2014-12-15(Mon)
プリパラ #24 さよなら、プリパラ
ついに大神田校長の過去が明らかに。

シュガー&ひめかの友情、そして悲しい別れ。

「うちのピザできっと校長先生も機嫌良くなって…」
現場を押さえられたらぁらの運命や如何に!? 的な前回引きから今回冒頭は、予想外というか予想どおりというか、緊迫MAXで引いた割にかなりあっさり窮地から脱出。まあお約束か(笑。ドサクサ紛れに計画どおり特製ピザを差し出すらぁら、大神田校長はその匂いに鼻を鳴らして籠絡寸前? と思いきや、
「教師は生徒からの一切の贈答品をもらう事は禁じられています!」
…と一喝されたらぁらはピザごとポーン!と放り出されてしまいました。あはは。大神田校長は開始当初から奇天烈な行動ばかり目に付きますが、さすが若くして校長を張っているだけあってプリパラ以外に関しては立派な教育者なのですね。そんなこんなのドタバタで思いがけず件のプリ券を持ってきてしまったらぁらは草むしり中の中学生組に合流し、プリ券を肴に大神田校長の謎についてアレコレ話し始めます。
「この質感と匂い…およそ20年前のトモチケと見た」
「20年くらい前プリパラに通う女子たちは、プリチケをパキる事を、プリ券をチョキると言っていたらしいわ」
匂いで年代まで当てるシオンの嗅覚おそるべし。続いて委員長は前回チラリと振られたとおり「プリ券をチョキる」というワードからいろいろ調べ、大神田校長のデータまで集めてきました。これまたおそるべし。

「昔のプリチケには写真が無いんだ」
現在のプリチケと見比べるまでもなく、全体にシンプルな昔のプリ券には素顔を写したプリクラ枠がありません。まさにこれこそすれ違い悲劇の原因であり、その一方でらぁら正体判明の証拠になっている…プリクラ枠が無いゆえの悲劇&有るゆえの窮地を親子で演じているという面白い構造です。
「え? 何これ? 『プリパラ最高』って書いてある」
さて委員長が集めてきた資料「大神田校長 小学五年生時の作文」ではプリパラにドハマリしている様子が書かれ、しかしその一年半後の作文では「友達いらない、プリパラ大嫌い」と豹変、つまりこの空白の一年半にプリパラへの価値観を180度ひっくり返す出来事があった?
「私、これ返しに行く。そして校長先生に昔の事を聞いてみる!」
プリパラを愛して止まないらぁらにとってその場所を「大嫌い」と言われる事は心底悲しい。いったい何が幼い大神田校長を変えてしまったのか? 一年半の間に何が起きたのか? 怖い校長先生に叱られるのを判っていながら、それでも真実を知りたいらぁらの思いが伝わってくるヒトコマでした。またアクシデントとはいえ勝手に持ち帰ってしまったものをウヤムヤにせず、きちんと自分で返しに行く意思を見せたのも良し。ではみなさん揃って校長室へレッツ イゴー! ってな所へ―

「やっと見つけました。動かぬ証拠をね!」
直接触るのが憚れるのか火バサミで掴んだトモチケ二枚を高々と掲げた大神田校長が登場します。証拠を突き付けて迫る大神田校長に対し何はなくともまず「ごめんなさい」するらぁらが良い子すぎて頭なでなでしてあげたい(変なニホンゴ)。続く委員長も正体を認めて罰を受ける覚悟を決めるも…返す刀で件のプリ券を突き付け「罰の根拠を教えてほしい」と迫り、続くみなさんも「教えて!」と迫り、てな所へヤギに乗ったそふぃ(笑)が現れてトドメの一撃。いつも以上にクラゲ化して地面に溶けるそふぃを心配して駆け寄る大神田校長には内面の良い人オーラが溢れています。などなどの一連から過去を語り始める大神田校長の歪んだ口元・引き攣った笑みがまたフクザツな心理を見事に表していて芸コマ。

