2016-04-20(Wed)
ばくおん!! #03 でびゅー!!
オートバイの事なら恩紗ちゃんを信じてる。

だから恩紗ちゃんの店で買うよ!

まずは原作第7話「でびゅー!!」から。無事に普自二を取得した羽音が紆余曲折(?)の後、愛車「CB400SF(Super Four)」を手に入れ公道デビューするまでのお話です。円周率だった凜の免許番号と違って羽音のそれはお遊びなし? ナンチャッテおじさんの免許写真はギャグマンガ(原作どおり)とはいえ少々はっちゃけすぎ、ここは「免許写真は不細工に写る」みたいなあるあるネタの方がハマったかも。そういやゼロから教習所に通った羽音の免許は「普自二」のみで…私の頃は16才の誕生日を過ぎるとすぐ原付を取り、原チャに乗って教習所に通うのが黄金パターンというか、原チャ経験が無いまま自二を取る子がほとんどいなかったため「普自二」のみの免許って何だか不思議だったり。今どきはこうなのだろうか。ていうか羽音も凜に負けずスタイル良いよね(笑
免許を取ったら次はバイク選びってコトで、バイク雑誌を眺めながら何も知らない羽音へアレコレ吹き込む恩紗&凜。まあ見方によっては一番楽しい時期でもあります。そんなこんなで羽音は教習所で乗り慣れたCB400SFを候補に挙げ、すると2人は明確に反対はせずともやんわりブレーキ。性能は不満無く壊れず乗りやすい いわゆる優等生バイクの筆頭であるSFは誰が乗っても満足できてしまう、逆に言うとその満足感ゆえに他のバイクに乗り換える気がしなくなる=数多ある個性的なバイクを体験せずバイクライフを続けるのはモッタイナイ! ってな理屈なのですね。まあその辺の考え方は人それぞれなのでナントモですが、個人的にはいろんなバイクに乗った方が面白いとは思います(飽きっぽいだけ。でもカタナ一途の凜みたいな人生も悪くは無い。
「ニコイチモータースだって」
「その店はやめといた方が…」
バイク雑誌を眺めて暫し、SFやカタナを安く売ってるバイク屋の広告を見つけた凜はその店名を挙げ、すると恩紗はいきなり挙動不審&やんわり反対の意志を…上ずった声と泳ぐ目がいかにも意味深なヒトコマであります(笑

キョドる恩紗をスルーしてみなさん揃って件のバイク屋へゴー! ほどなく到着した店は「YSP」の看板が外された跡が結構生々しい(笑。平たく言うと「YSP」とはヤマハの正規ディーラーのようなもので、以前は街中でも結構見かけたのですが、ある時期その看板の審査が厳しくなり、販売力や技術力など一定の基準を満たさないと「YSP」を名乗れなくなったのです。つまりそれを外されたというコトは…推して知るべし。
ともあれご一行は店に入って物色開始…ってこのケツは大ガンマじゃん! 以前の愛車が出ると何だか嬉しい。カタナのメーターも懐かしいなあ。15,500rpmからレッドゾーンのタコメーターは凜おすすめ(笑)の250、この時代の4発クオーターはアホみたく高回転型だっけ。赤まで回すとまさに悲鳴絶叫の如く勇ましい咆哮を上げるんだけど音ばっかで全然進まないんだよなあ(懐。年式の割りに走行距離が少ないのはニコイチモータース名物のメーター戻しによるもので、車体を見ればあちこち錆びていてお世辞にも程度が良いとは言えません。
車両を見物しながら何だかんだ理由を付けて店から出ようとする恩紗、ってなトコでこの店が恩紗の家であるコトがバレてじつにナントモ気まずい空気ががが。恩紗は自分の家の商品がヤバいと判っているため、友達である羽音をそんなバイクに乗せられない!と頑なに反対していたのでした。まあこれを「友達思いの美談」と捉えるには少々ビミョーではありますけれど(笑。他の展示車両も来夢先輩の神眼によって次々とボロが暴かれ、凜が見ていたカタナのマフラーからはカニとワカメが出てきて…水没カタナのネタは「キリン」を読んでた方なら変な笑いが生まれそう。などなど曰くありげな展示車両の数々、いかにも手入れされていない薄汚れっぷりも妙にリアルでした(笑


