

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夕子さんの最期が明らかに。

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今回は前回ラストからの続き。影夕子に取り憑かれた(?)貞一はブラックアウトの後に生前の夕子さん視点で目を覚まし、夕子さんが切り離した「当時の記憶」を追体験することになります。これまで明らかになった夕子さん関連話や、前回断片的に示された記憶画像からして始まる前から凄惨な事になるのがわかっているだけに、冒頭のサービスカットも素直に喜べません。ううう。鏡の前でシミーズをたくし上げ、純白ぱんつが見えた所で脱いだシミーズによって視界が遮られて残念、という隠し方はなかなか凝ってますね。確かに夕子さん視点だとこうなるだろうし(笑。CM明けはお約束どおり既にセーラー服に着替え済みなれど、ホックを留める胸元を見下ろすアングルに眼福眼福。相変わらず凄いボリュームです。この時代に夕子さんのムネが収まるブラってあったのだろうか?

夕子さん視点で過去記憶を巡る貞一は視覚だけではなく触覚や痛覚などの感覚も伝わっているようです。まあ「当時の記憶そのもの」を体験しているのだから当然かもしれません。襖のカドに足の小指をぶつけていたたたた!は小ネタと思わせて、つまり今後夕子さんが体験する痛さを貞一は身を持って知る事になるという前振りですね。

手首に着けた2つの鈴。現代にて貞一とイチャラブしているお花畑の夕子さんはこの鈴を持っておらず、逆に影夕子にとっては象徴のように描かれていました。もちろん何か意味があるとは思っていましたが…これは辛い記憶を切り離すトリガーとなった「アサちゃん」と繋がるアイテムで、だからアサちゃんの記憶を切り離した夕子さんは鈴を持たず、辛い記憶そのものである影夕子に常に付いて回っていたのか。

夕子さんそっくりの黒髪少女は妹の紫子さん、つまり霧江さんのお婆ちゃんです。これまで何度か古い写真で登場していましたが動いているのを見ると少々感慨深い。登場シーンで示された「内気」「はにかみ」「嫉妬」は紫子さんの属性でしょう。夕子さんとの会話を聞くと内気な子には見えませんがそれは家族相手の内弁慶って事。外では大人の様子を怖がり、その後の校舎潜入シーンでも気の小ささが表れていました。なるほど気が小さくて嫉妬深い性格はきちんと孫に受け継がれているようです(笑

件の疫病で村人が次々と倒れている時分。夕子さんは病気で伏せっているらしい「アサちゃん」を心配してお見舞いへ、しかし紫子さんは夕子さんを心配して見舞いを止めます。「アサちゃんは疫病じゃない」と医者の診断を信じてアサちゃんを助けたい夕子さんと、君子危うきに近寄らない紫子さんとの性格の差が面白い。見た目はそっくりなのに中身は全然違うのだなあ。口調を荒げる紫子さんをビンタ一発で黙らせ、この大変な時でも毅然とした振る舞いを貫く夕子さんの姐御オーラが凄い。貞一の膝の上でゴロニャンしているお花畑と同一人物とは思えませんね(笑

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アサちゃんの家へ向かう道すがら、男たちが集まって何かを燃やしているカットは前回チラ見せされた風景です。チラ見せの時は何かの儀式?と思ったけれど、これは亡くなった疫病患者の服や布団や家財道具を燃やしているのか。ほどなく到着したアサちゃん宅は玄関を開けても誰も出迎えず、上がり込んでも人気がありません。こうして「アサちゃん以外疫病で家族全滅」してしまった事をきちんと映像で印象付けているのは演出家の拘りを感じさせます。たいていはセリフで説明させてオシマイですもの。

やはりと言うか件のアサちゃんは第8話で示された古い写真に夕子さん・紫子さんと一緒に写っていた小さい女の子でした。普段から夕子さんに懐いて、仲良く楽しく暮らしていたのでしょう。

家族全員を疫病で亡くし自分も伏せっている。次はきっと自分の番。幼いアサちゃんがそう考えて捨て鉢になってしまうのは無理もありません。しかし夕子さんは医者の診断を信じて励まし、口先だけでは無い事を証明するようにアサちゃんが口に含んだドロップを自分の口に入れてみせました。

「大丈夫、私は死なないから」

そんな夕子さんを心配して泣きじゃくるアサちゃん。前回のチラ見せカットはこんなやり取りだったのか。幼いアサちゃんもここまでされれば夕子さんの気持ちが伝わり、さらに「私は死なない」と念を押されてようやく落ち着きを取り戻しました。とはいえ結果が判っているだけに「死なない」というセリフはじつに切ない。そして手首の鈴を「御守り」として1つ手渡し…これがアサちゃん=鈴=忌まわしい記憶の関連づけになるのですね。見ていて辛い辛い。

