2018-02-09(Fri)
アイカツスターズ! #93 光の剣
みんなが進む道を切り拓く。

決勝トーナメントいよいよ開幕です。

アバン冒頭はいつものS4テラス。決勝トナメを5日後に控え気合いと不安が入り交じる中で、予選落ちどころか最初から参加すらしていないあこが決勝ルールの説明を始めます。さすがにそれは参加していたローラの役目じゃ? その説明によるとセミファイナルの組合わせはくじ引きとの事、大抵の「決勝トーナメント」は予選結果を反映した組合わせなので何故そんな手間を? と思ったら今回ドタバタの末に始まる直前生放送(くじ引きイベント)の都合か。
「あさってに組合わせ抽選会とアピールタイムがあるの」
「決勝トーナメントの勝負は観客の投票で決まる」
「だからこれは自分の思いを伝える最後のチャンスなの」
件の生放送に懸ける真昼の気合い、それを受けたみなさんは拳を振り上げ気勢を上げ…なのに真昼たちのアピールタイムが1コマも映らず終わってちょっと笑った。
一方ヴィーナスアークではいきなり閑散とした船内に不信を募らせるレイさん。呑気にケーキを食べているきららへ事情を訊くと明らかに動揺した態度で目を逸らし、するとレイさんは――
「カクシゴトシテマスヨネ?」
しまった、この口調はよりもい第6話の結月ちゃんだった。あまりにインパクトがあったので頭に染み付いてしまったよ(笑。ともあれ強い口調できららを問い質すと、解散宣言を受けた生徒たちがレッスン放棄&VAを辞めるつもりでいる事を知らされます。するとレイさんは瞬間フットーしちゃうわけですが…学園トップ直々に一方的な解散宣言をされたのだから生徒たちの行動はご尤もと言うしか。先が無いのが判っていてレッスンしても意味が無い、それより解散後の身の振り方を考えなければ。
「だからってここを辞めようとするだなんて。止めなければ!」
「そうだね、もう1回説得しよう」
そんな生徒たちを止めようと息巻くレイさん、きららも一転張り切っています。しかし3月いっぱいで解散と学園トップが明言しているのに「辞めてはダメ」なんて不条理もいいトコ、今更止められても生徒たちにとっては先が見えない状況に変わりはないのだから。

「ヴィーナスアークを辞めたいと思っている者は正直に手を上げてほしい」
さて件の生徒たちへレイさんはド直球な質問を投げかけ、するとほぼ全員から挙手が返って思わず絶句。続いてモブ生徒ながら長らくランカーだったジャスミンちゃんが先頭に立ち――
「まさか太陽のドレスを手に入れるために私たちを利用してたなんて」
「レイさんだって利用されたんですよ!」
「解散する学校になっていられません」
言うこと言うことグゥの音も出ない正論をぶつけるのでした。対するレイさんはエルザ様を擁護しながら必死に説得を続けますが、100%信頼していた女王様に突然裏切られた生徒たちへその声は届きません。
「エルザは常に輝く光だった。でもこのままじゃ…」
「ならレイさんが光になればいい」
TV局のカフェで沈むレイさんと行き会った真昼は苦境へのアドバイスを熱く伝えます。それは数々の絡み・闘いで培われてきた信頼ゆえの言葉…この「光」とは単なる憧れではなく全ての意味で道標となる者、つまり解散撤回までの道程を含めて生徒たちの道標となる=それだけの信頼を得るということです。しかしこれ一歩間違えるとクーデターだよね(笑

