ドキドキ!プリキュア #04 お断りしますわ!私、プリキュアになりません!!

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日だまりポカポカ、キュアロゼッタ! 

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あなたも私と愛を育んでくださいな。

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冒頭は高級色鉛筆を男子に取り上げられてからかわれるありす。いかにも気弱なお嬢様は、颯爽と現れたマナの勇ましさと対称的で、これをきっかけに「私も誰かを守りたい」と思い始めて初期設定の「武芸百般の達人」に繋がるのか…と思ったらとんでもない。これは後に語られる暴走話の振り、しかもマナの「幸福の王子気質」の否定にまで繋がっていました。まあ権太小学生視点だとマナみたいな子は「ウザい女子」の典型で、兄貴を盾にした暴言とはいえマナの行動を「目立ちたいから出しゃばる(自己中)」と捉える見方もある=作品テーマに繋がる主人公気質の否定という結構際どいネタ振りをこんな初期にやっちゃうのはある意味賭けかも。

さて定例よりも早い日程で開催されたありすお茶会。芳香麗しい紅茶をすすりながらありすは二人に「プリキュアの事」を訊き…茶を吹くタイミングで噴水へのカットチェンジは笑った。始終穏やかなありすと慌てる二人の対比も面白い。さらに前回姿を消したランスが椅子カラクリから現れると二人+二匹はびっくり! そりゃ驚くだろう。どうしてこんな所に!?

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ランス保護の経緯は偶然の産物でした。理科室に放置されたランスが目を覚ますと誰もおらず、みんなを捜して町をふよふよ飛んでいたら以下略的な。そういや本作の妖精さんは姿を隠す努力をほとんどしませんね。この回想シーンでは人っ子一人いない夜の町だったけれど、前回は通行人が普通に行き交う町中で周囲を気にせずふよふよ浮かんで会話していましたし。この辺の扱いはどうなっているのだろう? そしてプリキュアを知った経緯へ。

「プリキュア、ラブリンク!」

セバスチャンのリモコン一つでシャッターが閉じ、降りてきたスクリーンに映し出された映像はキュアハートの変身バンクでした。あははは! 何やらクローバータワーの防犯カメラに映っていたとか、こういう形での正体バレは斬新だなあ。あまりの事態に固まる二人、緩いBGMもいい味でした。

「私にマナちゃんたちをプロデュースさせてくださいな」

プリキュアの存在を知った上で「プロデュース」とは新しい。いったい何すんの? と思いましたが後の展開を見ると「四葉財閥情報網による現場確定」「サンダーバード的出撃」「バットマン的現場参上」などなど確かに「お手伝い」の枠を大幅に外れた「プロデュース」で、とはいえ少々悪ノリ気味のギャグタッチは現場確定以外のプロデュースを「余計なお世話」的に感じさせて面白い。やはりプリキュア稼業に過剰な介入は要らないってこと(笑

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本日一体目のジコチューは発動シーンが省略されて既に大暴れ中でした。傍で倒れている青年が被害者のようで、自己中ネタは「ヘッドホンからの音漏れ」かな。たまに盛大に音漏れしている人を見かけますが、私的には迷惑というより難聴の心配をしてしまいます。ヘッドホンのボリュームはほどほどにしといた方が自他共に幸せかと。

「待ちなさい!」

暴れるジコチュー→クルマのアップ→屋根に乗ってガッ飛んでくるプリキュアチームの一連をポンポンポンと映すテンポ良いカット割りに笑う。タナカリオン氏ノってますね。私はプリキュアを長い事見てますがこんな絵面は初めてかも。豪快な運転に揺られてヘロヘロの名乗り、さらに乗り物酔いで目ぇ回して逆噴射寸前とかロクな事がありません(笑

「何やってるランス! 僕たちも戦うでランス!」

iPodジコチューと戦う二人を横目にガーデンテーブルで優雅に茶をすするありすの場違い感が凄い。音波攻撃対策のイヤーウィスパーが浮世離れの中のリアルを感じさせてちょっと笑った。変身を促すランスに穏やかな口調で「勝負はもう付いています」と語るありす。確かに結果はその通りで、またシーンそのものがギャグとは判っていても、大金持ちが財力にモノを言わせ戦いそのものをオモチャにしているように見えて少々印象が悪かった。汚れ仕事は下々に任せて高貴な自分は高みの見物、みたいな。

