2010-01-20(Wed)
君に届け #15 ライバル
爽子の思いがくるみちゃんへ届いた。

というわけでくるみ編、決着です。

今まで隠し続けてきた本心を涙ながらに吐き出したくるみちゃん。そんな様子にもらい泣きの爽子はハンカチを出してくるみちゃんの涙を拭う。「大丈夫だよ、汚くないよ」「呪われないよ」と変に気遣う爽子に対し「思ってないよ、そんなことは…」と即答し、手のハンカチを取り上げて爽子の涙を拭い返す気丈さも良し。ここまでのカットを見ただけで今回のクオリティの高さに驚き…第5話に続いてコンテ・演出に中村章子氏、作監に西位照実氏が担当、なるほどくるみちゃんの最高の見せ場に最強ペアを持ってきましたか。私的に注目している中村氏の繊細な演出、さらに今回も原画を兼任しており各キャラの表情描写なども極上の仕上がりでした。素晴らしい。
爽子と風早くんの関係に詰め寄るくるみちゃんの所作や表情も良かった。ネコを被った通常モードから豹変して素の表情で迫る様子は平野嬢の声質・演技も光っています。ほんとくるみちゃんにドンピシャの声だなあ。
いつの間にか風早くん語りに入ってしまう2人。中学時代からずっと風早くんを見つめ続けてきたくるみちゃんの思いに相づちを打つ爽子、同じ人を好きになった者同士の連帯感を感じさせる一瞬でした。ふと我に返って反目するくるみちゃんに対し、こういう話ができて嬉しい爽子が何ともかわいらしかったです。
ピンに関する誤解について「ちゃんと話せばわかってくれる」と助言をする爽子。龍との件で誤解されたことを思い返しての言葉は心に浸みますね。あの騒動がきちんと伏線になっているのは上手い作り。しかしそんな言葉もくるみちゃんへ伝わったのかどうか…関係の終了を暗示するように寂しげな引きカットで見せる去り際が切ないです。

「他人を利用して何が悪いのよ」
噂騒動を突き詰められたくるみちゃんが思わず口走ったこのセリフ。その容姿や社交性からいろいろ利用されてきたのだろう…と予想させましたが今回はその描写、そして風早くんを好きになったきっかけも描かれていました。
女の子同士の仲良しグループで常に中心にいたくるみちゃんは男女分け隔てなく気軽に接し、おそらく計算などないままに仲良くしていたのでしょう。女版の風早くんとでも言いましょうか。しかしそのかわいさから勘違いする野郎も出てくるもので…意中の男子をくるみちゃんに取られたと泣く女子、トイレ会議にて本音を漏らす女子の声を偶然聞いてしまったくるみちゃんのショックたるや。こんな体験をしてしまったら「他人を利用するのはお互い様」と考えても仕方ありません。
女子たちの本音を知った後でも気丈な笑顔を見せるくるみちゃんの鎧。しかし女子中学生の薄い胸はその現実に耐えられず、誰もいなくなった放課後の教室に1人残って辛さに肩を震わせる様子は果てしなく弱々しいけれどこれが彼女の本当の姿なのでしょう。辛さを誰にも打ち明けられず全てを1人で抱え込み…見た目の華やかさや表面上の社交性を切り離した「素の姿」は爽子と共通しているのでした。なるほど何だかんだで爽子と気が合うはずです。
1人涙するくるみちゃんの所へ現れた野球部の坊主頭。くるみちゃんの様子に勘付いて声をかけると「何でもない」と返ってきたのでそのまま教室を出て…しかし再び戻ってきて心底心配の表情を見せます。何ていい奴なんだ。くるみちゃんが立ち上がって一瞬溜めから子供のように大泣き、溜め込んできたものが一気に溢れ出す瞬間を上手く見せていましたね。くるみちゃんの心の隙間へカフカのように絶妙に入り込んだ風早くん(違)、なるほどこれは惚れるわ。
好きになったはいいけれどその事を誰にも言わず、裏を返せば「誰にも言えない」くるみちゃんの孤独さ。表面上は人気者でも利害抜きで心を許せる友達が存在しないのは本当に寂しいことです。

自転車置き場で風早くんとご対面。ピンとの誤解は相変わらずのようで、しかし噂の一件が伝わっていないことに驚くくるみちゃん。相手をハメることばかり考えていたくるみちゃんにとって「絶好のネタ」を使わない爽子にムカ付きながら、風早くんの爽子評を聞くとそれが「偽善」でないことに気付きます。誤解が生じたらちゃんと話せばわかってくれる、何があっても1人でがんばった爽子の言葉がリフレインされてついにくるみちゃんが動きました。
「誤解されるのは嫌…」
自転車で走り去る風早くんを大声で引き止め、ピンとの誤解を訴えながら勢いで告白してしまいます。爽子に言ったとおりのことを自分でやってしまうくるみちゃんかわいいなあ。涙を落としながら必死の訴えに自転車を止めて駆け寄る風早くん、この一連カットの繋ぎもさぶいぼが出る勢いの映像美でした。さすが。
くるみちゃんの告白をしっかり受け止めながら、しかしブレずにきっちり断る風早くんは漢だなあ。その後に吹っ切れた様子を見せるくるみちゃんも良かった。「梅」と呼ばれて頬を染めると素に戻ってサバサバした表情へ、そして振り返って「風早、女見る目無いもんね!」と強がりながら目に涙を浮かべる去り際もいい感じ。この一連シーンは原作を超えたんじゃ?

