2009-09-03(Thu)
青い花 #10 幸福の王子
結婚式から江ノ島ツアーへ。

ふみの厳しい言葉に先輩は…。

杉本次女の結婚式当日の朝風景。縁側にて一人タバコを吸いながら黄昏れる父親はいかにも花嫁の父ですね。バタバタと忙しない母親も旦那のそんな背中を見てやれやれな表情、そしてもちろん結婚式に参列する先輩もいざ本番を迎えて複雑な表情で空を見上げています。
よく晴れた空を部屋の窓から眺めるふみ。こういう繋ぎ方はお約束だけれど嫌いではありません。好きな男の結婚式に出席しなければならない女と、その男が原因で振られてしまった女が同じ空を眺めている。ふみはいつもの休日どおりダラダラと寛ぎながらあーちゃんに電話をしようか思案。結局電話をせぬまま遅い朝食へ引きずられるのでありました。
そのあーちゃんは兄貴のクルマでどこかへお出かけです。プレゼントを胸に抱いての行き先は次女の結婚式、なぜあーちゃんが呼ばれてふみは呼ばれないんだ?と一瞬思ったけれども考えてみればあーちゃん的には部活顧問の結婚式なのでした(笑。
教会の控え室にて式前の次女と先輩が会話。本人を前にして「きっと泣くわ」と言い切ってしまう次女は見た目のおっとりさと裏腹になかなか厳しい、もちろん「何故泣くのか」をわかった上でのこのセリフはキッツイなあ。さらに先輩のパンツスーツ姿を眺めては「そういう格好が似合っちゃう」と…後で語られる先輩が男前の理由を考えるとこれもまたキツいセリフでしょう。
女子高生のお伴の野郎二名、特にあーちゃん兄のストーカーっぷりは見ていて痛々しさすら。いたんですか!? ええずっと。気持ちはわからんでもありませんが少しはあーちゃんの立場も考えてあげないと。あーちゃんがどんどん不機嫌になっちゃいますよ(笑。そんなところへ登場した先輩は野郎二名を参列に招いてしまい…板挟みとなったあーちゃんのややこしい表情が何ともいい味でした。
相変わらず男前な先輩と歩を進める京子はこれまた凝りもせず、男前な先輩の姿に頬を染めちゃったりしてめげない子です。これほど一途な思いを向けても先輩は…これも後で語られる京子への正直な気持ちを見ると冷たい態度も頷けますね。ああいろいろ切ない。

出掛けたふみは歩きながらあーちゃんに電話をするも繋がらず。あーちゃんが結婚式に出掛けていることを知らない、それどころか今日が結婚式であることすら知らないふみ。先輩との顛末を知るあーちゃんが「言いづらかった」のは無理もなし、またこの間ふみと先輩が会話をしていないことも窺えますね。どうやら先輩との関係は完全に切れてしまったようです。
一方の式場では杉本姉妹が姦しい会話。泣くだ泣かないだの応酬、参列を「健気」とからかわれた先輩の反撃は結構なクリーンヒットだったようで…思わぬ反撃にうろたえる三女がかわいい(笑。というか顧問先生モテモテだなあ。何かと先輩に突っかかったり、次女に対して含みのある態度を取ったりしていた三女はつまりそういうことでしたか。
長女や京子に褒められても何とも思わなかったパンツスーツ姿を顧問先生に褒められた途端にオトメになっちまう先輩…全然振り切れてませんね(笑。まあ人間の気持ちなどスイッチを切り替えるようにはいきませんゆえこれも仕方なし、ここで言われたように「かわいい格好」に着替えられたら大人なのでしょうけれどもなかなかそうは行かないようで。。