「ピンクのスーフォア…」
そんなドタバタの一方で羽音は運命の出会い、後に愛車となるピンクのSFを見つけ心惹かれていました。神眼の来夢先輩も「きゃわいい」とお墨付き。それでも頑なに反対していた凜は偶然訪れたパパさんの激白によって自分の400カタナの経歴(メーター戻しの水没車)を知るとあっさり手のひらを返し、涙を流して止めていた恩紗は羽音からの絶対の信頼を受けて販売を承諾。メーター戻しの格安バイクを売り抜ける決して綺麗とは言えない商売なれど、そのおかげで自分たちは育てられた、けれど大切な友達には…というフクザツな葛藤を「信頼」で乗り越える流れはなかなかドラマチックではありますが、騙されて買う他の客のコトを思えば素直に美談と思えない一面もあり、要するにそういう部分を含めて人の美醜が結構リアルに描かれている所が本作の面白さかもしれない。
その後の自宅でハンコが上下逆に押された契約書は羽音が「売主」になっている不思議。ここの短いやり取りがバッサリ改変されていたのはちょっと残念でした。ちなみに原作だと由女ちゃんが契約書を書く=羽音に書かせられない、だからこそ羽音が唯一手を付けた逆ハンコのオチが効くのに。

さて恩紗の献身的な徹夜整備から暫し、全体的に薄汚れていた車体もピカピカに磨き上げられ、いよいよ羽音のSFが納車となります。さっそく跨る羽音へヘルメットを渡すくだりは原作から改変されていますがこっちのが自然なので良し。そのメットを被った瞬間世界が一変、無音の世界に飲み込まれた羽音は導かれるようにそのまま走り出し、自由な翼を感じるとモノクロの世界がバァッと色づく。この一連シーンは音と動きが加わるアニメ効果によってリアリティありあり、バイクに初めて乗った時の感覚を綺麗に映像化してくれました。いい演出です。
ガス欠のオチも納車あるあるですが発車時のフューエルメーターを見ると結構入っているのでイマイチ説得力が無かったかも。ここは1目盛りにしとけば。また細かいコトを言うとオドメーターが「018418km/h」になっているのもミス、発車シーケンスのリアリティは増したけれどメーター周りをきっちり描いたのが仇になってしまった? というか400 4気筒でこの距離だとそろそろ腰上をバラしたくなる頃合いだなあ。今どきのバイクはそうでもないのかな。

Bパートは原作第8話「つーりんぐ!!」から。このエピソードはもう凜の面倒くささを堪能していただくしか。計画を話し合う部室からして面倒くささ全開、いざ当日となったらあれだけ啖呵を切ったのに偶然を装いつつしっかり付いて来るという面倒な子です(笑。凜のメットだけヘッドセットのスピーカが付いていない=走行中のファンキーな独り言が一方通行で筒抜けってのも凜の痛さをブーストしてます。あはは。例の「カタナの歌」をフルコーラスで聞けたのは朗報かも(笑。ノリノリでパッシングミサイル発射! は痛々しいけどその気持ち判らんでもありません。峠で前車に追い付いたら「よーしロックオン!」とか思っちゃうし。この道中での凜の独り言が結構カットされてしまって残念なれど、まあネタ的に放送できない事情はありそうなので気になる方は原作をどうぞ(ステマ。またみんなからはぐれた羽音がソロ走り(凜)の心境を理解するシーンもカット…これがあればこそ凜の奇行が生きてくるのに、カットされたため凜がただの変な子になってしまった。
「あら、こんな所で会うなんて偶然ね」
道の駅に着いて開口一番偶然を装う凜がめんどくさいかわいい(笑。そういえば人は何故出先でソフトクリームを食べたくなるのだろう。関係ないけど凜のツナギのデザインが黒い紐パンにしか見えずちょっと笑った。ちなみに元デザインはこんな感じのはずなんですけどね。

