2012-09-24(Mon)

TARI TARI #13 晴れたり 泣いたり あとは時々歌ったり

ならば、私たちは歌いましょう。

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鮮やかにまとめた爽やかな最終回でした。

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「本日は娘の文化祭のためお休みします」

昨日からの雨が続いている白祭当日の朝。店先に件の貼り紙を出し、まひるさんの教育どおり正装にて行く気満々の父ちゃんが微笑ましい。弁当の件(笑)を含めて今さらながら和奏は愛されてるなあ。一方愛が詰まった愛父弁当にきちんと気付く和奏は学習していますね(笑。というか出掛けの遺影への「行ってきます」で既に危険水域の私。

宣言どおり徹夜でカキワリを完成させたはまち偉い。ここでの姉ちゃんとの会話で開始時刻が午後1時である事を視聴者にさりげなく伝える辺りシナリオの妙です。神経行き届いてるよね。ゴッツいデジイチに防水カバー+カッパ装備で気合十二分の紗羽父ちゃん、確かにこの人だけは何が起ころうと来るでしょう(笑。自分だって行くつもりなのに他人事みたいに話している志保さんといいバランスの夫婦です。あはは。

シャチぐるみを被って最後の練習に励む来夏がかわいいけど他にやり様が無いのか(笑。来夏からの来場の振りに目を逸らしながら「友達と約束がある」と断る弟くんもかわいいです。まったく素直じゃないんだから! などなどついに始まる白祭に向けて気分が盛り上がる各家庭の様子から、一足先に学校に着いたウィーンが学校周辺の異変に気付き「校内立ち入り禁止」の貼り紙を見つけてガガーン!と一気に突き落とします。まあ開催期日が判っているのだからあの理事長ならこれくらい対策してても不思議ではありません。

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校門前に続々と集まった合唱部の面々は厳しい壁に絶句しつつも善後策を検討し始めます。さりげなく「鎖切っちゃう?」とか言い出す和奏軽い軽い! ウィーン宅暖炉での「何か燃やしてみようよ」もそうですが覚醒後の和奏はじつにフリーダム…さすがあのまひるさんの娘としか。「じゃーん!」と赤いカッパを取り出す紗羽、頭さえ通れば後は引っかかる所が無いとはいえ桟の隙間から入ろうとする来夏。みんな状況を楽しんでるだろう?(笑。てな様子を車内から見ていた理事長、例の美人秘書さんが「そろそろお戻りになりますか?」とは理事長の横暴に踏み付けられる生徒たちを気遣っての言葉かな。立場上正面から意見できないだろうし、遠回しに「生徒の敵」をこの場から離そうと試みたのかも(超好意的解釈

校門前の対峙シーン。突然現れた仇敵に直訴するももちろん相手は聞く耳持たず…許可云々の話はアルバイト許可話の裏返し? 申請があれば検討はしたとかじつに悪役チックな返しです(笑。さらに進路を人質に取った脅迫まがいの教育にねじ伏せられる合唱部の面々、まさかこの理事長から「教育」なんて言葉が出てくるとは。何とわかりやすい悪役ではあるまいか。

「やりなさい、文化祭」

てな校門前の睨み合いに割って入った音叉の音。なるほどこの登場シーンを見越して校長先生が「心を落ち着かせる音」として設定していたのね。そしてこれまでのアレコレでいい感じに必殺技ゲージが上がっていた校長先生がついに覚醒しました。ゴニョゴニョと不明瞭な言葉+目を逸らしながらの直訴は理事長への畏れを感じさせ、そこから合唱部の面々に自分の不甲斐なさを詫びるとスイッチが入ったように熱く語り始め、「泣くと強い子」みたいに掴み掛かるも空回り(笑)などなどじつに彼らしくて泣けます。不器用ながら生徒と音楽を愛する校長先生、格好悪いけど格好良かったよ。まあこの人がもう少し上手く立ち回ってくれれば話がこじれず全て丸く収まっただろうけどそれは言わない約束で。そういや意味ありげに手渡されたワインは全然関係ありませんでした。服従からの決別の意思表示にガシャーン!ってやるかと思ったのに(ベタ

