2015-11-09(Mon)
Go! プリンセスプリキュア #39 夢の花ひらく時!舞え、復活のプリンセス!
ありがとう。あなたが夢見てくれたから――

私、今、こんなにも幸せだよ。

衝撃のはるはる陥落から一週お休みという鬼畜プレイを乗り越えて辿り着いた今回は、夕陽が射すヴァイオリン工房にて未だよく判っていないカナタ王子から。あれほどのやらかしをしてなお「夢」の尊さを思い出せない辺りかなり深刻であります。そんなカナタへ掛ける言葉も無いトワ、窓外のミスシャムールが「これはもうだめかもわからんね」と言い出すのもなるほど。
「理由はどうあれはるかを一人にしてしまったのは私たちだわ…」
出先から帰ってきたみなみん&きららは変わり果てたはるはるを見て唖然ボーゼン、その後ゆいゆいから事情を聞くとみなさん一様に自分を責め始めてドツボに落ち、一方ココロの支えだった「夢」を全否定されて一人膝を抱えるはるはるは絶望の淵に落ちきって、その大きい絶望を糧に例の絶望の森がぐんぐん育ってさあ大変なサブタイ前。などなど冒頭っから雰囲気アリアリ気合い入りまくりの映像は絵コンテ:タナカリオン、演出:鎌谷 悠、作画監督:大田和寛各氏によるもの。さすがメインヒロインの見せ場回だけにエースを揃えてきました。

サブタイ明けは久々のディスピア様。街に蒔いた絶望の種を地道に発芽させ続け、計略どおり(?)絶望の森を急成長させたクローズさんは得意顔で報告を入れています。実際クローズさんは大したコトしてないけど(笑。ともあれこれまでは助ける側だったのに膝を抱えて檻に収まっているはるはるの後姿がじつに悲しい。
「さあ、始まるぜ」
檻のはるはるから供給される強大な絶望パワーによって急成長した絶望の森は次第に街を飲み込み、夢ヶ浜の人々は次々と絶望に落ちて量産型ゼツボーグが大発生…最終段階で起きるであろうと予想していた大惨事がまさかこの段階で、しかもはるはるがトリガーで起きるとは。ってコトは最終決戦ではこれ以上の非常事態が起きるのだろうか?
「行きましょう」
「はるはるは?」
「今は戦わせられないわ」
はるはるを捜す流れで合流したみなさんは夢ヶ浜の危機を知るや即出動。直面した危機とはるはるへの心配・気遣いを瞬時に秤に掛けて決断を下すみなみんの辛いリーダーシップが光ります。そこから美人三人でプリンセスエンゲージ! 現場へ急ぐ三人からカメラがパッと変わると膝を抱えて俯くはるはるがフレームインする演出も効いてます。互いの立ち位置差が痛いほど伝わってきて思わず唸った。

デーハーな爆発音に顔を上げたはるはるは夢ヶ浜の惨状に気付いてとりあえず現場へ。泣き腫らした目が辛いなあ。芸コマ。先のとおり既に現場入りしている美人キュアはゼツボーグと戦闘真っ最中で、ってなトコを見たはるはるも急いで参戦すべくパフュームにドレスアップキーを突き立てるも何故か反応しません。動け! 動け! 動いてよ! 今動かなきゃ何にもならないんだ!
「変身できない…何で!? どうして!? プリンセスになっちゃいけないから?」
「私…もうプリンセスになれないの?」
夢の力を失ったはるはるはプリキュアに変身できなくなってしまいました。カナタから否定され、キーから否定され、その結果自身のアイデンティティまで全て失ってしまった。これはキッツイ。目に涙を溜めてガックリ肩を落とすはるはるに庇護欲全開なれど、作中ではそんなはるはるを絶望の森が容赦無く襲うのでした。きっつー。
「キュアフローラの絶望は最高の栄養になった」
一方戦闘中の美人キュアたちの前にクローズさんが登場します。クローズさんはこの惨状に至るフローラの功績を讃え…ってな話を険しい顔で聞くスカーレットが美人すぎて、この緊迫シーンってのについ見とれてしまう。やはり大田スカーレットは良い良い良い。
「夢は人を追い詰める。お前たちがあいつを独りぼっちにしたようにな!」
高いトコから見下ろすクローズさんの名調子。いつぞや以来のハイテンション、怖い顔もグレードアップしてますね。いいぞいいぞ、それでこそクローズさんです。明らかにやられフラグですが。対する三人は冒頭のとおり「はるかを一人にしてしまった事」で自分を責めているため何も言い返せず唇を噛むのみ。そんな膠着に付け入ったクローズさんの攻撃にも身動き取れず思いっきり被弾してピンチ! ってなトコへカナタ王子が駆け寄るも――
「キュアフローラにトドメを刺したのはお前だ」
「お前があいつを絶望に落とした」
残酷な事実を突き付けられてしまうのでした。不敵な相手を見上げるアオリから衝撃のセリフを聞いて瞳孔が締まり、逆光の影が落ちたクローズさんの口元アップでさらなる追い討ち。この辺の演出もキッツイキッツイ。
「おやめなさい!」
「トワ、はるかは?」
「…」
メートル上げ上げのクローズさんに釘を刺すスカーレットでしたが、兄さまからはるはるの事を聞かれると答えられずに目を背け、マーメイド&トゥインクルも同様に…あああキッツイキツすぎる。このリアクションによってようやく自分のやらかしの大きさに気付いたカナタ王子の表情も絶妙すぎるキツすぎる。と思ったらまだまだ序の口。