教会のバージンロードを進む次女を見て目をキラキラさせて歓喜のあーちゃん。やはりオンナノコとしては花嫁姿に憧れる? というか参列者のほとんどがお嬢様女子高生の結婚式とはどれほど黄色い声が上がるのやら。式が終わって教会の外、相変わらずやり合う敗残兵2名の間に割って入って仲裁の長女がいい味でした。教会から出てきた新郎新婦の幸せそうな表情を見るとさすがの先輩も現実を受け入れるしかありません。先程までの元気はどこかへ失せ、遠目に立ち尽くす姿の前に青い花が舞い踊るカットは先輩の心境を想像させます。佇む先輩の後ろ姿を見てられない京子の切なさもよし。
式が終わったあーちゃんはふみと連絡を取り江ノ島にて合流することに。そんな電話をしているところへ近付く先輩、電話の切り際に「ちょっと待って」と困り声のあーちゃんはこれまた板挟みですね。今回は気苦労が絶えません(笑
先輩とどんな会話をしたのか不明ですが約束どおりの場所であーちゃんを待つふみ。まんじりとした待ち時間、髪をかき上げ、時計を確認し、時折何か考え込む表情を見せながらの待ち時間描写はふみの複雑な心境を見せていました。

やはり来てしまった先輩。声をかけられるとつい頬を染めてしまうふみもまた簡単に振り切れないのでしょう。とはいえすぐに冷静さを取り戻し、あーちゃんと並んでとことこ歩き始めます。ただでさえ微妙な空気に板挟みのあーちゃん、空気を読まず勝手な話を始める兄貴には通常の三倍くらいムカ付いたことでしょう。そんなあーちゃんをからかうような口調で話しかけてくる先輩はこれまたKYであり、あーちゃんとの楽しい時間を踏みにじられたふみがついにピシャリ。
その後先輩はあーちゃん兄に対しレズビアンをカミングアウト。それ先輩本人だけなら勝手だけれど、目の前のふみもレズビアンですよと言っているようなもので…いくら何でも配慮なさ過ぎでしょう。

鏡に映った顔から過去回想への転換は面白い演出。先輩の男前っぷりはやはり演技であり、以前の回想で見せたように素顔は誰よりもオンナノコなのですね。この正体を知っている杉本姉妹は確かに「おひいさま」と呼ぶはずです。普段は女性らしい次女がその実は男っぽい人であり、それに近づければ顧問先生が気にかけてくれるかもしれないといういじらしいオトメゴコロ。髪をバッサリと切り、ボーイッシュな所作で過ごす日常。そんな偽の人格に惹かれる後輩女子たちを「簡単」と言い切るのは自分の想い人が「簡単ではない」からでしょうか。
美術部時代の京子は先輩に憧れて同様に髪を切ったようで、そんな姿を見た先輩は京子の中に自分の姿が透けてしまう。始終付いて回る京子は「かわいいけど、めんどくさい」。先輩は京子に対しそう感じていたわけですが、視点を顧問先生に移すと自分が「めんどくさい」存在なのですね。転校の理由は振られたせいのハートブレイクかと思いきや先生への「当てつけ」、どうにか気を引こうと駄々をこねる子供のような理由でした。ふみとのツーショットでちらちら窺えた先輩の子供っぽさ、オンナノコっぽさはそれこそが真実の姿だったのです。
あーちゃんも子共時代には兄の後を付いて回っていたけれども今は兄の背中から卒業して清々しいほど独り立ちしている。つまりこれは兄があーちゃんをからかって怒らせるだけのエピソードではなく、いつまでも次女の影を追い、先生の後を追っていた先輩の子供っぽさを浮かばせるもの。上手く作ってんなあ。
「もっと大人になってください」
岩屋でのシーンはふみががんばりました。二度も代償行為の末に捨てられたふみの言葉はさすがに重い。普段の気弱なふみから一転して先輩を突き放す態度を見せ、いつまでも子供だった先輩もようやく自分の罪に気付いたようです。
声を震わせてふみに謝罪する先輩。溶けたロウソクは虚勢の壁が溶け落ちた暗喩か、さらに流れる涙ともシンクロして綺麗な演出でした。早くも次回は最終回、はたしてこのストーリーをどういう形で決着するのか楽しみであり寂しくもあり。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