さて明けて翌日のくるみちゃんはキャラが一転、サングラスがピカッと光っての登場シーンは何事かと(笑。行き会ったピンはサングラスの理由を誤解してましたが…100%誤解ではないのがミソ、泣き腫らした目を隠していたのですね。「告白でもされた日にゃ、その日一日はそいつのことで頭いっぱいよ!」とピンの言葉に風早くんを思い浮かべるくるみちゃんはどこまで一途なのか。かわいいなあもう。
終わってしまったと思われたくるみちゃんとの関係。「ともだちにはなれないんだよね?」と問いかける爽子に対しくるみちゃんが返した言葉は「ライバルでしょ」。友達とは違った新しい関係にドキドキしちゃう爽子がこれまたかわいいです。豹変したくるみちゃんにビビりながらも一緒に歩く女子もいい味でした。この子たちは前回クラスの女子がくるみちゃんの陰口を言っている側でそれを否定していた子、素を出した途端に離れてしまった連中と違ってくるみちゃんの良い所をきちんとわかっているのでしょう。
体育祭は結局6位で終了し、魂の抜けたピンを放ってクラスは打ち上げの話に盛り上がっています。今の高校生はこんな事で打ち上げなんてやるのか。
カラオケボックスで盛り上がるみなさんから離れて一休みの爽子は階段で熟睡中。てな所へ現れた風早くんは…あああああもう見ていて脳幹が痒い痒い痒い! ニマニマが止まらねえ! もう見てらんない!(笑。いつの間にか面と向かって呼べなくなった名を寝顔の爽子にささやきかけ、そんな風早くんのドキドキを知ってか知らずか寝言で返答の爽子は極上の表情で眠り続ける。今回の制作陣のフルパワーが凝縮されたようなこの階段シーンにはただただ脱帽です。というわけで今後も1回くらいはあるだろう中村・西位ペアの回は要注目ですよ。
などと言いながら…私にとっての「君に届け」は今回がいい節目なのでレビューはおそらく今回で終了。少女まんがに縁遠いおっさんのレビューにこれまでお付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
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というわけでくるみ編、決着です。

今まで隠し続けてきた本心を涙ながらに吐き出したくるみちゃん。そんな様子にもらい泣きの爽子はハンカチを出してくるみちゃんの涙を拭う。「大丈夫だよ、汚くないよ」「呪われないよ」と変に気遣う爽子に対し「思ってないよ、そんなことは…」と即答し、手のハンカチを取り上げて爽子の涙を拭い返す気丈さも良し。ここまでのカットを見ただけで今回のクオリティの高さに驚き…第5話に続いてコンテ・演出に中村章子氏、作監に西位照実氏が担当、なるほどくるみちゃんの最高の見せ場に最強ペアを持ってきましたか。私的に注目している中村氏の繊細な演出、さらに今回も原画を兼任しており各キャラの表情描写なども極上の仕上がりでした。素晴らしい。
爽子と風早くんの関係に詰め寄るくるみちゃんの所作や表情も良かった。ネコを被った通常モードから豹変して素の表情で迫る様子は平野嬢の声質・演技も光っています。ほんとくるみちゃんにドンピシャの声だなあ。
いつの間にか風早くん語りに入ってしまう2人。中学時代からずっと風早くんを見つめ続けてきたくるみちゃんの思いに相づちを打つ爽子、同じ人を好きになった者同士の連帯感を感じさせる一瞬でした。ふと我に返って反目するくるみちゃんに対し、こういう話ができて嬉しい爽子が何ともかわいらしかったです。
ピンに関する誤解について「ちゃんと話せばわかってくれる」と助言をする爽子。龍との件で誤解されたことを思い返しての言葉は心に浸みますね。あの騒動がきちんと伏線になっているのは上手い作り。しかしそんな言葉もくるみちゃんへ伝わったのかどうか…関係の終了を暗示するように寂しげな引きカットで見せる去り際が切ないです。

