2009-09-04(Fri)

東京マグニチュード8.0 #09 今日、さよなら

生死が確定せぬまま弟くんが大活躍。

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とはいえどう見ても…。

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倒壊した高速道路を片付ける重機を嬉しそうな表情で眺める弟くんの描写から始まった今回、何事も無かったように3人揃って自宅への旅が再開されているわけですが…やはり未来を見る真理さんの様子がおかしい。「かわいそうな子」を見るような視線で振り返った真理さんの視点には未来しか映らず、視点が真理さんから外れるとどこからともなく弟くんの姿が現れる。もちろん今回も真理さんと弟くんの直接の会話は無し、あれほど固く約束した「手繋ぎ」もありません。前回の描写から「弟くんは既に死んでいる」ようにしか見えない私はその疑念をますます深めるカットが続き、初回からは想像できないほど素直な表情の未来を見る度にイヤな汗をかきまくりです。

さて着いた三茶は報道とかけ離れた惨状で周囲は焼け野原、道路端のあちこちには布をかけられた遺体が寝かされ、夏の暑さのせいか既に異臭を放っているようでした。倒壊した家屋のそれぞれに線香が立てられ、供え物をついばむカラスの描写などなど直視し難いほど生々しい震災現場。そんな惨状を見て先を急ぐ真理さん、ほどなく到着した自宅は遠目には無事でしたが…全景が見えるとやはり火災にやられていたようです。現実にはなかなかこんな器用な燃え方はしないと思いますが演出演出、そこへ現れた近所の人が言うに

「うちもお爺ちゃんが逃げ遅れて…」

うち「も」の意味があまりに重い。「も」ってことはつまり…通りがかった人に話を訊くとこれもまた絶望的な答え、しかし真理さん宅へ向かう途中に見たガソリンスタンドは無事だったにも関わらず「ガソリンスタンドが爆発」とか言っている事にいまいち信憑性がありません。これも災害後に見られる「デマ」の一端でしょうか。現場が混乱し情報が錯綜している中での証言は決定的なものではなく、しかし焼け崩れた自宅、焦げた三輪車を前に真理さんはガックリと力を落としてしまいます。

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ここで弟くんが発奮。必死の表情で「ヒナちゃんを捜そう」と未来に訴えると近所を走り回って捜索開始です。出会ったボランティアに避難所のことを聞くと座り込む真理さんを連れて…到着後迷いも無く遺体安置所へ向かうのはどういう? 生きていると信じているならまず避難所を探し回るでしょうに。

魂が抜けている真理さんに代わって未来が受付へ。知らない大人には口を利けなかった未来が何の躊躇も無く職員と話せるようになったのは成長の証、しかし受付職員から返ってきた答えは残酷なものでした。地番と年齢性別がドンピシャの遺体があるって!?

道端に寝かされた人に比べればマシな処遇ですが…「死者18万人」の現実を突き付けるように並ぶ無数の遺体は何と生々しい。初期にはレインボーブリッジの倒壊や輸送船の転覆、さらに東京タワーの倒壊など派手な描写がありましたがそれに伴う死者の描写は控えられていました。しかし回数が進むにつれ現実の被害者が映し出され始め、ついには身近な人の遺体を確認するまでに…安直かもしれませんが橋が落ちる描写よりも遺体が並ぶ光景のが数倍リアルに恐怖を感じますね。

該当する遺体の前に到着し身元確認を求められた真理さん。突然突き付けられたあまりに重い現実に言葉を詰まらせ、その現実を認められない真理さんは顔布を取ることができません。これは見ていて辛すぎた。遺体を前に嗚咽しうずくまる真理さん、その後ろ姿を見ていた二人はどうすることもできず。

「ヒナちゃんたち生きてると思う」

未来に対し弟くんはまっすぐな目で訴え、一瞬躊躇した未来でしたが弟くんと共に避難所内を捜すことに。まあ順番から言うとこれが先なのでしょうけれどもその辺は演出上の都合ってことで。ともかくこのカットの弟くんには「ああ、やっぱり『わかる』のか」…と思わざるを得ません。

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大声で名前を呼びつつ避難所内を走り回る二人。一回り捜してもヒナちゃん婆ちゃんは見付かりませんがまだまだ諦めない、隣の幼稚園も避難所であることを知るとそちらまで範囲を拡げ引き続き名前を呼ぶ。

ここで視点が幼稚園教諭へ変わると呼ぶ声は未来だけとなり、絶妙な高さの生け垣によって姿が見えるのも未来のみ。結局ヒナちゃんはこの幼稚園に預けられて無事、発見を真理さんに伝える未来でしたが…ここも真理さん視点になった途端に未来だけの描写となります。次のカットでは未来の隣に弟くんが立っているにも関わらず。

ヒナちゃんの目元が真理さんそっくりでちょっと笑った。こりゃ確かに親子だわ(笑。幼稚園へヒナちゃんを預けたまま行方知らずの婆ちゃん、一瞬安否が気遣われましたが病院にて無事再会。ここまでさんざんミスリードを煽られドキドキさせられましたが…とりあえず真理さん一家は無事だったようで一息です。まあ遺体確認時に顔布を取らなかったのは動揺の演出もありますが、それよりも「確定」を逃れていたという点に注目してしまった私はもう少し素直に楽しむべき。