さて真昼の励ましによって立ち上がったレイさんは生徒たちへチラシを配ってレッスンのお誘い、きらら&アリアもカフェテーブルを縫って回って参加を呼び掛けるものの――
「頑張ってください! ゆめ先輩!」
その頃四ツ星では後輩たちの声援を一手に受けて張り切るゆめ。番組収録までの時間を削ってトレーニングを重ねるゆめにマネージャーのローラは苦笑いながらも都合を付け…決勝に向けてサポート役に徹しているのは判るけど本当にマネージャー扱いで微妙にモニョる。これでも以前は「最高のライバル」扱いだったのにね。ここで後輩たちの気持ちが込められた千羽鶴をチラリ。
「誰も来なかった…」
「残念です」
「予想はしてたけどね」
一方四ツ星の盛り上がりとがっつり対称的なお船の様子が映し出されます。夕陽が浸みるレッスン室に三人以外の姿は無く、レイさんたちが置かれた厳しさがしんみり伝わる好演出、と思ったら今回は佐藤監督自らコンテ・演出回でした。なるほど。
「人の心を動かすのはそう簡単じゃないなって…」
「人を纏め率いていくということはとても大変だ」
翌日再びチラシを配ってもレッスン室には誰も来ません。ジャスミンたち薄情な!(違。夕陽のレイさんは「光」たる器の難儀を憂いつつ、しかしそれでも諦めず必死に前を向く。ここでさりげなくエルザ様の器を褒めていましたが、そのメッキが剥がれたからこそ現状がある事を忘れてはいけない(実も蓋も。そして件の直前生放送を明日に控えて心配するきららたちを尻目に「みんなの事も大事」と意味深な言葉を残してレッスン室を出ていくのでした。
「どれだけ一緒にいると思ってるの」
カメラが再び四ツ星に戻ると施錠されたレッスン室に入りたいのに入れないゆめ、ってなトコへ気心知れたローラがやってきて…というこれまた先のお船と対称的に四ツ星の濃密な人間関係を示唆しています。基本的に個人主義のVAに対し何よりまず「仲間」、「みんなの笑顔」が合言葉みたいな人間関係重視の方針が強く見て取れるシーンです。期間の問題ではなく根本の思想からしてVAとは違う、だから意思疎通の深さも軽い調子で言えてしまうのでしょう。それにしても初期は一匹狼を気取っていた(笑)ローラが「どれだけ一緒に~」なんて言っちゃうようになったのだなあ。しみじみ。さらにレッスン室では後輩からの千羽鶴に感激のヒトコマ、これまたVAと四ツ星の違いを見せると同時に、全生徒からソッポ向かれるVA首脳とS4ゆめの器の差が浮き彫りになります。ゆめにそんな器量が?ってのはとりあえず置いといて(笑

シーン変わって「直前生放送」の当日、決勝進出組が集まって組合わせ抽選&直前アピールをかます大切な現場にレイさんの姿がありません。不慮の欠席にざわめく会場、そのざわめきはTV中継を通して見ていたVA生も同様で、一方その頃レイさんは――
「今まで誰も来てないのに…」「どうして…」
「でも今日は来てくれるかもしれない。そう思って待ってるんだよ」
「今日が大切な日だって事レイさんは判ってます。でもそれ以上にVAの事を、みんなの事を思ってる」
誰もいないレッスン場で生徒たちの来場を一人静かに待っていました。大切な生放送を蹴ってでもVA存続に懸ける心意気は正に天晴れ、とはいえ決勝トナメを捨ててまで待ち続けるというのは「光」を目指すスタンスと噛み合わないのではあるまいか? まあこの不器用な実直さがレイさんらしいと言えばそうなのだけれど。
しかしアリスちゃん退学騒ぎの時は冷徹に切り捨てたにも関わらず今回は「仲間」に対してずいぶんアツくなったものです。まあその辺は四ツ星衆との交流を経て変わったと解釈しますが…プロのパフォーマンスを出せない者は去れ!と豪語していた側が、逆に生徒全員から退学をチラ付かされて慌てているように見えなくなくも(略。因果応報ここに至れり。というかね、これまでレイさんのエルザ様に関する思いは相当語られてきたけれど、VAという母体に対してどう考えているのかほとんど描写が無いままいきなり「みんなの事を!」と言い出されてもなかなか入り込めない。「エルザのため」を信条とするレイさんゆえ、エルザ様の居場所をキープするために生徒たちを引き留めているようにも思えてしまう。ともあれ現場のみなさんが1コマも使わずアピールタイムを終える(笑)と、欠席したレイさんからの動画メッセージが映し出されます。
「例え可能性が僅かでも諦めるわけにはいきません」
「ヴィーナスアークは絶対に無くなりません!」
熱意は伝わるものの「可能性は僅かだけど絶対に無くならない」という矛盾含みなアピールにちょっと笑ってしまった。さすが摩天楼育ちだけにニホンゴが不自由なのか(笑。そんな必死のアピールをエルザ様は鼻で笑い、すると熱血漢真昼が即座に噛み付き、苦虫顔の裏側でレイさんの思いをきちんと受け止めているエルザ様の本音を炙り出します。この人も相当不器用なのでなかなか素直になれませんが、それにしてもこれまでの所業がヒールすぎたせいであっさり善転びされても困るというか、やはり一旦奈落へ堕ちてもらわないと。
「レイちゃんの気持ち判ってほしい」
「お願いします!」
「お願いしますエルザさん」
「真昼ちゃん…私からもお願いします」
場所を異にして同じ行動、意固地な相手に頭を下げてお願いする両陣営の様子はこれまた面白い構図であります。しかし間違っていない方が頭を下げるってのは日本社会の縮図を見ているようで何だかモニョった。まあ他人(レイさん)のために頭を下げられるゆめ&真昼はある意味大人なわけだけれど、S4服を着た二人(言わば四ツ星の顔)が深々と頭を下げているシーンが世界中継されている=両者の格の差が大写しされてると思うとこれまたモニョる。S4の顔(メンツ)は彼女たちだけのものではないのだから。そういうジレンマを含めて「S4」という存在を掘り下げてくれたらもっと面白いシリーズになっただろうけど…子供アニメじゃなくなっちゃうか。

