2012-06-19(Tue)
黄昏乙女×アムネジア #11 紅涙乙女
おかえりなさい、私。

夕子さん&影夕子の融合、アサちゃんの「その後」。

影夕子が持つ「夕子さんの辛い記憶」を疑似体験して現実に戻った貞一。一方夕子さんは当然のように「影夕子に追われていた記憶」すら失くしていました。やはり影夕子に関する事は綺麗さっぱり忘れて(切り離して)しまうらしい。では疑似体験のプロセスによって影夕子の記憶を取り込んだ貞一との関係はどうなるのか?
辛い記憶そのものである影夕子を内包した貞一を夕子さんが拒絶するのは自明であり、それはふと触れた指先によってわかりやすく描かれます。触れた瞬間の激しいショック、一瞬映る辛い記憶、そして夕子さんの瞳に映る貞一は点滅を繰り返し、ついに貞一が見えなくなった夕子さんは悲痛な叫びを上げながら貞一を捜す。貞一からは夕子さんが見えているのに、夕子さんは貞一が見えない。
第8話の時は辛い記憶(醜い感情)を思い出させる貞一を拒絶するあまり「貞一に関する記憶」を切り離し、その結果貞一の姿は見えど関する記憶が消えたわけですが、今回は貞一に関する記憶が残ったまま辛い記憶(影夕子)を拒絶しているため先とは逆の現象が起きた。
翌朝のお出迎えタイムになっても夕子さんは貞一が見えません。登校してきた貞一が目の前に現れても気付かぬまま待ち続け、やがて寂しそうな表情を浮かべて校内へ消えていく。ううう。じつに切ない。後姿を見送る貞一も辛いだろうなあ。

いつもはラブイチャ全開の授業中も今回ばかりは寂しさMAXです。いつもどおり席に着いている貞一のすぐ側で寂しげにしゃがみ込む夕子さん。貞一からは見えているので思わず手を伸ばすけれど、触れる事による衝撃&記憶フラッシュバックを危惧して思い止まるのでした。授業に構わず年中ベタベタされるのは困るけれど、そこにいるのに触れられないってのも辛い。
「まるで貞一くんが幽霊みたい」
例によって小此木メンバーとのランチタイムを見守るポジションの夕子さん。しかしここでも夕子さんは貞一の姿が見えず、その様子を背中で見ている貞一は小此木メンバーの声など耳に入らず気もそぞろ。柱の影で2人を分けたアングルは辛い現状を強く意識させますね。それにしてもあれほど思いっきり振られたのに変わらぬ笑顔でテーブルを共にする小此木メンバーの精神力は見習うべきか(笑
生徒たちが行き交う廊下で叫んでも誰も気付いてくれない。誰も私を見ない、声を聞かない、触らない。60年間ずっとそういう日常で、きっとその時感じた「寂しさ」は影夕子に押し付けていたのだろうけれど…その全てを満たしてくれた貞一との記憶によって寂しさに苛まれるとは皮肉なものです。
その貞一は目の前にいて、夕子さんを見て、声を聞いていました。でも夕子さんは気付いてくれません。そして言葉の勢いで夕子さんに触れると、やはり衝撃&記憶フラッシュバックが起きてしまう。辛い記憶への恐怖から子供のように丸まって怯える夕子さんがかわいい!(なんて言ってる場合ではない

