2010-09-15(Wed)
けいおん!! #24 卒業式!
ついに本編最終回です。

卒業おめでとう!

春先の早朝の凛とした空気の中でみんなを待つ紬、彼女たちの巣立ちにゴーサインの青信号が印象的なファーストショットです。待ち合わせに現れない唯を心配してめるめるすると「鮭に痛てて。」と意味不明な返答…よほど慌てているのだなあ(笑。無事に合流したみなさんは急いで学校へ、卒業式当日だってのに全員がお道具持参ってのは「式の後のこと」をきちんと考えているのだなあ。もうこのカットだけで梓への気遣いが見えて泣ける。
今回の卒業式に於いて何が気になるって梓の動向です。もはやメイン4名よりも梓の一挙手一投足が気になる気になる。卒業生へ付ける花を手にボーッとしてしまう梓はまだまだ「卒業」に対する現実感が無いみたい? 受け入れ難い現実に直面して精神バランスを取るためにあえて感情を殺しているようにも見えます。てな所へドタバタと先輩たちが階段を駆け上り…無意識のうちに先輩たちを追ってゴッツンコの描写も切ない。というか梓が持った赤い花が流血に見えて一瞬ドッキリ。
間もなく本番だってのにタイツの穴に今さら気付く唯はさすが。それを見越して予備のタイツを和に預けとく憂ちゃんはもっとさすが(笑。愛するお姉ちゃんのためならエスパーにもなります! 最後の最後までドタバタ続きの軽音部に半ば呆れながら、それも今日でお終いと思えば寂しい。廊下で見送るさわちゃんの表情はそんな雰囲気ありありです。

タイムテーブルは着々と進んで卒業生の胸に花が付けられていよいよ卒業式へ。揃って花を付けた先輩たちを遠目に見つけた梓のカットはこれもまた「非現実」に囚われているような演出が印象的でした。まさに白日夢を見ているような梓の表情とトーン、しかし一陣の風が吹き、前髪に隠れたバンソーコが現れるとそれが「現実」であることを思い知らされる。さすが最終回は演出に気合が入ってますなあ。
「講堂がいつもと違う!」
卒業式仕様に飾られた講堂を見て、改めて「自分たちは卒業していかなければならない」ことを強く認識させられる。唯たちにとっても「卒業」などまだ非現実な出来事だったのかもしれない、しかし目の前の風景が容赦無く現実を突き付けてきます。この「他人事」のような感覚はわかるなあ。言葉は悪いけど気持ち悪いほど卒業式前の心理を再現してますね。
さわちゃんへの色紙を腹に隠して卒業式へ臨む唯。そのあまりな挙動不審に職員席のさわちゃんは唯が気になって仕方がない。さわちゃんにとっても晴れの日だと言うに…ああもう最後まで手が掛かる子だ! 伝言ゲームで内容改変はお約束、「さわちゃんがしっぱい」と聞いた唯が心配してさらに挙動不審になってる絵面は笑えます。そんなドキドキが展開される中で粛々と卒業式が進む様子もいい。

「唯も卒業ね」
「おかげさまで」
卒業式も無事に終わって最後の教室シーン。卒業を迎えて少々寂しそうな姫子をナメての唯&和の短い会話。幼稚園以来ずっと一緒に過ごしてきた唯と和は今回の卒業をもってついに別の生活をすることになります。すなわちこれは「和からの卒業」をも意味し、長い付き合いで手を焼いてきた和にとっても「唯からの卒業」。このシーンの絶妙な間は二人の関係をしみじみと感じさせました。
記念の色紙を受け取ったさわちゃん。ここ一番の泣かせシーンですが生徒の前では涙を見せず笑顔で送り出します。大人だなあ。しかし生徒が帰った空っぽの教室に書かれた「贈る言葉」を見てついに落涙…こりゃ反則だよ。「消せないじゃない…」のセリフも良かった。無事に全員送り出したさわちゃんもおめでとう。
「お祝いだよ!」
いつもちょっと先を行ってしまうお姉ちゃん。一緒の制服をもう着られないけど、寂しいけど卒業は「お祝い」なのです。放心していた梓は憂ちゃんのそんな言葉を聞いてようやく吹っ切れたようで、先輩たちの卒業を「お祝い」すべく動き始めます。

部室での梓は軽音部の先行きを心配する先輩たちにがんばるがんばる。心配させまいとあえて強気でまくし立てる梓、その様子は寂しさを必死に堪えているようでナントモ切ない。お礼の手紙を手渡すシーンも涙が落ちないよう無理に明るく振る舞っている様子が窺えます。関係ないけど卒業式で貰った紅白饅頭がさっそくテーブルに並んでいて笑った。
「卒業しないでください」
そんな梓でしたが先輩たちの卒業証書入れを見てついに崩落、今まで我慢していた思いがついに爆発した瞬間です。本当に先輩たちはいなくなってしまうんだ、そんなのイヤだ、先輩たちともっと一緒にいたい。溢れる涙は梓の思いの大きさを示すように止まることなく流れ出します。ここは無理な泣かせ演出ではないのが返って効果的、梓の自然な思いが伝わってくる好演出です。
床にへたり込んで大泣きの梓を優しく受け止める唯。涙を拭うとおでこのバンソーコが剥がれ…先輩たちを無意識で追って受けたキズを今度は先輩自らが手当てしてくれた。そして唯から梓へ写真のプレゼント。一年生の時に撮った写真に梓の切り抜きを付け足して五人一緒の軽音部、じつにいい話ですが律のデコがすべてを笑いに変えてしまうような(笑。もっとマシな写真を…と思ったけれどこれこそが軽音部なのでしょうね。

