2016-08-21(Sun)
ラブライブ!サンシャイン!! #08 くやしくないの?
井の中の蛙、大海を知る。

千歌ちゃんは悔しくないの?

不敵な笑顔を残して光の中へ出て行く二人 vs 息を呑んで見つめる千歌の構図からSaint Snowのステージが始まります。先の神田明神で歌っていたアカペラバージョンから一変したダンサブルな曲調にまず驚き、二人のキャラを反映させた赤&青の照明とハデなストロボ演出に驚き、そして本シリーズお約束(?)のライバルチーム手描きダンスに見入り。メインボーカル聖良のよく通る声にダンス&コーラス担当の理亞が華を添え、大観衆を前に堂々としたライブパフォーマンスはさすが思いっきり当てつけてきただけの事はありました。いやはや今のスクールアイドルのレベルってこんななのか(笑。まあ正直言って曲自体はそれほど刺さって来なかったけれど、アイドルアニメお約束のユニゾンオンリーではなくきちんとコーラスが入っていたのは感心というかちょっとニヤマリ。メロが一本道だとグループで歌ってる意味をあまり感じないのよね。逆にコーラスが綺麗に入っていると一気にプロっぽくなる感じ。あ、スコーアイドゥはプロじゃないんだった(笑
その目映いステージを目の当たりにした千歌はポーッと放心、一方歌い終わった二人は「どうよ?」と言わんばかりに千歌の反応を確かめると下手へ掃け、そしていよいよAqoursの東京デビューへ!

CM明けてAqoursのステージは如何に? と思ったAパート冒頭はいきなり日本電波塔の展望台へ場所も時間もワープ。東京の人の多さやビルだらけの景色を見て内浦との違いをしみじみ語る四人を見れば東京デビューの結果についてたいてい想像は付き、ってなトコで通常運行を続ける善子の不器用な優しさにほっこり。そんな賑やかな展望台の陰で気を奮わせる千歌、アイスを持ってみんなと合流すると一生懸命笑顔を作って空気を盛り上げ…でも付き合いが長い曜は千歌が無理してる事を全部判っちゃってるんだろうなあ。その後も必死に明るく振る舞い、ライブの出来を自賛し、不本意だった結果も諦め顔で受け容れ、しかし――
「あの人たちのレベルでも無理なんだって…」
あれほどのパフォーマンスを見せたSaint Snowが入賞すらできなかった、ラブライブの高い壁を思いっきり叩き付けられ、翻って自分たちの無謀さを思い知ったみんなは一様に沈み…ってなトコでまたしても不器用な慰めを入れる善子がいい子すぎ、チャチャを入れて笑顔を戻す一年生組の健気さも良い良い。このシーンに限らず今回は一年生組のおかげでシリアスシーンも沈みっぱなしにならず、いい感じに本作らしいバランスが取れていたと思います。とはいえもうこの時点で見てるのがツライ。
それにしても千歌きっかけで回想が入ったAqoursのステージの安っぽさが凄い。Aqoursの人気急上昇は綺麗なスカイランタン演出によるもので、それが無い生ステージがショボく=完全に実力勝負になってしまうってのはなるほど。数枚の止め絵から一生懸命さは伝わるもののライブパフォーマンスのショボさは如何とも。ってなトコへドコぞから電話が入り、ビミョーな空気だったAqoursをさらに突き落とすのでした。あああ。

先の電話は大会スタッフの赤いめが姉ぇ(笑)からで、今回大会の得票集計結果を渡すという用件でした。結果が入った封筒を渡す時の表情や「どうしようかなと迷った」とか、渡した直後に急いで掃けるアクションとか、もうこの時点で厳しい結果である事は大抵予想できたけれど。
「Aqoursは!?」
「30位…」
「得票数はどのくらい?」
「ゼロ…」
「私たちに入れた人、一人もいなかったって事?」
30組中の30位つまりビリ。それはそれで結構なショックですがさらなるショックは「誰一人としてAqoursに入れなかった」事でした。彼女たちなりに一生懸命歌ったステージを誰も評価してくれなかった、みんなを巻き込み楽しくやってきたスクールアイドルライフを全否定された千歌のショックは相当なものでしょう。集計を見つめる表情やふらつく足取りなど見ているだけでツライ。しかもそのショックに無情な追い討ちが入ります。
「もしμ'sのようにラブライブを目指しているのだとしたら…諦めた方がいいかもしれません」
「馬鹿にしないで。ラブライブは遊びじゃない!」
ふっと現れたSaint SnowはAqoursのパフォーマンスを褒めつつも厳しい言葉を続けます。要するに仲間内のお遊びでやるならお上手だけど外では通用しないよ? 遊びでやってるならこういう所に出て来ないで、こっちは本気なのだからって事です。得票数で全否定され、目標すら全否定され、みんなをここまで引っ張ってきた千歌の心はもうズタズタでしょう。それでも――

