2014-06-30(Mon)
ラブライブ! School idol project #13 叶え!みんなの夢――
音ノ木坂卒業式からラストステージへ。

明るく賑やかな、湿度低めの最終回でした。

アバン&OP無しで始まったAパート冒頭は卒業式で贈る送辞を書き上げてテンション上げ上げの穂乃果から。なるほど今考えればこれをやるための生徒会長設定だったのね。階下へ降りて通りすがりの雪穂ちゃん&亜里沙チカは音ノ木坂の制服を試着…を気付かず学校へダッシュ!→きっちり引き返して褒めてあげるお姉ちゃんっぷりや良し。二人ともかわいいけど、この二人の音ノ木坂の日々は見られないのだなあと思うと少々寂しい。そこからススメ→トゥモローをBGMに桜並木を走り、校前の階段を駆け上ってストップモーションは第1期第1話の判りやすい対比。あの時は階段を駆け下りた(滑り降りた)穂乃果が今度は駆け上がっているというのも感慨深い演出です。
学校に到着し一年生組と合流すると目の前に矢澤家の面々、大きいにっこにっこにーとご対面&甘えん坊にこにーの小ネタ(真姫のニヤマリ顔が絶品)を挟んで部室へ行くとそこにはラブライブの優勝旗&トロフィーがありました。やはりμ's は優勝していた…つまり大会ステージを終えた後の「みんなの涙→アンコール」の流れは、全て結果発表を終えた後の話だったというネタバラシ。確かに表彰式の一連を時系列どおりに描いていたらあの畳み掛けるような感動は無かったでしょう。おそらくファン目線でも茶番臭を抑えられそうもないμ's 優勝シーンをバッサリ切ったのは相当な賭け&英断で、切った部分を想像で補える層には先の演出効果が最大に生かされたけれど、逆に大会自体の描写を期待していた層は「いつの間に!?」と置いてけぼり=トンデモ演出と酷評される事は想像に易い。にも関わらず感情の揺さぶりを優先しアンコールへのショートカットを選択した制作陣の拘りに敬意を表したい。熱いね。

「穂乃果ちゃんらしいね」
「みんなも協力してね」
そこから卒業式準備の一連にて海未&ことりへ送辞のアンチョコを見せ、会場準備のすーぱーモブ子との会話で照明云々について話し合い、例の卒業式演出の下準備を着々と。ポケットのメモ云々は「絶対失くしてるだろ?」、二人が見た後も「この後絶対失くすだろ?」と思ったけどそんなベタネタではなく(笑。照明の資料探しに生徒会室へ走る道中にて髪型変えた希と行き会い…ここは希の美人度がハンパありません。さらに生徒会室でしみじみするエリチカがまた美人。さすが今回は全体的に作画が美麗でしたが、卒業への餞か特にこのシーンは美人度が高かった気がする。初対面時にあれほどモメた二人は生徒会室に様々な思い入れがあり、その後μ's カツドウで得た変化・成長を踏まえ、この場所に二人揃う最後の機会に互いの素直な思いを語り合うヒトコマはなかなか感慨深いものがありました。例によって廊下で立ち聞きのお母さんも満足げな笑顔を湛え…生徒会室を飛び出した穂乃果が見つけた相手、ムネと三つ編みの先っちょだけで誰だか判る実相寺アングルがじつに心地よい。

「今思ってる気持ちや届けたい感謝の気持ちが言葉にならなくて…」
ほどなく始まった卒業式では先のとおり穂乃果が送辞を贈り始めるも、自分の気持ちを上手く表現できない事を直球で語り、だから言葉の代わりに歌で伝える。普通に考えるとこれまたトンデモ展開なのだけれど、ピアノスツールにすっと座ったミニスカカットから構える真姫、そして始まった歌は「愛してるばんざーい」…第1期第1話の音楽室でたった一人で同曲を歌っていた真姫が晴れの舞台で生徒全員の伴奏を務め、高らかに歌う穂乃果に続いてμ's メンバーも歌い始め、じきに会場全体が暖かい歌に包まれていく演出には反射的に涙腺が緩んだ。つくづく感情の揺さぶりに全振りした演出に感服です。

