2009-11-17(Tue)
WHITE ALBUM #20 恋愛は理屈じゃない。そう語り合う恋人達は、詩人、評論家、哲学者
裸の王様に現実を突き付けるのは常に無垢な者。

英二の崩壊、そして再生へ。

今回はあまりに衝撃的な映像の数々に私の脳内は止まらないメリーゴーランドに占拠され、土曜日に視聴したにも関わらずレビューにまとめる気力が湧かず…既に10周くらい見てしまいましたが未だ上手く言語化できる気がしません。なのでいつも以上に支離滅裂なレビューになるかと思いますがご勘弁。
駅での待ち伏せで引いた前回、めのうはそのまま冬弥の部屋へ同行したようです。男所帯の冷蔵庫を眺めてはパシリを命ずるめのう、彼女の性格もあるでしょうが、この堂々とした様子は公会堂で1度、スタジオで1度会っただけの関係で無いことを暗に示しているような。現に前回のスタジオにて過去回想の1カットがあり、おそらく子共時代の冬弥、そして由綺とも何らかの関わりがありそう。それはもちろん冬弥が忘れているらしき「冬弥と由綺に関する良くない(?)事項」をも含んでいると思われます。通りすがりの限りなくモブに近いキャラかと思いきや…冬弥&由綺の過去清算のキーマンとなりえるか?
ビールを買いに出掛けた冬弥は途中にてどこかへ電話をしています。帰宅後の展開からしてこの電話はM3の事務所にかけたもの? めのうは主が出掛けている間に無断で風呂へ入り、勝手にシャツを使う遠慮の無さを見せ、繰り返しになりますがやはり冬弥を他人と思っていない節を感じます。冬弥は全然覚えていないみたいですけど。というか風呂上がりのめのう、タオルを頭にシャツの丸首を広げる仕草が美人過ぎて何ごとかと。結局彼女は駆け付けたマネージャー氏によって連れ戻されてしまいますが、別れ際に「冬弥くん」と呼んで見せたり、玄関先での別れ際も妙にフレンドリーだったり、めのうの冬弥に対する意識をこれでもかと見せていました。
シーン変わって緒方邸。例のスッポカシを気にする由綺に対し英二は寛容な態度で接し、彼女が手元に戻ってきたことを心底喜んでいる様子でした。そんな英二に理奈のことで食い下がる由綺、この会話が彼のスイッチを入れてしまったようで…ここは変貌する英二に物言わずじっと見ている弥生さん、英二の「闇」を知っている故の視線が印象的でした。

「君の仲間を見せてあげる」と連れて行かれたエコーズの隠し部屋。一面赤い壁に囲まれた部屋に入るとまず「偽」と書かれていない例の絵がアップで映され…何これどうなってんの?と思う間もなく同じ絵が壁一周に飾られ、しかし1枚だけ「偽」と書かれた例の絵が置いてある風景へ。英二はその絵を「贋作」と断じ、しかも壁の絵全てが贋作と言う。部屋の中央に置かれた椅子に座った由綺はそんな英二を見てあからさまに不審顔です。それもそのはず、由綺の瞳には真実が映っていたのですから。
英二に従属している弥生とフランキーが口に出せなかったこと、無垢な存在である由綺は裸の王様が裸であることを隠しませんでした。振り返る英二の呆けた表情、そこから取り乱す表情は彼のアイデンティティが崩壊していく様子をまざまざと見せつけます。落涙の表現から目のアップで涙が流れ、例の絵が流れ落ちて真実が現れる繋ぎはかなり強烈。見ていて胃がキュンキュンしましたよ。しかしこれはまだ序章でしかありませんでした。

