2012-09-03(Mon)
TARI TARI #10 萌えたり 燃えたり
日用品から食料品、お探し物何でもあります!

西之端ヒーロー ショウテンジャー!

アバンは入院中のまひるさんを見舞うなおちゃん。この振りからして今回はいよいよ二人の過去について描かれるか?と期待させるもまだ小出し。ううむ焦らすなあ。しかし後に描かれる別れ際のやり取りを見ると、この面会を最後と覚悟しながらあくまで明るく応えるまひるさんの笑顔が辛い。なおちゃんが来てくれた事が本当に嬉しかったのだろうね。
OP明けのAパート冒頭はショウテンジャーのデビューステージ。気合入り入りのウィーンは道路を挟んだ商店街の買い物客へ熱い叫びをお届けし、一方他のメンツは電柱の影に隠れて遠目で眺めてビビリまくり。この辺の描写は妙にリアルです。気合一発の来夏をきっかけに衆目の前へ登場したみなさん、揃わないキメゼリフやアクションは不慣れさと「思いの不揃い」を感じさせます。ドンドンドン!といかにも戦隊っぽいカメラアングルも演者たちのズレっぷりを強調していますね。突然始まった素人くさいヒーローショーに戸惑う買い物客たち、それに加えてキメポーズの真っ最中に容赦無く車が往来するカットも、いかにも路上での即席ヒーローショーっぽくて笑った。

そんな限りなく微妙な雰囲気の中アクションスタート! 若干照れが入っているフルーツピンクの演技が絶妙、続くヤサイグリーン&カレーイエローは結構ノリノリです。それはそうと紗羽のヒーロースーツ姿は破壊力高すぎ、どんだけ大友向けアクションショーなんだ…と思ったらまだまだ序の口でした。
レッドに成りきって側転でカチ込むウィーン、一方カレーパンチヒットからのアクションで腰を痛めたロボロボ団(違)のおっさんはお気の毒でした(笑。この一連アクションはいかにもヒーローものっぽいアングル取りと絶妙のカット割り、しかし内容は微妙にトホホという落差がいい味出しまくり。さすが本家戦隊モノを多数手掛けた横手氏脚本と、アクションアニメを多数手掛けたベテラン岡村天斎氏による演出の賜物でしょう。
多少ドタバタしながらもファーストステージは無事に幕を下ろして宣伝のチラシ撒きへ。そんな現場を遠目に見ている自転車の男…この時点から狙っていたのか!

腰を痛めて穴が空いてしまった戦闘員役をどうしましょう? って事で急遽参戦した志保さんは黒いボディスーツの凹凸が眩しすぎ! ノリノリすぎ! 破壊力高すぎる巨乳スーツ対決もとい因縁の母娘対決は双方ノリノリすぎてハライテエ(笑。緑黄色シャワー!
そんなこんなでバイキン軍団を退治してのキメにて見物客の中に声楽部の子がいる事に気付いた和奏。声楽部ズの「とんでもない物を見てしまった」風の表情もいいなあ。いかにも教頭先生にチクりそうな雰囲気です。ここはショウテンジャーショーを教頭先生が偶然見てしまって一悶着の流れかなと予想していたけれど、このように一段間に置く事で声楽部の陰湿さを感じさせながら、教頭先生説教の舞台を学校へ流す作りも絶妙です。上手いなあ。
「和奏の歌、バイトの合間にちょちょいって出来たりしないよね?」
初日ステージを終えたみなさんは紗羽宅の縁側でトウキビを食べながら一休み。ちなみにトウキビは黄色いけれど緑黄色野菜ではありません(笑。志保さんからバイト継続を頼まれた来夏はシロサイの準備を理由に言葉を濁すもまんざらでも無く…和奏の作曲を軽く扱う一言が余計でしたね。なかなか曲作りが進まない和奏は来夏の言葉にイライラが暴発して半ギレ。思わぬリアクションに戸惑う紗羽、逆襲を食らって苦笑う来夏…ここで突然のヒステリーに関わらないよう視線を外して嵐が去るのを待つ田中は姉さん持ちの知恵か(笑。そんな微妙な雰囲気を丸く収めるウィーンはさすが天然の申し子です。
自宅へ戻って机に向かう和奏は作曲技法の本を難しい顔で眺めては放り出していました。そんな表情で技法書とにらめっこしても曲など作れないよねえ。曲どころか煮詰まった溜息しか出ない和奏はここで前回志保さんから言われた言葉を思い出すと例のカセットテープを眺め…教頭先生に訊くべきか訊かざるべきかボンヤリ考える和奏。そりゃ訊きたいのは山々でも今の状況ではなかなか切り出しにくいよねえ。
明けて翌日の学校にて教頭先生自ら来夏を呼び出しに直々参上。この露骨にイヤな顔してる来夏がいいね(笑。呼び出しの理由は察しが付くので合唱部揃って職員室へ乗り込みますよ!