「この負け犬!」
駐車場で行われていた大型or250のカタナ集会にて描かれるカタナヒエラルキーは少々デフォルメされているとはいえ結構リアルだったりして。大型以外認めない大型組、どこまでも卑屈な250組、一方どちらにも属せない400カタナの孤独感も妙にリアル(笑。車検取るならせめて750を買えばいいのに…そうはいかない中免の悲哀が400カタナの9割くらい占めている気がする。とはいえ大型カタナは重たいから街乗りだと400の方が良さげ。借りてちょっと乗ったツレの1100が重いわ長いわ止まらんわロクな記憶が無い。
「凜ちゃん、私知ってるよ」
「凜ちゃんはね、ヘルメットの中でだけは素直な女の子になれるんだって」
川辺で1人佇みソフトクリームを食べる凜へ不意にメットを被せて話し掛ける羽音。ここがこのエピソードのハイライトなのですが、前述の原作オミットによって羽音の言葉にイマイチ説得力が無くなってしまった。限られた尺に収める取捨選択は大変とは思いますが、毎回毎回肝心なトコをカットしてしまったら意味が無いような気がする。そして写真撮影のオチもガラッと改変されて何事?と思ったら、そのままシームレスで原作第9話「はいぶ!!」へ突入。今や存在しないの「バイク部」に纏わる来夢先輩&たづ子先生のエピソード、なるほどこのワンカットのために来夢先輩は今回ツーリングに不参加だったのでした。
「あなたはずっとそこにいたのね」

「はぁ? バイク部が潰れてる?」
「それも20年前にってどういう事ですの?」
というわけで風前の灯火どころかとっくに消えていたバイク部の復活劇(?)が始まります。まずはこれを機に新生バイク部の設立を企てる凜のヒトコマ。みんなの仲間になりたいのに素直に入れない凜は宿敵モジャを除いた他メンツを誘い新しいバイク部を作るため部室を出て行こうとしますが、羽音の説得によって部室に留まり、結局恩紗のリードによって新バイク部が作られる事に。創部の最低人数は4人ってコトで申請書に名前をつらつら、羽音・聖・恩紗と書いた次に来夢先輩の名前を書こうと…そういえば来夢先輩のフルネームを知らない、というか「来夢」が名字なのか名前なのかすら判らず、申請書を書く手が止まってしまいます。このままでは人数が足りず創部できない! ってトコで声を掛けられ待ってました!と振り返った凜は「名前だけ貸して」と言われてガックリ。あはは。

「ヘルメット換えたんですね」
12Rを整備する来夢先輩のトコへたづ子先生がやってきて在りし日の回想スタート、シーンは20年前のツインリンクもてぎ…開業が1997年なので作中時間(2011年)と整合しませんがそこはファンタジーってコトで。回想の来夢先輩が乗っているレーサーは90~92年式のNSR250R(SP?)とこちらは整合していて、要するに回想を原作どおり筑波にすりゃ何の問題も無かった。使用許可が下りなかったのか、それとももてぎだとホンダ絡みで話が早かったのか。ここで来夢先輩とバトっているヤマハのマシン、「峰」のマーキングが施された後方排気TZR250(いわゆるサンマ)は後の伏線になっているのですが今回は全く触れられず。あらら。ちなみにこのサンマはFフォークが正立なので89年式と思われます。
「女子高生メカニックが手を真っ黒にして整備しますから大船に乗ったつもりでいてください」
たづ子先生が女子高生だった頃のバイク部、レーシングチーム「チーム・バージン」としてエントリーしたレースで予選を通ったのは来夢先輩だけで、たづ子さんを含めた他の部員(セーコ&アキナ)はメカニックとして整備を担当する事に。この当時から来夢「先輩」なんですよね(笑。しかしレースが佳境を迎えた頃、メカニック少女のポケットからネジが1本出てきて…組み上げた後に余ったネジを見つけると全力でガッカリしますが、作中ではそんな余裕など無く、来夢先輩のマシンはチェッカー目前で爆発炎上! ぶっとびー! たづ子さんのアクションやぶっ飛ぶ来夢先輩などいちいち昭和っぽいというかうる星っぽいのは西村監督ゆえか。

