2016-10-28(Fri)
アイカツスターズ! #29 本当のライバル
絶対にゆめに負けたくない!

勝ちに拘るローラの苦難。

ファーストカットはアンナ先生によるビッグニュース! 最近このパターンが多いな(笑。というわけで今回の告知(ネタ)はサッカーワールドトーナメントのハーフタイムショーについて。伝統的に四ツ星学園一年生が担当するらしい件のショー。話を聞いたゆめは大観衆に囲まれた華やかなステージを思い浮かべてさっそくワクワク盛り上がり…ゆめ&ローラの関係性に何らかの変化・進展が見られるであろう久々の直接対決に私もワクワクであります。オファーの仕事や学園内のドタバタも良いけれどやはりガチンコの対決話は見ていてアツいですし。
CM明けてAパート冒頭は早朝の四ツ星寮。その一室にてハロウィンの写真を一人しみじみ眺める小春ちゃんは、第24話での帰省時に両親から告げられた事を思い出し、眼鏡の奥の瞳をスッと沈ませるのでした。なるほどこんな大切な話をしていたのなら一人自宅に帰ったのも判ります。
「イタリアか…憧れの国ではあるけど…」
これまでさんざ乱立されてきた離脱フラグが何とあっさり現実に。マジか!? 本当にそのまんまフラグだったのか!? 父ちゃんのイタリア赴任に伴い家族揃ってイタリアへ…全寮制の学校なので小春ちゃんだけ日本に残るのも不可能ではないだろうけれど、両親からすれば中一の娘を一人残して海外赴任って訳にはいかないでしょうし、小春ちゃんにしても余計な心配を掛けたくないでしょうし、些か唐突&理不尽ではあるものの子供の立場ではどうにもならない、平たく言えば「仕方がない」別離ではあります。とはいえ展開的に離脱必至なら何か前向きな理由=小春ちゃん自身の意志で四ツ星を一時離れるような流れを予想していたため、親の転勤というあまりに実も蓋も無い理由とされて正直少々言葉を失った。現実は非情なり。一方こういう重大事を一人静かに受け容れてしまう辺り小春ちゃんらしいというか、こういうトコが彼女の長所であり短所なのだろうなあと。などなど複雑な思いに耽っているとアイカツモバイルがチリンと鳴ってめるめる着信。
「ゆめちゃんゆめちゃん! ねぇ起きて! 一次オーディションの結果来てるよ!」
小春ちゃんの事情など露知らず寝コケるゆめを叩き起こして一次オーディション結果のおしらせ。寝ぼけ顔をパッと開いて目覚めるゆめかわいい。寝起きいいな(笑。結果はもちろん二人とも合格で、結果画面に映った範囲では――
★七倉小春(美組)
★加賀山るみ子(歌組)
★花畑ナナ(歌組)
★音羽ゆきな(美組)
★虹野ゆめ(歌組)
★桜庭ローラ(歌組)
★丸山さくら(劇組)
歌組の他二名はこれまでも結構映っていた髪がお花畑の子とデカリボンちゃんですね。音羽ちゃんと丸山ちゃんは正直よう判りません。何せ歌組以外ろくに描写が無いからなあ。そういや前回いきなり食い込んできたたまきちゃんはどうなったんだろ? ともあれ一次合格の二人は抱き合って喜び、続いてこのステージがS4への登竜門=ゆめたちにとって存外重要なポイントである事を示します。まあゆめ本人はそれほど気負った様子が見られず、良くも悪くもナチュラルにオーディションに挑むわけですが。
どうでもいいけどこのシーンの小春ちゃんの発声が「ひめちゃんゆめちゃん!」に聞こえたのはうちのスピーカのせい? それとも私の耳のせい? この後もゆめへ呼び掛ける時「ひめちゃん」と聞こえるカットがあったのは何なのだろう。

件の登竜門(笑)をくぐって今回の決戦場たる希望ヶ丘競技場へ到着したゆめ&小春ちゃん。現場にはいつものメンツが揃っており、集まるや稲やセンター争いの話題に花を咲かせます。今回のオーディションは各組が担うハーフタイムショーのセンターを決める闘いとの事で、さっそく「センターの自分」を想像してニヤマリのゆめ…この緩みきった顔の締まらなさったら(笑。ってな一方で――
「じゃあ私は真昼ちゃんと勝負だね」
「最後くらいはビシッと決めたいな」
「え? 最後?」
「あっと…何でもない!」
判り易すぎるフラグを自らぶっ立てる小春ちゃん。これは次回小春ちゃんの異変に気付いたゆめへ追い討ちを掛けるんだろうなあ。想像しただけでいろいろ辛い。そんなこんなでグランドに招集されたみなさんは決勝オーディションに向けてレッスン開始。人数的には6名×4列の総員24名、顔ぶれを見るに列手前から歌組・劇組・美組・舞組っぽいけれど…ハーフタイムショーイメージでステージに立つのは5名で、後の決勝オーディションに参加しているのは4名ずつという不思議。しかも各組に分かれてのレッスンでは歌組の子がウォーキング練習の場にいたり、劇組決勝に出ていた子が集合カットにいなかったり、いくらモブでもテキトウすぎてちょっと笑ってしまった。些細な事だけど集合絵のパースもおかしい。外側列の子はどこ見てんの?
「あのねゆめちゃん。実は私 別の意味で気合い入ってて…」
「えっとね…たぶんこのショーが終わった後、私お父さんの仕事の都合でイタリアに行く事になってて」
「本当はこのまま学園に残っていたいんだけど、今回は長くなりそうだからお母さんも私も一緒に行く事にしたの」
「それにイタリアならファッションの勉強なんかもできるかなって…」
「ゆめちゃん?」
初日からの猛レッスンに疲れ果て、部屋へ戻るなりバタンキューのゆめ。一方小春ちゃんはベッドのゆめへ例の事情を淡々と語り始めるのですが…意外とナチュラルに話し始めて驚いたものの、やはりというかお約束どおりというかゆめはすっかり寝コケていて、小春ちゃん一世一代の大切な話を聞いていませんでした。あらら。などと何も知らず平和に寝コケるゆめの一方で、一人必死に汗を流すローラをチラリ。この辺からゆめとローラの今回オーディションに対する熱量差…自然体のゆめと絶対負けられないローラとの対比が浮き彫りにされていきます。