教頭先生本人からきっちり許可を貰っているのだから正義は我にあり。言うべき事をきっちり言えるようになった来夏は第一話からかなり成長しました。しかしほとんど逆ギレの教頭先生は頑として譲らす、すると和奏が口を開きます。
「教頭先生が一旦許した事を取り消すなんて、何か凄く変じゃないですか?」
和奏の言葉に何も言い返せず固まった教頭先生。一方合唱部三人娘たちはバイト継続を宣言し意気揚々と職員室を後にします。言ったった! そんな三人娘に深々と頭を下げるウィーン。彼としてはショウテンジャーを守ってくれた事で三人娘との絆を実感でき、一方三人娘はこれまで微妙に距離があったウィーンと近付いた。だから件の嘘蘊蓄を、使用目的が判りながらあえて続けていたのでしょう。
その頃教頭先生はメガネを外して黄昏れ顔。今頃気付きましたがこのメガネは教頭先生の「鎧」なのかもしれません。まひるさんの才能に嫉妬する弱い「なおちゃん」を隠す盾というか、凛とした教師像を作り上げる事によって弱い自分を誤魔化しているような。
「さっきと全然違うじゃない。どっちにするの?」
「じゃ、両方。頼むよなおー」
おそらく先ほどの和奏の言葉で高校時代のこの場面を思い出した。まひるさんは浮かんだメロディを歌声で示し、それを採譜し曲として纏めるのがなおちゃんの役割でしょうか。役割分担を全うしようと真面目に取り組むなおちゃんは、気まぐれなまひるさんの言動に苦言を呈しながらも役割を「取り消す」事はしなかった。だから「取り消すなんて変」と言われ、続いてこっちの都合に関わらずマイペースを宣言(笑)された事で和奏とまひるさんを重ねたのでしょう。それはそうと高校時代の教頭先生かわいい! まひるさんに振り回されて慌てる表情は今の教頭先生と同一人物とは思えません(笑

てな所へ突然戻って来た和奏が発した「なおこ」の声に目を丸くする教頭先生。昔を思い出している所への不意打ちは効いただろうなあ。いい顔してます。そして次の瞬間メガネを装着して凛とした教師の顔へ、この変貌は前述のとおり自己防衛のための虚勢丸見えで微笑ましいです。まひるさんから「なお」と呼ばれていた事を知られていてドッキリ、また当時の肉声が入った例のテープを再生一秒で慌てて止めに入ったり、その後の言い訳(?)の様子などなど、高校当時のまひるさんとの仲を詮索されたくない(劣等感を悟られたくない)思いが見え隠れしています。
一度だけまひるさんのお見舞いに行った時の事を和奏は覚えていた。病室から出たなおちゃんはドアの前でメガネを外して大きく溜息…まひるさんの前で張っていた虚勢を外し本来の自分に戻っての溜息は別れ際の会話を思うとじつに重い。そして今の和奏との会話でその時の事を思い出してしまったのでしょう。動揺を隠そうとしたり顔で今の立場を強調するも「はい」とあっさり返されて独り相撲のなおちゃんかわいいよなおちゃん(笑。教師の立場を自己暗示すべくグッとメガネを触るカットも教頭先生の胸中を表していますね。
「教頭先生。お母さんはどうやって歌を作っていたんですか?」
そんな教頭先生の胸中を知ってか知らずか和奏はズバリ本題へ。