「他人を利用して何が悪いのよ」
噂騒動を突き詰められたくるみちゃんが思わず口走ったこのセリフ。その容姿や社交性からいろいろ利用されてきたのだろう…と予想させましたが今回はその描写、そして風早くんを好きになったきっかけも描かれていました。
女の子同士の仲良しグループで常に中心にいたくるみちゃんは男女分け隔てなく気軽に接し、おそらく計算などないままに仲良くしていたのでしょう。女版の風早くんとでも言いましょうか。しかしそのかわいさから勘違いする野郎も出てくるもので…意中の男子をくるみちゃんに取られたと泣く女子、トイレ会議にて本音を漏らす女子の声を偶然聞いてしまったくるみちゃんのショックたるや。こんな体験をしてしまったら「他人を利用するのはお互い様」と考えても仕方ありません。
女子たちの本音を知った後でも気丈な笑顔を見せるくるみちゃんの鎧。しかし女子中学生の薄い胸はその現実に耐えられず、誰もいなくなった放課後の教室に1人残って辛さに肩を震わせる様子は果てしなく弱々しいけれどこれが彼女の本当の姿なのでしょう。辛さを誰にも打ち明けられず全てを1人で抱え込み…見た目の華やかさや表面上の社交性を切り離した「素の姿」は爽子と共通しているのでした。なるほど何だかんだで爽子と気が合うはずです。
1人涙するくるみちゃんの所へ現れた野球部の坊主頭。くるみちゃんの様子に勘付いて声をかけると「何でもない」と返ってきたのでそのまま教室を出て…しかし再び戻ってきて心底心配の表情を見せます。何ていい奴なんだ。くるみちゃんが立ち上がって一瞬溜めから子供のように大泣き、溜め込んできたものが一気に溢れ出す瞬間を上手く見せていましたね。くるみちゃんの心の隙間へカフカのように絶妙に入り込んだ風早くん(違)、なるほどこれは惚れるわ。
好きになったはいいけれどその事を誰にも言わず、裏を返せば「誰にも言えない」くるみちゃんの孤独さ。表面上は人気者でも利害抜きで心を許せる友達が存在しないのは本当に寂しいことです。

自転車置き場で風早くんとご対面。ピンとの誤解は相変わらずのようで、しかし噂の一件が伝わっていないことに驚くくるみちゃん。相手をハメることばかり考えていたくるみちゃんにとって「絶好のネタ」を使わない爽子にムカ付きながら、風早くんの爽子評を聞くとそれが「偽善」でないことに気付きます。誤解が生じたらちゃんと話せばわかってくれる、何があっても1人でがんばった爽子の言葉がリフレインされてついにくるみちゃんが動きました。
「誤解されるのは嫌…」
自転車で走り去る風早くんを大声で引き止め、ピンとの誤解を訴えながら勢いで告白してしまいます。爽子に言ったとおりのことを自分でやってしまうくるみちゃんかわいいなあ。涙を落としながら必死の訴えに自転車を止めて駆け寄る風早くん、この一連カットの繋ぎもさぶいぼが出る勢いの映像美でした。さすが。
くるみちゃんの告白をしっかり受け止めながら、しかしブレずにきっちり断る風早くんは漢だなあ。その後に吹っ切れた様子を見せるくるみちゃんも良かった。「梅」と呼ばれて頬を染めると素に戻ってサバサバした表情へ、そして振り返って「風早、女見る目無いもんね!」と強がりながら目に涙を浮かべる去り際もいい感じ。この一連シーンは原作を超えたんじゃ?

さて明けて翌日のくるみちゃんはキャラが一転、サングラスがピカッと光っての登場シーンは何事かと(笑。行き会ったピンはサングラスの理由を誤解してましたが…100%誤解ではないのがミソ、泣き腫らした目を隠していたのですね。「告白でもされた日にゃ、その日一日はそいつのことで頭いっぱいよ!」とピンの言葉に風早くんを思い浮かべるくるみちゃんはどこまで一途なのか。かわいいなあもう。
終わってしまったと思われたくるみちゃんとの関係。「ともだちにはなれないんだよね?」と問いかける爽子に対しくるみちゃんが返した言葉は「ライバルでしょ」。友達とは違った新しい関係にドキドキしちゃう爽子がこれまたかわいいです。豹変したくるみちゃんにビビりながらも一緒に歩く女子もいい味でした。この子たちは前回クラスの女子がくるみちゃんの陰口を言っている側でそれを否定していた子、素を出した途端に離れてしまった連中と違ってくるみちゃんの良い所をきちんとわかっているのでしょう。
体育祭は結局6位で終了し、魂の抜けたピンを放ってクラスは打ち上げの話に盛り上がっています。今の高校生はこんな事で打ち上げなんてやるのか。
カラオケボックスで盛り上がるみなさんから離れて一休みの爽子は階段で熟睡中。てな所へ現れた風早くんは…あああああもう見ていて脳幹が痒い痒い痒い! ニマニマが止まらねえ! もう見てらんない!(笑。いつの間にか面と向かって呼べなくなった名を寝顔の爽子にささやきかけ、そんな風早くんのドキドキを知ってか知らずか寝言で返答の爽子は極上の表情で眠り続ける。今回の制作陣のフルパワーが凝縮されたようなこの階段シーンにはただただ脱帽です。というわけで今後も1回くらいはあるだろう中村・西位ペアの回は要注目ですよ。
などと言いながら…私にとっての「君に届け」は今回がいい節目なのでレビューはおそらく今回で終了。少女まんがに縁遠いおっさんのレビューにこれまでお付き合いくださったみなさま、ありがとうございました。
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