2013-11-11(Mon)
プリティーリズム・レインボーライブ #32 愛に羽ばたく女神(ジュネ)
プリズムの煌めきをあなたに。

待ちに待った天羽ジュネ様のプリズムショー初披露です。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

待ちに待った天羽ジュネ様のプリズムショー初披露です。
プリズムトーク回での宣言どおり「プリズムライブ&五連続ジャンプ」を引っさげたジュネ様のリブートステージ「HEART BEAT SESSION」の開催に合わせ、これまで延々と秘密のベールに包まれていたジュネ様の背景の一部が解禁。その関連として聖会長と法月主宰の因縁が明らかにされ、また男キャラのポテンシャルとしてほぼ上限と思われたCooさんがさらに天元突破したイケメンっぷりを発揮&正体ほぼバレ…メインの七人娘をカヤの外にほかして大人キャラたちのストーリーを一気に見せた今回は、作品世界の「今」に至るパズルのピースを好バランスで埋め、おっさん的には面白くて仕方がないのだけれど、前回同様メイン視聴層はこの流れをどう受け止めているのか気になったりならなかったり。


まずは件のイベントのポスターを見た両陣営の対比から。ジュネ様のライブ楽器を予想したり、先のトークショーでもらい損ねたサインに拘っていたり、プリズムストーン側は基本的にお客さん視点であります。そんな中りんねだけは不安げな表情でポスターを見つめていたのが印象的。
一方エーデルローズ組は前座扱いにブーたれ、リンクに現れた法月主宰の訓示に気を引き締め、五連続宣言に対抗心を燃やしまくりと、ジュネ様相手に一戦交える気まんまんでした。そもそもべる様は事あるごとにジュネ様への対抗心を露わにしてきただけに、愛の伝道師となって以前ほど勝ち負けに拘らなくなったとはいえ譲れない一線もあるのでしょう。やるからには真剣に勝利を目指さなければ相手にも失礼ですし。なーんてこの対比を見るとどっちが主役チームなのか判らなくなりますね(笑。気合い十二分の口元アップからわかなの軽口をピタッと止めたべる様の表情、その目は遠くを見つめ…見つめた先は前回PRIDEをぶった斬られてほぼ廃人状態で横たわるヒロくんでした。
べる様からの着信に虚ろなまま「愛・NG」と呟く様は、明るい口調の留守録メッセージからの落差が効いて、今のヒロくんの危機的な心理状態が伝わってきます。愛情と無縁だった子供時代はプリズムショーが心の支えで、そのプリズムショーによって地位も名誉も金も手に入れたけれど、おそらく彼が最も欲しがっている「愛情」だけはそういうわけにはいかない。売れっ子アイドルとして大勢のグルーピーに囲まれてもそれは偶像に群がっているだけで「速水ヒロ」という一個の人間に対する愛情ではないのですから。また幼児期に受愛体験が無い彼は他人からの愛情を信じられず、従って他人に対して愛情を注ぐ事もできない。そんな彼がおそらく唯一「無意識の愛情」を覚えていたであろう相手・べる様の声にすら反応しなくなったというカットは非常に重く、ヒロくんのゼツボー感をことさら強調していたような。
そしてもう一方の波乱の幕開け。コウジくんが持つクロスさんからのお土産(鶴さんの布)に気付いた奈津子さんは若い二人の関係を察し動揺が止まらず。それとなくツッコんだ質問をしようにもジャストタイミングで掛かってきた電話に邪魔されて空振り…その後の奈津子さんの表情はいかにも怨恨感情を想像させるけれど、「このままじゃ…」というセリフの意味によってこの表情の意味も変わるためそうカンタンな話でもありますまい。
コウジくんがギターを弾くと悲しむはずだった奈津子さんがハッピーレインマイソング作曲について許容の意を見せたのは、つまり奈津子さんの事故当時からの心境変化(いわゆる「時間が解決した」状態)のチラ見せのような。後のシーンで描かれているように奈津子さん自身も鶴さんの布を今だ持ち続けていて、そこからシンプルに想像すると嫁二人は元々友人関係だった可能性が高い。件の事故によって加害者と被害者に別れ関係が拗れてしまったけれど、まあ起きた事故の非の有無にもよりますが感情が落ち着けば恨み続ける無意味さにも気付き、一方ずっと自分を責め続けている鶴さんを救いたいと思うようになるのも自然な流れか。ならばなぜ奈津子さんはこれほど動揺しているのか?
ここで浮かび上がるのは言わずと知れたコウジくんの存在です。彼は事故の詳細どころか亡き父親のバンドカツドウすらよく知らない=奈津子さんから教えてもらっていないらしく、てな状態からいきなり事の顛末を知らされたら受ける衝撃は計り知れず、つまり奈津子さんの危惧は「このままじゃコウジが辛い思いをする」という事(取り越し苦労)なのかも。ならばクロスさんのストーリーは意外とあっさり解決しそうな予感がするけれど…事実を知ったコウジくんの度量次第か(笑