ここで再び高校時代の回想へ。浜辺を歩きながら浮かんだメロディを歌うまひるさんは心底楽しそうです。楽しい気持ちがメロディとして自然に溢れ出している感じで、一方のなおちゃんは「歌ってよ」と言われても何も出てきません。優等生のなおちゃんはおそらく音楽理論などに縛られて「楽しさ」を忘れていた。
「作らねばならぬと思っているうちは無理です。それは作業です。歌というものは心の奥から自然に溢れてくるものでしょう?」
和奏は何故歌を作れないのか。それは楽しんでいないから。まひるさんに「堅苦しく考え過ぎ」と言われた当時のなおちゃんは今の和奏にシンクロし…同じ心境で曲作りに悩む今の和奏を見ていられなかったのでしょう。まひるさんから学んだ事を優しい表情で授ける教頭先生、ハッとする和奏。ついつい柄でもない事を言ってしまってふと我に返る照れ顔アクションもかわいかった(笑
照れ隠しのキツい捨て台詞を残して退室する教頭先生を呼び止め「ありがとうございました」とお礼を言う和奏、これもまた教頭先生の記憶を呼び起こすスイッチになってしまったようです。

ベッドサイドに置かれた書きかけの譜面によって呼び起こされた「心の旋律」でのコンプレックス、そして「声楽部」を強調したやり取りはまひるさんへの対抗心がありありと表れています。あの歌もあの頃の合唱部もあなたが一人で作ったようなものじゃない。そんななおちゃんに「そんな事ないよ」と寂しそうに答えるまひるさんは本当にそう思っているのだろうなあ。でもまひるさんの才能への嫉妬、比べて自分が凡人である事を思い知らされ凝り固まっているなおちゃんにまひるさんの思いは伝わりません。
「なんかね、ちょっとダメみたい」
そんなやり取りの最後に交わしたまひるさんとの最後の会話、「ありがとう、なお」と呼び止められて聞かされた最後の言葉はどんだけショックだったでしょう。にも関わらず病室のドアを出るまで教師の仮面を外せなかった。教頭先生もまひるさんと正面から向き合えないままお別れしてしまったのですね。まひるさんとの最後の時間を思い出し、高校時代に二人でじゃれ合った渡り廊下で佇む姿は見ていて辛い。教頭先生の慚愧・後悔が痛いほど伝わってくる凄い演出です。
コンドルクインズサイン入り特別限定版を売り飛ばしてシロサイ資金にする計画は田中の現実的判断によってあっさり却下。大切なレコードを「マイナーなグループのレコードなんて二束三文」とは酷い言い草だけれど現実はそうなんだよねえ。しかし逆に言えば世間的には二束三文でも来夏にとっては究極のお宝で、つまり物事の価値は世間の評価など関係無く、持つ人の思い一つでいくらでも変わるという事。だから世間の嫁さんたちは旦那の宝物を勝手に片付けないでください。
来夏がお宝を放出する覚悟を決めたのはシロサイの準備期間が限られていて、和奏が歌を作る時間も鑑み、資金は必要だけどバイトばっかりやってられないと判断したから。先のイライラによって来夏に切ない決断をさせてしまった和奏は申し訳なさそうに謝り…しょんぼりな場面を持ち前のポジティブさで前向きに変換する来夏はいい子だなあ。教頭先生への対抗心を含めてかわいいったら。そんなお宝レコードをトートバッグに収めていざ出陣! のカットは後の置き引き展開への仕込みでしたか。ほんと本作は無駄なカットがありません。
「シロサイは俺たちが回~す!」

来夏の熱い思いによってチームワークも固まりキメゼリフもビシッと決まったヒーローショー、するとこれまでチラチラ様子を窺っていた自転車男が来夏のバッグを置き引きしやがりました! 来夏が「私の!」と叫ぶが早いか飛び出したウィーンは自転車男を追いかけ、来夏に止められても、自転車男が無茶に逃げてもウィーンは追走を諦めません。
「ヒーローに諦めという選択は無いんだ!」
オーストリアから戻ってきた手紙を見て諦めてしまった自分を奮い立たせ、大切な事を思い出させてくれたショウテンジャーの任務。今やニクレッドとして西之端商店街を守るウィーンは諦めない負けない! 息も切れ切れの坂道でようやく追い付いたウィーンは体ごとタックルして犯人を捕らえ、しがみ付いて熱い思いを叫びますが…置き引きするような輩と高校生の坊ちゃんがガチのタイマン勝負をすればなかなかヒーローショーのようにはいかず、殴られ蹴られの反撃を受けて結構リアルなピンチです。
「ヒーローはくじけない!」
倒れたウィーンは口元の血を拭うとガンバライジャーのテーマを歌い叫び立ち上がりました。夕陽を背負って立ち上がるシーンは某宇宙刑事を彷彿とさせます。若さって何だ!? あまりのトンデモ展開に犯人同様唖然、そして次の瞬間大笑いしながらも、ウィーンのヒーロー熱量にアテられたか何故か涙が止まらない私。