「私が初めてプリパラへ行ったのは忘れもしない20年前、10歳の夏休みでしたわ」
集中線バシバシ!の勢いで始まった過去語りは、次の瞬間みなさん仲良く芝生に座り込んでまったりとした語りへ。いつもの上から目線と違って生徒たちと同じ目線=元プリパラ愛好者としての目線で優しく語り始める絵面が素晴らしく良かった。この良い絵面にわざわざヤギを見切らせる辺りも本作らしい(笑。って大神田校長ってまだ30歳だったのか!? オチはたいてい読めていたので、これぞ今回最大の衝撃だったり(笑
というわけでここから長い長い過去語りが始まります。開始当初から引っ張り続けた大神田校長ネタのバラシを一気の回想語りで片付けてしまうのは少々もったいないと思いつつ、ターゲット年齢を考えればこれくらいストレートなネタバラシじゃないと判りにくいか?とも思うので難しいところだったり。
今と同じ敷地に建っていた昔の建物はいい感じに時代を感じさせる佇まいで、広場で聞こえる会話も「ハマトラで決まりっしょ!」とか時代を映し、バーコードによるプリ券受付もまた時代を感じさせるものの、プリズムストーン(プリパラ)に集う少女たちの思いは今も昔も変わらない。初めての入場登録を済ませてワクワクの表情、そして「なりたい自分」に姿を変えてキラキラ目映いプリパラワールドを楽しむ笑顔は時代の別を問わないのですね。またある程度予想していたとはいえ、やっぱりめが姉ぇは今も昔も変わらぬ姿でプリパラ運営に携わっていました。こちらはこちらで20年ぶりの再会ネタ来るかも? 園内BGMが「寒い夜だから…」のtrf原曲ってのはいいトコ突いてましたが…このBGMが「昔」の象徴として使われている現実に何となく恐怖するかも。94年なんてついこないだやんなあ!? Windows95の前夜、重ったるいWin3.1よりもMS-DOS 6.2を重宝していた頃と考えると確かに大昔ではありますね(笑
というか大神田グロリアちゃん(10歳)がかわいすぎてどうしたものか。もうこれだけで全てを許してしまいそう。

キラキラが溢れる園内ショップや写真撮影を楽しみ(この写真がプリ券の素材?)、ゲーセンのキャンディキャッチャー(スウィートランド)で奮闘し…1つも取れずしょんぼりしている反対側でどっさり取ってた紫ロン毛の女の子が件の「ひめか」でした。両手いっぱいのキャンディをグロリアちゃんにプレゼントしたのが二人の出会いで、そこからの自己紹介にてグロリアちゃんは「シュガー」と名乗り、ひめかは「私もそういう名前にすればよかった」と言ってた辺り、「ひめか」という名前はプリパラネーム(偽名)である可能性が高い=プリ券の名前を見たらぁらが「ひめか」の正体に全く気付かなかった理由という事か。この自己紹介シーンがまたかわいすぎてどうしたものか。もうこれだけで全てを許(略


さっそくできた友達とプリパラを楽しむシュガー&ひめかの各シーンは限りなくおっさん向けすぎて引くレベル(笑。元ネタが判らないお友達はお父さんに聞いてみよう。とはいえ振り返ってのマスク顔は口裂け女にしろ、ベンチでキメる鬼瓦権造にしろ、キャッツアイにしろ、20年前(1994年)の時代設定とビミョーにズレてるかも? どのネタも30年くらい前のような気が。
そんなこんなで1年半もの間ずっと一緒にプリパラを楽しみ、嬉しい時も辛い時も一緒に過ごして友情を育んできた二人は「ソウルフレンド」と言えるほどの仲となり、塾の休みに合わせて初めてプリパラの外で会う事に。
「じゃあプリ券チョキろう!」
「うん、チョキろう!」
ハサミでカット=チョキるってのも完全に予想どおりなれど、実際に映像で見るとこれまたいい感じに時代を映していて、当時のプリパラを知らない私(アタリマエ)にすら懐かしさを覚えさせる絶妙な絵面でした。そして明日への期待に溢れる笑顔が眩しく、辛い。


