2016-06-08(Wed)
ばくおん!! #10 こうはい!!
現役レーサー千雨の試練(自業自得)。

自分を偽ることなかれ。


アバンは千雨&由女ちゃん&モブ子ちゃん新入生組のゲーセン風景、というわけで今回は原作第33話「じてんしゃ!!」を飛ばして第34話「はんぐおん!!」から。ある意味この原作マンガを有名にしてしまった問題作(?)「じてんしゃ!!」はさすがにアニメ化できないか…と思ったら次回やんの!? それはともかく始まったアニメ第10話冒頭、プリクラのセンサー誤作動で鼻の穴が強調されちゃった千雨は原作マンマですがアニメ画面のアップで見ると破壊力が凄い(笑。これをして「自分を偽ろうとした報い」と呟くヒトコマは今回の千雨試練のプロローグであります。あはは。そしてゲーセン内に鎮座まします「ハングオン」の筐体とご対面。バイク好きならたいてい食い付く例の筐体に思わず目ぇキラキラさせつつも「幼稚なのはやらない」と嘯き、しかし「バイクに乗れるなんてカッコイイ」と言われて少しずつ嘘の鎧が剥がれ始め――
「届かない……ゲームごときでさえ」
CM明けAパート冒頭ではさっそくハングオンに跨る千雨でしたがやっぱり足が届かない。ここからのゲーム画面描写はアニメ効果でなかなかの臨場感、寝かし込んだ所からアクセルを開けて「起きない!」→ちゅどーん炎上!→「おかあさーん!」の流れも良かった。ふと我に返ってバツが悪いトコへナイスタイミング(?)でバイク部の面々が登場、すると再び尤もらしい顔で「イメージトレーニング」について一席…頑なまでにレーサーとしての体面をキープし続ける千雨がかわいいというか気の毒というか(笑。そこでチラリと映った来夢先輩のテーブル筐体インベーダーもどきが懐かしい。先輩の世代でゲーセンと言ったらコレ、というかゲーセンではなく「インベーダーハウス」とか言ってた時代の人っぽい。

その後 千雨と代わってハングオンで遊ぶ羽音は両足着くと結構簡単な事に気付いて千雨に勧め、しかして千雨は現役レーサーの意地を見せて足つきプレイを断固拒否…実際は両足が着かない=足つきプレイができないのにあくまでレーサーのポリシーと言い張る千雨かわいい、けどこれが今回試練の着火点なのでした。こういうちょっとした嘘の火種が事あるごとにどんどん延焼していくのだなあ。くわばらくわばら。
「どきなさいモジャ、このテのゲームは他人の目を気にしたら負けなのよ!」
天真爛漫な羽音と違い衆目を気にしておとなしめに遊んでいた恩紗、の所へ面倒くさい子が大上段から登場します(笑。まあ大型筐体や音ゲーなどなど目立つゲームは開き直った者が勝ち、ってのはある意味正論ではありますが…ばいんばいんののピンクツナギ+フルフェイス装備でハングオンを本気でやってたら目立ちすぎる(笑。ハングオンの向こうの筐体はDDR-Xか。5thくらいまでやってたけどXはもう知らないセカイだなあ。閑話休題、激しい勢いで揺さぶられた筐体はステップ周りで異音が起きて破片が飛び、結局これが原因となって(ステップが壊れて)リベンジ千雨は筐体から落下という憂き目に。マシン特性を憶えコースを憶えマモラ乗りまで駆使して攻め込んだのに見るも無惨な大転倒、やはり凜と関わるとロクな事になりません(笑。でもこのシーンはアニメだとちょっと判りにくかった(ステップから滑り落ちたように見える)かも。