さて暖かい卒業式も終わって「アイドル研究部」の引き継ぎへ。備品の片付けに続いて次期部長の人事、にこにーに続くアイドルマニアと言えば花陽に白羽の矢が立つのも道理で…当然のように指名するにこにーへ「え?」→「えええええ!?」の表情変化がいかにも花陽っぽくかわいい(笑。新部長からのご指名で副部長を就任する真姫のリアクションも良し良し。何だかんだ言いながら結局引き受けちゃう事が判っているみなさんのリアクションも良かった。
「だって、この九人でってのはこれが最後だし…」
引き継ぎも無事終わってエリチカ&希は学校に最後のお別れを告げるべく校内散策へ、というタイミングで穂乃果のセリフはいい話と思いきや、セリフを発した直後にビミョーな雰囲気が暫し続き…NGワードで全員にジュース1本とかどんな罠か(笑。奢りのジュースを堪能するエリチカかわいすぎ。

ここから暫し湿っぽさを払拭した校内散策、第1期からのアニメで描かれた様々なエピソードの回収を入れ込みながら思い出の場所をみんなで巡るシーンが続きます。アルパカに怯えるエリチカは今回は涎を浴びずに済んで良かった良かった。一人離れてる様子もかわいい(笑。って茶色い方がメスだったのか!? 白アルパカのドヤ顔も良し。
「うわー! 久しぶりに立つとやっぱり広……く無い?」
思い出の講堂の舞台に立って客席を望む穂乃果の言葉がまた深い。あれほど広く思えた講堂なのに大ステージを経験した後に見ると何と小さい…校内が世界の全てだった子供たちが外の世界を知って振り返った時の感覚、高校生くらいになってから出身小学校へ行くと必ず感じるあの感覚と同じものでしょう。穂乃果たちの成長を判りやすく示すヒトコマでした。
「最初に九人で歌った時もこんな青空だった」
草むらに寝転んで空を見上げる九人の図は第1期OPのそれ。つまり前回アンコールで使われたOPムービー同様、第1期OPは全ての帰着点だったという事です。なるほど。

そしてμ's にとって最も思い出深い屋上へ。全てが始まり全てが詰まったこの場所を眺めセンチメンタルに浸るみなさんの中で、穂乃果は水バケツとモップを持って「μ's」の水文字を大書に走るのでした。すぐに消えてしまう水文字の如く夢のような日々、でもこの場所にμ's は確かに存在した。消えゆく水文字をμ's の消滅に重ねる演出はなかなか切なく、みなさん一礼して去った後の穂乃果の半透明回想シーンもまた切なさMAXであります。
「ねえことりちゃん、海未ちゃん。やり遂げようね、最後まで」
「やり遂げたよ、最後まで」
懐かしい日々の回想は水文字の消滅と共に消えて屋上を引き上げる穂乃果。すると一陣の風とともに初めて練習をした日の声が聞こえ、穂乃果は力強くそれに答えてEDへ。

