2012-08-07(Tue)
TARI TARI #06 笑ったり 想ったり
「私は元気だよーっ!」って楽しい気持ちを届けるつもりで。

和奏にようやく心からの笑顔が戻りました。素晴らしい。
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和奏にようやく心からの笑顔が戻りました。素晴らしい。
ロンドン五輪観戦に追われる毎日なのでアニメレビューはしばらくお休みしようと思っていたけれど、今回のTARITARIはあまりに素晴らしい出来だったのでかんたんに。

毎回恒例の幼少期アバンは和奏誕生直後の様子から。生まれたばかりの娘を抱いて語りかけるまひるさんの表情は母親の愛情に溢れています。「素敵なハーモニーを奏でようね」との言葉は、一緒に歌を作りたい=一緒に人生を紡ぐという意味もあるのでしょう。前回見せた手紙の内容どおり。ああそれなのに。
Aパート冒頭は布団も敷かずに寝ている和奏と家へ駆け戻る父ちゃん。おそらく傍らに転がっているケータイから「体調が悪い」とでも連絡したのかな、大急ぎで帰宅した父ちゃんは玄関の戸を閉める事すら忘れて二階へ駆け上がり、倒れている和奏を見つけるとほとんど取り乱し気味でした。風邪で倒れた娘に対して大げさとも思えるリアクション・気遣いは嫁を病気で亡くしている故なのだろうなあ。こういう事態に対して神経過敏になっている父ちゃんの心理状態、「もう家族を失いたくない」という思いが痛いほど伝わってきます。
和奏が階下へ降りる際に何食わぬ顔で帰ってきたドラ。前回さんざん死亡フラグを立て、さんざん心配させといてこの態度はさすが気まぐれ猫と申しましょうか…ほんと憎い演出だなあ。やられた(笑

校長先生も無事に回復して始まった新学期。もう夏休み終わっちゃったのか! 相変わらずペースが早い作品です。風邪で休んでいる和奏に「返事が無かったら…」とメールを送れないビビりな来夏、即座に「それは来夏がウザ…」とドヤ顔の紗羽、そこまで言いかけてジト目の来夏に言葉を選ぶ様子もいいねいいね。この二人の会話ってば毎度いい味出しすぎです。
その頃和奏は自宅で教育テレビを見ていました。あるある(笑。学校休んだ時って何故か教育テレビを見ちゃうよね。体調が戻ってきた和奏は自室で着替え、空っぽになったピアノスペースに寂しそうな視線を向けるも「失くした物の大きさ」にまだ気付いておらず、気晴らしかそのまま海へ。
すると来夏がお見舞いに参上しました。しかし店の前まで行っても父ちゃんに声を掛けられずコソコソ、身を縮めて物陰に隠れているつもりだろうけど店内から丸見えです(笑。声を掛けられると慌てて逃げちゃったり、気の置けない友達相手にはウザいほど元気なのに他人にはこのビビりっぷり。それに加えて和奏から「ウザがられてる?」とも思っていたりするので気軽に家に入れないのでしょう。この「気が小さい描写」がかわいくてたまりません(笑
「和奏、だめえええええ!」
そこから海へ向かった来夏は身投げ直前の和奏を見つけると叫びながら駆け寄り…お約束どおり何事も無く振り返った和奏、潮だまりを飛んでおっとっと!の来夏。腕をグルグル回してバランスを取ろうとあがく来夏がかわいい。