アサちゃん宅を出た夕子さんを紫子さんが待っていました。変にキメたポーズ&そこからの泣き顔がじつに霧江さんマンマです(笑。並んで歩きながら「希望を捨てちゃだめ」と手を取って励ますシーンが前回のチラ見せカットでした。なるほど不安そうな表情はこういう事だったのね。すると紫子さんは学園へ向かう大人たちを発見。この辺から不穏な空気が漂い始めます。

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学園に集まった大人たちが疫病対策を話し合うシーンは赤基調の映像処理が怪しさ増し増し、シルエット描写も村人たちの絶望感を強調していました。神社跡に学園を建てる際に人柱を建てなかった事が神様の怒りに触れた、この疫病を収めるためには今からでも人柱を捧げるしかない。そんな事をしても疫病が収まるはずが無いのに…なんてのは現代人なら誰でも判る事。けれど話し合っているのは60年前の年寄りたち、つまり明治生まれ(下手すれば江戸時代生まれ)の人里離れた寒村に代々暮らす人たちなのです。何の根拠も無い「神頼み」を結論とするのも無理はありません。

てな話をこっそり聞いていた夕子さん&紫子さん(&貞一)。想像外の内容を現実として捉えきれない貞一の心理を映画館に例える演出は面白いなあ。「神様の祟り」などまるで映画のような別世界、しかし話題が「人柱」に進むとそれが誰の役目なのか判っている貞一は頭を抱えて苦悶し始めます。

おどろしい姿に変わった村人たちは人柱の選定を話し合い、すると村長が「銅人(アカヒト)」の名前を出しました。人身御供を選ぶアカヒトさん、第6話で描かれたアカヒトさんの怪談はこれが発祥だったのですね。それにしても自分たちで選ばず「アカヒト」に全ての責任を押し付けるやり方は何といやらしい。

ヤバい話を聞いてしまった夕子さん&紫子さんはこっそり退散。ここでビビって固まる紫子さんが思いっきり霧江さんぽくてかわいいのだけれどそんなん言うてる場合ではありません。夕子さんの左手に掴まった時に例の鈴が鳴ってしまってさあ大変! 村人たちに気付かれて咄嗟に逃げ隠れるシーンは緊迫感ありあり。そして隠れた先は将来怪異調査部の部室になる物置でした。しかし壁に穴はありません。

「祠はこの辺じゃなかったかのう…」

追って来た村人は物置の入り口でこんな事を言っていました。つまりあの穴は人柱を捧げるために開けられた穴だったのです。

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子供を人柱にする。そんな話を聞いてしまった以上アサちゃんを一人にしておくわけにはいきません。どてらを着て熱いお茶を飲んで庚家の居間で暖まるアサちゃん、優しい夕子さんたちに囲まれて落ち着きを取り戻したようです。

これでとりあえず一安心の夕子さんは風呂へ。この時代に家風呂しかも結構広い風呂場があるって事は、庚家は相当な金持ちなのかな。立ち居振る舞いからして名家のお嬢様っぽいですし。すると風呂場に紫子さんがやってきました。着替えに続いて入浴、さらに全裸の紫子さんまで目撃とは中の人に刺激が強すぎます(笑。まあこれだけ良い思いをしても後の出来事で帳消しどころか大赤字なのですが。

大人たちの人柱作戦を止める気まんまんの夕子さん、しかし紫子さんは夕子さんを心配して必死に止めます。下手に関わって人柱にされては大変。ところが夕子さんはあくまで決意を曲げず、思いあまった紫子さんは思いっきりビンタ! すると夕子さんもビンタ返し! 感情が高ぶるとすぐ手が出るのは姉妹共通? ビンタ合戦は痛々しいけれどそれだけ互いに直球勝負な姉妹なのでしょう。それはともかく紫子さんのバストサイズはきちんと霧江さんに遺伝しているようで以下略。

溢れる優しさ、理不尽を許さない正義感、怒り、月の美しさに見とれる感性などなど、生前の夕子さんはこんなに感情豊かな人だった。というか大元がこれだけ激しい人なのだから、そこから負の部分だけ切り離した影夕子の激しさも納得いくかも。

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さて風呂から上がった夕子さんが居間を覗くとアサちゃんの姿がありません。置いたままの湯呑み、脱ぎ散らかされたドテラなど「さっきまでそこに居た」事を窺わせる描写は地味に怖い。紫子さんに訊いてもアサちゃんの所在は判らず…会話中の激しい鼓動と赤被りは、落ち着いた口調の裏で「嫌な予感」が駆け巡っている事を窺わせます。そして手にしたドテラの破れを指摘されると夕子さんスイッチオン! アサちゃんが浚われた!

