2011-02-26(Sat)
魔法少女まどか☆マギカ #08 あたしって、ほんとバカ
誰かの幸せを祈った分、他の誰かを呪わずにいられない。

絶望の淵に立たされたさやかの末路。

狂気に囚われながらの魔女退治はじきに終わり、落ちてきたグリフシードを杏子に投げ渡すと「これで貸し借り無し」と吐き捨てて立ち去るさやか。あれだけ無茶な戦い方でやっと手に入れた魔法少女の命綱をあっさり渡してある意味「潔さ」を感じますが…ほとんど意地になって「自分の正義」を貫いている様子、また変身を解くと足元がおぼつかないほど疲れ果てているのに強がっている口調などなど初っ端っから痛々しいです。さすがの杏子も言葉を失ってますが見ているこっちも同じ顔、開始3分でもう見てられない。
今回はキュウべえ提供無しでOP後そのままAパートへ。バスが終わった夜の停留所にて交わされた二人の会話シーンは絶妙なライティングとアングル取りが効きまくって見ていて胃に穴が空きそうな勢いでした。ううう。、荒れるさやかはまどかにほとんど八つ当たり、一方さやかの事が心配でならないけれど具体的には何もできないまどかの無力さも辛い。笑顔が絶えない仲良しさんだったのに…どうしてこんなことになっちゃったんだろうね。
「だったらあんたが戦ってよ」
あまりに悲しい今の境遇をして捨て鉢になってるさやかの気持ちもわかるけれどそれを言っちゃあオシマイです。そもそもの始まりは「自分の願い」なわけで、その結果についてまどかに当たるのはお門違いもいいところ。つまり完全に八つ当たりなのですが、そんなさやかに対してもまどかは涙を流し、二人の心象風景そのまんまの土砂降りの中を追いかけ、しかし冷たく拒絶されると立ち尽くしてしまう。さやかの言葉に「越えられない壁」を感じた瞬間でしょうか。
暴言を悔いながら涙を流して走り去るさやか。良いほうに解釈すれば「まどかを巻き込まないため」あえてキツい事を言ったとも取れますが…おそらくそこまで考えず感情をぶつけてしまった可能性が高そう。そして「魔法を使っていないのに濁っていくソウルジェム」がチラリ、ソウルジェムの「穢れ」の意味がよくわかるカットでした。

シーン変わってほむらの家。表札に「ほむら」とだけあるのは隠れた左側に名字が来るのか、それとも巷で噂の名字名前逆転法則のとおり本来は「ほむら」が名字だったりするのかもしれません。何だかんだで仲が良くなってる杏子とほむら、部屋の中に無数に吊された絵画は魔女の仕様書(?)に見えますね。そしてワルプルギスの夜について「統計」がどうのこうのとここでもまた「ループ説」を裏付けるようなセリフをぽろり。1回2回じゃ統計とも言わないだろうし、ほむらにとって今回のワルプルギスの夜は何回目なのでしょうね。
てなところへ唐突にキュウべえ登場。槍を突き立てる杏子にもまったく動じず、質問にもマトモに答えず、言いたいことだけ言ってサッサと帰っていく態度は相変わらず真っ黒だけれどもう慣れた(笑。キュウべえはさやかの先行きについてアレコレ、これまでさんざん予想してきた「魔法少女の成れの果て」が確信に変わった瞬間でした。やっぱりそうなのか。
翌日の教室にさやかの姿はありませんでした。さやかが置かれた状況を知らない仁美はさやかの欠席をどう捉えたのでしょうね。放課後の帰り道にて仁美は上条くんと並んで歩き…松葉杖の御曹司を歩いて帰らせる金持ちもそういまい…と野暮なツッコミはともかく、前日の宣言どおり仁美は上条くんにコクった? 夕暮れのベンチに並んで座ってにこやかに話す二人、いったい何を話しているのか想像力をかき立てますなあ。あえてここの会話セリフを流さない演出が憎い。もしこれが予想どおり「さやかとの橋渡し」だったらこれほど残酷な場面もあるまい。