SPED「Oh,Love&Peace!」が流れる中、新しいスクールアイドルの兆しをチラ見せ、桜舞う中をみんな揃って最後の下校。校門から望む信号は青く、あと一歩踏み出せば九人の時間はおしまい…というタイミングで花陽のケータイが鳴ってメール着信。例によってテンパった表情から――
「大変です!」
「どうしたの?」
「ここでは言えません、部室へ戻らなきゃ!」
「ちょ、何なのよいきなり?」
「なになにー、教えてー」
「大変ですー!」
「今度は何ですか?」
「まだ終わってないってこと?」
「ナニソレイミワカンナイ」
「行って確認してみるしか無さそうね」
「ちょっと、今日卒業式なのよ!?」
「よーし、みんな続けー!」
というわけで校門ギリで引き返し=卒業未遂って事でμ's の日々はもう暫く続きそうです。あははは。おそらくどうやっても矛盾が生じる現実(販売戦略)との齟齬をコメディタッチで混ぜっ返し、ミュージカル調ラストムービーで明るく賑やかに締めるやり方はある意味本作らしい幕引きだったとも思います。ただ明らかに劇場版の引きである花陽メールのドタバタは少々えげつないと申しましょうか、これだけのヒット作なのでTV版終了後の劇場版は想定内とはいえもう少し手心を…と思わなくなくも(略

思いっきり直球の劇場版アピールに苦笑いながら始まったTV版ラブライブ!のラストナンバーは「Happy maker!」。まるで第1期第1話をトレースするかの如く虚実入り交じった賑やかなミュージカルムービーでした。一人で校舎内を歩く穂乃果が桜並木に飛び出す一連カットは3DCG→2D→3DCGの切り替えが凄い。そこへことり&海未が仲間に加わり、すると舞台が青スポットのステージに変わり、さらに一年生組&三年生組が加わるとステージは芝生のグランドへ…スクールアイドルを発起した穂乃果が二人を巻き込んでステージデビュー! から始まったμ's の歴史を辿る構成はじつに最終回らしく、とはいえ楽しく賑やかな演出によってしんみり気分は皆無。


サビ入りと共にステージを再び桜並木に戻して九人のダンス。学校へ続く大階段は鈴なりの客席と化し、満開桜に囲まれて歌い踊るμ's を盛り上げます。ことり盛ってる? 以前穂乃果が一人で踊っていた横からのCGカットが九人に増えて妙に感動。縦一列にフォーメーションチェンジからミューザイル(笑)のぐるぐる振り付けも楽しそう。そういや今回ムービーもラストの蔵出しサービスかウインクが非常に多い。先のウインクまとめで目を皿にした影響かもですが。
2サビ入りからこれまでのドラマ舞台巡り&サブ・モブ出演者を交えてフィナーレの挨拶。2期に渡るドラマを支えたキャラクターたちによる賑やかなカーテンコールはシリーズ最終回ならではでしょう。ここでも穂乃果父ちゃんは最後まで顔を見せないまま…なのに存在感スゲー(笑。亜里沙チカ&雪穂ちゃんもよく盛り上げてくれました。TV画面のA-RISEはもう少し活躍を見たかったなあ。

