2009-09-18(Fri)
東京マグニチュード8.0 #11 悠貴へ…
弟くんの死を認識した未来は一人自宅へ。

家族との再会、そして再起へ。

わかっていたけど認められない、信じたくない残酷な出来事を封印していた未来はついに本人(?)から「死」を告げられ一人帰宅の途へ。夕日が照らす中を魂の抜けた表情でとぼとぼ歩く様子は見ているこっちも辛いです。一緒にいながら弟くんを死なせてしまった自責に囚われる未来、しかもその原因が自分にあると思い込んでいるため両親に合わす顔がありません。するとそこへ弟くん登場し「帰ろう」と。
今回の弟くんは今までと違い死が確定しているせいか影は無く、また逆光でも体に影が落ちないライティングで「実体では無い」ことを強調していました。約束どおり手を繋ごうとしても握った手は透けてしまい、それでも未来は弟くんの励ましによって自宅へ。本来ならば弟くんと揃って帰宅でハッピーエンドのゴールシーンでしょうに…まさかこんな展開になるとは。
母親の気配を感じて家へ入るも姿は無く、未来の目には震災によって変わり果てた部屋の様子が映るのみでした。反抗期でイライラしあれほど居心地が悪かった家、しかし必死の思いで帰宅した後に震災の爪痕をリアルに突き付けられたのはショックだったでしょう。それでも夕日の差し込む自室を見ると「帰って来た実感」が湧いたのか緊張の色も薄まり…ついに弟くんとの別れがやってきました。二段ベッドの上段に座った弟くんは家へ帰れたこと、そして未来を無事に家まで導けたことで役割を終えたのか。
「やだよ…悠貴、いなくなっちゃうの?」
「いなくならないよ」
「何? 何て言ったの?」
「ずっと…ここにいる」
「何? 聞こえない、聞こえないよ…悠貴」
「お姉ちゃん、大好き…」
存在が薄まり消え入りそうな弟くんの声に涙声で答える未来。言ってしまうと少々ベタな演出・脚本でしたが、穏やかな表情で天に召されていく弟くんを見るとさすがに涙腺にキますね。

するとそこへ母親が登場。現れた母親は未来の姿を見つけると一も二も無く全力で抱き締め…その様子を見届けた弟くんは今度こそ本当にお別れです。おそらく家から離れていた母親を弟くんが導いたのでしょう、最後まで家族思いのいい子でした。消えゆく弟くんを見送る未来の表情が悲しすぎ。
父親の入院する病院にて親子三人の再会。父親は足をケガしていますがクラッシュ症候群とは無縁のようで一安心です。クリステル予告が未来両親へ発動せずよかったよかった。両親を前に未来は弟くんを死なせてしまったことで自分を責め…しかし父親の優しい手、母親の抱擁によって独りで抱え込んでいた重責から解放。張り詰めた糸が切れたように思いの丈を吐き出し、もはや遠慮なく涙を落とす未来はようやく弟くんの死を認められたのではあるまいか。

思った通りBパートは後日談。震災から1ヶ月経った未来は魂が抜けたように寝転がるのみ。二段ベッドの上段を足で押してもそこに弟くんの姿は無く、しかし机を眺めるとそこに「いる」ような気がしてならない。親しい人、特に家族を突然亡くしても全く実感が湧かず「ひょっこり戻ってくる」ような想像を働かせてしまうのは無理もありません。特に未来はまだ中一です。人の死に対しほとんど体験が無い子供に気持ちの切り替えを強いるのは無理というもの。母親にしてもそう簡単にはいかないようで…弟くんの食事まで用意してしまう気持ちはわかるけれども、いつまで続けていても状況は好転しないのでキリを付けないと。まあそんな事はわかっていてもなかなか踏ん切りが付かないんですよね…。
そんな所へ久しぶりの真理さんと再会。避難中のワイルドな装いから変わってのスーツ姿はいかにも大人の女性です。依然魂が抜けたままの未来に対し旦那を亡くした時の喪失感を語り、弟くんの言葉どおり「悠貴くんは未来ちゃんの中にちゃんといるよ」と。しかしそんな言葉を聞いたところで未来はまだピンと来ない様子でした。
1ヶ月ぶりに電源を入れたケータイにはたくさんのメッセージが届いています。行方不明と言われたユカは無事だったようで何より。次々とメールを確認すると何故か真理さんからのメールが届いており…それは真理さんのケータイを使った弟くんからのメールでした。初めて使うであろう他人のケータイで小学三年生が上手いことメール文を作成するなあと思いますがそれはそれ、基地局が機能せず通信が途絶えていたのにどうやってメールサーバに繋げたのだろうと思いますがそれはそれ、弟くんの思いの詰まったメッセージに涙が溢れる未来、黙って抱き締める真理さんの優しさに見ているこっちも目頭が危険水域です。こんなん言うと不謹慎かもですが、この作品はシンプルな線のキャラデザが効いているのか表情描写のデフォルメが逆にリアルで、特に今回見せた泣き顔の表現は素晴らしかったです。