その翌日、約束どおりプリパラゲートの側に立って待ってるグロリアちゃん。このシーンはまず待ち合わせて一緒にプリパラへ入っていく他の子たちを横目で眺めつつ「早く来ないかなー」みたいに向き直る表情芝居に見入り、日が暮れ始めても待ち続ける表情に見入り、寂しさをブーストするように雪が降り始め、ほどなく受付のカーテンが閉じ、照明が落とされ、暗くなってもまだ手の中のトモチケを信じて待ち続け、結局ひめかは来ず、母親に迎えられて帰るまでの一連の演出に見入ってしまった。判っていても切なさMAX! リラックス~(違
このシーンの冒頭にてひめかに非常によく似た子が判りやすく通り過ぎていて、いかにも「すれ違い」を演出していましたが…当時のプリ券には写真が無いためお互いリアルの姿を知らないとはいえ、一度通り過ぎただけで「すれ違い」ってのは少々せっかちな話ではあります。通過する様子を見ても待ち合わせの「ゲート前」を全く気にせずそのまま走り抜けている風で、これがひめか本人としたら「違う場所」へ急いでいるようにしか見えない。
そもそもグロリアちゃんはゲート横でずっと立っている&目印のプリ券を持っているのだから、ひめかが待ち合わせ場所を正しく認識し、普通の知能(笑)があればリアルの顔を知らなくても声くらい掛けるでしょう。つまりリアルの顔を知らない事はすれ違いの根本的な原因ではなく、おそらく別の理由があって、それはその後ずっと会えなかった理由に繋がっているはず。
「きっと何か事情があったんだ…私はそう信じていました」
その日以来グロリアちゃんは1年もの間プリパラで待ち続けるも、待てども待てどもひめかは来ません。ここは制服の変化で季節(時間経過)を表し、周囲の冷たい視線に晒されても待ち続ける=ひめかへの信頼を示す演出も良かった。そして何より当時のグロリアちゃんの心境を優しい口調で語り続ける大神田校長の語り口が良かった。
「一年が過ぎ、やっと判ったんですわ。騙されていたんだって」
「友情なんてものを信じた自分が愚かだった」
「何がソウルフレンドだ。バカバカしい」
結局一年間待ち続けてもひめかは来ず、グロリアちゃんは「騙されていた」と結論を出し、「プリパラは恐ろしい場所」「こんな辛い思いを他の子に味わわせてはならぬ!」と立ち上がって今に至ると。