跳ね飛ぶ真姫がかわいすぎる大サビの盛り上がりから桜並木ステージは最高潮、やっぱり真姫はかわいいな。グランド→屋上→桜並木とステージをパッパと切り替えてμ's サークルの上で一斉にジャンプ!からフィナーレのキメ。そして――
「叶え私たちの夢、叶えあなたの夢、叶えみんなの夢」
穂乃果リーダーは幾度となく繰り返されてきた本作テーマをTV画面の向こうへ渡してTVアニメ「ラブライブ!」一巻の締め…の直後に「完全新作 劇場版 制作決定!」さらに「ファンミーティングツアー開催決定!」と全然終わらない現実をドドーン!と見せられて思わず笑ってしまった。さんざ煽った卒業話の本番でどんだけ泣かされるか構えていて、本編ラス前までは良い意味で裏切られたものの、ラストの販促で大笑いという、ナントモ評価が難しい最終回になってしまった感じ。ううむ。
待望の第2期があっという間に終わってしまいました。当然ながらこの第2期は当初からμ's の九人が揃っていて、第1期で出場を見送った「ラブライブ」の優勝目指してがんばるぞ! 的な導入から第3話にてライバルであるA-RISEとの絡みを描き、さてここからアイドル勝負はどうするどうなる? と視聴ボルテージを上げるもののそのテのエピソードはほとんど描かれぬまま個人エピソードを重ね、いつの間にか最終予選を通って、いつの間にか優勝していた。なるほど振り返って見れば「ラブライブ優勝へ至る道程」がメインテーマではなく、あくまでμ's 九人の群像劇が主体で、ラブライブ大会自体はドラマを成り立たせるための大道具でしかなかった事が判るのですが…本作にスポ根的要素を求めた層には練習どころか肝心の大会もロクに描かれない事に拍子が抜け、ご都合御免のシナリオに置いてけぼりを食らってサヨウナラだとは思います。私も多分にそういう所があるので本作への批判意見もあらかた納得できちゃったりして。まあその辺はノリと勢いを最優先し感情を直撃する作風を楽しいと思えるか(乗れるか?)?が鍵でしょうか。何やかんやコンテンツとの付き合いが3年程度ある私はTV画面で動いてるμ's を見るだけで感慨深く、また京極監督の演出傾向も何となく判っているため、置いてけぼりを食らいそうになりながらも計2クール楽しませて頂きました。
作画は全体的に水準以上で、特に見せ場であるライブムービーは毎度気合い十二分。企画当初からの売りである2Dと3DCGの融合もTVシリーズを経てかなり進化したと思います。ただ現実のライブとリンクさせた(と思われる)ステージングはどうしても人類の限界を超えられず、これだけ数を重ねるとどうしてもステージ自体が単調に思えてしまう。プリズムジャンプもスペシャルアピールもありませんし(笑。なのでステージングの自由度が高いミュージカル調ムービーの方が見ていて楽しかった。この辺は京極氏のステージ演出を見過ぎて見慣れてしまったせいもあるかもしれません。
というわけで「ラブライブ! School idol project 第2期」は今回でおしまい、レビューもおしまいです。お疲れさまでした。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

明るく賑やかな、湿度低めの最終回でした。

アバン&OP無しで始まったAパート冒頭は卒業式で贈る送辞を書き上げてテンション上げ上げの穂乃果から。なるほど今考えればこれをやるための生徒会長設定だったのね。階下へ降りて通りすがりの雪穂ちゃん&亜里沙チカは音ノ木坂の制服を試着…を気付かず学校へダッシュ!→きっちり引き返して褒めてあげるお姉ちゃんっぷりや良し。二人ともかわいいけど、この二人の音ノ木坂の日々は見られないのだなあと思うと少々寂しい。そこからススメ→トゥモローをBGMに桜並木を走り、校前の階段を駆け上ってストップモーションは第1期第1話の判りやすい対比。あの時は階段を駆け下りた(滑り降りた)穂乃果が今度は駆け上がっているというのも感慨深い演出です。
学校に到着し一年生組と合流すると目の前に矢澤家の面々、大きいにっこにっこにーとご対面&甘えん坊にこにーの小ネタ(真姫のニヤマリ顔が絶品)を挟んで部室へ行くとそこにはラブライブの優勝旗&トロフィーがありました。やはりμ's は優勝していた…つまり大会ステージを終えた後の「みんなの涙→アンコール」の流れは、全て結果発表を終えた後の話だったというネタバラシ。確かに表彰式の一連を時系列どおりに描いていたらあの畳み掛けるような感動は無かったでしょう。おそらくファン目線でも茶番臭を抑えられそうもないμ's 優勝シーンをバッサリ切ったのは相当な賭け&英断で、切った部分を想像で補える層には先の演出効果が最大に生かされたけれど、逆に大会自体の描写を期待していた層は「いつの間に!?」と置いてけぼり=トンデモ演出と酷評される事は想像に易い。にも関わらず感情の揺さぶりを優先しアンコールへのショートカットを選択した制作陣の拘りに敬意を表したい。熱いね。

