2016-04-13(Wed)
ばくおん!! #02 がっこう!!
この世のバイクが全部スズキなら

こんな差別は無くなるのに。
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こんな差別は無くなるのに。
アバン冒頭はバイ太と対話しながら順調に二輪教習を進める羽音から。一本橋懐かしいなあ。幅30cm・長さ15mの平均台を普通二輪なら7秒以上かけて渡る、もし途中で落ちたらその時点で試験中止という、二輪免許取得に関する結構なクライマックスだったりします。通過のポイントはバイ太が言ったとおり「ニーグリップと視線」で、これは「視線を行きたい方へ向ける」「視線の先に友達がいる」という今回クライマックス(卒検合格)への前振りを兼ねたワンシーン。ってなトコからOPへ。


OPテーマ曲は佐咲紗花さん歌唱の「FEEL×ALIVE」、澄んだ空のような爽快な曲に乗って女子高生たちがバイクを駆る映像は…何だかフツーの青春バイクアニメみたい。各キャラの愛車カットで全員脚を見せている辺り妙な拘りを感じます(笑。イロモノの来夢先輩を除けば乗車装備もきちんとしていて、走行姿勢や挙動など走行中の雰囲気も結構出ていて感心。3DCGは偉大だなあ。それにしてもバイクツーリングの楽しさがキラキラ溢れまくる青春全開の映像は本編内容を思うとちょっと照れくさい(笑