「たった一人友達を失ったからっておかしいよ!」
「おかしくて結構!」
「不思議な話だが私たちに何の関係がある?」
「気の毒とは思いますが全く論理的じゃないと思います」
これまでの語りを聞いた誰しもが思うであろう感想を容赦無くぶつける各キャラが視聴者の代弁すぎてちょっと笑った。つまりこの「プリパラを嫌う理由」は視聴者を含めた傍観者視点から見て全く理に適っていない=大神田校長の勝手な思い込みである事が最初から想定されているのですね。いや「おかしくて結構」と即答する辺り大神田校長本人も「おかしい」と判っているのでしょう。そう言えばグルメレポート回でのらぁらママとの会話シーンでも、自身の異常性を自認している風な所が見受けられましたし。
「私も同じ事があったらすごく悲しいと思います」
「でも私が大好きなプリパラは誰のことも傷付けたりしない」
「ひめかさんは裏切ってなんかいない」
「きっと何か訳があったんです」
などなど容赦無くツッコむ中学生組=社会常識に照らしてどこか「他人事」のように語っていたみなさんの中で、らぁらだけは理屈より先にグロリアちゃんの悲しみをストレートに受け止め、涙を浮かべて話に向き合い、しかしプリパラを信じ、ひめかを信じる強い思い…この時見せた純真かつ真っ直ぐな瞳の破壊力は凄かった。この分け隔てない真っ直ぐさこそらぁらの魅力であり原動力なのでしょう。らぁらの真っ直ぐな気持ちが大神田校長が抱える「キライ」の中の「スキ」を刺激し始めた瞬間です。
そのドタバタの一方でレオナからプリチケを受け取ったそふぃはスイッチオン。スッと立ち上がると引き寄せられるようにプリパラへ歩き出し、そうは行かぬとリナちゃんを構えた大神田校長の前にらぁらが割って入り――
「夏休み没収されてもいいです」
「だからプリパラへ行かせてください。冬休みもあげます」
「私たちのライブを見てください」
「先生の嫌いの中の好きをきっと思い出させてみせます!」
これまでの作中で最も厳罰(笑)とされていた「夏休み没収」を賭けてもプリパラへ行きたい、校長先生にライブを見せたい、そして「スキ」を思い出させたい。らぁらの熱い思いが弾ける名シーンでしたが…ここに限って作画パワーがヘチャってしまって惜しいというか、ここはキメなきゃダメだろう?みたいな。リナちゃんをデコに貼り付けて涙目で熱く叫ぶレイアウト自体は本作らしく非常に良かっただけにちょっと残念。
そんなこんなでらぁらに続いて委員長もそふぃの後を追い、大神田校長に「スキ」を思い出させるべくSoLaMi SMILEのライブが始まります。

「プリパラはスキぷり?」
「「うん!」」
「じゃあ大丈夫ぷり!」
スキは全てを乗り越えるパワーになる。スキなら大丈夫。みんなに届くように、世界中に届くように思いっきり歌おう! 初ステージの緊張すら吹き飛ばしてくれた「スキ」という気持ちをぶつければ、きっと大神田校長のココロの壁も乗り越えられる。「キライ」の中の「スキ」を思い出してくれるはず。というらぁらの思いが溢れるワンシーンで既に涙腺がヤバい。
一方視聴覚室から運び込んだ大型TV(ほんとデケエ)でSoLaMi SMILEのライブを見せられる大神田校長。ほどなく始まった曲はもちろんSoLaMi SMILEの「HAPPY ぱ LUCKY」で、この曲は初聴時結構ビミョーだったのだけれど、何故か今回はケンケンパのイントロだけで反射的に画面が滲んでしまった。こういう反射が植え付けられると外で聴けなくなるから困るんだよなあ(笑
そんなライブが映し出されるTV画面を指の隙間から見つめていた大神田校長は、メイキングドラマ「ときめき プレゼントフォーユー」をきっかけにスッと立ち上がり、無意識のままクリスマスの街を彷徨い、何かに導かれるようにある場所へ向かいます。ほどなく例の100m結界を越えると雪が降り始め、新任教師→学生時代→シュガーと姿を変える演出は非常に良かった。つまり例の結界はグロリアちゃんが受けた心のキズに対する自衛本能の表れ(二度と悲しい思いをしたくない)で、今回のメイキングドラマによって「スキ」を思い出したグロリアさんはその気持ちのまま結界(トラウマ)を乗り越え、「キライ」の鎧に封じ込められていた時間を遡り、大好きだった頃の姿で毎日通ったあの場所へ向かった。

「シュガー…なの?」
「ひめか…」
そしてふと顔を上げると20年間待ち続けた相手があの頃の姿のままゲート前に立っていた…何というドラマチックな再会劇でしょう。お互いのプリ券を確認し合った次の瞬間リアルに戻った二人の姿は1000%予想どおりでしたが、この演出には私の涙腺ダムが耐えられなかった。やられた。
さて次回はここへ至るアレコレが語られるはず。これがプリティーリズムだったらシライ級のヒネリが来るだろうけど、ターゲット層がやや低めの本作だけにそれほど凝ったネタは入れてこないような気がする…けれどやっぱり気が抜けない。
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シュガー&ひめかの友情、そして悲しい別れ。

