2012-08-27(Mon)
TARI TARI #09 白くなったり 赤くなったり
レッドになる覚悟。

ウィーンのヒーロー魂は本物でした。

夢と希望が力となって 人を動かし地球を回す
朝日が昇るから明日が来るのではない!
人が希望を抱いて生きるから朝日が昇るのだ!
地球は俺たちが回す!
熱闘ヒーロー ガンバライジャー!
崖下からのパンアップの先に仁王立ちの五色の戦士。レンズフレアが煌めく逆光空抜きアングルや檜山レッドによる勇ましい口上セリフなどなど、東映スーパー戦隊のフォーマットを異様なほどリアルに再現した冒頭シーンはさすが本家スーパー戦隊の仕事を数多く手掛けてきた横手美智子氏脚本回だけの事はあります。必要以上に熱い檜山レッドの口上に割り込むピンポンの音、これを合図に映像はガンバライジャーから現実に切り替わり、ピンポンに呼ばれたウィーンは玄関先で宅配便を受け取ります。
オーストリアから届いた宅配便の中身はたくさんのエアメールでした。なぜこんなたくさんの手紙を? と思ったら、これは全てウィーンがヤンに宛てて送った手紙で、それが全て送り返されてきた事の意味を考えたウィーンは呆然と立ち尽くしてしまう。サブタイトルにある「白くなったり」の瞬間ですね。
OP明けのAパート冒頭は相変わらず作曲が進まない和奏の様子。寝不足なのかあくびしながらの目玉焼きはグシャっと潰れ、コーヒーを飲んでも苦い…作曲に煮詰まった和奏の心理状態を日常生活描写に絡めて自然に表現していますね。いや和奏は煮詰まる以前に「どうやって歌を作るのか」の段階で悩んでいました。自然と思い浮かんだメロディを繋ぎ合わせるだけならネコでもできるけどそれでいいの? そんなわけないよね? 初めて挑戦する作曲作業への技術的な不安と後に語られる「怖さ」――「できるのか?」「できた所で大丈夫なのか?」という創作そのものに対する不安を取り払う術が和奏にはありません。音楽素人の父ちゃんに相談しても答えを得られるはずがなく、というわけで志保さんに相談する前振りで朝食シーンを締めます。

声楽部に乗っ取られていたはずの音楽準備室に集うみなさん。前回描かれた選考会の結果はどうなった!? と今回冒頭から気になっていましたが、この場所を取り返している時点で合唱部の存在が認められたという事だろうから推して知るべし。また前回まで大騒ぎだった紗羽の進路問題も憑き物が落ちたように「騎手以外の道」を模索している様子が描かれ…ずっと未練を引きずるのもアレですが、こうもサバサバ切り替わってしまうと少々拍子抜けかも。紗羽らしいっちゃそうかもだけど(笑。まあ本人としても今から競馬騎手になるのは不可能と判っていて、とはいえ簡単には諦められず、あの騒動は諦めるきっかけを見つけるまでの地団駄だったと捉えればこの切り替えの早さも納得か。なーんて賑やかな女子三名、いつもどおりマイペースでトレーニングしながらご褒美を貰っている田中と別に、アバンでの様子マンマに魂が抜けているウィーンが辛い。
てな所へ登場した来夏部長によるシロサイ演し物提言は「音楽劇」でした。確かに申請書に書かれていた「歌ったり踊ったり」のとおりで、あれは思いつきでテキトウに書いたわけじゃなかったのね(笑。趣旨説明の後、各部員の役割をテキパキと割り振る来夏は部長らしく仕切る仕切る。ここは唐突に指名された和奏・紗羽のリアクションが面白かった。特に生みの苦しみと絶賛格闘中の和奏はいきなり〆切を設定された上に発表の場まで設定されちゃって大変です。どうすんだろ。
などと盛り上がる中、ウィーンだけはいつものようにメモメモちゃんにもならず相変わらず魂が抜けたままでした。その異変に気付く田中は女子への無神経(無頓着)っぷりに反してさすが男子同士のツーカーっぷり、逆に女子同士では繊細だった子たちがウィーンの変化に気付かない辺り本作の男子女子の関係性を感じさせます。男と女の間には深くて暗い河があるのです。
その頃志保さんは西之端商店街の企画会議中。いかにも結論が出ない、やる気が無い会議で、いつまでも世間話をやめないみなさんにピシャリと一喝しながら「行く夏を盛り上げよう!」企画を提案する志保さん…張り切ってご当地ヒーローの説明を始める志保さんに対し全員一斉に具合が悪い振りってのがいかにも。この商店街って志保さんがいないと何も決まらなそう。てな所へ鴨がネギ背負ってきました(笑