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丸めて捨てられた白祭チラシを拾ったのは教頭先生でした。絶対的な力に跳ね返された若者たちの思いを救い上げる手、という図式は第3話の病院シーンを思い出します。しかもあの時投げ捨てた当人が今度は拾ってくれた…教頭先生の立ち位置変化を明確に表す好演出です。まさかあのシーンすら前振りだったとは。

「宮本さん。あなたが動かしてきたこのステージ、私に指揮をさせてもらえませんか?」

チラシを拾った教頭先生は来夏へ声楽部&吹奏楽部によるサポートを申し出て、自ら指揮を名乗り出ます。つまり第1話にて全否定していた来夏の「人の心を動かす力」を認めた…その力は音楽的才能が全てではない事を来夏や新合唱部から教わったのでしょう。もちろんそれはまひるさんに抱いていたコンプレックスの解消も関連していて、才能の有無に拘り続けた事への自省も含んでいるのかも。

駐車場の警備員を排除して敷地入場の障害を無くし、各部のサポートを伝え、教頭先生一人で全部お膳立てしてしまったのは少々アレな気がするけれど、ステージについて心配する来夏への「雨が上がりましたね」があまりに感動的だったので問題なし。トラブル時の雨が上がって後は一気に!の天候演出はベタっちゃベタですが、ステージ背景の描写も含めて本作に上手くハマっていたと思います。雨上がりの空を見上げる秘書さんの表情も本音が窺えるようで良かった。不機嫌全開の理事長といい対比になっていますね。

てな所へスイカおばさんが現れ、第4話で来夏たちの小さいステージを聴きに来てくれた子供たちも現れ…最終兵器と思われた例のスイカおばさんが普通の客で、その他予想したウィーンの後ろ盾などなど、ご都合権力に頼った逆転劇が一切起きなかったのは評価に値するでしょう。また体を張って合唱部を守った校長の救済も無く、絵に描いたような悪役だった理事長の改心も無く、学校は予定どおり廃校へ進む。それらいかにもアニメ的なカタルシス、安直な奇跡を一切排除した作劇は凄いと思った。

ステージへ走る合唱部の先頭はもちろん来夏です。OPカットのように楽しげな笑顔で先頭を走る来夏、何だかんだ言いながら合唱部を引っ張ってきたのはこの子なんだよなあ。いい顔してます。

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合唱部の面々が部室に到着すると既に準備が進んでいました。上野さんによるネタバレ(笑)を必死に否定し「目標がないとまとめられない」といかにもな理由を話す広畑さんかわいい! 声楽部の協力は教頭先生の指示じゃなかったってのが泣けます。これまで何かと攻撃的だったチャオ子さんもすっかり協力的に。紗羽が書いた案内表示を一緒に持ってるメガネっ娘もかわいいなあ。P.A作品のモブの質の高さは異常としか。

施錠されて使えない体育館の代わりは中庭の屋外ステージでした。なるほどこれまでのEDでさんざん映してきたのはここへ至る前振りだったのか。上手下手の話やオーケストラピットの話はともかく、ピアノの位置をここで指示するのは…グランドピアノを生徒だけで屋外ステージ袖へ移動したのだろうか? なんてツッコミは野暮か。会議の席で広畑部長に「さすが」と軽い調子の来夏は両者の関係変化を表していました。さすが当初あれほど無愛想だった和奏を墜としただけあって来夏は誰とでも仲良くなってしまう、化学反応起きまくりです。

続々と集まる客たち。冒頭で「友達と約束」とか言ってた弟くんがしっかり来ているカットはちょっと笑った。まあ「白祭に行こう」って約束なら嘘では無いのだけど(笑。何だかんだで姉ちゃん思いだよね。最終準備にドタバタの部室にてアドリブについて注意されてるウィーン、「台本を壊さないようにしっかり考えてきた」とかやる気満々じゃねーか!