そんなシーンを遠目で見ていたさやかはどよんどMAXからヤケッパチの使い魔狩りへ。あああ、剣を振る表情からしてさやかがどんどん黒くなってて辛すぎます。もう勘弁して…まだ序の口です。
てなところへほむら登場。濁りが溜まったソウルジェムをどうにかしないと「取り返しが付かない事」になるとわかっているほむらは浄化用のグリフシードを渡すけれどさやかは突っぱねてしまう。さらにさやかはほむらの「嘘」を見抜き…さすが我々視聴者一同が見抜けなかったマミの本心を理解していた子だけあって人を見る目があるのだろうか。
「私はあなたを助けたいわけじゃない。あなたが破滅していく姿をまどかに見せたくないだけ」
これもほとんど予想どおりのほむらの本心。つまり第6話にてさやかのソウルジェムを拾いに走ったのはさやかを助けるためではなく、さやかが死んで悲しむまどかを見たくなかったから。ここまでまどか最優先の理由ははたして? それこそがこのストーリーの肝なのでしょうね。
まどかのためならさやかを殺すことに躊躇しないほむら。魔法少女に変身するとさやかの首に光が一筋走り、いざ!というタイミングで駆け寄ってきた誰か…てっきりまどかかと思ったその足音の主は杏子でした。杏子がいい子になりすぎてこれがまた不安の種になる本作の空気がイヤすぎる。
ほむらを羽交い締めで制止し「とっ捕まったままだと妙な技も使えない」と言った刹那、ほむらは盾からスタングレネードを取り出して安全ピンを引っこ抜きドカン! 魔法少女がそんなリアル武器を使うとは。

Bパートはモノクロ映像の電車風景から。抱えのキャバ嬢を「道具」のように扱うホストたちの会話はまるで「魔女を倒せなくなった魔法少女」のことを言っているよう。他人のために尽くす虚しさ、報われない虚しさを痛いほど突き付けられ、「この世界って守る価値ある?」とゴーカイジャーのような質問をぶつけたさやかはついに臨界を越えてしまったか。黒いオーラが体を包み、黒く濁った瞳はまるでグリフシードそのものです。
さやかを探し回っていたまどかの所へまたしてもジャストすぎるタイミングで現れ、巧妙なセールストークでまどかを惑わすキュウべえは営業職の鑑ですね。もう驚かないよ。ここでもまた「まどかのポテンシャル」について饒舌に語っていたけれど…やはりその理由はまどかの純粋さと無欲さにあると思うなあ。あれほど酷い事を言われても自分を責めながらさやかを探し続け、さらに今までの経緯を見てきたのに「どうにかして助けてあげたい」と願うまどかはどんだけ純粋な子なのだろう。この純粋な魂から生成されるソウルジェムはいかに輝くことか。
「さやかちゃんのためなら…いいよ…あたし…魔法少女に…」
そんな流れで契約しちゃダメだまどか! と思った瞬間、蜂の巣になってたキュウべえ。ギリギリのタイミングでほむらが駆け付けて事なきを得ました。ふう。ドキドキさせるね。