「穂乃果ちゃんらしいね」
「みんなも協力してね」
そこから卒業式準備の一連にて海未&ことりへ送辞のアンチョコを見せ、会場準備のすーぱーモブ子との会話で照明云々について話し合い、例の卒業式演出の下準備を着々と。ポケットのメモ云々は「絶対失くしてるだろ?」、二人が見た後も「この後絶対失くすだろ?」と思ったけどそんなベタネタではなく(笑。照明の資料探しに生徒会室へ走る道中にて髪型変えた希と行き会い…ここは希の美人度がハンパありません。さらに生徒会室でしみじみするエリチカがまた美人。さすが今回は全体的に作画が美麗でしたが、卒業への餞か特にこのシーンは美人度が高かった気がする。初対面時にあれほどモメた二人は生徒会室に様々な思い入れがあり、その後μ's カツドウで得た変化・成長を踏まえ、この場所に二人揃う最後の機会に互いの素直な思いを語り合うヒトコマはなかなか感慨深いものがありました。例によって廊下で立ち聞きのお母さんも満足げな笑顔を湛え…生徒会室を飛び出した穂乃果が見つけた相手、ムネと三つ編みの先っちょだけで誰だか判る実相寺アングルがじつに心地よい。

「今思ってる気持ちや届けたい感謝の気持ちが言葉にならなくて…」
ほどなく始まった卒業式では先のとおり穂乃果が送辞を贈り始めるも、自分の気持ちを上手く表現できない事を直球で語り、だから言葉の代わりに歌で伝える。普通に考えるとこれまたトンデモ展開なのだけれど、ピアノスツールにすっと座ったミニスカカットから構える真姫、そして始まった歌は「愛してるばんざーい」…第1期第1話の音楽室でたった一人で同曲を歌っていた真姫が晴れの舞台で生徒全員の伴奏を務め、高らかに歌う穂乃果に続いてμ's メンバーも歌い始め、じきに会場全体が暖かい歌に包まれていく演出には反射的に涙腺が緩んだ。つくづく感情の揺さぶりに全振りした演出に感服です。

さて暖かい卒業式も終わって「アイドル研究部」の引き継ぎへ。備品の片付けに続いて次期部長の人事、にこにーに続くアイドルマニアと言えば花陽に白羽の矢が立つのも道理で…当然のように指名するにこにーへ「え?」→「えええええ!?」の表情変化がいかにも花陽っぽくかわいい(笑。新部長からのご指名で副部長を就任する真姫のリアクションも良し良し。何だかんだ言いながら結局引き受けちゃう事が判っているみなさんのリアクションも良かった。
「だって、この九人でってのはこれが最後だし…」
引き継ぎも無事終わってエリチカ&希は学校に最後のお別れを告げるべく校内散策へ、というタイミングで穂乃果のセリフはいい話と思いきや、セリフを発した直後にビミョーな雰囲気が暫し続き…NGワードで全員にジュース1本とかどんな罠か(笑。奢りのジュースを堪能するエリチカかわいすぎ。

ここから暫し湿っぽさを払拭した校内散策、第1期からのアニメで描かれた様々なエピソードの回収を入れ込みながら思い出の場所をみんなで巡るシーンが続きます。アルパカに怯えるエリチカは今回は涎を浴びずに済んで良かった良かった。一人離れてる様子もかわいい(笑。って茶色い方がメスだったのか!? 白アルパカのドヤ顔も良し。
「うわー! 久しぶりに立つとやっぱり広……く無い?」
思い出の講堂の舞台に立って客席を望む穂乃果の言葉がまた深い。あれほど広く思えた講堂なのに大ステージを経験した後に見ると何と小さい…校内が世界の全てだった子供たちが外の世界を知って振り返った時の感覚、高校生くらいになってから出身小学校へ行くと必ず感じるあの感覚と同じものでしょう。穂乃果たちの成長を判りやすく示すヒトコマでした。
「最初に九人で歌った時もこんな青空だった」
草むらに寝転んで空を見上げる九人の図は第1期OPのそれ。つまり前回アンコールで使われたOPムービー同様、第1期OPは全ての帰着点だったという事です。なるほど。

