在宅アニメ評論家

前回ラストから引き続きブロッサムの試練。日食空を背景に迫る影つぼみは容赦無く襲いかかり、ブロッサムは押されっぱなし。そういや試練の相手を「影」と表記してきましたが正確には「鏡に映った自分自身」、すなわちミラージュの鏡は「過去の自身を映す鏡」という意味もあるようです。自身で封印してきた弱い自分、ちっぽけな自分を受け入れ乗り越えることができるか。

引っ込み思案で恥ずかしがり屋な過去の自分。そんな性格を変えたくていろいろがんばってきたつぼみですが心の底では「今のままでもいい」と考えていたのかもしれません。優しい両親やおばあちゃん、そしてえりかたち友達とのそれなりに楽しい日常。困ったことがあれば誰かが助けてくれるし、引っ込み思案な自分をみんな受け入れてくれる。ならがんばって変わらなくてもいいよね…そんな深層意識の現れがこの影つぼみなのでしょう。ブロッサムは「変わりたい！」と叫ぶけれどその深層を見透かしたように影つぼみは誘惑を続け、ついには影つぼみの言葉に落涙してしまう。

それにしても今回のブロッサムは異常に色っぽかったですね。影つぼみに全力全壊で畳み掛けられ心が折れそうになる表情など危険な色香を振りまきすぎ。またカットチェンジでパッと入る手足の動き、対戦の緊張感を十二分に感じさせるアングルから静動のタイミング、もちろんカットごとの表情変化などなどパワーアップ回の山場に相応しい映像でした。さすが長峯氏による演出・コンテ、稲上氏作監というだけでなく作監クラスがごろごろ参加している超豪華な原画陣、そしてシナリオが米村氏と本気すぎる布陣は凄いアウトプットを見せてくれました。



ピンクボタンだけ消えているミラージュ。戻らないブロッサムを心配して言いたい放題(笑)のマリンはホント心配しているんだなあ。そんなマリンを他所にムーンライトさんは常に冷静、この温度差はブロッサムに対する立ち位置の違いを感じさせますね。自分の事のように心配MAXのマリンはブロッサムが戻るまで気もそぞろ、この後のアクションでも心配のあまり戦いに集中できていない感じでした。

薫子さんのペンダントは何か曰くがあるのでしょうか。直後に映った惑星城、そして地球へ一直線のデザートデビル。キュアフラワーとの因縁を思うデューンは…意外と若い？というか見た目は少年です。「50年前の戦い」を経験してこの外見ということは元々不老の体なのか、それともキュアフラワーとの戦い(ミラージュの効果？)でこうなったのか。



あっさり地球へ落下したデザートデビル。これを止めるためにパワーアップしたんじゃなかったっけ？（笑。それはともかく爆発の光の中からおぞましい姿を現し、ブロッサムが戻らぬままプリキュアたちは戦いを挑みます。コフレがマントに変身して空戦マリンが出撃、続くムーンライトさんは妖精さん無しでマント使えるのか！　あなた本当に孤高の人ですね。

特攻隊長のマリンが放ったマリンインパクト。手の周りに集まった光をグッと握り、回り込みで振りかぶるとインパクト発動！　この一連カットは異常にかっこよろしかったです。インパクト発動後に離脱したマリンの額を狙うデザートデビルのレーザー光…焦げてるって！



引き続きブロッサムの戦い。誘惑を続ける影つぼみは哀れみの表情からキッと一転して攻撃、そして優しい表情で語りかける揺さぶり。受けるブロッサムの表情描写もいい感じでした。しかし影つぼみの言葉に押されながらも「強くて優しい仲間のおかげで少しずつ変われた」と微笑みかけ、「変わる」ことを宣言します。

「もうシャイで引っ込み思案な私は要らないの？」

他のみなさん同様の最後のハードル。「変わる」というのは過去の自分を捨て去ることなのか、それとも過去を受け入れた上で変わるのか。ここでブロッサムの試練シーンが一旦終わる演出は後の盛り上がりに大いに貢献していますが…小さいお友達がこの流れを理解できたか不明。



イージスごとデザートデビルに吹っ飛ばされるみなさん。壁に叩き付けられるサンシャイン＆マリンの一方で壁前に止まるムーンライトさんさすが。試練を越えてパワーアップしたはずなのにデザートデビルに敵わない、らしくない弱気のマリンに対し「弱音を吐くのはやめなさい」と一喝のムーンライトさんさすが。あなた一人だけいろんなレベルが二回りくらい違いますよ。これが中学生と高校生の差か!?

ムーンライトさんの気迫に引っ張られたマリンはデコの焦げ跡をこすり落として一発奮起、三つの光がデザートデビルに立ち向かうその刹那！

「シプレ、私たちも行きますよ！」

試練クリアシーンを飛ばしてブロッサムが降臨、この突然の登場には全身さぶいぼでした。思わず声が出たよ（笑



「遅くなりました！」
「遅いわよ」
「いいってことよ！」

背後からピンクフォルテウエーブをぶっ放すと振り返った三人。満面笑顔で「遅くなりました！」のブロッサムに対し「遅いわよ」と相変わらず鬼教官のムーンライトさんでしたが後姿で見えない表情はきっとニヤマリなのだろうね。そして抱き付くマリンの表情ったらかわいすぎてクラクラしそう。どんだけブロッサムが好きなんだ（笑

四人揃ってデザートデビルをフルボッコ開始。ホーミングミサイルから逃げるムーンライトさんは攻守抜かりがありませんね。かっこいい！　三連フォルテウエーブの後にサッと敵前に現れるサンシャインの動きもかっこよかった。この辺はもはやニチアサ少女枠アニメのアクションシーンとは思えず。

サンシャイン＆ムーンライトさんが二人でフォルテッシモ。サンシャインもフォルテッシモできたのか!?　

「いいなあ、ムーンライトとフォルテッシモ」
「私たちも」
「フォルテッシモする？」
「しましょう！」

何だかよくわからないノリのフォルテッシモですが二人のやりとりがかわいすぎるので問題ありません。この表情は破壊力ありすぎでしょう。



そして今回のハイライト、ミラージュによるプリキュアの新しい力がいよいよお披露目です。鏡に向かって祈りを捧げ、ミラージュのパーツが光と共に各プリキュアへ飛ぶとアクセへ変化、そしてシルエットでのキメポーズから「スーパーシルエット」へ変身です。

「プリキュア ハートキャッチオーケストラ！」

指揮者三人にタンバリン一人というオーケストラと呼ぶには少々変わった編成ですがそれはそれ、発動と共に現れた巨大な女神(？)は何者なのか。おそらくミラージュに宿るプリキュアの神？　ミラージュの試練を乗り越えた歴代プリキュアの統合思念体のようなものかも？　四人それぞれ手を突き出して見得を切ると巨大女神が巨大拳で正拳地球割りからくるくるしゅわしゅわ～。いろんな意味で凄いバンクです。

一仕事終えたつぼみはパレスの庭にて試練の回想。もちろん結果はわかっているのだけれど改めて見ると感慨深いですね。そしてみんなの所へ走るつぼみを見送るブロッサム石像の穏やかな表情も良かった。試練を乗り越え無事パワーアップを果たした今回を綺麗に締めていたと思います。

これにて第32話から引っ張ったミラージュがようやく開花、後は最終決戦へ向けて本筋回収一直線かと思いきや次回は何やらギャグ回みたいな？　スナッキーがマリンタクト振って…いったい何が何だか（笑



エンドカードはミラージュ仕様に変更されました。

　　　　

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