飾られた絵が全て別モノであることを突き付けられた英二は自らを支えていたもの、自らを高みに臨ませるモチベーションであった絵、今の自分を形作った源である絵が「望むもの」と似ても似つかない絵だったことに狼狽します。確かにそれらが「偽物」であることに気付いてはいた。しかしそれは「心に浮かべた絵」を別の絵に映し出していただけであり、なるほどどの絵を見ても違和を感じたのは当然でしょうね。
M3社長から件の絵を入手したときの回想では絵が黒く塗りつぶされ、さらに英二を取り囲む絵たちもいつの間にか黒く塗りつぶされ…つまり英二はその絵が「どんな絵」だったのかわからないことを示し、そもそも真贋を見分ける基準すら最初から無かったのです。それは英二が「絵を忘れてしまった」から。
以前のレビューにて絵に書かれた偽の字について「贋作という意味ではなく、絵に見出す価値が偽という意味だろう」と読みましたが…英二が絵に求める価値はどの絵を見ても満たされない、どこにも「本物」が無いという展開には脱帽するしかありません。この一連のシーンは黒バックに英二の狂気の表情が浮かび続け…見ているこっちもどうかなりそう(笑
偽の絵に囲まれて佇む英二の所へ弥生さんが登場。引き裂かれたプライドにKO寸前の英二はそれでも弥生さんに対し優位を保とうと足掻きます。高飛車な態度で命令する英二に反抗することなく従い、しかし服を脱ぎながら英二を諭す弥生さん。こうなった以上は全てを認めて再出発するしか無い。おそらく本人もわかっていたことでしょう、英二は弥生さんの言葉に背中を押されてとりあえず一件落着です。常に生気が無くまるで人形のようだった弥生さんが見せた人間味、余談ですが冬弥とのアレコレが彼女を変えたのかもしれませんね。
その頃由綺の部屋で虚しく響く冬弥からの留守電メッセージ。冒頭の買い物シーンで事務所へかけた電話のついでに入れた? M3での初仕事を報告する冬弥ですが…由綺からしたらそれはあまりに白々しい話で、冬弥の嘘を知っている由綺はこれを聞いてどんな気持ちになるのか想像するだけで胃がキュンキュンですよ。ぐぬぬ。

新事務所にて相変わらず冷遇されている理奈。現状のトップアイドルをこれほど冷遇するのはじつにもったいない話です。どうせだからコキ使えばいいのにと思ってしまう私は汚れた大人ですか(笑。冬弥と由綺の仲をあえてバラす理奈、変に勘ぐられるより良いと言う冬弥へ「そういうつもりで言ったんじゃない」との心境は…由綺に対する後ろめたさ、また正々堂々と勝負に臨みたい理奈の気概かな。仕事が無い理奈はスタジオにて発声練習、奈々さんの発声練習なんてそうそう聴けるものではないのである意味貴重シーンかも(笑。ガランとしたスタジオの2人は面白い映し方、M3事務所の中で孤立している現状が窺えますね。
大学事務員の山本女神は調子よく人当たりの良い冬弥に興味津々のご様子。ここへきてまた被害者か! 女神と言われて嬉しかったと語る山本さんは背景に光の溢れる窓を置いて気分の高揚を演出、その後のお茶シーンでは夕陽を被せて大人っぽい雰囲気に。こういう見せ方が細かくて感心します。ここでマナの家庭事情のネタばらし、M3社長がマナの母親であることを知った冬弥は今後どう動くのだろう。
お茶をしばく2人を見つけた春原は血気立ち、しかしそれを抑える美咲さん。相変わらず冬弥に甘いなあ(笑。その後田丸の話になった途端の豹変は…美咲さんってひょっとしたらダメンズ専なんじゃないだろうか(実も蓋も。何かに取り憑かれたようにキャッチライトの消えた瞳が怖いです。それはともかく責任感が強すぎる美咲さんは全てを自分で背負ってしまう傾向にありますね。対して春原は自己主張が強く、何か起きる度に外を攻撃してバランスを取っているような。美咲さんはこういうタイプを好きじゃないだろうなあ…と破局が見え見え。

山本さんとの食事中に何故か現れる弥生さん。いたんですか! ええずっと。冬弥はそのままBMWに乗り込んでサヨウナラ、残された山本さんが気の毒すぎて何ともはや。車内での会話は…彼はもうダメかもしれない(今さら何を。盗人にも三分の理、冬弥にも一分くらいは理があると思いますが、こと弥生さん相手に関しては援護射撃の弾も尽き気味です。やりたい盛りに好き放題できる相手、しかもダイナマイツバディの美人ですから肉欲に溺れるのも無理はないけれど、由綺代わりのダッチワイフは血が通い感情のある人間であり、いつまでも人形のままではないことに気付かない冬弥の愚かさ。目前のニンジンに気を取られて足元の底なし沼に気付かない冬弥の最期は落馬か溺死か。どちらにしろ無事では済まないでしょうね。
冬弥のメッセージを聞いて眠る由綺、自動車電話に重なる手、そして冬弥の留守電とそれぞれの電話機に宿るドラマを暗示しての引き。「痛いよ」の文字演出は…留守電の導入ですれ違いが減るはずなのに、以前よりもココロのすれ違いが加速しているようで何とも皮肉でありますね。
異様に時間がかかった割りにイマイチ納得いかないレビューだなあ。ここまで書いてボツにするのも悔しいので晒しますが…ホワルバのレビューはホント難しい。見た時の感情を上手く言語化できない歯がゆさをあと何度味わえばいいのだろう。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

