2011-02-19(Sat)
魔法少女まどか☆マギカ #07 本当の気持ちと向き合えますか?
杏子の過去が明らかに。

そしてさやかへ次なる試練が。

前回明らかになったソウルジェムシステム、「肉体から抜き出した魂を実体化して守る」という本作魔法少女システムのメリットを悪びれもせず淡々と語るキュウべえは絵に描いたような黒いセールスマンでした。訊かれなかったから教えなかった、要するにキュウべえ的には魂と肉体の分離など「その程度のこと」なのでしょう。
後にほむらも語るけれど…ソウルジェムのメリットを体に叩き込むシーンを含め、またこれまでの経緯からしてキュウべえの価値観は人間のそれと全く違う。無表情で粛々と勧誘を続け、悪魔のようなタイミングで奇跡を差し出し、仲間であるはずの魔法少女が死んでも眉一つ動かさない。これをして「黒い」「怪しい」と言われ続けてきたけれどもはやそういうレベルの存在ではない、人間の感覚を基準に考えても仕方がない存在。
もう元の体には戻れない。全て後の祭りと知ったさやかは深く落胆しますが…ならばこのシステムを事前に知っていたら「望み」を思い留まったのか? 奇跡の代償は決して小さい物ではなく、「たった一つの望みのために他の全てを捨てる覚悟」を持ってしてキュウべえと契約したのではないのか?…などとどんな些細な契約書でもハンコを押す時は思わず深呼吸しちまうおっさんとしては「ご契約は慎重に」としか言いようがない顛末なのだけれど、年端もいかぬ女子中学生が感情のままに契約してしまった一件を同じ目で見るのは気の毒ではあります。みなさまくれぐれもご契約は慎重に。

明けて翌日の教室にさやかの姿はありませんでした。本作はガラス張りの教室を含めていろいろハイテク満載の描写が面白いのだけれど、空席の様子を見ると生徒の机椅子もなかなか凝った作りみたい。おそらく床のスリットからセットが出てくるのでしょうね。これは実現したら便利かもしれない(笑
「さやかちゃんは、ただ好きな人のケガを治したかっただけなのに…」
屋上にてまどか&ほむらの会話。願いの代償に「あんな体」にされてしまったさやかを嘆くまどか、しかしほむらはあくまで冷静に事実を述べるのみです。上条くんのケガを治す代償にさやかは残りの人生を差し出したも同然、まどかはこれを「釣り合わない」と叫ぶけれどそれを決めるのはまどかじゃないんだよねえ。事後に知らされたさやかとしては確かにショックを受けましたが、ならば「知っていたら契約しなかったのか?」と先の疑問に繋がってしまう。難しいね。
「冷たい」と言われて「もう人間じゃないから」と呟くほむら。魔法少女であることを象徴するかのようにアップで映る中指爪の紋章と指輪、そして表情を隠したアングルもほむらの微妙な心境を見せていました。上手いなあ。
シーン変わってさやか宅。フテ寝のさやかを窓外から叩き起こしたのは杏子でした。生きるか死ぬかの戦いを交わした間柄からいきなりフレンドリーな様子は何これ何? リンゴを囓る左手指に前回は無かった紋章が見えますね。単なる楕円に見えるけれど何かモチーフがあるのだろうか?
さやかを連れ出した杏子はリンゴ袋を抱えて歩きながらお話。今まで見たことが無い穏やかな笑顔を見せ…「自業自得にしちゃえばいい」のくだりは自分に言い聞かせているようにも聞こえ、ほどなく到着した古い教会にてその真相が語られます。

その古い教会は杏子の父親のものでした。さやか宅から徒歩圏内にあるとはどんだけご近所さんなんだ!? 杏子は他の街から流れてきたんじゃなかったのか? と野暮なツッコミはともかく…荒れ果ててほとんど廃屋のような教会に立つ二人の絵面はガランとした風景に夕陽色が効いて物寂しさを感じさせますね。向き直った杏子がさやかにリンゴを投げ、しかし受け取ったさやかはそのまま投げ捨ててしまう。こんなやり取りに両者の温度差が窺えて面白い演出です。
リンゴを投げ捨てたことに激昂した杏子はダッシュで駆け寄るとおもむろにネックハンギングから「食い物を粗末にするんじゃねえ…殺すぞ」。杏子は出番のほとんどで常に何か食べており、食べ物に執着する理由が何かあるのだろう?と思っていたけれど、この後に語られる「魔法少女となった理由」によって全て明らかになりました。そしてまた前回感じた「杏子も他人のために願ったのではないか?」という予感も的中。イヌカレー時空にて表現される過去回想映像は杏子の辛い記憶を十二分に表現していましたね。こういう使い方もあるのだなあ。
「みんなが親父の話を真面目に聞いてくれますように」
幼い杏子の願いは見ていて胃が痛むほど切ない。