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というわけで中庭の時計が午後1時を指すと定刻通りステージが始まりました。雲の切れ目から陽が射し始めるカットはいかにも「これから始まる」雰囲気ありありで、和奏の開幕セリフの後しばらく続く劇場面にてウィーン謹製の小道具やはまちによるカキワリも登場…確かに大したクオリティです。こりゃ田中じゃ描けないわ(笑。来夏のイメージから少々簡略化された衣装はある意味残念(露出度的に)でしたが急ごしらえにも関わらず頑張ってくれた跡が窺えます。ケロケロケロケーロ! ウィーンは宣言どおりアドリブ入れてるし。あんにゃろー(笑。劇の進行に合わせてサポート部隊も着々と準備を進め、そしていよいよ「radiant melody」の合唱へ。

多くの困難を越えてようやくここまで辿り着いたけれど
私たちはたくさんの物を失った
家族や友、夢や誇り、そして愛する故郷さえも
闇に覆われた世界に唯一人、道は見えない
心配無い。歌声のする方へ歩き出せばいいんだ

ならば私たちは歌いましょう、互いのささやかな道しるべとして
例え奇跡は起こせずとも、唯一時の憩いのために
それぞれの思いを歌に乗せて、今私たちはまた歩き出す

回しゼリフによる各々のセリフはまさにこれまで体験してきた事そのもので、そこから歩き出すきっかけとしていつも「歌」があった。そして始まった前奏から歌入り、聴衆に語りかけるような優しい曲調は、これまた和奏の思いが伝わってくる歌詞も相まって私の涙腺を刺激し始めます。しかしそれはまだまだ序の口で、一気に盛り上がるサビ入りにて飛び出すみなさん、生き生きと指揮を執る教頭先生の姿に私の感動ゲージは7000回転を越えた500ガンマのタコメーターみたいな状態に(わかりにくい比喩

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常に厳しい表情だった広畑部長がついに見せた、歌に対する思いが溢れた笑顔がじつに良かった。きっとこの笑顔こそ何のしがらみも無い彼女本来の表情なのでしょう。高らかに歌う和奏の姿を見守る遺影のまひるさん、まるで約束を見事果たした娘にエールを送っているようです。これは反則だよ(笑。「心の旋律」の流れを取り込んだサビの曲調もまひるさんとの共作らしくていい感じ。

ずらりと並んだ聴衆の中でケータイを向けている志保さんは何?と思ったらテレビ電話でコンドルクインズに中継していたのですね(笑。気が利いてるなあ。サビの振り付けで男子二人がいつの間にかバドミントンラケットを持って存在をアピールしていたのは笑った。吹奏楽部&上野さんのアップでフィナーレ間近を盛り上げ、そこからラスト1フレーズの後でカメラがグッと引いて青空で締める演出も素晴らしかった。感動ゲージが振り切れているにも関わらず私を泣き顔にさせない圧倒的な爽やかさ。こんな感覚は初めてかもしれません。

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CM明けてBパートは合唱部面々の後日談でした。クリスマスのポインセチア(お寺さんに大きなツリーがミスマッチ)が飾られた部屋にて英会話の勉強をしている紗羽はこの後描かれる進路の前振り、一方自室で受験勉強をしている来夏が正反するアングルなのは「別の道」を目指しているという意味かな。初詣から帰ったウィーンは自宅ポストでヤンからの手紙を見つけて大喜びの様子、新年早々破魔矢の御利益があったようで何よりです(笑

そんなみなさんの中で推薦に合格した田中は一人晴れやかな冬を過ごし、しかし紗羽の進路を聞くと一気に曇ってしまうのでした。あのお転婆頑固娘が騎手の夢をあっさり諦めるはずが…と思っていたけれどまさかこんな進路を考えていたとは。戻る時期を訊かれて「納得できるまで」と語る決意の表情も紗羽らしかった。ダブルでケツを叩いて元気付けのカットもこの子たちらしくていいね。その輪に入れず紗羽の後姿を見つめる田中が甘酸っぱすぎてどうかなりそう。

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空港での見送りシーンの各キャラを見るとEDカットまんま、つまりあのED絵は旅立つ紗羽を見送りに行く途中の一コマだったのですね。田中一人が黄昏れていた意味がこれで納得、というかまさかこんな意味があったとは。

別れを惜しむ女子同士に続いて描かれる紗羽vs田中の会話は音声無しの憎い演出です。こりゃ想像が広がりますねー。おそらく田中は告白には達さず「頑張ってこいよ。待ってるから」くらいの言葉で、とはいえ紗羽は何となく雰囲気を察し、傍で見ていた和奏も察し…桃色の脳細胞をフル活用しているはずの来夏が和奏に連れられて行くってのが何とも微笑ましい。経験豊富なはずなのに全然判って無い(笑。みんなが離れた直後に別れの涙を拭う、バドミントン大会敗戦でも涙を見せなかった田中の男泣きを映さないってのも気が利いた演出でした。