英二の崩壊、そして再生へ。

今回はあまりに衝撃的な映像の数々に私の脳内は止まらないメリーゴーランドに占拠され、土曜日に視聴したにも関わらずレビューにまとめる気力が湧かず…既に10周くらい見てしまいましたが未だ上手く言語化できる気がしません。なのでいつも以上に支離滅裂なレビューになるかと思いますがご勘弁。
駅での待ち伏せで引いた前回、めのうはそのまま冬弥の部屋へ同行したようです。男所帯の冷蔵庫を眺めてはパシリを命ずるめのう、彼女の性格もあるでしょうが、この堂々とした様子は公会堂で1度、スタジオで1度会っただけの関係で無いことを暗に示しているような。現に前回のスタジオにて過去回想の1カットがあり、おそらく子共時代の冬弥、そして由綺とも何らかの関わりがありそう。それはもちろん冬弥が忘れているらしき「冬弥と由綺に関する良くない(?)事項」をも含んでいると思われます。通りすがりの限りなくモブに近いキャラかと思いきや…冬弥&由綺の過去清算のキーマンとなりえるか?
ビールを買いに出掛けた冬弥は途中にてどこかへ電話をしています。帰宅後の展開からしてこの電話はM3の事務所にかけたもの? めのうは主が出掛けている間に無断で風呂へ入り、勝手にシャツを使う遠慮の無さを見せ、繰り返しになりますがやはり冬弥を他人と思っていない節を感じます。冬弥は全然覚えていないみたいですけど。というか風呂上がりのめのう、タオルを頭にシャツの丸首を広げる仕草が美人過ぎて何ごとかと。結局彼女は駆け付けたマネージャー氏によって連れ戻されてしまいますが、別れ際に「冬弥くん」と呼んで見せたり、玄関先での別れ際も妙にフレンドリーだったり、めのうの冬弥に対する意識をこれでもかと見せていました。
シーン変わって緒方邸。例のスッポカシを気にする由綺に対し英二は寛容な態度で接し、彼女が手元に戻ってきたことを心底喜んでいる様子でした。そんな英二に理奈のことで食い下がる由綺、この会話が彼のスイッチを入れてしまったようで…ここは変貌する英二に物言わずじっと見ている弥生さん、英二の「闇」を知っている故の視線が印象的でした。

「君の仲間を見せてあげる」と連れて行かれたエコーズの隠し部屋。一面赤い壁に囲まれた部屋に入るとまず「偽」と書かれていない例の絵がアップで映され…何これどうなってんの?と思う間もなく同じ絵が壁一周に飾られ、しかし1枚だけ「偽」と書かれた例の絵が置いてある風景へ。英二はその絵を「贋作」と断じ、しかも壁の絵全てが贋作と言う。部屋の中央に置かれた椅子に座った由綺はそんな英二を見てあからさまに不審顔です。それもそのはず、由綺の瞳には真実が映っていたのですから。
英二に従属している弥生とフランキーが口に出せなかったこと、無垢な存在である由綺は裸の王様が裸であることを隠しませんでした。振り返る英二の呆けた表情、そこから取り乱す表情は彼のアイデンティティが崩壊していく様子をまざまざと見せつけます。落涙の表現から目のアップで涙が流れ、例の絵が流れ落ちて真実が現れる繋ぎはかなり強烈。見ていて胃がキュンキュンしましたよ。しかしこれはまだ序章でしかありませんでした。

飾られた絵が全て別モノであることを突き付けられた英二は自らを支えていたもの、自らを高みに臨ませるモチベーションであった絵、今の自分を形作った源である絵が「望むもの」と似ても似つかない絵だったことに狼狽します。確かにそれらが「偽物」であることに気付いてはいた。しかしそれは「心に浮かべた絵」を別の絵に映し出していただけであり、なるほどどの絵を見ても違和を感じたのは当然でしょうね。
M3社長から件の絵を入手したときの回想では絵が黒く塗りつぶされ、さらに英二を取り囲む絵たちもいつの間にか黒く塗りつぶされ…つまり英二はその絵が「どんな絵」だったのかわからないことを示し、そもそも真贋を見分ける基準すら最初から無かったのです。それは英二が「絵を忘れてしまった」から。
以前のレビューにて絵に書かれた偽の字について「贋作という意味ではなく、絵に見出す価値が偽という意味だろう」と読みましたが…英二が絵に求める価値はどの絵を見ても満たされない、どこにも「本物」が無いという展開には脱帽するしかありません。この一連のシーンは黒バックに英二の狂気の表情が浮かび続け…見ているこっちもどうかなりそう(笑
偽の絵に囲まれて佇む英二の所へ弥生さんが登場。引き裂かれたプライドにKO寸前の英二はそれでも弥生さんに対し優位を保とうと足掻きます。高飛車な態度で命令する英二に反抗することなく従い、しかし服を脱ぎながら英二を諭す弥生さん。こうなった以上は全てを認めて再出発するしか無い。おそらく本人もわかっていたことでしょう、英二は弥生さんの言葉に背中を押されてとりあえず一件落着です。常に生気が無くまるで人形のようだった弥生さんが見せた人間味、余談ですが冬弥とのアレコレが彼女を変えたのかもしれませんね。
その頃由綺の部屋で虚しく響く冬弥からの留守電メッセージ。冒頭の買い物シーンで事務所へかけた電話のついでに入れた? M3での初仕事を報告する冬弥ですが…由綺からしたらそれはあまりに白々しい話で、冬弥の嘘を知っている由綺はこれを聞いてどんな気持ちになるのか想像するだけで胃がキュンキュンですよ。ぐぬぬ。

