ドキドキ!プリキュア #02 ガーン!キュアハートの正体がバレちゃった!!

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何でもかんでも一人で背負ってすり減るばかりの幸福の王子。

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「あたしはあなたのツバメにはなれない?」

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「あたしの体、キュンキュン動く!」

前回ラストの初変身から一週間待ちに待った今回冒頭はキュアハートの初アクション。襲いかかるイーラをひらりひらりとかわすアクションに後の振りとなる清掃用ゴンドラを落とす描写を交えながら、プリキュアへ変身した効果を「軽い!」の一言で表す流れは開始数秒でさぶいぼ全開。続いて焦れて飛び出したマーモの蹴りをひょいひょいと避けるカットはマーモの脚をきちんと視認しながら避けているという芸の細かさに感心しきり。

そこからビュン!と宙に舞い、ゆったりとした動きから「ちょっと飛びすぎたかな?」とパワー制御の不慣れさを見せ、着地した手すりでおっとっと→イーラ&マーモの攻撃をジャンプで逃げ、飛んだ先の避雷針にしがみついてようやく一息。などなどイーラの振りかぶりから避雷針くるりんまで緩急取り混ぜたノンストップアクションは見応え十二分。これこそ河野作監回の醍醐味であり、氏の持ち味を生かしまくった超絶アクションは瞬きすら惜しい。こういうのを見たかった!

「世界はキングジコチュー様を中心に回っているの」

なかなか手強いキュアハートを前に人質作戦のイーラ&マーモ。前回はカニのハサミでギリギリ締め、今回は地上999mにてこの所業と、本作の悪役チームは非道な事を平気でやりやがりますね。キングジコチューだからどんな汚いやり方もアリという理屈は妙に納得してしまった(笑

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「私を助けるためにその子が命を投げ出すと思ったら大間違いよ」

目を覚ましたキュアソードは決してひるまず助けを乞わず、眼前のキュアハートなど視界にないように自力で危機から脱出→渾身の力を込めてジコチューを放り投げ! ダメージを窺わせながら力を込める表情、重さにひしゃげる手すり、そして道連れに落ちていくソードを追って飛び出すハートの動きなどなど私の視線は釘付けです。「考えるより先に体が動いてしまう」というマナの設定がきちんと映像から伝わってきました。とはいえ少しは考えないと命がいくつあっても(笑

自由落下しながら伸ばした手は一旦届かずフレームアウト、そこからグッと伸ばしてソードの手を掴み、さらに反対の手を伸ばしてゴンドラワイヤーを掴む動きもハートの強い意志を感じさせます。何が何でも助ける!みたいな。そのワイヤー掴みは見るからに痛たたた!…何か本作のアクションは初代のノリを思い出させますね。掴んだワイヤーがお約束どおり切れて落下の着地もきちんと個性的、というかハートの不慣れさが表れています。

追って落ちてきたジコチューの心の声を聞いたハートは持ち前の博愛精神で救出を決意し、すると左胸のハートから目映い光りが発せられ…暴れた怪物を「倒したい」のではなく純粋に「助けたい」という心の動きをきっかけに必殺技が発動するってのはじつにマナらしく暖かい。このきっかけもキャラによって違っていたりするのかも? 前回のソード必殺技に「助けたい」という意思は見えませんでしたし。

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「あなたに届け、マイスイートハート!」

出現したラビーズをコミューンにセットし指でハートを描いて発動した必殺技は…「マイスイートハート」でいいのかな? 技コール頭に「プリキュア!」って付かないと何か違和感(笑。くるりと一周回って投げキッスならぬ投げハートはビームと化してジコチューを浄化、ソードに続いてあっさりした必殺技は少々拍子抜けなれど逆に今後の技進化を予感させます。私的には短くてもバラエティに富んだ必殺技・コンビネーション技をいろいろ見てみたいのでそっち方向への進化を期待しときましょう。

浄化されたジコチュー(プシュケー)は前回同様ピンク色に戻り、助けてもらったお礼を言いに来ているかのようにハートの前で暫し羽ばたくと持ち主の所へ戻っていきました。壊れた施設は虹色の謎の光によって復帰、つまり本作は「戦闘エリアが隔離されず実際に壊れる」けれど「痕跡は残らない」システムのようです。今回チラリと描かれましたが巻き込まれた一般人の記憶リセットまでは行っていないため、プリキュア姿を一般人に見られ続けるとフレッシュのように世間公認の存在になる可能性もありますね。ジコチューとの戦闘時にTV中継が入ったり…その番組中にエースティのCMが流れちゃったり?(笑

