2015-06-17(Wed)

響け!ユーフォニアム #11 おかえりオーディション

麗奈は他の人とは違う、麗奈は誰とも違う。

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トランペットソロパート、再オーディションの行方は?

4月からのスタート以来毎回楽しく見ている本作にて今回はあまりに凄かったので思わず突発レビューを軽く。というか今やOPの演奏カットを見ただけで画面が滲むほどドハマリしてたり。吹部アツいな。ちなみに例によって原作は未読ですが、小学生の頃鼓笛隊でペットを吹いてた程度の経験はあります(笑。あとどうでもいいけど私の頃は「ユーフォニウム」と呼んで(それを言うのはお前で五万人目だ

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まず注目は再オーディション騒動の起点である優子先輩の立ち回り。ランチを一緒に食べようと麗奈を誘いにいつもの渡り廊下へ走った久美子が、廊下の手前で黄昏れる優子先輩と鉢合わせるシーンです。麗奈のペットが響く中で気まずそうに歩みを進める久美子の手をガシッと取った優子先輩は――

「どう思う? この音。どう思う?」
「いいと思います! 凄いいいと思います! 綺麗だし音も大きいし、ソロに相応しいと思います…あっ!」
「だよね。一年でこの音ってずるいよね。反則だよ」

麗奈の音に対する感想を迫る優子先輩へ久美子は率直な言葉を返し、そして例によって言わなくていい事まで口に出しちゃって慌てて塞ぎ…優子が香織先輩推しなのが自明の中でこれは気まずい、というかかなりマズい! ところが優子は態度を荒げるでもなく穏やかな口調で久美子の言葉を認めるのです。つまり優子は麗奈の上手さが判っていて、香織先輩とどちらが上手いかも判っているのですね。ずっと一緒にパート練習を続けていた同楽器奏者としてそれは当然の事で、にも関わらずこれまでの香織先輩を見続けて来た優子はシビアな実力勝負より感情を優先させてしまう。結果的にそれは自らが去年感じたものと同種の苦痛(年功序列による理不尽)を後輩に味わせる事になるのだけれど…香織先輩の人柄や功績を思えば理不尽を承知で推しに走る優子の気持ちも判らんではありません。人は理屈だけで動くわけではないのです。

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「香織先輩は最後なの、今年が最後なの…だから…」

件の二人の実力差が判っていて、それはパート外の久美子にすら判るほどの差と知った優子は最後の手段・三味線のお願いをするしかなかった。鼻持ちならないポッと出の新入生に、香織先輩のソロを奪った憎き相手に自らのプライドを地に落としてまで頭を下げる優子。これはやり方として最低の方法で、もちろん優子自身もそんな事は判っていて、それでもこうするしかないほど思い詰め…夏紀に釘を刺されたにも関わらず、全ての泥を被ってでも香織先輩にソロを吹かせてあげたい。いやはやこの生々しさに溢れたヒトコマは見ているこっちが辛かった。ってな現場を偶然見てしまった久美子もまたグルグルが止まりません。

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そんな優子の焼き土下座も孤高の麗奈には効果無し? と思わせてじつは結構効いていたようで、再オーディション直前の麗奈はココロを揺らし俯き顔。先の教室ではケンもホロロだった麗奈も優子がどれほどの思いで頭を下げたか判っていて、情にほだされ先輩を立てるべきか悩んでいた。もちろん今後の事もあるので無闇に敵を作る事もなく、我と和の狭間で揺れていた節もあります。独演ならともかく吹部は集団でナンボですからね。ってなトコへ現れた久美子は教室での一部始終を知っていて、麗奈の動揺も判っていて、だからこそ――

「久美子はもし私が負けたらイヤ?」
「イヤだ、イヤだ!」
「どうして?」
「麗奈は特別になるんでしょう? 麗奈は他の人とは違う、麗奈は誰とも違う」
「人に流されちゃダメだよ。そんなのばかげてるでしょ?」
「でも今私が勝ったら悪者になる」
「いいよ。その時は私も悪者になるから」
「ソロは麗奈が吹くべきだって言う、言ってやる!」
「ほんとに?」
「たぶん…」
「やっぱり久美子は性格悪い」

久美子は麗奈の弱気を一喝し、孤立への恐怖には命懸けの覚悟を示して支えた。麗奈がどんな人間か、どうあるべきか判っているからこそ言えた言葉ってのもありますし、さらに言えば久美子自身中学時代に先輩からの理不尽に泣いた経験があり、「特別な麗奈」にはそんなものに流されて欲しくないという思いがあったような気もする。この土壇場でこう言えたのも前回夏紀先輩とのやり取りでトラウマが解消された=実力勝負に対するネガティブイメージを乗り越えられた効果でしょう。ほんとに?と確認されて昂ぶりすぎた本心をつい誤魔化しちゃう辺りも久美子らしくちょっと笑った。部内ではあくまでも「いい子ちゃん」の皮を被っていたい?(笑。そんな久美子を見て肩の力が抜ける麗奈も良い顔。一連の陰影演出も凝ってます。