「キリンさんは泣かない」
Aパートは原作第4話「がっこう!!」、今や立派な(?)スズキ信者に育った凜がいかにしてこうなったか?に関するお話です。大好きなパパと動物園のキリンを眺めて無邪気に喜ぶ幼い凜がまずかわいい。こんな時代もあったのだなあ(笑。フルネーム「鈴乃木凜」を「すずの きりん」とバラすと名前に「キリン」が入っているという、カタナ乗りとして宿命付けられたネーミングの秘密(笑)に触れ…ここでバイク(バイクマンガ)に興味が無い方は「カタナとキリンにどういう関係が?」と思うかも。これは春本昌平氏によるバイクマンガ「キリン」に由来するもので、カタナを乗り回す同作主人公の口癖「キリンは泣かない」のくだりを引用したもの。本作では「キリンは我慢強いから泣かない」と簡単に説明されていましたが、本来の意味は二輪と四輪の関係を自然界の弱肉強食に準え、そこに若さを失った中年ライダーの悲哀と拘りが込められた結構深い言葉だったりするので、未読の方はぜひご一読を…と気軽に言えないマンガではあるのだなあ。パッと見の内容としてはいかついおっさんが延々とバトルしてるだけのマンガなので。ちなみにリアルタイムで買った第1巻初版本を持ってますが…もう26年も経つのか! ちなみに^2こんなマンガです。
動物園からの帰り道、自分の400カタナ(GSX400S)を「ニセモノ」と自嘲し、本物の1100カタナへのコンプレックスや教習所免許への見下しを切々と語るパパさんのセリフは痛々しくも結構リアルで、何というか聞いてて背中が痒くなります(笑。確かに当時は教習所で大型二輪を取った人を見下す傾向があったなあ。というか今のように誰でも大型に乗れる時代が来るなんて思ってもみなかった。落とすための試験に何回も何回も挑んで「自二車限定解除」のハンコをもらわないと大型に乗れなかった頃を体験していると、教習所で免許を「買った」人をヌルく感じてしまうのは仕方ないトコがあるのです。そういや第1話でオミットされた「教習所で免許を買う」というネタをここに入れてきました。マズくてカットされたんじゃなかったのね(笑。そういや普通車のAT限定を「女コドモが取る免許」と見下してた時代もあったなあ。今やATの方が標準になってしまって時代の変遷をしみじみ感じます。
そんな自嘲たらたらのパパに対し、タンデムシートで嬉しそうに「カタナの歌」を歌って元気付ける凜の健気さが辛い。それにしてもまさか本気でコレをやるとは思わなかった。「カタナに乗ってると~アタマがおかし…」って歌詞はマンマでしたが、さすがに節は変えていましたね(笑。このシーンで話題に出てきた「ヨシムラ KATANA 1135R」は実在するコンプリートモデルで、2000年に1100台限定で再発売された「GSX1100S ファイナルエディション」をベースに、バイクチューナーとして名高いヨシムラが2001年に5台のみ作り上げ市販された「究極のカタナ」…つまり15年前の話なのでアニメの放映時期と整合しませんが、これは原作の執筆時期(2011年)に準拠ってコトでひとつ。価格は当時で358万円と結構なお値段でしたが、エンジンはもちろん車体周りまで全てに手が入れられたチューニング内容を思えば格安かもしれません。ちなみに作中で語られた購入希望者審査(作文)も実話です。
「一生カタナに乗り続けます!」
その後事故って救急搬送、包帯ぐるぐる巻きで瀕死のパパの願いを叶えるべく、凜は必死にカタナの作文を書き…鬼気迫る表情&筆跡と手紙文の語りも大概ですが、カタナ筆箱とか下敷きとかどんだけカタナ一色の女子小学生なのかと(笑。それはともかく、この時凜がどんな気持ちでこの作文を書いたのか?が今に至る自我形成の肝なのだけれど、気持ち良いくらいバッサリカットされちゃって少々驚き。折れた鉛筆で取り憑かれたように「スズキカタナ」と書き続ける原稿用紙にその片鱗が表れていますが…これで未読視聴者に凜の真意が伝わるかどうか。ともあれそんなこんなで件の作文を書き上げた凜はパパの笑顔を期待して病室へ駆け込み、しかしパパのベッドはもぬけの殻でナンタルチアな悲劇オチ。と思いきや。
※凜が単なる鈴キチと誤解されると悲しいので原作での描写をシナリオ風に記述しておきます。
反転させておくのでどーでもいいという方はスルーしてください。
○ 事故後搬送された病室 (夕刻)
包帯ぐるぐる巻きでベッドに横たわる父親。側に寄り添う凜。
凜「私がカタナの作文を書いて、必ずパパをヨシムラカタナに乗せてあげる!!」
○ 鈴乃木家 (夜)
自室の机で原稿用紙に作文を書き始める凜。
凜M《だから…待ってて!!》
凜「私はカタナが大好きです。宇宙一カッコイイバイクだと思います」
凜M《バイクの事なんて全然わからない…だけど》
机に向かい必死に書き続ける。
凜「カタナを作ったスズキも大好きです。この世のバイクが全部スズキだったらなぁと思います」
凜「私も16才になったらバイクの免許を取ってカタナに乗りたいです」
凜M《たとえ嘘でも「本気で」カタナを最高だと思い込まねば》
鉛筆が折れても鬼気迫る表情で作文を書き続ける
凜「そして一生カタナに乗り続けます!!」
凜M《パパが居なくなる……!!》
○ 父親の病室 (朝)
完成した作文を持って病室に飛び込んできた凜
凜「パパ!! カタナの作文できたよ!! これをヨシムラに送って…」
からっぽのベッド
涙を溢して絶句する目元
凜M《キリンさんは、泣かない》
流れる涙を歯を食いしばって我慢する口元