「おっと、ゆめ。それを言うなら私との勝負に勝たないとだよ」
女子が五人集まって女姦女しく見つめるアイカツモバイル。食い入るように見ていたのは過去のハーフタイムショーの映像で、現S4の面々が一年生だった頃のステージを眺めてわいわいきゃあきゃあ大盛り上がりであります。噂どおり現S4は全員センターを務めており、その映像を眺めているうちS4へのナチュラルな憧れからセンター取りを宣言するゆめ、すると軽い調子で勝負宣言を返すローラ…ここでは冗談めかしていましたが腹の内ではマグマの如き闘志が煮えたぎっていたのでしょう。ああ地味にキッツイ。
「明日もレッスンだね」
「うん。あの…」
「さっきのひめ先輩すごくかっこよかった!」
学園からの帰り道に例の話を言い辛そうに言いかける小春ちゃん。そりゃ他ならぬ親友・ゆめにだけはどうしても伝えておかなければいけませんもの。ところがこのテのお約束どおり言いかけたトコでナチュラルに話題を回避され、脇道に逸れた会話によってついに言い出せず、おそらく言うタイミングが無いままタイムリミットギリギリになってしまうのでしょう。神視点から見ていると飴ちゃんを頬ばって笑顔で駆け出すゆめがお気楽脳天気に思えるけれど、現時点のゆめは本当に何も知らないのだから仕方ありません。そういや今日は二人でお帰り? と思ったら。
「スタジアムステージに似合うドレスは…いいじゃん これでいこう!」
丸い飴ちゃんを頬ばるゆめの一方で、ローラは同じ丸いものでもグリッターを操作して決勝へのドレスメイクに励んでいました。などなど前述どおりセンター争い(勝負)に対する両者の熱量差を節目節目に入れ込み…パッと見は遊んでばかりのゆめ、一方ゆめに勝つためひたむきに頑張り続けるローラの図式を印象付けます。テンプレ展開ならその努力が報われる(ローラが勝つ)事で努力の価値を示し、また頑張った子の勝利によって視聴者的にも溜飲が下がるトコですが。

しかし実際はそんなシンプルなお話ではありません。前述の対比だけ見れば文字どおり寝食忘れて頑張っているローラの方に肩入れしたくなりますが、ゆめはゆめで別にサボっているわけではなく、特別コーチ(?)による厳しいレッスンをきちんと重ねているのです。体力的にローラに優るゆめが帰寮後即寝オチする程度には身体を苛めており、甘いモノの補給にしても厳しいレッスンをこなした上での事。ローラの頑張りを際立たせるため極端な絵面の組み合わせになっていますが真相はそんなトコです。すなわちゆめがレッスンに臨む気合い(センターへの思いと言い換えても良い)は決して低い訳ではなく、量極端な対比によってそう見えるだけ。むしろ見方によってはローラがオーバーワークを重ねているようにも映り、先走る気持ちに身体が付いていかないオチもあるかな? とすら思えたほど。
「ごめん、私は今日は帰る」
「私も…」
「あまり食べ過ぎないようにね」
「え? ローラの分も食べてあげようと思ってたのに」
絞られまくったレッスン後のスイーツタイムのお誘いを二つ返事で断る真昼はおそらく決戦に向けての食事制限でしょう。甘いモノ命の真昼が甘いモノを断つってだけで決戦への気合いが伝わってきます(笑。続いて断るローラにふっと視線を向ける真昼のヒトコマも意味深で、この辺のツーカーっぷりは劇場版での流れを思い出します。なのに渦中の(?)ゆめはローラの動きを全く疑わず無邪気な笑顔を返すのみ。こういうトコからもローラに対する全幅の信頼が窺えるものの…まさか自分を出し抜くため陰でレッスンを重ねているなんて夢にも思わないでしょうね。ゆめにとってローラは「目標に向かって一緒に頑張る仲間」なのですから。
「ゆめと同じ練習してちゃ勝てないと思う」
「今回はゆめの何倍もアイカツして力を付けなきゃって思ってるんだ」
一方ローラはいつもの展望台にて「いつもゆめと一緒」だった事を敗因として真昼に語ります。どうしてもゆめに勝ちたい=勝つためには何倍も努力しなければならないというのはある意味正論なのだけれど、ゆめに黙って一人練習を重ねるローラを見るとどこか寂しさを感じてしまう。ともあれそんなローラに同調するのが「打倒お姉ちゃん」の幟を上げる真昼ってのは何となく判りますね。しかしここでポイントなのは先に示された真昼の目標「香澄夜空とは違うタイプのトップモデル」。
真昼がローラと違うのは「勝つために必要な努力」のベクトルが質か量か判っているという事。香澄夜空の後を追って抜き去るのは不可能(本物には絶対勝てない)、だから自分の個性を最大限に磨く事が勝利への道と判っている。一方ローラはゆめに勝ちたい一心で練習量を増やしているだけ。ゆめの「あの力」は未だ詳細が明らかにならないとはいえ「天賦の才」のメタファーである事は明らかで、天才と同じ土俵で練習量だけ増やしても最終的には才能に跳ね返されてしまう。これは努力型キャラにとって非常に理不尽な負けパターンではあるものの、それだけに視聴者の同情や共感を呼びやすく…平たく言うと番組スタート時の予想以上にオイシイ立ち位置に収まっていますね。またこの理不尽さが未だ明らかにされない「あの力」へのヒキになっているのも憎らしく上手い(笑
スタート当初はローラの方が才能溢れる天才キャラの扱いで、対するゆめは「何も知らない出来ない凡人ド素人が努力を重ねて追い付き追い越す」的なポジションでしたが、いざ蓋を開けたら両者の立ち位置が逆だったというのは面白い。泥ダンゴを食らうほどではないにせよ人並み以上の努力で着実に実力を付け、ギリギリの土壇場では内なる才能(あの力)によって相手を突き放すゆめ。一方人並み以上の才能を持ち人の何倍も努力を重ねるも煌めく才能の前に打ち砕かれるローラの構図は、まあ描写レベルの差はあれど才能vs努力の王道たる「マヤvs亜弓さん」の関係にかなり近い。要するにおっさん的にこのテの話は大好物なのでついつい熱が入ってしまうのだなあ。なるほどこうなってくるとダブル主人公を謳っていたのも判ります。
「あんまりやりすぎるのも返って逆効果だぞ。ほどほどにな」
ローラが抱えるライバル心を思い起こし自主練の申し出を快諾するアンナ先生は若者のアツき闘争心を温かく見守っているように思えます。きっと先生も若い頃は同じような事をしていたのでしょう。またここでローラの努力を現認する事で後のセリフも活きてきます。