どうすりゃいいのか八方塞がりの貞一は霧江さんにご相談。霧江さんってばいちいちポーズをキメないと喋れないのか(笑
「相手のために身を引くなんて嘘だ。自分が怖じ気づいているだけだぞ!」
「夕子の事が好きなんだろ! 屁理屈言って自分を誤魔化すな!」
夕子さんのために身を引く宣言の貞一へ叩き付けた霧江さんのセリフ。まるで自分の事を言っているみたいです。貞一を憎からず思っていて、何度かチャンスがあった告白タイムでもいざとなったら怖じ気づき、笑って誤魔化してきた。だからこそ「誤魔化しちゃダメ」という事が身に染みているのでしょう。そして年中イチャイチャを見せ付けられ、諦めた男が今度はあっさり別れを受け入れようとしている。そりゃ霧江さん的には認められない、ふざけんな!ってものです。涙ながらにハッパを掛ける気持ちもわかりますね。ああもう霧江さんの薄い胸が張り裂けそう! そしてキタエリいい仕事しすぎ、ハマりすぎ。
活動日誌を使った意思疎通、姿が見えない相手との文通コーナーは某めんまを思い出してちょっとほんわか。お互いの気持ちを確かめ合い、なぞった手形に手を重ねて相手の体温を感じる。ところがこういう中途半端な繋がりがさらに寂しさを募らせる事になるのです。いないものなら諦めがつくけれど、いるのがわかっていて会えない寂しさ。貞一からは寂しさに震える夕子さんが見えているだけになおさら。

てな所へ登場した小此木メンバーが手にしているのは「オコノギ式 ドロップス 復刻版」…60年前の記憶で夕子さんが持っていたドロップと同じ!? これはしたり! 全然気付かなかった。小此木メンバーったら製菓会社のお嬢様だったのね。まさかこんな所に小此木メンバーの出自、つまり「アサちゃん≠小此木祖母」というネタが隠されてたとは。
懐かしいドロップを見た貞一はアサちゃんの事を思い出し、今だ存命の霧江さんの祖母、すなわち紫子さんとの面会に立ち上がります。夕子さん亡き後の話を聞けば何か判るかもしれない。さっそく霧江さんに相談すると例によってポーズをキメながら快諾、そして連れて行かれた先は学園の理事長室でした。なるほど霧江さんが旧校舎の設備を自由に使えたのはこういうカラクリだったのですね。
理事長室にて出迎えた上品なお婆さんが現在の紫子さんでした。夕子さんも存命ならばこんな感じに年齢を重ねていたのかな。娘時代の紫子さんとの会話を疑似体験している貞一的には不思議な感じでしょう。全裸も見ちゃってるし(笑
紫子さんも夕子さんが見えていたらしく、また生き残った昔の村人にも夕子さんは見えていた。しかしその姿はまさに怨念の塊である影夕子で、つまり「恨んで死んでいった」と思っている人々には「そういう姿」に見えていたということ。画面の下半分(学園の地下)に怨念の炎が描かれる演出は紫子さんが抱くイメージを表しているようでした。

ところが貞一には美しく優しい夕子さんが見えていた。一応「怪談の主役」である夕子さんに対し、健康な男子中学生が抱くイメージとはいえ何故最初から「お花畑なばいんばいん美人」に見えたのか不思議っちゃ不思議で…つまり貞一には「夕子さん=優しい美人」というイメージが潜在的に刷り込まれていたためそういう風に見えた。彼もまた通例どおり「イメージ通りに見えた」というだけの事なのです。では貞一が何故夕子さんに対してそういうイメージを持っていたのか?
その答えは紫子さんが差し出したアルバムにありました。ぺらぺらとページをめくった先に現れた1枚の写真、本編映像では一瞬で次シーンへ変わったこの写真はお婆ちゃんと少年が並んで写っており…おそらくこの瞬間に第1話ラストで見つけた墓石の下の鈴を思い出したのか、貞一は夕子さんのお墓へ走り、鈴を見つけて全てが繋がった? そういや第1話の時点で「夕子さんっていうのは昔この学校に本当に存在した人で、その夕子さんを思っている人がこのお墓を建てたんじゃないかな」と前振りがあったのだなあ。まさかこういう形で回収してくるとは予想しなかった。

