2009-08-08(Sat)
涼宮ハルヒの憂鬱 #19 エンドレスエイト
まさかまさかのエンドレスサマー。

15532回目の夏休みにてループ脱出です。
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15532回目の夏休みにてループ脱出です。
ネタバレ自重派にとって何と(中略:初めていらした方は過去のレビューを参照ください)同じ文章を何度も書いたような気がする…ああ、強烈なデジャブが…くらくらくらくらくらくらくらくら(8回目
というマクラも今回限り、永遠に続くと思われたエンドレスエイトがついに完結いたしました。毎週毎週繰り返される「何かがおかしい…」の入りも今回でオシマイかと思うと一抹の寂しさを感じないでもありませんが、コンペ参加の演出家メンツも底をついた頃合い、これ以上続けようとしたらいよいよ新房版やら出崎版やら富野版、庵野版やら引っ張り出すしかありますまい。コンセプトから外れるだろうけどむしろそっちを見てみたい(笑
さてラストとなったエンドレスエイトコンペは演出・コンテに米田光良氏、作監に高橋真理子氏が再度参戦、エンドレスエイト開幕の担当ペアがラストを締めることになるとは。この騒動のオトシマエ(?)としてラストは武本氏が入ると思っていたので正直意外でした。何も起きなかった初回から15531回のループを経ての締め、スタッフまでループしてのゴールをどう描き直すのか?

いつもどおりの導入部、妹ちゃんの「キョンくんでんわー」も今回限りかと思うと少々寂しいですね。脇目も振らず一列に進む蟻の行列は決まったレールをひたすら繰り返してきたこのストーリーを俯瞰したもの?
駅前で待ち構えるハルヒご一行。一段上に立ったアングルのせいもありますがハルヒの足が長ええ。ここでハルヒとキョンをパッパと切り替えて表情変化を見せる手法は米田氏の常套、このシーン以外でもあちこちで多用されていました。プールへ付いての混雑描写は青空からのパンで中途半端なアングルで止め、冒頭から違和感を煽ります。その後プールへ飛び込むハルヒの描写、青空に浮かぶ夏の太陽などは1回目を踏襲している感じ。
プールサイドのキョン&古泉が筋肉隆々のマッチョで笑った。このプールシーンではビーチボールをやたら強調していたような気がします。これは夏空の太陽を強くイメージさせるもの。

長門を見てのデジャブ表現はセピアっぽく。続くハルヒのセリフに被るカットは表情を見せず口だけ大きく映すアングルで不気味さを強調し、子供を連れてくるカットも後ろ姿で表情を見せず。キョンへ落ちた影が引くと同時に我に返って色が着く演出はハルヒの特殊性、「この世界」への影響力を意識させます。
プール後の喫茶店。いつもどおりの会話を済ませて店を出た面々は1回目と同様に全員同じ方向へ帰って行きます。キョンは長門を呼び止めていつもどおりの会話、ここは長門の位置を下に寄せて表情を見せず、続くカットも目元のアップから足元へと、延々とループを経過した後の長門がキョンに対しどんな表情をしているか?を視聴者に想像させる見せ方。例によって次の言葉を出せないキョンの落胆・違和感を長く伸びた影で表現していますね。

盆踊りでのデジャブ表現は可もなく不可もなく? 屋台の水ヨーヨーは先程のプールでしつこく見せたビーチボールを連想させ、ひいては「夏の太陽」がキョンの意識下にすり込まれていることを表しているのでしょうか。
河原での花火シーン。ここで行われた「夏休みの宿題」についての会話がループ脱出の鍵、その事を連想させる線香花火の光がいつもより強調されていたような…それよりも長門の蛇花火の描写のが強調されてたかも。米田氏は蛇花火に拘りがあるのでしょうか(笑
夜の公園にてループネタばらし。泣きじゃくるみくるの演技が度を超して何を言っているのか解読できないレベルに。ゴトゥーザ様それはやりすぎです(笑。声と同様にみくるの表情もいろんな液体を垂れ流してぐしゃぐしゃ、これと同じような泣き顔をどこかで見たような気がするけれども思い出せないなあ。ううむ。
ループについて淡々と話す長門はこれも表情を隠したアングルを挟んで異常性を強調。キョンが落とした缶コーヒーに溺れる蟻は冒頭で見せた蟻の行列からはぐれた末路、「決まったルートから外れることはできない」という暗喩でしょうか。というわけでこの辺をリアルタイムで見ていた時は「またループなのか?」と感じたものです(笑