Bパートはハーフタイムショーオーディションの決戦当日。控えスペースに集合した総員24名の一次合格者の中に当然ながらローラを確認できるものの、パッと変わった控え室シーンに何故か姿がありません。ゆめはローラの所在を気にしつつも初っ端の出番に軽く緊張を見せ、一方ローラはみんなから離れて一人曲を聴き時間ギリギリまで集中を高めていたのです。ほどなく招集時間になっても姿を見せないローラをゆめはいよいよ心配し、ってなトコへ大急ぎで合流したローラはそんなゆめを一瞥しただけで闘志を燃やし続け…決戦直前の直接対比は熱量差も最高潮なれど、勝負に拘るあまり周りが見えなくなっている節も感じたり。そんな様子にさすがのゆめも異変に気付き、続くコーデチェンジ控え室にてローラの本気に圧倒されると遅まきながら本気エンジンを始動! ゆめったらのんびりしすぎ! というかこの土壇場で「本気だ!」は無いとは思った。ゆめは本気じゃなかったの? なのでこのセリフはもう一工夫あった方がが良かった気がする。

というわけで始まったハーフタイムショーオーディションは新OP曲である「1,2,Sing for You!」が早くも登場。映像はDCDムービー準拠のスタジアムステージとなり、黄色いバスの屋根上でアツいロックを歌い踊る二人を堪能させてくれます。デュオなのに全くシンクロしない、各々キャラにマッチさせたイントロダンスはいかにもアイカツムービーらしいけれど、DCDムービーを見るとこれは単にセンターorバックダンスの差っぽい。ロック曲のステージらしく振り付けはローラがセンター、ゆめがバックダンスで、ここへ至ってもローラの優位を窺わせている? と思ったら唐突に観客トリオ(笑)のカットが入り、後にはローラ&ゆめのモノローグが入って驚き。ライブ中のリアクションやモノローグをカットインさせる演出はライブ自体を本編ストーリーに強く絡ませられる効果があるものの、シリーズのお約束としてPV的に1本通す見せ方が気に入っていたので私的には痛し痒しだったり。それはそうと二人のコーデがアングルによって妙に巨乳に見えて驚いたというか穏やかじゃないというか。Bメロに入ると各々がアイドルオーラを発動させ、キラキラオーラに包まれたローラは勝利の手応えを掴むものの――
《私が絶対センターになる!》

ローラの気合いに反応し、勝ちたい気持ちを高めたゆめが虹ブーストを発動させてしまいます。いや言い方は悪いけれどオンタイム時は本当に「発動させちゃったか…」と思ってしまった。今回ばかりはブースト無しの真っ向勝負を、ローラの努力が報われる事をココロのどこかで望んでいたのだなあ。いやブーストが発動した上でローラが勝てばそれはそれでアツいか? と思い直すもやはり現実は厳しく…ゆめの勝ちたい思いを示すが如く溢れ出した衝撃波(?)によってローラの酢コンブオーラは消し飛ばされ、SpAも発動せず、ライブの途中にも関わらず誰の目にも勝敗が明らかになってしまいました。キラキラの虹オーラを纏うゆめに対しオーラ無しでステージを続けるローラの何と辛い事か。ローラに似合うこの曲は私的にかなりお気に入りで本編での登場を楽しみにしていたのですが、まさかこんな悲しい気分で新ステージを見る事になるとは。ロックスタンダードのEから力強くストレートな歌い口のCに変わるサビの転調が特に気に入っているのに、よりによってそのタイミングでブースト発動以下略なんて。
ローラが重ねた努力を一瞬で消し飛ばしてしまった「あの力」。もちろんゆめに悪意は全く無く、ゆめのアイドル力はブースト込みと判っちゃいても、ここへ至る対比描写をあっさりひっくり返す理不尽かつ無情な映像はあまりに衝撃的すぎた。この理不尽さこそ才能の差にひれ伏すしかない凡人の嘆き=視聴者の共感を引き込む演出であり、逆に才能で駆け上がった者が才能に振り回され転落する布石でもあるのだけれど、正直なトコ今回の虹ブースト描写はゆめがチート頼みの悪役に見えてしまう危惧を感じた。これまで幾度も描写されてきた身体へのダメージ(ブーストの反動)を鑑みれば、当然ながらゆめはこのまま順調にアイドル坂を登り続けられるはずもなく、「あの力」の解明を含めて遅かれ早かれ試練の時を迎えるとは思いますが、私としては今回の理不尽(に見える)勝敗がネガティブに定着する前にきちんと「才能」と向き合う展開が描かれる事を願うのみ。どうでもいいけどラストのキメでチラリと映ったフェブリスゲージを見るとゆめとローラにほとんど差がないんですよね。アイドルオーラの有無という決定的な差がゲージに反映されず、またこの後の結果発表でも意外と僅差だったのはいったいどういう事なのだろう。