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「側にいてくれる?」
「うん」
「裏切らない?」
「もしも裏切ったら殺していい」
「本気で殺すよ?」
「麗奈ならしかねない。それが判った上で言ってる」
「だってこれは愛の告白だから」

久美子のいい子ちゃんの皮を捲りたかった麗奈、そして麗奈の孤高の皮を捲って入り込んできた久美子。第8話で交わしたやり取りの返しはじつにドラマチックでした。表面だけではない内面からの支えを実感した麗奈は自分を取り戻し、一方久美子は凛々しく不敵な笑顔を残してオーディションへ向かう麗奈を黙って見送る…どちらの表情も値千金であります。素晴らしい。

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一方の当事者である香織先輩は自分の実力が劣る事を承知しながら、それでも全力を尽くして決着を付けたい、でも結果を突き付けられるのは怖い。いくら自分で判っていても人から言われたらダメージ無限大ですもの。そんな心理はあすか先輩との会話シーンによく現れています。

「知りたいの。個人的にどう思ってるか」
「いいの? 言って?」
「ううん、言ってほしくない。冗談でも高坂さんがいいとか…」
「言ってないでしょそんな事。それとも貴様、我が思考を読む能力者か!?」
「…」
「じゃあね~」

例によって飄々とかわすあすか先輩の返しが地味にキツい。それ答え言っちゃってますよ(笑。とはいえあすか先輩は一貫して個人的意見を表さず、オーディション直前でもオーディションでの判定でもダンマリを決め込み…これがあすか先輩流の優しさなのでしょうね。また自分が麗奈に拍手をしたらみんなの後ろ盾になってしまう事が判っている=香織先輩に引導を渡す役割をしたくなかったのかも。まあこの人の場合本当に興味が無かったとも考えられますが(笑

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「納得できるといいね」

対して晴香部長は久美子曰く「優しい」という言葉どおりの動きを見せていました。オーディション前の香織先輩を放っておけず、あくまで香織先輩の気持ちに寄り添って決戦への間を繋ぐ。しかしここでも話題はいつしかあすか先輩の事になっちゃうのね。

「どうしてあすかなの? どうしてそんなに拘るの?」
「見透かされてるような気がするんだよね。私が思ってること、なんでも」
「だから…あすかを驚かせたい。あすかが思ってる私の一歩先を本物の私が行きたい」

このセリフを先のあすか先輩とのシーンに照らすとじつに深い。思考を読む能力者は本当はあすか先輩で、だから香織先輩は当人からそう言われて何も返せなかったのかも。また「見透かされてる自分」を越えたい=コンプレックスに潰されない強さを表してくれたのも良かった。自分が納得する事が再オーディションに挑む第一義としても、自己完結以外の理由が在ると無いとではキャラの深みがえらく違いますもの。ただの「いい人」では終わらない…あすかに一泡吹かせたかったなんてとんでもなくお茶目さんじゃないですか。

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そして運命の再オーディションが始まります。前回引きにて決戦が決まった時、それはブラインドテストにするか、それとも無記名投票にでもするか、要するにいかに温情投票を無くすか?=音は正直という振りを活かすか?がポイントだと思っていました。正直言って始まる前から結果が判っているこの勝負にて、どんな形で麗奈を勝たせるか?が見どころだったとも言えます。ところが今回描かれたオーディション方法は「両者が吹き終わった後全員の拍手で決める」という真っ正面からの対決で、これでは香織派の部員たちは同情票を入れ放題じゃ? いやそれすらさせないほど有無を言わさぬ実力差を見せ付けるための振り? などなどオーディション前から先の展開にドキドキが止まらず。

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先攻の香織先輩は震える唇をマッピに当てて慎重に吹き始め、続く麗奈は迷いが吹っ切れた堂々とした表情でペットの音を響かせます。などと出だしの描写からして両者の差は明らかで、はたして二人の音は誰が聞いても明らかなほど違い、また演出面でも麗奈が吹いた瞬間にカメラが引いて音の広がりを一目で感じさせたり、目を閉じていた生徒がハッと見開いたり、何より優子の表情はそれが「本気の演奏」である事を示し…三味線の依頼が全く通じていなかった事を悟るのでした。オーディション直前に香織先輩に会った時、真っ直ぐな先輩の気持ちを踏みにじるような、浅はかでみっともない事をしてしまった申し訳なさに潰されそうだった優子は、この「本気」を聞いてある意味救われたかもしれません。

香織先輩の後にパラパラ打たれた拍手も麗奈の後は魂を抜かれたように静まり返り(これが判定への伏線だったとは全く予想付かなかった)、などと傍目には結果は明らかなれど生徒たちの投票結果はどう描く?と注目の瞬間はこのあとすぐ!