いつしか降り始めた雪を見つめて黄昏れる夕子さん。部室を訪れた貞一には相変わらず気付きません。すると貞一は夕子さんの思い出の品を次々と破壊し始め…要するに力技で夕子さんの意識を引き付ける作戦でした。貞一が見えない夕子さんにとって部屋内の物がいきなり壊れ始めるのは怪現象もいいところだけれど、怪現象に怯える幽霊ってのも結構シュールではあります(笑。大切な文通ノートを破った所でノートの向こうに立つ貞一をついに認識、そして貞一と共に影夕子も現れました。どちらも「切り離した記憶」である事に違いは無く、それを無理やり認識させたのだから影夕子が現れるのも道理でしょう。背後に立つ影夕子に怯える夕子さん、しかし貞一は影夕子にこそ用事があったのです。
「だって、あなたも夕子さんじゃないですか」
影夕子が持つ辛さ・悲しみに心から涙を流し、一部始終を見ながら何も出来なかった事に悔し涙を流す貞一。憎悪の塊であるおぞましい姿にも関わらず、貞一は影夕子を抱き締めて涙を流していました。貞一にとって影夕子も夕子さんであり、辛く悲しい存在だからこそ抱き締めてあげたい。何も出来なかったけど一緒に泣くくらいはできる。
貞一の涙(影夕子を受け入れた事)によって夕子さん&影夕子が一体化する流れは言ってしまえばド王道で、こうするしか落とし所が無いとは思っていたのだけれど、あまりにあっさり融合しちゃって少々拍子抜けだったかも。というか影夕子ってば貞一にやられすぎ(笑。上段の夕子さんが下手(負の方向)へ向かい、下段の影夕子が上手(正の方向)へ向かい、次のカットで上下にズレていた2人がぴったり揃う演出は感情・記憶の一体化を綺麗に表現していました。

2人の影が重なった白い光、正負の夕子さんが抱き合って一体化するカットもいい感じ。

互いが互いに「お帰りなさい」と声を掛け、1つになった夕子さんは振り向き様に鈴をチリンと鳴らして「ただいま、貞一くん」と綺麗な締め。影夕子の象徴であった例の鈴が夕子さんの姿で鳴ったのはベタながら気が効いた演出でした。この瞬間ちょっとウルッと来てしまいましたよ。いい最終回でした。
と思ったらまだ11話なので終わりません(アタリマエ。原さん歌唱の夕子さんバージョンEDの後、始まったCパートにて貞一とアサちゃんの繋がりが明らかになりました。アサちゃんの本名は「浅葱」、「夕焼けの赤」と「夕闇の紫」の間の色である浅葱…つまり「夕子」と「紫子」の間の存在なのでした。そしてその浅葱さんは貞一くんのお婆ちゃんの名前。貞一が潜在的に持っていた夕子さんのイメージは、疫病が猛威を奮う中でも優しくしてもらったアサちゃんの思いを受け継いだのですね。前回のレビューにて「アサちゃんのその後」が気になっていた私もこれにてすっきり。まあアサちゃんの子孫が貞一ってのはあまりに出来すぎているので返って違うような気がしていたけど結果オーライで(笑
人柱として埋められ長い間苦しんだけれど、そのおかげでアサちゃんは生き延び、貞一くんと出会えた。これまでの辛さが無駄じゃなかった事を喜び、貞一をギュッとする夕子さんの泣き笑顔がじつにかわいらしい。やっぱりかわいい夕子さんが一番です。
これにて一件落着の2人は仲良く手を繋いでお揃いの鈴を鳴らしてお帰り。すると夕子さんの鈴が落ち、拾おうとした手をスッとすり抜け…存在力が薄まっている? これはどう見ても成仏フラグでしょう。思えばこの世への怨念が無くなったのだから幽霊として存在する意味も無く、そもそも融合の際に「貞一くんが認めてくれるなら思い残す事なんて…」と本人が言っていましたし。
思い残す事が無くなって成仏するのは良い事だけれどこのまま消えちゃうのは寂しすぎ。次回最終回は本作らしく明るく楽しく少々のお色気を持って上手いこと締めていただきたい所です。