「このままじゃオートバイに乗り足りないんじゃない?」
コケて倒れた千雨へ腹に一物ありそうな表情&セリフで話し掛ける羽音。いい顔してます(笑。そこから駐車場へ移動した二人はお互い初めてのタンデム走行へ。ステップに乗せる足を間違えるほど緊張して乗り込んだ千雨はほどなくタンデムに収まって走り出すも対向車や路側の電話ボックスに恐れおののき…サーキットには存在しない数々の公道障害物、そしてなまじ操縦が上手いだけに他人の操縦が怖くて仕方がない、ってのはホント判る判る。私も他人の後ろなんて怖くて絶対に乗れませんもの。自分で乗れば人に言えない速度でガッ飛べても、タンデムだと50km/hも出されたら怖くて泣いてしまいます(笑。ここは後者の心境が肝だと思うのですがアニメではまるっとオミットされてしまってちょっと残念。恐怖にかられて羽音のムネにギュッと掴まり、それでもレーサーの理屈(笑)を貫き強がる千雨がかわいい。そういや初めてのタンデムって事で、いつもの調子でクラッチを繋いだら回転が落ちすぎ、荷重に合わせて回転を上げて繋ぎ直すカットは結構芸コマでした。こういうちょっとしたリアリティに思わず頬が緩みます。


シーン変わって中野家の朝、ここから原作第35話「にゅうぶ!!」のエピソードです。パッと映った建物カットや髪を下ろした寝起き千雨が着ているシャツの「556」から判る人には判る千雨の父ちゃん「中野欽矢」のモデルは56designを立ち上げた元GPライダー「中野真矢」氏、アニメ化前から本作への理解を示していたためひょっとしたら本人登場?と勝手に思っていたのですが、現実はそう簡単にいかないようで、蓋を開けたら普通に声優さん(CV.諏訪部順一)が演じていました。まあそりゃそーか。ちなみにレース常勝のライダーが教習所ではダメダメのエピソードも中野氏由来っぽい。
「CBR250R ドリームカップ、そのマシンが高校入学のお祝いってとこかな」
その朝の会話で千雨はレースカツドウのステップアップ=ミニバイクレースから250ccワンメイクレースへのステップアップを持ち掛けられます。とはいえ排気量が大きくなればシートも高くなるため父ちゃんは足つきを心配し、すると千雨は頑なに「シート高は車両設計の要」と返して返事を濁す。なーんて様子を見ていたアキナ母ちゃんは娘の本意にうっすら気付いていたようで。


「あいつに感じないか? 頑固で、妙にバイクに拘りがあって、こう……鈴乃木凜と同じ危険な匂いが!」
シーン変わってバイク部部室では恩紗の新部長着任と未だ来ぬ新入部員についてアレコレ。話題の主はもちろん千雨なれど恩紗はイマイチ乗り気ではなく、それでも羽音の説得&背に腹は替えられない状況から千雨の勧誘が始まります。ここで千雨の父ちゃんネタがチラリ…原作では結構辛辣に「中野選手」を茶化してましたがアニメではさすがに自重?(笑。なので軽く流したアニメ版では父ちゃんバレ後の恩紗のズンドコがイマイチ刺さらなかったかも。
「私はサーキットでしかバイクに乗らないと決めているので」
ずらっと並んだバイク部員のバイクに「とりあえず乗ってみて」と迫られた千雨は例の理屈を返してお断り、それでも「先っちょだけでいいから!」と食い下がる羽音…先っちょを許したらそれで済まないのはお約束なれど、この勢いで迫られては無下に断れず千雨は早くもピンチを迎えます。あはは。よくこのセリフオーケー出たな(笑。ってなトコへ現れた凜は試乗会の話を聞くと――