「絶望に落ちたあいつはもうプリキュアにもプリンセスにもなれねえ」
「今頃どこかでみじめに泣いてるだろうぜ!」
ノリノリのクローズさんの口を塞ぐべくトゥインクル&マーメイドは脚を振り上げてキックをお見舞い! 凄いアングルからカチ込んだ二人でしたがあっさり掴まれぶん投げられ…調子に乗ってるクローズさんさすが強ええ。ってなトコで自らの罪を思い知ったカナタ王子ははるはるの所へ走るのでした。ところが。
「なんでこんな事に…」
プリキュアにもプリンセスにもなれなくなったはるはるは魂が抜けたように朦朧と歩き、絶望のツタに足を取られ、コケた拍子にトレードマークの髪飾りが外れて転がり落ち…輝きが失せた瞳で泣き崩れるはるはるの表情が衝撃的すぎて、思わずこっちも「なんでこんな事に」とシンクロしてしまった。髪飾りが取れてバラけた前髪も効いてます。ああ辛い。

「私、何でプリンセスになりたいんだっけ?」
倒れたはるはるは自分の夢の原点を考え始めます。これまでの自分を支えてきた夢、それはさぞかしココロに突き刺さるような大層な理由がある?かと思いきや。
「キラキラかわいいから」
「それだけ?」
それは本人ですら忘れていたほど小さな事でした。なるほど確かに幼い子供が夢を抱くきっかけなんてこの程度かもしれません。男の子が戦隊やライダーを見てカッケー!と憧れるのと同じく、幼いはるはるはキラキラかわいい花のプリンセスに憧れた。というかメタ的に見れば本作自体も幼い女の子の憧れ対象なのですから。
とはいえこういう憧れは成長とともに「現実」が見えてくると薄れていく(=卒業していく)のも常で、いつまでも夢想に囚われていると周囲にからかわれたりするのもまた常。だからはるはるはクラスの男の子にからかわれて、でも夢を捨てきれず、どうしたらいいのか判らずに泣いてしまった。そこに現れたのがご存じカナタ王子で、さらに両親も幼いはるはるの夢を応援してくれた。その象徴こそはるはるのトレードマークである花の髪飾りなのですね。それはそうとノーブル学園に行きたい!と告げた時の両親のリアクション差が妙にリアルでちょっと笑った。名門校は授業料とか大変だろうしなあ。お父さんがんばれ。
「そう。ずっと、すーっと、いつだって…」
難関校への受験も「夢」を抱き続ける事で乗り越え、念願の学園生活では素敵な出会いに恵まれ、楽しい仲間と楽しい日々を送れるのも「ずーっと夢を追ってきた」結果で…それらを掴み取った力、何があろうと幼い日の夢を持ち続けた力、それこそがはるはるの力そのもの=はるはるの全てなのですね。しかし小さい頃の自分との対峙で立ち直るパターンはアイマスの春香さんを思い出すなあ、って奇しくも「はるか」被り、「夢」被りじゃん(笑
今プリキュアを見ているお友達が将来何か困難に直面したとき「はるはるみたいに頑張ろう!」と思ってくれたら制作的に感無量だろうなあ、タナカリオンSDはそういう作品を目指しているんだろうなあ、とビシビシ伝わってくるシーンでした。