そんなこんなでセミファイナルの組合わせがけってーい! 大方の予想どおりレイさんvsゆめ、エルザ様vs真昼の組合わせであります。しかし決定に賑わう会場と裏腹にお船の方は引き続き修羅場で、流行の斜め前髪がかわいらしいジャスミンちゃんはエルザ様への不信を訴え、VAに来たのは間違いだったと叫び――
「そんなことはない!」
「みんなエルザの輝きに憧れてここへ来たはず」
「エルザに追い付きたい、その一心で高みを目指してきた」
「エルザがいたから成長できた。それは私も同じ」
「それが全部間違っていた? そんなはずはない」
その言葉を待っていた!(違)とばかり天の岩戸を開けた男前レイさん。大切な生放送と引き替えにみんなを待っても応えてくれないどころか、生徒たちの気持ちは何も変わっていなかった。そんなみなさんへ今更エルザ様への魅了を語っても…むしろ魅了されて来たからこそ裏切られて失望しているのだから語れば語るほど逆効果のような。エルザ様のおかげで成長できたとしても結果的に「テイ良く使われただけ」と知ればかわいさ余って憎さ百倍、憧れが強いほど裏切の失意も大きいのが人の常でしょう。なので生徒たちの失意を覆すにはエルザ様本人が意思を伝えなければならないのに、突然「私のステージを見てほしい」と飛躍してしまう。俯瞰で見ている視聴者は「エルザを信じる私を信じろ」的な話と判るけれど、一方的に解散を告げられて以来放置されてる生徒たちは混乱するしか。
「アイカツランキング決勝トーナメントを開幕いたします!」
というわけで始まった決勝トナメの会場は当然のように例のスタジアムステージでした。だよね~。客席にはほぼオールキャストが応援に駆け付け…レギュラーメンバーはきっちり私服で来ているのにモブ生徒は制服参加っってのがナニゲに世知辛い(笑。今や存在感の欠片も無い先輩幹部の幹部服がまた切ない。有莉ちゃん以外の先輩幹部も2ndシーズンでは多少なりともスポットが当たると思っていたんだけどなあ。まさかここまで組要素が無くなるとは。

ほどなく始まったセミファイナル1戦目。ゆめ先行のステージは最新持ち歌の「MUSIC of DREAM!!!」で、さすがに佳境の決勝トナメは新映像が来る?と僅かに期待したけれど結局第88話ver.の丸バンクでした。あらら。ムービー自体は素晴らしきものなのだけれど、このクライマックスで丸バンクは少々寂しい。そして毎度の事ながら丸バンクステージに目を丸くするカットも白々しく思えてしまう。続いてレイさんのステージはこれまた持ち歌「裸足のルネサンス」、ムービーはツバサが発動した第80話ver.改め通しツバサver.で、他キャラの例どおり前半パートが新規に作り直されています。お約束のSPR仕様コーデチェンジを第83話で済ませているため何か不思議な感じ。そういやソロのSPRver.はまだだったっけと改めて思った次第(笑。ともあれ更新部分はエフェクトもよく乗ってキラキラマシマシ、やはり新映像があるとキャラの気合いが伝わってくるものです。嗚呼それなのに。