「凜、何でそんなニセモノ引っ張り出してるんだ?」
凜の作文のおかげで1135Rを買えたってのに小憎らしい見下し。あはは。それでも凜はパパのお下がりである400カタナを愛して止まない。いい子じゃないですか! っていうかマフラーが2本付いてるカタナって結構違和感だったり。カタナ乗りのツレは1100と750ばかりでしたがたいていサイクロン(ヨシムラ製の集合マフラー)付けてたので。ここでチラリと見せた真新しい免許証によると凜は平成7年(1995年)生まれ、つまり先の回想は5歳くらいってコトですね。その子が16歳になって二輪免許を取った連載時期は2011年なのできっちり整合します。そういやこんな風に生年がハッキリ書かれている作品は珍しいかも。作中車両のモデルイヤーの都合もあり、連載当初は良いとしても続いているうちにリアルとの時差が生じてしまうため、たいていその辺はボカされるのが通例ですし。それはともかくウインクしてピースサインの免許写真は試験場でぶん殴られそう。下に制服を着込んだツナギの伸縮性も凄い(笑


一方前回引きで「スズキ差別論者」として敵視されてる恩紗はどうにかこうにか取り繕おうと、凜のバイクを褒めちぎる作戦に出ます。ほどなく放課後 駐輪場の400カタナを前に歯を浮かせる恩紗、ってなトコへ羽音と一緒に現れた凜は淀みなく続く恩紗の賛辞にパァッと弾け…ところが背後の凜に気付かない恩紗はパッと手のひらを返してボロクソ三昧。単に貶されるよりも一旦上げて突き落とす落差はキツく、激しく浮き沈む凜の心境をアニメでは上手いこと表現していたと思います。きっつー。というわけで恩紗の本音を知った凜は般若の如く怒りの炎を立ち昇らせ――

「凜ちゃんのオートバイかっこいいよ!」
「…キリンさんは泣かない!」
ってなトコで羽音の純真な言葉に救われ、泣かないキリンが涙を流すクライマックス…なのにあまりにあっさり流されて少々拍子抜けでした。ここはもっとクサい演出が欲しかったなあ。というかこれでは凜が何故泣くほど感激しているのか伝わりにくいと思う。
凜M 《その時、このバイクに対して一度も投げかけられた事がない言葉が聞こえた》
羽音「このオートバイかっこいいね」
凜 「羽音…こんなモジャ毛を助ける為にウソなんて言わなくても…」
羽音「私はウソは言わない。カッコイイよ!」
凜M 《ただその一言で全てのライダーは幸せになれる》
凜M 《ああ……パパと約束したのにな》
凜 「キリンさんは泣かない」
恩紗に向かって怒りの対峙の後、上記原作にある凜のモノローグがこのエピソードの肝なのにどうして切ってしまったのか。



Bパートはバイク部の4人目(凜はバイク部員では無い)、ワルに憧れる金持ちのお嬢さま三ノ輪聖の入部エピソード(原作第5話「れーす!!」)から。前振り無しでいきなり部室を訪れ、いきなりチキンレースの話題を振り、トントン拍子でチキンレースが始まってしまう改変は、テンポは良いけど聖の思惑がサッパ判らず…そもそもアニメでは聖が何故バイク部に入りたいのか語られていませんし、パッと現れてドボン!→入部とはいくら何でも飛ばしすぎでしょう。ちなみに聖のサイドカーは原作だとMVアグスタベースですがアニメではドカの750SSに変更されています。アグスタはさすがに使用許可が降りなかったのか、それとも後々使い回すCGモデリングの都合かな。


アツかった割りに現実的にサッサと止まった恩紗&凜と違い、ガチンコ勝負の来夢先輩vs執事の早川さんは土手際に向かってノーブレーキフルスロットル! ここでサイドカーから嗾ける聖お嬢さまの超テンションも大概ですが、ギリで止まった12Rの隣をノーブレーキで通過し土手を離陸しアイキャンフライ! そしてドボンと川に落ちての高笑いは原作以上に危険が危ない人っぽい。あははは。さすがアニメはこういうアクションが映えますね。落水後の透けブラをきっちり描いてくれたのも良し。