さやかと同様「他人への願い」の代償に魔法少女になった杏子。願いどおりの奇跡が起きてしばらくは上手くいっていたけれど…その願いは結局一家を不幸にしてしまった。いくら親子とはいえ「他人の本当の願い」などわかるはずもなく、他人のために我が身を捨てても良いことなど何も無い。だから自分は他人のために魔法を使わなくなった、と。辛い、辛すぎるよ。当時の幼さからして杏子が魔法少女になったのは結構前みたい? 建物の風化具合からして五年十年では無さそうだけれど…魔法少女になると老化が遅れるのだろうか。成長速度が遅れるのか、リアルタイムで成長した後一定年齢で止まるのか、ともあれ幼い杏子がそれなりのバディに育っているのが興味深い。魂と体を切り離しても体の成長は進むのですね。
「私は人のために祈ったことを後悔してない」
杏子の生い立ちを聞いたさやかは誤解を謝罪するも「生き方」を変える気は無いと宣言、さらに「リンゴ袋の出所」を問い詰める辺りさやか持ち前の正義感を感じます。もちろん杏子が言うことも彼女なりの「正義」であり、どちらが正しい/間違いと言い切れません。いやはや正義とは人の数だけあるのだなあとつくづく思います。
さやかの去り際にリンゴをギュッと握る杏子。彼女なりに気遣って過去の話までしたのにその思いが通じなかった悔しさ・イラ付き…翻って彼女の優しさが滲み出ていました。杏子がいい子で良かったけれど、この件すらイヤな予感に通じてしまう作品の空気が辛いね。

さてさやかの受難はまだまだ続きます。退院した上条くんがハイテク松葉杖にて登校の風景…同じ学校だったのか! それどころか同じクラスだったのか! 教室にて上条くんに話しかけられないさやかを見てるとこっちまで切なさMAXです。ううう。てな様子を意味深な視線で見ている仁美、放課後にいつもの店でさやかとタイマンであります! 仁美&上条くんの展開はある程度予想していたけれどこう来ましたか。
ここで仁美は一日猶与の告白宣言をしました。おそらくさやかの想いがわかっていて、しかし行動を起こさないさやかの背中を押す算段なのでしょうけれど、さやかの心境を思うとこれまたどちらも辛すぎる。そんな予想を外してむしろ「ガチンコ勝負」のほうが救いがあるかもしれない。どちらにしろ「さやかが知らない所で仁美と上条くんが通じていた」という辛すぎケースは逃れたか…それを越える辛さが待っているかもだけれど。

「正義の味方失格だよ…マミさんに顔向けできない…」
仁美の宣言に心砕かれながらも魔女退治を休まないさやか、そんなさやかを出迎えるまどか。魔女退治に付いて行っても何の役にも立たない子ですが、こういうシーンを見るとさやかの心を支えるに十分な働きをしていますね。などと努めて冷静にテキストを打っていますがシーンを思い出すだけで涙腺が崩壊してモニタの字がよく見えません。ううう。辛いよ、辛すぎるよ。
魔女退治を始めた様子を上空から窺う魔法少女二人。ここの杏子は以前とすっかり別人のようで、苦戦するさやかを心配している様子も。
さやかvs魔女のアクションはモノトーンを基調にした演出がさやかの心境を映し出していました。彩りの無い世界で一人戦うさやか、助っ人に来た杏子を振りほどき、痛覚を消して狂気と化す戦闘シーンはいくら何でも見ていて辛すぎる。体の痛みは魔法で消せても心の痛みは消せない、ならばそんな感情を打ち消すように血涙を流しながら叫び、魔女を斬るさやか…演じるキタエリがいい仕事しすぎてこっちも半狂乱になりそうです。でもこれで終わりじゃないんだろうなあ。やめて、もうやめて。
この戦闘シーンにて気になったのは魔女の攻撃の根本が「女の子」の影に見えること。やはり魔女=魔法少女の成れの果てなのか。さやかにしてもあんな無茶な戦い方をして長らえるとも思えず、すると行き着く先は…考えると胃が痛い。ほんと痛い。作品自体は興味深いのに視聴にあたっての体力・精神力が明らかに私に足りない。この作品のレビューは何かの修行みたいです(笑。見ていてこれほどキツいのはtrue tears以来かも。