続いて回想で描かれた聖会長&ジュネ様の出会い。
「どうしたら四連続ジャンプを跳べるんだ」
「このままでは冷どころか仁にすら勝てない」
雪降る冬の湖を眺めながらの若き聖会長の呟きはナチュラルに仁(法月主宰)を下に見ていてちょっと笑った。このセリフから察するにキング争奪三人男の実力は「冷・聖・仁」の順みたい? こういう意識はナニゲに伝わるもので、だからこそ仁は聖さんに対する感情をあれほど拗らせてしまったのかも。
てな所へ光が注ぎ、不意に現れた虹と共に一人の少女が湖面を舞い始め…雲間からの光を浴びてスピンを披露する若きジュネ様は第9話で描かれたりんねのショーに重なり、りんねとジュネ様の関係性をいろいろ想像させます。
冬の湖面に神々しく現れたジュネ様はりんね同様普通の(人間の)少女とは思えないけれど、後のエーデルローズ特訓シーンを見るとプリズムショー好きの普通の少女に見えなくもなく、つまり正体については未だよう判らない。今のジュネ様のトレードマーク(?)たる双頭ドリルが少女期は一本で、パッと見ちょっと凝ったポニテ程度だった、ってのは意表を突かれた(笑。何がきっかけであの双頭ドリルに進化したのだろう。
「聖、いつも心をときめかせて」
続いて披露されたスパイラルに母親の姿を浮かばせ、虹の架け橋へ跳ぶプリズムジャンプから母親とのヒトコマを描いたハーモニー演出へ。膝に抱かれた様子からして聖さんは優しい母親から愛情を注がれて育ち、ひょっとしたらジュネ様の滑走姿に同じ「何か」を感じ取ったのか。母親といえば慈愛の象徴であり、プリズムキング争奪戦にていつしか愛を忘れていた聖さんは無意識に愛を渇望していて、そんな所で母親オーラを纏ったジュネ様と出会ってズッキュン!バッキュン!ドッキュン!…みたいな?(笑。この時感じた「ときめき」が大会前の四連続成功へ繋がり、しかしその事によって選手生命を絶たれてしまうとは皮肉なモノです。
「プリズムショーは心の煌めき、プリズムジャンプは心の飛躍」
技術や勝負結果に囚われていた聖さんはジュネ様の言葉によって母親の言葉の意味に気付き、プリズムショーの何たるかに気付いた。この時の思いが今の会長を作ったと言っても過言ではありますまい。ただこのカットのジュネ様の表情に影が入っていたのが気になります。見方によっては聖さんを唆しているように、まるで白鳥の湖のオディールのように見えなくもないと言ってあg(略

そんなこんなでプリズムキング決定戦「FLY! Skyhigh Session」が迫り、係る男たちの因縁・悲劇の幕が上がります。聖さん四連続成功の噂を聞いて策を謀る仁のカットはエーデルローズの看板を背負った構図が印象的。看板(プライド)を守るためなら手段を選ばない仁の性格が見て取れ、その看板にも影が掛かっていかにも暗部を示しています。
しかし仁はやりすぎた。ちょっと笑ってしまうほどやりすぎた。以前語った「ケガでプリズムショーができなくなったどうしようもない男」を作った張本人、確かに立場上リンクへ細工(指示)するのも楽勝でしょうが…いきなり崩壊したリンク面を見た瞬間私の腹筋も崩壊してしまった(笑。まあ判りやすさ優先かもだけれど、シューズへの細工などベタネタに走らない本作のガッ飛びっぷりには改めて感心するやら呆れるやら。リンクへの違和感に気付きながら確信を持てず、しかし最後の一瞬に叫ぶジュネ様はこれがきっかけで特殊能力(?)に目覚めたようにも見えます。