「あなたを失えばそれに悲しむ人がいるって、どうしてそれに気付かないの?」
涙ながらに訴えるほむらのセリフ。まどかは自分を役立たずだと思い込んで、何の価値もない人間だと思い込んでいた。しかしまどかがさやかを失ったら悲しいように、まどかを失ったら悲しむ人がいるのです。ちょっと考えれば当然の事なのですが自分を「無価値」と思い込んでいるとなかなか見えないのかもしれませんね。これはリアル社会でもよくある風景で「どうせ私なんか」と引いてる態度は別角度から見たら果てしない傲慢だったりするのです。自分の事が嫌いなのに自分の事しか見えていない視野狭窄・傲慢、魔法少女契約のテイを使ってなかなか奥深いテーマを扱っているような。
この状態でも真相を話さないほむらはいったい何を知っているのか。このまま進むと何が起きるのか。おそらくほむらはまどかの思考に影響を与えることを恐れて話さずにいるのでしょう。先の対さやかの時も「このままだとあなたは魔女になってしまう」と言えばさやかも渋々ながらグリフシードを使っただろうけど、それを言ってしまったらさやかはいよいよ自身の存在意義を失い、すなわちまどかも不幸になってしまう。全てにおいてまどか最優先の理由が気になるところです。
蜂の巣になったキュウべえは次の個体が現れてあっさり代替わり。もはや黒いだ怪しいだ言うてる場合ではありません…って食うなよ! ここでキュウべえはほむらの能力を理解したようです。これも大方の予想どおり「時間操作」の魔術、さらにほむらに対し「この時間軸の人間じゃないね?」と、これにてループ説確定っぽい。
キュウべえの本名もここで明らかに。「インキュベーター」というのはいわゆる孵卵器のことで、なるほど文字通り「魔女の卵を孵すための装置」であり、魔法少女の生産から一貫サービスですか。すると次の疑問は「何のために魔女を?」ということに。どうしても発生する「人間の負の感情」を固め、魔法少女に退治させるサイクルは大局で見ると「精神の浄化」と取れないことも無いけれど、関わる少女たちは生贄になっちまうわけでなかなか辛いシステムです。

さて先の電車で黒化したさやかは無人の駅で一人佇んでいました。人間に戻った? てなところへ杏子が登場、相変わらずものを喰いながら気安く話しかけるとさやかのリアクションがいつもと違って驚き。この駅シーンの床が市松模様なのは第1話冒頭にてまどかが走り抜ける場所と何か関係があるのだろうか?
希望と絶望のバランスは差し引きゼロ。希望を振りまく魔法少女はその裏側で人を恨み妬む。やはりソウルジェムの「濁り」とは魔法少女自身の負の感情が元でした。思いつきの予想が当たったのは良いけれど、どうにも胸がモヤモヤ胃がチクチクする結末です。
「あたしって、ほんとバカ」
そう呟くさやかの瞳は最期の輝きを見せ、濁りきったソウルジェムへ涙滴が落ちるとそれがスイッチのように、さやかの「最後の悲しみ」によって完成したようにソウルジェム=グリフシードは孵化を始めました。これまたあらかたわかっていたとはいえこの映像はキッツイなあ。やり切れない思いが私の胃をチクチクさせます。うぐぐ。魔法少女の体だったさやかの亡骸も吹き飛んでお役御免、黒く渦巻く「魂」はさやかの名を叫ぶ杏子を吹き飛ばす勢いで荒ぶり…この「青い魔女」も誰かが倒さないといけないんだよねえ。
「やがて魔女になる君たちのことは魔法少女と呼ぶべきだよね」
違います。魔女の子供は「魔女っ子」です。魔法少女はあくまで「人間の少女が魔法の力を借りてご町内のトラブルを解決」する存在です。たいてい一年の期限が来ると妖精さんが魔法力を持ってどこかへ帰り、魔法少女は普通の少女へ戻ります。というビーキーな私設定はともかく「魔法少女」と「魔女っ子」は元来別モノであって、これを混同してはダメなんじゃないか? あえてそうしている節もあるけれど、この認識差が本作を「魔法少女モノ」と思わせない源泉なのかも。
ともあれ今回はキタエリの演技が破壊力抜群すぎて涙腺が枯れそう。元々好きな声優さんだけれど本作のさやか役はじつに当たり。硬軟の切り替えはもちろんのこと、特に黒化時の鬼気迫る演技には思わず体を固めて聞き入ってしまいます。声優さんってスゴイね。
そういや長らくコミックス難民だった私はようやく第1巻を入手、さっそく読んでみましたがコミックス版も独特の面白さがありますね。アニメ版ではオミットされてる心理描写なども興味深いです。しかしマミの例のシーンはちょっと…アニメ版の演出がいかに優れていたかわかる場面でした。