「すまない。傷付く君を助けたかった。ただそれだけだったのに…」
「僕が一番君を傷付けてしまった。本当にすまない」
はるはるが再び手を伸ばした髪飾り(夢の象徴)をカナタが拾うってのもまた本作の象徴たるシーン。しかし今回のカナタは不本意とはいえ「夢を否定した事」で誰よりもはるはるを傷付けてしまい、深く俯き涙を落とし懺悔するのみ!
「カナタ。私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた」
「夢を無くすなんて、諦めるなんてできない」
「たとえカナタにやめろって言われても、私はプリンセスを目指すよ」
はるはるを救おうと必死に走ってきたカナタでしたが、今のはるはるにはもうカナタの助力は要らなかった。先の自問自答にて答えを出してしまったのですね。誰に何を言われようと自分の夢を諦めない、誰かに支えられていないと倒れてしまう雛鳥はもういないのです。自分の原点を見つめ直す事で確立した自我はもう揺るがない。その強さが溢れるキラッキラの笑顔にはやられた。それはそうと髪飾りがない前髪とぺたんこ座りのかわいさにもやられた(台無し。体を起こす時にきちんと手を揃える辺りエレガントであります。この短さだと見えちゃうからね(そういう所ばかり見ない。
「それなら君が笑顔でいられるように、僕は…」
はるはるの笑顔を見たカナタ王子の決意。もうほとんどコクってるようなもので、髪飾りをきっかけに手に手を取っていい雰囲気…ってなトコでドカーン!と爆発音が炸裂してそれどころでは!

見下ろすクローズさんと暫し睨み合いの後、こんな時ですが前回買ったプレゼントをカナタに贈呈したはるはるは、強い瞳で自分の意志を叫びます。
「みんなの、そして私の夢を守る!」
夢に絶望しプリキュアにもプリンセスにもなれないはずのはるはるの叫びにハッとするみなさん。そういやカナタ以外は立ち直りを知らないんですものね。ここもやはりスカーレットが美人すぎて思わず見とれてしまった(笑。続いて――
「ありがとう。あなたが夢見てくれたから、私、今、こんなにも幸せだよ」
夢を大切にしてくれた幼いはるはるへお礼を告げ、その言葉に満面笑顔で応えるちびはるはる…ああもうこの時点で画面が滲んでどうにもこうにも。日曜の朝っぱらからおっさん泣かすな。
「レツゴー、プリンセス」
静かにそう呟いたはるはるがカッと目を開いて復活の変身へ。ドレスアップキーを挿した瞬間光を放って身体だけ変身、そして花の髪飾りを付けるとこれまた光を放って髪が変わって変身完了! やはり髪チェンジはプリキュア変身の肝なのだなあ。ともあれカット割りから効果まで格好良すぎる特殊変身、キャラソンの使い方からしてタナカリオンの本気を見た感じ。作画班の気合いも凄い。こんなのカネ掛かってる深夜アニメでもそうそう見られないと思う。

復活早々リィストルビヨンをぶっ放してゼツボーグを蹴散らすフローラ、ってなトコを見たカナタはかつての出会いが頭をよぎり…なるほど。続いてフローラの拘束ピンチにマーメイド&トゥインクルが脚から登場し、冒頭から気にしていた自分たちの失態についてフローラに謝るのですが。
「ごめん…」「あなたを一人にしてしまったばかりに…」
「でもそれってみなみさんもきららちゃんも私を信じてくれてたからですよね?」
「私ちゃんと判ってます!」
もちろん二人を責めるどころか「信じてくれていた事」を喜び笑顔で応えるフローラ。もうこの子ったら! こんなん返されて惚れない人間がいるだろうか。

続いて登場のシャットさんからガードに割り込むスカーレット。このシーンがまた絶品すぎたので思わず連貼りしてしまいます。割り込んだ刹那シャットさんを睨み付け、視線だけ変えて「もう大丈夫ですわね?」とフローラへ問い掛け、答えを聞くと一瞬表情を緩め、厳しい中にニヤマリを隠せない表情でシャットさんに向き直って撥ね飛ばし――
「落ち込んでたと思ったら一人で立ち直るなんて!」
シャットさんにカチ込む横顔の繊細な表情描写もまた絶品。このワンシーンだけで丼飯三杯いけそうです。こんなの見ちゃったら他の人のスカーレット見れないよ。どうしてくれるんだろ。そして満を持して登場したシャットさんは一蹴りで場外へ。あららら(笑。入れ替わるように現れたストフリをローズトルビヨンの薔薇の花に巻き込んで蹴散らすパターンは新しい?
「一人じゃないよトワちゃん。みんながいてくれたから立ち上がれる私がいるの!」
一人で全て片付けたようでじつはそうではなかった。カナタや両親や友達みんながいてくれたから今の自分があるわけで、絶望の中で自分を見つめ直す事ができた。そういうコトもきちんと判ってるフローラのキラッキラ笑顔が眩しくて画面を直視できない。