これをして「女子高生とバイクの組み合わせは最悪」と結論付けたたづ子さんは、時を経て学園長に収まった今も考えを変えず、かわいい生徒たちを守るためバイク部は認められないと…ならばバイク禁止にするのが筋と思うけれど、そこまで縛らないのは元バイク乗りの心意気と解釈しときます(笑
「でも、もし先輩がバイクに纏わるあらゆる危険からあの子たちを守ると言うのなら…」
すると無言で(いつも無言だけど)「大丈夫」と示す来夢先輩。バイク部室の地縛霊がバイク部の守護霊となった瞬間であります。その言葉を聞いたたづ子さんは来夢先輩が今最も欲しいであろうもの、女子高生としての身分証を差し出し――
「バイク部の認可を祝して、ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!」
シーンはバイク部部室に変わり、無事認可されて万歳三唱のみなさん。一方凜は名前を貸した功績にドヤ顔しつつ、不本意を装いながらバイク部に入れたコトを内心喜んでいました。めんどくさいかわいい。ああそれなのに。
「来夢先輩の名前とクラスが判ったから、凜の名前はちゃんと消しといたから」
「でも入りたいって言うんなら…」
「誰が入ってやるもんですかー!」
あんまりの扱い(笑)に拗ねた凜は部室を飛び出しカタナで遁走はいいけれど誰も追ってこなくて寂しい。あははは。そしてもたもたUターン&立ちゴケのコンボ…単車乗りなら誰しも一度は経験するであろう芋の極み、おっとっとからのガシャン! このナントモ言えない情けなさは見ているだけで「あああ…」って顔になってしまいます(笑。ちなみに原作だとノーヘルで飛び出すけどさすがアニメではきちんとメットを被ってますね。ってな様子を遠目で見ていた来夢先輩&たづ子さん。
「あの子たちを守るんじゃなかったの?」
「えっ? あの子はバイク部員じゃないって?」
というわけで来夢先輩からもスルーされた凜の哀れでオチ。このパートも原作からのオミットが激しく、新生バイク部の申請書を受け取り悩んだたづ子さんが来夢先輩の元へ行くくだりがカットされてしまったため、お話の流れがブツ切れというかダイジェスト版みたいな印象でした。何度も書くけどどうも全てのエピソードの肝心のトコをピンポイントでカットされてる感じで微妙にモニョる、というか原作1エピソード(24P)を5分で消化はさすがに端折りすぎ・詰め込みすぎでしょう。このペースだと次回は原作9~12話、結構濃いぃ内容だけにはたしてどんだけ削られるのか楽しみ(?)だったり。
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だから恩紗ちゃんの店で買うよ!

まずは原作第7話「でびゅー!!」から。無事に普自二を取得した羽音が紆余曲折(?)の後、愛車「CB400SF(Super Four)」を手に入れ公道デビューするまでのお話です。円周率だった凜の免許番号と違って羽音のそれはお遊びなし? ナンチャッテおじさんの免許写真はギャグマンガ(原作どおり)とはいえ少々はっちゃけすぎ、ここは「免許写真は不細工に写る」みたいなあるあるネタの方がハマったかも。そういやゼロから教習所に通った羽音の免許は「普自二」のみで…私の頃は16才の誕生日を過ぎるとすぐ原付を取り、原チャに乗って教習所に通うのが黄金パターンというか、原チャ経験が無いまま自二を取る子がほとんどいなかったため「普自二」のみの免許って何だか不思議だったり。今どきはこうなのだろうか。ていうか羽音も凜に負けずスタイル良いよね(笑
免許を取ったら次はバイク選びってコトで、バイク雑誌を眺めながら何も知らない羽音へアレコレ吹き込む恩紗&凜。まあ見方によっては一番楽しい時期でもあります。そんなこんなで羽音は教習所で乗り慣れたCB400SFを候補に挙げ、すると2人は明確に反対はせずともやんわりブレーキ。性能は不満無く壊れず乗りやすい いわゆる優等生バイクの筆頭であるSFは誰が乗っても満足できてしまう、逆に言うとその満足感ゆえに他のバイクに乗り換える気がしなくなる=数多ある個性的なバイクを体験せずバイクライフを続けるのはモッタイナイ! ってな理屈なのですね。まあその辺の考え方は人それぞれなのでナントモですが、個人的にはいろんなバイクに乗った方が面白いとは思います(飽きっぽいだけ。でもカタナ一途の凜みたいな人生も悪くは無い。
「ニコイチモータースだって」
「その店はやめといた方が…」
バイク雑誌を眺めて暫し、SFやカタナを安く売ってるバイク屋の広告を見つけた凜はその店名を挙げ、すると恩紗はいきなり挙動不審&やんわり反対の意志を…上ずった声と泳ぐ目がいかにも意味深なヒトコマであります(笑