新事務所にて相変わらず冷遇されている理奈。現状のトップアイドルをこれほど冷遇するのはじつにもったいない話です。どうせだからコキ使えばいいのにと思ってしまう私は汚れた大人ですか(笑。冬弥と由綺の仲をあえてバラす理奈、変に勘ぐられるより良いと言う冬弥へ「そういうつもりで言ったんじゃない」との心境は…由綺に対する後ろめたさ、また正々堂々と勝負に臨みたい理奈の気概かな。仕事が無い理奈はスタジオにて発声練習、奈々さんの発声練習なんてそうそう聴けるものではないのである意味貴重シーンかも(笑。ガランとしたスタジオの2人は面白い映し方、M3事務所の中で孤立している現状が窺えますね。
大学事務員の山本女神は調子よく人当たりの良い冬弥に興味津々のご様子。ここへきてまた被害者か! 女神と言われて嬉しかったと語る山本さんは背景に光の溢れる窓を置いて気分の高揚を演出、その後のお茶シーンでは夕陽を被せて大人っぽい雰囲気に。こういう見せ方が細かくて感心します。ここでマナの家庭事情のネタばらし、M3社長がマナの母親であることを知った冬弥は今後どう動くのだろう。
お茶をしばく2人を見つけた春原は血気立ち、しかしそれを抑える美咲さん。相変わらず冬弥に甘いなあ(笑。その後田丸の話になった途端の豹変は…美咲さんってひょっとしたらダメンズ専なんじゃないだろうか(実も蓋も。何かに取り憑かれたようにキャッチライトの消えた瞳が怖いです。それはともかく責任感が強すぎる美咲さんは全てを自分で背負ってしまう傾向にありますね。対して春原は自己主張が強く、何か起きる度に外を攻撃してバランスを取っているような。美咲さんはこういうタイプを好きじゃないだろうなあ…と破局が見え見え。

山本さんとの食事中に何故か現れる弥生さん。いたんですか! ええずっと。冬弥はそのままBMWに乗り込んでサヨウナラ、残された山本さんが気の毒すぎて何ともはや。車内での会話は…彼はもうダメかもしれない(今さら何を。盗人にも三分の理、冬弥にも一分くらいは理があると思いますが、こと弥生さん相手に関しては援護射撃の弾も尽き気味です。やりたい盛りに好き放題できる相手、しかもダイナマイツバディの美人ですから肉欲に溺れるのも無理はないけれど、由綺代わりのダッチワイフは血が通い感情のある人間であり、いつまでも人形のままではないことに気付かない冬弥の愚かさ。目前のニンジンに気を取られて足元の底なし沼に気付かない冬弥の最期は落馬か溺死か。どちらにしろ無事では済まないでしょうね。
冬弥のメッセージを聞いて眠る由綺、自動車電話に重なる手、そして冬弥の留守電とそれぞれの電話機に宿るドラマを暗示しての引き。「痛いよ」の文字演出は…留守電の導入ですれ違いが減るはずなのに、以前よりもココロのすれ違いが加速しているようで何とも皮肉でありますね。
異様に時間がかかった割りにイマイチ納得いかないレビューだなあ。ここまで書いてボツにするのも悔しいので晒しますが…ホワルバのレビューはホント難しい。見た時の感情を上手く言語化できない歯がゆさをあと何度味わえばいいのだろう。
- 関連記事
-
- WHITE ALBUM #22 口べたで悩んでる?目で会話してみるといい、すぐにしゃべりたくなるから
- WHITE ALBUM #21 別れ道まで戻りたいと思う。右にすれば良かったって。後悔だけのそんな道程
- WHITE ALBUM #20 恋愛は理屈じゃない。そう語り合う恋人達は、詩人、評論家、哲学者
- WHITE ALBUM #19 飽きるから次に進めるという。大抵は、進む前にもう飽きてるみたいだけど
- WHITE ALBUM #18 虫が良すぎるんじゃない?殻に閉じこもってるくせに、閉所恐怖症なんて
スポンサーサイト
↓記事が役立ったら一票どうぞ。