「聖を倒す事無くしてキングの価値無し」
聖さん欠場を受けた冷さんのお言葉。ここでも思いっきり仁がザコ扱いでちょっと笑った。完全に親の七光り扱い? 黒川冷=Cooさんなのは前回の描写で九分九厘確定していましたが、今回このカットでさらにダメ押し。モモガッパはこの頃からCooさんと組んでいたのか! とはいえモモガッパ自身すら第1話の時点でプリズムライブ初体験のようなので、冷さんと組んでプリズムショーをしていたとはいえ、現在の妖精たちのようにプリズムライブの鍵になっていたわけではなさそう? ではモモガッパは何のために冷さんと組んでいたのか? どんな役割だったのか? ひょっとしたら冷さんもプリズムワールドの住人で、モモガッパはその上司(お目付役)として同行しているとか?
その後ジュネ様はエーデルローズに入り、選手生命を絶たれた聖さんの代わりに前人未踏の四連続ジャンプを跳び、史上最年少13歳でプリズムクイーンに輝いた。3年前の公式大会で13歳ってことは、今のジュネ様は16歳!? アニメの年齢設定にツッコむのは野暮とはいえ16歳にしては貫禄ありすぎでしょう(笑。ともあれこの時のジュネ様は白いフェザーを発動させていて…ペアとも無しではフェザーが出ないだろうし、確証は無いけれどこの時点でスタンと組んでいたことが予想できそう。白い衣装に白いフェザー、つまりこのジュネ様は純粋に聖さんへ思いを寄せるオデット状態っぽく、ではなぜ今回ステージのジュネ様は黒い衣装に黒いフェザーのオディール状態だったのか? 何がジュネ様を変えたのか? 非常に興味深い。
そしてディアクラウン設立と共にジュネ様はエーデルローズを去り、聖さんは協会入り。明るい陽の下で前途洋々の二人に対し、ジュネ様を失った恨み辛みに震える仁のどよんどな色彩がいかにも。聖さんの会長就任が決まる頃にはジュネ様も双頭ドリルヘアーとなり、しかし聖さんへ向ける表情は一点の曇りもない笑顔で、つまり髪型変化と内面変化はシンクロしていないってこと? そういやジュネ様って聖さんと一緒の時は必ず白い服なのよね。

ジュネ様関連の回想が一段落したBパート冒頭は姑の牽制から。先のコウジくんとのシーンで鶴さんの布に気付くも北海道の話題は出ず、しかしここであえてクロスさん相手に北海道の話題を出す辺り「私は全部知っているのよ」的なアピール? 話していない事をいきなり振られたらただでさえ不気味なのに、後にコウジくんへ電話で確認したクロスさんが受けた戦慄たるや。この流れから「何故知ってるんですか? 母と知り合いなんですか?」と問うクロスさんへズバリ返す奈津子さんの図が頭に浮かんで胃に悪い。
聖会長vs法月主宰の対峙シーンは高低差で現状の立場を示し、貶めたはずの相手に見下されている主宰は憎しみパワーをブーストしまくり。いいねいいね。「親父にかわいがられているからって~」のセリフは主宰の七光りっぷりが浮かび上がってさらに良し。同様に理事長にかわいがられているヒロくんを支配下に置いて悦に入るのは、もはや手出しできなくなった聖会長への反動かもしれません。
そんな緊迫したシーンに駆け込んできたCooさん&モモガッパ。奇しくも同じフレームに収まった件の三人は今後どうなっていくのやら。Cooさんはもちろん他二名が判っているけれど、では他二名はCooさんの正体に気付いているのだろうか。いやはや面白くなってまいりました。
主役チーム・ハッピーレインのステージが豪快にオミットされた後の出番はベルローズ。わかな&おとはへ声を掛け、気合い十二分でステージへ向かうべる様でしたが…。