着々と進む校舎の改築工事、教頭先生は一人音楽準備室を片付けていました。おそらく教頭先生にとって最も思い出深いこの場所を去らなければならない寂しさ、ガラーンとした部屋の隅で片付ける様子からそんな思いが伝わって来ます。すると和奏が現れ「心の旋律」の例の楽譜を教頭先生へ。

「これ、教頭先生の楽譜ですよね?」

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楽譜表紙のサインが塗り潰されていた理由はこれまでいろいろ考えていたけれど…発見時の「手書きの楽譜」という表現からこれが唯一の原本=作曲者のサイン=まひるの物と思い込んでしまい、教頭先生の物という発想を忘れてしまった私の完敗です。ぐぬぬ。考えてみればまひるさんの鼻歌を譜面に起こしてまとめたのはなおちゃんなのだから原本を持っていてもおかしくないわけで、なるほど旧合唱部の集合写真で「まひる」サイン入りの楽譜をなおちゃんが持っていたのはきちんと理由があったのだなあ。また今さらながら「作曲者表示」として「まひる」という書き方は無いよね。これは何となく違和感を覚えていたのだけれど深く考えなかった。ここに気付けばこのサインが作曲者表示では無く、別の意味によって書かれたものと気付いただろうに。何か本気で悔しい(笑。まひるさんの遺品整理で出てきた「まひるさんの譜面」はなおちゃんのサイン入りで、いかにも真面目そうな曲タイトルの固い字もなおちゃんによるものなのかな。もちろんこちらのサインは塗り潰されていません(笑

「まひるはいつも楽しそうで、それが悔しくて、イライラする事もありました」
「ちょっとわかります。何でもできて当たり前って感じで」

まひるさん&なおちゃんが並んで座るカットが和奏&教頭先生にフェードする映像は窓や室内の変化を含めて時間経過を感じさせ、しかし教頭先生の心はあの頃のまま、まひるさんと過ごした掛け替えのない日々を鮮明に覚えている。時は移ろい代替わりした相手についつい本音を言い、聞いた和奏が同意しちゃう会話も憎い演出でした。二人にとってのまひる像が一致し、まひるさんに振り回された二人の絆はより深まったことでしょう(笑。予想どおり和奏は音大を目指し、教頭先生はその夢をサポートという落とし所も綺麗にまとまりました。

などなど自分の道を歩み始めた各キャラと無関係に淡々と工事は進み、いつぞやの宣言どおり校庭にプレハブ校舎が建っていました。感動シーンをてんこ盛りにしても決定事項は覆らない、上でも書いたけどマンガみたいなご都合大逆転が起こらないってのはP.Aオリジナル作品らしいと言えるでしょう。そんな中で描かれた卒業式に紗羽の姿は無く、馬のぬいさんが代理出席…紗羽のネクタイを締めてる辺り芸が細かい(笑

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そのぬいさんや卒業証書などと一緒に送られてきた卒業記念写真を眺め、賑やかなビデオレターに目を細める紗羽。この季節に涼しげな服装からして、留学先はおそらくオーストラリアかニュージーランドなどの南半球なのでしょう。「一足す一は、にっ」のシステムを知らずに目ぇ瞑っちゃったウィーンがかわいい。何だかんだで来夏も察しているのか「田中はいいの? 何か伝えとかなくて?」「うるせえドチビ」「照れちゃって」のやり取りはニマニマが止まりません(笑

そして白浜坂高校合唱時々バドミントン部最後の一曲は「潮風のハーモニー」です。ビデオに合わせて歌い始めた紗羽は歌詞どおり窓をバッと開き、一陣の風の後カメラがグッと回って青空&輝く太陽で締め。遠く離れていても心は歌で繋がっている、そんな思いが伝わってくる綺麗な締めでした。

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EDでは卒業後の様子が描かれていました。大学のバドミントン部で練習の日々を送る田中、音大受験に向けて教頭先生の指導を受ける和奏、ヤンと再会したウィーンは「アツヒロ!」と呼ばれて…作中で初めて本名を呼ばれたんじゃ?(笑。どこぞの大学にてサークル勧誘に満面笑顔の来夏は合唱サークルの誘いだったのかな。などなど卒業後は見事に散り散りになってそれぞれの道を歩み始めたみなさん。もちろんみんな合唱部の思い出を心に刻んでいるだろうけど、その思い出にセンチメンタルにならず、自分の道に頑張る姿の幕引きはじつに若者らしく爽やか。