「第1ステージを制したのは虹野ゆめさんです!」
両者のステージが終って発表された対戦結果は僅差でゆめの勝利でした。まあほぼ既定とはいえ丸バンクステージにあっさり負け、本編中に勝敗の裏付けが無いだけにどうにも気分が盛り上がらない勝負であります。ともあれ負けたレイさんは勝者を笑顔で讃え、ステージから掃けて戻る逆光が無念さを浮かび上がらせるも、追ってきたゆめに対してはあくまで大人の対応を…そんな中で「悔い」をチラリと窺わせる=負けた悔しさ以上に自身の至らなさに対する悔い、つまりみんなの光になり得なかった悔いを溢す辺りレイさんらしい。脇役はツライ(実も蓋も。続いてきらら&アリアに深々と頭を下げて「光になれなかった事」を詫びるレイさん。しかしかの二人も、続いて現れた生徒たちも、レイさんが放った光をきちんと受け止めていました。
「勝負には負けてしまったかもしれません。でも…とっても輝いていました」
「私たちもレイさんみたいになりたいって」
「だからヴィーナスアークに残る道を選びます」
レイさんの輝きに打たれ惹かれたとしても、VA残留に繋がる理由(光云々の話)がいまいち描写不足だったせいか、キラキラ涙&雰囲気によって「よう判らんけどいい話」に収まってしまった感あり。このシナリオだと憧れの対象がスイッチしただけみたいで、肝心の解散話が変わらないまま残留してどうすんの?とも。まあ中学生程度の理解力があれば事の経緯から判る話ではあるけれど、メイン視聴層のお友達は生徒たちがこの結論に至った理由を理解できるのだろうか? というかどちらにせよ今回エルザ株ストップ安ですよね。レイさんが支持を集めたトコでエルザ様への信頼が回復したわけではないので。どうせなら全員敵に回した孤独の女王くらいの扱いが見たかったかも。
というわけで次回はセミファイナル2戦目、真昼vsエルザ様の勝負であります。今までほとんど接点が無かった二人がいったいどんな勝負ドラマを見せてくれますやらお楽しみ。仮にこれが対ローラだったらアツい因縁勝負になるのだけれど…展開的にブックの組みようが無いから無理か(実も蓋も
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

決勝トーナメントいよいよ開幕です。

アバン冒頭はいつものS4テラス。決勝トナメを5日後に控え気合いと不安が入り交じる中で、予選落ちどころか最初から参加すらしていないあこが決勝ルールの説明を始めます。さすがにそれは参加していたローラの役目じゃ? その説明によるとセミファイナルの組合わせはくじ引きとの事、大抵の「決勝トーナメント」は予選結果を反映した組合わせなので何故そんな手間を? と思ったら今回ドタバタの末に始まる直前生放送(くじ引きイベント)の都合か。
「あさってに組合わせ抽選会とアピールタイムがあるの」
「決勝トーナメントの勝負は観客の投票で決まる」
「だからこれは自分の思いを伝える最後のチャンスなの」
件の生放送に懸ける真昼の気合い、それを受けたみなさんは拳を振り上げ気勢を上げ…なのに真昼たちのアピールタイムが1コマも映らず終わってちょっと笑った。
一方ヴィーナスアークではいきなり閑散とした船内に不信を募らせるレイさん。呑気にケーキを食べているきららへ事情を訊くと明らかに動揺した態度で目を逸らし、するとレイさんは――
「カクシゴトシテマスヨネ?」
しまった、この口調はよりもい第6話の結月ちゃんだった。あまりにインパクトがあったので頭に染み付いてしまったよ(笑。ともあれ強い口調できららを問い質すと、解散宣言を受けた生徒たちがレッスン放棄&VAを辞めるつもりでいる事を知らされます。するとレイさんは瞬間フットーしちゃうわけですが…学園トップ直々に一方的な解散宣言をされたのだから生徒たちの行動はご尤もと言うしか。先が無いのが判っていてレッスンしても意味が無い、それより解散後の身の振り方を考えなければ。
「だからってここを辞めようとするだなんて。止めなければ!」
「そうだね、もう1回説得しよう」
そんな生徒たちを止めようと息巻くレイさん、きららも一転張り切っています。しかし3月いっぱいで解散と学園トップが明言しているのに「辞めてはダメ」なんて不条理もいいトコ、今更止められても生徒たちにとっては先が見えない状況に変わりはないのだから。