「私は良かったと思うけどな」
すっかり沈んだ帰りの電車で一人明るく振る舞う千歌。一生懸命頑張って東京に呼ばれて、今の自分たちの精一杯をできたんだから胸張っていい。まさに教科書どおりの自己肯定を笑顔で語る千歌の痛々しさったら。するとそんな千歌を訝しげに見つめる曜が今回サブタイである核心を突くヒトコトを放ちます。
「千歌ちゃんは悔しくないの?」
きっとみんなも今の千歌が無理をしている事が判っていたのでしょう。あまりに直球ストレートな曜の言葉に凍り付く車内、すると千歌は引き続き無理な笑顔を作りながら「満足だった」「みんなとステージに立てて嬉しかった」…曜の言葉に一瞬目を見開き、それでも頑張って笑顔を作ってポジティブに返し、しかし最後には目を合わせられず自分に言い聞かせるように俯き語る。この一連の表情変化がまーた痛々しすぎて見てらんない。
「そっか…」
千歌の言葉を受けた曜もまた視線を外して俯くばかり。そんなこんなで賑やかだった往路と正反対にお通夜のような帰りの電車はほどなく沼津に到着します。

「もしかして本気でラブライブ決勝を狙えちゃうかも?って事!?」
沼津駅に着いて一息吐いたAqoursを出迎える浦の星のみなさん。東京イベントについての質問攻めを二年生組は当たり障りなく返し、すると真相を知らないクラスメイトちゃんは無慈悲な言葉を投げかけるのでした。いくらこれまで最高のステージをしても列強居並ぶ東京ではビリッケツの得票ゼロ、期待に溢れるみんなを相手にもちろんそんな事など言えない千歌は力無く笑うしかなく…そんなん見てたらルビィも花丸もこんな顔になっちゃいます。泣き虫ルビィがよう我慢してる、と思ったら。

「おかえりなさい」
いつになく優しい表情(笑)で迎えに現れたダイヤさん。その声に振り返ったルビィは意外な出迎えにまず驚き、優しく微笑むお姉ちゃんを前に一生懸命頑張って頑張って泣くのを我慢し、それでも我慢しきれず大粒涙を散らせて飛び込んでしまう。この一連のアクションにルビィの心の動きがドンズバ表れていて、見ているこっちもダイヤさんの胸に飛び込みたい気分に(笑。そんなルビィの胸中を全て判っているように頭を撫でるダイヤさん、一方千歌はかわいいルビィをこんな風にしてしまった自分の不甲斐なさに唇を噛む。あああツライ。
「いつ以来かなあ、こうやって呼び出されるの」
その頃淡島では夜の密会シリーズの新作が繰り広げられていました。桟橋の突端に光るライトが合図とかどこのバブルドラマかと(笑。このセリフからして鞠莉さん&果南は以前こうして密会していた、逆に言うと昼間堂々と会えない理由が何かあるのかも?