ライブ発動後「セクシースプラッシュ」→「情熱のミリオンローズ」→「夢幻カレイドスコープ」→「夢幻プリズムフェニックス」と順調に四連続を跳び、フェザーを発動させたまま二段ジャンプのアプローチ、そして未知の境地五連続へ果敢に挑戦!
――その瞬間異変に気付いたCooさんのサングラスが透け、ジャンプ失敗にてフェザー&セブンスコーデが散り高々度から垂直落下のべる様をキャッチに跳ぶCooさんがイケメンすぎてチビりそう。これが本来プリズムキングになるべき男の実力か。プリズムストーン常駐の便利兄ちゃんは諸処のご都合合わせ要員かと思いきやこの正体。ううむ。この仕込みには改めて感嘆するしかありません。べる様頬染めちゃってるし!
「無茶しちゃダメだよ」
半透けのサングラスにてこのセリフはおっさんから見ても惚れてまう。その後控え室にて心配をかけた事を素直に謝り、助けてもらったお礼をきちんと言えるようになったべる様がキレイすぎて何だか不思議。そしてCooさんを見る表情が思いっきりオンナノコだったのが気になるところか。その片隅で煙を上げてる物体ががが! 無理に走ってオーバーヒートしているモモガッパの体たらくに笑った。こういうシーンでも小ネタを忘れないプリティーリズムの素晴らしさよ。

そんなこんなでついに始まったジュネ様のプリズムショーはさすが延々と引っ張っただけの事があったというか、圧倒的すぎて適切なコメントが浮かばないレベルでした。満員の客席が一斉に黄色いサイリウムの海と化し、その煌びやかな光と暗部の陰影、スポットライトに浮かび上がるジュネ様の存在感も凄い。注目のジュネ様曲はしっとりとしたバラード「nth color」。これまたキャラに負けない荘厳さに何事かと思ったら作曲・編曲が斉藤常芳氏、要するにりんねの「gift」を作った方なのでした。この二曲は他キャラのマイソングとスケールが大幅に違い、なるほど曲を聴いただけで係るキャラの特殊性が伝わってきます。
映像的には優雅なバレエ風の振り付けが淀みなく再現されていた事に驚き。ステージナメのロングからグッと寄ってキャッチーな表情、さらに合間合間にインされる足元や後ろ姿などなど、京極氏によるステージ演出はますます冴え…プリズムショーの演出ってドコまで行ってしまうのだろう(笑。そして触れないわけにはいかないジュネ様の例の髪。あの髪型がショーでどうなるのか?と興味が尽きなかったけれど、思いの外薄かったドリルヘアーは振り付けに合わせてぐりんぐりん揺れまくり、しかしてそれが全く不自然ではない事に驚き。頭を振り髪を揺らして「波」の表現は目からウロコが落ちた気分。いちいちスゲー。

そして今回ショーのハイライトたるプリズムライブ&五連続へ。スタンに導かれ発動したジュネ様のプリズムライブに現れた楽器は何とタクトでした。前回予告で陳腐な予想を尽く否定していただけにもうオーケストラくらいしか? と思ってはいたものの、まさかこのタイミングで本当にやっちまうとは恐れ入谷のナントヤラ。やるとしても最終決戦の大ネタでしょうに。今これやっちゃったら最終ステージで何をやるつもりなのかと(笑。楽器描写がややショボかった気がしますがスケールの大きさは随一、タクトを振る度五線の光がステージを包む演出もキレイ。
オーケストラの響きに乗りながらのプリズムジャンプはまず「スタースプラッシュ」→「エンジェルキッス」→「オーロラライジング」→「無限ハグエターナル」と、歴代の究極系を次々と四連続。人の人生すら変えてしまった「オーロラライジング」が連続ジャンプのコマの一つに収まっていたのは少々フクザツな気分でしたがそれはそれ、これら大技をサラッと跳んでしまうジュネ様の大物オーラが凄まじい。

ついにお披露目となった注目の五連続。宙に浮かんだアプローチにて発動した黒いフェザーはDMFのアゲハ蝶の羽根のようで、まさか一人グレイトフルシンフォニア? と一瞬思ってしまった(笑。ともあれこの黒いフェザーにどんな意味があるのか? フェザーを見た瞬間のりんねのショックを含め非常に興味深いところです。白鳥と共に天空から現れた赤ちゃんを全裸で抱く「愛のシンフォニー ラムール・ド・ランジュ」はジュネ様の幸せの体現で、愛する人との子供を授かる=キス、結婚、ハグ、出産と男女間のごく普通の幸せを切望しているジュネ様の儚さを表しているような? おそらく叶うことがないジュネ様の幸せ。慈愛に満ちた表情や黄金の羽根に包まれ白鳥の祝福を受ける暖かい絵面が、儚き思いをより悲愴に感じさせて止まない…ってのは穿ちすぎ?
「それがあなたの幸せ?」
ハッピーレイン&ベルローズはジュネ様のショーに感動の涙を落としていたけれど、りんねの涙は他の子たちと意味が違うような気がする。冒頭での不安顔はこの「幸せ語り」を予感してのものだったのか? それとも…以下りんねとジュネ様について「白鳥の湖」をベースにいろいろ仮説を妄想したけれどイマイチまとまらなかったのでバッサリ略。考察するにももう少し材料がほしいところ。