エンドカードはnamo氏。
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夕子さん&影夕子の融合、アサちゃんの「その後」。

影夕子が持つ「夕子さんの辛い記憶」を疑似体験して現実に戻った貞一。一方夕子さんは当然のように「影夕子に追われていた記憶」すら失くしていました。やはり影夕子に関する事は綺麗さっぱり忘れて(切り離して)しまうらしい。では疑似体験のプロセスによって影夕子の記憶を取り込んだ貞一との関係はどうなるのか?
辛い記憶そのものである影夕子を内包した貞一を夕子さんが拒絶するのは自明であり、それはふと触れた指先によってわかりやすく描かれます。触れた瞬間の激しいショック、一瞬映る辛い記憶、そして夕子さんの瞳に映る貞一は点滅を繰り返し、ついに貞一が見えなくなった夕子さんは悲痛な叫びを上げながら貞一を捜す。貞一からは夕子さんが見えているのに、夕子さんは貞一が見えない。
第8話の時は辛い記憶(醜い感情)を思い出させる貞一を拒絶するあまり「貞一に関する記憶」を切り離し、その結果貞一の姿は見えど関する記憶が消えたわけですが、今回は貞一に関する記憶が残ったまま辛い記憶(影夕子)を拒絶しているため先とは逆の現象が起きた。
翌朝のお出迎えタイムになっても夕子さんは貞一が見えません。登校してきた貞一が目の前に現れても気付かぬまま待ち続け、やがて寂しそうな表情を浮かべて校内へ消えていく。ううう。じつに切ない。後姿を見送る貞一も辛いだろうなあ。

いつもはラブイチャ全開の授業中も今回ばかりは寂しさMAXです。いつもどおり席に着いている貞一のすぐ側で寂しげにしゃがみ込む夕子さん。貞一からは見えているので思わず手を伸ばすけれど、触れる事による衝撃&記憶フラッシュバックを危惧して思い止まるのでした。授業に構わず年中ベタベタされるのは困るけれど、そこにいるのに触れられないってのも辛い。
「まるで貞一くんが幽霊みたい」
例によって小此木メンバーとのランチタイムを見守るポジションの夕子さん。しかしここでも夕子さんは貞一の姿が見えず、その様子を背中で見ている貞一は小此木メンバーの声など耳に入らず気もそぞろ。柱の影で2人を分けたアングルは辛い現状を強く意識させますね。それにしてもあれほど思いっきり振られたのに変わらぬ笑顔でテーブルを共にする小此木メンバーの精神力は見習うべきか(笑
生徒たちが行き交う廊下で叫んでも誰も気付いてくれない。誰も私を見ない、声を聞かない、触らない。60年間ずっとそういう日常で、きっとその時感じた「寂しさ」は影夕子に押し付けていたのだろうけれど…その全てを満たしてくれた貞一との記憶によって寂しさに苛まれるとは皮肉なものです。
その貞一は目の前にいて、夕子さんを見て、声を聞いていました。でも夕子さんは気付いてくれません。そして言葉の勢いで夕子さんに触れると、やはり衝撃&記憶フラッシュバックが起きてしまう。辛い記憶への恐怖から子供のように丸まって怯える夕子さんがかわいい!(なんて言ってる場合ではない