Bパート冒頭はシーン戻ってAqours&ダイヤさん。ここでダイヤさんは打ちひしがれるAqoursへフォローを入れます。あなたたちはダメだった訳ではない、十分なパフォーマンスをしている、しかし隆盛著しく巨大化した今のラブライブは全体のレベルが上がりすぎてしまった。
「あなたたちが誰にも支持されなかったのも、私たちが歌えなかったのも仕方ない事なのです」
続くセリフをきっかけに、ついにダイヤさん世代の顛末が明らかになります。二年前既に浦の星には「統合になるかも」という噂が立ち、学校を廃校の危機から救うため果南&ダイヤさんはスクールアイドル計画を鞠莉さんへ持ち掛けます。すげえノリノリで(笑。やはり第6話でチラ見せした志望者数推移にて二年前からガクッと下がっているのはそういう事でしたか。それにしても若かりし日(笑)の三人のかわいらしさったら。特に始終曇り顔の果南のこんな頃を見てしまったら傷の深さが知れようというもの。今や学校を引っ張る生徒会長のダイヤさんが二人の後を付いていくキャラだったのも新鮮、ハグして離さない鞠莉さんがされる側だったのも新鮮です。これほど仲良しだった三人が何故? どうでもいいけどやはり一年生の夏服はチビ袖なのね。

「町の人も学校の人もスコーアイドゥだと応援してくれたじゃない?」
「ライブも上手くいったしね。でも…」
夜の桟橋の不穏な会話から引き続き二年前の浦の星スコーアイドゥ。今年度と同様に東京からの誘いを受けて大盛り上がりのダイヤさん…ダイヤさんって元々はこんな子なのか! それにしてもスカート短すぎヘソ腋エロすぎ、こりゃ制服として最低限の面積しか隠していないような(笑。テンション全開のダイヤさんをジト目で見ながら東京行きを了承し、しかしいざ東京のステージに立つと他グループのパフォーマンスに圧倒され、巨大な会場の空気に圧倒されて何も歌えず終わってしまった。まあこの辺の顛末は第6話での回想からしてほぼ予想どおりで、それを踏まえて「取り返しが付かない」とは?と思っていけれど、要するに対外的な「取り返しが付かない」ではなくあくまで各々が内面に受けた傷(挫折)という、私的には少々消化不良な顛末でありました。
まあ対外的な意味では彼女たちのスコーアイドゥカツドウを応援(期待)してくれた人々を裏切ってしまったという事もあるかな。とはいえだとしたら二年後に発足したAqoursに対して風当たりが強くなりそうだけれどこれまでを見ればそうでもなく、「二年前にもおみゃーさんたちみたいな子がいたけどダメだったずら」的な事を言われるでもなく、相変わらず優しさに溢れた町民や生徒たち(さすがに現三年生はダイヤ組の顛末を知っていただろう)に囲まれているのだから、その点についての傷跡は無いに等しいか。というか二年前のスコーアイドゥを「町の人も学校の人も」応援してくれていたって事は、原住民の千歌たちはダイヤ組の顛末を知っているはずでは? 少なくとも家族のルビィはお姉ちゃんが元スコーアイドゥである事を知っていなければおかしいけれどこれまでそんな描写は一切なく、優しいルビィがお姉ちゃんの黒歴史を知っていて隠していたとするならAqoursに誘われ断る時の理由もまた変わってくるような? ダイヤさんの膝枕に抱かれるルビィの表情からして知っていたっぽいけど真相はどうなんだろ。
「外の人にも見てもらうとか、ラブライブに優勝して学校を救うとか、そんなのは絶対に無理なんだよ」
「だから諦めろって言うの?」
シーンは再び桟橋へ。自分たちの挫折をもってAqoursを否定する果南、一方一歩も退かない鞠莉さんは果南に向かって両手を広げてウエルカム…自分が誘われた時と同じ方法で果南を誘い、すると果南は鞠莉さんの方へ歩き始め、しかし期待全開で待つ鞠莉さんの横を厳しい表情で通り抜けてしまいます。
「私は諦めない! 必ず取り戻すの! あの時を!」
「果南とダイヤと失ったあの時を!」
「私にとって宝物だったあの時を…」
そのまま立ち去る果南の背中へ鞠莉さんの叫び。登場初期からスコーアイドゥを後押ししていたのは自分の心の穴を埋めるためだった? と考えると何だかフクザツな思いが。そして「ダイヤは果南が好き」という観点からすると、解散したのはやはり果南の挫折が主な要因っぽく、ダイヤさんは心折れた果南を労るため解散に同意し、鞠莉さんはそんなツライ状況から逃げ出してしまったって感じ? いや再起を賭けて修行に出たとした方が鞠莉さんらしいか。