「ダメよダメ! どうしてもって言うなら自分でカネ出して買うのね!」
「キリン」の名ゼリフでバイクへの拘りをアピールする凜、一方これは窮地の千雨に一条の光をもたらします。凜先輩の拘りを全面的に支持し、だからこそ私は他人のバイクにほいほい跨らない! この格好いいカタナに跨ってみたいけど我慢します! と乗れない理由を上手く誤魔化しホッと一息。まあ来夢先輩は判ってたみたいですけど(笑。ところが。
「いいよ…」
「え?」
「だから…そんなにこのカタナに跨ってみたいならそうしてもいいって言ってるの」
「あ…」
「で、そんなに私の事尊敬したんなら、私とあなたでチーム『ないしょのついんてーるず』を結成してもいいって言ってんの!」
「とてもいやだ…」
そそくさと立ち去ろうとする千雨に対し目を泳がせながら跨る許可を告げ、さらに言われてもいないチーム結成(笑)まで言及しちまう、おだてられてその気になった凜のちょろデレに笑う。かわいい、けど超めんどくさい(笑。そんなこんなで態度は一変、今度は命令調でカタナに乗れ!と迫られ、部員のみなさんも囃し立て、千雨はいよいよピンチというかドツボにハマってさあどうする?

「はいはい、私はどうせ背が低くてバイクに跨ったら足が着きません! どうですこれで満足ですか! 笑いたきゃ笑えーっ!」
「あははははは!」
笑えと言われて本当に笑うみなさんきっつー! と思いきや笑った意味は他にあり、それはすなわち「足が着かないなんて女子にとって当たり前の事を深刻に考えていた事」を笑っていたのでした。試しに羽音のスーフォアに跨るとアンコ抜きシートのおかげで足が着き、恩紗のセローはへたったサスが沈み込んで足が着き…それでも千雨はシート高への拘り・持論を捨てず、設計から外れたシート高で乗る事を良しとしません。
「自分のできるできないまでメーカーに決めさせてどうする?」
足が着かないなら着くようにすればいい、乗りたいならどうにかして乗ればいい。久しぶりにポエマー恩紗の真骨頂発揮であります。まあ実際アンコ抜きシートやシャコタンサスなど足つき性改善の改造はテンプレレベルで浸透しているのでイマサラ感は拭えませんが、レーサー千雨の拘り&体面を気にする性分という面倒くさいエッセンス(笑)が上手く噛んで、ちょっとした感動劇となりました。というわけで恩紗の言葉は意固地な千雨のココロを解し、さらに「意地ばっかり張った成れの果て」の例を指し示されると…やっぱり凜がオチか(笑。その後自宅へ帰った千雨は先のCBRを断り、代わりに免許取得を申し出て、アキナママの読みが当たってチャンチャン。さすが元女子高生ライダーはよく判ってらっしゃるというトコか。


Bパートは第36話「めいぶつ!!」第37話「みーてぃんぐ!!」をサクッと飛ばして原作第6巻第38話「きょうしゅうじょ!!」へ。飛ばした2話も面白いけれど今回の流れを鑑みれば飛ばして正解か。中でも「みーてぃんぐ!!」の遅乗り大会は宝の持ち腐れ・立派なバイクの威を借るクズ的表現(あくまで凜パパの事ですよ!)としてこの上なく秀逸なのですが、見る人を選ぶ上にヘタすると個人中傷になりかねませんし。
「なんじゃアイツ、ドゥーハン状態かよ!?」
原作ではレースの予選から始まり、千雨がPPを取ったグリッド上にて様々な小ネタや今回のオチである「GPライダー養成ギプス」の振りがあるのですが、アニメでは原作の流れをサクッと整理し、決勝レースでぶっちぎり優勝する千雨の速さに改めて驚くバイク部のみなさんから始まります。件のギプスは後日の部室で眺めていたバイク雑誌の広告という形に改変。その広告に食い付く聖という振りを済ませ、このエピソードの最初のハードルである一発試験ネタが始まります。
「はい、試験中止。降りて」
バイクの天才と持ち上げる恩紗に乗せられ一発試験に臨んだは良いけれど、レースとは全く違ういわゆる「試験場走り」を全く知らない千雨は乗車→発車までの間に減点が重なってあえなく試験中止に。とはいえ千雨自身は試験結果に納得し、公道での走り方をきちんと教えてもらうつもりで教習所へ入所。こういうトコはホント真面目な子です。ところが同時期に入所した聖に対し「父が勝手に」と…レーサーのプライドがまたしても嘘を吐かせてしまうのでした。ああめんどくさい子(笑