どうすりゃいいのか八方塞がりの貞一は霧江さんにご相談。霧江さんってばいちいちポーズをキメないと喋れないのか(笑
「相手のために身を引くなんて嘘だ。自分が怖じ気づいているだけだぞ!」
「夕子の事が好きなんだろ! 屁理屈言って自分を誤魔化すな!」
夕子さんのために身を引く宣言の貞一へ叩き付けた霧江さんのセリフ。まるで自分の事を言っているみたいです。貞一を憎からず思っていて、何度かチャンスがあった告白タイムでもいざとなったら怖じ気づき、笑って誤魔化してきた。だからこそ「誤魔化しちゃダメ」という事が身に染みているのでしょう。そして年中イチャイチャを見せ付けられ、諦めた男が今度はあっさり別れを受け入れようとしている。そりゃ霧江さん的には認められない、ふざけんな!ってものです。涙ながらにハッパを掛ける気持ちもわかりますね。ああもう霧江さんの薄い胸が張り裂けそう! そしてキタエリいい仕事しすぎ、ハマりすぎ。
活動日誌を使った意思疎通、姿が見えない相手との文通コーナーは某めんまを思い出してちょっとほんわか。お互いの気持ちを確かめ合い、なぞった手形に手を重ねて相手の体温を感じる。ところがこういう中途半端な繋がりがさらに寂しさを募らせる事になるのです。いないものなら諦めがつくけれど、いるのがわかっていて会えない寂しさ。貞一からは寂しさに震える夕子さんが見えているだけになおさら。

てな所へ登場した小此木メンバーが手にしているのは「オコノギ式 ドロップス 復刻版」…60年前の記憶で夕子さんが持っていたドロップと同じ!? これはしたり! 全然気付かなかった。小此木メンバーったら製菓会社のお嬢様だったのね。まさかこんな所に小此木メンバーの出自、つまり「アサちゃん≠小此木祖母」というネタが隠されてたとは。
懐かしいドロップを見た貞一はアサちゃんの事を思い出し、今だ存命の霧江さんの祖母、すなわち紫子さんとの面会に立ち上がります。夕子さん亡き後の話を聞けば何か判るかもしれない。さっそく霧江さんに相談すると例によってポーズをキメながら快諾、そして連れて行かれた先は学園の理事長室でした。なるほど霧江さんが旧校舎の設備を自由に使えたのはこういうカラクリだったのですね。
理事長室にて出迎えた上品なお婆さんが現在の紫子さんでした。夕子さんも存命ならばこんな感じに年齢を重ねていたのかな。娘時代の紫子さんとの会話を疑似体験している貞一的には不思議な感じでしょう。全裸も見ちゃってるし(笑
紫子さんも夕子さんが見えていたらしく、また生き残った昔の村人にも夕子さんは見えていた。しかしその姿はまさに怨念の塊である影夕子で、つまり「恨んで死んでいった」と思っている人々には「そういう姿」に見えていたということ。画面の下半分(学園の地下)に怨念の炎が描かれる演出は紫子さんが抱くイメージを表しているようでした。

ところが貞一には美しく優しい夕子さんが見えていた。一応「怪談の主役」である夕子さんに対し、健康な男子中学生が抱くイメージとはいえ何故最初から「お花畑なばいんばいん美人」に見えたのか不思議っちゃ不思議で…つまり貞一には「夕子さん=優しい美人」というイメージが潜在的に刷り込まれていたためそういう風に見えた。彼もまた通例どおり「イメージ通りに見えた」というだけの事なのです。では貞一が何故夕子さんに対してそういうイメージを持っていたのか?
その答えは紫子さんが差し出したアルバムにありました。ぺらぺらとページをめくった先に現れた1枚の写真、本編映像では一瞬で次シーンへ変わったこの写真はお婆ちゃんと少年が並んで写っており…おそらくこの瞬間に第1話ラストで見つけた墓石の下の鈴を思い出したのか、貞一は夕子さんのお墓へ走り、鈴を見つけて全てが繋がった? そういや第1話の時点で「夕子さんっていうのは昔この学校に本当に存在した人で、その夕子さんを思っている人がこのお墓を建てたんじゃないかな」と前振りがあったのだなあ。まさかこういう形で回収してくるとは予想しなかった。