そしてガンバライジャーのテーマ曲を歌いながら続々と集結する仲間たちのシーンも無駄に熱くて涙が止まらん。さすが横手氏はヒーローの見せ方がわかってらっしゃる。くだらないと笑わば笑え、私はこういうの嫌いじゃないんだってば! 並んで歩く三人娘の横アングルはイマサラのちちくらべ、それはともかく和奏の高域の伸びに驚きでした。ヒーローソングではちょっと浮いてた? と思いながらウインク顔がかわいかったので良し。面妖な面々に囲まれて「何なんだよお前ら!?」と戸惑う犯人に構わずキメゼリフをキメてキメポーズで締めるショウテンジャーかっこいいぞ!
お手柄の新聞記事を切り抜いてヤンへの手紙に同封するウィーン。ヒーローとしての任務を全うした自信はヤンを信じる心も強くした。届かぬ手紙が届く日を信じて書き続ける…ヤンの消息を明らかにしないままの締めはウィーンの強い思いを感じさせる綺麗な締めだったと思います。おそらくヤンの消息不明の理由は「遠い病院で根本治療するための引っ越し」で、元気になって来日したヤンとシロサイで再会してめでたしめでたしみたいな、人騒がせな!的ご都合オチのような気がしますがそれはそれでいいじゃない。
Cパートでチラリと映った測量シーンはどう見ても理事長ミッションの関連でしょう。計画が学科統廃合(音楽科廃止?)だけなら測量が入る必要など無さそうですし、何より普通科側を測量しているのが気になる所です。教頭先生の落ち込み方からしてもしかしたら予想以上の計画があるのかもしれません。逆に「思い出の校舎を建て替えられる」事を杞憂しているだけだったりして?
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西之端ヒーロー ショウテンジャー!

アバンは入院中のまひるさんを見舞うなおちゃん。この振りからして今回はいよいよ二人の過去について描かれるか?と期待させるもまだ小出し。ううむ焦らすなあ。しかし後に描かれる別れ際のやり取りを見ると、この面会を最後と覚悟しながらあくまで明るく応えるまひるさんの笑顔が辛い。なおちゃんが来てくれた事が本当に嬉しかったのだろうね。
OP明けのAパート冒頭はショウテンジャーのデビューステージ。気合入り入りのウィーンは道路を挟んだ商店街の買い物客へ熱い叫びをお届けし、一方他のメンツは電柱の影に隠れて遠目で眺めてビビリまくり。この辺の描写は妙にリアルです。気合一発の来夏をきっかけに衆目の前へ登場したみなさん、揃わないキメゼリフやアクションは不慣れさと「思いの不揃い」を感じさせます。ドンドンドン!といかにも戦隊っぽいカメラアングルも演者たちのズレっぷりを強調していますね。突然始まった素人くさいヒーローショーに戸惑う買い物客たち、それに加えてキメポーズの真っ最中に容赦無く車が往来するカットも、いかにも路上での即席ヒーローショーっぽくて笑った。

そんな限りなく微妙な雰囲気の中アクションスタート! 若干照れが入っているフルーツピンクの演技が絶妙、続くヤサイグリーン&カレーイエローは結構ノリノリです。それはそうと紗羽のヒーロースーツ姿は破壊力高すぎ、どんだけ大友向けアクションショーなんだ…と思ったらまだまだ序の口でした。
レッドに成りきって側転でカチ込むウィーン、一方カレーパンチヒットからのアクションで腰を痛めたロボロボ団(違)のおっさんはお気の毒でした(笑。この一連アクションはいかにもヒーローものっぽいアングル取りと絶妙のカット割り、しかし内容は微妙にトホホという落差がいい味出しまくり。さすが本家戦隊モノを多数手掛けた横手氏脚本と、アクションアニメを多数手掛けたベテラン岡村天斎氏による演出の賜物でしょう。
多少ドタバタしながらもファーストステージは無事に幕を下ろして宣伝のチラシ撒きへ。そんな現場を遠目に見ている自転車の男…この時点から狙っていたのか!

