2012-08-23(Thu)
スマイルプリキュア! #27 夏のふしぎ!?おばあちゃんのたからもの
みんな揃っておばあちゃん家へ。

「おばあちゃんの宝物ってさあ…」

さて今回は五人揃ってみゆきのおばあちゃん家へゴー! この交通事情やおばあちゃんを訪ねる目的からしてみゆきの両親が付いて来ないで、その代わりいつもどおり五人揃いで向かっているのは少々不思議だけれど…中二ともなれば親から離れて親戚宅へ行くのも良い羽伸ばしになりますし、景色や空気が綺麗な所へ友達を誘うのもアリでしょう。
ギラギラした真夏の日差し、落石防護洞門を抜けたゴプリキュアの面々描写は強烈なコントラストが真夏の暑さを感じさせます。舌を出してヘバるあかねちゃんかわいい! 川の冷たい水を首筋にかけて一息から「無闇に川に近付くと河童に引っ張られるよ」との声に振り向くみなさん…川辺からの俯瞰で白く飛ばした先の登場カットはなかなかドラマチックで、今回の肝となる山村民話の前振りも兼ねた導入パートはさすが成田脚本・境監督演出回だけあって非常に印象的。稲上作監による美麗な作画も雰囲気作りに一役買っていますね。みんな良い表情してます。

今回は山村の美しい風景や木漏れ日が射す川辺などなど美術にも力が入っていました。まあテーマがテーマなので風景が美しくないと台無しですからね(笑。川の水面にポチャンと現れる河童の影や天狗が棲まう山など、美しい山村風景を映しながらさりげなく前振りしているのも丁寧さを感じさせます。
おばあちゃん家に到着するとさっそくキャンディに釘刺しのみなさん。これが本来の扱いなのよね。またこういうカットを入れる事で後におばあちゃんがキャンディの存在に「何となく気付いている」雰囲気を引き立てる効果もあります。でも小さいお友達は前回との扱いの違いに混乱しないかな?
みなさん揃って採れたて野菜を冷やしている川辺へゴー。よく冷えた新鮮野菜を頬ばって生き返ったあかねちゃんの一方で祠に気付いてビビるなおちゃん、復活早々からかうあかねちゃんの表情も良し良し。しかし今回もなおちゃんはポンコツ役で、河童にビビっている表情もかわいいのだけれど、こういう描写ばかりクローズアップされてしまうともはや「凛々しい女番長」とどちらが本体なのかわかりません。力強く凛々しいキャラを定着させた後にこういうビビり顔をポンに見せれば効果覿面なのに現状では真逆なのが辛い所。

河童へのお供えを流したみゆきのカットは川辺の落差を感じさせる俯瞰アングルがいい感じ。ここで河童の話から天狗や座敷童の話、優しくした後の贈り物の話など伏線を散らしながら「子供の頃からおばあちゃんはいろんなお話を聞かせてくれた」とみゆきの物語好きの起源(?)も明らかに。これにしてもこれまでのエピソードで「物語好き」という設定が生かされていれば見る側の受け止め方も違っただろうにもったいない。
さて家へ戻っての夕食準備シーンにて繰り広げられたドタバタ。キャンディの分まできちんと用意されていたのはおばあちゃんがナニゲに気付いている? 後に明らかになりますが、何せ山村の物の怪たちと共生しているおばあちゃんですから、動くぬいぐるみに気付いてもいちいち驚かないのでしょう。先にも書きましたがキャンディの正体を必死に隠そうとするみなさんと、うっすら気付きながら気付かない振りをしているおばあちゃんとの対比が面白い。必死にごまかす孫娘たちの奮闘を尊重してあえてツッコまないのだろうなあ。いいおばあちゃんです。
このドタバタシーンは、キャンディが動いたり喋ったりする瞬間おばあちゃんの視線がきっちり外れている芸の細かさにちょっと感心。一事が万事、こういう丁寧な作りで第一話から作り直してほしいけどそれは言わない約束か。キャンディの上に乗ってしまって思わず声を上げたみゆきが慌てて口を押さえるカットは今回最高の表情だったかも。掛け値無しにかわいいリアクションでした。食卓の下できっちり満腹のキャンディ、チラリと映ったみなさんの脚はお行儀良く正座していていかにも「お呼ばれ」な感じで微笑ましい。普段一人で食事しているおばあちゃんは賑やかな食卓が嬉しかっただろうなあ。それはそうとこの田舎で網戸も無しに障子全開だと虫が凄そう。なおちゃんは大丈夫なの?(笑