そしてμ's にとって最も思い出深い屋上へ。全てが始まり全てが詰まったこの場所を眺めセンチメンタルに浸るみなさんの中で、穂乃果は水バケツとモップを持って「μ's」の水文字を大書に走るのでした。すぐに消えてしまう水文字の如く夢のような日々、でもこの場所にμ's は確かに存在した。消えゆく水文字をμ's の消滅に重ねる演出はなかなか切なく、みなさん一礼して去った後の穂乃果の半透明回想シーンもまた切なさMAXであります。
「ねえことりちゃん、海未ちゃん。やり遂げようね、最後まで」
「やり遂げたよ、最後まで」
懐かしい日々の回想は水文字の消滅と共に消えて屋上を引き上げる穂乃果。すると一陣の風とともに初めて練習をした日の声が聞こえ、穂乃果は力強くそれに答えてEDへ。

SPED「Oh,Love&Peace!」が流れる中、新しいスクールアイドルの兆しをチラ見せ、桜舞う中をみんな揃って最後の下校。校門から望む信号は青く、あと一歩踏み出せば九人の時間はおしまい…というタイミングで花陽のケータイが鳴ってメール着信。例によってテンパった表情から――
「大変です!」
「どうしたの?」
「ここでは言えません、部室へ戻らなきゃ!」
「ちょ、何なのよいきなり?」
「なになにー、教えてー」
「大変ですー!」
「今度は何ですか?」
「まだ終わってないってこと?」
「ナニソレイミワカンナイ」
「行って確認してみるしか無さそうね」
「ちょっと、今日卒業式なのよ!?」
「よーし、みんな続けー!」
というわけで校門ギリで引き返し=卒業未遂って事でμ's の日々はもう暫く続きそうです。あははは。おそらくどうやっても矛盾が生じる現実(販売戦略)との齟齬をコメディタッチで混ぜっ返し、ミュージカル調ラストムービーで明るく賑やかに締めるやり方はある意味本作らしい幕引きだったとも思います。ただ明らかに劇場版の引きである花陽メールのドタバタは少々えげつないと申しましょうか、これだけのヒット作なのでTV版終了後の劇場版は想定内とはいえもう少し手心を…と思わなくなくも(略

思いっきり直球の劇場版アピールに苦笑いながら始まったTV版ラブライブ!のラストナンバーは「Happy maker!」。まるで第1期第1話をトレースするかの如く虚実入り交じった賑やかなミュージカルムービーでした。一人で校舎内を歩く穂乃果が桜並木に飛び出す一連カットは3DCG→2D→3DCGの切り替えが凄い。そこへことり&海未が仲間に加わり、すると舞台が青スポットのステージに変わり、さらに一年生組&三年生組が加わるとステージは芝生のグランドへ…スクールアイドルを発起した穂乃果が二人を巻き込んでステージデビュー! から始まったμ's の歴史を辿る構成はじつに最終回らしく、とはいえ楽しく賑やかな演出によってしんみり気分は皆無。


サビ入りと共にステージを再び桜並木に戻して九人のダンス。学校へ続く大階段は鈴なりの客席と化し、満開桜に囲まれて歌い踊るμ's を盛り上げます。ことり盛ってる? 以前穂乃果が一人で踊っていた横からのCGカットが九人に増えて妙に感動。縦一列にフォーメーションチェンジからミューザイル(笑)のぐるぐる振り付けも楽しそう。そういや今回ムービーもラストの蔵出しサービスかウインクが非常に多い。先のウインクまとめで目を皿にした影響かもですが。
2サビ入りからこれまでのドラマ舞台巡り&サブ・モブ出演者を交えてフィナーレの挨拶。2期に渡るドラマを支えたキャラクターたちによる賑やかなカーテンコールはシリーズ最終回ならではでしょう。ここでも穂乃果父ちゃんは最後まで顔を見せないまま…なのに存在感スゲー(笑。亜里沙チカ&雪穂ちゃんもよく盛り上げてくれました。TV画面のA-RISEはもう少し活躍を見たかったなあ。