ほどなく発表されたオーディション結果は前述どおり僅差でゆめの勝利でした。一次通過者24名なのに歌組エントリーが(後の描写では劇組も)4名ってのはこれまた不思議な。これで残り2組も4名ずつだったら消えた8名はどこへ?(笑
それはそうとゆめの勝利を讃える輪を遠目に見つめるローラが辛すぎた。ギリギリまで努力を重ね本気の本気で臨んだ末の敗戦はいろいろ思う所があるでしょうに、その表情からは悔しさも悲しさも見て取れず、むしろそれらの思いを必死に抑えているような無表情で立ち尽くす。みんなの輪に入って笑い飛ばせるほど軽い敗戦では無く、かと言って仲間の前で悔し涙を流すのはプライドが許さない。だからローラはそのまま踵を返し一人涙するのです。またどうしても勝てない相手が遙か遠くに思えたのかもしれない。そんなフクザツな胸中をヒトコマで表した好カットでした。
「虹野ゆめ。あなたに続いてセンターを勝ち取るのはこの私ですわ!」
「ちょっと! 聞いてるんですの!?」
「あれ? ローラどこ行ったんだろう」
オーディションに向けてポーズキメキメのあこを華麗にスルーしローラの所在を気にするゆめ。あこってばこういう役どころばっかり(笑。たまには劇組のルーキーエースらしくドラマ回で女優魂を見せてほしいなあ。それはともかく真昼は困り顔を浮かべつつ――
「ゆめに負けたから今は顔を合わせたくないんじゃない?」
「そんな事ないよ! だってローラと私は良きライバルである前に仲良しの友達なんだから!」
「だからこそじゃない?」
無垢に友情を信じるゆめを諭すのでした。ローラとは勝っても負けても共に笑顔で勝負を締めたい…友達でありライバルである関係の理想型ではありますが、今回に限れば勝負に対する熱量があまりに違いすぎ、天然勝者のゆめはともかく全力以上を出して負けたローラは合わせる顔がない。とはいえゆめはローラの影の努力や勝負への一途な拘りをほとんど知らないのだからいつもどおりのノーサイドを期待するのも当然で、一方その辺の事情を知る真昼はローラの心情を適切に汲み取れたというだけの事。などと筋立てて考えれば誰も悪くないのだけれど、このシーンだけ切り取ってゆめと真昼の精神成熟度対比として眺めるとゆめが空気を読めない鈍感お子様キャラに見えてしまう危惧ががが。子供アニメのヒロインとしてそう思われない工夫が必要な気がしながら、しかし今回はこういう気持ちのすれ違いそのものが今後の布石になっている(あえてそう描かれている)気もするので判断が難しい。

《どうして? あんなに頑張ったのに》
《ゆめと一緒じゃダメだと思ってゆめの何倍もアイカツしたのに…何で勝てなかったの?》
一人になって敗戦を噛みしめ、先の無表情から一転したローラの横顔・表情変化がまた辛い。グッと握り締めた拳がミニスカを僅かに引き揚げ、ってなトコへポタポタと悔し涙が落ちる演出はグッと引き込まれます。具体的には相変わらず美味しそうな脚(レビュー台無し。ってなトコへ現れたアンナ先生に対し即座に背を向けるローラのプライドや良し。泣き顔を見せたくないのだなあ。
「虹野と比較して、同じ事をして、勝った負けたなんて思う必要は無い」
「ましてやもう勝てないなんて思うのはナンセンスだ」
「お前はお前のやり方で光り輝けばいい」
「自分たちのやり方を見つけた上で競い合う、それが本当の意味でのライバルだ」
敗戦を嘆くローラへ掛けられたアンナ先生の言葉は、まさにこれまでクドいほど(笑)繰り返されてきた「個性」への言及と、言うなればその核心たる学園の方針「セルフプロデュース」の真の意味についてでした。自分で組を選び、受けたい授業を選び、自分に合ったカード(コーデ)を選び作り上げる。それらは全て自分の個性を見出し延ばすための一環であり、アイドルとしての自分を自分自身でプロデュース(製作)するためのシステムなのです。一面の黄色いコスモスも一つずつ見ればみな違うように、同じ歌組アイドルでも個性はみな違っている。とはいえ同じ黄色いコスモスを目指していては大きく抜きん出る事はできない。ならば黄色い絨毯の中で際立つ赤い薔薇をセルフプロデュースすればいい。などなどアンナ先生のご教示をを聞いたローラは意外と(?)あっさり納得し、笑顔を戻してみんなのトコへ帰っていくのでした。珍しくアンナ先生が仕事した(笑
「ゆめ、今日から私たちは本当のライバルだからね」
「え? 何? 今までだってそうだったでしょう?」
「今までとはちょっと違うの」
「え? どういう事?」
「私には私のやり方があるって事」
あこのブッチギリ勝利に盛り上がってるトコへ戻ったローラは顔を合わせた早々ゆめへ「おめでとう」を伝えます。ベタな描写ですがこの言葉を素直に言えた事がローラの成長を感じさせますね。一方ゆめは戻ったローラへあこの圧勝を伝えた途端自分への「おめでとう」を言われて一瞬驚き…ローラもあこスルーか! とちょっと思ってしまった(笑。ともあれ様子がおかしかったローラが以前どおりの笑顔を見せてくれた事で倍の笑顔を返すゆめ、この素直さはゆめの良い所ですがキミが知らない所でライバルは着実に成長していたのですよ。そしてローラが本当のライバル宣言。戸惑うゆめの傍らでローラの真意を汲む真昼の奥深い笑みがまた良い味でした。キミら本当のツーカーだな。
というわけで今回は懸念事項だった小春ちゃん関係のアレが確定し、本題たるハーフタイムショーオーディションに絡めてローラの成長が描かれ、一方ますます加速するゆめの虹ブーストに衝撃と懸念が上積みされ…その他もろもろ溢れるほどの内容をギュッと詰め込んだ一本でした。やはりオーディション絡みの成長話は面白い。件の対決描写によってゆめのお話も着実に進んでおり、次回予告を見る限り虹ブーストの反動(?)が早々表れそうでこちらも楽しみ。
余談。
今回ライブステージの勝敗に関して、ローラにドンズバのロック曲&ステージにマッチさせたコーデを合わせたのに「個性が云々」「自分のやり方云々」という落とし所はいまいち説得力に欠けると思わなくなくも(略。だったらローラは具体的にどうすりゃいいのだろう? と素で思ってしまった。ローラの個性を追求すると今回のステージに行き着くのでは?
判りやすさで言うなら今回はゆめの土俵である「みつばちのキス」であえなく吹き飛ばされ、「1,2,Sing for You!」をリベンジマッチとした方がすっきりハマった気がする。その状況で同曲ステージがお披露目されたら間違いなくTV画面が滲んで見えなくなるはず。というか今後同じ曲(1,2,Sing for You!)のライブでローラを勝たせるにはオーラブレイカーキャンセラー+ブーストデストロイヤー(?)くらい発動させないと無理っぽい…異能バトルアニメじゃあるまいし(笑。今後何らかの事情で虹ブーストを発動できなくなったゆめに勝った所でローラも視聴者も溜飲が下がらず、かと言ってブーストゆめに勝ってしまったら「あの力」の存在意義を失ってしまう訳で、はたしてどういう形で「本当のライバル」の決着を付けるのか気になるトコであります。
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勝ちに拘るローラの苦難。