さて教習が始まったはいいけれど、千雨の素性を知る教官は「ホントはずいぶん乗れちゃってるんじゃないの?」とカマを掛け、一方千雨は本心と裏腹に「復習のつもり」とつい嘯き、その結果一から教えて欲しい千雨を放置プレイに…あるある。私が中免取った時もこれほど極端では無いにせよ似たような感じでした。教習当日に軽く説明された課題をテキトウに自由練習、そんな実地を当時は8時間、卒検もそのまま通って総額5万くらいで中免が取れた。
《……ウインカーの出し方教えてください》
閑話休題教習所の千雨。当然ながらバイクの乗り方自体は判っているので走るだけなら普通に走れてしまい、ウインカーの出し方が判らなくて四苦八苦している事など聖に付きっきりの教官には全く伝わらず、喉まで出かかった初歩的すぎる質問を口ごもったまま初回教習を終えてしまいます。あらら。自分の嘘が招いた結果とはいえこれはなかなか辛いトコで、ポツンと残された千雨の絶望感はハンパありません。ていうか千雨ってば車校スーフォアでフツーに足着いてるじゃん。
さてそんなノリは次コマのシミュレータでも、その後の実地教習でも続き…これらのカットで教習簿に押されたハンコはシミュレータ教官が「参田」、一本橋教官が「木戒」、スラローム教官が「座保」、そして羽音の教習時から出てきているおなじみの教官は「三等」と、それぞれ「サンダーバード」「キカイダー」「ザボーガー」「ロボット三等兵」という古き良きロボットを捩った名前という小ネタは面白いけどキカイダーとザボーガーが逆じゃ?


「やばい…何も教わってないのに教習の時間だけが進んでいく…どうしよう」
ハンコだけ埋まっていく教習原簿を見ていよいよ焦り始める千雨。一方教習初日にスタート前からコケていた聖は今やスラロームを難なくこなすほど上達していて、いつの間にか抜かれてしまった事でますます追い詰められていきます。募る焦りを誰にも相談できず一人で抱え込んだ千雨はボーッと集中力が途切れ、シフトアップなのに逆シフトのクセでシフトペダルを踏み込んでしまって後輪ロックから大転倒。いたたた。などなどこの一連はプライドと本音の鬩ぎ合いに苦しむ千雨の胸中が絶妙に描かれていました。また時間が経てば経つほど言い出せず、気付いた時には結構手遅れってのも妙に生々しかったり。わかるわー。
「中野千雨16歳。身長144.8cm、体重39kg……好きな事はバイクに乗る事、サーキットでレースをする事、親がGPライダーで、バイクレースの優勝トロフィーは12個所有、そして……バイクの初心者です!」
小さめ千雨が一人で抱えるには膨らみすぎたココロの負荷。コケた後の所内にてついに本心を吐露した千雨は聖に救いを求め、すると聖は女神の笑顔で受け容れてあっさり綺麗に一件落着、と思いきや。


「他のみんなには秘密にしてくださいよ…」
何故か女子控室へ移動し、意味深げな言葉を呟きつつプロテクターを外してジャージをはだけ「バイクに乗れるようになった理由」を晒す聖。というわけでせっかく良い話風に終わりそうなトコを聖の緊縛跡ギプス跡が全部持ってっちゃって締め。あはは。

と思ったらEDに全部持ってかれた。来夢先輩いい声してるなあ。歌入りジャストで始動→発車という絶妙さに本気で吹いたわ。

今回のアイキャッチはKawasaki Ninja ZX-10R(海外向け輸出用モデル)。せっかくのアピールチャンス(?)に輸出車を持ってきても販促にならないような。どうせならH2R持ってくればいいのに。それにしても来夢先輩すげーポーズね。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