「ねえおばあちゃん。私たちと一緒に暮らさない?」
夕食の後の縁側シーン。花火で遊ぶなおちゃんがスタイル良すぎて何事かと。ここでみゆきは訪ねた理由をおばあちゃんに話し、あかねちゃん&れいかさんも遠慮がちに後押し。確かにこの交通の便が悪い所に年寄りの一人暮らしは何かと心配であります。しかしおばあちゃんは「ここには宝物があるから」とやんわりお断り、そしてその宝物は「ひみつ」と…綺麗な空気、綺麗な景色、綺麗な星空などなど山村ならではの代え難い魅力はありますが、そのような目に見えるものなら「ひみつ」にする事もなく、名前のとおり「星空」オチかと思ったけれどさすがに一捻りありました。でも田舎の星空って本当に綺麗なんだよねえ。ベタながらこれだけでも「離れられない理由」として成立するほど。

いきなり象デコル発動で何事かと思ったら散水ポンプ代わりとは(笑。畑仕事をしながら慣れた土地を離れる辛さを語るあかねちゃん&みゆき。こういう辺りさすが転校経験者らしい会話で…この設定が生かされるのは第九話以来? これに限らず全編に渡って初期の諸設定を生かした作りにしてくれればなあ。てな話をしながらおばあちゃんの宝物について考え、綺麗な景色を眺めているとキツネを見つけてはしゃぐ二人。オオカミさんキツネ化のさりげない前振りか。
というわけで暑さに伸びてたオオカミさんは偶然にもみゆきの田舎の川で涼を取っていました。すごい偶然です(笑。冷たい水に一息したらハラヘッタ! そして次の瞬間水面に謎の影が現れてビビって逃げるオオカミさん…あんたそれでも悪の幹部か。さらにおばあちゃん家の庭にてみなさんとご対面。ここで描かれるユルい対峙は中盤の死闘を記憶から消去すれば普通に笑えた、というかオオカミさんもゴプリキュア側もこれまでの記憶を失っているとしか思えない和やかさです。このノリでやるならこれで通してくれれば、取って付けたようなシリアス展開など入れず「楽しいプリキュア」を貫いてくれれば齟齬が起きないのにね。

おばあちゃんに手玉に取られて真っ赤に膨れたオオカミさんはいつものシーケンスでどよんど時空を発生させ、バッドエナジーを吸い出そうとするも…おばあちゃんは絶望せず、バッドエナジーも出ません。ギャグの基本は繰り返しって事でこのシーンはベタながらちょっと笑った。例のピエーロタイマーも今回は動きません。あはは。でも虫からも吸い出せる位だからさっきのキツネからバッドエナジー吸えば?ってのは言わない約束です。
夢と希望の象徴たるプリキュアたちですらバッドエナジーを放ったというのにさすが亀の甲より年の功。みゆきの年齢的におばあちゃんは60~70歳くらい? 世代的に戦争体験は微妙ですが戦後の混乱期を生き抜いた強さと、年齢分の人生経験を重ねて出来上がった人格は「絶望なんてしないわ」と言わしめるだけのものがあるのでしょう。
などと好意的解釈をしてみましたが、正直言ってこのシーンは「年寄り=最強人格者」を前提とした通り一遍の作りで、セリフだけでつらつら語られる「絶望しない理由」も少々説得力が薄かった。戦後動乱の描写はアレとしても、せめて耕しても耕しても終わらない開墾が終わって初収穫おめでとう!みたいな回想シーンでも背景に流れればセリフに重みが出ただろうに。また「ずーっと真っ暗なんだぞ!」「そんな事はないのよ」と一般人がバッドエンド側の特殊能力をあっさり全否定しちゃってるのも凄い。それを言っちゃあオシマイだよなあ(笑
「何があっても笑顔で一生懸命生きていればいつかきっと幸せがやってくる」
なるほど第一話の初どよんど空間にみゆきが呑み込まれなかったのは番組テーマにシンクロしたおばあちゃんの前向きポリシーの血脈によるもので、今回おばあちゃんがどよんど沼に落ちなかったのもこれこそが主たる理由だったかもしれません(超好意的解釈。というかみゆきはこの素晴らしきポリシーをもっと主張し体現していただきたい。
怒りに震えるオオカミさんは悪役らしい脅しセリフを吐いて威圧、しかし当のおばあちゃんは食べ物を取りに家の奥に捌けた後でした。あははは。何というマイペース。ますます荒ぶるオオカミさんに対峙したみゆきたちは目撃者が捌けた所で気兼ねなくプリキュアに変身! などとギャグを絡ませながら変身への流れを上手く組み立ててます。
変身後のアクションはさすが稲上作監回だけあって凛々しく勇ましいバトルを見せてくれました。屋根上でアカンベェを受け止めた影下の表情も強い意志を感じさせます。旋風にシュバッ!と乗って舞い降りながらキックのマーチもかっこいい! けど今回の見せ場はここだけ。まあ何もせぬまま拘束されちゃうよりマシか。