まずは件のイベントのポスターを見た両陣営の対比から。ジュネ様のライブ楽器を予想したり、先のトークショーでもらい損ねたサインに拘っていたり、プリズムストーン側は基本的にお客さん視点であります。そんな中りんねだけは不安げな表情でポスターを見つめていたのが印象的。
一方エーデルローズ組は前座扱いにブーたれ、リンクに現れた法月主宰の訓示に気を引き締め、五連続宣言に対抗心を燃やしまくりと、ジュネ様相手に一戦交える気まんまんでした。そもそもべる様は事あるごとにジュネ様への対抗心を露わにしてきただけに、愛の伝道師となって以前ほど勝ち負けに拘らなくなったとはいえ譲れない一線もあるのでしょう。やるからには真剣に勝利を目指さなければ相手にも失礼ですし。なーんてこの対比を見るとどっちが主役チームなのか判らなくなりますね(笑。気合い十二分の口元アップからわかなの軽口をピタッと止めたべる様の表情、その目は遠くを見つめ…見つめた先は前回PRIDEをぶった斬られてほぼ廃人状態で横たわるヒロくんでした。
べる様からの着信に虚ろなまま「愛・NG」と呟く様は、明るい口調の留守録メッセージからの落差が効いて、今のヒロくんの危機的な心理状態が伝わってきます。愛情と無縁だった子供時代はプリズムショーが心の支えで、そのプリズムショーによって地位も名誉も金も手に入れたけれど、おそらく彼が最も欲しがっている「愛情」だけはそういうわけにはいかない。売れっ子アイドルとして大勢のグルーピーに囲まれてもそれは偶像に群がっているだけで「速水ヒロ」という一個の人間に対する愛情ではないのですから。また幼児期に受愛体験が無い彼は他人からの愛情を信じられず、従って他人に対して愛情を注ぐ事もできない。そんな彼がおそらく唯一「無意識の愛情」を覚えていたであろう相手・べる様の声にすら反応しなくなったというカットは非常に重く、ヒロくんのゼツボー感をことさら強調していたような。
そしてもう一方の波乱の幕開け。コウジくんが持つクロスさんからのお土産(鶴さんの布)に気付いた奈津子さんは若い二人の関係を察し動揺が止まらず。それとなくツッコんだ質問をしようにもジャストタイミングで掛かってきた電話に邪魔されて空振り…その後の奈津子さんの表情はいかにも怨恨感情を想像させるけれど、「このままじゃ…」というセリフの意味によってこの表情の意味も変わるためそうカンタンな話でもありますまい。
コウジくんがギターを弾くと悲しむはずだった奈津子さんがハッピーレインマイソング作曲について許容の意を見せたのは、つまり奈津子さんの事故当時からの心境変化(いわゆる「時間が解決した」状態)のチラ見せのような。後のシーンで描かれているように奈津子さん自身も鶴さんの布を今だ持ち続けていて、そこからシンプルに想像すると嫁二人は元々友人関係だった可能性が高い。件の事故によって加害者と被害者に別れ関係が拗れてしまったけれど、まあ起きた事故の非の有無にもよりますが感情が落ち着けば恨み続ける無意味さにも気付き、一方ずっと自分を責め続けている鶴さんを救いたいと思うようになるのも自然な流れか。ならばなぜ奈津子さんはこれほど動揺しているのか?
ここで浮かび上がるのは言わずと知れたコウジくんの存在です。彼は事故の詳細どころか亡き父親のバンドカツドウすらよく知らない=奈津子さんから教えてもらっていないらしく、てな状態からいきなり事の顛末を知らされたら受ける衝撃は計り知れず、つまり奈津子さんの危惧は「このままじゃコウジが辛い思いをする」という事(取り越し苦労)なのかも。ならばクロスさんのストーリーは意外とあっさり解決しそうな予感がするけれど…事実を知ったコウジくんの度量次第か(笑