自分を偽ることなかれ。



アバンは千雨&由女ちゃん&モブ子ちゃん新入生組のゲーセン風景、というわけで今回は原作第33話「じてんしゃ!!」を飛ばして第34話「はんぐおん!!」から。ある意味この原作マンガを有名にしてしまった問題作(?)「じてんしゃ!!」はさすがにアニメ化できないか…と思ったら次回やんの!? それはともかく始まったアニメ第10話冒頭、プリクラのセンサー誤作動で鼻の穴が強調されちゃった千雨は原作マンマですがアニメ画面のアップで見ると破壊力が凄い(笑。これをして「自分を偽ろうとした報い」と呟くヒトコマは今回の千雨試練のプロローグであります。あはは。そしてゲーセン内に鎮座まします「ハングオン」の筐体とご対面。バイク好きならたいてい食い付く例の筐体に思わず目ぇキラキラさせつつも「幼稚なのはやらない」と嘯き、しかし「バイクに乗れるなんてカッコイイ」と言われて少しずつ嘘の鎧が剥がれ始め――
「届かない……ゲームごときでさえ」
CM明けAパート冒頭ではさっそくハングオンに跨る千雨でしたがやっぱり足が届かない。ここからのゲーム画面描写はアニメ効果でなかなかの臨場感、寝かし込んだ所からアクセルを開けて「起きない!」→ちゅどーん炎上!→「おかあさーん!」の流れも良かった。ふと我に返ってバツが悪いトコへナイスタイミング(?)でバイク部の面々が登場、すると再び尤もらしい顔で「イメージトレーニング」について一席…頑なまでにレーサーとしての体面をキープし続ける千雨がかわいいというか気の毒というか(笑。そこでチラリと映った来夢先輩のテーブル筐体インベーダーもどきが懐かしい。先輩の世代でゲーセンと言ったらコレ、というかゲーセンではなく「インベーダーハウス」とか言ってた時代の人っぽい。

その後 千雨と代わってハングオンで遊ぶ羽音は両足着くと結構簡単な事に気付いて千雨に勧め、しかして千雨は現役レーサーの意地を見せて足つきプレイを断固拒否…実際は両足が着かない=足つきプレイができないのにあくまでレーサーのポリシーと言い張る千雨かわいい、けどこれが今回試練の着火点なのでした。こういうちょっとした嘘の火種が事あるごとにどんどん延焼していくのだなあ。くわばらくわばら。
「どきなさいモジャ、このテのゲームは他人の目を気にしたら負けなのよ!」
天真爛漫な羽音と違い衆目を気にしておとなしめに遊んでいた恩紗、の所へ面倒くさい子が大上段から登場します(笑。まあ大型筐体や音ゲーなどなど目立つゲームは開き直った者が勝ち、ってのはある意味正論ではありますが…ばいんばいんののピンクツナギ+フルフェイス装備でハングオンを本気でやってたら目立ちすぎる(笑。ハングオンの向こうの筐体はDDR-Xか。5thくらいまでやってたけどXはもう知らないセカイだなあ。閑話休題、激しい勢いで揺さぶられた筐体はステップ周りで異音が起きて破片が飛び、結局これが原因となって(ステップが壊れて)リベンジ千雨は筐体から落下という憂き目に。マシン特性を憶えコースを憶えマモラ乗りまで駆使して攻め込んだのに見るも無惨な大転倒、やはり凜と関わるとロクな事になりません(笑。でもこのシーンはアニメだとちょっと判りにくかった(ステップから滑り落ちたように見える)かも。