「うちのピザできっと校長先生も機嫌良くなって…」
現場を押さえられたらぁらの運命や如何に!? 的な前回引きから今回冒頭は、予想外というか予想どおりというか、緊迫MAXで引いた割にかなりあっさり窮地から脱出。まあお約束か(笑。ドサクサ紛れに計画どおり特製ピザを差し出すらぁら、大神田校長はその匂いに鼻を鳴らして籠絡寸前? と思いきや、
「教師は生徒からの一切の贈答品をもらう事は禁じられています!」
…と一喝されたらぁらはピザごとポーン!と放り出されてしまいました。あはは。大神田校長は開始当初から奇天烈な行動ばかり目に付きますが、さすが若くして校長を張っているだけあってプリパラ以外に関しては立派な教育者なのですね。そんなこんなのドタバタで思いがけず件のプリ券を持ってきてしまったらぁらは草むしり中の中学生組に合流し、プリ券を肴に大神田校長の謎についてアレコレ話し始めます。
「この質感と匂い…およそ20年前のトモチケと見た」
「20年くらい前プリパラに通う女子たちは、プリチケをパキる事を、プリ券をチョキると言っていたらしいわ」
匂いで年代まで当てるシオンの嗅覚おそるべし。続いて委員長は前回チラリと振られたとおり「プリ券をチョキる」というワードからいろいろ調べ、大神田校長のデータまで集めてきました。これまたおそるべし。

「昔のプリチケには写真が無いんだ」
現在のプリチケと見比べるまでもなく、全体にシンプルな昔のプリ券には素顔を写したプリクラ枠がありません。まさにこれこそすれ違い悲劇の原因であり、その一方でらぁら正体判明の証拠になっている…プリクラ枠が無いゆえの悲劇&有るゆえの窮地を親子で演じているという面白い構造です。
「え? 何これ? 『プリパラ最高』って書いてある」
さて委員長が集めてきた資料「大神田校長 小学五年生時の作文」ではプリパラにドハマリしている様子が書かれ、しかしその一年半後の作文では「友達いらない、プリパラ大嫌い」と豹変、つまりこの空白の一年半にプリパラへの価値観を180度ひっくり返す出来事があった?
「私、これ返しに行く。そして校長先生に昔の事を聞いてみる!」
プリパラを愛して止まないらぁらにとってその場所を「大嫌い」と言われる事は心底悲しい。いったい何が幼い大神田校長を変えてしまったのか? 一年半の間に何が起きたのか? 怖い校長先生に叱られるのを判っていながら、それでも真実を知りたいらぁらの思いが伝わってくるヒトコマでした。またアクシデントとはいえ勝手に持ち帰ってしまったものをウヤムヤにせず、きちんと自分で返しに行く意思を見せたのも良し。ではみなさん揃って校長室へレッツ イゴー! ってな所へ―

「やっと見つけました。動かぬ証拠をね!」
直接触るのが憚れるのか火バサミで掴んだトモチケ二枚を高々と掲げた大神田校長が登場します。証拠を突き付けて迫る大神田校長に対し何はなくともまず「ごめんなさい」するらぁらが良い子すぎて頭なでなでしてあげたい(変なニホンゴ)。続く委員長も正体を認めて罰を受ける覚悟を決めるも…返す刀で件のプリ券を突き付け「罰の根拠を教えてほしい」と迫り、続くみなさんも「教えて!」と迫り、てな所へヤギに乗ったそふぃ(笑)が現れてトドメの一撃。いつも以上にクラゲ化して地面に溶けるそふぃを心配して駆け寄る大神田校長には内面の良い人オーラが溢れています。などなどの一連から過去を語り始める大神田校長の歪んだ口元・引き攣った笑みがまたフクザツな心理を見事に表していて芸コマ。