バッティングセンターでのキョン&長門。ここもわざわざ長門の顔を切ったフレーミングで見せます。そして今回も雨の描写、全員で雨宿りをしている表情はみなさん一様に浮かぬ顔、夏休みを満喫しているはずのハルヒですらこの表情です。このパターンは今までに無かったもの、みんなでわいわいやっていた時もハルヒは不完全燃焼を感じていたのでしょうね。というか静かにしてりゃハルヒもかわいいのに(笑
そうこうしているうちにやってきた運命の8/30。×印で埋まった予定表を手にするハルヒはいつもどおり「こんなんで良かったのかしら…」と、ここは作画も気合い十分でくるくる変わるハルヒの思案顔を十二分に見せていました。メンバーに対し「他に何かしたいことある?」と聞いてもお通夜のようなみなさん、イマサラですがこの気まずい空気感は「仲良しグループ」とは思えない光景ですね。いや別にそういうグループじゃないのでしょうけれども…夏休みに2週間ガッツリ行動を共にした仲間の雰囲気ではありません。そんな空気をものともせずズケズケと物申すハルヒの浮きっぷりを見ていると何故か切ない気分になります。思えばキョン以外の3人は望んでハルヒの近くにいるわけではなく、逆に言うとハルヒに対して正面から向き合っているのはキョンのみ。キョンがループを止めたいのはもちろん「ループを繰り返すのは御免」というのもあるでしょうが、「ハルヒがやり残したことをやらせてあげたい」との思いもあるはず。キョンは毎度の8/31晩にループ継続に直面してもあまり深刻ではありませんでしたし、彼的には「ループ上等」な面もあったのではないかと。
「またあさって、部室で会いましょう」
最後のデジャブはこれでもかーこれでもかーというほど強烈な表現です。極限まで高まった去り際のデジャブ、プールや盆踊りでのデジャブが抑え目だったためギャップ効果もあって見応え十分でした。

15532回繰り返した夏休みの出来事、記憶の残滓を含めた様々な出来事を超速で思い起こすキョン。青空、たこ焼き、蝉などの後に浮かんだ花火のイメージから「夏休みの宿題」についての会話を思い出す。そこで苦し紛れに叫んだ言葉は
「俺の課題はまだ終わってねえ!」
キョンの声に足を止めるカットを強いパースで見せ、ゆっくりと踵を返す足元へ続ける演出は良し。他のメンツはともかく、気勢を上げるキョンに対しきょとんとした表情の長門が素晴らしい。そしてハルヒとの怒濤のやり取りにてループ脱出へ。
はい。きっちり原作どおりのオチでありました。ここまで引っ張っていったいどう落とすのやら?と思ってましたが原作マンマとは芸がない。正直言って約2ヶ月引っ張りまくって99%のファンからフルボッコだった末のオチとしては弱いと言わざるを得ません。まあ改変すりゃしたで別のファンが暴動を起こすでしょうし、大人の事情でオチを変えられないのかもですが…おそらくほとんどの視聴者がオチを知っている状況でありますゆえ、ここで既読者を含めてエンドレスエイトに付き合った人全てをひっくり返らせる強烈なオチ、8週間の鬱憤を吹き飛ばすオチが欲しかった。
というわけでエンドレスエイトはこれにて無事に終了です。各演出家による表現手法の違いを存分に楽しませて頂いた2ヶ月間、それほど京アニスタッフに詳しくない私でも同じ脚本で見比べれば個性がよくわかりました。おそらく今後二度と無いでしょう、この歴史的(?)な映像をリアルタイムで見られた幸福をしみじみと感じつつ終わった余韻に浸っています。視聴者を含めてこれに関わったみなさん、おつかれさまでした。