そんな会話の一方で目ぇ剥いて歯ぁ剥いてテンションMAXのクローズさんが襲い掛かります。相変わらずいい顔してます。
「夢を取り戻したってのか!? だが夢はまたお前を追い詰めるぞ!」
「それでもいい!」
クローズさんの蹴りを受け止めたフローラは厳しい言葉もろとも跳ね返す。もはや鋼鉄メンタルを装備したフローラは何があっても諦めない負けないかもしれない。こうも強くなってしまうと最終決戦がどうなるのか楽しみのような恐ろしいような。
「自分で決めた夢だもん。痛いのも苦しいのも全部受け止めて、私はプリンセスになる!」
続いてスカーレットの火球アタック→トゥインクルバリアによる拘束→マーメイドの氷漬け攻撃とプリキュアフルコースコンボからフローラがトドメのプリキュア棒を構えると、タイミング良くストフリが現れて棒を散らし、するとフローラはマーメイド&トゥインクルから渡された二本の棒でローズ&リィストルビヨンをぶっ放し…などなど連携しまくる一連のアクションは密度も動きも一級品でした。どんだけ気合い入ってんのかと。
「そんなもの、なれやしねえええ!」
ぶっ飛ばされたクローズさんは例によって最終奥義の黒鳥と化し、大きく羽根を広げると強力な絶望ビームをぶっ放します。これはヤバい!

「なれるさ。君なら。プリンセスに。
すると七色のバリアが突如発動し、力強い言葉を放つ彼の衣装が弾けてカナタ王子大復活へ。結構あっさり復活した? というか本当に本物だったのか。
「はるか、君が笑顔でいられるように、僕は君の夢を守りたい」
夢を忘れたカナタくんが復活できたのは新しい夢ができたから。なるほどシンプルだけど納得してしまう理由ではあります。しかしこれってコクっているのと(以下同文。ていうか戦闘中なのに赤くなってる場合か!(笑
「そうだ、あいつホープキングダムの王子…」
クローズさんはクローズさんで本当に気付いていなかったのか。本体(本物)が別に監禁されているのを知っていて「こんな所にいるはずない」とかそういう理屈じゃなかったのね。そしてはるはるからカナタへのプレゼントが光を放つと新しいキー「ロイヤルドレスアップキー」が登場して新必殺技のお披露目へ。本当に新製品が出てきてちょっと笑った。

さすがロイヤルと銘打つだけあってモードエレガントもエレガントの極み、というか思いっきりウェディングドレスです(笑。やはり女の子にとってドレスの最上位はコレなのね。純白のドレスに各色の巨大リボンを纏ったプリキュアたち。一方処刑台も華やかにグレードアップし、キラッキラの処刑檻に封じ込められた死刑囚をレインボーマーブルの光が貫く新必殺技「プリキュア グラン プランタン」が発動! せっかくのお披露目なのにギリギリのトコで逃げちゃうのはちょっとズルいよ(笑。特にストフリは実質お役御免だろうし、こいつらだけでも片付けちゃってよかったような気がする。まあここで消えるとほとんど無意味なキャラで終わってしまうし、おそらく今回限りで「絶望の種」が完全駆除されたわけでは無いだろうからまだ見せ場はありそう?

「あの時、僕は全ての力を使い果たし、夢も記憶も失った」
カナタ王子の記憶操作はディスピア様の仕業と思いきやそうではなかった? とはいえあの情況でディスピア様が指をくわえて見ているはずがない(と思われる)のでもう一段仕掛けがありそう? そこまで凝らないかなあ、でもタナカリオンだしなあ、などなど思いが巡るばかりです。とりあえずの種明かしが済むと、待ちかねたように愛しのお兄さまに駆け込むトワがまたかわいい。ああもうこの子ってば!
「お祝いを兼ねてまたプレゼント買い直さなきゃ」
「いや、いいんだ。君がやっと笑ってくれたから」
どんだけイケメンか! 前回のやらかしで地の底に落ちたカナタ王子が一気にストップ高に。あはは。しかしこの振幅を不自然に思わせないほど今回のカタルシスは凄かった。予告を見てフローラ復活は判っていてもAパートの絶望っぷりに不安MAX、そこからの復活劇は意外とあっさりでしたが、これまで重ねたキャラ描写に重ねれば納得の経緯で、キレキレの演出&作画も効いて30分間画面から目を離せなかった。私もプリキュアシリーズを長いこと見てるけどここまで入り込んだのは久しぶりのような気がする。こんなに面白いプリキュアが残り10話を切ってしまったなんていっぱい悲しい。

今回からEDがマイナーチェンジ? 客席のレフィは映画期間限定? ロイヤル仕様になったモードエレガントは本編に違わずキラッキラです。そして次回はお待ちかねのスタジオガッツ回、蕩けたトワの描写やついに明かされるホープキングダム王&王妃(?)の謎など見どころいっぱい楽しみです。
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私、今、こんなにも幸せだよ。