続いて回想で描かれた聖会長&ジュネ様の出会い。
「どうしたら四連続ジャンプを跳べるんだ」
「このままでは冷どころか仁にすら勝てない」
雪降る冬の湖を眺めながらの若き聖会長の呟きはナチュラルに仁(法月主宰)を下に見ていてちょっと笑った。このセリフから察するにキング争奪三人男の実力は「冷・聖・仁」の順みたい? こういう意識はナニゲに伝わるもので、だからこそ仁は聖さんに対する感情をあれほど拗らせてしまったのかも。
てな所へ光が注ぎ、不意に現れた虹と共に一人の少女が湖面を舞い始め…雲間からの光を浴びてスピンを披露する若きジュネ様は第9話で描かれたりんねのショーに重なり、りんねとジュネ様の関係性をいろいろ想像させます。
冬の湖面に神々しく現れたジュネ様はりんね同様普通の(人間の)少女とは思えないけれど、後のエーデルローズ特訓シーンを見るとプリズムショー好きの普通の少女に見えなくもなく、つまり正体については未だよう判らない。今のジュネ様のトレードマーク(?)たる双頭ドリルが少女期は一本で、パッと見ちょっと凝ったポニテ程度だった、ってのは意表を突かれた(笑。何がきっかけであの双頭ドリルに進化したのだろう。
「聖、いつも心をときめかせて」
続いて披露されたスパイラルに母親の姿を浮かばせ、虹の架け橋へ跳ぶプリズムジャンプから母親とのヒトコマを描いたハーモニー演出へ。膝に抱かれた様子からして聖さんは優しい母親から愛情を注がれて育ち、ひょっとしたらジュネ様の滑走姿に同じ「何か」を感じ取ったのか。母親といえば慈愛の象徴であり、プリズムキング争奪戦にていつしか愛を忘れていた聖さんは無意識に愛を渇望していて、そんな所で母親オーラを纏ったジュネ様と出会ってズッキュン!バッキュン!ドッキュン!…みたいな?(笑。この時感じた「ときめき」が大会前の四連続成功へ繋がり、しかしその事によって選手生命を絶たれてしまうとは皮肉なモノです。
「プリズムショーは心の煌めき、プリズムジャンプは心の飛躍」
技術や勝負結果に囚われていた聖さんはジュネ様の言葉によって母親の言葉の意味に気付き、プリズムショーの何たるかに気付いた。この時の思いが今の会長を作ったと言っても過言ではありますまい。ただこのカットのジュネ様の表情に影が入っていたのが気になります。見方によっては聖さんを唆しているように、まるで白鳥の湖のオディールのように見えなくもないと言ってあg(略

そんなこんなでプリズムキング決定戦「FLY! Skyhigh Session」が迫り、係る男たちの因縁・悲劇の幕が上がります。聖さん四連続成功の噂を聞いて策を謀る仁のカットはエーデルローズの看板を背負った構図が印象的。看板(プライド)を守るためなら手段を選ばない仁の性格が見て取れ、その看板にも影が掛かっていかにも暗部を示しています。
しかし仁はやりすぎた。ちょっと笑ってしまうほどやりすぎた。以前語った「ケガでプリズムショーができなくなったどうしようもない男」を作った張本人、確かに立場上リンクへ細工(指示)するのも楽勝でしょうが…いきなり崩壊したリンク面を見た瞬間私の腹筋も崩壊してしまった(笑。まあ判りやすさ優先かもだけれど、シューズへの細工などベタネタに走らない本作のガッ飛びっぷりには改めて感心するやら呆れるやら。リンクへの違和感に気付きながら確信を持てず、しかし最後の一瞬に叫ぶジュネ様はこれがきっかけで特殊能力(?)に目覚めたようにも見えます。