アサちゃんを人柱になんてさせない。物置小屋へ急ぐ夕子さんを示す貞一のシルエットはきちんと女の子走りなのね(それどころでは。夕子さんの運命を知っている貞一は「行っちゃダメだ!」と必死に叫ぶけれど、それこそ歴史が証明しているのでいくら止めても無駄なんだよね。

物置小屋へ向かっていた夕子さんは怪しい灯りに気付いて引き返し、飛び込んだ先に集う大人たちを掻き分け、儀式の中央に拘束されたアサちゃんを見つけます。怪しすぎる怖すぎる。というわけで前回のチラ見せカットは「アカヒト」にされたアサちゃんでした。

「夕子お姉ちゃん!」

夕子さんに気付いたアサちゃんは反射的に夕子さんの名を呼び、しかしこの声が生贄の指名とされてしまいます。

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狂気じみた大人たちに一斉に取り囲まれ、いくらもがいても身動き取れず、手足を掴まれ穴へ運ばれる夕子さん。視線の先の天井板がゆっくり流れ、暗い穴へ近付いていく描写は恐怖感を煽りまくりです。極彩色の背景もこの狂気空間を演出していますね。怖いってばよ!

泣けど叫べどそのまま無慈悲に穴へ突き落とされ、この時の衝撃で夕子さんの足が折れたのでした。あまりの理不尽に怒る貞一、しかし夕子さんは骨折の痛みに呻きながらも「自分が人柱になればみんなが救われる」と自分を納得させていました。手や声を震わせながらもまだ平静を保つ精神力が残っているのです。

穴の奥に例の祠を見つけてにじり寄り、祠を目の当たりにした夕子さんは次第に動揺を見せ、自分の運命を察し始めます。この丁寧な心理変化描写が素晴らしい。

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祠を開けると現れた鏡。そこに映った自分の顔は自分が「祠に収まる身」になったという事で、それまで平静を保っていた夕子さんはようやく「人柱」の意味を思い知る事になりました。

怖い、怖いよ。死ぬの? 私死ぬの? 取り乱す夕子さんを嘲笑うように1本1本と消えていく蝋燭。恐怖に震え、いくら叫んでも誰も助けてくれない。立ち上がろうとしても足が動かず泥水へ転び、泣いて謝っても虚しく響くだけ。そしてついに最後の蝋燭が消えて穴は真っ暗となり、死のイメージに飲み込まれた夕子さんは目を見開いて恐怖を叫ぶ。この一連シーンは予想以上の凄惨さでした。

泣いても叫んでも助けてはもらえない。泣き疲れた夕子さんは落ち着きを取り戻すも、次のステップ「理不尽の理由探し」を始めます。ここは時間経過を表す桜→蛍→紅葉→雪を舞わせる演出が秀逸でした。全て「散って消える」ものなんですよね。

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私がこんな目に遭うのは誰のせい? 誰が私を人柱に決めたの? アカヒトさん? あの子のせいなの? 優しくしてあげたのに、あの子が私の名前を呼んだせいで…あの子が憎い、アサが!

恨みの矛先を定めた瞬間に鏡が割れ、夕子さんから引き剥がされる貞一(=影夕子)。つまりこの瞬間に夕子さんの自衛(人格分離)が始まったのでしょう。次の瞬間夕子さんは我に返り「悪いのはあの子じゃない」と判りながら、辛さ苦しさ痛さにむせび泣きを止められない。これはキッツイ、キツすぎる。

「私は怒ったりしない。悪いのは私じゃない。他の誰か。私は憎んだりしない…」

夕子さんは負の感情を否定しながら事切れ、すると入れ替わるように鏡に現れた影夕子。憎い、憎い、私を生贄に生き延びようとした者が憎い、私を殺した者が憎い。貞一は影夕子の怨念の叫びに流され、光の中を飛んで現世に戻って影夕子劇場は一巻の終了です。これが夕子さん最期の真実、影夕子が持つ怨念の全てでした。まさか1本丸ごと過去回想、しかも当時の夕子さん視点で通す拘りには脱帽するしか。

さてここで気になるのはアサちゃんのその後。あのまま成長していれば中学生くらいの孫がいる年齢でしょうし、もしかしたら学園にいるのかもしれません。なーんて(おそらく空振り。

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エンドカードは岸田メル氏でした。

    

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