約束どおりケーキを用意して全力笑顔で振る舞う志保さん。この笑顔に不審感いっぱいの紗羽はさすがよくわかってらっしゃる。美味しいケーキに続いて美味い話、「君たち、お金欲しくない?」との問いに例のシロサイの音楽劇資金不足問題もあってか即答で「欲しい!」と答える来夏は素直でよろしい(笑。田中は訝しげな話に疑いの目を向けるも、「ヒーロー」と聞いてウィーンのスイッチが入り来夏も続き…ご当地ヒーローのバイト話として普通に話してもこのシーンは成り立つのだけれど、わざわざこういう手順を踏む辺り隙あらばキャラを立てようとする制作スタッフの作品愛を感じますね。
物置にしまわれていたヒーロースーツを前に驚喜のウィーン、何やら大昔の駅弁大会で使われたものとか…それをして「幕の内」と例える志保さんへ冷静にツッコむ紗羽、ほんと仲いい母娘だなあ。ギャラ提示から細かい条件を聞き、ケータイで計算を始める和奏はしっかり者ですね(笑。参否の決定権があると思われた紗羽は「え!? 私が決めるの?」、しかし「あんたはやんなさい。娘なんだから」と拒否権すら無い事を告げられてまたしても「え!?」、そして和奏は「聞きたい事」を条件にされて「え!?」と、今回の女子たちは驚きっぱなしです(笑
「これは価値ある任務だ」
ヒーローのマスクを付けガンバライジャーの口上を叫ぶウィーン。呆気に取られる女子に反して口上を続ける田中はこれまた男子女子の違いを感じさせます。田中も小さい頃にガンバライジャーを見てたのでしょう。ヒーローの姿を模した事で「僕が希望を無くしてどうするんだ」と自分を取り戻し…これはまさにサブタイどおり白くなったウィーンが赤くなった瞬間でした。熱いぞウィーン!

その後志保さん&和奏のお話シーン。まひるさんの話を交えながら相談するも、志保さんは作曲について専門外のためそういう話をした事無いとか。とはいえ「話しやすい先輩だった」とはいかにも(笑。「もっといろいろ聞いとけばよかったな…」としょんぼり顔の和奏の頭をぐりぐり愛しむ志保さんは優しい人です。そして「歌の作り方なら教頭先生に聞くといい」とアドバイス…現状の関係からして気軽に聞ける間柄でもなく、さらに曲の経緯を想像すれば何だかこの話題は地雷っぽい。何せ和奏のちょっとした言動からまひるさんへの劣等感を思い出して挙動不審になる人ですから、その象徴である「心の旋律」について聞かれたらどうなってしまうのやら。
帰り際の和奏へビシッと一発気合い入れ。これは志保さんにとっての親愛表現・心からのエールなのでしょう。とはいえ和奏的にはいきなりケツを叩かれてびっくり! あらかわいい(笑
「西之端ヒーロー ツヨウテソヅャー」
カタカナの「シ」と「ツ」が紛らわしいといういかにもな帰国子女ネタをいちいち織り込む拘りにまず笑った。ほんと芸コマだなあ(笑。ツッコむまでもなく正解は「西之端ヒーロー ショウテンジャー」で、これはウィーンが夜遅くまで書いていたご当地ヒーローの設定書でした。ネーミングに「そのまんまだな」とツッコむ田中、設定書を読みながらコスチュームの方が気になる来夏・紗羽などなどキャラの動きも面白いです。
「レッドになる覚悟があるのか聞かせてほしい」
五色のヒーロースーツを前に「誰が何色にする?」「私赤がいいな」と賑やかな女子たち。前述のとおり普通の女子は戦隊ヒーローの色別役割など馴染みが無いので単純に色の好みだけで、まるで普通の服を選ぶ感覚なのがいかにも女子っぽい。てな所へ真顔で切り込み「紗羽にレッドをやる覚悟があるのなら~」と言いながらレッドやりたいオーラを出しまくるウィーン、一方いきなり「レッドの覚悟」を問われて慌てて譲る紗羽との温度差もいかにも。オトコノコにとって、また今のウィーンにとって「レッド」は特別なのです。黄色を選んで「カレーやだぁ」と拗ねる来夏、そろそろ「黄色=カレー」という刷り込みも賞味期限が切れているような。というかリアル高校生だとこの意味がわからんかも。