「聖を倒す事無くしてキングの価値無し」
聖さん欠場を受けた冷さんのお言葉。ここでも思いっきり仁がザコ扱いでちょっと笑った。完全に親の七光り扱い? 黒川冷=Cooさんなのは前回の描写で九分九厘確定していましたが、今回このカットでさらにダメ押し。モモガッパはこの頃からCooさんと組んでいたのか! とはいえモモガッパ自身すら第1話の時点でプリズムライブ初体験のようなので、冷さんと組んでプリズムショーをしていたとはいえ、現在の妖精たちのようにプリズムライブの鍵になっていたわけではなさそう? ではモモガッパは何のために冷さんと組んでいたのか? どんな役割だったのか? ひょっとしたら冷さんもプリズムワールドの住人で、モモガッパはその上司(お目付役)として同行しているとか?
その後ジュネ様はエーデルローズに入り、選手生命を絶たれた聖さんの代わりに前人未踏の四連続ジャンプを跳び、史上最年少13歳でプリズムクイーンに輝いた。3年前の公式大会で13歳ってことは、今のジュネ様は16歳!? アニメの年齢設定にツッコむのは野暮とはいえ16歳にしては貫禄ありすぎでしょう(笑。ともあれこの時のジュネ様は白いフェザーを発動させていて…ペアとも無しではフェザーが出ないだろうし、確証は無いけれどこの時点でスタンと組んでいたことが予想できそう。白い衣装に白いフェザー、つまりこのジュネ様は純粋に聖さんへ思いを寄せるオデット状態っぽく、ではなぜ今回ステージのジュネ様は黒い衣装に黒いフェザーのオディール状態だったのか? 何がジュネ様を変えたのか? 非常に興味深い。
そしてディアクラウン設立と共にジュネ様はエーデルローズを去り、聖さんは協会入り。明るい陽の下で前途洋々の二人に対し、ジュネ様を失った恨み辛みに震える仁のどよんどな色彩がいかにも。聖さんの会長就任が決まる頃にはジュネ様も双頭ドリルヘアーとなり、しかし聖さんへ向ける表情は一点の曇りもない笑顔で、つまり髪型変化と内面変化はシンクロしていないってこと? そういやジュネ様って聖さんと一緒の時は必ず白い服なのよね。

ジュネ様関連の回想が一段落したBパート冒頭は姑の牽制から。先のコウジくんとのシーンで鶴さんの布に気付くも北海道の話題は出ず、しかしここであえてクロスさん相手に北海道の話題を出す辺り「私は全部知っているのよ」的なアピール? 話していない事をいきなり振られたらただでさえ不気味なのに、後にコウジくんへ電話で確認したクロスさんが受けた戦慄たるや。この流れから「何故知ってるんですか? 母と知り合いなんですか?」と問うクロスさんへズバリ返す奈津子さんの図が頭に浮かんで胃に悪い。
聖会長vs法月主宰の対峙シーンは高低差で現状の立場を示し、貶めたはずの相手に見下されている主宰は憎しみパワーをブーストしまくり。いいねいいね。「親父にかわいがられているからって~」のセリフは主宰の七光りっぷりが浮かび上がってさらに良し。同様に理事長にかわいがられているヒロくんを支配下に置いて悦に入るのは、もはや手出しできなくなった聖会長への反動かもしれません。
そんな緊迫したシーンに駆け込んできたCooさん&モモガッパ。奇しくも同じフレームに収まった件の三人は今後どうなっていくのやら。Cooさんはもちろん他二名が判っているけれど、では他二名はCooさんの正体に気付いているのだろうか。いやはや面白くなってまいりました。
主役チーム・ハッピーレインのステージが豪快にオミットされた後の出番はベルローズ。わかな&おとはへ声を掛け、気合い十二分でステージへ向かうべる様でしたが…。

ライブ発動後「セクシースプラッシュ」→「情熱のミリオンローズ」→「夢幻カレイドスコープ」→「夢幻プリズムフェニックス」と順調に四連続を跳び、フェザーを発動させたまま二段ジャンプのアプローチ、そして未知の境地五連続へ果敢に挑戦!
――その瞬間異変に気付いたCooさんのサングラスが透け、ジャンプ失敗にてフェザー&セブンスコーデが散り高々度から垂直落下のべる様をキャッチに跳ぶCooさんがイケメンすぎてチビりそう。これが本来プリズムキングになるべき男の実力か。プリズムストーン常駐の便利兄ちゃんは諸処のご都合合わせ要員かと思いきやこの正体。ううむ。この仕込みには改めて感嘆するしかありません。べる様頬染めちゃってるし!
「無茶しちゃダメだよ」
半透けのサングラスにてこのセリフはおっさんから見ても惚れてまう。その後控え室にて心配をかけた事を素直に謝り、助けてもらったお礼をきちんと言えるようになったべる様がキレイすぎて何だか不思議。そしてCooさんを見る表情が思いっきりオンナノコだったのが気になるところか。その片隅で煙を上げてる物体ががが! 無理に走ってオーバーヒートしているモモガッパの体たらくに笑った。こういうシーンでも小ネタを忘れないプリティーリズムの素晴らしさよ。