「ヴィーナスアークを辞めたいと思っている者は正直に手を上げてほしい」
さて件の生徒たちへレイさんはド直球な質問を投げかけ、するとほぼ全員から挙手が返って思わず絶句。続いてモブ生徒ながら長らくランカーだったジャスミンちゃんが先頭に立ち――
「まさか太陽のドレスを手に入れるために私たちを利用してたなんて」
「レイさんだって利用されたんですよ!」
「解散する学校になっていられません」
言うこと言うことグゥの音も出ない正論をぶつけるのでした。対するレイさんはエルザ様を擁護しながら必死に説得を続けますが、100%信頼していた女王様に突然裏切られた生徒たちへその声は届きません。
「エルザは常に輝く光だった。でもこのままじゃ…」
「ならレイさんが光になればいい」
TV局のカフェで沈むレイさんと行き会った真昼は苦境へのアドバイスを熱く伝えます。それは数々の絡み・闘いで培われてきた信頼ゆえの言葉…この「光」とは単なる憧れではなく全ての意味で道標となる者、つまり解散撤回までの道程を含めて生徒たちの道標となる=それだけの信頼を得るということです。しかしこれ一歩間違えるとクーデターだよね(笑

さて真昼の励ましによって立ち上がったレイさんは生徒たちへチラシを配ってレッスンのお誘い、きらら&アリアもカフェテーブルを縫って回って参加を呼び掛けるものの――
「頑張ってください! ゆめ先輩!」
その頃四ツ星では後輩たちの声援を一手に受けて張り切るゆめ。番組収録までの時間を削ってトレーニングを重ねるゆめにマネージャーのローラは苦笑いながらも都合を付け…決勝に向けてサポート役に徹しているのは判るけど本当にマネージャー扱いで微妙にモニョる。これでも以前は「最高のライバル」扱いだったのにね。ここで後輩たちの気持ちが込められた千羽鶴をチラリ。
「誰も来なかった…」
「残念です」
「予想はしてたけどね」
一方四ツ星の盛り上がりとがっつり対称的なお船の様子が映し出されます。夕陽が浸みるレッスン室に三人以外の姿は無く、レイさんたちが置かれた厳しさがしんみり伝わる好演出、と思ったら今回は佐藤監督自らコンテ・演出回でした。なるほど。
「人の心を動かすのはそう簡単じゃないなって…」
「人を纏め率いていくということはとても大変だ」
翌日再びチラシを配ってもレッスン室には誰も来ません。ジャスミンたち薄情な!(違。夕陽のレイさんは「光」たる器の難儀を憂いつつ、しかしそれでも諦めず必死に前を向く。ここでさりげなくエルザ様の器を褒めていましたが、そのメッキが剥がれたからこそ現状がある事を忘れてはいけない(実も蓋も。そして件の直前生放送を明日に控えて心配するきららたちを尻目に「みんなの事も大事」と意味深な言葉を残してレッスン室を出ていくのでした。
「どれだけ一緒にいると思ってるの」
カメラが再び四ツ星に戻ると施錠されたレッスン室に入りたいのに入れないゆめ、ってなトコへ気心知れたローラがやってきて…というこれまた先のお船と対称的に四ツ星の濃密な人間関係を示唆しています。基本的に個人主義のVAに対し何よりまず「仲間」、「みんなの笑顔」が合言葉みたいな人間関係重視の方針が強く見て取れるシーンです。期間の問題ではなく根本の思想からしてVAとは違う、だから意思疎通の深さも軽い調子で言えてしまうのでしょう。それにしても初期は一匹狼を気取っていた(笑)ローラが「どれだけ一緒に~」なんて言っちゃうようになったのだなあ。しみじみ。さらにレッスン室では後輩からの千羽鶴に感激のヒトコマ、これまたVAと四ツ星の違いを見せると同時に、全生徒からソッポ向かれるVA首脳とS4ゆめの器の差が浮き彫りになります。ゆめにそんな器量が?ってのはとりあえず置いといて(笑