そしてこれまたお約束どおり潮だまりへドボンと落ちてずぶ濡れに。透けたシャツがナニゲにエロいけれどいろは第三話のなこちみたいな露骨なエロカットにしない辺り作風の違いを感じさせます。単に来夏では以下略なのかもですが(笑。その後和奏宅の物干しにパッと切り替わる繋ぎも良し。制服の向こうに黄色いブラが干されているけどパンツはどうしたのだろうか。
放り投げて崩れたケーキを写メに撮って紗羽へ報告(?)の後、部屋を見回した来夏は「何も無いね」とナニゲに呟き…和奏の表情を見てすかさず話題を変え、一瞬しんみりした空気を変えようと努めて明るく話す来夏は空気を読むのが上手い子です。さすが小心者。畳に寝転がってお爺ちゃんとの思い出話にて「約束」について思う事あれこれ、「約束を守れなかった事」もきちんと思い出として心に留めている来夏はお爺ちゃんが大好きだったのだろうなあ。もちろん約束どおりお爺ちゃんと一緒にライブに行けたらそれはそれで大切な思い出になったはずで、しかし守れなかったからといって故人との思い出に傷が付くわけではなく、むしろ来夏は「叶わなくて良かった」「これも大事な思い出」と笑顔で語ります。その言葉にまひるさんとの約束を思い出した和奏。
「自分の歌は自分で作らなきゃ」
幼い和奏が母と交わした約束の回想。自分の歌を口ずさむまひるさんは「和奏の歌は?」と問いかけられると「無いよ」と即答…これは歌に「人生」のニュアンスを含んでいるのでしょう。お母さんの人生はお母さんが作る、和奏の人生は和奏が作る、自分の人生は自分で作らなきゃ。でも幼い和奏はまだ自分で作れない。ならお母さんが手伝ってあげるから一緒に作ろう。娘を思う母親の愛情が溢れる約束は入院中の譜面に繋がり、しかしピリピリした娘は親の思いなど知らず…なら何故あの時余命が少ない事を教えてくれなかったの? と和奏が思うのも判ります。そう言ってくれれば一緒に歌を作ったのにと。でもそうして作った歌ではダメなのです。
その後の帰宅シーンにて「ノーブラなのバレちゃうかなあ?」と胸元を気にする来夏。これにはおそらく視聴者全員が同じツッコミを返した事でしょう。てな所へ父ちゃんが挨拶に来ると頬を赤らめ慌てて胸元をガードする来夏がかわいい。気にしているのは本人だけだろうけど(笑

続いて和奏はノーブラだとえらい事になりそうな母娘の所へ。母娘仲良く植木の手入れ、とはいえ脚立の天板に立っての作業は危ないからお勧めできませんよ。袈裟姿で原付に乗った父ちゃんに一瞥くれただけでシカトの紗羽、不機嫌そうな父ちゃんの様子からして地味に親子喧嘩中の雰囲気アリアリ、そんな二人に我関せずの志保さんはいい母ちゃんです。その後の会話シーンを見てもいつも通りで、つまり志保さんは紗羽の進路をどうこう言うつもりは無さそう? というか志保さん自身が思いっきり自由な人だけに今さら紗羽を縛ろうなんて思わないでしょう(笑
出来上がった写真と共に渡されたカセットテープはかつての合唱部のコンクール自由曲が録音されたものでした。カセットテープってのが時代だなあ。今となってはカセットテープなどもはや過去の遺物で、再生するにも家にシステムが無かったりしますね。うちにも何百本とカセットがあるけどデッキが無いのでほとんどゴミ同然ですし。これを早朝の部室(音楽準備室)への抜き打ち訪問(笑)やラストの合唱に繋げる作りも気が利いてます。というか神がかった構成としか。
若かりし日の志保さんを見た紗羽はいつもの調子でからかい、志保さんもノリノリで返して仲が良すぎる母娘…その輪から外れた和奏は亡き母親の姿をしんみりと見つめていました。すると即座に気遣って乗馬に誘う紗羽も空気が読めるいい子だなあ。
乗馬シーンにて軽く語られた紗羽vs父ちゃんのケンカ内容は進路に関する事でした。父ちゃんとしては娘の事を思って言っているのだろうけどこういうのはなかなか難しい。寺を継がないなら公務員になれとか妙にリアルです。でもお転婆にお転婆を引き合わせちゃった責任もあるよね(笑。そういやこのところ忘れられていた紗羽の弓道部設定がここで生きてきました。サブレに乗って流鏑馬に出るとか、いつにも増して凛々しい姿を見られそう。
乗馬視点を初体験して視界が広がった和奏、それを引く紗羽は視野狭窄の親子喧嘩中というのも面白い対比です。紗羽の親子喧嘩に自分を重ねて少々しんみりな和奏、そんな憂いを吹き飛ばすように駆け出すシーンも良かった。紗羽もサブレもいいお転婆です。