キョドる恩紗をスルーしてみなさん揃って件のバイク屋へゴー! ほどなく到着した店は「YSP」の看板が外された跡が結構生々しい(笑。平たく言うと「YSP」とはヤマハの正規ディーラーのようなもので、以前は街中でも結構見かけたのですが、ある時期その看板の審査が厳しくなり、販売力や技術力など一定の基準を満たさないと「YSP」を名乗れなくなったのです。つまりそれを外されたというコトは…推して知るべし。
ともあれご一行は店に入って物色開始…ってこのケツは大ガンマじゃん! 以前の愛車が出ると何だか嬉しい。カタナのメーターも懐かしいなあ。15,500rpmからレッドゾーンのタコメーターは凜おすすめ(笑)の250、この時代の4発クオーターはアホみたく高回転型だっけ。赤まで回すとまさに悲鳴絶叫の如く勇ましい咆哮を上げるんだけど音ばっかで全然進まないんだよなあ(懐。年式の割りに走行距離が少ないのはニコイチモータース名物のメーター戻しによるもので、車体を見ればあちこち錆びていてお世辞にも程度が良いとは言えません。
車両を見物しながら何だかんだ理由を付けて店から出ようとする恩紗、ってなトコでこの店が恩紗の家であるコトがバレてじつにナントモ気まずい空気ががが。恩紗は自分の家の商品がヤバいと判っているため、友達である羽音をそんなバイクに乗せられない!と頑なに反対していたのでした。まあこれを「友達思いの美談」と捉えるには少々ビミョーではありますけれど(笑。他の展示車両も来夢先輩の神眼によって次々とボロが暴かれ、凜が見ていたカタナのマフラーからはカニとワカメが出てきて…水没カタナのネタは「キリン」を読んでた方なら変な笑いが生まれそう。などなど曰くありげな展示車両の数々、いかにも手入れされていない薄汚れっぷりも妙にリアルでした(笑


「ピンクのスーフォア…」
そんなドタバタの一方で羽音は運命の出会い、後に愛車となるピンクのSFを見つけ心惹かれていました。神眼の来夢先輩も「きゃわいい」とお墨付き。それでも頑なに反対していた凜は偶然訪れたパパさんの激白によって自分の400カタナの経歴(メーター戻しの水没車)を知るとあっさり手のひらを返し、涙を流して止めていた恩紗は羽音からの絶対の信頼を受けて販売を承諾。メーター戻しの格安バイクを売り抜ける決して綺麗とは言えない商売なれど、そのおかげで自分たちは育てられた、けれど大切な友達には…というフクザツな葛藤を「信頼」で乗り越える流れはなかなかドラマチックではありますが、騙されて買う他の客のコトを思えば素直に美談と思えない一面もあり、要するにそういう部分を含めて人の美醜が結構リアルに描かれている所が本作の面白さかもしれない。
その後の自宅でハンコが上下逆に押された契約書は羽音が「売主」になっている不思議。ここの短いやり取りがバッサリ改変されていたのはちょっと残念でした。ちなみに原作だと由女ちゃんが契約書を書く=羽音に書かせられない、だからこそ羽音が唯一手を付けた逆ハンコのオチが効くのに。

さて恩紗の献身的な徹夜整備から暫し、全体的に薄汚れていた車体もピカピカに磨き上げられ、いよいよ羽音のSFが納車となります。さっそく跨る羽音へヘルメットを渡すくだりは原作から改変されていますがこっちのが自然なので良し。そのメットを被った瞬間世界が一変、無音の世界に飲み込まれた羽音は導かれるようにそのまま走り出し、自由な翼を感じるとモノクロの世界がバァッと色づく。この一連シーンは音と動きが加わるアニメ効果によってリアリティありあり、バイクに初めて乗った時の感覚を綺麗に映像化してくれました。いい演出です。
ガス欠のオチも納車あるあるですが発車時のフューエルメーターを見ると結構入っているのでイマイチ説得力が無かったかも。ここは1目盛りにしとけば。また細かいコトを言うとオドメーターが「018418km/h」になっているのもミス、発車シーケンスのリアリティは増したけれどメーター周りをきっちり描いたのが仇になってしまった? というか400 4気筒でこの距離だとそろそろ腰上をバラしたくなる頃合いだなあ。今どきのバイクはそうでもないのかな。