ピース&ビューティはペアでパンチ。グッと溜めた力を一気にぶつけるべく飛びかかるアクションは体勢バランスを取る腕の動きも細かくてなかなか見応えアリ。パンチ一撃でよろめいたアカンベェの下に走ったサニーは馬鹿力を発動して放り投げ…いつもなら単独必殺技すら毛の先ほども効かないスーパーくんなのに今回は妙に弱いな。オオカミさんが腹を空かせているから?(笑
などと短いアクションシーンを終え、おばあちゃんの宝物について語り始めるハッピー。すると語るうちに「ひみつ」について疑問を持ち…ほんの数秒前の闘志を忘れて呑気に立ち話を始めるハッピー&サニー。今カメラ回ってますよ! その油断のせいで蚊取りブタ砲に吹っ飛ばされて身動き取れずいきなり大ピンチ!ってな流れはポルナレフのAAばりに何が起きているのかわからなかった。ご丁寧に五人揃って身動き取れないってのもなあ。ここで立ち話に加わらなかったマーチ&ビューティが残って、以降の逆転劇の要になるってならプリキュアらしい熱き戦いだったろうに。
倒れた五人の上を蚊取りブタ砲の火球が飛び、おばあちゃん家へ一直線!の絵面は絶体絶命大ピンチっぽい演出が効いてましたが、前述の理由により私的には「おいおいおい」みたいな印象。

その大ピンチを救ったのは山からの突風「天狗風」と河童のいたずらでした。ううむ。身動き取れないプリキュアの代わりに物の怪たちの力だけでピンチを脱してしまったのは、見方によってはプリキュア全否定になってしまうかも。これがプリキュアたちと協力し合って、例えば天狗風の力を借りたマーチが必殺技を撃っていつもより効くとか、河童とビューティが連携して水芸(笑)をするとか、あくまでアカンベェにダメージを与えるのはプリキュアの役目にしないと存在自体が危ぶまれてしまうような。これがプリキュアでなく「人間と物の怪の関わり」に主軸を置いた作品ならば普通に「いい話」で収まるだろうけど、本作は「戦うヒロイン」が活躍してナンボの作品ですし。
河童に足を取られて倒れたアカンベェ、などとピンチが去った瞬間に全員揃って何事も無かったようにスックと立ち上がり、バースト一撃フィナーレの流れもいつも通りとはいえ何だかなあな感じ。とりあえず1コマで全員KOとか全員拘束とか単調なピンチ描写はもう勘弁。パワーバランスが無茶苦茶なのでアクションの組み立ても難しいだろうけど、バーストへ繋がるバトルをもう少しマトモに描いてほしいです。
「おばあちゃんの宝物ってさあ…」
戦い済んでお稲荷さんを食べながら縁側で一息。本当にキツネと思ってたのか(笑。ここで「宝物」について話すみゆきが言葉を呑み込むシーンは良かった。判っていてあえて言わない優しさは先のキャンディ騒ぎの裏返しで、みゆきとおばあちゃんに共通した優しさを感じさせます。すると髪を揺らす優しい風が山から吹いてきて、おばあちゃんはそれを「山のみんなからのお礼」と…何かを察したおばあちゃんの問いかけに「ひみつ」と返す笑顔の締めも綺麗でした。例の祠に置かれたお礼の品は少々蛇足っぽいけれど小さいお友達には判りやすいオチだったかも。でもこのお礼の品を見たらなおちゃんひっくり返っちゃいそう(笑
もちろん言いたい事はいくらでもあるけれど、夏休み期間の単発回として考えればなかなか良く出来たエピソードだったと思います。山村の民話に絡めた展開はおばあちゃんの正体不明さも相まってファンタジックな雰囲気で、例の戦闘シーン以外は久しぶりに作品世界に浸れた感じ。

今回のED寸劇はピース。カメラの前で次々とハイポーズ。ところがダブルピースでビリビリが起きちゃってさあ大変! ビューティが構えたカメラが煙を噴いて壊れ、苦笑いのピースのオチもあざとくかわいい。
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「おばあちゃんの宝物ってさあ…」