聖の入部エピソードを5分で終わらせてシーンは羽音の教習所へ。教習を終えてバイ太との立ち話(?)にて性別に関する顛末をつらつら語り…教習所仕様のデチューンを「去勢」に例えたバイ話はなかなか深い(笑。ほどなく羽音が駐輪場から離れると、入れ替わるようにやってきた教習所職員によって車両入れ替えの話が振られ、そして運命の卒検へ。
「このオートバイは喋ってくれない!」
新車に入れ替わった卒検車両はバイ太と違って何のアドバイスをくれません。卒検という重要シーンで初めて一人でバイクに跨る事になってしまい、不安にかられ焦った羽音は凡ミスを繰り返し…そんなこんなで検定は進み、今回冒頭では難なく通過できた一本橋を前に、たった一人の羽音は緊張の極みへ。バイ太のアドバイスがない不安さから涙を浮かべ、ふらふらと渡るうちにバランスを崩してあわや落下! の次の瞬間どこからともなく聞こえてきた応援の声にパッと顔を上げ――


「羽音ちゃーん! フレー! フレー! 羽音ちゃーん! 頑張れ頑張れ羽音ちゃーん!」
それは教習所の屋上から届いた聖の声でした。先のチキンレースにてダチ公認定した聖はチアガールの如く大きく足を開いて声援を送り、一方羽音はみんなからの応援に気付いて感激→覚醒と思いきや。
「女の子がそんな足を開いちゃダメだよー!」
この状況でこのセリフが出てくる天然っぷりに脱帽であります。あはは。しかし足の開きを指摘した事でニーグリップを思い出し、連鎖してバイ太からのアドバイスを思い出し――
「私はもう大丈夫。視線を遠く、もっと遠く…その視線の先には友達がいるから」
バイ太の加護から独り立ちして仲間と共に走り出す羽音、みんなで迎えた結果発表も無事合格してライダー羽音の誕生です。完全ド素人だった羽音を卒検まで導いたバイ太の存在はかなりファンタジーなれど、これからバイクに乗り続けるためには優しい加護から抜け出さければならない=ライダーとしての独り立ちを示唆する要素として結構上手く機能していたかもしれない。また「視線をもっと遠く」も何重もの意味に捉えられるキーワードになっていて、単車乗りにとってなかなか深みのあるお話でした。なのにオチで台無し(笑。でもこの「バイク」と「バイ」と「売女」を掛けた高度なオチはセリフだと判りにくかったかも。というか今どき「売女」なんて言葉通用するのかしらん。


OPテーマ曲は佐咲紗花さん歌唱の「FEEL×ALIVE」、澄んだ空のような爽快な曲に乗って女子高生たちがバイクを駆る映像は…何だかフツーの青春バイクアニメみたい。各キャラの愛車カットで全員脚を見せている辺り妙な拘りを感じます(笑。イロモノの来夢先輩を除けば乗車装備もきちんとしていて、走行姿勢や挙動など走行中の雰囲気も結構出ていて感心。3DCGは偉大だなあ。それにしてもバイクツーリングの楽しさがキラキラ溢れまくる青春全開の映像は本編内容を思うとちょっと照れくさい(笑