担当色が決まった所でお次は変身アクション&キメゼリフの練習へ。拳をグッと突き上げ、足を踏み込み、ヒーローになりきって熱いアクションを披露するウィーンの描写は、さすがカット割りからアングルからよく判ってます。無闇にかっこいいです(笑。続く田中のいまいちショボいアクションを見て「もっとかっこよく! それじゃ子供たちに支持されないよ!」と叫び、棒立ち棒読みの紗羽、照れて後回しの和奏、ふざけてノリノリの来夏たち女子へ「マジメにやろうよ!」と叫ぶウィーンはヒーローの何たるかが判っているのだなあ。
そんなウィーンへ「ただの人集めなんだからこんなノリで十分」と返す紗羽、他の女子もマジメにやる気は無さそうで…キミら女子同士だとあんなに繊細だったのに、このウィーンを見ても何も気付かないのか。その点田中は異変に気付いて「何かあったのか?」と声を掛けたりいい奴度右肩上がりです。

返送されてきたヤンからの手紙束を見せて経緯を話すウィーン。これまでの手紙執筆シーンや第五話アバンで存在をチラ見せしてきたヤンの正体がついに明らかになりましたね。オーストリア在住時に出会ったヤンはとんでもなくかわいい少年で、明言はされていませんが描写からして体が弱いか病気療養中か、そんな少年へ送っていた手紙が全て返送されたとしたらそりゃ悪い想像もしてしまうでしょう。約束どおり「日本の事」を書いていた手紙、だからウィーンは周りのみなさんが言う事を聞き漏らさないよういちいちメモに取り、その内容を書いて送っていた。来夏たちが面白がって教えていた即席嘘話も全て…何でも信じる純真無垢な帰国子女をからかっていたつもりの来夏は真実を知って罪悪感しきり、まさかこのネタまでも前振りだったとはおそるべし。ほんと無駄なカットが全くありません。
ヒーローを通じて知り合った小さいお友達への思いは、ウィーンのヒーロー観をより強固なものにしたのでしょう。「子供たちのヒーロー」はふざけ半分でやってはいけない。常に格好良く、常に強く、憧れとなり支えとなる存在でなくてはならないのです。ガンバレッドは遠く離れた地でヤンを守ってくれている。だからウィーンは再びヤンと会える事を信じ、ヤンががんばっている事を信じて自分も西之端ヒーローとしてがんばる。
ウィーンの覚悟を聞いた田中はシラスホワイトのアクションに本気を出し、見守る女子たちも感化されたようでした。しかしその後の着替えシーンにて問題が勃発! 元々男用のグリーンのスーツにはスカートが無く、ただでさえグラマラスボディの紗羽は男用スーツでどうするどうなる? スタイルいいから大丈夫!ってのはフォローになってないよなあ。むしろスタイルがいいからヤバい(笑。黄色スーツを履いてくるくる回ってる来夏、「うちの本堂の臭いする!」「え!?」「お寺臭!?」のセリフでピタッと止まる流れも面白い。というか今回の女子組は事あるごとに驚いてばかりで、これまで周囲を振り回していた子たちが振り回される側に回る演出はちょっと痛快だったかも(笑。それはそうと紗羽のスーツはドコが破れたのか!? そしてこれは次週のアクション本番にてハプニングが起きる前振りか!?
あれほど熱く語ったウィーンでしたが、鏡の前でポーズの練習に入り込んでいる様子を見ると単なるヒーローオタにしか見えませんね(笑。田中がんばれ!