腰を痛めて穴が空いてしまった戦闘員役をどうしましょう? って事で急遽参戦した志保さんは黒いボディスーツの凹凸が眩しすぎ! ノリノリすぎ! 破壊力高すぎる巨乳スーツ対決もとい因縁の母娘対決は双方ノリノリすぎてハライテエ(笑。緑黄色シャワー!
そんなこんなでバイキン軍団を退治してのキメにて見物客の中に声楽部の子がいる事に気付いた和奏。声楽部ズの「とんでもない物を見てしまった」風の表情もいいなあ。いかにも教頭先生にチクりそうな雰囲気です。ここはショウテンジャーショーを教頭先生が偶然見てしまって一悶着の流れかなと予想していたけれど、このように一段間に置く事で声楽部の陰湿さを感じさせながら、教頭先生説教の舞台を学校へ流す作りも絶妙です。上手いなあ。
「和奏の歌、バイトの合間にちょちょいって出来たりしないよね?」
初日ステージを終えたみなさんは紗羽宅の縁側でトウキビを食べながら一休み。ちなみにトウキビは黄色いけれど緑黄色野菜ではありません(笑。志保さんからバイト継続を頼まれた来夏はシロサイの準備を理由に言葉を濁すもまんざらでも無く…和奏の作曲を軽く扱う一言が余計でしたね。なかなか曲作りが進まない和奏は来夏の言葉にイライラが暴発して半ギレ。思わぬリアクションに戸惑う紗羽、逆襲を食らって苦笑う来夏…ここで突然のヒステリーに関わらないよう視線を外して嵐が去るのを待つ田中は姉さん持ちの知恵か(笑。そんな微妙な雰囲気を丸く収めるウィーンはさすが天然の申し子です。
自宅へ戻って机に向かう和奏は作曲技法の本を難しい顔で眺めては放り出していました。そんな表情で技法書とにらめっこしても曲など作れないよねえ。曲どころか煮詰まった溜息しか出ない和奏はここで前回志保さんから言われた言葉を思い出すと例のカセットテープを眺め…教頭先生に訊くべきか訊かざるべきかボンヤリ考える和奏。そりゃ訊きたいのは山々でも今の状況ではなかなか切り出しにくいよねえ。
明けて翌日の学校にて教頭先生自ら来夏を呼び出しに直々参上。この露骨にイヤな顔してる来夏がいいね(笑。呼び出しの理由は察しが付くので合唱部揃って職員室へ乗り込みますよ!

教頭先生本人からきっちり許可を貰っているのだから正義は我にあり。言うべき事をきっちり言えるようになった来夏は第一話からかなり成長しました。しかしほとんど逆ギレの教頭先生は頑として譲らす、すると和奏が口を開きます。
「教頭先生が一旦許した事を取り消すなんて、何か凄く変じゃないですか?」
和奏の言葉に何も言い返せず固まった教頭先生。一方合唱部三人娘たちはバイト継続を宣言し意気揚々と職員室を後にします。言ったった! そんな三人娘に深々と頭を下げるウィーン。彼としてはショウテンジャーを守ってくれた事で三人娘との絆を実感でき、一方三人娘はこれまで微妙に距離があったウィーンと近付いた。だから件の嘘蘊蓄を、使用目的が判りながらあえて続けていたのでしょう。
その頃教頭先生はメガネを外して黄昏れ顔。今頃気付きましたがこのメガネは教頭先生の「鎧」なのかもしれません。まひるさんの才能に嫉妬する弱い「なおちゃん」を隠す盾というか、凛とした教師像を作り上げる事によって弱い自分を誤魔化しているような。
「さっきと全然違うじゃない。どっちにするの?」
「じゃ、両方。頼むよなおー」
おそらく先ほどの和奏の言葉で高校時代のこの場面を思い出した。まひるさんは浮かんだメロディを歌声で示し、それを採譜し曲として纏めるのがなおちゃんの役割でしょうか。役割分担を全うしようと真面目に取り組むなおちゃんは、気まぐれなまひるさんの言動に苦言を呈しながらも役割を「取り消す」事はしなかった。だから「取り消すなんて変」と言われ、続いてこっちの都合に関わらずマイペースを宣言(笑)された事で和奏とまひるさんを重ねたのでしょう。それはそうと高校時代の教頭先生かわいい! まひるさんに振り回されて慌てる表情は今の教頭先生と同一人物とは思えません(笑