朝も早よから学校へ出掛けた和奏の置き手紙。描かれているかわいいイラストの原案が中の人(高垣さん)との事で、最近の声優さんは絵が上手い人多いね。きちんとコーヒーを淹れてある辺り偉いものですが…レンジの中の朝食を見て愕然とする父ちゃんの一連カットには笑った。ここの「間」は素晴らしすぎる(笑
まだ誰も登校して来ない早朝の昇降口を駆け抜けた和奏は一直線に音楽準備室へ。何故こんな時間にこんな所へ来たのかは手にしたカセットテープが物語っています。すると中では男二人が謎の特訓中…謎すぎる! その様子を見た和奏は黙って戸を閉め、出てきた田中の問いかけに暫し耐えるも耐えきれず吹き出してしまう一連から、一番必要な物を問われて「常識?」と答えるセンスも素晴らしい。空気椅子や腹筋、バランス感覚や肺活量などなど個々の訓練は理に叶っていそうだけれど一度にやらんでも(笑。とはいえ合唱部のために人知れず特訓している殊勝さは買えます。本作は男組もいい子ばかりなので見ていて爽やかなれど、逆に言うとそこが不満かもしれない。

ここでまひるさんとの発声練習を思い出す和奏。ピアノの音程に合わせて必死の表情で発声する和奏へ「怒ってるの?」と顔マネするまひるさんがかわいい。そして発声練習の心がけを和奏へ。
「肩の力を抜いて、遠くに和奏の大好きな人がいて、その人に私は元気だよー!って楽しい気持ちを届けるつもりで」
その言葉を聞いた中学生和奏が声を出すタイミングで今の和奏に映像が戻って発声の繋ぎはさぶいぼモノの演出でした。窓の向こうの遠くにいる「大好きな人」への声はきっと届いていることでしょう。というか高垣さんの歌声は発声練習だけ聴いても只者ではありません。いわゆる「歌」和奏を疑うレベルです。これがマンマ中の人なんだから凄い。
産休先生の出産情報を聞いた和奏はさっそくお祝いメールを送り、すると間髪入れず電話が掛かってきてびっくり。先生は和奏からの連絡を待っていたのでしょう。有無を言わさぬジェラートの買い物はもちろん食べたかったのだろうけど、和奏を家に呼んでゆっくり話したい口実という意味もあったと思う。
家に着いた和奏はテイ良く使われて少々憮然の表情でしたが、赤ちゃんを見ると思いっきりデレデレ状態に。何この表情(笑。ここで先生は率直すぎる物言いから母親共通の思い「素直じゃなくても、ただ元気で大きくなってくれればいい」と和奏へ語り、生まれたばかりの赤ちゃんを抱かせて母親体験へ。おそらく先生は和奏が母親絡みで悩んでいる事に気付いていて、その悩みの詳細は判らなくとも「母親の子に対する思い」は伝えたかったのだろうなあ。いい先生です。

帰宅した和奏はテーブルに並んだ料理に唖然。レンジにもたれてドヤ顔の父ちゃんでしたが豪華料理の真意は結婚記念日とか…和奏の誕生日と結婚記念日が近いって事はいわゆるできちゃった婚?(笑。そんな料理を食べながら和奏は「なぜ病気の事を話してくれなかったのか?」を父ちゃんに問いました。話してくれれば約束を守れたかもしれない、もっと優しくできたのに。
「母さんは和奏に優しくしてほしかったんじゃない」
ここから語られるまひるさんの真意は涙無しには見られません。余命僅かな我が身よりも娘を思う母親の気持ち。「悲しい別れ」ではなく「母親の優しさ・強さ」を和奏に残したい、絶対に一人にしない。一緒に歌を作るというのはそういう事。だから病気の事は言わない。などなど淡々と語るまひるさんの言葉も泣けますが、優しいBGMと落ち葉の演出、そして仲良し家族の様子を見せる事でまひるさんに残された時間の短さ・家族への思いを強調する演出は破壊力抜群でした。私の涙腺を過労死させる気か。涙を溢れさせる父ちゃんに対してまひるさんの強い表情も印象的です。母は強い。