ファーストカットはアンナ先生によるビッグニュース! 最近このパターンが多いな(笑。というわけで今回の告知(ネタ)はサッカーワールドトーナメントのハーフタイムショーについて。伝統的に四ツ星学園一年生が担当するらしい件のショー。話を聞いたゆめは大観衆に囲まれた華やかなステージを思い浮かべてさっそくワクワク盛り上がり…ゆめ&ローラの関係性に何らかの変化・進展が見られるであろう久々の直接対決に私もワクワクであります。オファーの仕事や学園内のドタバタも良いけれどやはりガチンコの対決話は見ていてアツいですし。
CM明けてAパート冒頭は早朝の四ツ星寮。その一室にてハロウィンの写真を一人しみじみ眺める小春ちゃんは、第24話での帰省時に両親から告げられた事を思い出し、眼鏡の奥の瞳をスッと沈ませるのでした。なるほどこんな大切な話をしていたのなら一人自宅に帰ったのも判ります。
「イタリアか…憧れの国ではあるけど…」
これまでさんざ乱立されてきた離脱フラグが何とあっさり現実に。マジか!? 本当にそのまんまフラグだったのか!? 父ちゃんのイタリア赴任に伴い家族揃ってイタリアへ…全寮制の学校なので小春ちゃんだけ日本に残るのも不可能ではないだろうけれど、両親からすれば中一の娘を一人残して海外赴任って訳にはいかないでしょうし、小春ちゃんにしても余計な心配を掛けたくないでしょうし、些か唐突&理不尽ではあるものの子供の立場ではどうにもならない、平たく言えば「仕方がない」別離ではあります。とはいえ展開的に離脱必至なら何か前向きな理由=小春ちゃん自身の意志で四ツ星を一時離れるような流れを予想していたため、親の転勤というあまりに実も蓋も無い理由とされて正直少々言葉を失った。現実は非情なり。一方こういう重大事を一人静かに受け容れてしまう辺り小春ちゃんらしいというか、こういうトコが彼女の長所であり短所なのだろうなあと。などなど複雑な思いに耽っているとアイカツモバイルがチリンと鳴ってめるめる着信。
「ゆめちゃんゆめちゃん! ねぇ起きて! 一次オーディションの結果来てるよ!」
小春ちゃんの事情など露知らず寝コケるゆめを叩き起こして一次オーディション結果のおしらせ。寝ぼけ顔をパッと開いて目覚めるゆめかわいい。寝起きいいな(笑。結果はもちろん二人とも合格で、結果画面に映った範囲では――
★七倉小春(美組)
★加賀山るみ子(歌組)
★花畑ナナ(歌組)
★音羽ゆきな(美組)
★虹野ゆめ(歌組)
★桜庭ローラ(歌組)
★丸山さくら(劇組)
歌組の他二名はこれまでも結構映っていた髪がお花畑の子とデカリボンちゃんですね。音羽ちゃんと丸山ちゃんは正直よう判りません。何せ歌組以外ろくに描写が無いからなあ。そういや前回いきなり食い込んできたたまきちゃんはどうなったんだろ? ともあれ一次合格の二人は抱き合って喜び、続いてこのステージがS4への登竜門=ゆめたちにとって存外重要なポイントである事を示します。まあゆめ本人はそれほど気負った様子が見られず、良くも悪くもナチュラルにオーディションに挑むわけですが。
どうでもいいけどこのシーンの小春ちゃんの発声が「ひめちゃんゆめちゃん!」に聞こえたのはうちのスピーカのせい? それとも私の耳のせい? この後もゆめへ呼び掛ける時「ひめちゃん」と聞こえるカットがあったのは何なのだろう。

件の登竜門(笑)をくぐって今回の決戦場たる希望ヶ丘競技場へ到着したゆめ&小春ちゃん。現場にはいつものメンツが揃っており、集まるや稲やセンター争いの話題に花を咲かせます。今回のオーディションは各組が担うハーフタイムショーのセンターを決める闘いとの事で、さっそく「センターの自分」を想像してニヤマリのゆめ…この緩みきった顔の締まらなさったら(笑。ってな一方で――
「じゃあ私は真昼ちゃんと勝負だね」
「最後くらいはビシッと決めたいな」
「え? 最後?」
「あっと…何でもない!」
判り易すぎるフラグを自らぶっ立てる小春ちゃん。これは次回小春ちゃんの異変に気付いたゆめへ追い討ちを掛けるんだろうなあ。想像しただけでいろいろ辛い。そんなこんなでグランドに招集されたみなさんは決勝オーディションに向けてレッスン開始。人数的には6名×4列の総員24名、顔ぶれを見るに列手前から歌組・劇組・美組・舞組っぽいけれど…ハーフタイムショーイメージでステージに立つのは5名で、後の決勝オーディションに参加しているのは4名ずつという不思議。しかも各組に分かれてのレッスンでは歌組の子がウォーキング練習の場にいたり、劇組決勝に出ていた子が集合カットにいなかったり、いくらモブでもテキトウすぎてちょっと笑ってしまった。些細な事だけど集合絵のパースもおかしい。外側列の子はどこ見てんの?
「あのねゆめちゃん。実は私 別の意味で気合い入ってて…」
「えっとね…たぶんこのショーが終わった後、私お父さんの仕事の都合でイタリアに行く事になってて」
「本当はこのまま学園に残っていたいんだけど、今回は長くなりそうだからお母さんも私も一緒に行く事にしたの」
「それにイタリアならファッションの勉強なんかもできるかなって…」
「ゆめちゃん?」
初日からの猛レッスンに疲れ果て、部屋へ戻るなりバタンキューのゆめ。一方小春ちゃんはベッドのゆめへ例の事情を淡々と語り始めるのですが…意外とナチュラルに話し始めて驚いたものの、やはりというかお約束どおりというかゆめはすっかり寝コケていて、小春ちゃん一世一代の大切な話を聞いていませんでした。あらら。などと何も知らず平和に寝コケるゆめの一方で、一人必死に汗を流すローラをチラリ。この辺からゆめとローラの今回オーディションに対する熱量差…自然体のゆめと絶対負けられないローラとの対比が浮き彫りにされていきます。