エンドカード(予告バック)は天杉貴志氏。スピンオフ作品「魔法少女かずみマギカ~ザ・イノセントマリス~」の作画をしている方です。杏子のヘソが!
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そしてさやかへ次なる試練が。

前回明らかになったソウルジェムシステム、「肉体から抜き出した魂を実体化して守る」という本作魔法少女システムのメリットを悪びれもせず淡々と語るキュウべえは絵に描いたような黒いセールスマンでした。訊かれなかったから教えなかった、要するにキュウべえ的には魂と肉体の分離など「その程度のこと」なのでしょう。
後にほむらも語るけれど…ソウルジェムのメリットを体に叩き込むシーンを含め、またこれまでの経緯からしてキュウべえの価値観は人間のそれと全く違う。無表情で粛々と勧誘を続け、悪魔のようなタイミングで奇跡を差し出し、仲間であるはずの魔法少女が死んでも眉一つ動かさない。これをして「黒い」「怪しい」と言われ続けてきたけれどもはやそういうレベルの存在ではない、人間の感覚を基準に考えても仕方がない存在。
もう元の体には戻れない。全て後の祭りと知ったさやかは深く落胆しますが…ならばこのシステムを事前に知っていたら「望み」を思い留まったのか? 奇跡の代償は決して小さい物ではなく、「たった一つの望みのために他の全てを捨てる覚悟」を持ってしてキュウべえと契約したのではないのか?…などとどんな些細な契約書でもハンコを押す時は思わず深呼吸しちまうおっさんとしては「ご契約は慎重に」としか言いようがない顛末なのだけれど、年端もいかぬ女子中学生が感情のままに契約してしまった一件を同じ目で見るのは気の毒ではあります。みなさまくれぐれもご契約は慎重に。

明けて翌日の教室にさやかの姿はありませんでした。本作はガラス張りの教室を含めていろいろハイテク満載の描写が面白いのだけれど、空席の様子を見ると生徒の机椅子もなかなか凝った作りみたい。おそらく床のスリットからセットが出てくるのでしょうね。これは実現したら便利かもしれない(笑
「さやかちゃんは、ただ好きな人のケガを治したかっただけなのに…」
屋上にてまどか&ほむらの会話。願いの代償に「あんな体」にされてしまったさやかを嘆くまどか、しかしほむらはあくまで冷静に事実を述べるのみです。上条くんのケガを治す代償にさやかは残りの人生を差し出したも同然、まどかはこれを「釣り合わない」と叫ぶけれどそれを決めるのはまどかじゃないんだよねえ。事後に知らされたさやかとしては確かにショックを受けましたが、ならば「知っていたら契約しなかったのか?」と先の疑問に繋がってしまう。難しいね。
「冷たい」と言われて「もう人間じゃないから」と呟くほむら。魔法少女であることを象徴するかのようにアップで映る中指爪の紋章と指輪、そして表情を隠したアングルもほむらの微妙な心境を見せていました。上手いなあ。
シーン変わってさやか宅。フテ寝のさやかを窓外から叩き起こしたのは杏子でした。生きるか死ぬかの戦いを交わした間柄からいきなりフレンドリーな様子は何これ何? リンゴを囓る左手指に前回は無かった紋章が見えますね。単なる楕円に見えるけれど何かモチーフがあるのだろうか?
さやかを連れ出した杏子はリンゴ袋を抱えて歩きながらお話。今まで見たことが無い穏やかな笑顔を見せ…「自業自得にしちゃえばいい」のくだりは自分に言い聞かせているようにも聞こえ、ほどなく到着した古い教会にてその真相が語られます。

その古い教会は杏子の父親のものでした。さやか宅から徒歩圏内にあるとはどんだけご近所さんなんだ!? 杏子は他の街から流れてきたんじゃなかったのか? と野暮なツッコミはともかく…荒れ果ててほとんど廃屋のような教会に立つ二人の絵面はガランとした風景に夕陽色が効いて物寂しさを感じさせますね。向き直った杏子がさやかにリンゴを投げ、しかし受け取ったさやかはそのまま投げ捨ててしまう。こんなやり取りに両者の温度差が窺えて面白い演出です。
リンゴを投げ捨てたことに激昂した杏子はダッシュで駆け寄るとおもむろにネックハンギングから「食い物を粗末にするんじゃねえ…殺すぞ」。杏子は出番のほとんどで常に何か食べており、食べ物に執着する理由が何かあるのだろう?と思っていたけれど、この後に語られる「魔法少女となった理由」によって全て明らかになりました。そしてまた前回感じた「杏子も他人のために願ったのではないか?」という予感も的中。イヌカレー時空にて表現される過去回想映像は杏子の辛い記憶を十二分に表現していましたね。こういう使い方もあるのだなあ。
「みんなが親父の話を真面目に聞いてくれますように」
幼い杏子の願いは見ていて胃が痛むほど切ない。