自宅へ帰った各メンバーの夜。同じ月を見上げて思う事はおそらく「このまま続ける意味」を探しているのでしょう。自分たちなりに頑張って頑張って、なのに誰にも支持されなかったスクールアイドルを続けるべきかやめるべきか、群雄割拠が居並ぶラブライブ本戦への不安も彼女たちの大きかったり小さかったりするムネを掻き乱していたと思います。それはそうとこんな時でも饅頭食べてる花丸かわいい、儀式を休まない善子かわいい、そして一人でダンスの練習をしているルビィの健気さに思わずお父さんの気持ちに(笑。今だにガラケーのダイヤさんは確かにそんな感じがする。
「千歌ちゃん、やめる? スクールアイドル」
幼い頃からの千歌との写真を見つめながら別れ際のヒトコトを思い出す曜。きっと曜は「やめるわけないよ!」といつもどおりの元気な返事を待っていたのだろうなあ。何も答えず帰って行く後姿から千歌の深い傷心を察して突っ伏すヒトコマも辛いトコ。こんなに長い付き合いなのだから見れば判るよ? そんなに無理しないで的なものもありそう。

そして同じ月の下で隣家のベランダから千歌を見守る梨子。お母さんに言われて部屋へ戻るも千歌の事が気になって気になって、一方千歌は襖に張ったμ'sのポスターに手を伸ばすもその場所の遠さを思い返して心が折れる5秒前というかほとんど折れ気味。μ'sに憧れて始めたスクールアイドルは生半可な世界ではなかった。自分たちが井の中の蛙であった事を思い知らされ、いくら手を伸ばしても簡単には届かない場所である事も知り…などなど千歌の胸中を描いた演出は結構グサリと来ます。特に「0」のインパクトはキッツイ。そこから暫く経ってふと目を覚ました梨子がベランダに出ると海へ向かう千歌を発見! こんな時間にいったい何を!? と慌てて後を追ってみると――

桟橋の突端からドボンと飛び込む千歌、一方千歌を追って浜辺へ出たら既に姿が消えていて大慌ての梨子。自分も同じ事したのにね(笑。必死に千歌の名前を呼び、すると水面からピョンと顔を出してホッと一息であります。
「何も見えなかった。でもねだから思った。続けなきゃって」
梨子の時と同じように「何か」を見つけるために海へ潜った千歌は結局何も見つけられず、しかしだからこそ今の自分を振り返る事ができた。先にあるものが何なのか、このまま続けても0なのか1になるのか10になるのか、ここでやめたら全部判らないまま終わってしまう。だからスクールアイドルを続ける。
「だってまだゼロだもん」
あれだけみんなで頑張ってきたのに実はまだ始まってもいなかった。そして全てを否定された悔しさをついに爆発させる千歌。東京以来ずっと隠していた感情を吐き出す表情は言葉を重ねるごとに激しさを増し…堰を切ったように溢れ出す感情&涙をじっくり見せる演出には思わず引き込まれた。
「私が泣いたらみんな落ち込むでしょ? 今まで頑張って来たのに、せっかくスクールアイドルやってくれたのに、悲しくなっちゃうでしょ?」
「馬鹿ね。みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの、自分で決めたのよ」
みんなを巻き込んだ責任感から悔しさ悲しさを我慢してきた千歌へ梨子の優しい言葉がじつに浸みます。普段はあんな風(笑)でもいざとなればリーダーの責任をきちんと自覚し、一方メンバーたちはリーダーに押し付けずみんなで分かち合い支え合う。Aqoursは良いチームになったじゃないですか。それにしても千歌の所へ集まる段で深みにハマってドボンの善子が美味しすぎ(笑。湿っぽくなりがちなシーンに小ネタを挟んで空気を和ませる、ホント今回は一年生が地味にいい仕事してました。
「今から0を100にするのは無理だと思う。でももしかしたら1にする事はできるかも」
というわけで第8話にしてゼロからのスタートを切ったAqours。と共に降っていた雨が上がり、彼女たちのリスタートを祝福するように陽光が降り注ぐ演出はベッタベタだけど綺麗な締めでした。ってこの流れから三年生組がどう参入するのかちょっと読めない。というかまだ揃ってないのに残り5話しか無いなんて。Aqoursとして歌って踊る三年生組を早く見たいよ。

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千歌ちゃんは悔しくないの?