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「ではこれよりソロを決定したいと思います。中世古さんがいいと思う人」

すると優子がパッと立ち上がって必死に拍手を響かせ、続いて晴香部長も拍手して計二票。この二人はもちろん音の差は判っていて、それでも「中世古さんがいいと思う」から手を叩いたのでしょう。誰よりも結果が判っている香織先輩は最初優子の拍手に驚き戸惑い、そして晴香部長の拍手から優しさを受け取り…二人の拍手を聞いた香織先輩の表情変化がまた絶品でした。しかしこれで残りは全員麗奈票? こんな形で決着か…と思いきや。

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「では高坂さんがいいと思う人」

麗奈の番になっても誰も拍手を打たず客席は押し黙ったまま、ってなトコで久美子は宣言どおり「悪者」となって麗奈を支持し、続いて我に返った葉月が手を鳴らし…部内の和を優先するみどりは手を叩かず、実力主義の葉月は叩いたというのもなるほど。というわけでこちらも計二票で引き分けという結果に。おいおいおい、みんなして棄権て!? それじゃわざわざ再オーディションした意味が無いよ? と思ったけれど、要するに香織先輩が吹いた後にパラパラと拍手した子たちすら判定時に叩かなかった事自体が部員たちの答えであり、続く麗奈に叩かなかったのは部員たちなりの「正義」だったということ。この騒動の発端を思えば今さら麗奈に拍手するわけにもいかず、そして何よりこれまでさんざ世話になった香織先輩を直接否定できないゆえの大量棄権は、私の予想から大きく外れた投票結果なれど…その湿度高めの生々しさにはかなり感心した。凄い凄い画面が滲む。なるほどこれがドラマ作りか。などと今回予想の大外しは何かと白黒付けたがる男脳ゆえかも? イゴ! いやそんなの私だけか(笑

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「中世古さん。あなたがソロを吹きますか?」

というわけで投票は引き分けに終わり、しかしどちらかに決めないとオーディションが収まらず、さて全員答えが判っている中でどうケリを付ける? ってなトコで滝先生の問い掛けは非常に辛いものでした。誰よりも判っているであろう本人に結果を言わせるなんて何と無慈悲な! と思いきや、これこそが香織先輩のプライド(&立場)を保ったまま、全員が納得してソロを麗奈に渡す唯一の方法なのだなあ。結果的に滝先生が泥を被る形でしたがそれは最初から覚悟の上だったと思いますし。

「吹かないです…吹けないです。ソロは高坂さんが吹くべきだと思います」

トランペットが好きだから嘘を吐けない。それは非常に辛い結論でしたが、自ら引導を渡す事で禍根を残さず全てが丸く収まった。言い切った後の清々しい表情、香織先輩の思いを理解しながら涙が止まらない優子、そしてその重責を担った麗奈の決意溢れる表情などなど何もかも素晴らしい締めでした。正直これほどのドラマを組んでくるとは思わなかった。これがあと二話で終わりなんて信じられない。ううう。こっちが泣きたい。

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全編ヒリヒリが続いた今回、いつしか癒やしキャラと化した夏紀先輩のヒーリング効果がじつにありがたかった。練習終わりに麗奈を目で追う優子に気付いて釘を刺し…昇降口で世界に入っちゃってる優子を耳フッ!で引き戻し、「オーディションに落ちたくせに!」と言われても眉一つ動かさず釘を刺す。優子の様子を見て「余計な事」をしてしまうと察し、それは香織先輩を苦しめるだけと告げ…実力勝負の場で能力が劣る自分が気を使われて勝った所で納得いかない、ってのは前回の久美子との会話から判りますし、もちろん優子自身も理屈では判っているのです。判っているのに…ってのはホント辛い。

そして夏紀の忠告を無視して禁断の三味線依頼をしてしまった優子は、オーディション直前にも変わらぬ笑顔を湛える香織先輩に会わせる顔がありません。余計な事をした結果この笑顔を曇らせてしまうかもしれない。その呵責に耐えられない優子は必死に表情を取り繕って早々に駆け出し、そして溢れる涙を夏紀の背中で拭うのでした。おそらくこの一瞬で涙の理由を察したでしょうに何も言わず背中を貸し、黙って見送る夏紀先輩の優しさが辛い。この二人はケンカばかりのようでじつはツーカー、ホントに仲良いんだなあと。

それはそーと思った以上に小っさかった夏紀先輩かわいい。

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