さやかと同様「他人への願い」の代償に魔法少女になった杏子。願いどおりの奇跡が起きてしばらくは上手くいっていたけれど…その願いは結局一家を不幸にしてしまった。いくら親子とはいえ「他人の本当の願い」などわかるはずもなく、他人のために我が身を捨てても良いことなど何も無い。だから自分は他人のために魔法を使わなくなった、と。辛い、辛すぎるよ。当時の幼さからして杏子が魔法少女になったのは結構前みたい? 建物の風化具合からして五年十年では無さそうだけれど…魔法少女になると老化が遅れるのだろうか。成長速度が遅れるのか、リアルタイムで成長した後一定年齢で止まるのか、ともあれ幼い杏子がそれなりのバディに育っているのが興味深い。魂と体を切り離しても体の成長は進むのですね。
「私は人のために祈ったことを後悔してない」
杏子の生い立ちを聞いたさやかは誤解を謝罪するも「生き方」を変える気は無いと宣言、さらに「リンゴ袋の出所」を問い詰める辺りさやか持ち前の正義感を感じます。もちろん杏子が言うことも彼女なりの「正義」であり、どちらが正しい/間違いと言い切れません。いやはや正義とは人の数だけあるのだなあとつくづく思います。
さやかの去り際にリンゴをギュッと握る杏子。彼女なりに気遣って過去の話までしたのにその思いが通じなかった悔しさ・イラ付き…翻って彼女の優しさが滲み出ていました。杏子がいい子で良かったけれど、この件すらイヤな予感に通じてしまう作品の空気が辛いね。

さてさやかの受難はまだまだ続きます。退院した上条くんがハイテク松葉杖にて登校の風景…同じ学校だったのか! それどころか同じクラスだったのか! 教室にて上条くんに話しかけられないさやかを見てるとこっちまで切なさMAXです。ううう。てな様子を意味深な視線で見ている仁美、放課後にいつもの店でさやかとタイマンであります! 仁美&上条くんの展開はある程度予想していたけれどこう来ましたか。
ここで仁美は一日猶与の告白宣言をしました。おそらくさやかの想いがわかっていて、しかし行動を起こさないさやかの背中を押す算段なのでしょうけれど、さやかの心境を思うとこれまたどちらも辛すぎる。そんな予想を外してむしろ「ガチンコ勝負」のほうが救いがあるかもしれない。どちらにしろ「さやかが知らない所で仁美と上条くんが通じていた」という辛すぎケースは逃れたか…それを越える辛さが待っているかもだけれど。

「正義の味方失格だよ…マミさんに顔向けできない…」
仁美の宣言に心砕かれながらも魔女退治を休まないさやか、そんなさやかを出迎えるまどか。魔女退治に付いて行っても何の役にも立たない子ですが、こういうシーンを見るとさやかの心を支えるに十分な働きをしていますね。などと努めて冷静にテキストを打っていますがシーンを思い出すだけで涙腺が崩壊してモニタの字がよく見えません。ううう。辛いよ、辛すぎるよ。
魔女退治を始めた様子を上空から窺う魔法少女二人。ここの杏子は以前とすっかり別人のようで、苦戦するさやかを心配している様子も。
さやかvs魔女のアクションはモノトーンを基調にした演出がさやかの心境を映し出していました。彩りの無い世界で一人戦うさやか、助っ人に来た杏子を振りほどき、痛覚を消して狂気と化す戦闘シーンはいくら何でも見ていて辛すぎる。体の痛みは魔法で消せても心の痛みは消せない、ならばそんな感情を打ち消すように血涙を流しながら叫び、魔女を斬るさやか…演じるキタエリがいい仕事しすぎてこっちも半狂乱になりそうです。でもこれで終わりじゃないんだろうなあ。やめて、もうやめて。
この戦闘シーンにて気になったのは魔女の攻撃の根本が「女の子」の影に見えること。やはり魔女=魔法少女の成れの果てなのか。さやかにしてもあんな無茶な戦い方をして長らえるとも思えず、すると行き着く先は…考えると胃が痛い。ほんと痛い。作品自体は興味深いのに視聴にあたっての体力・精神力が明らかに私に足りない。この作品のレビューは何かの修行みたいです(笑。見ていてこれほどキツいのはtrue tears以来かも。

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