「言ったはずよ。あたしたち友達でも何でもないって…」

笑顔を向けて友達宣言のハートをスルーしサッサとお帰りのソード。あんなの戦いのうちに入らない、奴らが本気で攻めてきた時あなたは本当に大切な人を守れるの? と取り付く島もありません。初回冒頭で見せた「守れなかった」悔いには、おそらく以前いたであろう「仲間」の事も含まれているのでしょう。謎の新人キュアハートを仲間とすれば否応なく戦いに巻き込む事になり、最悪の場合は…だからソードはハートの笑顔を拒絶したのではあるまいか。新しい遊びに誘うのとは訳が違う重み、戦いに巻き込むにはそれなりの覚悟・信頼関係が必要で、今のソードにはハートに対してそれがまだ無い。

「これってどうやったら元の姿に戻れるの?」

呼び止めて何を訊くかと思ったらよりによってそれかい!(笑。これまでのシリーズでは特に説明もなくシーンに応じて何となく変身解除していたけれど、初変身した当人的には当然の疑問であり、視聴者的にも疑問だったり。

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そして何となく元の姿に戻ったマナを心配顔で迎えるみなさん。変身解除についてツッコんでおいて答えを見せないってのがナントモ(笑。カニの怪物はよくわかんない、いつの間にか直っているエレベータは夢? と明らかに妙なテンションでごまかすマナの嘘を六花が見逃すはずがありません。疑惑たっぷりに見つめる表情が良すぎ。

「さようでございますわね、幸せの王子」

他人の幸せばかり考えて自分をすり減らすマナを「幸せの王子」に例える六花。対するマナは「すり減ってなんかないよ」と笑顔で返し…これらのシーンでやたら髪をいじる仕草が気になっていたのですが、山口氏のツイートによると「マナが嘘を吐く時のクセ」とのこと。こういうネタをわざわざセリフで言わさず、描写を通して視聴者に感じさせる作りは非常に好感が持てます。そしてこの「幸福の王子」はクライマックスへの前振りでした。展開の主軸に童話ネタを入れ込むお手本のようなシナリオです。

「あたし、プリキュアに変身したの」
「はい?」

もはや黙っていられないマナの告白はカメラがスッと引いた数秒の沈黙で六花の心境をまず映し出し、そこから「トランプ王国の~」の説明を童話繋がりの冗談と勘違いしたか「だったら私は白ウサギの後を追いかけて~」とアリスの冒頭で切り返す六花、その言葉から六花の真意(話を信じていない)をきちんと認識できるマナ…このシーンはシナリオ・演出共に秀逸でした。全国模試シングルらしい六花の会話センス&それに付いて行けるマナの柔軟性、きっとこの二人は普段からこんなハイブロウな会話をしているのでしょう。付き合いの長さ深さを感じさせるツーカーっぷりがこれでもかと伝わってきます。とはいえ「で、プリキュアって何?」くらいの軽いツッコミは欲しかったかも。

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六花のただいまからさよならまで、マナの家族のリアクションはいかにも家族ぐるみの付き合いって感じ。これもグダグダ説明セリフを吐かせず絵で見せ、次のカットでマナ&六花が長い階段分離れているだけのご近所さんである事を一目で示す。よくある隣同士では無い所もポイントだったり?

相田家が経営する洋食屋「ぶたのしっぽ」店内のシーン。帰るお客さんにきちんと椅子から立って笑顔で挨拶する様子を見るに躾の良さや看板娘的立ち位置を感じさせます。この雰囲気ならお客さん絡みのエピソードも自然に入れられそう。