Bパートは原作第8話「つーりんぐ!!」から。このエピソードはもう凜の面倒くささを堪能していただくしか。計画を話し合う部室からして面倒くささ全開、いざ当日となったらあれだけ啖呵を切ったのに偶然を装いつつしっかり付いて来るという面倒な子です(笑。凜のメットだけヘッドセットのスピーカが付いていない=走行中のファンキーな独り言が一方通行で筒抜けってのも凜の痛さをブーストしてます。あはは。例の「カタナの歌」をフルコーラスで聞けたのは朗報かも(笑。ノリノリでパッシングミサイル発射! は痛々しいけどその気持ち判らんでもありません。峠で前車に追い付いたら「よーしロックオン!」とか思っちゃうし。この道中での凜の独り言が結構カットされてしまって残念なれど、まあネタ的に放送できない事情はありそうなので気になる方は原作をどうぞ(ステマ。またみんなからはぐれた羽音がソロ走り(凜)の心境を理解するシーンもカット…これがあればこそ凜の奇行が生きてくるのに、カットされたため凜がただの変な子になってしまった。
「あら、こんな所で会うなんて偶然ね」
道の駅に着いて開口一番偶然を装う凜がめんどくさいかわいい(笑。そういえば人は何故出先でソフトクリームを食べたくなるのだろう。関係ないけど凜のツナギのデザインが黒い紐パンにしか見えずちょっと笑った。ちなみに元デザインはこんな感じのはずなんですけどね。

「この負け犬!」
駐車場で行われていた大型or250のカタナ集会にて描かれるカタナヒエラルキーは少々デフォルメされているとはいえ結構リアルだったりして。大型以外認めない大型組、どこまでも卑屈な250組、一方どちらにも属せない400カタナの孤独感も妙にリアル(笑。車検取るならせめて750を買えばいいのに…そうはいかない中免の悲哀が400カタナの9割くらい占めている気がする。とはいえ大型カタナは重たいから街乗りだと400の方が良さげ。借りてちょっと乗ったツレの1100が重いわ長いわ止まらんわロクな記憶が無い。
「凜ちゃん、私知ってるよ」
「凜ちゃんはね、ヘルメットの中でだけは素直な女の子になれるんだって」
川辺で1人佇みソフトクリームを食べる凜へ不意にメットを被せて話し掛ける羽音。ここがこのエピソードのハイライトなのですが、前述の原作オミットによって羽音の言葉にイマイチ説得力が無くなってしまった。限られた尺に収める取捨選択は大変とは思いますが、毎回毎回肝心なトコをカットしてしまったら意味が無いような気がする。そして写真撮影のオチもガラッと改変されて何事?と思ったら、そのままシームレスで原作第9話「はいぶ!!」へ突入。今や存在しないの「バイク部」に纏わる来夢先輩&たづ子先生のエピソード、なるほどこのワンカットのために来夢先輩は今回ツーリングに不参加だったのでした。
「あなたはずっとそこにいたのね」

「はぁ? バイク部が潰れてる?」
「それも20年前にってどういう事ですの?」
というわけで風前の灯火どころかとっくに消えていたバイク部の復活劇(?)が始まります。まずはこれを機に新生バイク部の設立を企てる凜のヒトコマ。みんなの仲間になりたいのに素直に入れない凜は宿敵モジャを除いた他メンツを誘い新しいバイク部を作るため部室を出て行こうとしますが、羽音の説得によって部室に留まり、結局恩紗のリードによって新バイク部が作られる事に。創部の最低人数は4人ってコトで申請書に名前をつらつら、羽音・聖・恩紗と書いた次に来夢先輩の名前を書こうと…そういえば来夢先輩のフルネームを知らない、というか「来夢」が名字なのか名前なのかすら判らず、申請書を書く手が止まってしまいます。このままでは人数が足りず創部できない! ってトコで声を掛けられ待ってました!と振り返った凜は「名前だけ貸して」と言われてガックリ。あはは。