「ありえない。あまりに突然すぎます、こんな無責任な事!」
ショウテンジャー騒動の裏側で淡々と進んでいる大人のお話。理事長による計画書を見た教頭先生は言葉を荒げて迫るも、校長先生は雇われの立場から何も出来ず謝るだけでした。理事長権限や今回の会話の流れから察すると音楽科の存続に関するプロジェクトっぽい? これにて一気に情けないおっさんに落ちぶれてしまった校長先生は最後の最後で男を見せる前振り? まあ元々口先だけっぽい人だったのでこのまま終わっても不自然ではありませんが、女性が強すぎる本作にて男の意地を見せて欲しいと思ったり。
校則で原則禁じられているアルバイトの許可についてあれこれ。似てるのか似てないのか微妙なモノマネから立ち上がった来夏は部員全員を引き連れて直球勝負に出ます。職員室へカチ込むともの凄い意気込みでアルバイトの必要性を訴える来夏、教頭先生を相手に不許可の隙を与えない語り口はほんと立派になったものです。ところが当の教頭先生は来夏たちの話を全く聞いておらず、大きな溜息を吐くと
「え?」
「え?」
まさか教頭先生まで「え?」ですか(笑。そして渡されるまま何も言わずに申請書へ判を押して返す教頭先生、あの厳しく口うるさい先生をここまで放心させるとは。意気込んでまくし立てた勢いを削がれて拍子抜けして帰る合唱部のリアクションもいい味でした。とはいえこの一連は先の校長室シーン無しで見たらもっと面白かったかもしれない。
というわけでようやく教頭先生のターンがやってまいりました。初回から待ちに待ってた私としては非常に楽しみなのですが…残り話数を考えると寂しさが先に立ってしまいそう。
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ウィーンのヒーロー魂は本物でした。

夢と希望が力となって 人を動かし地球を回す
朝日が昇るから明日が来るのではない!
人が希望を抱いて生きるから朝日が昇るのだ!
地球は俺たちが回す!
熱闘ヒーロー ガンバライジャー!
崖下からのパンアップの先に仁王立ちの五色の戦士。レンズフレアが煌めく逆光空抜きアングルや檜山レッドによる勇ましい口上セリフなどなど、東映スーパー戦隊のフォーマットを異様なほどリアルに再現した冒頭シーンはさすが本家スーパー戦隊の仕事を数多く手掛けてきた横手美智子氏脚本回だけの事はあります。必要以上に熱い檜山レッドの口上に割り込むピンポンの音、これを合図に映像はガンバライジャーから現実に切り替わり、ピンポンに呼ばれたウィーンは玄関先で宅配便を受け取ります。
オーストリアから届いた宅配便の中身はたくさんのエアメールでした。なぜこんなたくさんの手紙を? と思ったら、これは全てウィーンがヤンに宛てて送った手紙で、それが全て送り返されてきた事の意味を考えたウィーンは呆然と立ち尽くしてしまう。サブタイトルにある「白くなったり」の瞬間ですね。
OP明けのAパート冒頭は相変わらず作曲が進まない和奏の様子。寝不足なのかあくびしながらの目玉焼きはグシャっと潰れ、コーヒーを飲んでも苦い…作曲に煮詰まった和奏の心理状態を日常生活描写に絡めて自然に表現していますね。いや和奏は煮詰まる以前に「どうやって歌を作るのか」の段階で悩んでいました。自然と思い浮かんだメロディを繋ぎ合わせるだけならネコでもできるけどそれでいいの? そんなわけないよね? 初めて挑戦する作曲作業への技術的な不安と後に語られる「怖さ」――「できるのか?」「できた所で大丈夫なのか?」という創作そのものに対する不安を取り払う術が和奏にはありません。音楽素人の父ちゃんに相談しても答えを得られるはずがなく、というわけで志保さんに相談する前振りで朝食シーンを締めます。