てな所へ突然戻って来た和奏が発した「なおこ」の声に目を丸くする教頭先生。昔を思い出している所への不意打ちは効いただろうなあ。いい顔してます。そして次の瞬間メガネを装着して凛とした教師の顔へ、この変貌は前述のとおり自己防衛のための虚勢丸見えで微笑ましいです。まひるさんから「なお」と呼ばれていた事を知られていてドッキリ、また当時の肉声が入った例のテープを再生一秒で慌てて止めに入ったり、その後の言い訳(?)の様子などなど、高校当時のまひるさんとの仲を詮索されたくない(劣等感を悟られたくない)思いが見え隠れしています。
一度だけまひるさんのお見舞いに行った時の事を和奏は覚えていた。病室から出たなおちゃんはドアの前でメガネを外して大きく溜息…まひるさんの前で張っていた虚勢を外し本来の自分に戻っての溜息は別れ際の会話を思うとじつに重い。そして今の和奏との会話でその時の事を思い出してしまったのでしょう。動揺を隠そうとしたり顔で今の立場を強調するも「はい」とあっさり返されて独り相撲のなおちゃんかわいいよなおちゃん(笑。教師の立場を自己暗示すべくグッとメガネを触るカットも教頭先生の胸中を表していますね。
「教頭先生。お母さんはどうやって歌を作っていたんですか?」
そんな教頭先生の胸中を知ってか知らずか和奏はズバリ本題へ。

ここで再び高校時代の回想へ。浜辺を歩きながら浮かんだメロディを歌うまひるさんは心底楽しそうです。楽しい気持ちがメロディとして自然に溢れ出している感じで、一方のなおちゃんは「歌ってよ」と言われても何も出てきません。優等生のなおちゃんはおそらく音楽理論などに縛られて「楽しさ」を忘れていた。
「作らねばならぬと思っているうちは無理です。それは作業です。歌というものは心の奥から自然に溢れてくるものでしょう?」
和奏は何故歌を作れないのか。それは楽しんでいないから。まひるさんに「堅苦しく考え過ぎ」と言われた当時のなおちゃんは今の和奏にシンクロし…同じ心境で曲作りに悩む今の和奏を見ていられなかったのでしょう。まひるさんから学んだ事を優しい表情で授ける教頭先生、ハッとする和奏。ついつい柄でもない事を言ってしまってふと我に返る照れ顔アクションもかわいかった(笑
照れ隠しのキツい捨て台詞を残して退室する教頭先生を呼び止め「ありがとうございました」とお礼を言う和奏、これもまた教頭先生の記憶を呼び起こすスイッチになってしまったようです。

ベッドサイドに置かれた書きかけの譜面によって呼び起こされた「心の旋律」でのコンプレックス、そして「声楽部」を強調したやり取りはまひるさんへの対抗心がありありと表れています。あの歌もあの頃の合唱部もあなたが一人で作ったようなものじゃない。そんななおちゃんに「そんな事ないよ」と寂しそうに答えるまひるさんは本当にそう思っているのだろうなあ。でもまひるさんの才能への嫉妬、比べて自分が凡人である事を思い知らされ凝り固まっているなおちゃんにまひるさんの思いは伝わりません。
「なんかね、ちょっとダメみたい」
そんなやり取りの最後に交わしたまひるさんとの最後の会話、「ありがとう、なお」と呼び止められて聞かされた最後の言葉はどんだけショックだったでしょう。にも関わらず病室のドアを出るまで教師の仮面を外せなかった。教頭先生もまひるさんと正面から向き合えないままお別れしてしまったのですね。まひるさんとの最後の時間を思い出し、高校時代に二人でじゃれ合った渡り廊下で佇む姿は見ていて辛い。教頭先生の慚愧・後悔が痛いほど伝わってくる凄い演出です。
コンドルクインズサイン入り特別限定版を売り飛ばしてシロサイ資金にする計画は田中の現実的判断によってあっさり却下。大切なレコードを「マイナーなグループのレコードなんて二束三文」とは酷い言い草だけれど現実はそうなんだよねえ。しかし逆に言えば世間的には二束三文でも来夏にとっては究極のお宝で、つまり物事の価値は世間の評価など関係無く、持つ人の思い一つでいくらでも変わるという事。だから世間の嫁さんたちは旦那の宝物を勝手に片付けないでください。
来夏がお宝を放出する覚悟を決めたのはシロサイの準備期間が限られていて、和奏が歌を作る時間も鑑み、資金は必要だけどバイトばっかりやってられないと判断したから。先のイライラによって来夏に切ない決断をさせてしまった和奏は申し訳なさそうに謝り…しょんぼりな場面を持ち前のポジティブさで前向きに変換する来夏はいい子だなあ。教頭先生への対抗心を含めてかわいいったら。そんなお宝レコードをトートバッグに収めていざ出陣! のカットは後の置き引き展開への仕込みでしたか。ほんと本作は無駄なカットがありません。
「シロサイは俺たちが回~す!」