そしてED後のCパートにて髪が伸びた和奏の帰宅シーン。店先の貼り紙(笑)やちょっと大人びた雰囲気からしておそらく音大に合格した和奏が夏休みに帰省してきた所でしょう。この第1話冒頭の登校シーンと対になる帰宅シーンは、全13話を通して様々な経験をし成長した和奏が「ただいま」と帰ってくる事でストーリーを閉じるという鮮やかなもの。あまりに綺麗なラストに思わず唸ってしまった。終わってしまって寂しさ全開のはずなのに何故か心がポッカリしない見事な最終回でした。

「TARI TARI」全13話を振り返って

鮮やかに夏を駆け抜けていった「TARI TARI」は今回でオシマイです。あまりに綺麗に終わったので2期は無いだろうけど「もう少し見たい」と思わせる位がちょうど良いのかもしれません。なーんて言いながらキャラクターへの思い入れが尋常ではないので単発の番外編でも作ってくれたらシッポ振っちゃいます(笑。まったく開始当初はこれほどハマるとは思いませんでした。よく同列に語られる「true tears」も「花咲くいろは」も好きな作品だけれどここまで入れ込まなかったような。

P.A.WORKS のオリジナル新作という以外それほど期待もせず臨んだ第1話、しかし冒頭の和奏宅のシーンにまず目を奪われ、声楽部を飛び出した来夏に目を奪われ、和弓を握り締めて直訴に飛び出す紗羽(笑)に目を奪われ…そんな中で最も私の目を引いたのは冷徹な声楽部顧問の教頭先生でした。判りやすい敵対ポジションの年増キャラ(失礼)はOPでの回想カットからして過去のトラウマを感じさせ、現役生徒(若者たち)との関わりによって心を解していくのだろうと予想するにたやすいキャラクターは私のハートをキャッチしまくり。ご存知のとおり彼女はまひるさんに対する劣等感に囚われ、「才能」という絶対的な壁に足掻き続け、乗り越えられない壁の大きさに視野が狭まり大切なものが見えなくなっていた。これは本作メインキャラたちが各々示した「絶対的な壁を前にどう行動するか?」というテーマにも共通しており、その状況を「歌」が救うという流れまできちんとトレースしたもの。2話ごとに一応の決着を見せる若者たちのストーリーと大人(教頭先生)のストーリーを絶妙に絡ませ、それらの結果は最終回の「radiant melody」に全てが収束されハーモニーを奏でた。視聴者を飽きさせないヤマをふんだんに盛り込みながらこれほど鮮やかに締めたストーリー構成はそうそうお目にかかれないと思います。伏線の張り方も絶妙なので何度見ても楽しめる、むしろ複数見返さないと作りのきめ細かさが判らないかもしれません。

などなど大筋の作りも見事でしたが、それを紡ぎ上げるべく各話の気が利いた演出も素晴らしかった。何かと言えば長々と説明セリフを吐きがちな作品が多い中で、キャラの心情や状況を言葉ではなく絵で見せる「アニメーションの可能性」を感じさせてくれる作品でした。また会話シーンの演出も特筆物で、台本を感じさせない生の会話のようなノリ、各キャラクターが本当に「生きている」ような会話には何度ニヤマリとさせられた事か。掛け合いのセリフチョイスも仲の良さが溢れていましたよね。これは第1話終盤で描かれた来夏&紗羽の会話「もう去年までの私とは違うんだから…」「クリームちょうだい」「って、聞けよ!」で本作のポテンシャルを確信しました(笑。映像を鮮やかに彩る背景美術や音楽、個性的なキャラたちに命を吹き込んでくれた各声優さんの歌声を含めた演技も文句の付けようが無く、それら全てを見事にまとめた橋本監督の手腕には感心しきり。今となっては非常に申し訳無いのだけれど、開始当初は氏の存在をあまり意識しておらず、はたして「監督・シリーズ構成」という大役をどこまでできるのか?と若干疑問視していた所もありました。ナンダト!? ほんと申し訳無い。