おまけ。
ラストのキャストテロップはハルヒを先頭に5人並んだものとなりました。今回の活躍を見るとキョンを先頭に持って行ってあげたいような。まあ活躍のご褒美はノーレートのロイヤルストレートフラッシュってことで(笑
さあ次回は何をやるのだろう。もし再放送だったらバスカッシュのレビューを再開しようか。
というマクラも今回限り、永遠に続くと思われたエンドレスエイトがついに完結いたしました。毎週毎週繰り返される「何かがおかしい…」の入りも今回でオシマイかと思うと一抹の寂しさを感じないでもありませんが、コンペ参加の演出家メンツも底をついた頃合い、これ以上続けようとしたらいよいよ新房版やら出崎版やら富野版、庵野版やら引っ張り出すしかありますまい。コンセプトから外れるだろうけどむしろそっちを見てみたい(笑
さてラストとなったエンドレスエイトコンペは演出・コンテに米田光良氏、作監に高橋真理子氏が再度参戦、エンドレスエイト開幕の担当ペアがラストを締めることになるとは。この騒動のオトシマエ(?)としてラストは武本氏が入ると思っていたので正直意外でした。何も起きなかった初回から15531回のループを経ての締め、スタッフまでループしてのゴールをどう描き直すのか?

いつもどおりの導入部、妹ちゃんの「キョンくんでんわー」も今回限りかと思うと少々寂しいですね。脇目も振らず一列に進む蟻の行列は決まったレールをひたすら繰り返してきたこのストーリーを俯瞰したもの?
駅前で待ち構えるハルヒご一行。一段上に立ったアングルのせいもありますがハルヒの足が長ええ。ここでハルヒとキョンをパッパと切り替えて表情変化を見せる手法は米田氏の常套、このシーン以外でもあちこちで多用されていました。プールへ付いての混雑描写は青空からのパンで中途半端なアングルで止め、冒頭から違和感を煽ります。その後プールへ飛び込むハルヒの描写、青空に浮かぶ夏の太陽などは1回目を踏襲している感じ。
プールサイドのキョン&古泉が筋肉隆々のマッチョで笑った。このプールシーンではビーチボールをやたら強調していたような気がします。これは夏空の太陽を強くイメージさせるもの。

長門を見てのデジャブ表現はセピアっぽく。続くハルヒのセリフに被るカットは表情を見せず口だけ大きく映すアングルで不気味さを強調し、子供を連れてくるカットも後ろ姿で表情を見せず。キョンへ落ちた影が引くと同時に我に返って色が着く演出はハルヒの特殊性、「この世界」への影響力を意識させます。
プール後の喫茶店。いつもどおりの会話を済ませて店を出た面々は1回目と同様に全員同じ方向へ帰って行きます。キョンは長門を呼び止めていつもどおりの会話、ここは長門の位置を下に寄せて表情を見せず、続くカットも目元のアップから足元へと、延々とループを経過した後の長門がキョンに対しどんな表情をしているか?を視聴者に想像させる見せ方。例によって次の言葉を出せないキョンの落胆・違和感を長く伸びた影で表現していますね。

盆踊りでのデジャブ表現は可もなく不可もなく? 屋台の水ヨーヨーは先程のプールでしつこく見せたビーチボールを連想させ、ひいては「夏の太陽」がキョンの意識下にすり込まれていることを表しているのでしょうか。
河原での花火シーン。ここで行われた「夏休みの宿題」についての会話がループ脱出の鍵、その事を連想させる線香花火の光がいつもより強調されていたような…それよりも長門の蛇花火の描写のが強調されてたかも。米田氏は蛇花火に拘りがあるのでしょうか(笑
夜の公園にてループネタばらし。泣きじゃくるみくるの演技が度を超して何を言っているのか解読できないレベルに。ゴトゥーザ様それはやりすぎです(笑。声と同様にみくるの表情もいろんな液体を垂れ流してぐしゃぐしゃ、これと同じような泣き顔をどこかで見たような気がするけれども思い出せないなあ。ううむ。
ループについて淡々と話す長門はこれも表情を隠したアングルを挟んで異常性を強調。キョンが落とした缶コーヒーに溺れる蟻は冒頭で見せた蟻の行列からはぐれた末路、「決まったルートから外れることはできない」という暗喩でしょうか。というわけでこの辺をリアルタイムで見ていた時は「またループなのか?」と感じたものです(笑