お母さんの思いにようやく気付いた和奏は自室を見つめて泣き崩れます。すごく愛されてたのに、勝手に思い込んで、思い出もピアノも音楽も捨ててしまった。すると父ちゃんが例の書きかけの譜面を持ってやって来ました。受験が終わったら一緒に続きを書くつもりだった譜面、結局それは叶わないまままひるさんは旅立ってしまった。そんな譜面を亡くなった直後に渡しても和奏にとっては悲しみ・後悔が増すだけで、「落ち着いたら渡そうと思っていた」と保留していた父ちゃんの優しさも泣けます。和奏がまひるさんの思いに「自分で」気付く時期を待っていたのだなあ。これまでの和奏は亡くなり際の後悔から母の死に目を背けていたけれど、ようやく死を受け入れ、母の思いを受け入れる事ができたのです。
そしてまひるさん思い出の品は父ちゃんにとっても思い出の品なのでそうそう捨てられるはずがなく、金魚(笑)を始めにピアノも全て父ちゃんが保管していたようでした。捨てなかった理由として「俺にプロポーズする時に使ったピアノ」と持論を曲げない父ちゃんに「嘘ばっかり」と涙笑顔で返す和奏のカットも気が利いてます。いい父娘だなあ。階下に降りた父ちゃんはまひるさんに報告、変わらぬ笑顔でピースサインのまひるさんは「きちんと判ってくれた。さすが私の娘でしょ!」と誇らしげにすら見えますね。
明けて翌朝の音楽準備室にて例のカセットテープを聴き始めた和奏。まひるさんと現教頭先生の掛け合いはいかにも仲良さ気で、「私となおから生まれて合唱部がみんなで育てた歌」ってのも今後の伏線になりそう? 教頭先生が一方的に感じていたコンプレックス(?)を解消する鍵がこの曲に隠されているような気がします。
流れ始めた「心の旋律」に声を合わせて歌い始めた和奏。すると続々と集まってきたみなさんが合唱に加わり…笑顔で全員とアイコンタクトの後に窓外の「遠くの大好きな人」へ思いを伝えるように歌う引きは美しすぎて画面が見えません。凄いな。と思ったらそのまま続いた特別EDの破壊力がこれまた凄すぎてえらい事に。ここでまひるさんとの思い出シーンを続けるのは反則もいい所です。私の涙腺をどんだけ働かせれば気が済むのか。




各々が単独だったEDカットも五人揃いに様変わりして合唱部の本格始動を感じさせました。最後のカットにて田中だけソッポ向いてるのが意味深? 早くも残り半分、二話に一度良い最終回を迎える本作にて合唱部の面々がどんな活躍を見せてくれるか楽しみ。満を持して語られるであろう教頭先生の過去も楽しみです。

毎回恒例の幼少期アバンは和奏誕生直後の様子から。生まれたばかりの娘を抱いて語りかけるまひるさんの表情は母親の愛情に溢れています。「素敵なハーモニーを奏でようね」との言葉は、一緒に歌を作りたい=一緒に人生を紡ぐという意味もあるのでしょう。前回見せた手紙の内容どおり。ああそれなのに。
Aパート冒頭は布団も敷かずに寝ている和奏と家へ駆け戻る父ちゃん。おそらく傍らに転がっているケータイから「体調が悪い」とでも連絡したのかな、大急ぎで帰宅した父ちゃんは玄関の戸を閉める事すら忘れて二階へ駆け上がり、倒れている和奏を見つけるとほとんど取り乱し気味でした。風邪で倒れた娘に対して大げさとも思えるリアクション・気遣いは嫁を病気で亡くしている故なのだろうなあ。こういう事態に対して神経過敏になっている父ちゃんの心理状態、「もう家族を失いたくない」という思いが痛いほど伝わってきます。
和奏が階下へ降りる際に何食わぬ顔で帰ってきたドラ。前回さんざん死亡フラグを立て、さんざん心配させといてこの態度はさすが気まぐれ猫と申しましょうか…ほんと憎い演出だなあ。やられた(笑