両親との再会で死を認め、真理さんに感情をぶつけたことで気持ちに整理を付けた未来。いつまでも元気のない未来を心配する両親の前に立ち、母親にあの日買ったプレゼントを渡し、あの日に描いた絵を渡し…1話で渡しそびれた絵をこんな形で再登場させますか。未来の前では気丈に振る舞っていた両親もこれには落涙、家族の絆を思い出させる一枚の絵にはもういない弟くんの思いが詰まっています。
亡くなった人を忘れることは難しい。いや無理に忘れる必要は無いし、むしろ忘れてはいけない。悲しく寂しくなったら話しかければいい。「心の中で生きている」というのはベタで陳腐で使い古された表現ですが実際の話それが真実なのです。どれほど泣いても亡くなった人は帰ってこない、ならば弟くんの言葉どおり「がんばって歩く」ことが何よりの供養となるでしょう。
ほどなく学校は再開され、弟くんのクラスにも犠牲者が多数いたようで机の花が何本も飾られていました。机の脚にテニスボールが付けられているのは震災で耳に障害を受けた生徒がいるのかもしれません。
亡くなった弟くんに代わってマロニエの木に水をやり、歩き続けることを誓う未来で締め。なかなか綺麗な終わり方でした。EDで映る写真は最終回仕様に差し替え。弟くんを助けたコンビニ姉ちゃんは無事に復帰し、ロボオタクの少年も無事、仮設住宅の真理さんたちは丸いケーキを囲み、未来宅でも丸いケーキでお誕生日のお祝いをしていました。これら本編で描いた部分の細かいフォローに感心です。
開始当初は壊滅した首都を3人がいかにして帰宅するか、それを通じて震災時の対処法などを盛り込んだ内容かと思いきや…もちろん前半はそんな描写も多々ありましたが、弟くんのアレコレが始まって以来はそちらがメインになってしまい正直言って少々消化不良だった気もします。1話の始まり方からして未来の成長物であることも予想できましたけれども…まさかこれほどの試練とは。
確かに震災の恐ろしさを表現するにあたり「身内の死」を描くのは間違いではなく、平時にはどうしても「他人事」とタカをくくって危機感を感じないことに警鐘を鳴らすには効果的ではありましょう。しかし弟くんが亡くなった後に死を認められない未来の表現は現実に起こりえる事とは言え少々ファンタジーが過ぎたような。死因についても脳挫傷から1日後に突然発症→搬送即黒タグとはこれも現実的ではありますが、東京タワーの倒壊による二次災害が原因というのは過剰演出でした。冒頭テロップによって「リアル感」を売りにしているのだから、もう少し現実味のある死に方(?)で描いて欲しかったかも。というか東京タワーが倒れるレベルなのにフジテレビが無傷で当日から普通に稼働しているってのはあまりにご都合すぎ(笑。などなどツッコミを入れれば一晩でも話せそうですが、それを越えた魅力があったのも事実であり、一気に駆け抜けた11話はどの回も30分が早かったです。
というわけで激動の東京マグニチュード8.0はこれにておしまい。おつかれさまでした。
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家族との再会、そして再起へ。