バッティングセンターでのキョン&長門。ここもわざわざ長門の顔を切ったフレーミングで見せます。そして今回も雨の描写、全員で雨宿りをしている表情はみなさん一様に浮かぬ顔、夏休みを満喫しているはずのハルヒですらこの表情です。このパターンは今までに無かったもの、みんなでわいわいやっていた時もハルヒは不完全燃焼を感じていたのでしょうね。というか静かにしてりゃハルヒもかわいいのに(笑
そうこうしているうちにやってきた運命の8/30。×印で埋まった予定表を手にするハルヒはいつもどおり「こんなんで良かったのかしら…」と、ここは作画も気合い十分でくるくる変わるハルヒの思案顔を十二分に見せていました。メンバーに対し「他に何かしたいことある?」と聞いてもお通夜のようなみなさん、イマサラですがこの気まずい空気感は「仲良しグループ」とは思えない光景ですね。いや別にそういうグループじゃないのでしょうけれども…夏休みに2週間ガッツリ行動を共にした仲間の雰囲気ではありません。そんな空気をものともせずズケズケと物申すハルヒの浮きっぷりを見ていると何故か切ない気分になります。思えばキョン以外の3人は望んでハルヒの近くにいるわけではなく、逆に言うとハルヒに対して正面から向き合っているのはキョンのみ。キョンがループを止めたいのはもちろん「ループを繰り返すのは御免」というのもあるでしょうが、「ハルヒがやり残したことをやらせてあげたい」との思いもあるはず。キョンは毎度の8/31晩にループ継続に直面してもあまり深刻ではありませんでしたし、彼的には「ループ上等」な面もあったのではないかと。
「またあさって、部室で会いましょう」
最後のデジャブはこれでもかーこれでもかーというほど強烈な表現です。極限まで高まった去り際のデジャブ、プールや盆踊りでのデジャブが抑え目だったためギャップ効果もあって見応え十分でした。

15532回繰り返した夏休みの出来事、記憶の残滓を含めた様々な出来事を超速で思い起こすキョン。青空、たこ焼き、蝉などの後に浮かんだ花火のイメージから「夏休みの宿題」についての会話を思い出す。そこで苦し紛れに叫んだ言葉は
「俺の課題はまだ終わってねえ!」
キョンの声に足を止めるカットを強いパースで見せ、ゆっくりと踵を返す足元へ続ける演出は良し。他のメンツはともかく、気勢を上げるキョンに対しきょとんとした表情の長門が素晴らしい。そしてハルヒとの怒濤のやり取りにてループ脱出へ。
はい。きっちり原作どおりのオチでありました。ここまで引っ張っていったいどう落とすのやら?と思ってましたが原作マンマとは芸がない。正直言って約2ヶ月引っ張りまくって99%のファンからフルボッコだった末のオチとしては弱いと言わざるを得ません。まあ改変すりゃしたで別のファンが暴動を起こすでしょうし、大人の事情でオチを変えられないのかもですが…おそらくほとんどの視聴者がオチを知っている状況でありますゆえ、ここで既読者を含めてエンドレスエイトに付き合った人全てをひっくり返らせる強烈なオチ、8週間の鬱憤を吹き飛ばすオチが欲しかった。
というわけでエンドレスエイトはこれにて無事に終了です。各演出家による表現手法の違いを存分に楽しませて頂いた2ヶ月間、それほど京アニスタッフに詳しくない私でも同じ脚本で見比べれば個性がよくわかりました。おそらく今後二度と無いでしょう、この歴史的(?)な映像をリアルタイムで見られた幸福をしみじみと感じつつ終わった余韻に浸っています。視聴者を含めてこれに関わったみなさん、おつかれさまでした。

おまけ。
ラストのキャストテロップはハルヒを先頭に5人並んだものとなりました。今回の活躍を見るとキョンを先頭に持って行ってあげたいような。まあ活躍のご褒美はノーレートのロイヤルストレートフラッシュってことで(笑
さあ次回は何をやるのだろう。もし再放送だったらバスカッシュのレビューを再開しようか。
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