シーン変わって「直前生放送」の当日、決勝進出組が集まって組合わせ抽選&直前アピールをかます大切な現場にレイさんの姿がありません。不慮の欠席にざわめく会場、そのざわめきはTV中継を通して見ていたVA生も同様で、一方その頃レイさんは――
「今まで誰も来てないのに…」「どうして…」
「でも今日は来てくれるかもしれない。そう思って待ってるんだよ」
「今日が大切な日だって事レイさんは判ってます。でもそれ以上にVAの事を、みんなの事を思ってる」
誰もいないレッスン場で生徒たちの来場を一人静かに待っていました。大切な生放送を蹴ってでもVA存続に懸ける心意気は正に天晴れ、とはいえ決勝トナメを捨ててまで待ち続けるというのは「光」を目指すスタンスと噛み合わないのではあるまいか? まあこの不器用な実直さがレイさんらしいと言えばそうなのだけれど。
しかしアリスちゃん退学騒ぎの時は冷徹に切り捨てたにも関わらず今回は「仲間」に対してずいぶんアツくなったものです。まあその辺は四ツ星衆との交流を経て変わったと解釈しますが…プロのパフォーマンスを出せない者は去れ!と豪語していた側が、逆に生徒全員から退学をチラ付かされて慌てているように見えなくなくも(略。因果応報ここに至れり。というかね、これまでレイさんのエルザ様に関する思いは相当語られてきたけれど、VAという母体に対してどう考えているのかほとんど描写が無いままいきなり「みんなの事を!」と言い出されてもなかなか入り込めない。「エルザのため」を信条とするレイさんゆえ、エルザ様の居場所をキープするために生徒たちを引き留めているようにも思えてしまう。ともあれ現場のみなさんが1コマも使わずアピールタイムを終える(笑)と、欠席したレイさんからの動画メッセージが映し出されます。
「例え可能性が僅かでも諦めるわけにはいきません」
「ヴィーナスアークは絶対に無くなりません!」
熱意は伝わるものの「可能性は僅かだけど絶対に無くならない」という矛盾含みなアピールにちょっと笑ってしまった。さすが摩天楼育ちだけにニホンゴが不自由なのか(笑。そんな必死のアピールをエルザ様は鼻で笑い、すると熱血漢真昼が即座に噛み付き、苦虫顔の裏側でレイさんの思いをきちんと受け止めているエルザ様の本音を炙り出します。この人も相当不器用なのでなかなか素直になれませんが、それにしてもこれまでの所業がヒールすぎたせいであっさり善転びされても困るというか、やはり一旦奈落へ堕ちてもらわないと。
「レイちゃんの気持ち判ってほしい」
「お願いします!」
「お願いしますエルザさん」
「真昼ちゃん…私からもお願いします」
場所を異にして同じ行動、意固地な相手に頭を下げてお願いする両陣営の様子はこれまた面白い構図であります。しかし間違っていない方が頭を下げるってのは日本社会の縮図を見ているようで何だかモニョった。まあ他人(レイさん)のために頭を下げられるゆめ&真昼はある意味大人なわけだけれど、S4服を着た二人(言わば四ツ星の顔)が深々と頭を下げているシーンが世界中継されている=両者の格の差が大写しされてると思うとこれまたモニョる。S4の顔(メンツ)は彼女たちだけのものではないのだから。そういうジレンマを含めて「S4」という存在を掘り下げてくれたらもっと面白いシリーズになっただろうけど…子供アニメじゃなくなっちゃうか。

そんなこんなでセミファイナルの組合わせがけってーい! 大方の予想どおりレイさんvsゆめ、エルザ様vs真昼の組合わせであります。しかし決定に賑わう会場と裏腹にお船の方は引き続き修羅場で、流行の斜め前髪がかわいらしいジャスミンちゃんはエルザ様への不信を訴え、VAに来たのは間違いだったと叫び――
「そんなことはない!」
「みんなエルザの輝きに憧れてここへ来たはず」
「エルザに追い付きたい、その一心で高みを目指してきた」
「エルザがいたから成長できた。それは私も同じ」
「それが全部間違っていた? そんなはずはない」
その言葉を待っていた!(違)とばかり天の岩戸を開けた男前レイさん。大切な生放送と引き替えにみんなを待っても応えてくれないどころか、生徒たちの気持ちは何も変わっていなかった。そんなみなさんへ今更エルザ様への魅了を語っても…むしろ魅了されて来たからこそ裏切られて失望しているのだから語れば語るほど逆効果のような。エルザ様のおかげで成長できたとしても結果的に「テイ良く使われただけ」と知ればかわいさ余って憎さ百倍、憧れが強いほど裏切の失意も大きいのが人の常でしょう。なので生徒たちの失意を覆すにはエルザ様本人が意思を伝えなければならないのに、突然「私のステージを見てほしい」と飛躍してしまう。俯瞰で見ている視聴者は「エルザを信じる私を信じろ」的な話と判るけれど、一方的に解散を告げられて以来放置されてる生徒たちは混乱するしか。
「アイカツランキング決勝トーナメントを開幕いたします!」
というわけで始まった決勝トナメの会場は当然のように例のスタジアムステージでした。だよね~。客席にはほぼオールキャストが応援に駆け付け…レギュラーメンバーはきっちり私服で来ているのにモブ生徒は制服参加っってのがナニゲに世知辛い(笑。今や存在感の欠片も無い先輩幹部の幹部服がまた切ない。有莉ちゃん以外の先輩幹部も2ndシーズンでは多少なりともスポットが当たると思っていたんだけどなあ。まさかここまで組要素が無くなるとは。