不敵な笑顔を残して光の中へ出て行く二人 vs 息を呑んで見つめる千歌の構図からSaint Snowのステージが始まります。先の神田明神で歌っていたアカペラバージョンから一変したダンサブルな曲調にまず驚き、二人のキャラを反映させた赤&青の照明とハデなストロボ演出に驚き、そして本シリーズお約束(?)のライバルチーム手描きダンスに見入り。メインボーカル聖良のよく通る声にダンス&コーラス担当の理亞が華を添え、大観衆を前に堂々としたライブパフォーマンスはさすが思いっきり当てつけてきただけの事はありました。いやはや今のスクールアイドルのレベルってこんななのか(笑。まあ正直言って曲自体はそれほど刺さって来なかったけれど、アイドルアニメお約束のユニゾンオンリーではなくきちんとコーラスが入っていたのは感心というかちょっとニヤマリ。メロが一本道だとグループで歌ってる意味をあまり感じないのよね。逆にコーラスが綺麗に入っていると一気にプロっぽくなる感じ。あ、スコーアイドゥはプロじゃないんだった(笑
その目映いステージを目の当たりにした千歌はポーッと放心、一方歌い終わった二人は「どうよ?」と言わんばかりに千歌の反応を確かめると下手へ掃け、そしていよいよAqoursの東京デビューへ!

CM明けてAqoursのステージは如何に? と思ったAパート冒頭はいきなり日本電波塔の展望台へ場所も時間もワープ。東京の人の多さやビルだらけの景色を見て内浦との違いをしみじみ語る四人を見れば東京デビューの結果についてたいてい想像は付き、ってなトコで通常運行を続ける善子の不器用な優しさにほっこり。そんな賑やかな展望台の陰で気を奮わせる千歌、アイスを持ってみんなと合流すると一生懸命笑顔を作って空気を盛り上げ…でも付き合いが長い曜は千歌が無理してる事を全部判っちゃってるんだろうなあ。その後も必死に明るく振る舞い、ライブの出来を自賛し、不本意だった結果も諦め顔で受け容れ、しかし――
「あの人たちのレベルでも無理なんだって…」
あれほどのパフォーマンスを見せたSaint Snowが入賞すらできなかった、ラブライブの高い壁を思いっきり叩き付けられ、翻って自分たちの無謀さを思い知ったみんなは一様に沈み…ってなトコでまたしても不器用な慰めを入れる善子がいい子すぎ、チャチャを入れて笑顔を戻す一年生組の健気さも良い良い。このシーンに限らず今回は一年生組のおかげでシリアスシーンも沈みっぱなしにならず、いい感じに本作らしいバランスが取れていたと思います。とはいえもうこの時点で見てるのがツライ。
それにしても千歌きっかけで回想が入ったAqoursのステージの安っぽさが凄い。Aqoursの人気急上昇は綺麗なスカイランタン演出によるもので、それが無い生ステージがショボく=完全に実力勝負になってしまうってのはなるほど。数枚の止め絵から一生懸命さは伝わるもののライブパフォーマンスのショボさは如何とも。ってなトコへドコぞから電話が入り、ビミョーな空気だったAqoursをさらに突き落とすのでした。あああ。

先の電話は大会スタッフの赤いめが姉ぇ(笑)からで、今回大会の得票集計結果を渡すという用件でした。結果が入った封筒を渡す時の表情や「どうしようかなと迷った」とか、渡した直後に急いで掃けるアクションとか、もうこの時点で厳しい結果である事は大抵予想できたけれど。
「Aqoursは!?」
「30位…」
「得票数はどのくらい?」
「ゼロ…」
「私たちに入れた人、一人もいなかったって事?」
30組中の30位つまりビリ。それはそれで結構なショックですがさらなるショックは「誰一人としてAqoursに入れなかった」事でした。彼女たちなりに一生懸命歌ったステージを誰も評価してくれなかった、みんなを巻き込み楽しくやってきたスクールアイドルライフを全否定された千歌のショックは相当なものでしょう。集計を見つめる表情やふらつく足取りなど見ているだけでツライ。しかもそのショックに無情な追い討ちが入ります。
「もしμ'sのようにラブライブを目指しているのだとしたら…諦めた方がいいかもしれません」
「馬鹿にしないで。ラブライブは遊びじゃない!」
ふっと現れたSaint SnowはAqoursのパフォーマンスを褒めつつも厳しい言葉を続けます。要するに仲間内のお遊びでやるならお上手だけど外では通用しないよ? 遊びでやってるならこういう所に出て来ないで、こっちは本気なのだからって事です。得票数で全否定され、目標すら全否定され、みんなをここまで引っ張ってきた千歌の心はもうズタズタでしょう。それでも――