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感動の再会を果たした真理さん一家に気遣って離れたところで待つ二人。そんな時でも病院内には次々と負傷者が運び込まれ、ストレッチャーにて搬送される負傷者を見た未来は…弟くんが病院へ搬送された時の事がフラッシュバック、さらに「悪夢」のことも頭に浮かんで全力で動揺しています。この一瞬の回想の締めが「かわいそうな子を見るような真理さんの表情」というのがナントモ。もちろん未来は真理さんのこの表情を何度も見ているわけで、つまりその表情が「何を意味するのか」もわかっているのでしょう。わかっているけれども認められない、必死に現実を覆い隠し明るい表情を見せる姿はどうにも辛すぎる。未来が笑う度に私の気分はどよんど全開、どんだけキツいんだこの作品は。

婆ちゃんの看護をしなければならない真理さんを気遣い、ここで別れて「わたしたち」で自宅を目指すと告げる未来。しかし真理さんはそんな未来を必死に止めます。真理さんから見たらこんな状態の未来を「一人」で行かせるわけにはいかないでしょう。てな所に看護の依頼が来てしまい、心配しながらも真理さんは婆ちゃんのところへ。

真理さんの心配を振り切るように弟くんと出発する未来。ちょうど成城学園へ向かう自衛隊の輸送車に便乗できることになり、未来は真理さん宛てのメモ書きをヒナちゃんに託してゴー。そのメモ書きを見た真理さんは大慌てで表へ出ると未来たちは既に出発した後でした。未来が忘れていったのか真理さんの手には弟くんのリュック、しかしこの時弟くんはリュックを背負っています。これが何を意味するのか。

「落ち着いたら悠貴と一緒に必ず会いに行きます」

メモ書きの「一緒に」という言葉に動揺する真理さん。何かいろいろ確定しちゃってる感じで、見ていてイヤな汗と動悸が止まりません。今回は始終不穏なBGMが流れ、ベテラン西村ジュンジ氏(近作ではtrue tearsの監督担当)のコンテも効いていました。ノイタミナ枠とは思えぬ胃の痛い映像に私のココロが折れそうです。

「お姉ちゃん、あのね…」

続きはDVDで(それは違う
続きは劇場で(それも違う

ストレッチャーでの回想後にも弟くんは同じセリフを言いかけていました。その言葉を遮るように未来は「真理さんと別れて帰宅」を申し出に行ったのですが、輸送車の荷台に落ち着いたタイミングで再び弟くんは何かを告げようとしています。未来がそれを聞いてしまったら壊れてしまうような気がしてなりませんが…単なる災害対策の啓蒙アニメかと思いきやこんなキッツイ展開が待っているとは。

クリステルの衝撃ニュースは「クラッシュ症候群の多発」。タイミング的に次回は自宅へ到着、おそらく未来たちは両親と再会するのでしょう。これまでの流れ的にはおそらく母親がクリステルの予告どおり…いやもう次回を見るのが怖いですよ。

  

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No title

ごぶさたです。本作、どうもキャラの絵が引っかかってスルー気味でしたが、ゆう君の情報がネットで飛び交うようになって再度見直しております。
「…単なる災害対策の啓蒙アニメかと思いきや」・・・おっしゃるおりです。
昔、「日本沈没」がテレビ枠で放映されてましたが、まだゴジラなみの特撮でも当時はハラハラしたものでしたね。1週間の間に放映済みの回が「熟していく」のかな。この手のものは映画よりテレビの方がマッチする気がします。
最近のパニック映画でSFXを駆使したリアリズムより、こんな「心理」の方が最近はリアルに感じてしまいます。
「弟くんのリュック」・・・観察力の無い私には気付きませんでした。
引き続きレビューよろしくお願いします。

れすれす

>T/Aさん
キャラデザは…そうですね。確かに絵的魅力で見始めるような作品では無いと思いますのでスルーされたのも納得、とはいえ内容が内容だけにあまり今風のデザインにしてもアレですし、かと言ってリアル方向へ振っても重苦しさが強調されてしまいそう。今になって思えばこのキャラデザは作品にマッチした秀逸なデザインだと思えます。顔ひとつ取っても単純な構成パーツで豊かな表情を描いていた制作スタッフの尽力が窺え…こういう単純な顔ってピクセル単位のズレで福笑いになっちゃいますからねえ。

事前の宣伝文句からしてリアルシミュレーション重視っぽく、確かにシリーズ前半はそんな描写が続きましたが、あるタイミングから「恐ろしさ」の表現が「物的被害」から「心理面」へシフトしてきました。おっしゃるとおりリアルなCG等を駆使した災害描写よりも弟くんの一節のほうがリアルな恐ろしさを感じますね。壊れた「モノ」は直せても、「ココロ」はそう簡単に直せませんから。
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