「キリンさんは泣かない」
Aパートは原作第4話「がっこう!!」、今や立派な(?)スズキ信者に育った凜がいかにしてこうなったか?に関するお話です。大好きなパパと動物園のキリンを眺めて無邪気に喜ぶ幼い凜がまずかわいい。こんな時代もあったのだなあ(笑。フルネーム「鈴乃木凜」を「すずの きりん」とバラすと名前に「キリン」が入っているという、カタナ乗りとして宿命付けられたネーミングの秘密(笑)に触れ…ここでバイク(バイクマンガ)に興味が無い方は「カタナとキリンにどういう関係が?」と思うかも。これは春本昌平氏によるバイクマンガ「キリン」に由来するもので、カタナを乗り回す同作主人公の口癖「キリンは泣かない」のくだりを引用したもの。本作では「キリンは我慢強いから泣かない」と簡単に説明されていましたが、本来の意味は二輪と四輪の関係を自然界の弱肉強食に準え、そこに若さを失った中年ライダーの悲哀と拘りが込められた結構深い言葉だったりするので、未読の方はぜひご一読を…と気軽に言えないマンガではあるのだなあ。パッと見の内容としてはいかついおっさんが延々とバトルしてるだけのマンガなので。ちなみにリアルタイムで買った第1巻初版本を持ってますが…もう26年も経つのか! ちなみに^2こんなマンガです。
動物園からの帰り道、自分の400カタナ(GSX400S)を「ニセモノ」と自嘲し、本物の1100カタナへのコンプレックスや教習所免許への見下しを切々と語るパパさんのセリフは痛々しくも結構リアルで、何というか聞いてて背中が痒くなります(笑。確かに当時は教習所で大型二輪を取った人を見下す傾向があったなあ。というか今のように誰でも大型に乗れる時代が来るなんて思ってもみなかった。落とすための試験に何回も何回も挑んで「自二車限定解除」のハンコをもらわないと大型に乗れなかった頃を体験していると、教習所で免許を「買った」人をヌルく感じてしまうのは仕方ないトコがあるのです。そういや第1話でオミットされた「教習所で免許を買う」というネタをここに入れてきました。マズくてカットされたんじゃなかったのね(笑。そういや普通車のAT限定を「女コドモが取る免許」と見下してた時代もあったなあ。今やATの方が標準になってしまって時代の変遷をしみじみ感じます。
そんな自嘲たらたらのパパに対し、タンデムシートで嬉しそうに「カタナの歌」を歌って元気付ける凜の健気さが辛い。それにしてもまさか本気でコレをやるとは思わなかった。「カタナに乗ってると~アタマがおかし…」って歌詞はマンマでしたが、さすがに節は変えていましたね(笑。このシーンで話題に出てきた「ヨシムラ KATANA 1135R」は実在するコンプリートモデルで、2000年に1100台限定で再発売された「GSX1100S ファイナルエディション」をベースに、バイクチューナーとして名高いヨシムラが2001年に5台のみ作り上げ市販された「究極のカタナ」…つまり15年前の話なのでアニメの放映時期と整合しませんが、これは原作の執筆時期(2011年)に準拠ってコトでひとつ。価格は当時で358万円と結構なお値段でしたが、エンジンはもちろん車体周りまで全てに手が入れられたチューニング内容を思えば格安かもしれません。ちなみに作中で語られた購入希望者審査(作文)も実話です。
「一生カタナに乗り続けます!」
その後事故って救急搬送、包帯ぐるぐる巻きで瀕死のパパの願いを叶えるべく、凜は必死にカタナの作文を書き…鬼気迫る表情&筆跡と手紙文の語りも大概ですが、カタナ筆箱とか下敷きとかどんだけカタナ一色の女子小学生なのかと(笑。それはともかく、この時凜がどんな気持ちでこの作文を書いたのか?が今に至る自我形成の肝なのだけれど、気持ち良いくらいバッサリカットされちゃって少々驚き。折れた鉛筆で取り憑かれたように「スズキカタナ」と書き続ける原稿用紙にその片鱗が表れていますが…これで未読視聴者に凜の真意が伝わるかどうか。ともあれそんなこんなで件の作文を書き上げた凜はパパの笑顔を期待して病室へ駆け込み、しかしパパのベッドはもぬけの殻でナンタルチアな悲劇オチ。と思いきや。
※凜が単なる鈴キチと誤解されると悲しいので原作での描写をシナリオ風に記述しておきます。
反転させておくのでどーでもいいという方はスルーしてください。
○ 事故後搬送された病室 (夕刻)
包帯ぐるぐる巻きでベッドに横たわる父親。側に寄り添う凜。
凜「私がカタナの作文を書いて、必ずパパをヨシムラカタナに乗せてあげる!!」
○ 鈴乃木家 (夜)
自室の机で原稿用紙に作文を書き始める凜。
凜M《だから…待ってて!!》
凜「私はカタナが大好きです。宇宙一カッコイイバイクだと思います」
凜M《バイクの事なんて全然わからない…だけど》
机に向かい必死に書き続ける。
凜「カタナを作ったスズキも大好きです。この世のバイクが全部スズキだったらなぁと思います」
凜「私も16才になったらバイクの免許を取ってカタナに乗りたいです」
凜M《たとえ嘘でも「本気で」カタナを最高だと思い込まねば》
鉛筆が折れても鬼気迫る表情で作文を書き続ける
凜「そして一生カタナに乗り続けます!!」
凜M《パパが居なくなる……!!》
○ 父親の病室 (朝)
完成した作文を持って病室に飛び込んできた凜
凜「パパ!! カタナの作文できたよ!! これをヨシムラに送って…」
からっぽのベッド
涙を溢して絶句する目元
凜M《キリンさんは、泣かない》
流れる涙を歯を食いしばって我慢する口元