衝撃のはるはる陥落から一週お休みという鬼畜プレイを乗り越えて辿り着いた今回は、夕陽が射すヴァイオリン工房にて未だよく判っていないカナタ王子から。あれほどのやらかしをしてなお「夢」の尊さを思い出せない辺りかなり深刻であります。そんなカナタへ掛ける言葉も無いトワ、窓外のミスシャムールが「これはもうだめかもわからんね」と言い出すのもなるほど。
「理由はどうあれはるかを一人にしてしまったのは私たちだわ…」
出先から帰ってきたみなみん&きららは変わり果てたはるはるを見て唖然ボーゼン、その後ゆいゆいから事情を聞くとみなさん一様に自分を責め始めてドツボに落ち、一方ココロの支えだった「夢」を全否定されて一人膝を抱えるはるはるは絶望の淵に落ちきって、その大きい絶望を糧に例の絶望の森がぐんぐん育ってさあ大変なサブタイ前。などなど冒頭っから雰囲気アリアリ気合い入りまくりの映像は絵コンテ:タナカリオン、演出:鎌谷 悠、作画監督:大田和寛各氏によるもの。さすがメインヒロインの見せ場回だけにエースを揃えてきました。

サブタイ明けは久々のディスピア様。街に蒔いた絶望の種を地道に発芽させ続け、計略どおり(?)絶望の森を急成長させたクローズさんは得意顔で報告を入れています。実際クローズさんは大したコトしてないけど(笑。ともあれこれまでは助ける側だったのに膝を抱えて檻に収まっているはるはるの後姿がじつに悲しい。
「さあ、始まるぜ」
檻のはるはるから供給される強大な絶望パワーによって急成長した絶望の森は次第に街を飲み込み、夢ヶ浜の人々は次々と絶望に落ちて量産型ゼツボーグが大発生…最終段階で起きるであろうと予想していた大惨事がまさかこの段階で、しかもはるはるがトリガーで起きるとは。ってコトは最終決戦ではこれ以上の非常事態が起きるのだろうか?
「行きましょう」
「はるはるは?」
「今は戦わせられないわ」
はるはるを捜す流れで合流したみなさんは夢ヶ浜の危機を知るや即出動。直面した危機とはるはるへの心配・気遣いを瞬時に秤に掛けて決断を下すみなみんの辛いリーダーシップが光ります。そこから美人三人でプリンセスエンゲージ! 現場へ急ぐ三人からカメラがパッと変わると膝を抱えて俯くはるはるがフレームインする演出も効いてます。互いの立ち位置差が痛いほど伝わってきて思わず唸った。

デーハーな爆発音に顔を上げたはるはるは夢ヶ浜の惨状に気付いてとりあえず現場へ。泣き腫らした目が辛いなあ。芸コマ。先のとおり既に現場入りしている美人キュアはゼツボーグと戦闘真っ最中で、ってなトコを見たはるはるも急いで参戦すべくパフュームにドレスアップキーを突き立てるも何故か反応しません。動け! 動け! 動いてよ! 今動かなきゃ何にもならないんだ!
「変身できない…何で!? どうして!? プリンセスになっちゃいけないから?」
「私…もうプリンセスになれないの?」
夢の力を失ったはるはるはプリキュアに変身できなくなってしまいました。カナタから否定され、キーから否定され、その結果自身のアイデンティティまで全て失ってしまった。これはキッツイ。目に涙を溜めてガックリ肩を落とすはるはるに庇護欲全開なれど、作中ではそんなはるはるを絶望の森が容赦無く襲うのでした。きっつー。
「キュアフローラの絶望は最高の栄養になった」
一方戦闘中の美人キュアたちの前にクローズさんが登場します。クローズさんはこの惨状に至るフローラの功績を讃え…ってな話を険しい顔で聞くスカーレットが美人すぎて、この緊迫シーンってのについ見とれてしまう。やはり大田スカーレットは良い良い良い。
「夢は人を追い詰める。お前たちがあいつを独りぼっちにしたようにな!」
高いトコから見下ろすクローズさんの名調子。いつぞや以来のハイテンション、怖い顔もグレードアップしてますね。いいぞいいぞ、それでこそクローズさんです。明らかにやられフラグですが。対する三人は冒頭のとおり「はるかを一人にしてしまった事」で自分を責めているため何も言い返せず唇を噛むのみ。そんな膠着に付け入ったクローズさんの攻撃にも身動き取れず思いっきり被弾してピンチ! ってなトコへカナタ王子が駆け寄るも――
「キュアフローラにトドメを刺したのはお前だ」
「お前があいつを絶望に落とした」
残酷な事実を突き付けられてしまうのでした。不敵な相手を見上げるアオリから衝撃のセリフを聞いて瞳孔が締まり、逆光の影が落ちたクローズさんの口元アップでさらなる追い討ち。この辺の演出もキッツイキッツイ。
「おやめなさい!」
「トワ、はるかは?」
「…」
メートル上げ上げのクローズさんに釘を刺すスカーレットでしたが、兄さまからはるはるの事を聞かれると答えられずに目を背け、マーメイド&トゥインクルも同様に…あああキッツイキツすぎる。このリアクションによってようやく自分のやらかしの大きさに気付いたカナタ王子の表情も絶妙すぎるキツすぎる。と思ったらまだまだ序の口。