思い切って話したのに信じてもらえなくてしょんぼりのマナ…をきちんと気に掛けている父ちゃん。「まずオムライス食べな(違」とスペシャルオムライスを差し出し、それを一口食べたマナは満面笑みで元気復活! 食事を美味しそうに食べる子は良い子です。ともあれ元気復活したマナへ父ちゃんの一言「お前に元気が無いとみんな心配になる」…片っ端から自分一人で背負って回るマナは自分の事が見えていない節があり、自分がどう見られているかにも無頓着っぽい。困った人を見つければ一目散に助けに走るくせに逆の場面を想像しない。呆れて帰った口うるさい親友は心配しているからこそで、ならばきちんと話して判ってもらえばいい。

「にゃあ~!」

ネコの鳴きマネ一発で窓から顔を出す六花はよく訓練されています(笑。夜分に伺う口実に手土産を(わざわざ父ちゃんに頼んで)持参するとは良くできた子、というかこういうディティールの丁寧さに痺れます。普通は窓に小石コツンで済ませちゃうのに。しかし二階の六花が降りてきた時にはマナの姿は無く…赤い目が光る謎の風呂敷に襲われたマナの運命や如何に!?

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「プリキュアの事は誰にも言っちゃいけない決まりシャル~」
「どうして?」

風呂敷怪人(?)の正体はご存じの通り妖精たちでした。初対面のラケル&ランスに正座でご挨拶のマナが礼儀正しいかわいい(笑。ここでこのテの作品お約束の正体隠しについてあれこれ。例に漏れずプリキュアシリーズも「正体がバレてはいけない」のですが、その理由・正体バレのデメリットについては何となくボカされている事が多い。子供に言い聞かせるが如く「ダメなモノはダメ」的な。今回のこのシーンでもマナの疑問に対し妖精たちはジコチューの狙いや戦士プリキュアの云々で返し、また茶を濁すか? と思っていたら「それは判ったけどどうして言っちゃいけないの?」と食い下がる。まるで私の心の動きを読んでいるかの如く切り返しに溜飲が下がりまくりです。と同時に疑問を疑問のままで終わらせないマナの性格も窺えて良し。

「秘密を話せばその人も戦いに巻き込む事になってしまう」

語られた理由は本作の「戦士」に対するスタンスを明確に表したものでした。遊び半分では無いガチの戦い、情け容赦無いジコチューとの戦いに人を巻き込んではいけない。他者最優先のマナにとってその言葉は非常に重く「わかった」と即断…確かにこの子ならそう答えるでしょう。第二話にしてこう思わせてしまうキャラ立ちは凄い。

「言えるようになったらちゃんと教えてね。私待ってるから」
「あうう!」

明けて翌朝の登校シーン。階段上がりで待っている六花を見つけてギクッ! するとマナは整えたばかりの髪をいじって気まずさ全開でありました。てな様子を見守る家族はマナの動揺がバレバレで、もちろん六花も気付いているだろうにあえて触れずにマナを信じる。一方マナは六花の言葉にいちいち良心を痛めちゃったりかわいいったらありゃしません。どっちも良い子すぎて見てらんない!(良い意味で

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朝の挨拶運動に立っても落ち着かないマナはダッと木の陰に隠れ改めて告白を決意! するもシャルルの警告に固まり…隠し事はできないvs巻き込みたくないの葛藤を解決できず思いっきり挙動不審なマナ、その様子を心配げな表情で黙って見つめる六花が辛い。ここで「だから何なのよ!?」と問い詰めたりせずあくまでマナの意思に任せている辺り尋常ならざる信頼関係を窺わせます。どんだけマナを好きなのかと。

てな具合にセリフより映像を重視する作りは私的には楽しくて仕方が無いのだけれど、映像から積極的に解釈しないと状況や心境が理解できなくなる弊害もあり、また白ウサギのくだりのように見る側に相応の知識(と言ってもせいぜい中学生レベル)を求めるセリフ回しも気が抜けず、つまりボーッと見ていると面白さのほとんどを見失ってしまう作品だとは思います。正直言ってこれらは未就学児には難しそうで、あまり凝りすぎると小さいお友達からソッポ向かれてしまうかも。

今回のジコチューは遅刻寸前の信号待ちで「信号を好き勝手に変えたい」という心理でした。こんな些細な事で!? 例によって一旦自省しプシュケーの淀みも収まりますがイーラの囁きで一気に黒化→信号ジコチュー発動! 自省している&実行していないので当人に責任は無く、あくまで「誰にでもある自己中な考えが頭をよぎった瞬間」をジコチュー勢がブーストする形です。また「信号を好き勝手に変えたい」=「信号は守る」ってのもポイントか(笑