「おっと、ゆめ。それを言うなら私との勝負に勝たないとだよ」
女子が五人集まって女姦女しく見つめるアイカツモバイル。食い入るように見ていたのは過去のハーフタイムショーの映像で、現S4の面々が一年生だった頃のステージを眺めてわいわいきゃあきゃあ大盛り上がりであります。噂どおり現S4は全員センターを務めており、その映像を眺めているうちS4へのナチュラルな憧れからセンター取りを宣言するゆめ、すると軽い調子で勝負宣言を返すローラ…ここでは冗談めかしていましたが腹の内ではマグマの如き闘志が煮えたぎっていたのでしょう。ああ地味にキッツイ。
「明日もレッスンだね」
「うん。あの…」
「さっきのひめ先輩すごくかっこよかった!」
学園からの帰り道に例の話を言い辛そうに言いかける小春ちゃん。そりゃ他ならぬ親友・ゆめにだけはどうしても伝えておかなければいけませんもの。ところがこのテのお約束どおり言いかけたトコでナチュラルに話題を回避され、脇道に逸れた会話によってついに言い出せず、おそらく言うタイミングが無いままタイムリミットギリギリになってしまうのでしょう。神視点から見ていると飴ちゃんを頬ばって笑顔で駆け出すゆめがお気楽脳天気に思えるけれど、現時点のゆめは本当に何も知らないのだから仕方ありません。そういや今日は二人でお帰り? と思ったら。
「スタジアムステージに似合うドレスは…いいじゃん これでいこう!」
丸い飴ちゃんを頬ばるゆめの一方で、ローラは同じ丸いものでもグリッターを操作して決勝へのドレスメイクに励んでいました。などなど前述どおりセンター争い(勝負)に対する両者の熱量差を節目節目に入れ込み…パッと見は遊んでばかりのゆめ、一方ゆめに勝つためひたむきに頑張り続けるローラの図式を印象付けます。テンプレ展開ならその努力が報われる(ローラが勝つ)事で努力の価値を示し、また頑張った子の勝利によって視聴者的にも溜飲が下がるトコですが。

しかし実際はそんなシンプルなお話ではありません。前述の対比だけ見れば文字どおり寝食忘れて頑張っているローラの方に肩入れしたくなりますが、ゆめはゆめで別にサボっているわけではなく、特別コーチ(?)による厳しいレッスンをきちんと重ねているのです。体力的にローラに優るゆめが帰寮後即寝オチする程度には身体を苛めており、甘いモノの補給にしても厳しいレッスンをこなした上での事。ローラの頑張りを際立たせるため極端な絵面の組み合わせになっていますが真相はそんなトコです。すなわちゆめがレッスンに臨む気合い(センターへの思いと言い換えても良い)は決して低い訳ではなく、量極端な対比によってそう見えるだけ。むしろ見方によってはローラがオーバーワークを重ねているようにも映り、先走る気持ちに身体が付いていかないオチもあるかな? とすら思えたほど。
「ごめん、私は今日は帰る」
「私も…」
「あまり食べ過ぎないようにね」
「え? ローラの分も食べてあげようと思ってたのに」
絞られまくったレッスン後のスイーツタイムのお誘いを二つ返事で断る真昼はおそらく決戦に向けての食事制限でしょう。甘いモノ命の真昼が甘いモノを断つってだけで決戦への気合いが伝わってきます(笑。続いて断るローラにふっと視線を向ける真昼のヒトコマも意味深で、この辺のツーカーっぷりは劇場版での流れを思い出します。なのに渦中の(?)ゆめはローラの動きを全く疑わず無邪気な笑顔を返すのみ。こういうトコからもローラに対する全幅の信頼が窺えるものの…まさか自分を出し抜くため陰でレッスンを重ねているなんて夢にも思わないでしょうね。ゆめにとってローラは「目標に向かって一緒に頑張る仲間」なのですから。
「ゆめと同じ練習してちゃ勝てないと思う」
「今回はゆめの何倍もアイカツして力を付けなきゃって思ってるんだ」
一方ローラはいつもの展望台にて「いつもゆめと一緒」だった事を敗因として真昼に語ります。どうしてもゆめに勝ちたい=勝つためには何倍も努力しなければならないというのはある意味正論なのだけれど、ゆめに黙って一人練習を重ねるローラを見るとどこか寂しさを感じてしまう。ともあれそんなローラに同調するのが「打倒お姉ちゃん」の幟を上げる真昼ってのは何となく判りますね。しかしここでポイントなのは先に示された真昼の目標「香澄夜空とは違うタイプのトップモデル」。
真昼がローラと違うのは「勝つために必要な努力」のベクトルが質か量か判っているという事。香澄夜空の後を追って抜き去るのは不可能(本物には絶対勝てない)、だから自分の個性を最大限に磨く事が勝利への道と判っている。一方ローラはゆめに勝ちたい一心で練習量を増やしているだけ。ゆめの「あの力」は未だ詳細が明らかにならないとはいえ「天賦の才」のメタファーである事は明らかで、天才と同じ土俵で練習量だけ増やしても最終的には才能に跳ね返されてしまう。これは努力型キャラにとって非常に理不尽な負けパターンではあるものの、それだけに視聴者の同情や共感を呼びやすく…平たく言うと番組スタート時の予想以上にオイシイ立ち位置に収まっていますね。またこの理不尽さが未だ明らかにされない「あの力」へのヒキになっているのも憎らしく上手い(笑
スタート当初はローラの方が才能溢れる天才キャラの扱いで、対するゆめは「何も知らない出来ない凡人ド素人が努力を重ねて追い付き追い越す」的なポジションでしたが、いざ蓋を開けたら両者の立ち位置が逆だったというのは面白い。泥ダンゴを食らうほどではないにせよ人並み以上の努力で着実に実力を付け、ギリギリの土壇場では内なる才能(あの力)によって相手を突き放すゆめ。一方人並み以上の才能を持ち人の何倍も努力を重ねるも煌めく才能の前に打ち砕かれるローラの構図は、まあ描写レベルの差はあれど才能vs努力の王道たる「マヤvs亜弓さん」の関係にかなり近い。要するにおっさん的にこのテの話は大好物なのでついつい熱が入ってしまうのだなあ。なるほどこうなってくるとダブル主人公を謳っていたのも判ります。
「あんまりやりすぎるのも返って逆効果だぞ。ほどほどにな」
ローラが抱えるライバル心を思い起こし自主練の申し出を快諾するアンナ先生は若者のアツき闘争心を温かく見守っているように思えます。きっと先生も若い頃は同じような事をしていたのでしょう。またここでローラの努力を現認する事で後のセリフも活きてきます。