ほどなく始まったセミファイナル1戦目。ゆめ先行のステージは最新持ち歌の「MUSIC of DREAM!!!」で、さすがに佳境の決勝トナメは新映像が来る?と僅かに期待したけれど結局第88話ver.の丸バンクでした。あらら。ムービー自体は素晴らしきものなのだけれど、このクライマックスで丸バンクは少々寂しい。そして毎度の事ながら丸バンクステージに目を丸くするカットも白々しく思えてしまう。続いてレイさんのステージはこれまた持ち歌「裸足のルネサンス」、ムービーはツバサが発動した第80話ver.改め通しツバサver.で、他キャラの例どおり前半パートが新規に作り直されています。お約束のSPR仕様コーデチェンジを第83話で済ませているため何か不思議な感じ。そういやソロのSPRver.はまだだったっけと改めて思った次第(笑。ともあれ更新部分はエフェクトもよく乗ってキラキラマシマシ、やはり新映像があるとキャラの気合いが伝わってくるものです。嗚呼それなのに。

「第1ステージを制したのは虹野ゆめさんです!」
両者のステージが終って発表された対戦結果は僅差でゆめの勝利でした。まあほぼ既定とはいえ丸バンクステージにあっさり負け、本編中に勝敗の裏付けが無いだけにどうにも気分が盛り上がらない勝負であります。ともあれ負けたレイさんは勝者を笑顔で讃え、ステージから掃けて戻る逆光が無念さを浮かび上がらせるも、追ってきたゆめに対してはあくまで大人の対応を…そんな中で「悔い」をチラリと窺わせる=負けた悔しさ以上に自身の至らなさに対する悔い、つまりみんなの光になり得なかった悔いを溢す辺りレイさんらしい。脇役はツライ(実も蓋も。続いてきらら&アリアに深々と頭を下げて「光になれなかった事」を詫びるレイさん。しかしかの二人も、続いて現れた生徒たちも、レイさんが放った光をきちんと受け止めていました。
「勝負には負けてしまったかもしれません。でも…とっても輝いていました」
「私たちもレイさんみたいになりたいって」
「だからヴィーナスアークに残る道を選びます」
レイさんの輝きに打たれ惹かれたとしても、VA残留に繋がる理由(光云々の話)がいまいち描写不足だったせいか、キラキラ涙&雰囲気によって「よう判らんけどいい話」に収まってしまった感あり。このシナリオだと憧れの対象がスイッチしただけみたいで、肝心の解散話が変わらないまま残留してどうすんの?とも。まあ中学生程度の理解力があれば事の経緯から判る話ではあるけれど、メイン視聴層のお友達は生徒たちがこの結論に至った理由を理解できるのだろうか? というかどちらにせよ今回エルザ株ストップ安ですよね。レイさんが支持を集めたトコでエルザ様への信頼が回復したわけではないので。どうせなら全員敵に回した孤独の女王くらいの扱いが見たかったかも。
というわけで次回はセミファイナル2戦目、真昼vsエルザ様の勝負であります。今までほとんど接点が無かった二人がいったいどんな勝負ドラマを見せてくれますやらお楽しみ。仮にこれが対ローラだったらアツい因縁勝負になるのだけれど…展開的にブックの組みようが無いから無理か(実も蓋も
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