残る梓へ贈る歌。珍しく全員ボーカルなのはもちろんメンバー全員から梓へのメッセージだから。この一連にて誰一人として涙を見せず努めて明るく巣立つ先輩たち、たった一人残される梓に対する気遣いを感じますね。梓はメンバー各々とアイコンタクトしながらメッセージを受け止め、しかし次第に目に涙が溜まっていく様子は見ていてじわじわ来ます。そんな彼女たちを気遣って部室の前で聴いているさわちゃんも良し。子供たちの成長を喜び、しかし巣立ってしまう寂しさを感じさせるワンカットでした。
「あんまり上手くないですね!」
曲が終わって梓の感想は忘れようにも忘れられない第1期1話にて「翼をください」を聴いた唯が発したセリフと同じもの。思えば私はこのセリフがきっかけでそれまでほとんど興味が無かったこの作品にハマったのでした。技術は稚拙でも心に響く演奏、聴いていて心が温かくなる曲。音楽の善し悪しとは結局そういうところへ行き着くのでしょうね。先輩たちの温かさが詰まったこの曲がどれほど梓を力づけたか、泣いていた梓がもう笑った、という事実が全てを物語っています。
どんだけ涙腺堤防が破壊されるかと構えていた卒業式回でしたが無理な泣かせ演出も無く、淡々とした描写で意外とあっさり見せてきましたね。メインの卒業生4名よりも送り出す梓・さわちゃんの描写に主眼を置き、去って行く寂しさよりも巣立ちを祝う作りは湿っぽさも無く見ていて爽やかでした。じつにけいおんらしい、いい最終回だったと思います。
というわけで長きに渡って書いてきたけいおんレビューもこれにて卒業です。お疲れさまでした…と思ったら番外編がまだ2話あるのですね。予告を見ると卒業後日談? 純ちゃんも活躍しそうで楽しい番外編になりそう。

なぜ薫が?(笑
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卒業おめでとう!

春先の早朝の凛とした空気の中でみんなを待つ紬、彼女たちの巣立ちにゴーサインの青信号が印象的なファーストショットです。待ち合わせに現れない唯を心配してめるめるすると「鮭に痛てて。」と意味不明な返答…よほど慌てているのだなあ(笑。無事に合流したみなさんは急いで学校へ、卒業式当日だってのに全員がお道具持参ってのは「式の後のこと」をきちんと考えているのだなあ。もうこのカットだけで梓への気遣いが見えて泣ける。
今回の卒業式に於いて何が気になるって梓の動向です。もはやメイン4名よりも梓の一挙手一投足が気になる気になる。卒業生へ付ける花を手にボーッとしてしまう梓はまだまだ「卒業」に対する現実感が無いみたい? 受け入れ難い現実に直面して精神バランスを取るためにあえて感情を殺しているようにも見えます。てな所へドタバタと先輩たちが階段を駆け上り…無意識のうちに先輩たちを追ってゴッツンコの描写も切ない。というか梓が持った赤い花が流血に見えて一瞬ドッキリ。
間もなく本番だってのにタイツの穴に今さら気付く唯はさすが。それを見越して予備のタイツを和に預けとく憂ちゃんはもっとさすが(笑。愛するお姉ちゃんのためならエスパーにもなります! 最後の最後までドタバタ続きの軽音部に半ば呆れながら、それも今日でお終いと思えば寂しい。廊下で見送るさわちゃんの表情はそんな雰囲気ありありです。

タイムテーブルは着々と進んで卒業生の胸に花が付けられていよいよ卒業式へ。揃って花を付けた先輩たちを遠目に見つけた梓のカットはこれもまた「非現実」に囚われているような演出が印象的でした。まさに白日夢を見ているような梓の表情とトーン、しかし一陣の風が吹き、前髪に隠れたバンソーコが現れるとそれが「現実」であることを思い知らされる。さすが最終回は演出に気合が入ってますなあ。
「講堂がいつもと違う!」
卒業式仕様に飾られた講堂を見て、改めて「自分たちは卒業していかなければならない」ことを強く認識させられる。唯たちにとっても「卒業」などまだ非現実な出来事だったのかもしれない、しかし目の前の風景が容赦無く現実を突き付けてきます。この「他人事」のような感覚はわかるなあ。言葉は悪いけど気持ち悪いほど卒業式前の心理を再現してますね。
さわちゃんへの色紙を腹に隠して卒業式へ臨む唯。そのあまりな挙動不審に職員席のさわちゃんは唯が気になって仕方がない。さわちゃんにとっても晴れの日だと言うに…ああもう最後まで手が掛かる子だ! 伝言ゲームで内容改変はお約束、「さわちゃんがしっぱい」と聞いた唯が心配してさらに挙動不審になってる絵面は笑えます。そんなドキドキが展開される中で粛々と卒業式が進む様子もいい。