校長先生も無事に回復して始まった新学期。もう夏休み終わっちゃったのか! 相変わらずペースが早い作品です。風邪で休んでいる和奏に「返事が無かったら…」とメールを送れないビビりな来夏、即座に「それは来夏がウザ…」とドヤ顔の紗羽、そこまで言いかけてジト目の来夏に言葉を選ぶ様子もいいねいいね。この二人の会話ってば毎度いい味出しすぎです。
その頃和奏は自宅で教育テレビを見ていました。あるある(笑。学校休んだ時って何故か教育テレビを見ちゃうよね。体調が戻ってきた和奏は自室で着替え、空っぽになったピアノスペースに寂しそうな視線を向けるも「失くした物の大きさ」にまだ気付いておらず、気晴らしかそのまま海へ。
すると来夏がお見舞いに参上しました。しかし店の前まで行っても父ちゃんに声を掛けられずコソコソ、身を縮めて物陰に隠れているつもりだろうけど店内から丸見えです(笑。声を掛けられると慌てて逃げちゃったり、気の置けない友達相手にはウザいほど元気なのに他人にはこのビビりっぷり。それに加えて和奏から「ウザがられてる?」とも思っていたりするので気軽に家に入れないのでしょう。この「気が小さい描写」がかわいくてたまりません(笑
「和奏、だめえええええ!」
そこから海へ向かった来夏は身投げ直前の和奏を見つけると叫びながら駆け寄り…お約束どおり何事も無く振り返った和奏、潮だまりを飛んでおっとっと!の来夏。腕をグルグル回してバランスを取ろうとあがく来夏がかわいい。

そしてこれまたお約束どおり潮だまりへドボンと落ちてずぶ濡れに。透けたシャツがナニゲにエロいけれどいろは第三話のなこちみたいな露骨なエロカットにしない辺り作風の違いを感じさせます。単に来夏では以下略なのかもですが(笑。その後和奏宅の物干しにパッと切り替わる繋ぎも良し。制服の向こうに黄色いブラが干されているけどパンツはどうしたのだろうか。
放り投げて崩れたケーキを写メに撮って紗羽へ報告(?)の後、部屋を見回した来夏は「何も無いね」とナニゲに呟き…和奏の表情を見てすかさず話題を変え、一瞬しんみりした空気を変えようと努めて明るく話す来夏は空気を読むのが上手い子です。さすが小心者。畳に寝転がってお爺ちゃんとの思い出話にて「約束」について思う事あれこれ、「約束を守れなかった事」もきちんと思い出として心に留めている来夏はお爺ちゃんが大好きだったのだろうなあ。もちろん約束どおりお爺ちゃんと一緒にライブに行けたらそれはそれで大切な思い出になったはずで、しかし守れなかったからといって故人との思い出に傷が付くわけではなく、むしろ来夏は「叶わなくて良かった」「これも大事な思い出」と笑顔で語ります。その言葉にまひるさんとの約束を思い出した和奏。
「自分の歌は自分で作らなきゃ」
幼い和奏が母と交わした約束の回想。自分の歌を口ずさむまひるさんは「和奏の歌は?」と問いかけられると「無いよ」と即答…これは歌に「人生」のニュアンスを含んでいるのでしょう。お母さんの人生はお母さんが作る、和奏の人生は和奏が作る、自分の人生は自分で作らなきゃ。でも幼い和奏はまだ自分で作れない。ならお母さんが手伝ってあげるから一緒に作ろう。娘を思う母親の愛情が溢れる約束は入院中の譜面に繋がり、しかしピリピリした娘は親の思いなど知らず…なら何故あの時余命が少ない事を教えてくれなかったの? と和奏が思うのも判ります。そう言ってくれれば一緒に歌を作ったのにと。でもそうして作った歌ではダメなのです。
その後の帰宅シーンにて「ノーブラなのバレちゃうかなあ?」と胸元を気にする来夏。これにはおそらく視聴者全員が同じツッコミを返した事でしょう。てな所へ父ちゃんが挨拶に来ると頬を赤らめ慌てて胸元をガードする来夏がかわいい。気にしているのは本人だけだろうけど(笑