ありすの読みどおり電池切れで動きが止まったジコチューをマイスイートハートで浄化フィニッシュ、その後は再び基地にてあれこれ。先のありすの様子に直球で苦言を呈するランスよく言った! とはいえ「一緒に戦うべき」ってのはどうなのだろう。先の第二話にて「戦いに巻き込む覚悟」の話をしたばかりなのにランスは一緒に戦う「べき」と言い、マナ&六花もありすを巻き込む事に何の躊躇もせず「ラビーズが無い」事だけを理由とする。六花を巻き込む時の葛藤・覚悟、逆に巻き込まれる六花の決意・覚悟が非常に良い感じだっただけに、ありす関連でその辺まったく触れられなくて残念、というか驚いた。

ところがありすは既にラビーズを持っていました。何やらクローバータワーの露天の兄ちゃんに貰ったとか…これにて第一段階は通過しているけれどピカッと光って承認(?)のプロセスが行われていないため、厳密には「変身しない」のではなくまだ「できない」状態と言えるかも。まあそれ以前に本人の意志が――

「ごめんなさい。私、プリキュアにはなりません」

ギュッと手を取り真剣な表情でプリキュアに誘うランスを退けるありすの手。このワンカットは強い拒絶の意志を感じさせます。何故ありすはこれほど頑なに拒絶するのか。

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その理由は冒頭で描かれた色鉛筆騒動の顛末にありました。結局マナに敵わない男子は中学生の兄ちゃんを連れて仕返しに現れ、しかし対峙したマナは一歩も引かずキッパリと言い放つ。

「私、自分じゃ敵わないからって年上に頼るような卑怯者じゃないもん」

自分が弱い者いじめをしておいて反撃されたら兄貴に頼る。正々堂々の欠片もない男子連中のやり口にマナの怒りも判ります。と同時に「他人に頼らず全て自分で背負い込む」という気質の表れでもあるのでしょう。この状況を俯瞰から見れば教師を呼びに行く六花の判断が正解(理性キャラらしい)とは思うものの、以上のマナの気質を考えればこのセリフも当然とも思えます。

一方マナの気質は「何にでも首を突っ込んでくるウザい女」と取られる側面もあります。何につけて「私が!」「私が!」と出しゃばる目立ちたがり屋、すなわち「自分が目立つため」の行動=自己中思考の表れという、マナの真意と正反対の受け取られ方をしてしまう。自分が「正しい」と思ってやってきた事が(是非はともかく)全てひっくり返され、本心が通じない悔しさもあり、それらをひっくるめて言い返す語彙・信念をまだ持たない幼いマナは泣くしかないのかも。

ともあれ「親切」と「おせっかい」の線引きはリアルでも難しい所で、本人の意向に関わらずその判断は受け側に全て依存し、傍目からの印象も人それぞれと始末が悪い。そんな中で第一話のマナを見てみると少なくともウザがられている様子は無く、生徒会長選についても完全に「頼られている」ようで、まあ周囲の環境変化もあるだろうけれど幼少時のこの事件以降マナにも何らかの変化があったのではなかろうか。逆に現在のマナを「ウザい自己中」と感じる子だっているでしょうし、本作テーマに関わるその辺のエピソードを楽しみにしときますか。

さてマナについてつらつら書いてしまいましたが、このシーンのキモは「友達を侮辱された事にキレたありす」の顛末で、これこそプリキュア拒絶の理由というもの。気弱なお嬢様は見た目に反して武道百般の達人で、怒りで我を忘れ力を解放した結果…という流れは少女アニメというより中二ラノベみたいな印象でした。おそらくありすは武術を実戦で使うのはこれが初めてで、気弱な自分の中にこんな化け物(もう一人の自分)が潜んでいる事にもこの時初めて気付いたのでしょう。制御できない力への恐れ、これは戦闘技術の発達に比べて精神的に未熟である事を示すと同時に「力だけの解決」の虚しさ・悲しさを暗に示しているような。愛なき力でねじ伏せても誰もハピラキにはなれない、だからそれを乗り越えてプリキュアになった時のキメセリフが「私と一緒に愛を育んでくださいな」なのかも。