わかっていたけど認められない、信じたくない残酷な出来事を封印していた未来はついに本人(?)から「死」を告げられ一人帰宅の途へ。夕日が照らす中を魂の抜けた表情でとぼとぼ歩く様子は見ているこっちも辛いです。一緒にいながら弟くんを死なせてしまった自責に囚われる未来、しかもその原因が自分にあると思い込んでいるため両親に合わす顔がありません。するとそこへ弟くん登場し「帰ろう」と。
今回の弟くんは今までと違い死が確定しているせいか影は無く、また逆光でも体に影が落ちないライティングで「実体では無い」ことを強調していました。約束どおり手を繋ごうとしても握った手は透けてしまい、それでも未来は弟くんの励ましによって自宅へ。本来ならば弟くんと揃って帰宅でハッピーエンドのゴールシーンでしょうに…まさかこんな展開になるとは。
母親の気配を感じて家へ入るも姿は無く、未来の目には震災によって変わり果てた部屋の様子が映るのみでした。反抗期でイライラしあれほど居心地が悪かった家、しかし必死の思いで帰宅した後に震災の爪痕をリアルに突き付けられたのはショックだったでしょう。それでも夕日の差し込む自室を見ると「帰って来た実感」が湧いたのか緊張の色も薄まり…ついに弟くんとの別れがやってきました。二段ベッドの上段に座った弟くんは家へ帰れたこと、そして未来を無事に家まで導けたことで役割を終えたのか。
「やだよ…悠貴、いなくなっちゃうの?」
「いなくならないよ」
「何? 何て言ったの?」
「ずっと…ここにいる」
「何? 聞こえない、聞こえないよ…悠貴」
「お姉ちゃん、大好き…」
存在が薄まり消え入りそうな弟くんの声に涙声で答える未来。言ってしまうと少々ベタな演出・脚本でしたが、穏やかな表情で天に召されていく弟くんを見るとさすがに涙腺にキますね。

するとそこへ母親が登場。現れた母親は未来の姿を見つけると一も二も無く全力で抱き締め…その様子を見届けた弟くんは今度こそ本当にお別れです。おそらく家から離れていた母親を弟くんが導いたのでしょう、最後まで家族思いのいい子でした。消えゆく弟くんを見送る未来の表情が悲しすぎ。
父親の入院する病院にて親子三人の再会。父親は足をケガしていますがクラッシュ症候群とは無縁のようで一安心です。クリステル予告が未来両親へ発動せずよかったよかった。両親を前に未来は弟くんを死なせてしまったことで自分を責め…しかし父親の優しい手、母親の抱擁によって独りで抱え込んでいた重責から解放。張り詰めた糸が切れたように思いの丈を吐き出し、もはや遠慮なく涙を落とす未来はようやく弟くんの死を認められたのではあるまいか。

思った通りBパートは後日談。震災から1ヶ月経った未来は魂が抜けたように寝転がるのみ。二段ベッドの上段を足で押してもそこに弟くんの姿は無く、しかし机を眺めるとそこに「いる」ような気がしてならない。親しい人、特に家族を突然亡くしても全く実感が湧かず「ひょっこり戻ってくる」ような想像を働かせてしまうのは無理もありません。特に未来はまだ中一です。人の死に対しほとんど体験が無い子供に気持ちの切り替えを強いるのは無理というもの。母親にしてもそう簡単にはいかないようで…弟くんの食事まで用意してしまう気持ちはわかるけれども、いつまで続けていても状況は好転しないのでキリを付けないと。まあそんな事はわかっていてもなかなか踏ん切りが付かないんですよね…。
そんな所へ久しぶりの真理さんと再会。避難中のワイルドな装いから変わってのスーツ姿はいかにも大人の女性です。依然魂が抜けたままの未来に対し旦那を亡くした時の喪失感を語り、弟くんの言葉どおり「悠貴くんは未来ちゃんの中にちゃんといるよ」と。しかしそんな言葉を聞いたところで未来はまだピンと来ない様子でした。
1ヶ月ぶりに電源を入れたケータイにはたくさんのメッセージが届いています。行方不明と言われたユカは無事だったようで何より。次々とメールを確認すると何故か真理さんからのメールが届いており…それは真理さんのケータイを使った弟くんからのメールでした。初めて使うであろう他人のケータイで小学三年生が上手いことメール文を作成するなあと思いますがそれはそれ、基地局が機能せず通信が途絶えていたのにどうやってメールサーバに繋げたのだろうと思いますがそれはそれ、弟くんの思いの詰まったメッセージに涙が溢れる未来、黙って抱き締める真理さんの優しさに見ているこっちも目頭が危険水域です。こんなん言うと不謹慎かもですが、この作品はシンプルな線のキャラデザが効いているのか表情描写のデフォルメが逆にリアルで、特に今回見せた泣き顔の表現は素晴らしかったです。