続いて和奏はノーブラだとえらい事になりそうな母娘の所へ。母娘仲良く植木の手入れ、とはいえ脚立の天板に立っての作業は危ないからお勧めできませんよ。袈裟姿で原付に乗った父ちゃんに一瞥くれただけでシカトの紗羽、不機嫌そうな父ちゃんの様子からして地味に親子喧嘩中の雰囲気アリアリ、そんな二人に我関せずの志保さんはいい母ちゃんです。その後の会話シーンを見てもいつも通りで、つまり志保さんは紗羽の進路をどうこう言うつもりは無さそう? というか志保さん自身が思いっきり自由な人だけに今さら紗羽を縛ろうなんて思わないでしょう(笑
出来上がった写真と共に渡されたカセットテープはかつての合唱部のコンクール自由曲が録音されたものでした。カセットテープってのが時代だなあ。今となってはカセットテープなどもはや過去の遺物で、再生するにも家にシステムが無かったりしますね。うちにも何百本とカセットがあるけどデッキが無いのでほとんどゴミ同然ですし。これを早朝の部室(音楽準備室)への抜き打ち訪問(笑)やラストの合唱に繋げる作りも気が利いてます。というか神がかった構成としか。
若かりし日の志保さんを見た紗羽はいつもの調子でからかい、志保さんもノリノリで返して仲が良すぎる母娘…その輪から外れた和奏は亡き母親の姿をしんみりと見つめていました。すると即座に気遣って乗馬に誘う紗羽も空気が読めるいい子だなあ。
乗馬シーンにて軽く語られた紗羽vs父ちゃんのケンカ内容は進路に関する事でした。父ちゃんとしては娘の事を思って言っているのだろうけどこういうのはなかなか難しい。寺を継がないなら公務員になれとか妙にリアルです。でもお転婆にお転婆を引き合わせちゃった責任もあるよね(笑。そういやこのところ忘れられていた紗羽の弓道部設定がここで生きてきました。サブレに乗って流鏑馬に出るとか、いつにも増して凛々しい姿を見られそう。
乗馬視点を初体験して視界が広がった和奏、それを引く紗羽は視野狭窄の親子喧嘩中というのも面白い対比です。紗羽の親子喧嘩に自分を重ねて少々しんみりな和奏、そんな憂いを吹き飛ばすように駆け出すシーンも良かった。紗羽もサブレもいいお転婆です。

朝も早よから学校へ出掛けた和奏の置き手紙。描かれているかわいいイラストの原案が中の人(高垣さん)との事で、最近の声優さんは絵が上手い人多いね。きちんとコーヒーを淹れてある辺り偉いものですが…レンジの中の朝食を見て愕然とする父ちゃんの一連カットには笑った。ここの「間」は素晴らしすぎる(笑
まだ誰も登校して来ない早朝の昇降口を駆け抜けた和奏は一直線に音楽準備室へ。何故こんな時間にこんな所へ来たのかは手にしたカセットテープが物語っています。すると中では男二人が謎の特訓中…謎すぎる! その様子を見た和奏は黙って戸を閉め、出てきた田中の問いかけに暫し耐えるも耐えきれず吹き出してしまう一連から、一番必要な物を問われて「常識?」と答えるセンスも素晴らしい。空気椅子や腹筋、バランス感覚や肺活量などなど個々の訓練は理に叶っていそうだけれど一度にやらんでも(笑。とはいえ合唱部のために人知れず特訓している殊勝さは買えます。本作は男組もいい子ばかりなので見ていて爽やかなれど、逆に言うとそこが不満かもしれない。

ここでまひるさんとの発声練習を思い出す和奏。ピアノの音程に合わせて必死の表情で発声する和奏へ「怒ってるの?」と顔マネするまひるさんがかわいい。そして発声練習の心がけを和奏へ。
「肩の力を抜いて、遠くに和奏の大好きな人がいて、その人に私は元気だよー!って楽しい気持ちを届けるつもりで」
その言葉を聞いた中学生和奏が声を出すタイミングで今の和奏に映像が戻って発声の繋ぎはさぶいぼモノの演出でした。窓の向こうの遠くにいる「大好きな人」への声はきっと届いていることでしょう。というか高垣さんの歌声は発声練習だけ聴いても只者ではありません。いわゆる「歌」和奏を疑うレベルです。これがマンマ中の人なんだから凄い。
産休先生の出産情報を聞いた和奏はさっそくお祝いメールを送り、すると間髪入れず電話が掛かってきてびっくり。先生は和奏からの連絡を待っていたのでしょう。有無を言わさぬジェラートの買い物はもちろん食べたかったのだろうけど、和奏を家に呼んでゆっくり話したい口実という意味もあったと思う。
家に着いた和奏はテイ良く使われて少々憮然の表情でしたが、赤ちゃんを見ると思いっきりデレデレ状態に。何この表情(笑。ここで先生は率直すぎる物言いから母親共通の思い「素直じゃなくても、ただ元気で大きくなってくれればいい」と和奏へ語り、生まれたばかりの赤ちゃんを抱かせて母親体験へ。おそらく先生は和奏が母親絡みで悩んでいる事に気付いていて、その悩みの詳細は判らなくとも「母親の子に対する思い」は伝えたかったのだろうなあ。いい先生です。