いつしか降り始めた雪を見つめて黄昏れる夕子さん。部室を訪れた貞一には相変わらず気付きません。すると貞一は夕子さんの思い出の品を次々と破壊し始め…要するに力技で夕子さんの意識を引き付ける作戦でした。貞一が見えない夕子さんにとって部屋内の物がいきなり壊れ始めるのは怪現象もいいところだけれど、怪現象に怯える幽霊ってのも結構シュールではあります(笑。大切な文通ノートを破った所でノートの向こうに立つ貞一をついに認識、そして貞一と共に影夕子も現れました。どちらも「切り離した記憶」である事に違いは無く、それを無理やり認識させたのだから影夕子が現れるのも道理でしょう。背後に立つ影夕子に怯える夕子さん、しかし貞一は影夕子にこそ用事があったのです。
「だって、あなたも夕子さんじゃないですか」
影夕子が持つ辛さ・悲しみに心から涙を流し、一部始終を見ながら何も出来なかった事に悔し涙を流す貞一。憎悪の塊であるおぞましい姿にも関わらず、貞一は影夕子を抱き締めて涙を流していました。貞一にとって影夕子も夕子さんであり、辛く悲しい存在だからこそ抱き締めてあげたい。何も出来なかったけど一緒に泣くくらいはできる。
貞一の涙(影夕子を受け入れた事)によって夕子さん&影夕子が一体化する流れは言ってしまえばド王道で、こうするしか落とし所が無いとは思っていたのだけれど、あまりにあっさり融合しちゃって少々拍子抜けだったかも。というか影夕子ってば貞一にやられすぎ(笑。上段の夕子さんが下手(負の方向)へ向かい、下段の影夕子が上手(正の方向)へ向かい、次のカットで上下にズレていた2人がぴったり揃う演出は感情・記憶の一体化を綺麗に表現していました。

2人の影が重なった白い光、正負の夕子さんが抱き合って一体化するカットもいい感じ。

互いが互いに「お帰りなさい」と声を掛け、1つになった夕子さんは振り向き様に鈴をチリンと鳴らして「ただいま、貞一くん」と綺麗な締め。影夕子の象徴であった例の鈴が夕子さんの姿で鳴ったのはベタながら気が効いた演出でした。この瞬間ちょっとウルッと来てしまいましたよ。いい最終回でした。
と思ったらまだ11話なので終わりません(アタリマエ。原さん歌唱の夕子さんバージョンEDの後、始まったCパートにて貞一とアサちゃんの繋がりが明らかになりました。アサちゃんの本名は「浅葱」、「夕焼けの赤」と「夕闇の紫」の間の色である浅葱…つまり「夕子」と「紫子」の間の存在なのでした。そしてその浅葱さんは貞一くんのお婆ちゃんの名前。貞一が潜在的に持っていた夕子さんのイメージは、疫病が猛威を奮う中でも優しくしてもらったアサちゃんの思いを受け継いだのですね。前回のレビューにて「アサちゃんのその後」が気になっていた私もこれにてすっきり。まあアサちゃんの子孫が貞一ってのはあまりに出来すぎているので返って違うような気がしていたけど結果オーライで(笑
人柱として埋められ長い間苦しんだけれど、そのおかげでアサちゃんは生き延び、貞一くんと出会えた。これまでの辛さが無駄じゃなかった事を喜び、貞一をギュッとする夕子さんの泣き笑顔がじつにかわいらしい。やっぱりかわいい夕子さんが一番です。
これにて一件落着の2人は仲良く手を繋いでお揃いの鈴を鳴らしてお帰り。すると夕子さんの鈴が落ち、拾おうとした手をスッとすり抜け…存在力が薄まっている? これはどう見ても成仏フラグでしょう。思えばこの世への怨念が無くなったのだから幽霊として存在する意味も無く、そもそも融合の際に「貞一くんが認めてくれるなら思い残す事なんて…」と本人が言っていましたし。
思い残す事が無くなって成仏するのは良い事だけれどこのまま消えちゃうのは寂しすぎ。次回最終回は本作らしく明るく楽しく少々のお色気を持って上手いこと締めていただきたい所です。

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