などと絶賛ばかりではキモチワルイので気になった点をいくつか。やはりその筆頭は白祭中止に関わる話、無理に悪役すぎた理事長の存在でしょう。降って湧いたような廃校宣言については教頭先生の心理変化に対するいいギミックでしたが、力ずくすぎる白祭中止話はちょっと不自然だった感があります。理事長のキャラは「絶対的な壁」を具現化したものだろうけど、悪役っぷりが記号的すぎるというか安っぽいというか、この人にだけは人間っぽさを感じず、いかにも「悪役用に作られたキャラクター」にしか見えなかった。これらはクライマックスに繋がる部分だけにもう少し綿密に作り込んで欲しかったです。あとなおちゃん&まひるさんの高校時代をもっと見たかった!(結局それか

というわけで毎回毎回無駄にダラダラ書いたレビューも今回でオシマイ。お付き合いくださったみなさまありがとう&お疲れさまでした。書いてる私もお疲れさま。毎回「今回こそは簡潔に書こう」と思っていたのに結局毎回ダラダラ語りすぎ、また開始当初は教頭先生に少々肩入れしすぎて超好意的解釈をしすぎた感アリアリでお恥ずかしい。オリジナル作品は展開の予想が楽しいためついつい妄想が過大になりがちで、外しまくりの予想を今読み返すとちょっと恥ずかしいかも(笑。とはいえ私はアレコレ考える事自体が楽しく、そりゃ予想が当たれば気持ちいいけれど、むしろ陳腐な予想をひっくり返すような展開を期待するクチなので外れてもあまり気にしなかったり。

では素晴らしい作品を創ってくれた制作スタッフ各位に大感謝しつつ。お疲れさまでした。

     

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2012年03クール 新作アニメ TARI TARI 第13話 雑感

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一念通天―

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TARI TARI〜13話感想〜

「晴れたり 泣いたり あとは時々歌ったり」 ついに、合唱部最後の発表となった日。 何やってんすか、来夏w 白祭当日となり、学校へやって来た合唱部。 しかし、中へ入る

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No title

脇キャラ・モブキャラにも見せ場があって、いい最終回でしたね。
弟くんや広畑さんのツンデレにはニヤニヤさせられましたw(メイン5人が思ったことをすぐ口に出すタイプ揃いなので、こういう素直じゃない反応が新鮮に感じます^^)
秘書さんへの超好意的解釈には少し納得ですw(生徒への気遣いではないとしても、無用なトラブルを避けようという思いはあったのかも…)

来夏に教頭先生を見返して欲しい…と第1話以来ずっと思ってきましたので、教頭先生が来夏を認めてくれた瞬間は言葉に言い尽せないくらい嬉しかったです(^^)
あの時は憎まれ役全開だった教頭先生もすっかり印象が変わってしまったので、「見返す」というのとは少し違う形になりましたが…(^^;)
(指揮棒を振る教頭先生の表情、最高でしたv)

あと、空港のシーンの会話内容は気になりますね…(あれこれ想像するだけで甘酸っぱい気持ちに^^)
EDの電車のカットがここへの伏線だった、というのは全く気がつかなくて感動しました(「田中だけ立たされて可哀想…」くらいにしか思ってませんでしたw)

毎回の丁寧なレビューお疲れ様でした<(_ _)>
2周目視聴のお供にさせて頂きます(^^)

No title

総評読みました。単体で記事にして欲しいぐらいのボリュームと内容でかなり共感している部分が多くて、同じ作品を見ていても、全く違う見方をしている人がいる中でここが楽しいんだ!というのを提示できるというのは羨ましい強みです。

『true tears』や『花咲くいろは』とも違う毛色の作品ということで、オリジナル新作で橋本監督・シリーズ構成で期待と言うよりも不安な感じで臨んだ初回。舞台が江ノ島ぐらいしか情報がなかったので、こんな作品が創れるのかという初回でした。その喜びをnobumaさんと共感できたのは嬉しいです。

あと、アニメーションの可能性という意味では確かに会話時の動作と演出という意味ではオリジナルならではの表現を見せてくれたのが一番大きいのかも。これはこの人にしか出来ないというのを実感できました。