「唯も卒業ね」
「おかげさまで」
卒業式も無事に終わって最後の教室シーン。卒業を迎えて少々寂しそうな姫子をナメての唯&和の短い会話。幼稚園以来ずっと一緒に過ごしてきた唯と和は今回の卒業をもってついに別の生活をすることになります。すなわちこれは「和からの卒業」をも意味し、長い付き合いで手を焼いてきた和にとっても「唯からの卒業」。このシーンの絶妙な間は二人の関係をしみじみと感じさせました。
記念の色紙を受け取ったさわちゃん。ここ一番の泣かせシーンですが生徒の前では涙を見せず笑顔で送り出します。大人だなあ。しかし生徒が帰った空っぽの教室に書かれた「贈る言葉」を見てついに落涙…こりゃ反則だよ。「消せないじゃない…」のセリフも良かった。無事に全員送り出したさわちゃんもおめでとう。
「お祝いだよ!」
いつもちょっと先を行ってしまうお姉ちゃん。一緒の制服をもう着られないけど、寂しいけど卒業は「お祝い」なのです。放心していた梓は憂ちゃんのそんな言葉を聞いてようやく吹っ切れたようで、先輩たちの卒業を「お祝い」すべく動き始めます。

部室での梓は軽音部の先行きを心配する先輩たちにがんばるがんばる。心配させまいとあえて強気でまくし立てる梓、その様子は寂しさを必死に堪えているようでナントモ切ない。お礼の手紙を手渡すシーンも涙が落ちないよう無理に明るく振る舞っている様子が窺えます。関係ないけど卒業式で貰った紅白饅頭がさっそくテーブルに並んでいて笑った。
「卒業しないでください」
そんな梓でしたが先輩たちの卒業証書入れを見てついに崩落、今まで我慢していた思いがついに爆発した瞬間です。本当に先輩たちはいなくなってしまうんだ、そんなのイヤだ、先輩たちともっと一緒にいたい。溢れる涙は梓の思いの大きさを示すように止まることなく流れ出します。ここは無理な泣かせ演出ではないのが返って効果的、梓の自然な思いが伝わってくる好演出です。
床にへたり込んで大泣きの梓を優しく受け止める唯。涙を拭うとおでこのバンソーコが剥がれ…先輩たちを無意識で追って受けたキズを今度は先輩自らが手当てしてくれた。そして唯から梓へ写真のプレゼント。一年生の時に撮った写真に梓の切り抜きを付け足して五人一緒の軽音部、じつにいい話ですが律のデコがすべてを笑いに変えてしまうような(笑。もっとマシな写真を…と思ったけれどこれこそが軽音部なのでしょうね。

残る梓へ贈る歌。珍しく全員ボーカルなのはもちろんメンバー全員から梓へのメッセージだから。この一連にて誰一人として涙を見せず努めて明るく巣立つ先輩たち、たった一人残される梓に対する気遣いを感じますね。梓はメンバー各々とアイコンタクトしながらメッセージを受け止め、しかし次第に目に涙が溜まっていく様子は見ていてじわじわ来ます。そんな彼女たちを気遣って部室の前で聴いているさわちゃんも良し。子供たちの成長を喜び、しかし巣立ってしまう寂しさを感じさせるワンカットでした。
「あんまり上手くないですね!」
曲が終わって梓の感想は忘れようにも忘れられない第1期1話にて「翼をください」を聴いた唯が発したセリフと同じもの。思えば私はこのセリフがきっかけでそれまでほとんど興味が無かったこの作品にハマったのでした。技術は稚拙でも心に響く演奏、聴いていて心が温かくなる曲。音楽の善し悪しとは結局そういうところへ行き着くのでしょうね。先輩たちの温かさが詰まったこの曲がどれほど梓を力づけたか、泣いていた梓がもう笑った、という事実が全てを物語っています。
どんだけ涙腺堤防が破壊されるかと構えていた卒業式回でしたが無理な泣かせ演出も無く、淡々とした描写で意外とあっさり見せてきましたね。メインの卒業生4名よりも送り出す梓・さわちゃんの描写に主眼を置き、去って行く寂しさよりも巣立ちを祝う作りは湿っぽさも無く見ていて爽やかでした。じつにけいおんらしい、いい最終回だったと思います。
というわけで長きに渡って書いてきたけいおんレビューもこれにて卒業です。お疲れさまでした…と思ったら番外編がまだ2話あるのですね。予告を見ると卒業後日談? 純ちゃんも活躍しそうで楽しい番外編になりそう。

なぜ薫が?(笑
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