「凜、何でそんなニセモノ引っ張り出してるんだ?」
凜の作文のおかげで1135Rを買えたってのに小憎らしい見下し。あはは。それでも凜はパパのお下がりである400カタナを愛して止まない。いい子じゃないですか! っていうかマフラーが2本付いてるカタナって結構違和感だったり。カタナ乗りのツレは1100と750ばかりでしたがたいていサイクロン(ヨシムラ製の集合マフラー)付けてたので。ここでチラリと見せた真新しい免許証によると凜は平成7年(1995年)生まれ、つまり先の回想は5歳くらいってコトですね。その子が16歳になって二輪免許を取った連載時期は2011年なのできっちり整合します。そういやこんな風に生年がハッキリ書かれている作品は珍しいかも。作中車両のモデルイヤーの都合もあり、連載当初は良いとしても続いているうちにリアルとの時差が生じてしまうため、たいていその辺はボカされるのが通例ですし。それはともかくウインクしてピースサインの免許写真は試験場でぶん殴られそう。下に制服を着込んだツナギの伸縮性も凄い(笑


一方前回引きで「スズキ差別論者」として敵視されてる恩紗はどうにかこうにか取り繕おうと、凜のバイクを褒めちぎる作戦に出ます。ほどなく放課後 駐輪場の400カタナを前に歯を浮かせる恩紗、ってなトコへ羽音と一緒に現れた凜は淀みなく続く恩紗の賛辞にパァッと弾け…ところが背後の凜に気付かない恩紗はパッと手のひらを返してボロクソ三昧。単に貶されるよりも一旦上げて突き落とす落差はキツく、激しく浮き沈む凜の心境をアニメでは上手いこと表現していたと思います。きっつー。というわけで恩紗の本音を知った凜は般若の如く怒りの炎を立ち昇らせ――

「凜ちゃんのオートバイかっこいいよ!」
「…キリンさんは泣かない!」
ってなトコで羽音の純真な言葉に救われ、泣かないキリンが涙を流すクライマックス…なのにあまりにあっさり流されて少々拍子抜けでした。ここはもっとクサい演出が欲しかったなあ。というかこれでは凜が何故泣くほど感激しているのか伝わりにくいと思う。
凜M 《その時、このバイクに対して一度も投げかけられた事がない言葉が聞こえた》
羽音「このオートバイかっこいいね」
凜 「羽音…こんなモジャ毛を助ける為にウソなんて言わなくても…」
羽音「私はウソは言わない。カッコイイよ!」
凜M 《ただその一言で全てのライダーは幸せになれる》
凜M 《ああ……パパと約束したのにな》
凜 「キリンさんは泣かない」
恩紗に向かって怒りの対峙の後、上記原作にある凜のモノローグがこのエピソードの肝なのにどうして切ってしまったのか。