「私が初めてプリパラへ行ったのは忘れもしない20年前、10歳の夏休みでしたわ」
集中線バシバシ!の勢いで始まった過去語りは、次の瞬間みなさん仲良く芝生に座り込んでまったりとした語りへ。いつもの上から目線と違って生徒たちと同じ目線=元プリパラ愛好者としての目線で優しく語り始める絵面が素晴らしく良かった。この良い絵面にわざわざヤギを見切らせる辺りも本作らしい(笑。って大神田校長ってまだ30歳だったのか!? オチはたいてい読めていたので、これぞ今回最大の衝撃だったり(笑
というわけでここから長い長い過去語りが始まります。開始当初から引っ張り続けた大神田校長ネタのバラシを一気の回想語りで片付けてしまうのは少々もったいないと思いつつ、ターゲット年齢を考えればこれくらいストレートなネタバラシじゃないと判りにくいか?とも思うので難しいところだったり。
今と同じ敷地に建っていた昔の建物はいい感じに時代を感じさせる佇まいで、広場で聞こえる会話も「ハマトラで決まりっしょ!」とか時代を映し、バーコードによるプリ券受付もまた時代を感じさせるものの、プリズムストーン(プリパラ)に集う少女たちの思いは今も昔も変わらない。初めての入場登録を済ませてワクワクの表情、そして「なりたい自分」に姿を変えてキラキラ目映いプリパラワールドを楽しむ笑顔は時代の別を問わないのですね。またある程度予想していたとはいえ、やっぱりめが姉ぇは今も昔も変わらぬ姿でプリパラ運営に携わっていました。こちらはこちらで20年ぶりの再会ネタ来るかも? 園内BGMが「寒い夜だから…」のtrf原曲ってのはいいトコ突いてましたが…このBGMが「昔」の象徴として使われている現実に何となく恐怖するかも。94年なんてついこないだやんなあ!? Windows95の前夜、重ったるいWin3.1よりもMS-DOS 6.2を重宝していた頃と考えると確かに大昔ではありますね(笑
というか大神田グロリアちゃん(10歳)がかわいすぎてどうしたものか。もうこれだけで全てを許してしまいそう。

キラキラが溢れる園内ショップや写真撮影を楽しみ(この写真がプリ券の素材?)、ゲーセンのキャンディキャッチャー(スウィートランド)で奮闘し…1つも取れずしょんぼりしている反対側でどっさり取ってた紫ロン毛の女の子が件の「ひめか」でした。両手いっぱいのキャンディをグロリアちゃんにプレゼントしたのが二人の出会いで、そこからの自己紹介にてグロリアちゃんは「シュガー」と名乗り、ひめかは「私もそういう名前にすればよかった」と言ってた辺り、「ひめか」という名前はプリパラネーム(偽名)である可能性が高い=プリ券の名前を見たらぁらが「ひめか」の正体に全く気付かなかった理由という事か。この自己紹介シーンがまたかわいすぎてどうしたものか。もうこれだけで全てを許(略


さっそくできた友達とプリパラを楽しむシュガー&ひめかの各シーンは限りなくおっさん向けすぎて引くレベル(笑。元ネタが判らないお友達はお父さんに聞いてみよう。とはいえ振り返ってのマスク顔は口裂け女にしろ、ベンチでキメる鬼瓦権造にしろ、キャッツアイにしろ、20年前(1994年)の時代設定とビミョーにズレてるかも? どのネタも30年くらい前のような気が。
そんなこんなで1年半もの間ずっと一緒にプリパラを楽しみ、嬉しい時も辛い時も一緒に過ごして友情を育んできた二人は「ソウルフレンド」と言えるほどの仲となり、塾の休みに合わせて初めてプリパラの外で会う事に。
「じゃあプリ券チョキろう!」
「うん、チョキろう!」
ハサミでカット=チョキるってのも完全に予想どおりなれど、実際に映像で見るとこれまたいい感じに時代を映していて、当時のプリパラを知らない私(アタリマエ)にすら懐かしさを覚えさせる絶妙な絵面でした。そして明日への期待に溢れる笑顔が眩しく、辛い。