「絶望に落ちたあいつはもうプリキュアにもプリンセスにもなれねえ」
「今頃どこかでみじめに泣いてるだろうぜ!」
ノリノリのクローズさんの口を塞ぐべくトゥインクル&マーメイドは脚を振り上げてキックをお見舞い! 凄いアングルからカチ込んだ二人でしたがあっさり掴まれぶん投げられ…調子に乗ってるクローズさんさすが強ええ。ってなトコで自らの罪を思い知ったカナタ王子ははるはるの所へ走るのでした。ところが。
「なんでこんな事に…」
プリキュアにもプリンセスにもなれなくなったはるはるは魂が抜けたように朦朧と歩き、絶望のツタに足を取られ、コケた拍子にトレードマークの髪飾りが外れて転がり落ち…輝きが失せた瞳で泣き崩れるはるはるの表情が衝撃的すぎて、思わずこっちも「なんでこんな事に」とシンクロしてしまった。髪飾りが取れてバラけた前髪も効いてます。ああ辛い。

「私、何でプリンセスになりたいんだっけ?」
倒れたはるはるは自分の夢の原点を考え始めます。これまでの自分を支えてきた夢、それはさぞかしココロに突き刺さるような大層な理由がある?かと思いきや。
「キラキラかわいいから」
「それだけ?」
それは本人ですら忘れていたほど小さな事でした。なるほど確かに幼い子供が夢を抱くきっかけなんてこの程度かもしれません。男の子が戦隊やライダーを見てカッケー!と憧れるのと同じく、幼いはるはるはキラキラかわいい花のプリンセスに憧れた。というかメタ的に見れば本作自体も幼い女の子の憧れ対象なのですから。
とはいえこういう憧れは成長とともに「現実」が見えてくると薄れていく(=卒業していく)のも常で、いつまでも夢想に囚われていると周囲にからかわれたりするのもまた常。だからはるはるはクラスの男の子にからかわれて、でも夢を捨てきれず、どうしたらいいのか判らずに泣いてしまった。そこに現れたのがご存じカナタ王子で、さらに両親も幼いはるはるの夢を応援してくれた。その象徴こそはるはるのトレードマークである花の髪飾りなのですね。それはそうとノーブル学園に行きたい!と告げた時の両親のリアクション差が妙にリアルでちょっと笑った。名門校は授業料とか大変だろうしなあ。お父さんがんばれ。
「そう。ずっと、すーっと、いつだって…」
難関校への受験も「夢」を抱き続ける事で乗り越え、念願の学園生活では素敵な出会いに恵まれ、楽しい仲間と楽しい日々を送れるのも「ずーっと夢を追ってきた」結果で…それらを掴み取った力、何があろうと幼い日の夢を持ち続けた力、それこそがはるはるの力そのもの=はるはるの全てなのですね。しかし小さい頃の自分との対峙で立ち直るパターンはアイマスの春香さんを思い出すなあ、って奇しくも「はるか」被り、「夢」被りじゃん(笑
今プリキュアを見ているお友達が将来何か困難に直面したとき「はるはるみたいに頑張ろう!」と思ってくれたら制作的に感無量だろうなあ、タナカリオンSDはそういう作品を目指しているんだろうなあ、とビシビシ伝わってくるシーンでした。