Bパートはバイク部の4人目(凜はバイク部員では無い)、ワルに憧れる金持ちのお嬢さま三ノ輪聖の入部エピソード(原作第5話「れーす!!」)から。前振り無しでいきなり部室を訪れ、いきなりチキンレースの話題を振り、トントン拍子でチキンレースが始まってしまう改変は、テンポは良いけど聖の思惑がサッパ判らず…そもそもアニメでは聖が何故バイク部に入りたいのか語られていませんし、パッと現れてドボン!→入部とはいくら何でも飛ばしすぎでしょう。ちなみに聖のサイドカーは原作だとMVアグスタベースですがアニメではドカの750SSに変更されています。アグスタはさすがに使用許可が降りなかったのか、それとも後々使い回すCGモデリングの都合かな。


アツかった割りに現実的にサッサと止まった恩紗&凜と違い、ガチンコ勝負の来夢先輩vs執事の早川さんは土手際に向かってノーブレーキフルスロットル! ここでサイドカーから嗾ける聖お嬢さまの超テンションも大概ですが、ギリで止まった12Rの隣をノーブレーキで通過し土手を離陸しアイキャンフライ! そしてドボンと川に落ちての高笑いは原作以上に危険が危ない人っぽい。あははは。さすがアニメはこういうアクションが映えますね。落水後の透けブラをきっちり描いてくれたのも良し。

聖の入部エピソードを5分で終わらせてシーンは羽音の教習所へ。教習を終えてバイ太との立ち話(?)にて性別に関する顛末をつらつら語り…教習所仕様のデチューンを「去勢」に例えたバイ話はなかなか深い(笑。ほどなく羽音が駐輪場から離れると、入れ替わるようにやってきた教習所職員によって車両入れ替えの話が振られ、そして運命の卒検へ。
「このオートバイは喋ってくれない!」
新車に入れ替わった卒検車両はバイ太と違って何のアドバイスをくれません。卒検という重要シーンで初めて一人でバイクに跨る事になってしまい、不安にかられ焦った羽音は凡ミスを繰り返し…そんなこんなで検定は進み、今回冒頭では難なく通過できた一本橋を前に、たった一人の羽音は緊張の極みへ。バイ太のアドバイスがない不安さから涙を浮かべ、ふらふらと渡るうちにバランスを崩してあわや落下! の次の瞬間どこからともなく聞こえてきた応援の声にパッと顔を上げ――


「羽音ちゃーん! フレー! フレー! 羽音ちゃーん! 頑張れ頑張れ羽音ちゃーん!」
それは教習所の屋上から届いた聖の声でした。先のチキンレースにてダチ公認定した聖はチアガールの如く大きく足を開いて声援を送り、一方羽音はみんなからの応援に気付いて感激→覚醒と思いきや。
「女の子がそんな足を開いちゃダメだよー!」
この状況でこのセリフが出てくる天然っぷりに脱帽であります。あはは。しかし足の開きを指摘した事でニーグリップを思い出し、連鎖してバイ太からのアドバイスを思い出し――
「私はもう大丈夫。視線を遠く、もっと遠く…その視線の先には友達がいるから」
バイ太の加護から独り立ちして仲間と共に走り出す羽音、みんなで迎えた結果発表も無事合格してライダー羽音の誕生です。完全ド素人だった羽音を卒検まで導いたバイ太の存在はかなりファンタジーなれど、これからバイクに乗り続けるためには優しい加護から抜け出さければならない=ライダーとしての独り立ちを示唆する要素として結構上手く機能していたかもしれない。また「視線をもっと遠く」も何重もの意味に捉えられるキーワードになっていて、単車乗りにとってなかなか深みのあるお話でした。なのにオチで台無し(笑。でもこの「バイク」と「バイ」と「売女」を掛けた高度なオチはセリフだと判りにくかったかも。というか今どき「売女」なんて言葉通用するのかしらん。
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