声楽部に乗っ取られていたはずの音楽準備室に集うみなさん。前回描かれた選考会の結果はどうなった!? と今回冒頭から気になっていましたが、この場所を取り返している時点で合唱部の存在が認められたという事だろうから推して知るべし。また前回まで大騒ぎだった紗羽の進路問題も憑き物が落ちたように「騎手以外の道」を模索している様子が描かれ…ずっと未練を引きずるのもアレですが、こうもサバサバ切り替わってしまうと少々拍子抜けかも。紗羽らしいっちゃそうかもだけど(笑。まあ本人としても今から競馬騎手になるのは不可能と判っていて、とはいえ簡単には諦められず、あの騒動は諦めるきっかけを見つけるまでの地団駄だったと捉えればこの切り替えの早さも納得か。なーんて賑やかな女子三名、いつもどおりマイペースでトレーニングしながらご褒美を貰っている田中と別に、アバンでの様子マンマに魂が抜けているウィーンが辛い。
てな所へ登場した来夏部長によるシロサイ演し物提言は「音楽劇」でした。確かに申請書に書かれていた「歌ったり踊ったり」のとおりで、あれは思いつきでテキトウに書いたわけじゃなかったのね(笑。趣旨説明の後、各部員の役割をテキパキと割り振る来夏は部長らしく仕切る仕切る。ここは唐突に指名された和奏・紗羽のリアクションが面白かった。特に生みの苦しみと絶賛格闘中の和奏はいきなり〆切を設定された上に発表の場まで設定されちゃって大変です。どうすんだろ。
などと盛り上がる中、ウィーンだけはいつものようにメモメモちゃんにもならず相変わらず魂が抜けたままでした。その異変に気付く田中は女子への無神経(無頓着)っぷりに反してさすが男子同士のツーカーっぷり、逆に女子同士では繊細だった子たちがウィーンの変化に気付かない辺り本作の男子女子の関係性を感じさせます。男と女の間には深くて暗い河があるのです。
その頃志保さんは西之端商店街の企画会議中。いかにも結論が出ない、やる気が無い会議で、いつまでも世間話をやめないみなさんにピシャリと一喝しながら「行く夏を盛り上げよう!」企画を提案する志保さん…張り切ってご当地ヒーローの説明を始める志保さんに対し全員一斉に具合が悪い振りってのがいかにも。この商店街って志保さんがいないと何も決まらなそう。てな所へ鴨がネギ背負ってきました(笑

約束どおりケーキを用意して全力笑顔で振る舞う志保さん。この笑顔に不審感いっぱいの紗羽はさすがよくわかってらっしゃる。美味しいケーキに続いて美味い話、「君たち、お金欲しくない?」との問いに例のシロサイの音楽劇資金不足問題もあってか即答で「欲しい!」と答える来夏は素直でよろしい(笑。田中は訝しげな話に疑いの目を向けるも、「ヒーロー」と聞いてウィーンのスイッチが入り来夏も続き…ご当地ヒーローのバイト話として普通に話してもこのシーンは成り立つのだけれど、わざわざこういう手順を踏む辺り隙あらばキャラを立てようとする制作スタッフの作品愛を感じますね。
物置にしまわれていたヒーロースーツを前に驚喜のウィーン、何やら大昔の駅弁大会で使われたものとか…それをして「幕の内」と例える志保さんへ冷静にツッコむ紗羽、ほんと仲いい母娘だなあ。ギャラ提示から細かい条件を聞き、ケータイで計算を始める和奏はしっかり者ですね(笑。参否の決定権があると思われた紗羽は「え!? 私が決めるの?」、しかし「あんたはやんなさい。娘なんだから」と拒否権すら無い事を告げられてまたしても「え!?」、そして和奏は「聞きたい事」を条件にされて「え!?」と、今回の女子たちは驚きっぱなしです(笑
「これは価値ある任務だ」
ヒーローのマスクを付けガンバライジャーの口上を叫ぶウィーン。呆気に取られる女子に反して口上を続ける田中はこれまた男子女子の違いを感じさせます。田中も小さい頃にガンバライジャーを見てたのでしょう。ヒーローの姿を模した事で「僕が希望を無くしてどうするんだ」と自分を取り戻し…これはまさにサブタイどおり白くなったウィーンが赤くなった瞬間でした。熱いぞウィーン!