エンドカード(予告バック)は藤真拓哉氏。なのはさんViVidやアイマスブレイクを書いてる作家さんです。
↓記事が役立ったら一票どうぞ。

絶望の淵に立たされたさやかの末路。

狂気に囚われながらの魔女退治はじきに終わり、落ちてきたグリフシードを杏子に投げ渡すと「これで貸し借り無し」と吐き捨てて立ち去るさやか。あれだけ無茶な戦い方でやっと手に入れた魔法少女の命綱をあっさり渡してある意味「潔さ」を感じますが…ほとんど意地になって「自分の正義」を貫いている様子、また変身を解くと足元がおぼつかないほど疲れ果てているのに強がっている口調などなど初っ端っから痛々しいです。さすがの杏子も言葉を失ってますが見ているこっちも同じ顔、開始3分でもう見てられない。
今回はキュウべえ提供無しでOP後そのままAパートへ。バスが終わった夜の停留所にて交わされた二人の会話シーンは絶妙なライティングとアングル取りが効きまくって見ていて胃に穴が空きそうな勢いでした。ううう。、荒れるさやかはまどかにほとんど八つ当たり、一方さやかの事が心配でならないけれど具体的には何もできないまどかの無力さも辛い。笑顔が絶えない仲良しさんだったのに…どうしてこんなことになっちゃったんだろうね。
「だったらあんたが戦ってよ」
あまりに悲しい今の境遇をして捨て鉢になってるさやかの気持ちもわかるけれどそれを言っちゃあオシマイです。そもそもの始まりは「自分の願い」なわけで、その結果についてまどかに当たるのはお門違いもいいところ。つまり完全に八つ当たりなのですが、そんなさやかに対してもまどかは涙を流し、二人の心象風景そのまんまの土砂降りの中を追いかけ、しかし冷たく拒絶されると立ち尽くしてしまう。さやかの言葉に「越えられない壁」を感じた瞬間でしょうか。
暴言を悔いながら涙を流して走り去るさやか。良いほうに解釈すれば「まどかを巻き込まないため」あえてキツい事を言ったとも取れますが…おそらくそこまで考えず感情をぶつけてしまった可能性が高そう。そして「魔法を使っていないのに濁っていくソウルジェム」がチラリ、ソウルジェムの「穢れ」の意味がよくわかるカットでした。

シーン変わってほむらの家。表札に「ほむら」とだけあるのは隠れた左側に名字が来るのか、それとも巷で噂の名字名前逆転法則のとおり本来は「ほむら」が名字だったりするのかもしれません。何だかんだで仲が良くなってる杏子とほむら、部屋の中に無数に吊された絵画は魔女の仕様書(?)に見えますね。そしてワルプルギスの夜について「統計」がどうのこうのとここでもまた「ループ説」を裏付けるようなセリフをぽろり。1回2回じゃ統計とも言わないだろうし、ほむらにとって今回のワルプルギスの夜は何回目なのでしょうね。
てなところへ唐突にキュウべえ登場。槍を突き立てる杏子にもまったく動じず、質問にもマトモに答えず、言いたいことだけ言ってサッサと帰っていく態度は相変わらず真っ黒だけれどもう慣れた(笑。キュウべえはさやかの先行きについてアレコレ、これまでさんざん予想してきた「魔法少女の成れの果て」が確信に変わった瞬間でした。やっぱりそうなのか。
翌日の教室にさやかの姿はありませんでした。さやかが置かれた状況を知らない仁美はさやかの欠席をどう捉えたのでしょうね。放課後の帰り道にて仁美は上条くんと並んで歩き…松葉杖の御曹司を歩いて帰らせる金持ちもそういまい…と野暮なツッコミはともかく、前日の宣言どおり仁美は上条くんにコクった? 夕暮れのベンチに並んで座ってにこやかに話す二人、いったい何を話しているのか想像力をかき立てますなあ。あえてここの会話セリフを流さない演出が憎い。もしこれが予想どおり「さやかとの橋渡し」だったらこれほど残酷な場面もあるまい。