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「本当はご一緒に戦いたいのではないのですか?」

再びのジコチュー反応にもありすはプロデューサーの立場から離れず、ありすをよく知るセバスチャンの進言も頑なに遮り…まあプロデューサー稼業は自らの参戦を自制するゆえの代償行為で本音は「一緒に戦いたい」、けれど無意識の力への恐怖に抗えず一歩を踏み出せないってところ? 生身でもアレなのだからプリキュアの力を抑え込めなくなったら大惨事です。というか行く行くは係る大惨事が起きるような気がしてならないけれど(笑

「プリキュアの力は大切な人を守るためのものランス!」

力を持つ者はそれを制御すべく精神力(理念)が必要で、つまりそれさえ確立していれば力に呑まれる事はない。窓から飛び込んできたランスの言葉は件の事件後に爺さまから賜った言葉に重なり、おそらくこの瞬間爺さまの言葉の意味を理解したのでしょう。ありすの心の迷いは消え、その思いに呼応するようにラビーズが光を放って承認完了――演出に流されていい話っぽく纏めていましたが、ここまでの経緯が前二人と全く違うため、何だか別のアニメを見ているような気分だったり。

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一方の現場組はラジカセジコチューと対峙、なるほど今どきの女子中学生はラジカセを知らないのか。先の戦闘にて電池切れエンドだった対策も万全(?)で、音波攻撃+カセットの磁気テープを吐き出しての拘束ぶん回し攻撃でプリキュア二人を寄せ付けません。並んで壁へ激突はプリキュアによくあるカットですが…新プリキュア登場回とはいえ二人揃って劣化しすぎのような。特にダイヤモンドは必殺技すら撃たせてもらえずちょっと気の毒。

てな所へ今回の真打ち登場。ヘッドライトの逆光に浮かぶ影、壊れた陸橋に浮かぶ影はもちろんあの人であります。何だか特撮ヒーローモノみたい(笑

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キュアロゼッタの変身シーンは前二人に比べるとえらくくるくる動いております。やはり黄色の変身が優遇されるのはシリーズの伝統だろうか。武闘派の割にかわいさを全面に押し出した笑顔溢れる変身は見るからに日だまりポカポカ気分に。

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腕に巻き付けられた磁気テープの反動を上手く使って投げ飛ばすアクションはさすが合気道の達人っぽい。そこから発動した必殺技は「カッチカチのロゼッタウォール」…名前どおりカッチカチ(笑)の防御技でした。今作はバリヤー役がいる事でアクション描写の幅も広がりそう。そしてバリヤー役の攻撃力が一番強力という伝統も受け継いでいるようで、両手のウォールをシンバルのように打ち付けるとジコチューの音波攻撃を消去!? 解説のダイヤモンドさん曰く「ノイズキャンセリング」って事で、一瞬で逆位相音波を発生させるロゼッタウォールおそるべし。最近の子供アニメはハイテクだなあ。

というわけで音波攻撃が止まったジコチューを今回二発目のマイスイートハートで浄化フィニッシュ。浄化後に明らかになったこのジコチューはラッパーのラジカセでした。自己中ネタとしては周囲の迷惑を顧みず大音量で音楽を…ってな感じ?

戦い済んで今回の引きはもう一人のプリキュアについて。毎度毎度ラストシーンで引っ張るなあ。ありす曰くクローバータワーの防犯カメラに映っていた「プリキュアらしき人」はエースティーのあの子。なっ! なんだってー!(棒読み。というかタワーの防犯カメラが優秀すぎてちょっと笑った。

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今回もエンドカード(またみてねカード)は変身バンクのヒトコマでした。遊びがあるかはキュアソードまで出揃った後が勝負かな。

      

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