その後志保さん&和奏のお話シーン。まひるさんの話を交えながら相談するも、志保さんは作曲について専門外のためそういう話をした事無いとか。とはいえ「話しやすい先輩だった」とはいかにも(笑。「もっといろいろ聞いとけばよかったな…」としょんぼり顔の和奏の頭をぐりぐり愛しむ志保さんは優しい人です。そして「歌の作り方なら教頭先生に聞くといい」とアドバイス…現状の関係からして気軽に聞ける間柄でもなく、さらに曲の経緯を想像すれば何だかこの話題は地雷っぽい。何せ和奏のちょっとした言動からまひるさんへの劣等感を思い出して挙動不審になる人ですから、その象徴である「心の旋律」について聞かれたらどうなってしまうのやら。
帰り際の和奏へビシッと一発気合い入れ。これは志保さんにとっての親愛表現・心からのエールなのでしょう。とはいえ和奏的にはいきなりケツを叩かれてびっくり! あらかわいい(笑
「西之端ヒーロー ツヨウテソヅャー」
カタカナの「シ」と「ツ」が紛らわしいといういかにもな帰国子女ネタをいちいち織り込む拘りにまず笑った。ほんと芸コマだなあ(笑。ツッコむまでもなく正解は「西之端ヒーロー ショウテンジャー」で、これはウィーンが夜遅くまで書いていたご当地ヒーローの設定書でした。ネーミングに「そのまんまだな」とツッコむ田中、設定書を読みながらコスチュームの方が気になる来夏・紗羽などなどキャラの動きも面白いです。
「レッドになる覚悟があるのか聞かせてほしい」
五色のヒーロースーツを前に「誰が何色にする?」「私赤がいいな」と賑やかな女子たち。前述のとおり普通の女子は戦隊ヒーローの色別役割など馴染みが無いので単純に色の好みだけで、まるで普通の服を選ぶ感覚なのがいかにも女子っぽい。てな所へ真顔で切り込み「紗羽にレッドをやる覚悟があるのなら~」と言いながらレッドやりたいオーラを出しまくるウィーン、一方いきなり「レッドの覚悟」を問われて慌てて譲る紗羽との温度差もいかにも。オトコノコにとって、また今のウィーンにとって「レッド」は特別なのです。黄色を選んで「カレーやだぁ」と拗ねる来夏、そろそろ「黄色=カレー」という刷り込みも賞味期限が切れているような。というかリアル高校生だとこの意味がわからんかも。

担当色が決まった所でお次は変身アクション&キメゼリフの練習へ。拳をグッと突き上げ、足を踏み込み、ヒーローになりきって熱いアクションを披露するウィーンの描写は、さすがカット割りからアングルからよく判ってます。無闇にかっこいいです(笑。続く田中のいまいちショボいアクションを見て「もっとかっこよく! それじゃ子供たちに支持されないよ!」と叫び、棒立ち棒読みの紗羽、照れて後回しの和奏、ふざけてノリノリの来夏たち女子へ「マジメにやろうよ!」と叫ぶウィーンはヒーローの何たるかが判っているのだなあ。
そんなウィーンへ「ただの人集めなんだからこんなノリで十分」と返す紗羽、他の女子もマジメにやる気は無さそうで…キミら女子同士だとあんなに繊細だったのに、このウィーンを見ても何も気付かないのか。その点田中は異変に気付いて「何かあったのか?」と声を掛けたりいい奴度右肩上がりです。