跳ね飛ぶ真姫がかわいすぎる大サビの盛り上がりから桜並木ステージは最高潮、やっぱり真姫はかわいいな。グランド→屋上→桜並木とステージをパッパと切り替えてμ's サークルの上で一斉にジャンプ!からフィナーレのキメ。そして――
「叶え私たちの夢、叶えあなたの夢、叶えみんなの夢」
穂乃果リーダーは幾度となく繰り返されてきた本作テーマをTV画面の向こうへ渡してTVアニメ「ラブライブ!」一巻の締め…の直後に「完全新作 劇場版 制作決定!」さらに「ファンミーティングツアー開催決定!」と全然終わらない現実をドドーン!と見せられて思わず笑ってしまった。さんざ煽った卒業話の本番でどんだけ泣かされるか構えていて、本編ラス前までは良い意味で裏切られたものの、ラストの販促で大笑いという、ナントモ評価が難しい最終回になってしまった感じ。ううむ。
待望の第2期があっという間に終わってしまいました。当然ながらこの第2期は当初からμ's の九人が揃っていて、第1期で出場を見送った「ラブライブ」の優勝目指してがんばるぞ! 的な導入から第3話にてライバルであるA-RISEとの絡みを描き、さてここからアイドル勝負はどうするどうなる? と視聴ボルテージを上げるもののそのテのエピソードはほとんど描かれぬまま個人エピソードを重ね、いつの間にか最終予選を通って、いつの間にか優勝していた。なるほど振り返って見れば「ラブライブ優勝へ至る道程」がメインテーマではなく、あくまでμ's 九人の群像劇が主体で、ラブライブ大会自体はドラマを成り立たせるための大道具でしかなかった事が判るのですが…本作にスポ根的要素を求めた層には練習どころか肝心の大会もロクに描かれない事に拍子が抜け、ご都合御免のシナリオに置いてけぼりを食らってサヨウナラだとは思います。私も多分にそういう所があるので本作への批判意見もあらかた納得できちゃったりして。まあその辺はノリと勢いを最優先し感情を直撃する作風を楽しいと思えるか(乗れるか?)?が鍵でしょうか。何やかんやコンテンツとの付き合いが3年程度ある私はTV画面で動いてるμ's を見るだけで感慨深く、また京極監督の演出傾向も何となく判っているため、置いてけぼりを食らいそうになりながらも計2クール楽しませて頂きました。
作画は全体的に水準以上で、特に見せ場であるライブムービーは毎度気合い十二分。企画当初からの売りである2Dと3DCGの融合もTVシリーズを経てかなり進化したと思います。ただ現実のライブとリンクさせた(と思われる)ステージングはどうしても人類の限界を超えられず、これだけ数を重ねるとどうしてもステージ自体が単調に思えてしまう。プリズムジャンプもスペシャルアピールもありませんし(笑。なのでステージングの自由度が高いミュージカル調ムービーの方が見ていて楽しかった。この辺は京極氏のステージ演出を見過ぎて見慣れてしまったせいもあるかもしれません。
というわけで「ラブライブ! School idol project 第2期」は今回でおしまい、レビューもおしまいです。お疲れさまでした。
- 関連記事
-
- ラブライブ!サンシャイン!! #02 転校生をつかまえろ!
- ラブライブ!サンシャイン!! #01 輝きたい!!
- ラブライブ! School idol project #13 叶え!みんなの夢――
- ラブライブ! School idol project #12 ラストライブ
- ラブライブ! School idol project アニメ2期ウインクまとめ
スポンサーサイト
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