「私は良かったと思うけどな」
すっかり沈んだ帰りの電車で一人明るく振る舞う千歌。一生懸命頑張って東京に呼ばれて、今の自分たちの精一杯をできたんだから胸張っていい。まさに教科書どおりの自己肯定を笑顔で語る千歌の痛々しさったら。するとそんな千歌を訝しげに見つめる曜が今回サブタイである核心を突くヒトコトを放ちます。
「千歌ちゃんは悔しくないの?」
きっとみんなも今の千歌が無理をしている事が判っていたのでしょう。あまりに直球ストレートな曜の言葉に凍り付く車内、すると千歌は引き続き無理な笑顔を作りながら「満足だった」「みんなとステージに立てて嬉しかった」…曜の言葉に一瞬目を見開き、それでも頑張って笑顔を作ってポジティブに返し、しかし最後には目を合わせられず自分に言い聞かせるように俯き語る。この一連の表情変化がまーた痛々しすぎて見てらんない。
「そっか…」
千歌の言葉を受けた曜もまた視線を外して俯くばかり。そんなこんなで賑やかだった往路と正反対にお通夜のような帰りの電車はほどなく沼津に到着します。

「もしかして本気でラブライブ決勝を狙えちゃうかも?って事!?」
沼津駅に着いて一息吐いたAqoursを出迎える浦の星のみなさん。東京イベントについての質問攻めを二年生組は当たり障りなく返し、すると真相を知らないクラスメイトちゃんは無慈悲な言葉を投げかけるのでした。いくらこれまで最高のステージをしても列強居並ぶ東京ではビリッケツの得票ゼロ、期待に溢れるみんなを相手にもちろんそんな事など言えない千歌は力無く笑うしかなく…そんなん見てたらルビィも花丸もこんな顔になっちゃいます。泣き虫ルビィがよう我慢してる、と思ったら。

「おかえりなさい」
いつになく優しい表情(笑)で迎えに現れたダイヤさん。その声に振り返ったルビィは意外な出迎えにまず驚き、優しく微笑むお姉ちゃんを前に一生懸命頑張って頑張って泣くのを我慢し、それでも我慢しきれず大粒涙を散らせて飛び込んでしまう。この一連のアクションにルビィの心の動きがドンズバ表れていて、見ているこっちもダイヤさんの胸に飛び込みたい気分に(笑。そんなルビィの胸中を全て判っているように頭を撫でるダイヤさん、一方千歌はかわいいルビィをこんな風にしてしまった自分の不甲斐なさに唇を噛む。あああツライ。
「いつ以来かなあ、こうやって呼び出されるの」
その頃淡島では夜の密会シリーズの新作が繰り広げられていました。桟橋の突端に光るライトが合図とかどこのバブルドラマかと(笑。このセリフからして鞠莉さん&果南は以前こうして密会していた、逆に言うと昼間堂々と会えない理由が何かあるのかも?


Bパート冒頭はシーン戻ってAqours&ダイヤさん。ここでダイヤさんは打ちひしがれるAqoursへフォローを入れます。あなたたちはダメだった訳ではない、十分なパフォーマンスをしている、しかし隆盛著しく巨大化した今のラブライブは全体のレベルが上がりすぎてしまった。
「あなたたちが誰にも支持されなかったのも、私たちが歌えなかったのも仕方ない事なのです」
続くセリフをきっかけに、ついにダイヤさん世代の顛末が明らかになります。二年前既に浦の星には「統合になるかも」という噂が立ち、学校を廃校の危機から救うため果南&ダイヤさんはスクールアイドル計画を鞠莉さんへ持ち掛けます。すげえノリノリで(笑。やはり第6話でチラ見せした志望者数推移にて二年前からガクッと下がっているのはそういう事でしたか。それにしても若かりし日(笑)の三人のかわいらしさったら。特に始終曇り顔の果南のこんな頃を見てしまったら傷の深さが知れようというもの。今や学校を引っ張る生徒会長のダイヤさんが二人の後を付いていくキャラだったのも新鮮、ハグして離さない鞠莉さんがされる側だったのも新鮮です。これほど仲良しだった三人が何故? どうでもいいけどやはり一年生の夏服はチビ袖なのね。