そんなシーンを遠目で見ていたさやかはどよんどMAXからヤケッパチの使い魔狩りへ。あああ、剣を振る表情からしてさやかがどんどん黒くなってて辛すぎます。もう勘弁して…まだ序の口です。
てなところへほむら登場。濁りが溜まったソウルジェムをどうにかしないと「取り返しが付かない事」になるとわかっているほむらは浄化用のグリフシードを渡すけれどさやかは突っぱねてしまう。さらにさやかはほむらの「嘘」を見抜き…さすが我々視聴者一同が見抜けなかったマミの本心を理解していた子だけあって人を見る目があるのだろうか。
「私はあなたを助けたいわけじゃない。あなたが破滅していく姿をまどかに見せたくないだけ」
これもほとんど予想どおりのほむらの本心。つまり第6話にてさやかのソウルジェムを拾いに走ったのはさやかを助けるためではなく、さやかが死んで悲しむまどかを見たくなかったから。ここまでまどか最優先の理由ははたして? それこそがこのストーリーの肝なのでしょうね。
まどかのためならさやかを殺すことに躊躇しないほむら。魔法少女に変身するとさやかの首に光が一筋走り、いざ!というタイミングで駆け寄ってきた誰か…てっきりまどかかと思ったその足音の主は杏子でした。杏子がいい子になりすぎてこれがまた不安の種になる本作の空気がイヤすぎる。
ほむらを羽交い締めで制止し「とっ捕まったままだと妙な技も使えない」と言った刹那、ほむらは盾からスタングレネードを取り出して安全ピンを引っこ抜きドカン! 魔法少女がそんなリアル武器を使うとは。

Bパートはモノクロ映像の電車風景から。抱えのキャバ嬢を「道具」のように扱うホストたちの会話はまるで「魔女を倒せなくなった魔法少女」のことを言っているよう。他人のために尽くす虚しさ、報われない虚しさを痛いほど突き付けられ、「この世界って守る価値ある?」とゴーカイジャーのような質問をぶつけたさやかはついに臨界を越えてしまったか。黒いオーラが体を包み、黒く濁った瞳はまるでグリフシードそのものです。
さやかを探し回っていたまどかの所へまたしてもジャストすぎるタイミングで現れ、巧妙なセールストークでまどかを惑わすキュウべえは営業職の鑑ですね。もう驚かないよ。ここでもまた「まどかのポテンシャル」について饒舌に語っていたけれど…やはりその理由はまどかの純粋さと無欲さにあると思うなあ。あれほど酷い事を言われても自分を責めながらさやかを探し続け、さらに今までの経緯を見てきたのに「どうにかして助けてあげたい」と願うまどかはどんだけ純粋な子なのだろう。この純粋な魂から生成されるソウルジェムはいかに輝くことか。
「さやかちゃんのためなら…いいよ…あたし…魔法少女に…」
そんな流れで契約しちゃダメだまどか! と思った瞬間、蜂の巣になってたキュウべえ。ギリギリのタイミングでほむらが駆け付けて事なきを得ました。ふう。ドキドキさせるね。