「このままじゃオートバイに乗り足りないんじゃない?」
コケて倒れた千雨へ腹に一物ありそうな表情&セリフで話し掛ける羽音。いい顔してます(笑。そこから駐車場へ移動した二人はお互い初めてのタンデム走行へ。ステップに乗せる足を間違えるほど緊張して乗り込んだ千雨はほどなくタンデムに収まって走り出すも対向車や路側の電話ボックスに恐れおののき…サーキットには存在しない数々の公道障害物、そしてなまじ操縦が上手いだけに他人の操縦が怖くて仕方がない、ってのはホント判る判る。私も他人の後ろなんて怖くて絶対に乗れませんもの。自分で乗れば人に言えない速度でガッ飛べても、タンデムだと50km/hも出されたら怖くて泣いてしまいます(笑。ここは後者の心境が肝だと思うのですがアニメではまるっとオミットされてしまってちょっと残念。恐怖にかられて羽音のムネにギュッと掴まり、それでもレーサーの理屈(笑)を貫き強がる千雨がかわいい。そういや初めてのタンデムって事で、いつもの調子でクラッチを繋いだら回転が落ちすぎ、荷重に合わせて回転を上げて繋ぎ直すカットは結構芸コマでした。こういうちょっとしたリアリティに思わず頬が緩みます。



シーン変わって中野家の朝、ここから原作第35話「にゅうぶ!!」のエピソードです。パッと映った建物カットや髪を下ろした寝起き千雨が着ているシャツの「556」から判る人には判る千雨の父ちゃん「中野欽矢」のモデルは56designを立ち上げた元GPライダー「中野真矢」氏、アニメ化前から本作への理解を示していたためひょっとしたら本人登場?と勝手に思っていたのですが、現実はそう簡単にいかないようで、蓋を開けたら普通に声優さん(CV.諏訪部順一)が演じていました。まあそりゃそーか。ちなみにレース常勝のライダーが教習所ではダメダメのエピソードも中野氏由来っぽい。
「CBR250R ドリームカップ、そのマシンが高校入学のお祝いってとこかな」
その朝の会話で千雨はレースカツドウのステップアップ=ミニバイクレースから250ccワンメイクレースへのステップアップを持ち掛けられます。とはいえ排気量が大きくなればシートも高くなるため父ちゃんは足つきを心配し、すると千雨は頑なに「シート高は車両設計の要」と返して返事を濁す。なーんて様子を見ていたアキナ母ちゃんは娘の本意にうっすら気付いていたようで。


「あいつに感じないか? 頑固で、妙にバイクに拘りがあって、こう……鈴乃木凜と同じ危険な匂いが!」
シーン変わってバイク部部室では恩紗の新部長着任と未だ来ぬ新入部員についてアレコレ。話題の主はもちろん千雨なれど恩紗はイマイチ乗り気ではなく、それでも羽音の説得&背に腹は替えられない状況から千雨の勧誘が始まります。ここで千雨の父ちゃんネタがチラリ…原作では結構辛辣に「中野選手」を茶化してましたがアニメではさすがに自重?(笑。なので軽く流したアニメ版では父ちゃんバレ後の恩紗のズンドコがイマイチ刺さらなかったかも。
「私はサーキットでしかバイクに乗らないと決めているので」
ずらっと並んだバイク部員のバイクに「とりあえず乗ってみて」と迫られた千雨は例の理屈を返してお断り、それでも「先っちょだけでいいから!」と食い下がる羽音…先っちょを許したらそれで済まないのはお約束なれど、この勢いで迫られては無下に断れず千雨は早くもピンチを迎えます。あはは。よくこのセリフオーケー出たな(笑。ってなトコへ現れた凜は試乗会の話を聞くと――