「町の人も学校の人もスコーアイドゥだと応援してくれたじゃない?」
「ライブも上手くいったしね。でも…」
夜の桟橋の不穏な会話から引き続き二年前の浦の星スコーアイドゥ。今年度と同様に東京からの誘いを受けて大盛り上がりのダイヤさん…ダイヤさんって元々はこんな子なのか! それにしてもスカート短すぎヘソ腋エロすぎ、こりゃ制服として最低限の面積しか隠していないような(笑。テンション全開のダイヤさんをジト目で見ながら東京行きを了承し、しかしいざ東京のステージに立つと他グループのパフォーマンスに圧倒され、巨大な会場の空気に圧倒されて何も歌えず終わってしまった。まあこの辺の顛末は第6話での回想からしてほぼ予想どおりで、それを踏まえて「取り返しが付かない」とは?と思っていけれど、要するに対外的な「取り返しが付かない」ではなくあくまで各々が内面に受けた傷(挫折)という、私的には少々消化不良な顛末でありました。
まあ対外的な意味では彼女たちのスコーアイドゥカツドウを応援(期待)してくれた人々を裏切ってしまったという事もあるかな。とはいえだとしたら二年後に発足したAqoursに対して風当たりが強くなりそうだけれどこれまでを見ればそうでもなく、「二年前にもおみゃーさんたちみたいな子がいたけどダメだったずら」的な事を言われるでもなく、相変わらず優しさに溢れた町民や生徒たち(さすがに現三年生はダイヤ組の顛末を知っていただろう)に囲まれているのだから、その点についての傷跡は無いに等しいか。というか二年前のスコーアイドゥを「町の人も学校の人も」応援してくれていたって事は、原住民の千歌たちはダイヤ組の顛末を知っているはずでは? 少なくとも家族のルビィはお姉ちゃんが元スコーアイドゥである事を知っていなければおかしいけれどこれまでそんな描写は一切なく、優しいルビィがお姉ちゃんの黒歴史を知っていて隠していたとするならAqoursに誘われ断る時の理由もまた変わってくるような? ダイヤさんの膝枕に抱かれるルビィの表情からして知っていたっぽいけど真相はどうなんだろ。
「外の人にも見てもらうとか、ラブライブに優勝して学校を救うとか、そんなのは絶対に無理なんだよ」
「だから諦めろって言うの?」
シーンは再び桟橋へ。自分たちの挫折をもってAqoursを否定する果南、一方一歩も退かない鞠莉さんは果南に向かって両手を広げてウエルカム…自分が誘われた時と同じ方法で果南を誘い、すると果南は鞠莉さんの方へ歩き始め、しかし期待全開で待つ鞠莉さんの横を厳しい表情で通り抜けてしまいます。
「私は諦めない! 必ず取り戻すの! あの時を!」
「果南とダイヤと失ったあの時を!」
「私にとって宝物だったあの時を…」
そのまま立ち去る果南の背中へ鞠莉さんの叫び。登場初期からスコーアイドゥを後押ししていたのは自分の心の穴を埋めるためだった? と考えると何だかフクザツな思いが。そして「ダイヤは果南が好き」という観点からすると、解散したのはやはり果南の挫折が主な要因っぽく、ダイヤさんは心折れた果南を労るため解散に同意し、鞠莉さんはそんなツライ状況から逃げ出してしまったって感じ? いや再起を賭けて修行に出たとした方が鞠莉さんらしいか。