ふみの厳しい言葉に先輩は…。

杉本次女の結婚式当日の朝風景。縁側にて一人タバコを吸いながら黄昏れる父親はいかにも花嫁の父ですね。バタバタと忙しない母親も旦那のそんな背中を見てやれやれな表情、そしてもちろん結婚式に参列する先輩もいざ本番を迎えて複雑な表情で空を見上げています。
よく晴れた空を部屋の窓から眺めるふみ。こういう繋ぎ方はお約束だけれど嫌いではありません。好きな男の結婚式に出席しなければならない女と、その男が原因で振られてしまった女が同じ空を眺めている。ふみはいつもの休日どおりダラダラと寛ぎながらあーちゃんに電話をしようか思案。結局電話をせぬまま遅い朝食へ引きずられるのでありました。
そのあーちゃんは兄貴のクルマでどこかへお出かけです。プレゼントを胸に抱いての行き先は次女の結婚式、なぜあーちゃんが呼ばれてふみは呼ばれないんだ?と一瞬思ったけれども考えてみればあーちゃん的には部活顧問の結婚式なのでした(笑。
教会の控え室にて式前の次女と先輩が会話。本人を前にして「きっと泣くわ」と言い切ってしまう次女は見た目のおっとりさと裏腹になかなか厳しい、もちろん「何故泣くのか」をわかった上でのこのセリフはキッツイなあ。さらに先輩のパンツスーツ姿を眺めては「そういう格好が似合っちゃう」と…後で語られる先輩が男前の理由を考えるとこれもまたキツいセリフでしょう。
女子高生のお伴の野郎二名、特にあーちゃん兄のストーカーっぷりは見ていて痛々しさすら。いたんですか!? ええずっと。気持ちはわからんでもありませんが少しはあーちゃんの立場も考えてあげないと。あーちゃんがどんどん不機嫌になっちゃいますよ(笑。そんなところへ登場した先輩は野郎二名を参列に招いてしまい…板挟みとなったあーちゃんのややこしい表情が何ともいい味でした。
相変わらず男前な先輩と歩を進める京子はこれまた凝りもせず、男前な先輩の姿に頬を染めちゃったりしてめげない子です。これほど一途な思いを向けても先輩は…これも後で語られる京子への正直な気持ちを見ると冷たい態度も頷けますね。ああいろいろ切ない。

出掛けたふみは歩きながらあーちゃんに電話をするも繋がらず。あーちゃんが結婚式に出掛けていることを知らない、それどころか今日が結婚式であることすら知らないふみ。先輩との顛末を知るあーちゃんが「言いづらかった」のは無理もなし、またこの間ふみと先輩が会話をしていないことも窺えますね。どうやら先輩との関係は完全に切れてしまったようです。
一方の式場では杉本姉妹が姦しい会話。泣くだ泣かないだの応酬、参列を「健気」とからかわれた先輩の反撃は結構なクリーンヒットだったようで…思わぬ反撃にうろたえる三女がかわいい(笑。というか顧問先生モテモテだなあ。何かと先輩に突っかかったり、次女に対して含みのある態度を取ったりしていた三女はつまりそういうことでしたか。
長女や京子に褒められても何とも思わなかったパンツスーツ姿を顧問先生に褒められた途端にオトメになっちまう先輩…全然振り切れてませんね(笑。まあ人間の気持ちなどスイッチを切り替えるようにはいきませんゆえこれも仕方なし、ここで言われたように「かわいい格好」に着替えられたら大人なのでしょうけれどもなかなかそうは行かないようで。。