両親との再会で死を認め、真理さんに感情をぶつけたことで気持ちに整理を付けた未来。いつまでも元気のない未来を心配する両親の前に立ち、母親にあの日買ったプレゼントを渡し、あの日に描いた絵を渡し…1話で渡しそびれた絵をこんな形で再登場させますか。未来の前では気丈に振る舞っていた両親もこれには落涙、家族の絆を思い出させる一枚の絵にはもういない弟くんの思いが詰まっています。
亡くなった人を忘れることは難しい。いや無理に忘れる必要は無いし、むしろ忘れてはいけない。悲しく寂しくなったら話しかければいい。「心の中で生きている」というのはベタで陳腐で使い古された表現ですが実際の話それが真実なのです。どれほど泣いても亡くなった人は帰ってこない、ならば弟くんの言葉どおり「がんばって歩く」ことが何よりの供養となるでしょう。
ほどなく学校は再開され、弟くんのクラスにも犠牲者が多数いたようで机の花が何本も飾られていました。机の脚にテニスボールが付けられているのは震災で耳に障害を受けた生徒がいるのかもしれません。
亡くなった弟くんに代わってマロニエの木に水をやり、歩き続けることを誓う未来で締め。なかなか綺麗な終わり方でした。EDで映る写真は最終回仕様に差し替え。弟くんを助けたコンビニ姉ちゃんは無事に復帰し、ロボオタクの少年も無事、仮設住宅の真理さんたちは丸いケーキを囲み、未来宅でも丸いケーキでお誕生日のお祝いをしていました。これら本編で描いた部分の細かいフォローに感心です。
開始当初は壊滅した首都を3人がいかにして帰宅するか、それを通じて震災時の対処法などを盛り込んだ内容かと思いきや…もちろん前半はそんな描写も多々ありましたが、弟くんのアレコレが始まって以来はそちらがメインになってしまい正直言って少々消化不良だった気もします。1話の始まり方からして未来の成長物であることも予想できましたけれども…まさかこれほどの試練とは。
確かに震災の恐ろしさを表現するにあたり「身内の死」を描くのは間違いではなく、平時にはどうしても「他人事」とタカをくくって危機感を感じないことに警鐘を鳴らすには効果的ではありましょう。しかし弟くんが亡くなった後に死を認められない未来の表現は現実に起こりえる事とは言え少々ファンタジーが過ぎたような。死因についても脳挫傷から1日後に突然発症→搬送即黒タグとはこれも現実的ではありますが、東京タワーの倒壊による二次災害が原因というのは過剰演出でした。冒頭テロップによって「リアル感」を売りにしているのだから、もう少し現実味のある死に方(?)で描いて欲しかったかも。というか東京タワーが倒れるレベルなのにフジテレビが無傷で当日から普通に稼働しているってのはあまりにご都合すぎ(笑。などなどツッコミを入れれば一晩でも話せそうですが、それを越えた魅力があったのも事実であり、一気に駆け抜けた11話はどの回も30分が早かったです。
というわけで激動の東京マグニチュード8.0はこれにておしまい。おつかれさまでした。
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