理事長についてですが、あからさまな悪役という意味では初回の教頭がそうでしたが、来夏が和奏(&紗羽)という力を使って壁を乗り越えたという意味では一人では乗り越えられない壁でも誰かと一緒なら出来る。みんなで力を合わせてという意味では、歌や感情、想いや声は届く人間も一杯いることを最後に提示して乗り越えた。だけど、その声が届かない人間もいるという現実感を見せてくれたという意味では理事長という最後には悪役に徹した人間が必要だったのかも、って感じました。

nobumaさんの言う通り少々強引だったけれど。でも、その後のBパートに時間を割くことが出来たという意味では良い判断だったと思います。あと、話数がちょっとあればまた理事長の描き方も変わってきたかも知れないと思うと、それはそれで橋本監督の可能性を感じさせます。

最後に作品を通じて音を楽しむというまひると和奏の姿勢が、『TARI TARI』という作品を通じて視聴者が映像や音を最大限に楽しむことが大事なんだと気付かされて、超好意的解釈も楽しめたもの勝ちなんでしょうね。色々とお疲れ様でした。

れすれす

録り溜まってる他アニメに手を付けずTARI TARIを見直す日々。
もはや第1話冒頭の「行ってきます」で泣けちゃって困ります。

>taraさん
これまで作品を盛り上げてくれた脇キャラたちが揃った客席にちょっと感動しました。合唱部の面々はたった13話でこれだけの人物と関わって来たんですよね。思えば本作は毎回EDのキャスト表示も異様に人数が多く、メインキャラだけで閉じた世界が多い昨今のアニメ作品の中で、こういう「外への広がり・関わり」をきちんと描いていた点も評価できると思います。

生き生きと指揮する教頭先生、まひるさんへの劣等感から解放されて「音楽の楽しさ」を全身で表現する姿は何度見ても込み上げるモノがありますね。私的に最終回の感動ピークはあの瞬間だったかもしれません。あれほどボロクソ言われた来夏のリベンジも天晴れでした。

空港での口パク会話は見送った後の男泣きシーンも含めて憎い演出でしたね。コクったのかそうでもないのかいろいろ想像する余地を残した終わり方は本作らしいと思います。例のEDカットについては黄昏れて立ってる田中の様子が不可解でしたが謎が解けてスッキリ。そういやこのEDカットって http://blog-imgs-45.fc2.com/t/e/l/teleani/taritari_13_10.jpg の左上の写真の一番下に隠れているんですよ。おそらく空港へ向かう途中で志保さん(または父ちゃん)が撮ったのでしょう(笑

ダラダラ長い記事を毎回読んで頂いてありがとうございました。ちなみに今となってはピント外れの予想話が多いため見直す際のお伴にはあまり役立たないと思います。そんな部分は笑って読み飛ばしてくだされば幸い。

>ヨークさん
コメントまでありがとうございます。まあおっしゃるほど立派な記事では無いと思いますが、うちの記事をきっかけに本作の面白さに気付いてくれる方が一人でもいれば長々と書き続けた甲斐があるというもの。なーんて優等生な事を言いながら本音は自分が楽しくてダラダラ書いてただけなんですけどね。ほんと本作は面白かったです。とはいえレビュー記事を書いていなかったらそれほど細かく見なかったでしょうし、毎回のレビュー書きに相乗してどんどんハマって、何度もリピートし、文字数は増え…まさに泥沼(笑

理事長に関してはちょっとベタな悪役すぎたと申しましょうか、もう一捻りして「小悪党の人間味」が欲しかったなあと。まあ彼を「壁」を表す小道具と割り切れば描写も必要十分で、また「歌を聴いて感動した理事長が白祭を許可」みたいな安っぽいオチにならなくて良かったとは思いますけれども。

> 超好意的解釈も楽しめたもの勝ち
時間を使ってアニメを見てレビューを書くなら楽しまなければ損。もちろん私の好意的解釈を押し付ける気は無く、レビューなどあくまで自己満足で「俺が楽しいからいいの」の世界と割り切っています。とはいえ同じ映像を見ているとは思えないほど違う解釈をしている記事を読むのも面白いですし、違う視点から気付かされる事も多い。なので自分視点を最優先としてもそれに凝り固まってはいけない、様々な角度から作品を捕らえて言語化できるように…なりたいものです(笑
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