「ダメよダメ! どうしてもって言うなら自分でカネ出して買うのね!」
「キリン」の名ゼリフでバイクへの拘りをアピールする凜、一方これは窮地の千雨に一条の光をもたらします。凜先輩の拘りを全面的に支持し、だからこそ私は他人のバイクにほいほい跨らない! この格好いいカタナに跨ってみたいけど我慢します! と乗れない理由を上手く誤魔化しホッと一息。まあ来夢先輩は判ってたみたいですけど(笑。ところが。
「いいよ…」
「え?」
「だから…そんなにこのカタナに跨ってみたいならそうしてもいいって言ってるの」
「あ…」
「で、そんなに私の事尊敬したんなら、私とあなたでチーム『ないしょのついんてーるず』を結成してもいいって言ってんの!」
「とてもいやだ…」
そそくさと立ち去ろうとする千雨に対し目を泳がせながら跨る許可を告げ、さらに言われてもいないチーム結成(笑)まで言及しちまう、おだてられてその気になった凜のちょろデレに笑う。かわいい、けど超めんどくさい(笑。そんなこんなで態度は一変、今度は命令調でカタナに乗れ!と迫られ、部員のみなさんも囃し立て、千雨はいよいよピンチというかドツボにハマってさあどうする?

「はいはい、私はどうせ背が低くてバイクに跨ったら足が着きません! どうですこれで満足ですか! 笑いたきゃ笑えーっ!」
「あははははは!」
笑えと言われて本当に笑うみなさんきっつー! と思いきや笑った意味は他にあり、それはすなわち「足が着かないなんて女子にとって当たり前の事を深刻に考えていた事」を笑っていたのでした。試しに羽音のスーフォアに跨るとアンコ抜きシートのおかげで足が着き、恩紗のセローはへたったサスが沈み込んで足が着き…それでも千雨はシート高への拘り・持論を捨てず、設計から外れたシート高で乗る事を良しとしません。
「自分のできるできないまでメーカーに決めさせてどうする?」
足が着かないなら着くようにすればいい、乗りたいならどうにかして乗ればいい。久しぶりにポエマー恩紗の真骨頂発揮であります。まあ実際アンコ抜きシートやシャコタンサスなど足つき性改善の改造はテンプレレベルで浸透しているのでイマサラ感は拭えませんが、レーサー千雨の拘り&体面を気にする性分という面倒くさいエッセンス(笑)が上手く噛んで、ちょっとした感動劇となりました。というわけで恩紗の言葉は意固地な千雨のココロを解し、さらに「意地ばっかり張った成れの果て」の例を指し示されると…やっぱり凜がオチか(笑。その後自宅へ帰った千雨は先のCBRを断り、代わりに免許取得を申し出て、アキナママの読みが当たってチャンチャン。さすが元女子高生ライダーはよく判ってらっしゃるというトコか。



Bパートは第36話「めいぶつ!!」第37話「みーてぃんぐ!!」をサクッと飛ばして原作第6巻第38話「きょうしゅうじょ!!」へ。飛ばした2話も面白いけれど今回の流れを鑑みれば飛ばして正解か。中でも「みーてぃんぐ!!」の遅乗り大会は宝の持ち腐れ・立派なバイクの威を借るクズ的表現(あくまで凜パパの事ですよ!)としてこの上なく秀逸なのですが、見る人を選ぶ上にヘタすると個人中傷になりかねませんし。
「なんじゃアイツ、ドゥーハン状態かよ!?」
原作ではレースの予選から始まり、千雨がPPを取ったグリッド上にて様々な小ネタや今回のオチである「GPライダー養成ギプス」の振りがあるのですが、アニメでは原作の流れをサクッと整理し、決勝レースでぶっちぎり優勝する千雨の速さに改めて驚くバイク部のみなさんから始まります。件のギプスは後日の部室で眺めていたバイク雑誌の広告という形に改変。その広告に食い付く聖という振りを済ませ、このエピソードの最初のハードルである一発試験ネタが始まります。
「はい、試験中止。降りて」
バイクの天才と持ち上げる恩紗に乗せられ一発試験に臨んだは良いけれど、レースとは全く違ういわゆる「試験場走り」を全く知らない千雨は乗車→発車までの間に減点が重なってあえなく試験中止に。とはいえ千雨自身は試験結果に納得し、公道での走り方をきちんと教えてもらうつもりで教習所へ入所。こういうトコはホント真面目な子です。ところが同時期に入所した聖に対し「父が勝手に」と…レーサーのプライドがまたしても嘘を吐かせてしまうのでした。ああめんどくさい子(笑