Bパートはハーフタイムショーオーディションの決戦当日。控えスペースに集合した総員24名の一次合格者の中に当然ながらローラを確認できるものの、パッと変わった控え室シーンに何故か姿がありません。ゆめはローラの所在を気にしつつも初っ端の出番に軽く緊張を見せ、一方ローラはみんなから離れて一人曲を聴き時間ギリギリまで集中を高めていたのです。ほどなく招集時間になっても姿を見せないローラをゆめはいよいよ心配し、ってなトコへ大急ぎで合流したローラはそんなゆめを一瞥しただけで闘志を燃やし続け…決戦直前の直接対比は熱量差も最高潮なれど、勝負に拘るあまり周りが見えなくなっている節も感じたり。そんな様子にさすがのゆめも異変に気付き、続くコーデチェンジ控え室にてローラの本気に圧倒されると遅まきながら本気エンジンを始動! ゆめったらのんびりしすぎ! というかこの土壇場で「本気だ!」は無いとは思った。ゆめは本気じゃなかったの? なのでこのセリフはもう一工夫あった方がが良かった気がする。

というわけで始まったハーフタイムショーオーディションは新OP曲である「1,2,Sing for You!」が早くも登場。映像はDCDムービー準拠のスタジアムステージとなり、黄色いバスの屋根上でアツいロックを歌い踊る二人を堪能させてくれます。デュオなのに全くシンクロしない、各々キャラにマッチさせたイントロダンスはいかにもアイカツムービーらしいけれど、DCDムービーを見るとこれは単にセンターorバックダンスの差っぽい。ロック曲のステージらしく振り付けはローラがセンター、ゆめがバックダンスで、ここへ至ってもローラの優位を窺わせている? と思ったら唐突に観客トリオ(笑)のカットが入り、後にはローラ&ゆめのモノローグが入って驚き。ライブ中のリアクションやモノローグをカットインさせる演出はライブ自体を本編ストーリーに強く絡ませられる効果があるものの、シリーズのお約束としてPV的に1本通す見せ方が気に入っていたので私的には痛し痒しだったり。それはそうと二人のコーデがアングルによって妙に巨乳に見えて驚いたというか穏やかじゃないというか。Bメロに入ると各々がアイドルオーラを発動させ、キラキラオーラに包まれたローラは勝利の手応えを掴むものの――
《私が絶対センターになる!》

ローラの気合いに反応し、勝ちたい気持ちを高めたゆめが虹ブーストを発動させてしまいます。いや言い方は悪いけれどオンタイム時は本当に「発動させちゃったか…」と思ってしまった。今回ばかりはブースト無しの真っ向勝負を、ローラの努力が報われる事をココロのどこかで望んでいたのだなあ。いやブーストが発動した上でローラが勝てばそれはそれでアツいか? と思い直すもやはり現実は厳しく…ゆめの勝ちたい思いを示すが如く溢れ出した衝撃波(?)によってローラの酢コンブオーラは消し飛ばされ、SpAも発動せず、ライブの途中にも関わらず誰の目にも勝敗が明らかになってしまいました。キラキラの虹オーラを纏うゆめに対しオーラ無しでステージを続けるローラの何と辛い事か。ローラに似合うこの曲は私的にかなりお気に入りで本編での登場を楽しみにしていたのですが、まさかこんな悲しい気分で新ステージを見る事になるとは。ロックスタンダードのEから力強くストレートな歌い口のCに変わるサビの転調が特に気に入っているのに、よりによってそのタイミングでブースト発動以下略なんて。
ローラが重ねた努力を一瞬で消し飛ばしてしまった「あの力」。もちろんゆめに悪意は全く無く、ゆめのアイドル力はブースト込みと判っちゃいても、ここへ至る対比描写をあっさりひっくり返す理不尽かつ無情な映像はあまりに衝撃的すぎた。この理不尽さこそ才能の差にひれ伏すしかない凡人の嘆き=視聴者の共感を引き込む演出であり、逆に才能で駆け上がった者が才能に振り回され転落する布石でもあるのだけれど、正直なトコ今回の虹ブースト描写はゆめがチート頼みの悪役に見えてしまう危惧を感じた。これまで幾度も描写されてきた身体へのダメージ(ブーストの反動)を鑑みれば、当然ながらゆめはこのまま順調にアイドル坂を登り続けられるはずもなく、「あの力」の解明を含めて遅かれ早かれ試練の時を迎えるとは思いますが、私としては今回の理不尽(に見える)勝敗がネガティブに定着する前にきちんと「才能」と向き合う展開が描かれる事を願うのみ。どうでもいいけどラストのキメでチラリと映ったフェブリスゲージを見るとゆめとローラにほとんど差がないんですよね。アイドルオーラの有無という決定的な差がゲージに反映されず、またこの後の結果発表でも意外と僅差だったのはいったいどういう事なのだろう。