さて今回は五人揃ってみゆきのおばあちゃん家へゴー! この交通事情やおばあちゃんを訪ねる目的からしてみゆきの両親が付いて来ないで、その代わりいつもどおり五人揃いで向かっているのは少々不思議だけれど…中二ともなれば親から離れて親戚宅へ行くのも良い羽伸ばしになりますし、景色や空気が綺麗な所へ友達を誘うのもアリでしょう。
ギラギラした真夏の日差し、落石防護洞門を抜けたゴプリキュアの面々描写は強烈なコントラストが真夏の暑さを感じさせます。舌を出してヘバるあかねちゃんかわいい! 川の冷たい水を首筋にかけて一息から「無闇に川に近付くと河童に引っ張られるよ」との声に振り向くみなさん…川辺からの俯瞰で白く飛ばした先の登場カットはなかなかドラマチックで、今回の肝となる山村民話の前振りも兼ねた導入パートはさすが成田脚本・境監督演出回だけあって非常に印象的。稲上作監による美麗な作画も雰囲気作りに一役買っていますね。みんな良い表情してます。

今回は山村の美しい風景や木漏れ日が射す川辺などなど美術にも力が入っていました。まあテーマがテーマなので風景が美しくないと台無しですからね(笑。川の水面にポチャンと現れる河童の影や天狗が棲まう山など、美しい山村風景を映しながらさりげなく前振りしているのも丁寧さを感じさせます。
おばあちゃん家に到着するとさっそくキャンディに釘刺しのみなさん。これが本来の扱いなのよね。またこういうカットを入れる事で後におばあちゃんがキャンディの存在に「何となく気付いている」雰囲気を引き立てる効果もあります。でも小さいお友達は前回との扱いの違いに混乱しないかな?
みなさん揃って採れたて野菜を冷やしている川辺へゴー。よく冷えた新鮮野菜を頬ばって生き返ったあかねちゃんの一方で祠に気付いてビビるなおちゃん、復活早々からかうあかねちゃんの表情も良し良し。しかし今回もなおちゃんはポンコツ役で、河童にビビっている表情もかわいいのだけれど、こういう描写ばかりクローズアップされてしまうともはや「凛々しい女番長」とどちらが本体なのかわかりません。力強く凛々しいキャラを定着させた後にこういうビビり顔をポンに見せれば効果覿面なのに現状では真逆なのが辛い所。

河童へのお供えを流したみゆきのカットは川辺の落差を感じさせる俯瞰アングルがいい感じ。ここで河童の話から天狗や座敷童の話、優しくした後の贈り物の話など伏線を散らしながら「子供の頃からおばあちゃんはいろんなお話を聞かせてくれた」とみゆきの物語好きの起源(?)も明らかに。これにしてもこれまでのエピソードで「物語好き」という設定が生かされていれば見る側の受け止め方も違っただろうにもったいない。
さて家へ戻っての夕食準備シーンにて繰り広げられたドタバタ。キャンディの分まできちんと用意されていたのはおばあちゃんがナニゲに気付いている? 後に明らかになりますが、何せ山村の物の怪たちと共生しているおばあちゃんですから、動くぬいぐるみに気付いてもいちいち驚かないのでしょう。先にも書きましたがキャンディの正体を必死に隠そうとするみなさんと、うっすら気付きながら気付かない振りをしているおばあちゃんとの対比が面白い。必死にごまかす孫娘たちの奮闘を尊重してあえてツッコまないのだろうなあ。いいおばあちゃんです。
このドタバタシーンは、キャンディが動いたり喋ったりする瞬間おばあちゃんの視線がきっちり外れている芸の細かさにちょっと感心。一事が万事、こういう丁寧な作りで第一話から作り直してほしいけどそれは言わない約束か。キャンディの上に乗ってしまって思わず声を上げたみゆきが慌てて口を押さえるカットは今回最高の表情だったかも。掛け値無しにかわいいリアクションでした。食卓の下できっちり満腹のキャンディ、チラリと映ったみなさんの脚はお行儀良く正座していていかにも「お呼ばれ」な感じで微笑ましい。普段一人で食事しているおばあちゃんは賑やかな食卓が嬉しかっただろうなあ。それはそうとこの田舎で網戸も無しに障子全開だと虫が凄そう。なおちゃんは大丈夫なの?(笑