正門前の長い坂にジコチューが現れると生徒たちはもちろん騒然、赤信号ビームを発射しながらのっしのっしと坂を登ってどうするどうなる? って所でマナが現れ…またしても一人で背負う気まんまんのマナへ六花がついに口を開きます。

「あたしはあなたのツバメにはなれない?」

ここで「幸福の王子を辞めて!」と言わずにこのセリフは参った。利他的な献身奉仕に異議を唱えるのではなく、あくまでマナの意思を尊重し、手伝いを名乗り出る覚悟の深さたるや。王子の目をくり抜き、金箔を剥がし、みすぼらしくなっていく姿を見るのはツバメにとっても非常に辛い事だけれど、王子のためならその辛さをも厭わない。もちろん六花は殉死の結末も知っていて、と同時に行為の高潔さも知っていて、それらをひっくるめて同じ道を歩む覚悟を示した。これはもう友情というレベルを超えているような気がします。簡単に言うと「あなたのためなら死ねる!」ですもの。比喩の判りにくさに加えてこのヘビィな友情表現は私的にはクるモノがありますが、重すぎてダメな人にはダメかもしれません。まあ私は楽しいからいいんですけど(ジコチュー

この一連シーンは六花の表情変化がじつに素晴らしかった。何も聞かずに心配を募らせ、堰が切れたように感情を爆発させ、決意の表情をじっと向ける。対するマナは六花の覚悟をしっかり受け止め「手伝って!」と自らも覚悟を決める。いやはや地味に熱い熱い。

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というわけで六花の眼前でラブリンクからキュアハートへ。百聞は一見に如かずと申しますが目の前で変身されては「ありえない!」と言いつつも信じるしかありません。信号ジコチューの横っ面を張り倒す一撃はスピード感もあって良し、ガコーン! てなSEも良し良し。ところが立ち上がったジコチューはなかなかの強者で、張り手一発でハートを吹っ飛ばしておっとっとの所へ例の赤信号ビームを放って停止! そしてそのまま踏み潰そうと赤く固まったハートの所へゴー!

「おしてください」

キュアハートを起こそうと叫ぶ六花は信号ジコチューのケツに黄色い箱を見つけ…集中線に囲まれた信号の押しボタンには思わず笑ってしまった。ボタンを押そうとおずおずと付いて行く六花もいい味でした。そしていよいよ指が届く!? というタイミングで振り返られ、赤信号ビームを浴びるもボタン押しは成功…するも押してすぐには変わらない罠(おまちください

勝負は信号待ちタイマーとの戦いとなり、しかしギリギリ間に合わない!? するとネコが飛び出てきて…ここはネコじゃなくてネコ目のプリキュアが飛び出せば六花への顔見せも済み、カニ戦のリベンジにもなり、プリキュア同士のフォロー合戦(一人では戦えない的な)を描けたような? でも今回は六花に救われたハートが倒す事に意義があるのだなあ。というわけで踏み潰される寸前に時間停止が解けたハートはビュッと逃げてマイスイートハート!

「本当の事伝えてくれて嬉しかったよ。ありがとう」

さんざん心配を掛けた罰に鞄持ちのマナ。まあ最初っから本当の事を伝えていたのだけれど、六花はそれを冗談と受け止め、マナは冗談で流されている事(=本当の事が伝わっていない事)を理解していたので、巻き込む覚悟を決めた後実際に変身を見せて(=本当の事を伝えて)…という解釈もアリか。俯瞰から見ると「信じてあげられなくてゴメン」の方が自然なのだけれど、あの話を頭から信じろという方が無理でしょうし、それを当人同士が自覚しているため、「ツバメを受け入れる覚悟」が出来ず結果的に六花の心配を引っ張ったマナが泥を被って痛み分け(これで両者の負い目は解消)から笑顔の交換で丸く収めたとも考えられるかな。ともあれ満面笑顔から後ろ姿のハーモニーで綺麗な締め…と思いきや空いたスペースにシャルルが現れて丸ワイプの引きは笑った。昭和か!

次回は六花(キュアダイヤモンド)の初変身、青いツバメ(笑)の活躍を期待しときます。

      

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