帰宅した和奏はテーブルに並んだ料理に唖然。レンジにもたれてドヤ顔の父ちゃんでしたが豪華料理の真意は結婚記念日とか…和奏の誕生日と結婚記念日が近いって事はいわゆるできちゃった婚?(笑。そんな料理を食べながら和奏は「なぜ病気の事を話してくれなかったのか?」を父ちゃんに問いました。話してくれれば約束を守れたかもしれない、もっと優しくできたのに。
「母さんは和奏に優しくしてほしかったんじゃない」
ここから語られるまひるさんの真意は涙無しには見られません。余命僅かな我が身よりも娘を思う母親の気持ち。「悲しい別れ」ではなく「母親の優しさ・強さ」を和奏に残したい、絶対に一人にしない。一緒に歌を作るというのはそういう事。だから病気の事は言わない。などなど淡々と語るまひるさんの言葉も泣けますが、優しいBGMと落ち葉の演出、そして仲良し家族の様子を見せる事でまひるさんに残された時間の短さ・家族への思いを強調する演出は破壊力抜群でした。私の涙腺を過労死させる気か。涙を溢れさせる父ちゃんに対してまひるさんの強い表情も印象的です。母は強い。

お母さんの思いにようやく気付いた和奏は自室を見つめて泣き崩れます。すごく愛されてたのに、勝手に思い込んで、思い出もピアノも音楽も捨ててしまった。すると父ちゃんが例の書きかけの譜面を持ってやって来ました。受験が終わったら一緒に続きを書くつもりだった譜面、結局それは叶わないまままひるさんは旅立ってしまった。そんな譜面を亡くなった直後に渡しても和奏にとっては悲しみ・後悔が増すだけで、「落ち着いたら渡そうと思っていた」と保留していた父ちゃんの優しさも泣けます。和奏がまひるさんの思いに「自分で」気付く時期を待っていたのだなあ。これまでの和奏は亡くなり際の後悔から母の死に目を背けていたけれど、ようやく死を受け入れ、母の思いを受け入れる事ができたのです。
そしてまひるさん思い出の品は父ちゃんにとっても思い出の品なのでそうそう捨てられるはずがなく、金魚(笑)を始めにピアノも全て父ちゃんが保管していたようでした。捨てなかった理由として「俺にプロポーズする時に使ったピアノ」と持論を曲げない父ちゃんに「嘘ばっかり」と涙笑顔で返す和奏のカットも気が利いてます。いい父娘だなあ。階下に降りた父ちゃんはまひるさんに報告、変わらぬ笑顔でピースサインのまひるさんは「きちんと判ってくれた。さすが私の娘でしょ!」と誇らしげにすら見えますね。
明けて翌朝の音楽準備室にて例のカセットテープを聴き始めた和奏。まひるさんと現教頭先生の掛け合いはいかにも仲良さ気で、「私となおから生まれて合唱部がみんなで育てた歌」ってのも今後の伏線になりそう? 教頭先生が一方的に感じていたコンプレックス(?)を解消する鍵がこの曲に隠されているような気がします。
流れ始めた「心の旋律」に声を合わせて歌い始めた和奏。すると続々と集まってきたみなさんが合唱に加わり…笑顔で全員とアイコンタクトの後に窓外の「遠くの大好きな人」へ思いを伝えるように歌う引きは美しすぎて画面が見えません。凄いな。と思ったらそのまま続いた特別EDの破壊力がこれまた凄すぎてえらい事に。ここでまひるさんとの思い出シーンを続けるのは反則もいい所です。私の涙腺をどんだけ働かせれば気が済むのか。




各々が単独だったEDカットも五人揃いに様変わりして合唱部の本格始動を感じさせました。最後のカットにて田中だけソッポ向いてるのが意味深? 早くも残り半分、二話に一度良い最終回を迎える本作にて合唱部の面々がどんな活躍を見せてくれるか楽しみ。満を持して語られるであろう教頭先生の過去も楽しみです。
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