「ねえおばあちゃん。私たちと一緒に暮らさない?」
夕食の後の縁側シーン。花火で遊ぶなおちゃんがスタイル良すぎて何事かと。ここでみゆきは訪ねた理由をおばあちゃんに話し、あかねちゃん&れいかさんも遠慮がちに後押し。確かにこの交通の便が悪い所に年寄りの一人暮らしは何かと心配であります。しかしおばあちゃんは「ここには宝物があるから」とやんわりお断り、そしてその宝物は「ひみつ」と…綺麗な空気、綺麗な景色、綺麗な星空などなど山村ならではの代え難い魅力はありますが、そのような目に見えるものなら「ひみつ」にする事もなく、名前のとおり「星空」オチかと思ったけれどさすがに一捻りありました。でも田舎の星空って本当に綺麗なんだよねえ。ベタながらこれだけでも「離れられない理由」として成立するほど。

いきなり象デコル発動で何事かと思ったら散水ポンプ代わりとは(笑。畑仕事をしながら慣れた土地を離れる辛さを語るあかねちゃん&みゆき。こういう辺りさすが転校経験者らしい会話で…この設定が生かされるのは第九話以来? これに限らず全編に渡って初期の諸設定を生かした作りにしてくれればなあ。てな話をしながらおばあちゃんの宝物について考え、綺麗な景色を眺めているとキツネを見つけてはしゃぐ二人。オオカミさんキツネ化のさりげない前振りか。
というわけで暑さに伸びてたオオカミさんは偶然にもみゆきの田舎の川で涼を取っていました。すごい偶然です(笑。冷たい水に一息したらハラヘッタ! そして次の瞬間水面に謎の影が現れてビビって逃げるオオカミさん…あんたそれでも悪の幹部か。さらにおばあちゃん家の庭にてみなさんとご対面。ここで描かれるユルい対峙は中盤の死闘を記憶から消去すれば普通に笑えた、というかオオカミさんもゴプリキュア側もこれまでの記憶を失っているとしか思えない和やかさです。このノリでやるならこれで通してくれれば、取って付けたようなシリアス展開など入れず「楽しいプリキュア」を貫いてくれれば齟齬が起きないのにね。

おばあちゃんに手玉に取られて真っ赤に膨れたオオカミさんはいつものシーケンスでどよんど時空を発生させ、バッドエナジーを吸い出そうとするも…おばあちゃんは絶望せず、バッドエナジーも出ません。ギャグの基本は繰り返しって事でこのシーンはベタながらちょっと笑った。例のピエーロタイマーも今回は動きません。あはは。でも虫からも吸い出せる位だからさっきのキツネからバッドエナジー吸えば?ってのは言わない約束です。
夢と希望の象徴たるプリキュアたちですらバッドエナジーを放ったというのにさすが亀の甲より年の功。みゆきの年齢的におばあちゃんは60~70歳くらい? 世代的に戦争体験は微妙ですが戦後の混乱期を生き抜いた強さと、年齢分の人生経験を重ねて出来上がった人格は「絶望なんてしないわ」と言わしめるだけのものがあるのでしょう。
などと好意的解釈をしてみましたが、正直言ってこのシーンは「年寄り=最強人格者」を前提とした通り一遍の作りで、セリフだけでつらつら語られる「絶望しない理由」も少々説得力が薄かった。戦後動乱の描写はアレとしても、せめて耕しても耕しても終わらない開墾が終わって初収穫おめでとう!みたいな回想シーンでも背景に流れればセリフに重みが出ただろうに。また「ずーっと真っ暗なんだぞ!」「そんな事はないのよ」と一般人がバッドエンド側の特殊能力をあっさり全否定しちゃってるのも凄い。それを言っちゃあオシマイだよなあ(笑
「何があっても笑顔で一生懸命生きていればいつかきっと幸せがやってくる」
なるほど第一話の初どよんど空間にみゆきが呑み込まれなかったのは番組テーマにシンクロしたおばあちゃんの前向きポリシーの血脈によるもので、今回おばあちゃんがどよんど沼に落ちなかったのもこれこそが主たる理由だったかもしれません(超好意的解釈。というかみゆきはこの素晴らしきポリシーをもっと主張し体現していただきたい。
怒りに震えるオオカミさんは悪役らしい脅しセリフを吐いて威圧、しかし当のおばあちゃんは食べ物を取りに家の奥に捌けた後でした。あははは。何というマイペース。ますます荒ぶるオオカミさんに対峙したみゆきたちは目撃者が捌けた所で気兼ねなくプリキュアに変身! などとギャグを絡ませながら変身への流れを上手く組み立ててます。
変身後のアクションはさすが稲上作監回だけあって凛々しく勇ましいバトルを見せてくれました。屋根上でアカンベェを受け止めた影下の表情も強い意志を感じさせます。旋風にシュバッ!と乗って舞い降りながらキックのマーチもかっこいい! けど今回の見せ場はここだけ。まあ何もせぬまま拘束されちゃうよりマシか。