「ヘルメット換えたんですね」
12Rを整備する来夢先輩のトコへたづ子先生がやってきて在りし日の回想スタート、シーンは20年前のツインリンクもてぎ…開業が1997年なので作中時間(2011年)と整合しませんがそこはファンタジーってコトで。回想の来夢先輩が乗っているレーサーは90~92年式のNSR250R(SP?)とこちらは整合していて、要するに回想を原作どおり筑波にすりゃ何の問題も無かった。使用許可が下りなかったのか、それとももてぎだとホンダ絡みで話が早かったのか。ここで来夢先輩とバトっているヤマハのマシン、「峰」のマーキングが施された後方排気TZR250(いわゆるサンマ)は後の伏線になっているのですが今回は全く触れられず。あらら。ちなみにこのサンマはFフォークが正立なので89年式と思われます。
「女子高生メカニックが手を真っ黒にして整備しますから大船に乗ったつもりでいてください」
たづ子先生が女子高生だった頃のバイク部、レーシングチーム「チーム・バージン」としてエントリーしたレースで予選を通ったのは来夢先輩だけで、たづ子さんを含めた他の部員(セーコ&アキナ)はメカニックとして整備を担当する事に。この当時から来夢「先輩」なんですよね(笑。しかしレースが佳境を迎えた頃、メカニック少女のポケットからネジが1本出てきて…組み上げた後に余ったネジを見つけると全力でガッカリしますが、作中ではそんな余裕など無く、来夢先輩のマシンはチェッカー目前で爆発炎上! ぶっとびー! たづ子さんのアクションやぶっ飛ぶ来夢先輩などいちいち昭和っぽいというかうる星っぽいのは西村監督ゆえか。

これをして「女子高生とバイクの組み合わせは最悪」と結論付けたたづ子さんは、時を経て学園長に収まった今も考えを変えず、かわいい生徒たちを守るためバイク部は認められないと…ならばバイク禁止にするのが筋と思うけれど、そこまで縛らないのは元バイク乗りの心意気と解釈しときます(笑
「でも、もし先輩がバイクに纏わるあらゆる危険からあの子たちを守ると言うのなら…」
すると無言で(いつも無言だけど)「大丈夫」と示す来夢先輩。バイク部室の地縛霊がバイク部の守護霊となった瞬間であります。その言葉を聞いたたづ子さんは来夢先輩が今最も欲しいであろうもの、女子高生としての身分証を差し出し――
「バイク部の認可を祝して、ばんざーい! ばんざーい! ばんざーい!」
シーンはバイク部部室に変わり、無事認可されて万歳三唱のみなさん。一方凜は名前を貸した功績にドヤ顔しつつ、不本意を装いながらバイク部に入れたコトを内心喜んでいました。めんどくさいかわいい。ああそれなのに。
「来夢先輩の名前とクラスが判ったから、凜の名前はちゃんと消しといたから」
「でも入りたいって言うんなら…」
「誰が入ってやるもんですかー!」
あんまりの扱い(笑)に拗ねた凜は部室を飛び出しカタナで遁走はいいけれど誰も追ってこなくて寂しい。あははは。そしてもたもたUターン&立ちゴケのコンボ…単車乗りなら誰しも一度は経験するであろう芋の極み、おっとっとからのガシャン! このナントモ言えない情けなさは見ているだけで「あああ…」って顔になってしまいます(笑。ちなみに原作だとノーヘルで飛び出すけどさすがアニメではきちんとメットを被ってますね。ってな様子を遠目で見ていた来夢先輩&たづ子さん。
「あの子たちを守るんじゃなかったの?」
「えっ? あの子はバイク部員じゃないって?」
というわけで来夢先輩からもスルーされた凜の哀れでオチ。このパートも原作からのオミットが激しく、新生バイク部の申請書を受け取り悩んだたづ子さんが来夢先輩の元へ行くくだりがカットされてしまったため、お話の流れがブツ切れというかダイジェスト版みたいな印象でした。何度も書くけどどうも全てのエピソードの肝心のトコをピンポイントでカットされてる感じで微妙にモニョる、というか原作1エピソード(24P)を5分で消化はさすがに端折りすぎ・詰め込みすぎでしょう。このペースだと次回は原作9~12話、結構濃いぃ内容だけにはたしてどんだけ削られるのか楽しみ(?)だったり。
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