そんなこんなでついに始まったジュネ様のプリズムショーはさすが延々と引っ張っただけの事があったというか、圧倒的すぎて適切なコメントが浮かばないレベルでした。満員の客席が一斉に黄色いサイリウムの海と化し、その煌びやかな光と暗部の陰影、スポットライトに浮かび上がるジュネ様の存在感も凄い。注目のジュネ様曲はしっとりとしたバラード「nth color」。これまたキャラに負けない荘厳さに何事かと思ったら作曲・編曲が斉藤常芳氏、要するにりんねの「gift」を作った方なのでした。この二曲は他キャラのマイソングとスケールが大幅に違い、なるほど曲を聴いただけで係るキャラの特殊性が伝わってきます。
映像的には優雅なバレエ風の振り付けが淀みなく再現されていた事に驚き。ステージナメのロングからグッと寄ってキャッチーな表情、さらに合間合間にインされる足元や後ろ姿などなど、京極氏によるステージ演出はますます冴え…プリズムショーの演出ってドコまで行ってしまうのだろう(笑。そして触れないわけにはいかないジュネ様の例の髪。あの髪型がショーでどうなるのか?と興味が尽きなかったけれど、思いの外薄かったドリルヘアーは振り付けに合わせてぐりんぐりん揺れまくり、しかしてそれが全く不自然ではない事に驚き。頭を振り髪を揺らして「波」の表現は目からウロコが落ちた気分。いちいちスゲー。

そして今回ショーのハイライトたるプリズムライブ&五連続へ。スタンに導かれ発動したジュネ様のプリズムライブに現れた楽器は何とタクトでした。前回予告で陳腐な予想を尽く否定していただけにもうオーケストラくらいしか? と思ってはいたものの、まさかこのタイミングで本当にやっちまうとは恐れ入谷のナントヤラ。やるとしても最終決戦の大ネタでしょうに。今これやっちゃったら最終ステージで何をやるつもりなのかと(笑。楽器描写がややショボかった気がしますがスケールの大きさは随一、タクトを振る度五線の光がステージを包む演出もキレイ。
オーケストラの響きに乗りながらのプリズムジャンプはまず「スタースプラッシュ」→「エンジェルキッス」→「オーロラライジング」→「無限ハグエターナル」と、歴代の究極系を次々と四連続。人の人生すら変えてしまった「オーロラライジング」が連続ジャンプのコマの一つに収まっていたのは少々フクザツな気分でしたがそれはそれ、これら大技をサラッと跳んでしまうジュネ様の大物オーラが凄まじい。

ついにお披露目となった注目の五連続。宙に浮かんだアプローチにて発動した黒いフェザーはDMFのアゲハ蝶の羽根のようで、まさか一人グレイトフルシンフォニア? と一瞬思ってしまった(笑。ともあれこの黒いフェザーにどんな意味があるのか? フェザーを見た瞬間のりんねのショックを含め非常に興味深いところです。白鳥と共に天空から現れた赤ちゃんを全裸で抱く「愛のシンフォニー ラムール・ド・ランジュ」はジュネ様の幸せの体現で、愛する人との子供を授かる=キス、結婚、ハグ、出産と男女間のごく普通の幸せを切望しているジュネ様の儚さを表しているような? おそらく叶うことがないジュネ様の幸せ。慈愛に満ちた表情や黄金の羽根に包まれ白鳥の祝福を受ける暖かい絵面が、儚き思いをより悲愴に感じさせて止まない…ってのは穿ちすぎ?
「それがあなたの幸せ?」
ハッピーレイン&ベルローズはジュネ様のショーに感動の涙を落としていたけれど、りんねの涙は他の子たちと意味が違うような気がする。冒頭での不安顔はこの「幸せ語り」を予感してのものだったのか? それとも…以下りんねとジュネ様について「白鳥の湖」をベースにいろいろ仮説を妄想したけれどイマイチまとまらなかったのでバッサリ略。考察するにももう少し材料がほしいところ。
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