「あなたを失えばそれに悲しむ人がいるって、どうしてそれに気付かないの?」
涙ながらに訴えるほむらのセリフ。まどかは自分を役立たずだと思い込んで、何の価値もない人間だと思い込んでいた。しかしまどかがさやかを失ったら悲しいように、まどかを失ったら悲しむ人がいるのです。ちょっと考えれば当然の事なのですが自分を「無価値」と思い込んでいるとなかなか見えないのかもしれませんね。これはリアル社会でもよくある風景で「どうせ私なんか」と引いてる態度は別角度から見たら果てしない傲慢だったりするのです。自分の事が嫌いなのに自分の事しか見えていない視野狭窄・傲慢、魔法少女契約のテイを使ってなかなか奥深いテーマを扱っているような。
この状態でも真相を話さないほむらはいったい何を知っているのか。このまま進むと何が起きるのか。おそらくほむらはまどかの思考に影響を与えることを恐れて話さずにいるのでしょう。先の対さやかの時も「このままだとあなたは魔女になってしまう」と言えばさやかも渋々ながらグリフシードを使っただろうけど、それを言ってしまったらさやかはいよいよ自身の存在意義を失い、すなわちまどかも不幸になってしまう。全てにおいてまどか最優先の理由が気になるところです。
蜂の巣になったキュウべえは次の個体が現れてあっさり代替わり。もはや黒いだ怪しいだ言うてる場合ではありません…って食うなよ! ここでキュウべえはほむらの能力を理解したようです。これも大方の予想どおり「時間操作」の魔術、さらにほむらに対し「この時間軸の人間じゃないね?」と、これにてループ説確定っぽい。
キュウべえの本名もここで明らかに。「インキュベーター」というのはいわゆる孵卵器のことで、なるほど文字通り「魔女の卵を孵すための装置」であり、魔法少女の生産から一貫サービスですか。すると次の疑問は「何のために魔女を?」ということに。どうしても発生する「人間の負の感情」を固め、魔法少女に退治させるサイクルは大局で見ると「精神の浄化」と取れないことも無いけれど、関わる少女たちは生贄になっちまうわけでなかなか辛いシステムです。

さて先の電車で黒化したさやかは無人の駅で一人佇んでいました。人間に戻った? てなところへ杏子が登場、相変わらずものを喰いながら気安く話しかけるとさやかのリアクションがいつもと違って驚き。この駅シーンの床が市松模様なのは第1話冒頭にてまどかが走り抜ける場所と何か関係があるのだろうか?
希望と絶望のバランスは差し引きゼロ。希望を振りまく魔法少女はその裏側で人を恨み妬む。やはりソウルジェムの「濁り」とは魔法少女自身の負の感情が元でした。思いつきの予想が当たったのは良いけれど、どうにも胸がモヤモヤ胃がチクチクする結末です。
「あたしって、ほんとバカ」
そう呟くさやかの瞳は最期の輝きを見せ、濁りきったソウルジェムへ涙滴が落ちるとそれがスイッチのように、さやかの「最後の悲しみ」によって完成したようにソウルジェム=グリフシードは孵化を始めました。これまたあらかたわかっていたとはいえこの映像はキッツイなあ。やり切れない思いが私の胃をチクチクさせます。うぐぐ。魔法少女の体だったさやかの亡骸も吹き飛んでお役御免、黒く渦巻く「魂」はさやかの名を叫ぶ杏子を吹き飛ばす勢いで荒ぶり…この「青い魔女」も誰かが倒さないといけないんだよねえ。
「やがて魔女になる君たちのことは魔法少女と呼ぶべきだよね」
違います。魔女の子供は「魔女っ子」です。魔法少女はあくまで「人間の少女が魔法の力を借りてご町内のトラブルを解決」する存在です。たいてい一年の期限が来ると妖精さんが魔法力を持ってどこかへ帰り、魔法少女は普通の少女へ戻ります。というビーキーな私設定はともかく「魔法少女」と「魔女っ子」は元来別モノであって、これを混同してはダメなんじゃないか? あえてそうしている節もあるけれど、この認識差が本作を「魔法少女モノ」と思わせない源泉なのかも。
ともあれ今回はキタエリの演技が破壊力抜群すぎて涙腺が枯れそう。元々好きな声優さんだけれど本作のさやか役はじつに当たり。硬軟の切り替えはもちろんのこと、特に黒化時の鬼気迫る演技には思わず体を固めて聞き入ってしまいます。声優さんってスゴイね。
そういや長らくコミックス難民だった私はようやく第1巻を入手、さっそく読んでみましたがコミックス版も独特の面白さがありますね。アニメ版ではオミットされてる心理描写なども興味深いです。しかしマミの例のシーンはちょっと…アニメ版の演出がいかに優れていたかわかる場面でした。

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