さて教習が始まったはいいけれど、千雨の素性を知る教官は「ホントはずいぶん乗れちゃってるんじゃないの?」とカマを掛け、一方千雨は本心と裏腹に「復習のつもり」とつい嘯き、その結果一から教えて欲しい千雨を放置プレイに…あるある。私が中免取った時もこれほど極端では無いにせよ似たような感じでした。教習当日に軽く説明された課題をテキトウに自由練習、そんな実地を当時は8時間、卒検もそのまま通って総額5万くらいで中免が取れた。
《……ウインカーの出し方教えてください》
閑話休題教習所の千雨。当然ながらバイクの乗り方自体は判っているので走るだけなら普通に走れてしまい、ウインカーの出し方が判らなくて四苦八苦している事など聖に付きっきりの教官には全く伝わらず、喉まで出かかった初歩的すぎる質問を口ごもったまま初回教習を終えてしまいます。あらら。自分の嘘が招いた結果とはいえこれはなかなか辛いトコで、ポツンと残された千雨の絶望感はハンパありません。ていうか千雨ってば車校スーフォアでフツーに足着いてるじゃん。
さてそんなノリは次コマのシミュレータでも、その後の実地教習でも続き…これらのカットで教習簿に押されたハンコはシミュレータ教官が「参田」、一本橋教官が「木戒」、スラローム教官が「座保」、そして羽音の教習時から出てきているおなじみの教官は「三等」と、それぞれ「サンダーバード」「キカイダー」「ザボーガー」「ロボット三等兵」という古き良きロボットを捩った名前という小ネタは面白いけどキカイダーとザボーガーが逆じゃ?


「やばい…何も教わってないのに教習の時間だけが進んでいく…どうしよう」
ハンコだけ埋まっていく教習原簿を見ていよいよ焦り始める千雨。一方教習初日にスタート前からコケていた聖は今やスラロームを難なくこなすほど上達していて、いつの間にか抜かれてしまった事でますます追い詰められていきます。募る焦りを誰にも相談できず一人で抱え込んだ千雨はボーッと集中力が途切れ、シフトアップなのに逆シフトのクセでシフトペダルを踏み込んでしまって後輪ロックから大転倒。いたたた。などなどこの一連はプライドと本音の鬩ぎ合いに苦しむ千雨の胸中が絶妙に描かれていました。また時間が経てば経つほど言い出せず、気付いた時には結構手遅れってのも妙に生々しかったり。わかるわー。
「中野千雨16歳。身長144.8cm、体重39kg……好きな事はバイクに乗る事、サーキットでレースをする事、親がGPライダーで、バイクレースの優勝トロフィーは12個所有、そして……バイクの初心者です!」
小さめ千雨が一人で抱えるには膨らみすぎたココロの負荷。コケた後の所内にてついに本心を吐露した千雨は聖に救いを求め、すると聖は女神の笑顔で受け容れてあっさり綺麗に一件落着、と思いきや。



「他のみんなには秘密にしてくださいよ…」
何故か女子控室へ移動し、意味深げな言葉を呟きつつプロテクターを外してジャージをはだけ「バイクに乗れるようになった理由」を晒す聖。というわけでせっかく良い話風に終わりそうなトコを聖の

と思ったらEDに全部持ってかれた。来夢先輩いい声してるなあ。歌入りジャストで始動→発車という絶妙さに本気で吹いたわ。

今回のアイキャッチはKawasaki Ninja ZX-10R(海外向け輸出用モデル)。せっかくのアピールチャンス(?)に輸出車を持ってきても販促にならないような。どうせならH2R持ってくればいいのに。それにしても来夢先輩すげーポーズね。
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