自宅へ帰った各メンバーの夜。同じ月を見上げて思う事はおそらく「このまま続ける意味」を探しているのでしょう。自分たちなりに頑張って頑張って、なのに誰にも支持されなかったスクールアイドルを続けるべきかやめるべきか、群雄割拠が居並ぶラブライブ本戦への不安も彼女たちの大きかったり小さかったりするムネを掻き乱していたと思います。それはそうとこんな時でも饅頭食べてる花丸かわいい、儀式を休まない善子かわいい、そして一人でダンスの練習をしているルビィの健気さに思わずお父さんの気持ちに(笑。今だにガラケーのダイヤさんは確かにそんな感じがする。
「千歌ちゃん、やめる? スクールアイドル」
幼い頃からの千歌との写真を見つめながら別れ際のヒトコトを思い出す曜。きっと曜は「やめるわけないよ!」といつもどおりの元気な返事を待っていたのだろうなあ。何も答えず帰って行く後姿から千歌の深い傷心を察して突っ伏すヒトコマも辛いトコ。こんなに長い付き合いなのだから見れば判るよ? そんなに無理しないで的なものもありそう。

そして同じ月の下で隣家のベランダから千歌を見守る梨子。お母さんに言われて部屋へ戻るも千歌の事が気になって気になって、一方千歌は襖に張ったμ'sのポスターに手を伸ばすもその場所の遠さを思い返して心が折れる5秒前というかほとんど折れ気味。μ'sに憧れて始めたスクールアイドルは生半可な世界ではなかった。自分たちが井の中の蛙であった事を思い知らされ、いくら手を伸ばしても簡単には届かない場所である事も知り…などなど千歌の胸中を描いた演出は結構グサリと来ます。特に「0」のインパクトはキッツイ。そこから暫く経ってふと目を覚ました梨子がベランダに出ると海へ向かう千歌を発見! こんな時間にいったい何を!? と慌てて後を追ってみると――

桟橋の突端からドボンと飛び込む千歌、一方千歌を追って浜辺へ出たら既に姿が消えていて大慌ての梨子。自分も同じ事したのにね(笑。必死に千歌の名前を呼び、すると水面からピョンと顔を出してホッと一息であります。
「何も見えなかった。でもねだから思った。続けなきゃって」
梨子の時と同じように「何か」を見つけるために海へ潜った千歌は結局何も見つけられず、しかしだからこそ今の自分を振り返る事ができた。先にあるものが何なのか、このまま続けても0なのか1になるのか10になるのか、ここでやめたら全部判らないまま終わってしまう。だからスクールアイドルを続ける。
「だってまだゼロだもん」
あれだけみんなで頑張ってきたのに実はまだ始まってもいなかった。そして全てを否定された悔しさをついに爆発させる千歌。東京以来ずっと隠していた感情を吐き出す表情は言葉を重ねるごとに激しさを増し…堰を切ったように溢れ出す感情&涙をじっくり見せる演出には思わず引き込まれた。
「私が泣いたらみんな落ち込むでしょ? 今まで頑張って来たのに、せっかくスクールアイドルやってくれたのに、悲しくなっちゃうでしょ?」
「馬鹿ね。みんな千歌ちゃんのためにスクールアイドルやってるんじゃないの、自分で決めたのよ」
みんなを巻き込んだ責任感から悔しさ悲しさを我慢してきた千歌へ梨子の優しい言葉がじつに浸みます。普段はあんな風(笑)でもいざとなればリーダーの責任をきちんと自覚し、一方メンバーたちはリーダーに押し付けずみんなで分かち合い支え合う。Aqoursは良いチームになったじゃないですか。それにしても千歌の所へ集まる段で深みにハマってドボンの善子が美味しすぎ(笑。湿っぽくなりがちなシーンに小ネタを挟んで空気を和ませる、ホント今回は一年生が地味にいい仕事してました。
「今から0を100にするのは無理だと思う。でももしかしたら1にする事はできるかも」
というわけで第8話にしてゼロからのスタートを切ったAqours。と共に降っていた雨が上がり、彼女たちのリスタートを祝福するように陽光が降り注ぐ演出はベッタベタだけど綺麗な締めでした。ってこの流れから三年生組がどう参入するのかちょっと読めない。というかまだ揃ってないのに残り5話しか無いなんて。Aqoursとして歌って踊る三年生組を早く見たいよ。

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