返送されてきたヤンからの手紙束を見せて経緯を話すウィーン。これまでの手紙執筆シーンや第五話アバンで存在をチラ見せしてきたヤンの正体がついに明らかになりましたね。オーストリア在住時に出会ったヤンはとんでもなくかわいい少年で、明言はされていませんが描写からして体が弱いか病気療養中か、そんな少年へ送っていた手紙が全て返送されたとしたらそりゃ悪い想像もしてしまうでしょう。約束どおり「日本の事」を書いていた手紙、だからウィーンは周りのみなさんが言う事を聞き漏らさないよういちいちメモに取り、その内容を書いて送っていた。来夏たちが面白がって教えていた即席嘘話も全て…何でも信じる純真無垢な帰国子女をからかっていたつもりの来夏は真実を知って罪悪感しきり、まさかこのネタまでも前振りだったとはおそるべし。ほんと無駄なカットが全くありません。
ヒーローを通じて知り合った小さいお友達への思いは、ウィーンのヒーロー観をより強固なものにしたのでしょう。「子供たちのヒーロー」はふざけ半分でやってはいけない。常に格好良く、常に強く、憧れとなり支えとなる存在でなくてはならないのです。ガンバレッドは遠く離れた地でヤンを守ってくれている。だからウィーンは再びヤンと会える事を信じ、ヤンががんばっている事を信じて自分も西之端ヒーローとしてがんばる。
ウィーンの覚悟を聞いた田中はシラスホワイトのアクションに本気を出し、見守る女子たちも感化されたようでした。しかしその後の着替えシーンにて問題が勃発! 元々男用のグリーンのスーツにはスカートが無く、ただでさえグラマラスボディの紗羽は男用スーツでどうするどうなる? スタイルいいから大丈夫!ってのはフォローになってないよなあ。むしろスタイルがいいからヤバい(笑。黄色スーツを履いてくるくる回ってる来夏、「うちの本堂の臭いする!」「え!?」「お寺臭!?」のセリフでピタッと止まる流れも面白い。というか今回の女子組は事あるごとに驚いてばかりで、これまで周囲を振り回していた子たちが振り回される側に回る演出はちょっと痛快だったかも(笑。それはそうと紗羽のスーツはドコが破れたのか!? そしてこれは次週のアクション本番にてハプニングが起きる前振りか!?
あれほど熱く語ったウィーンでしたが、鏡の前でポーズの練習に入り込んでいる様子を見ると単なるヒーローオタにしか見えませんね(笑。田中がんばれ!

「ありえない。あまりに突然すぎます、こんな無責任な事!」
ショウテンジャー騒動の裏側で淡々と進んでいる大人のお話。理事長による計画書を見た教頭先生は言葉を荒げて迫るも、校長先生は雇われの立場から何も出来ず謝るだけでした。理事長権限や今回の会話の流れから察すると音楽科の存続に関するプロジェクトっぽい? これにて一気に情けないおっさんに落ちぶれてしまった校長先生は最後の最後で男を見せる前振り? まあ元々口先だけっぽい人だったのでこのまま終わっても不自然ではありませんが、女性が強すぎる本作にて男の意地を見せて欲しいと思ったり。
校則で原則禁じられているアルバイトの許可についてあれこれ。似てるのか似てないのか微妙なモノマネから立ち上がった来夏は部員全員を引き連れて直球勝負に出ます。職員室へカチ込むともの凄い意気込みでアルバイトの必要性を訴える来夏、教頭先生を相手に不許可の隙を与えない語り口はほんと立派になったものです。ところが当の教頭先生は来夏たちの話を全く聞いておらず、大きな溜息を吐くと
「え?」
「え?」
まさか教頭先生まで「え?」ですか(笑。そして渡されるまま何も言わずに申請書へ判を押して返す教頭先生、あの厳しく口うるさい先生をここまで放心させるとは。意気込んでまくし立てた勢いを削がれて拍子抜けして帰る合唱部のリアクションもいい味でした。とはいえこの一連は先の校長室シーン無しで見たらもっと面白かったかもしれない。
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