教会のバージンロードを進む次女を見て目をキラキラさせて歓喜のあーちゃん。やはりオンナノコとしては花嫁姿に憧れる? というか参列者のほとんどがお嬢様女子高生の結婚式とはどれほど黄色い声が上がるのやら。式が終わって教会の外、相変わらずやり合う敗残兵2名の間に割って入って仲裁の長女がいい味でした。教会から出てきた新郎新婦の幸せそうな表情を見るとさすがの先輩も現実を受け入れるしかありません。先程までの元気はどこかへ失せ、遠目に立ち尽くす姿の前に青い花が舞い踊るカットは先輩の心境を想像させます。佇む先輩の後ろ姿を見てられない京子の切なさもよし。
式が終わったあーちゃんはふみと連絡を取り江ノ島にて合流することに。そんな電話をしているところへ近付く先輩、電話の切り際に「ちょっと待って」と困り声のあーちゃんはこれまた板挟みですね。今回は気苦労が絶えません(笑
先輩とどんな会話をしたのか不明ですが約束どおりの場所であーちゃんを待つふみ。まんじりとした待ち時間、髪をかき上げ、時計を確認し、時折何か考え込む表情を見せながらの待ち時間描写はふみの複雑な心境を見せていました。

やはり来てしまった先輩。声をかけられるとつい頬を染めてしまうふみもまた簡単に振り切れないのでしょう。とはいえすぐに冷静さを取り戻し、あーちゃんと並んでとことこ歩き始めます。ただでさえ微妙な空気に板挟みのあーちゃん、空気を読まず勝手な話を始める兄貴には通常の三倍くらいムカ付いたことでしょう。そんなあーちゃんをからかうような口調で話しかけてくる先輩はこれまたKYであり、あーちゃんとの楽しい時間を踏みにじられたふみがついにピシャリ。
その後先輩はあーちゃん兄に対しレズビアンをカミングアウト。それ先輩本人だけなら勝手だけれど、目の前のふみもレズビアンですよと言っているようなもので…いくら何でも配慮なさ過ぎでしょう。

鏡に映った顔から過去回想への転換は面白い演出。先輩の男前っぷりはやはり演技であり、以前の回想で見せたように素顔は誰よりもオンナノコなのですね。この正体を知っている杉本姉妹は確かに「おひいさま」と呼ぶはずです。普段は女性らしい次女がその実は男っぽい人であり、それに近づければ顧問先生が気にかけてくれるかもしれないといういじらしいオトメゴコロ。髪をバッサリと切り、ボーイッシュな所作で過ごす日常。そんな偽の人格に惹かれる後輩女子たちを「簡単」と言い切るのは自分の想い人が「簡単ではない」からでしょうか。
美術部時代の京子は先輩に憧れて同様に髪を切ったようで、そんな姿を見た先輩は京子の中に自分の姿が透けてしまう。始終付いて回る京子は「かわいいけど、めんどくさい」。先輩は京子に対しそう感じていたわけですが、視点を顧問先生に移すと自分が「めんどくさい」存在なのですね。転校の理由は振られたせいのハートブレイクかと思いきや先生への「当てつけ」、どうにか気を引こうと駄々をこねる子供のような理由でした。ふみとのツーショットでちらちら窺えた先輩の子供っぽさ、オンナノコっぽさはそれこそが真実の姿だったのです。
あーちゃんも子共時代には兄の後を付いて回っていたけれども今は兄の背中から卒業して清々しいほど独り立ちしている。つまりこれは兄があーちゃんをからかって怒らせるだけのエピソードではなく、いつまでも次女の影を追い、先生の後を追っていた先輩の子供っぽさを浮かばせるもの。上手く作ってんなあ。
「もっと大人になってください」
岩屋でのシーンはふみががんばりました。二度も代償行為の末に捨てられたふみの言葉はさすがに重い。普段の気弱なふみから一転して先輩を突き放す態度を見せ、いつまでも子供だった先輩もようやく自分の罪に気付いたようです。
声を震わせてふみに謝罪する先輩。溶けたロウソクは虚勢の壁が溶け落ちた暗喩か、さらに流れる涙ともシンクロして綺麗な演出でした。早くも次回は最終回、はたしてこのストーリーをどういう形で決着するのか楽しみであり寂しくもあり。
- 関連記事
-
- 青い花 #11 冬の花火
- 青い花 #10 幸福の王子
- 青い花 #09 夏の夜の夢
- 青い花 #08 恋は盲目
- 青い花 #07 若葉のころ
スポンサーサイト
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