来夏の熱い思いによってチームワークも固まりキメゼリフもビシッと決まったヒーローショー、するとこれまでチラチラ様子を窺っていた自転車男が来夏のバッグを置き引きしやがりました! 来夏が「私の!」と叫ぶが早いか飛び出したウィーンは自転車男を追いかけ、来夏に止められても、自転車男が無茶に逃げてもウィーンは追走を諦めません。
「ヒーローに諦めという選択は無いんだ!」
オーストリアから戻ってきた手紙を見て諦めてしまった自分を奮い立たせ、大切な事を思い出させてくれたショウテンジャーの任務。今やニクレッドとして西之端商店街を守るウィーンは諦めない負けない! 息も切れ切れの坂道でようやく追い付いたウィーンは体ごとタックルして犯人を捕らえ、しがみ付いて熱い思いを叫びますが…置き引きするような輩と高校生の坊ちゃんがガチのタイマン勝負をすればなかなかヒーローショーのようにはいかず、殴られ蹴られの反撃を受けて結構リアルなピンチです。
「ヒーローはくじけない!」
倒れたウィーンは口元の血を拭うとガンバライジャーのテーマを歌い叫び立ち上がりました。夕陽を背負って立ち上がるシーンは某宇宙刑事を彷彿とさせます。若さって何だ!? あまりのトンデモ展開に犯人同様唖然、そして次の瞬間大笑いしながらも、ウィーンのヒーロー熱量にアテられたか何故か涙が止まらない私。

そしてガンバライジャーのテーマ曲を歌いながら続々と集結する仲間たちのシーンも無駄に熱くて涙が止まらん。さすが横手氏はヒーローの見せ方がわかってらっしゃる。くだらないと笑わば笑え、私はこういうの嫌いじゃないんだってば! 並んで歩く三人娘の横アングルはイマサラのちちくらべ、それはともかく和奏の高域の伸びに驚きでした。ヒーローソングではちょっと浮いてた? と思いながらウインク顔がかわいかったので良し。面妖な面々に囲まれて「何なんだよお前ら!?」と戸惑う犯人に構わずキメゼリフをキメてキメポーズで締めるショウテンジャーかっこいいぞ!
お手柄の新聞記事を切り抜いてヤンへの手紙に同封するウィーン。ヒーローとしての任務を全うした自信はヤンを信じる心も強くした。届かぬ手紙が届く日を信じて書き続ける…ヤンの消息を明らかにしないままの締めはウィーンの強い思いを感じさせる綺麗な締めだったと思います。おそらくヤンの消息不明の理由は「遠い病院で根本治療するための引っ越し」で、元気になって来日したヤンとシロサイで再会してめでたしめでたしみたいな、人騒がせな!的ご都合オチのような気がしますがそれはそれでいいじゃない。
Cパートでチラリと映った測量シーンはどう見ても理事長ミッションの関連でしょう。計画が学科統廃合(音楽科廃止?)だけなら測量が入る必要など無さそうですし、何より普通科側を測量しているのが気になる所です。教頭先生の落ち込み方からしてもしかしたら予想以上の計画があるのかもしれません。逆に「思い出の校舎を建て替えられる」事を杞憂しているだけだったりして?
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