ほどなく発表されたオーディション結果は前述どおり僅差でゆめの勝利でした。一次通過者24名なのに歌組エントリーが(後の描写では劇組も)4名ってのはこれまた不思議な。これで残り2組も4名ずつだったら消えた8名はどこへ?(笑
それはそうとゆめの勝利を讃える輪を遠目に見つめるローラが辛すぎた。ギリギリまで努力を重ね本気の本気で臨んだ末の敗戦はいろいろ思う所があるでしょうに、その表情からは悔しさも悲しさも見て取れず、むしろそれらの思いを必死に抑えているような無表情で立ち尽くす。みんなの輪に入って笑い飛ばせるほど軽い敗戦では無く、かと言って仲間の前で悔し涙を流すのはプライドが許さない。だからローラはそのまま踵を返し一人涙するのです。またどうしても勝てない相手が遙か遠くに思えたのかもしれない。そんなフクザツな胸中をヒトコマで表した好カットでした。
「虹野ゆめ。あなたに続いてセンターを勝ち取るのはこの私ですわ!」
「ちょっと! 聞いてるんですの!?」
「あれ? ローラどこ行ったんだろう」
オーディションに向けてポーズキメキメのあこを華麗にスルーしローラの所在を気にするゆめ。あこってばこういう役どころばっかり(笑。たまには劇組のルーキーエースらしくドラマ回で女優魂を見せてほしいなあ。それはともかく真昼は困り顔を浮かべつつ――
「ゆめに負けたから今は顔を合わせたくないんじゃない?」
「そんな事ないよ! だってローラと私は良きライバルである前に仲良しの友達なんだから!」
「だからこそじゃない?」
無垢に友情を信じるゆめを諭すのでした。ローラとは勝っても負けても共に笑顔で勝負を締めたい…友達でありライバルである関係の理想型ではありますが、今回に限れば勝負に対する熱量があまりに違いすぎ、天然勝者のゆめはともかく全力以上を出して負けたローラは合わせる顔がない。とはいえゆめはローラの影の努力や勝負への一途な拘りをほとんど知らないのだからいつもどおりのノーサイドを期待するのも当然で、一方その辺の事情を知る真昼はローラの心情を適切に汲み取れたというだけの事。などと筋立てて考えれば誰も悪くないのだけれど、このシーンだけ切り取ってゆめと真昼の精神成熟度対比として眺めるとゆめが空気を読めない鈍感お子様キャラに見えてしまう危惧ががが。子供アニメのヒロインとしてそう思われない工夫が必要な気がしながら、しかし今回はこういう気持ちのすれ違いそのものが今後の布石になっている(あえてそう描かれている)気もするので判断が難しい。

《どうして? あんなに頑張ったのに》
《ゆめと一緒じゃダメだと思ってゆめの何倍もアイカツしたのに…何で勝てなかったの?》
一人になって敗戦を噛みしめ、先の無表情から一転したローラの横顔・表情変化がまた辛い。グッと握り締めた拳がミニスカを僅かに引き揚げ、ってなトコへポタポタと悔し涙が落ちる演出はグッと引き込まれます。具体的には相変わらず美味しそうな脚(レビュー台無し。ってなトコへ現れたアンナ先生に対し即座に背を向けるローラのプライドや良し。泣き顔を見せたくないのだなあ。
「虹野と比較して、同じ事をして、勝った負けたなんて思う必要は無い」
「ましてやもう勝てないなんて思うのはナンセンスだ」
「お前はお前のやり方で光り輝けばいい」
「自分たちのやり方を見つけた上で競い合う、それが本当の意味でのライバルだ」
敗戦を嘆くローラへ掛けられたアンナ先生の言葉は、まさにこれまでクドいほど(笑)繰り返されてきた「個性」への言及と、言うなればその核心たる学園の方針「セルフプロデュース」の真の意味についてでした。自分で組を選び、受けたい授業を選び、自分に合ったカード(コーデ)を選び作り上げる。それらは全て自分の個性を見出し延ばすための一環であり、アイドルとしての自分を自分自身でプロデュース(製作)するためのシステムなのです。一面の黄色いコスモスも一つずつ見ればみな違うように、同じ歌組アイドルでも個性はみな違っている。とはいえ同じ黄色いコスモスを目指していては大きく抜きん出る事はできない。ならば黄色い絨毯の中で際立つ赤い薔薇をセルフプロデュースすればいい。などなどアンナ先生のご教示をを聞いたローラは意外と(?)あっさり納得し、笑顔を戻してみんなのトコへ帰っていくのでした。珍しくアンナ先生が仕事した(笑
「ゆめ、今日から私たちは本当のライバルだからね」
「え? 何? 今までだってそうだったでしょう?」
「今までとはちょっと違うの」
「え? どういう事?」
「私には私のやり方があるって事」
あこのブッチギリ勝利に盛り上がってるトコへ戻ったローラは顔を合わせた早々ゆめへ「おめでとう」を伝えます。ベタな描写ですがこの言葉を素直に言えた事がローラの成長を感じさせますね。一方ゆめは戻ったローラへあこの圧勝を伝えた途端自分への「おめでとう」を言われて一瞬驚き…ローラもあこスルーか! とちょっと思ってしまった(笑。ともあれ様子がおかしかったローラが以前どおりの笑顔を見せてくれた事で倍の笑顔を返すゆめ、この素直さはゆめの良い所ですがキミが知らない所でライバルは着実に成長していたのですよ。そしてローラが本当のライバル宣言。戸惑うゆめの傍らでローラの真意を汲む真昼の奥深い笑みがまた良い味でした。キミら本当のツーカーだな。
というわけで今回は懸念事項だった小春ちゃん関係のアレが確定し、本題たるハーフタイムショーオーディションに絡めてローラの成長が描かれ、一方ますます加速するゆめの虹ブーストに衝撃と懸念が上積みされ…その他もろもろ溢れるほどの内容をギュッと詰め込んだ一本でした。やはりオーディション絡みの成長話は面白い。件の対決描写によってゆめのお話も着実に進んでおり、次回予告を見る限り虹ブーストの反動(?)が早々表れそうでこちらも楽しみ。
余談。
今回ライブステージの勝敗に関して、ローラにドンズバのロック曲&ステージにマッチさせたコーデを合わせたのに「個性が云々」「自分のやり方云々」という落とし所はいまいち説得力に欠けると思わなくなくも(略。だったらローラは具体的にどうすりゃいいのだろう? と素で思ってしまった。ローラの個性を追求すると今回のステージに行き着くのでは?
判りやすさで言うなら今回はゆめの土俵である「みつばちのキス」であえなく吹き飛ばされ、「1,2,Sing for You!」をリベンジマッチとした方がすっきりハマった気がする。その状況で同曲ステージがお披露目されたら間違いなくTV画面が滲んで見えなくなるはず。というか今後同じ曲(1,2,Sing for You!)のライブでローラを勝たせるにはオーラブレイカーキャンセラー+ブーストデストロイヤー(?)くらい発動させないと無理っぽい…異能バトルアニメじゃあるまいし(笑。今後何らかの事情で虹ブーストを発動できなくなったゆめに勝った所でローラも視聴者も溜飲が下がらず、かと言ってブーストゆめに勝ってしまったら「あの力」の存在意義を失ってしまう訳で、はたしてどういう形で「本当のライバル」の決着を付けるのか気になるトコであります。
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