ピース&ビューティはペアでパンチ。グッと溜めた力を一気にぶつけるべく飛びかかるアクションは体勢バランスを取る腕の動きも細かくてなかなか見応えアリ。パンチ一撃でよろめいたアカンベェの下に走ったサニーは馬鹿力を発動して放り投げ…いつもなら単独必殺技すら毛の先ほども効かないスーパーくんなのに今回は妙に弱いな。オオカミさんが腹を空かせているから?(笑
などと短いアクションシーンを終え、おばあちゃんの宝物について語り始めるハッピー。すると語るうちに「ひみつ」について疑問を持ち…ほんの数秒前の闘志を忘れて呑気に立ち話を始めるハッピー&サニー。今カメラ回ってますよ! その油断のせいで蚊取りブタ砲に吹っ飛ばされて身動き取れずいきなり大ピンチ!ってな流れはポルナレフのAAばりに何が起きているのかわからなかった。ご丁寧に五人揃って身動き取れないってのもなあ。ここで立ち話に加わらなかったマーチ&ビューティが残って、以降の逆転劇の要になるってならプリキュアらしい熱き戦いだったろうに。
倒れた五人の上を蚊取りブタ砲の火球が飛び、おばあちゃん家へ一直線!の絵面は絶体絶命大ピンチっぽい演出が効いてましたが、前述の理由により私的には「おいおいおい」みたいな印象。

その大ピンチを救ったのは山からの突風「天狗風」と河童のいたずらでした。ううむ。身動き取れないプリキュアの代わりに物の怪たちの力だけでピンチを脱してしまったのは、見方によってはプリキュア全否定になってしまうかも。これがプリキュアたちと協力し合って、例えば天狗風の力を借りたマーチが必殺技を撃っていつもより効くとか、河童とビューティが連携して水芸(笑)をするとか、あくまでアカンベェにダメージを与えるのはプリキュアの役目にしないと存在自体が危ぶまれてしまうような。これがプリキュアでなく「人間と物の怪の関わり」に主軸を置いた作品ならば普通に「いい話」で収まるだろうけど、本作は「戦うヒロイン」が活躍してナンボの作品ですし。
河童に足を取られて倒れたアカンベェ、などとピンチが去った瞬間に全員揃って何事も無かったようにスックと立ち上がり、バースト一撃フィナーレの流れもいつも通りとはいえ何だかなあな感じ。とりあえず1コマで全員KOとか全員拘束とか単調なピンチ描写はもう勘弁。パワーバランスが無茶苦茶なのでアクションの組み立ても難しいだろうけど、バーストへ繋がるバトルをもう少しマトモに描いてほしいです。
「おばあちゃんの宝物ってさあ…」
戦い済んでお稲荷さんを食べながら縁側で一息。本当にキツネと思ってたのか(笑。ここで「宝物」について話すみゆきが言葉を呑み込むシーンは良かった。判っていてあえて言わない優しさは先のキャンディ騒ぎの裏返しで、みゆきとおばあちゃんに共通した優しさを感じさせます。すると髪を揺らす優しい風が山から吹いてきて、おばあちゃんはそれを「山のみんなからのお礼」と…何かを察したおばあちゃんの問いかけに「ひみつ」と返す笑顔の締めも綺麗でした。例の祠に置かれたお礼の品は少々蛇足っぽいけれど小さいお友達には判りやすいオチだったかも。でもこのお礼の品を見たらなおちゃんひっくり返っちゃいそう(笑
もちろん言いたい事はいくらでもあるけれど、夏休み期間の単発回として考えればなかなか良く出来たエピソードだったと思います。山村の民話に絡めた展開はおばあちゃんの正体不明さも相まってファンタジックな雰囲気で、例の戦闘シーン以外は久しぶりに作品世界に浸れた感じ。

今回のED寸劇はピース。カメラの前で次々とハイポーズ。ところがダブルピースでビリビリが起きちゃってさあ大変! ビューティが構えたカメラが煙を噴いて壊れ、苦笑いのピースのオチもあざとくかわいい。
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