「すまない。傷付く君を助けたかった。ただそれだけだったのに…」
「僕が一番君を傷付けてしまった。本当にすまない」
はるはるが再び手を伸ばした髪飾り(夢の象徴)をカナタが拾うってのもまた本作の象徴たるシーン。しかし今回のカナタは不本意とはいえ「夢を否定した事」で誰よりもはるはるを傷付けてしまい、深く俯き涙を落とし懺悔するのみ!
「カナタ。私ね、夢があったからここまで来られた。みんなとも出会えた」
「夢を無くすなんて、諦めるなんてできない」
「たとえカナタにやめろって言われても、私はプリンセスを目指すよ」
はるはるを救おうと必死に走ってきたカナタでしたが、今のはるはるにはもうカナタの助力は要らなかった。先の自問自答にて答えを出してしまったのですね。誰に何を言われようと自分の夢を諦めない、誰かに支えられていないと倒れてしまう雛鳥はもういないのです。自分の原点を見つめ直す事で確立した自我はもう揺るがない。その強さが溢れるキラッキラの笑顔にはやられた。それはそうと髪飾りがない前髪とぺたんこ座りのかわいさにもやられた(台無し。体を起こす時にきちんと手を揃える辺りエレガントであります。この短さだと見えちゃうからね(そういう所ばかり見ない。
「それなら君が笑顔でいられるように、僕は…」
はるはるの笑顔を見たカナタ王子の決意。もうほとんどコクってるようなもので、髪飾りをきっかけに手に手を取っていい雰囲気…ってなトコでドカーン!と爆発音が炸裂してそれどころでは!

見下ろすクローズさんと暫し睨み合いの後、こんな時ですが前回買ったプレゼントをカナタに贈呈したはるはるは、強い瞳で自分の意志を叫びます。
「みんなの、そして私の夢を守る!」
夢に絶望しプリキュアにもプリンセスにもなれないはずのはるはるの叫びにハッとするみなさん。そういやカナタ以外は立ち直りを知らないんですものね。ここもやはりスカーレットが美人すぎて思わず見とれてしまった(笑。続いて――
「ありがとう。あなたが夢見てくれたから、私、今、こんなにも幸せだよ」
夢を大切にしてくれた幼いはるはるへお礼を告げ、その言葉に満面笑顔で応えるちびはるはる…ああもうこの時点で画面が滲んでどうにもこうにも。日曜の朝っぱらからおっさん泣かすな。
「レツゴー、プリンセス」
静かにそう呟いたはるはるがカッと目を開いて復活の変身へ。ドレスアップキーを挿した瞬間光を放って身体だけ変身、そして花の髪飾りを付けるとこれまた光を放って髪が変わって変身完了! やはり髪チェンジはプリキュア変身の肝なのだなあ。ともあれカット割りから効果まで格好良すぎる特殊変身、キャラソンの使い方からしてタナカリオンの本気を見た感じ。作画班の気合いも凄い。こんなのカネ掛かってる深夜アニメでもそうそう見られないと思う。

復活早々リィストルビヨンをぶっ放してゼツボーグを蹴散らすフローラ、ってなトコを見たカナタはかつての出会いが頭をよぎり…なるほど。続いてフローラの拘束ピンチにマーメイド&トゥインクルが脚から登場し、冒頭から気にしていた自分たちの失態についてフローラに謝るのですが。
「ごめん…」「あなたを一人にしてしまったばかりに…」
「でもそれってみなみさんもきららちゃんも私を信じてくれてたからですよね?」
「私ちゃんと判ってます!」
もちろん二人を責めるどころか「信じてくれていた事」を喜び笑顔で応えるフローラ。もうこの子ったら! こんなん返されて惚れない人間がいるだろうか。

続いて登場のシャットさんからガードに割り込むスカーレット。このシーンがまた絶品すぎたので思わず連貼りしてしまいます。割り込んだ刹那シャットさんを睨み付け、視線だけ変えて「もう大丈夫ですわね?」とフローラへ問い掛け、答えを聞くと一瞬表情を緩め、厳しい中にニヤマリを隠せない表情でシャットさんに向き直って撥ね飛ばし――
「落ち込んでたと思ったら一人で立ち直るなんて!」
シャットさんにカチ込む横顔の繊細な表情描写もまた絶品。このワンシーンだけで丼飯三杯いけそうです。こんなの見ちゃったら他の人のスカーレット見れないよ。どうしてくれるんだろ。そして満を持して登場したシャットさんは一蹴りで場外へ。あららら(笑。入れ替わるように現れたストフリをローズトルビヨンの薔薇の花に巻き込んで蹴散らすパターンは新しい?
「一人じゃないよトワちゃん。みんながいてくれたから立ち上がれる私がいるの!」
一人で全て片付けたようでじつはそうではなかった。カナタや両親や友達みんながいてくれたから今の自分があるわけで、絶望の中で自分を見つめ直す事ができた。そういうコトもきちんと判ってるフローラのキラッキラ笑顔が眩しくて画面を直視できない。