その翌日、約束どおりプリパラゲートの側に立って待ってるグロリアちゃん。このシーンはまず待ち合わせて一緒にプリパラへ入っていく他の子たちを横目で眺めつつ「早く来ないかなー」みたいに向き直る表情芝居に見入り、日が暮れ始めても待ち続ける表情に見入り、寂しさをブーストするように雪が降り始め、ほどなく受付のカーテンが閉じ、照明が落とされ、暗くなってもまだ手の中のトモチケを信じて待ち続け、結局ひめかは来ず、母親に迎えられて帰るまでの一連の演出に見入ってしまった。判っていても切なさMAX! リラックス~(違
このシーンの冒頭にてひめかに非常によく似た子が判りやすく通り過ぎていて、いかにも「すれ違い」を演出していましたが…当時のプリ券には写真が無いためお互いリアルの姿を知らないとはいえ、一度通り過ぎただけで「すれ違い」ってのは少々せっかちな話ではあります。通過する様子を見ても待ち合わせの「ゲート前」を全く気にせずそのまま走り抜けている風で、これがひめか本人としたら「違う場所」へ急いでいるようにしか見えない。
そもそもグロリアちゃんはゲート横でずっと立っている&目印のプリ券を持っているのだから、ひめかが待ち合わせ場所を正しく認識し、普通の知能(笑)があればリアルの顔を知らなくても声くらい掛けるでしょう。つまりリアルの顔を知らない事はすれ違いの根本的な原因ではなく、おそらく別の理由があって、それはその後ずっと会えなかった理由に繋がっているはず。
「きっと何か事情があったんだ…私はそう信じていました」
その日以来グロリアちゃんは1年もの間プリパラで待ち続けるも、待てども待てどもひめかは来ません。ここは制服の変化で季節(時間経過)を表し、周囲の冷たい視線に晒されても待ち続ける=ひめかへの信頼を示す演出も良かった。そして何より当時のグロリアちゃんの心境を優しい口調で語り続ける大神田校長の語り口が良かった。
「一年が過ぎ、やっと判ったんですわ。騙されていたんだって」
「友情なんてものを信じた自分が愚かだった」
「何がソウルフレンドだ。バカバカしい」
結局一年間待ち続けてもひめかは来ず、グロリアちゃんは「騙されていた」と結論を出し、「プリパラは恐ろしい場所」「こんな辛い思いを他の子に味わわせてはならぬ!」と立ち上がって今に至ると。