そんな会話の一方で目ぇ剥いて歯ぁ剥いてテンションMAXのクローズさんが襲い掛かります。相変わらずいい顔してます。
「夢を取り戻したってのか!? だが夢はまたお前を追い詰めるぞ!」
「それでもいい!」
クローズさんの蹴りを受け止めたフローラは厳しい言葉もろとも跳ね返す。もはや鋼鉄メンタルを装備したフローラは何があっても諦めない負けないかもしれない。こうも強くなってしまうと最終決戦がどうなるのか楽しみのような恐ろしいような。
「自分で決めた夢だもん。痛いのも苦しいのも全部受け止めて、私はプリンセスになる!」
続いてスカーレットの火球アタック→トゥインクルバリアによる拘束→マーメイドの氷漬け攻撃とプリキュアフルコースコンボからフローラがトドメのプリキュア棒を構えると、タイミング良くストフリが現れて棒を散らし、するとフローラはマーメイド&トゥインクルから渡された二本の棒でローズ&リィストルビヨンをぶっ放し…などなど連携しまくる一連のアクションは密度も動きも一級品でした。どんだけ気合い入ってんのかと。
「そんなもの、なれやしねえええ!」
ぶっ飛ばされたクローズさんは例によって最終奥義の黒鳥と化し、大きく羽根を広げると強力な絶望ビームをぶっ放します。これはヤバい!

「なれるさ。君なら。プリンセスに。
すると七色のバリアが突如発動し、力強い言葉を放つ彼の衣装が弾けてカナタ王子大復活へ。結構あっさり復活した? というか本当に本物だったのか。
「はるか、君が笑顔でいられるように、僕は君の夢を守りたい」
夢を忘れたカナタくんが復活できたのは新しい夢ができたから。なるほどシンプルだけど納得してしまう理由ではあります。しかしこれってコクっているのと(以下同文。ていうか戦闘中なのに赤くなってる場合か!(笑
「そうだ、あいつホープキングダムの王子…」
クローズさんはクローズさんで本当に気付いていなかったのか。本体(本物)が別に監禁されているのを知っていて「こんな所にいるはずない」とかそういう理屈じゃなかったのね。そしてはるはるからカナタへのプレゼントが光を放つと新しいキー「ロイヤルドレスアップキー」が登場して新必殺技のお披露目へ。本当に新製品が出てきてちょっと笑った。

さすがロイヤルと銘打つだけあってモードエレガントもエレガントの極み、というか思いっきりウェディングドレスです(笑。やはり女の子にとってドレスの最上位はコレなのね。純白のドレスに各色の巨大リボンを纏ったプリキュアたち。一方処刑台も華やかにグレードアップし、キラッキラの処刑檻に封じ込められた死刑囚をレインボーマーブルの光が貫く新必殺技「プリキュア グラン プランタン」が発動! せっかくのお披露目なのにギリギリのトコで逃げちゃうのはちょっとズルいよ(笑。特にストフリは実質お役御免だろうし、こいつらだけでも片付けちゃってよかったような気がする。まあここで消えるとほとんど無意味なキャラで終わってしまうし、おそらく今回限りで「絶望の種」が完全駆除されたわけでは無いだろうからまだ見せ場はありそう?

「あの時、僕は全ての力を使い果たし、夢も記憶も失った」
カナタ王子の記憶操作はディスピア様の仕業と思いきやそうではなかった? とはいえあの情況でディスピア様が指をくわえて見ているはずがない(と思われる)のでもう一段仕掛けがありそう? そこまで凝らないかなあ、でもタナカリオンだしなあ、などなど思いが巡るばかりです。とりあえずの種明かしが済むと、待ちかねたように愛しのお兄さまに駆け込むトワがまたかわいい。ああもうこの子ってば!
「お祝いを兼ねてまたプレゼント買い直さなきゃ」
「いや、いいんだ。君がやっと笑ってくれたから」
どんだけイケメンか! 前回のやらかしで地の底に落ちたカナタ王子が一気にストップ高に。あはは。しかしこの振幅を不自然に思わせないほど今回のカタルシスは凄かった。予告を見てフローラ復活は判っていてもAパートの絶望っぷりに不安MAX、そこからの復活劇は意外とあっさりでしたが、これまで重ねたキャラ描写に重ねれば納得の経緯で、キレキレの演出&作画も効いて30分間画面から目を離せなかった。私もプリキュアシリーズを長いこと見てるけどここまで入り込んだのは久しぶりのような気がする。こんなに面白いプリキュアが残り10話を切ってしまったなんていっぱい悲しい。

今回からEDがマイナーチェンジ? 客席のレフィは映画期間限定? ロイヤル仕様になったモードエレガントは本編に違わずキラッキラです。そして次回はお待ちかねのスタジオガッツ回、蕩けたトワの描写やついに明かされるホープキングダム王&王妃(?)の謎など見どころいっぱい楽しみです。
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