「たった一人友達を失ったからっておかしいよ!」
「おかしくて結構!」
「不思議な話だが私たちに何の関係がある?」
「気の毒とは思いますが全く論理的じゃないと思います」
これまでの語りを聞いた誰しもが思うであろう感想を容赦無くぶつける各キャラが視聴者の代弁すぎてちょっと笑った。つまりこの「プリパラを嫌う理由」は視聴者を含めた傍観者視点から見て全く理に適っていない=大神田校長の勝手な思い込みである事が最初から想定されているのですね。いや「おかしくて結構」と即答する辺り大神田校長本人も「おかしい」と判っているのでしょう。そう言えばグルメレポート回でのらぁらママとの会話シーンでも、自身の異常性を自認している風な所が見受けられましたし。
「私も同じ事があったらすごく悲しいと思います」
「でも私が大好きなプリパラは誰のことも傷付けたりしない」
「ひめかさんは裏切ってなんかいない」
「きっと何か訳があったんです」
などなど容赦無くツッコむ中学生組=社会常識に照らしてどこか「他人事」のように語っていたみなさんの中で、らぁらだけは理屈より先にグロリアちゃんの悲しみをストレートに受け止め、涙を浮かべて話に向き合い、しかしプリパラを信じ、ひめかを信じる強い思い…この時見せた純真かつ真っ直ぐな瞳の破壊力は凄かった。この分け隔てない真っ直ぐさこそらぁらの魅力であり原動力なのでしょう。らぁらの真っ直ぐな気持ちが大神田校長が抱える「キライ」の中の「スキ」を刺激し始めた瞬間です。
そのドタバタの一方でレオナからプリチケを受け取ったそふぃはスイッチオン。スッと立ち上がると引き寄せられるようにプリパラへ歩き出し、そうは行かぬとリナちゃんを構えた大神田校長の前にらぁらが割って入り――
「夏休み没収されてもいいです」
「だからプリパラへ行かせてください。冬休みもあげます」
「私たちのライブを見てください」
「先生の嫌いの中の好きをきっと思い出させてみせます!」
これまでの作中で最も厳罰(笑)とされていた「夏休み没収」を賭けてもプリパラへ行きたい、校長先生にライブを見せたい、そして「スキ」を思い出させたい。らぁらの熱い思いが弾ける名シーンでしたが…ここに限って作画パワーがヘチャってしまって惜しいというか、ここはキメなきゃダメだろう?みたいな。リナちゃんをデコに貼り付けて涙目で熱く叫ぶレイアウト自体は本作らしく非常に良かっただけにちょっと残念。
そんなこんなでらぁらに続いて委員長もそふぃの後を追い、大神田校長に「スキ」を思い出させるべくSoLaMi SMILEのライブが始まります。

「プリパラはスキぷり?」
「「うん!」」
「じゃあ大丈夫ぷり!」
スキは全てを乗り越えるパワーになる。スキなら大丈夫。みんなに届くように、世界中に届くように思いっきり歌おう! 初ステージの緊張すら吹き飛ばしてくれた「スキ」という気持ちをぶつければ、きっと大神田校長のココロの壁も乗り越えられる。「キライ」の中の「スキ」を思い出してくれるはず。というらぁらの思いが溢れるワンシーンで既に涙腺がヤバい。
一方視聴覚室から運び込んだ大型TV(ほんとデケエ)でSoLaMi SMILEのライブを見せられる大神田校長。ほどなく始まった曲はもちろんSoLaMi SMILEの「HAPPY ぱ LUCKY」で、この曲は初聴時結構ビミョーだったのだけれど、何故か今回はケンケンパのイントロだけで反射的に画面が滲んでしまった。こういう反射が植え付けられると外で聴けなくなるから困るんだよなあ(笑
そんなライブが映し出されるTV画面を指の隙間から見つめていた大神田校長は、メイキングドラマ「ときめき プレゼントフォーユー」をきっかけにスッと立ち上がり、無意識のままクリスマスの街を彷徨い、何かに導かれるようにある場所へ向かいます。ほどなく例の100m結界を越えると雪が降り始め、新任教師→学生時代→シュガーと姿を変える演出は非常に良かった。つまり例の結界はグロリアちゃんが受けた心のキズに対する自衛本能の表れ(二度と悲しい思いをしたくない)で、今回のメイキングドラマによって「スキ」を思い出したグロリアさんはその気持ちのまま結界(トラウマ)を乗り越え、「キライ」の鎧に封じ込められていた時間を遡り、大好きだった頃の姿で毎日通ったあの場所へ向かった。

「シュガー…なの?」
「ひめか…」
そしてふと顔を上げると20年間待ち続けた相手があの頃の姿のままゲート前に立っていた…何というドラマチックな再会劇でしょう。お互いのプリ券を確認し合った次の瞬間リアルに戻った二人の姿は1000%予想どおりでしたが、この演出には私の涙腺ダムが耐えられなかった。やられた。
さて次回はここへ至るアレコレが語られるはず。これがプリティーリズムだったらシライ級のヒネリが来るだろうけど、ターゲット層がやや低めの本作だけにそれほど凝ったネタは入れてこないような気がする…けれどやっぱり気が抜けない。
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